【解決手段】送信装置1は、送信アンテナごとに分配されたデータをIQ平面へマッピングしてキャリアシンボルを生成し、複数のキャリアシンボルをIデータ及びQデータに分解後、所定の規則に従ってIデータ及びQデータの一方を並べ替えた偏波間インターリーブデータを時間方向にインターリーブ処理し、OFDM信号を生成する。受信装置2は、OFDM信号の複素ベースバンド信号を時間方向にデインターリーブ処理した時間デインターリーブデータをMIMO分離し、MIMO分離された複数のデータを所定の規則に従って奇数番目のデータ及び偶数番目のデータの一方を並べ替えた後、隣り合うデータをIデータ及びQデータとしてキャリアシンボルを生成する。
【発明を実施するための形態】
【0017】
一般に誤り訂正符号は、データが連続的に誤ると訂正が効きにくい。そのため、送信装置ではデータをインターリーブ処理し、受信装置では受信したデータをデインターリーブ処理して元のデータに戻すことで、誤りデータを全体に分散させ、誤り訂正能力を向上させている。日本のデジタル放送方式であるISDB−Tでは、ビットインターリーブ処理、周波数インターリーブ処理、時間インターリーブ処理をそれぞれ行うことで、様々な条件下で最適のパフォーマンスを実現するように設計されている。本発明では、これらのインターリーブに加えて送信アンテナ間のインターリーブ処理を行うことで、送信アンテナ間のレベル差等に起因する誤りデータを送信アンテナ間に分散させ、MIMOシステム全体の伝送特性を改善する。以下、複数アンテナを用いたMIMOの一例として、偏波間の直交性を利用した偏波MIMOを具体例にとり説明する。ただし、本発明は、偏波MIMO伝送のみならず、一般的なSDM-MIMO伝送に対しても有効である。
【0018】
<第1の実施形態>
第1の実施形態では、送信アンテナ数が2、受信アンテナ数が2の2×2MIMOを例に説明するが、アンテナ数はこれに限定されるものではない。
【0019】
[送信装置]
まず、本発明の第1の実施形態に係る送信装置について説明する。送信装置は、複数の送信アンテナからそれぞれ異なる偏波を用いてOFDM信号を送信する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る送信装置の構成を示すブロック図である。
図1に示すように、送信装置1は、誤り訂正符号化部11と、ビットインターリーブ部12と、データ分配部(アンテナストリームデマルチプレクサ)13と、2つのマッピング部14(14−1及び14−2)と、偏波間インターリーブ部(MIMOプリコーダ)15と、2つの時間インターリーブ部16(16−1及び16−2)と、2つの周波数インターリーブ部17(17−1及び17−2)と、2つのOFDM出力処理部18(18−1及び18−2)とを備え、送信装置1には2つの送信アンテナ19(19−1及び19−2)が接続される。送信装置1は、1つ又は複数の半導体チップにより構成されてもよい。
【0020】
誤り訂正符号化部11は、受信側で伝送誤りを訂正可能とするために、入力される送信信号を誤り訂正符号化し、ビットインターリーブ部12に出力する。誤り訂正は、例えば外符号としてBCH符号を用い、内符号としてLDPC(Low Density Parity Check)符号を用いる。
【0021】
ビットインターリーブ部12は、誤り訂正符号の性能を高めるために、誤り訂正符号化部11より出力された送信信号をビット単位でインターリーブし、データ分配部13に出力する。誤り訂正に外符号としてLDPC符号を用いる場合、ビットインターリーブ方法はDVB−C2で用いられている方法などで効果があることが知られている。DVB−C2のビットインターリーブ方法については、ETSI EN 302 769 V1.2.1(p.32)や、http://www.dvb.org/technology/dvbc2/を参照されたい。
【0022】
データ分配部13は、ビットインターリーブ部12から入力されるデータを所定数ずつ、マッピング部14−1及びマッピング部14−2に分配する。これにより、送信信号はアンテナ数分に分割される。例えば、1キャリアシンボル分のデータずつ分配する、すなわち奇数番目のキャリアシンボルに該当するビットを送信アンテナ19−1用のマッピング部14−1に出力し、偶数番目のキャリアシンボルに該当するビットを送信アンテナ19−2用のマッピング部14−2に出力する。
【0023】
マッピング部14は、データ分配部13から入力されるデータをmビット/キャリアシンボルとしてIQ平面へのマッピングを行い、変調方式に応じたキャリア変調が施されたキャリアシンボルを生成し、偏波間インターリーブ部15に出力する。
【0024】
偏波間インターリーブ部15は、マッピング部14−1及び14−2から入力されるキャリアシンボルの順序を、偏波間(送信アンテナ間)で並べ替えて送信アンテナ19ごとにインターリーブ処理されたデータを生成し、時間インターリーブ部16−1及び16−2に出力する。偏波間インターリーブ処理の具体例は後述する。
【0025】
時間インターリーブ部16は、偏波間インターリーブ部15から入力されるキャリアシンボルの順序を時間方向に並べ替えてインターリーブ処理されたデータを生成し、周波数インターリーブ部17に出力する。
【0026】
周波数インターリーブ部17は、時間インターリーブ部16から入力されるキャリアシンボルの順序を周波数方向に並べ替えてインターリーブ処理されたデータを生成し、OFDM出力処理部18に出力する。例えばISDB−Tで行われている方法でインターリーブ処理を行い、1 OFDMシンボルごとに、周波数方向にインターリーブする。周波数インターリーブ処理の具体例は後述する。
【0027】
OFDM出力処理部18は、各周波数インターリーブ部17から入力されるインターリーブ処理されたデータに対して、OFDMフレームを構成し、送信アンテナ19を介してOFDM信号を送信する。OFDM出力処理部18−1は、第1偏波用の送信データについての処理を行い、OFDM出力処理部18−2は、第2偏波用の送信データについての処理を行う。第1偏波及び第2偏波は、水平偏波及び垂直偏波や、右旋円偏波及び左旋円偏波など、2種類の分離可能な偏波とする。各OFDM出力処理部18は、OFDMフレーム構成部181と、IFFT部182と、GI付加部183とを備える。
【0028】
