特開2016-160346(P2016-160346A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特開2016160346-冷却液組成物 図000005
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-160346(P2016-160346A)
(43)【公開日】2016年9月5日
(54)【発明の名称】冷却液組成物
(51)【国際特許分類】
   C09K 5/10 20060101AFI20160808BHJP
   F01P 11/14 20060101ALI20160808BHJP
【FI】
   C09K5/10 F
   F01P11/14 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-40173(P2015-40173)
(22)【出願日】2015年3月2日
(71)【出願人】
【識別番号】000106771
【氏名又は名称】シーシーアイ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】504136568
【氏名又は名称】国立大学法人広島大学
(74)【代理人】
【識別番号】100122954
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷部 善太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162396
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 泰之
(72)【発明者】
【氏名】加賀 伸行
(72)【発明者】
【氏名】志村 直隆
(72)【発明者】
【氏名】矢吹 彰広
(72)【発明者】
【氏名】白岩 達憲
(57)【要約】
【課題】アルミニウムの防錆性に優れた冷却液を得ること。
【解決手段】(a)炭素数4〜8の直鎖脂肪酸モノカルボン酸及び/又はそのアルカリ金属塩を0.1〜5重量%
及び(b)炭素数6〜12の直鎖脂肪族ジカルボン酸及び/又はそのアルカリ金属塩を0.1〜8重量%
を含有する冷却液組成物。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)炭素数4〜8の直鎖脂肪酸モノカルボン酸及び/又はそのアルカリ金属塩を0.1〜5重量%
及び(b)炭素数6〜12の直鎖脂肪族ジカルボン酸及び/又はそのアルカリ金属塩を 0.1〜8重量%
を含有する冷却液組成物。
【請求項2】
前記直鎖脂肪酸モノカルボン酸がヘキサン酸であり、かつ前記直鎖脂肪族ジカルボン酸がセバシン酸である請求項1に記載の冷却液組成物。
【請求項3】
孔食電位が0.4V以上である冷却液組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定のカルボン酸を含有する冷却液組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、エンジンの内燃機関の冷却系統等には、アルミニウム、アルミニウム合金、鋳鉄、鋼、黄銅、はんだ、銅などの金属が使用されている。とくに近年、自動車車体の軽量化を目的として、内燃機関や電気自動車、ハイブリッド電気自動車等の冷却系統部品にはアルミニウムまたはアルミニウム合金が多用されるに至っている。
【0003】
これらの金属は、水あるいは空気との接触により腐食を生じる。このため、これらの金属の腐食を防止するため、冷却系統には、リン酸塩、ホウ酸塩、ケイ酸塩、有機酸などの腐食防止剤を含む冷却液組成物が適用されている。
このような組成物の例としては、特許文献1には、グリコール類を主成分とし、成分中にホウ酸塩,ケイ酸塩,アミン類,及び亜硝酸塩を含まない不凍液であって、芳香族一塩基酸と,モリブデン酸塩および/またはタングステン酸塩と,脂肪族二塩基酸,脂肪族一塩基酸,リン酸類,トリアゾール類、チアゾール類,及びホスホン酸類を含んでいることを特徴とする冷却液が記載されているが、具体的にはセバシン酸とオクチル酸(2−エチルヘキサン酸)を含有する冷却液が示されているに過ぎなかった。
【0004】
また、特許文献2には、グリコール類を主成分とする冷却液組成物において、(a)0 .1〜10重量%の脂肪族1塩基酸、またはその塩の中から選ばれた少なくとも1種と、b)0.1〜10重量%の脂肪族2塩基酸、またはその塩の中から選ばれた少なくとも1種と、(c)0.1〜10重量%の芳香族1塩基酸、またはその塩の中から選ばれた少なくとも1種と、(d)0.1〜1重量%の亜硝酸塩の少なくとも1種と、(e)0.01〜1.0重量%の2−ホスホノブタン−1、2、4トリカルボン酸、またはその塩の中から選ばれる少なくとも1種と、(f)0.0001〜0.1重量%のストロンチウム化合物、マグネシウム化合物、およびカルシウム化合物の中から選ばれる少なくとも1種と、を含有することを特徴とする冷却液組成物が記載されているが、その脂肪族1塩基酸として実施例で示されているのは2−エチルヘキサン酸にすぎなかった。
【0005】
同様に、特許文献3及び4の実施例にはセバシン酸とオクチル酸を含有する冷却液組成物が記載されている。