OFDMフレーム構成部181は、各周波数インターリーブ部17から入力される信号にパイロット信号(SP信号、CP信号)、制御情報を示すTMCC信号、及び付加情報を示すAC信号を挿入し、全キャリアを1 OFDMシンボルとして、所定数のOFDMシンボルのブロックでOFDMフレームを構成する。
【0029】
IFFT部182は、各OFDMフレーム構成部181から入力されるOFDMシンボルに対して、IFFT(Inverse Fast Fourier Transform:逆高速フーリエ変換)処理を施して時間領域の有効シンボル信号を生成する。
【0030】
GI付加部183は、各IFFT部182から入力される有効シンボル信号の先頭に、有効シンボル信号の後半部分をコピーしたガードインターバルを挿入し、直交変調処理及びD/A変換を施したOFDM信号を、送信アンテナ19を介して外部に送信する。
【0031】
送信アンテナ19は、水平偏波用アンテナ及び垂直偏波用アンテナ、又は右旋円偏波用アンテナ及び左旋円偏波用アンテナである。
【0032】
[受信装置]
次に、本発明の第1の実施形態に係る受信装置について説明する。受信装置は、上述した送信装置1から送信されるOFDM信号を、複数の受信アンテナにより受信して復調する。
図2は、本発明の第1の実施形態に係る受信装置の構成を示すブロック図である。
図2に示すように、受信装置2は、2つのOFDM入力処理部22(22−1及び22−2)と、伝送路応答算出部23と、2つの周波数デインターリーブ部24(24−1及び24−2)と、2つの時間デインターリーブ部25(25−1及び25−2)と、MIMO検出部26と、データ偏波間デインターリーブ部27と、雑音分散算出部28と、雑音分散値偏波間デインターリーブ部29と、2つのLLR(Log Likelihood Ratio:対数尤度比)算出部30(30−1及び30−2)と、データ統合部31と、ビットデインターリーブ部32と、誤り訂正符号復号部33とを備え、受信装置2には2つの受信アンテナ21(21−1及び21−2)が接続される。なお、受信装置2は、1つ又は複数の半導体チップにより構成されてもよい。
【0033】
受信アンテナ21は、水平偏波用アンテナ及び垂直偏波用アンテナ、又は右旋円偏波用アンテナ及び左旋円偏波用アンテナである。
【0034】
OFDM入力処理部22は、送信装置1から送信されるOFDM信号を、受信アンテナ21を介して受信し、復調する。各OFDM入力処理部22は、GI除去部221と、FFT部222と、パイロット信号抽出部223とを備える。
【0035】
GI除去部221は、受信したOFDM信号を直交復調処理してベースバンド信号を生成し、A/D変換によりデジタル信号を生成する。そして、GI除去部221は、ガードインターバルを除去して有効シンボル信号を抽出し、FFT部222に出力する。
【0036】
FFT部222は、GI除去部221から入力される有効シンボル信号に対して、FFT(Fast Fourier Transform:高速フーリエ変換)処理を施して複素ベースバンド信号を生成し、パイロット信号抽出部223及び周波数デインターリーブ部24に出力する。
【0037】
パイロット信号抽出部223は、FFT部222から入力される複素ベースバンド信号からパイロット信号(SP信号、CP信号)を抽出し、伝送路応答算出部23に出力する。
【0038】
伝送路応答算出部23は、パイロット信号抽出部223から入力されるパイロット信号を用いて伝送路応答を算出し、MIMO検出部26に出力する。
【0039】
周波数デインターリーブ部24は、OFDM入力処理部22から入力される複素ベースバンド信号に対し、周波数方向にデインターリーブ処理を行う。周波数方向のデインターリーブ処理とは、送信装置1の周波数インターリーブ部17により周波数方向に並べ替えられたデータを、元の順序に戻す処理である。
【0040】
時間デインターリーブ部25は、周波数デインターリーブ部24から入力されるデータに対し、時間方向にデインターリーブ処理を行う。時間方向のデインターリーブ処理とは、送信装置1の時間インターリーブ部16により時間方向に並べ替えられたデータを、元の順序に戻す処理である。
【0041】
MIMO検出部26は、時間デインターリーブ部25から入力されるベースバンド信号を、伝送路応答算出部23から入力される伝送路応答を用いて、ZF(Zero Forcing)、MMSE(Minimum Mean Squared Error)、BLAST(Bell Laboratories Layered Space-Time)、MLD(Maximum Likelihood Detection)などの既知の手法により、送信装置1から送信される2つの偏波信号の波形等化及びMIMO分離を行い、データ偏波間デインターリーブ部27及び雑音分散算出部28に出力する。
【0042】
データ偏波間デインターリーブ部27は、MIMO検出部26から入力されるデータに対し、偏波間(受信アンテナ間)でデインターリーブ処理を行い、LLR算出部30に出力する。偏波間のデインターリーブ処理とは、送信装置1の偏波間インターリーブ部15により偏波間で並べ替えられたデータを、元の順序に戻す処理である。
【0043】
雑音分散算出部28は、MIMO検出部26から入力される各偏波信号から平均雑音分散を求め、雑音分散値偏波間デインターリーブ部29に出力する。雑音分散σ
2は、キャリアシンボルが本来あるべきIQ座標上のシンボル点と実際に観測したキャリアシンボルのシンボル点Pとのずれを意味し、例えば変調誤差比を求めて逆数を取ることで得られる。
【0044】
図3は、雑音分散算出部28の処理を説明する図である。雑音分散の算出方法は幾つか存在するが、
図3に示すように、シンボル点Pの雑音分散を算出する際には、多値変調(
図3の例では64QAM)されているデータシンボルから求めるよりも、ACシンボル及び/又はTMCCシンボルから求めるほうが、誤って認識される確率が低い。そこで、雑音分散算出部28は、ACシンボル及び/又はTMCCシンボルを用いて、OFDMキャリアシンボル全体の平均雑音分散を算出するのが好適である。
【0045】
伝送路にマルチパスが存在する場合は、各OFDMキャリアで電力が異なるため雑音分散にばらつきが生じる。雑音分散σ
2は、各キャリアシンボルを構成するビット単位の対数尤度比(LLR)を求めるために必要であり、キャリア毎の雑音分散をなるべく正確に算出することがLDPC復号の性能を決める。そこで、伝送路応答から求まるウェイト行列を利用し、帯域全体の平均雑音分散に対して各キャリアで重み付けを行って雑音分散を定める。各キャリアにおけるウェイト行列は、伝送路応答行列Hとして(H
HH)
−1と表せることが知られている。各キャリアのウェイト成分は、この対角成分で表せる。これを全キャリアで正規化し、帯域全体の平均雑音分散に乗算することで重み付けを行う。各キャリアの信号対電力の情報(=C/N)を尤度計算に乗算する復号法については、例えば、中原、「マルチパス伝送路における64QAM−OFDM信号の軟判定復号法の検討」、ITE Technical Report vol.22、no.34、PP1-6、Jun.1998を参照されたい。ウェイト行列の算出等の詳細は、例えば、大鐘・小川、「わかりやすいMIMOシステム技術」、オーム社、p.101を参照されたい。
【0046】
雑音分散値偏波間デインターリーブ部29は、雑音分散算出部28から入力される各偏波信号に対応する雑音分散に対し、デインターリーブ処理(送信装置1の偏波間インターリーブ部15と逆の並べ替え処理)を行い、LLR算出部30に出力する。LLRの算出に必要な雑音分散値も同様にデインターリーブ処理することにより、複数アンテナ間の伝送路の違いに起因する異なる雑音分散値をLLRに反映させることができる。その結果、LLR算出部30にてより正確なLLRを算出することができ、誤り訂正符号復号部33での改善効果を発揮することができる。
【0047】
LLR算出部30は、データ偏波間デインターリーブ部27から入力されるデインターリーブ処理されたデータと、該データに対応する雑音分散値偏波間デインターリーブ部29から入力される雑音分散σ
2とを用いてLLRを算出し、データ統合部31に出力する。例えば、BPSK変調でのLLRは、観測した値をyとして、2値(x=0,1)それぞれの確率P(=尤度関数)はガウス分布となるため、次式(3)で表される。詳細は、例えば、和田山、「低密度パリティ検査符号とその復号法」、トリケップスを参照されたい。
【0049】
データ統合部31は、各LLR算出部30(30−1及び30−2)により算出された各ビットに対応するLLRを統合し(送信装置1のデータ分配部13と逆の処理)、ビットデインターリーブ部32に出力する。
【0050】
ビットデインターリーブ部32は、データ統合部31から入力される各ビットに対応するLLRに対し、デインターリーブ処理を行う。このデインターリーブ処理は、送信装置1のビットインターリーブ部12により並べ替えられたデータを、元の順序に戻す処理である。
【0051】
誤り訂正符号復号部33は、ビットデインターリーブ部32から入力されるLLRを用いてLDPC復号を行い、さらにBCH復号を行うことで、送信装置1から送信された信号を復号する。
【0052】
なお、送信装置1は、時間インターリーブ部16と周波数インターリーブ部17の処理順を逆にして、周波数インターリーブ部17の処理を行った後に、時間インターリーブ部16の処理を行うようにしてもよい。その場合には、受信装置2も同様に、周波数デインターリーブ部24と時間デインターリーブ部25の処理順を逆にして、時間デインターリーブ部25の処理を行った後に、周波数デインターリーブ部24の処理を行う。
【0053】
また、送信装置1は、偏波間インターリーブ処理及び周波数インターリーブ処理を同時に行い、その後時間インターリーブ処理を行うようにしてもよい。その場合には、受信装置2も同様に、時間デインターリーブ処理を行った後、偏波間デインターリーブ処理及び周波数デインターリーブ処理を同時に行う。
【0054】
[偏波間インターリーブ部]
次に、偏波間インターリーブ部15の処理の詳細について説明する。なお、インターリーブ処理によるデータの並べ替え順は以下の例に限られるものではない。
【0055】
[偏波間インターリーブ処理の第1の例]
図4は、偏波間インターリーブ部15の第1のインターリーブ処理例を説明する図である。第1の例では、送信アンテナ数分のOFDMキャリアシンボルごとに、所定の規則に従ってキャリアシンボル単位で並べ替える。OFDMキャリアシンボルのキャリアシンボル数をNとすると、偏波間インターリーブ部15は、マッピング部14−1からキャリアシンボル番号0〜N−1のキャリアシンボルを入力し、マッピング部14−2からキャリアシンボル番号N〜2N−1のキャリアシンボルを入力する。第1の例では、偏波間インターリーブ部15は、キャリアシンボルを行方向に1行(p個)ずつ書き込んだ後に、列方向に1列(q個)ずつ読み出す。p×q=2Nである。
【0056】
同様に、偏波間インターリーブ部15は、送信アンテナ数分のOFDMキャリアシンボルについて、並べ替え前のキャリアシンボルの位置と並べ替え後のキャリアシンボルの位置とを所定の規則に従って対応付けたテーブル(規則テーブル)を予め有してもよい。この場合、偏波間インターリーブ部15は、マッピング部14−1からキャリアシンボル番号0〜N−1のキャリアシンボルを入力し、マッピング部14−2からキャリアシンボル番号N〜2N−1のキャリアシンボルを入力し、計2Nのキャリアシンボルごとに、規則テーブルを参照して並べ替える。
【0057】
[偏波間インターリーブ処理の第2の例]
次に、偏波間インターリーブ処理の第2の例について説明する。
図5は、偏波間インターリーブ部15の第2のインターリーブ処理例を説明する図である。第1の例では送信アンテナ数分のOFDMキャリアシンボルごとに、所定の規則に従ってキャリアシンボル単位で並べ替えたのに対し、第2の例では送信アンテナ数分のOFDMキャリアシンボルごとに、所定の規則に従って、IQ平面のI軸座標上に配置されるデータ(以下、「Iデータ」と称する)及びIQ平面のQ軸座標上に配置されるデータ(以下、「Qデータ」と称する)単位で並べ替える点が相違する。
【0058】
つまり第2の例では、偏波間インターリーブ部15は、キャリアシンボル数をNとすると、マッピング部14−1からキャリアシンボル番号0〜N−1のキャリアシンボルを入力し、Iデータ及びQデータに分解してデータ番号0〜2N−1のIデータ又はQデータ(以下、「IQデータ」と称する)とする。同様に、マッピング部14−2からキャリアシンボル番号N〜2N−1のキャリアシンボルを入力し、Iデータ及びQデータに分解してデータ番号2N〜4N−1のIQデータとする。そして、IQデータを行方向に1行(p個)ずつ書き込んだ後に、列方向に1列(2q個)ずつ読み出す。インターリーブ後は、新たなキャリアシンボル(I,Qデータの対)を構成する。p×2q=4Nである。
【0059】