さらに、例えばリン酸塩は、硬水成分と反応して沈殿を生成することから、硬水で希釈した場合には、沈殿を生じていた。沈殿物の生成は、冷却液の腐食防止機能を低下させるだけでなく、生成した沈殿物が冷却系統の循環路に堆積し、冷却系統を閉塞するという事態を引き起こす恐れがあった。
【0006】
一方、ホウ酸塩は、アルミニウムまたはアルミニウム合金に対して腐食性を有し、ケイ酸塩は、液中の安定性に劣り、温度やpHが変化した場合、或いは他の塩類が共存すると容易にゲル化して分離し易く、これにより腐食防止機能が低下するという問題があった。
【0007】
そして、特許文献1〜4の特に実施例に記載の組成物によっても、未だ、特にはアルミニウムまたはアルミニウム合金の防錆に対して十分な効果があるとまではいえず、有効な金属腐食防止剤として知られるものは、いずれも使用に際し種々の問題を有しており、アルミニウムまたはアルミニウム合金に対して優れた腐食防止性を示す腐食防止剤の開発が望まれていた。
【0008】
また、冷却液組成物は、これを水で希釈して冷却系統内に充填されるのであるが、希釈冷却水中には僅かながら空気が溶存している。このため、当該希釈冷却水が冷却系統内を循環する過程で圧力差が生じると、これが原因で気泡が発生し、この気泡により金属面が浸食される、いわゆるキャビテーション損傷が発生していた。またキャビテーション損傷を引き起こす気泡は振動によっても発生していた。
【0009】
このような事情に鑑み、特許文献5に記載されているように、キャビテーション損傷の抑制を計った冷却液組成物として、アジピン酸を含み、また安息香酸及び炭素数9〜12の脂肪族2塩基酸の少なくとも1つを含む有機酸成分又はその塩と、モリブデン酸塩を含み、またメルカプトベンゾチアゾール、ベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、亜硝酸塩、硝酸塩、及びケイ酸塩の少なくとも1つを含む耐食性添加剤と、ホウ酸塩、又はリン酸塩の少なくとも1つのナトリウム塩を含む緩衝液成分と、凝固点降下剤を含むものが提案されている。
【0010】
また、特許文献6に示すように、グリコール類を主成分とし、成分中に炭素数6〜12の脂肪族二塩基酸、又はそのアルカリ金属塩の中から選ばれた少なくとも1種、p−トルイル酸またはそのアルカリ金属塩を含油してなる冷却液は知られていたが、ウォーターポンプのメカニカルシールの潤滑性が良好でなく、鳴きが発生する恐れがあった。
【0011】
さらに特許文献7には、水を含有する冷却液において、その水として腐食性イオン及びスケール形成イオンを分離除去した脱イオン水を採用することにより、該冷却液を使用する内燃機関等の冷却系統に使用した際に金属の防食性を向上させると共にスケールの形成を抑制してウォーターポンプのメカニカルシールの潤滑性を向上させることが記載されている。
しかし、この冷却液組成物では、堆積物の生成抑制による潤滑性向上は達成したが、冷却液の防錆性能を向上させたわけではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2002−371270号公報
【特許文献2】特開2005−187748号公報
【特許文献3】特開平07−070558号公報
【特許文献4】特表2003−505532号公報
【特許文献5】特開2002−097461号公報
【特許文献6】WO01/070901号公報
【特許文献7】WO99/057218号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
アルミニウムの防錆性に優れた冷却液を得ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
1.(a)炭素数4〜8の直鎖脂肪酸モノカルボン酸及び/又はそのアルカリ金属塩を0.1〜5重量%
及び(b)炭素数6〜12の直鎖脂肪族ジカルボン酸及び/又はそのアルカリ金属塩を0.1〜8重量%
を含有する冷却液組成物。
2.前記直鎖脂肪酸モノカルボン酸がヘキサン酸であり、かつ前記直鎖脂肪族ジカルボン酸がセバシン酸である1に記載の冷却液組成物。
3.孔食電位が0.4V以上である冷却液組成物。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、アルミニウムの防錆性に優れた冷却液組成物を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】孔食電位測定の模式図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、具体的に本発明について述べる。
なお、本発明における冷却液組成物は、使用時において水等により希釈して使用するためのいわゆる濃縮物と、該濃縮物を水等により希釈して得た冷却液として使用される状態の希釈物、のいずれも包含する組成物である。
【0018】
(炭素数4〜8の直鎖脂肪酸モノカルボン酸及び/又はそのアルカリ金属塩)
(a)成分である炭素数4〜8の直鎖脂肪酸モノカルボン酸及び/又はそのアルカリ金属塩としては、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸及びそれらのアルカリ金属塩単独又は2種以上を使用することができ、中でもブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸が好ましい。