同様に、偏波間インターリーブ部15は、送信アンテナ数分のOFDMキャリアシンボルについて、並べ替え前のIQデータの位置と並べ替え後のIQデータの位置とを所定の規則に従って対応付けたテーブル(規則テーブル)を予め有してもよい。この場合、偏波間インターリーブ部15は、マッピング部14−1からキャリアシンボル番号0〜N−1のキャリアシンボルを入力し、Iデータ及びQデータに分解してデータ番号0〜2N−1のIQデータとする。同様に、マッピング部14−2からキャリアシンボル番号N〜2N−1のキャリアシンボルを入力し、Iデータ及びQデータに分解してデータ番号2N〜4N−1のIQデータとする。そして、計4NのIQデータごとに、規則テーブルを参照して並べ替える。
【0060】
[偏波間インターリーブ処理の第3の例]
次に、偏波間インターリーブ処理の第3の例について説明する。第3の例では、偏波間インターリーブ部15は、送信アンテナ数分のOFDMキャリアシンボルについて、並べ替え前のキャリアシンボルの位置と並べ替え後のキャリアシンボルの位置とをランダムに対応付けたテーブル(不規則テーブル)を予め有する。偏波間インターリーブ部15は、マッピング部14−1からキャリアシンボル番号0〜N−1のキャリアシンボルを入力し、マッピング部14−2からキャリアシンボル番号N〜2N−1のキャリアシンボルを入力し、計2Nのキャリアシンボルごとに、不規則テーブルを参照して並べ替える。
【0061】
[偏波間インターリーブ処理の第4の例]
次に、偏波間インターリーブ処理の第4の例について説明する。第3の例では送信アンテナ数分のOFDMキャリアシンボルごとに、キャリアシンボル単位で不規則に並べ替えたのに対し、第4の例では送信アンテナ数分のOFDMキャリアシンボルごとに、IQデータ単位で不規則に並べ替える点が相違する。
【0062】
つまり第4の例では、偏波間インターリーブ部15は、送信アンテナ数分のOFDMキャリアシンボルについて、並べ替え前のIQデータの位置と並べ替え後のIQデータの位置とをランダムに対応付けたテーブル(不規則テーブル)を予め有する。偏波間インターリーブ部15は、マッピング部14−1からキャリアシンボル番号0〜N−1のキャリアシンボルを入力し、Iデータ及びQデータに分解してデータ番号0〜2N−1のIQデータとする。同様に、マッピング部14−2からキャリアシンボル番号N〜2N−1のキャリアシンボルを入力し、Iデータ及びQデータに分解してデータ番号2N〜4N−1のIQデータとする。そして、計4NのIQデータごとに、不規則テーブルを参照して並べ替える。インターリーブ後は、新たなキャリアシンボル(I,Qデータの対)を構成する。
【0063】
なお、偏波間インターリーブ処理の第3の例及び第4の例では、一度の処理で周期性を排除でき、かつBER特性も良いが、テーブルを有する必要があり、また所定の規則に従って処理を行うことができないため、ハードウェアに実装した場合の負荷が大きくなる。
【0064】
なお、上述した偏波間インターリーブ処理の例では、偏波間インターリーブ部15は、送信アンテナ数分のOFDMキャリアシンボルごとにキャリアシンボル単位又はIQデータ単位で並べ替えるが、任意の数のキャリアシンボルごとにキャリアシンボル単位又はIQデータ単位で並べ替えてもよい。
【0065】
また、偏波間インターリーブ部15は、上述した第2の例又は第4の例においてキャリアシンボルをIQデータ単位で並べ替える場合には、Iデータ及びQデータの一方のみを並べ替えてもよい。
【0066】
一方、データ偏波間デインターリーブ部27は、MIMO検出部26によりMIMO分離されたデータを、偏波間インターリーブ部15と逆方向に並び替えて元の順序に戻すものである。例えば、偏波間インターリーブ部15が上述した第1の例のインターリーブ処理を行う場合には、データ偏波間デインターリーブ部27は、データを行方向に1行(q個)ずつ書き込んだ後に、列方向に1列(p個)ずつ読み出す。また、偏波間インターリーブ部15が上述した第2の例のインターリーブ処理を行う場合には、データ偏波間デインターリーブ部27は、データを行方向に1行(2q個)ずつ書き込んだ後に、列方向に1列(p個)ずつ読み出す。また、偏波間インターリーブ部15が上述したテーブル(規則テーブル又は不規則テーブル)を用いてインターリーブ処理を行う場合には、データ偏波間デインターリーブ部27は、該テーブルの並べ替え前後の位置を入れ換えたテーブルを参照して並べ替える。
【0067】
なお、データ偏波間デインターリーブ部27は、偏波間インターリーブ部15が上述した第2の例又は第4の例においてIデータ及びQデータの一方のみを並べ替える場合には、奇数番目のデータ及び偶数番目のデータの一方のみを並べ替える。
【0068】
データ偏波間デインターリーブ部27は、偏波間インターリーブ部15が上述した第2の例又は第4の例により偏波間インターリーブ処理を行う場合には、MIMO検出部26によりMIMO分離されたデータに対し、偏波間でデインターリーブ処理した後、隣り合うデータをIQ平面のI軸座標上に配置されるIデータ及びQ軸座標上に配置されるQデータとしてキャリアシンボルを生成することとなる。
【0069】
雑音分散値偏波間デインターリーブ部29は、データ偏波間デインターリーブ部27と同様に、雑音分散算出部28から入力される雑音分散を偏波間インターリーブ部15と逆方向に並び替える。
【0070】
[周波数インターリーブ部]
次に、周波数インターリーブ部17の処理の詳細について説明する。なお、周波数デインターリーブ部24は、周波数インターリーブ部17と逆方向にデータを並び替えて元の順序に戻すものであるため、説明を省略する。
図6は、周波数インターリーブ部17の構成例を示すブロック図である。周波数インターリーブ部17は、セグメント間インターリーブ部171と、データローテーション部172と、データランダマイズ部173とを備える。ただし、偏波間インターリーブ部15が実質的にセグメント間インターリーブ部171の処理も兼ねているため、セグメント間インターリーブ部171は省略してもよい。
【0071】
[周波数インターリーブ処理の第1の例]
偏波間インターリーブ部15の偏波間インターリーブ処理が上述した第1又は第3の例である場合の周波数インターリーブ部17の処理を、周波数インターリーブ処理の第1の例として説明する。
【0072】
図7は、セグメント間インターリーブ部171の処理を説明する図であり、
図7(a)はインターリーブ前のシンボル配置を表し、
図7(b)はインターリーブ後のシンボル配置を表す。セグメント間インターリーブ部171は、時間インターリーブ部16から入力されるキャリアシンボルを、1 OFDMキャリアシンボルごとに、セグメント間で周波数方向にインターリーブ処理する。
図7に示す例では、1 OFDMキャリアシンボル内のセグメント数をn(ISDB−T方式では、n=13)とし、1セグメントあたりのキャリアシンボル数を384としている。なお、並び替え順は一例であり、これに限られるものではない。
【0073】
図8は、データローテーション部172の処理を説明する図であり、
図8(a)はインターリーブ前のシンボル配置を表し、
図8(b)はインターリーブ後のシンボル配置を表す。
図7と同様に、1セグメントあたりのキャリアシンボル数を384としている。データローテーション部172は、セグメント間インターリーブ部171から入力されるキャリアシンボルに対し、1セグメントごとに、データのローテーションによるインターリーブ処理を行う。データローテーション部172は、k番目セグメント、i番目のデータを、データローテーションによって、k番目セグメント、i’番目に並べ替える。
図8に示す例では、i’=(i+k)mod384としている。なお、並べ替え順は一例であり、これに限られるものではない。
【0074】
図9は、データランダマイズ部173の処理を説明する図であり、
図9(a)はインターリーブ前のシンボル配置を表し、
図9(b)はインターリーブ後のシンボル配置を表す。
図7,8と同様に、1セグメントあたりのキャリアシンボル数を384としている。データランダマイズ部173は、セグメント内のキャリアシンボル数分の不規則テーブルを予め有し(送信側及び受信側で同じ不規則テーブルとする)、データローテーション部172から入力されるデータに対して、不規則テーブルを参照してセグメント内でランダマイズ処理を行い、周期性を排除する。なお、乱数は一例であり、これに限られるものではない。また、セグメント間インターリーブ部171、データローテーション部172、及びデータランダマイズ部173は、周波数インターリーブ部17−1及び17−2で異なる並び替えを行ってもよい。
【0075】
[周波数インターリーブ処理の第2の例]
次に、偏波間インターリーブ部15の偏波間インターリーブ処理が上述した第2又は第4の例である場合の周波数インターリーブ部17の処理を、周波数インターリーブ処理の第2の例として説明する。
【0076】
図10は、セグメント間インターリーブ部171の処理を説明する図であり、
図10(a)はインターリーブ前のIデータ又はQデータの配置を表し、
図10(b)はインターリーブ後のIQデータの配置を表す。セグメント間インターリーブ部171は、時間インターリーブ部16から入力されるIQデータを、1 OFDMキャリアシンボルごとに、セグメント間で周波数方向にインターリーブ処理する。
図10に示す例では、1 OFDMシンボル内のセグメント数をn(ISDB−T方式では、n=13)とし、1セグメントあたりのキャリアシンボル数を384(すなわち、IQデータ数は768)としている。セグメント間インターリーブ部171は、キャリアシンボル単位ではなく、IQデータ単位でデータを並び替える。なお、並び替えは一例であり、これに限られるものではない。
【0077】
第1の例と同様に、データローテーション部172は、セグメント間インターリーブ部171から入力されるIQデータに対し、1セグメントごとに、データのローテーションによるインターリーブ処理を行い、データランダマイズ部173は、セグメント内のキャリアシンボル数分の不規則テーブルを予め送信側、受信側で有し、データローテーション部172から入力されるキャリアシンボルを、不規則テーブルを参照してセグメント内でランダムに並べ替え、周期性を排除する。
【0078】
なお、偏波間インターリーブ処理の第3の例、及び第4の例では、偏波間インターリーブ部15が有する不規則テーブルにより周波数方向の周期性も排除することができるため、周波数インターリーブ部17を省略することも可能である。その場合には受信装置2も同様に、周波数デインターリーブ部24を省略する。
【0079】
このように、送信装置1は、偏波間インターリーブ部15により、キャリアシンボルの順序を偏波間で並べ替え、送信アンテナ19ごとにインターリーブ処理されたデータを生成する。また、受信装置2は、データ偏波間デインターリーブ部27及び雑音分散値偏波間デインターリーブ部29により、送信装置1によりインターリーブ処理されたデータを偏波間にデインターリーブ処理する。このため、第1の実施形態の送信装置1及び受信装置2によれば、偏波間に受信レベル差があった場合でも、誤りデータを多く含む片偏波側のデータを分散させることができ、誤り訂正符号の効果を向上させ、BER特性を改善することができるようになる。
【0080】
また、送信装置1は、時間インターリーブ処理及び周波数インターリーブ処理の後にデータを複数アンテナ間に分割して偏波間インターリーブ処理を行うのではなく、時間インターリーブ処理及び周波数インターリーブ処理の前にデータを複数アンテナ間に分割して偏波間インターリーブ処理を行っている。一方、受信装置2の処理は、送信装置1の処理を逆方向に処理することと等価であり、信号受信後にOFDM復調処理、周波数デインターリーブ処理、時間デインターリーブ処理、MIMO検出処理と続く。ここで、受信装置2内でターボ等化処理などのように繰り返し復調・復号を行う際には、MIMO検出部26やLLR算出部30−1,30−2に復号結果を入力して繰り返し処理を行う場合がある。この時、繰り返し処理内に時間デインターリーブ部が存在すると、復号結果を入力する際に改めて時間インターリーブ処理が必要になり、回路規模が増大してしまう。そこで本発明では、受信装置2はMIMO検出部26の前に時間デインターリーブ部25を配置しており、送信装置1は偏波間インターリーブ部15の後に時間インターリーブ部16を配置している。したがって、本発明によれば、繰り返し復調・復号処理を行う受信装置2を、回路規模を増大させることなく実現することが可能となる。
【0081】
<第2の実施形態>
次に、第2の実施形態として、複数チャンネルを同時に用いて1つのデータストリームを伝送する(以後、バルク伝送と呼ぶ)場合、すなわち、送信装置が複数チャンネルのOFDM信号を各チャンネルあたり複数の送信アンテナを用いて送信し、受信装置が複数チャンネルのOFDM信号を各チャンネルあたり複数の受信アンテナを用いて受信する場合について説明する。第2の実施形態では、チャンネル数が2の場合を例に説明するが、チャンネル数は2に限定されるものではない。
【0082】
[送信装置]
図11は、第2の実施形態に係る送信装置3の構成を示すブロック図である。
図11に示すように、送信装置3は、誤り訂正符号化部11と、ビットインターリーブ部12と、データ分配部13と、4つのマッピング部14(14−1乃至14−4)と、偏波・チャンネル間インターリーブ部20と、4つの時間インターリーブ部16(16−1乃至16−4)と、4つの周波数インターリーブ部17(17−1乃至17−4)と、第1チャンネル用出力処理部180−1と、第2チャンネル用出力処理部180−2とを備え、送信装置3には4つの送信アンテナ19(19−1乃至19−4)が接続される。なお、送信装置3は、1つ又は複数の半導体チップにより構成されてもよい。
【0083】
誤り訂正符号化部11及びビットインターリーブ部12は、2チャンネル分の送信信号について、第1の実施形態と同様の処理を行う。
【0084】
データ分配部13は、ビットインターリーブ部12から入力されるデータを所定数ずつ4つのストリームに分割し、マッピング部14−1〜14−4に分配する。例えば、1キャリアシンボル分のデータずつ分配する、すなわち奇数番目のキャリアシンボルに該当するビットをマッピング部14−1及び14−3に出力し、偶数番目のキャリアシンボルに該当するビットをマッピング部14−2及び14−4に出力する。
【0085】
マッピング部14は、データ分配部13から入力されるデータをmビット/キャリアシンボルとしてIQ平面へのマッピングを行い、変調方式に応じたキャリア変調が施されたキャリアシンボルを生成し、偏波・チャンネル間インターリーブ部20に出力する。
【0086】
偏波・チャンネル間インターリーブ部20は、マッピング部14−1〜14−4から入力されるキャリアシンボルの順序を、偏波間(送信アンテナ間)及びチャンネル間で並べ替えて送信アンテナ19ごとにインターリーブ処理されたデータを生成し、時間インターリーブ部16−1〜16−4に出力する。偏波・チャンネル間インターリーブ部20は、所定数のキャリアシンボルごとに第1チャンネルの第1偏波送信用データ、第1チャンネルの第2偏波送信用データ、第2チャンネルの第1偏波送信用データ、及び第2チャンネルの第2偏波送信用データに分類する。偏波・チャンネル間インターリーブ処理の具体例は後述する。
【0087】
時間インターリーブ部16は、偏波・チャンネル間インターリーブ部20から入力されるキャリアシンボルの順序を時間方向に並べ替えてインターリーブ処理されたデータを生成し、周波数インターリーブ部17に出力する。
【0088】
周波数インターリーブ部17は、時間インターリーブ部16から入力されるキャリアシンボルの順序を周波数方向に並べ替えてインターリーブ処理されたデータを生成し、OFDM出力処理部18に出力する。例えばISDB−Tで行われている方法でインターリーブ処理を行い、1 OFDMシンボルごとに、周波数方向にインターリーブする。
【0089】
OFDM出力処理部18は、周波数インターリーブ部17から入力される各ストリームについて、第1の実施形態と同様にOFDMフレーム構成処理、IFFT処理、及びGI付加処理を行う。そして送信装置3は、送信アンテナ19−1及び19−2から第1チャンネルのOFDM信号を送信し、送信アンテナ19−3及び19−4から第2チャンネルのOFDM信号を送信する。
【0090】
[受信装置]
次に、第2の実施形態に係る受信装置について説明する。
図12は、本発明の第2の実施形態に係る受信装置の構成を示すブロック図である。
図12に示すように、受信装置4は、第1チャンネル用入力処理部220−1と、第2チャンネル用入力処理部220−2と、2つの伝送路応答算出部23(23−1及び23−2)と、4つの周波数デインターリーブ部24(24−1乃至24−4)と、4つの時間デインターリーブ部25(25−1乃至25−4)と、2つのMIMO検出部26(26−1及び26−2)と、データ偏波・チャンネル間デインターリーブ部41と、雑音分散算出部28と、雑音分散値偏波・チャンネル間デインターリーブ部42と、4つのLLR算出部30(30−1乃至30−4)と、データ統合部31と、ビットデインターリーブ部32と、誤り訂正符号復号部33とを備え、受信装置4には4つの受信アンテナ21(21−1乃至21−4)が接続される。なお、受信装置4は、1つ又は複数の半導体チップにより構成されてもよい。
【0091】
受信装置4は、受信アンテナ21−1及び21−2により、送信装置3の送信アンテナ19−1及び19−2から送信された第1チャンネルのOFDM信号を受信し、受信アンテナ21−3及び21−4により、送信装置3の送信アンテナ19−3及び19−4から送信された第2チャンネルのOFDM信号を受信する。すなわち、送信装置3及び受信装置4により、チャンネル数分の2×2MIMO伝送を実現する。
【0092】
OFDM入力処理部22は、各受信アンテナ21により受信したOFDM信号について、それぞれ第1の実施形態と同様にGI除去処理、FFT処理、及びパイロット信号抽出処理を行う。
【0093】
第1チャンネル用入力処理部220−1により処理された第1チャンネルの受信信号について、伝送路応答算出部23−1と、周波数デインターリーブ部24−1及び24−2と、時間デインターリーブ部25−1及び25−2と、MIMO検出部26−1とが、第1の実施形態と同様の処理を行う。また、第2チャンネル用入力処理部220−2により処理された第2チャンネルの受信信号について、伝送路応答算出部23−2と、周波数デインターリーブ部24−3及び24−4と、時間デインターリーブ部25−3及び25−4と、MIMO検出部26−2とが、第1の実施形態と同様の処理を行う。
【0094】
データ偏波・チャンネル間デインターリーブ部41は、MIMO検出部26から入力されるデータに対し、偏波間及びチャンネル間でデインターリーブ処理を行い、LLR算出部30に出力する。偏波間及びチャンネル間のデインターリーブ処理とは、送信装置1の偏波・チャンネル間インターリーブ部20により偏波間及びチャンネル間で並べ替えられたデータを、元の順序に戻す処理である。
【0095】
雑音分散算出部28は、MIMO検出部26から入力される各偏波信号から平均雑音分散を求め、雑音分散値偏波・チャンネル間デインターリーブ部42に出力する。
【0096】
雑音分散値偏波・チャンネル間デインターリーブ部42は、雑音分散算出部28から入力される各偏波信号に対応する雑音分散に対し、波間及びチャンネル間でデインターリーブ処理を行い、LLR算出部30に出力する。LLR算出部30、データ統合部31、ビットデインターリーブ部32、及び誤り訂正符号復号部33は、2チャンネル分の受信信号について、第1の実施形態と同様の処理を行う。
【0097】
[偏波・チャンネル間インターリーブ部]
次に、偏波・チャンネル間インターリーブ部20について説明する。第2の実施形態においても、第1の実施形態と同様にインターリーブ処理の第1の例から第4の例について説明する。
【0098】
[偏波・チャンネル間インターリーブ処理の第1の例]
図13は、偏波・チャンネル間インターリーブ部20の第1のインターリーブ処理例を説明する図である。第1の例では、送信アンテナ数分のOFDMキャリアシンボルごとに、所定の規則に従ってキャリアシンボル単位で並べ替える。OFDMキャリアシンボルのキャリアシンボル数をNとすると、偏波・チャンネル間インターリーブ部20は、マッピング部14−1からキャリアシンボル番号0〜N−1のキャリアシンボルを入力し、マッピング部14−2からキャリアシンボル番号N〜2N−1のキャリアシンボルを入力し、マッピング部14−3からキャリアシンボル番号2N〜3N−1のキャリアシンボルを入力し、マッピング部14−4からキャリアシンボル番号3N〜4N−1のキャリアシンボルを入力する。第1の例では、偏波・チャンネル間インターリーブ部20は、キャリアシンボルを行方向に1行(p個)ずつ書き込んだ後に、列方向に1列(2q個)ずつ読み出す。p×2q=4Nである。
【0099】
同様に、偏波・チャンネル間インターリーブ部20は、送信アンテナ数分のOFDMキャリアシンボルについて、並べ替え前のキャリアシンボルの位置と並べ替え後のキャリアシンボルの位置とを所定の規則に従って対応付けたテーブル(規則テーブル)を予め有してもよい。この場合、偏波・チャンネル間インターリーブ部20は、マッピング部14−1からキャリアシンボル番号0〜N−1のキャリアシンボルを入力し、マッピング部14−2からキャリアシンボル番号N〜2N−1のキャリアシンボルを入力し、マッピング部14−3からキャリアシンボル番号2N〜3N−1のキャリアシンボルを入力し、マッピング部14−4からキャリアシンボル番号3N〜4N−1のキャリアシンボルを入力し、計4Nのキャリアシンボルごとに、規則テーブルを参照して並べ替える。
【0100】
[偏波・チャンネル間インターリーブ処理の第2の例]
次に、偏波・チャンネル間インターリーブ処理の第2の例について説明する。
図14は、偏波・チャンネル間インターリーブ部20の第2のインターリーブ処理例を説明する図である。第1の例では送信アンテナ数分のOFDMキャリアシンボルごとに、所定の規則に従ってキャリアシンボル単位で並べ替えたのに対し、第2の例では送信アンテナ数分のOFDMキャリアシンボルごとに、所定の規則に従って、IQ平面のI軸座標上に配置されるIデータ及びIQ平面のQ軸座標上に配置されるQデータ単位で並べ替える点が相違する。
【0101】
つまり第2の例では、偏波・チャンネル間インターリーブ部20は、キャリアシンボル数をNとすると、マッピング部14−1からキャリアシンボル番号0〜N−1のキャリアシンボルを入力し、Iデータ及びQデータに分解してデータ番号0〜2N−1のIQデータとし、マッピング部14−2からキャリアシンボル番号N〜2N−1のキャリアシンボルを入力し、Iデータ及びQデータに分解してデータ番号2N〜4N−1のIQデータとし、マッピング部14−3からキャリアシンボル番号2N〜3N−1のキャリアシンボルを入力し、Iデータ及びQデータに分解してデータ番号4N〜6N−1のIQデータとし、マッピング部14−4からキャリアシンボル番号3N〜4N−1のキャリアシンボルを入力し、Iデータ及びQデータに分解してデータ番号6N〜8N−1のIQデータとする。そして、IQデータを行方向に1行(p個)ずつ書き込んだ後に、列方向に1列(4q個)ずつ読み出す。インターリーブ後は、新たなキャリアシンボル(I,Qデータの対)を構成する。p×4q=8Nである。
【0102】
同様に、偏波・チャンネル間インターリーブ部20は、送信アンテナ数分のOFDMキャリアシンボルについて、並べ替え前のIQデータの位置と並べ替え後のIQデータの位置とを所定の規則に従って対応付けたテーブル(規則テーブル)を予め有してもよい。この場合、偏波・チャンネル間インターリーブ部20は、マッピング部14−1からキャリアシンボル番号0〜N−1のキャリアシンボルを入力し、Iデータ及びQデータに分解してデータ番号0〜2N−1のIQデータとし、マッピング部14−2からキャリアシンボル番号N〜2N−1のキャリアシンボルを入力し、Iデータ及びQデータに分解してデータ番号2N〜4N−1のIQデータとし、マッピング部14−3からキャリアシンボル番号2N〜3N−1のキャリアシンボルを入力し、Iデータ及びQデータに分解してデータ番号4N〜6N−1のIQデータとし、マッピング部14−4からキャリアシンボル番号3N〜4N−1のキャリアシンボルを入力し、Iデータ及びQデータに分解してデータ番号6N〜8N−1のIQデータとする。そして、計8NのIQデータごとに、規則テーブルを参照して並べ替える。
【0103】
[偏波・チャンネル間インターリーブ処理の第3の例]
次に、偏波・チャンネル間インターリーブ処理の第3の例について説明する。第3の例では、偏波・チャンネル間インターリーブ部20は、送信アンテナ数分のOFDMキャリアシンボルについて、並べ替え前のキャリアシンボルの位置と並べ替え後のキャリアシンボルの位置とをランダムに対応付けたテーブル(不規則テーブル)を予め有する。そして、偏波・チャンネル間インターリーブ部20は、マッピング部14−1からキャリアシンボル番号0〜N−1のキャリアシンボルを入力し、マッピング部14−2からキャリアシンボル番号N〜2N−1のキャリアシンボルを入力し、マッピング部14−3からキャリアシンボル番号2N〜3N−1のキャリアシンボルを入力し、マッピング部14−4からキャリアシンボル番号3N〜4N−1のキャリアシンボルを入力し、計4Nのキャリアシンボルごとに、不規則テーブルを参照して並べ替える。
【0104】
[偏波・チャンネル間インターリーブ処理の第4の例]
次に、偏波・チャンネル間インターリーブ処理の第4の例について説明する。第3の例では送信アンテナ数分のOFDMキャリアシンボルごとに、キャリアシンボル単位で不規則に並べ替えたのに対し、第4の例では送信アンテナ数分のOFDMキャリアシンボルごとに、IQデータ単位で不規則に並べ替える点が相違する。
【0105】
つまり第4の例では、偏波・チャンネル間インターリーブ部20は、送信アンテナ数分のOFDMキャリアシンボルについて、並べ替え前のIQデータの位置と並べ替え後のIQデータの位置とをランダムに対応付けたテーブル(不規則テーブル)を予め有する。偏波・チャンネル間インターリーブ部20は、マッピング部14−1からキャリアシンボル番号0〜N−1のキャリアシンボルを入力し、Iデータ及びQデータに分解してデータ番号0〜2N−1のIQデータとし、マッピング部14−2からキャリアシンボル番号N〜2N−1のキャリアシンボルを入力し、Iデータ及びQデータに分解してデータ番号2N〜4N−1のIQデータとし、マッピング部14−3からキャリアシンボル番号2N〜3N−1のキャリアシンボルを入力し、Iデータ及びQデータに分解してデータ番号4N〜6N−1のIQデータとし、マッピング部14−4からキャリアシンボル番号3N〜4N−1のキャリアシンボルを入力し、Iデータ及びQデータに分解してデータ番号6N〜8N−1のIQデータとする。そして、計8NのIQデータごとに、不規則テーブルを参照して並べ替える。インターリーブ後は、新たなキャリアシンボル(I,Qデータの対)を構成する。
【0106】
なお、上述した偏波間インターリーブ処理の例では、偏波・チャンネル間インターリーブ部20は、送信アンテナ数分のOFDMキャリアシンボルごとにキャリアシンボル単位又はIQデータ単位で並べ替えるが、任意の数のキャリアシンボルごとにキャリアシンボル単位又はIQデータ単位で並べ替えてもよい。
【0107】
また、偏波・チャンネル間インターリーブ部20は、上述した第2の例又は第4の例においてキャリアシンボルをIQデータ単位で並べ替える際には、Iデータ及びQデータの一方のみを並べ替えてもよい。
【0108】
一方、データ偏波・チャンネル間デインターリーブ部41は、MIMO検出部26によりMIMO分離されたデータを、偏波・チャンネル間インターリーブ部20と逆方向に並び替えて元の順序に戻すものである。例えば、偏波・チャンネル間インターリーブ部20が上述した第1の例のインターリーブ処理を行う場合には、データ偏波・チャンネル間デインターリーブ部41は、データを行方向に1行(2q個)ずつ書き込んだ後に、列方向に1列(p個)ずつ読み出す。また、偏波・チャンネル間インターリーブ部20が上述した第2の例のインターリーブ処理を行う場合には、データ偏波・チャンネル間デインターリーブ部41は、データを行方向に1行(4q個)ずつ書き込んだ後に、列方向に1列(p個)ずつ読み出す。また、偏波・チャンネル間インターリーブ部20が上述したテーブル(規則テーブル又は不規則テーブル)を用いてインターリーブ処理を行う場合には、データ偏波・チャンネル間デインターリーブ部41は、該テーブルの並べ替え前後の位置を入れ換えたテーブルを参照して並べ替える。
【0109】
なお、データ偏波・チャンネル間デインターリーブ部41は、偏波・チャンネル間インターリーブ部20が上述した第2の例又は第4の例においてIデータ及びQデータの一方のみを並べ替える場合には、奇数番目のデータ及び偶数番目のデータの一方のみを並べ替える。
【0110】
データ偏波・チャンネル間デインターリーブ部41は、偏波・チャンネル間インターリーブ部20が上述した第2の例又は第4の例により偏波・チャンネル間インターリーブ処理を行う場合には、MIMO検出部26によりMIMO分離されたデータに対し、偏波・チャンネル間でデインターリーブ処理した後、隣り合うデータをIQ平面のI軸座標上に配置されるIデータ及びQ軸座標上に配置されるQデータとしてキャリアシンボルを生成することとなる。
【0111】
雑音分散値偏波・チャンネル間デインターリーブ部42は、データ偏波・チャンネル間デインターリーブ部41と同様に、雑音分散算出部28から入力される雑音分散を偏波・チャンネル間インターリーブ部20と逆方向に並べ替える。
【0112】
このように、送信装置3は、偏波・チャンネル間インターリーブ部20により、複数チャンネル分のキャリアシンボルの順序を偏波間及びチャンネル間で並べ替え、送信アンテナ19ごとにインターリーブ処理されたデータを生成し、複数チャンネルのOFDM信号を送信する。また、受信装置4は、複数チャンネルのOFDM信号を受信し、データ偏波・チャンネル間デインターリーブ部41及び雑音分散値偏波・チャンネル間デインターリーブ部42により、送信装置3によりインターリーブ処理された複数チャンネル分のデータを偏波間及びチャンネル間でデインターリーブ処理する。このため、第2の実施形態の送信装置3及び受信装置4によれば、複数チャンネルを用いたバルク伝送を行う際についても第1の実施形態と同様に、偏波間に受信レベル差があった場合でも、誤りデータを多く含む片偏波側のデータを分散させることができる。更に、片方のチャンネルのみ同一チャンネル干渉が発生した場合でも、誤りデータを多く含む片チャンネル側のデータを分散させることができる。結果、誤り訂正符号の効果を向上させ、BER特性を改善することができるようになる。
【0113】
また、受信装置4はMIMO検出部26の前に時間デインターリーブ部25を配置しており、送信装置3は偏波・チャンネル間インターリーブ部20の後に時間インターリーブ部16を配置している。したがって、本発明によれば、繰り返し復調・復号処理を行う受信装置4を、回路規模を増大させることなく実現することが可能となる。
【0114】
上述の実施形態は、代表的な例として説明したが、本発明の趣旨及び範囲内で、多くの変更及び置換ができることは当業者に明らかである。したがって、本発明は、上述の実施形態によって制限するものと解するべきではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。
【0115】
例えば、上述の実施形態では送信装置1の誤り訂正符号化部11が内符号としてLDPC符号を採用する場合について説明したが、内符号としてLDPC符号を採用しない場合には、受信装置2は雑音分散算出部28、雑音分散値偏波間デインターリーブ部29、及びLLR算出部30を備えなくてよい。また、上述の実施形態では本発明による送信装置及び受信装置を2×2のMIMO伝送に適用する場合について説明したが、2×4や4×4のMIMO伝送にも適用することができるのは勿論である。