【0019】
炭素数4〜8の直鎖脂肪酸モノカルボン酸及び/又はそのアルカリ金属塩は、冷却液組成物中0.1〜5重量%の範囲で含まれることが好ましく、さらに好ましくは0.6〜3.5重量%である。これらの含有量が、0.1重量%を下回る場合、(b)炭素数6〜12の直鎖脂肪族ジカルボン酸又はそのアルカリ金属塩と併用しても、アルミニウム系金属に対する十分な防食性能が発揮されない可能性があり、5重量%を上回る場合には、上回る分だけの効果がなく、不経済となる可能性がある。
【0020】
(炭素数6〜12の直鎖脂肪族ジカルボン酸及び/又はそのアルカリ金属塩)
本発明中の(b)成分である炭素数6〜12の直鎖脂肪族ジカルボン酸又はそのアルカリ金属塩は、上記(a)炭素数4〜8の直鎖脂肪酸モノカルボン酸及び/又はそのアルカリ金属塩と併用されることによって、冷却液組成物がアルミニウム系金属に対して優れた腐食防止性を発揮できるものである。
【0021】
このような直鎖脂肪族ジカルボン酸としては、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピペリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン2酸、ドデカン2酸、あるいはそれらのアルカリ金属塩を単独又は2種以上使用することができる。中でもスベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン2酸およびドデカン2酸は、上記性能に優れるという点でより好ましい。
【0022】
上記(b)成分は冷却液組成物中0.1〜8重量%の範囲で含まれることが好ましく、さらに好ましくは0.6〜3.5重量%である。(b)成分の含有量が0.1重量%よりも少ない場合、アルミニウム系金属に対する腐食防止性が期待できない可能性があり、8.0重量%よりも多い場合には、8.0重量%を越えた分だけの効果が得られず、不経済となる可能性がある。
【0023】
(溶媒)
本発明の冷却液組成物は、溶媒として有機化合物溶媒及び水を採用することができる。
有機化合物溶媒としては、グリコール類として、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン等から1種以上を選択して使用することができるが、その中でも特にエチレングリコール、或いはプロピレングリコールが望ましい。
【0024】
(その他添加剤)
その他の添加剤としては、消泡剤、着色剤等の他に、モリブデン酸塩、タングステン酸塩、トリアゾール類、チアゾール類を採用することができる。さらに、通常のアルカリ物質、好ましくはナトリウムやカリウム等のアルカリ金属塩の水酸化物を用いて、そのpHが調整される。pH調整範囲としては、6.5〜9.0であり、好ましくは7.0〜9.0の範囲に調整される。
【0025】
また、本発明の冷却液組成物に使用し得るトリアゾール類としては、ベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、4−フェニル−1,2,3−トリアゾール、2−ナフトトリアゾール、あるいは4−ニトロベンゾトリアゾール等、これらの塩類等を挙げることができ、これらを単独または2種以上を混合して使用することができる。トリアゾール類を添加する際の添加量としては、0.01〜3重量%、好ましくは0.05〜1重量%の範囲である。
トリアゾール類の添加量が0.01重量%未満では、特に銅系の金属に対する防食性能を発揮することができなくなり、3重量%より多くを添加してもそれ以上の防食効果に変化が見られないので無駄になる。
【0026】
本発明に使用し得るチアゾール類としては、メルカプトベンゾチアゾール及びその塩類を挙げることができる。チアゾール類は微量で良く、0.01〜2重量%、好ましくは0.05〜1重量%の範囲で添加する。しかし、その添加量が0.01重量%未満では、特に銅系の金属に対する所定の防食性能が得られず、1重量%より多くを添加してもそれ以上の防食効果に変化が見られないので無駄になる。
【0027】
(その他のカルボン酸類)
本発明の冷却液組成物には、上記(a)成分及び(b)成分のカルボン酸が含有される他に、これらのカルボン酸による効果を阻害しない範囲内にて、例えば下記のカルボン酸類を配合することができる。
2−エチルヘキサン酸、バルブロ酸、2−メチルヘプタン酸、ノナン酸、4−メチルオクタン酸、3,5,5−トリメチルヘキサン酸、デカン酸、イソデカン酸、ネオデカン酸、4−エチルオクタン酸、4−メチルノナン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸、トリデカン酸、イソトリデカン酸、ミリスチン酸、イソミリスチン酸、パルミチン酸、イソパルミチン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、リシノール酸、ステアリン酸、イソステアリン酸及びイソアラキジン酸、トリデカン2酸、テトラデカン2酸、ペンタデカン2酸、ヘキサデカン2酸、及びそれらのアルカリ金属塩等を単独又は2種以上使用することができる。
但し、本発明においては、アミン、アミン塩、ケイ酸塩、ホウ酸塩、リン酸塩、亜硝酸塩を含まないことが望ましい。
アミンやアミン塩を添加させない場合には、仮に亜硝酸塩を添加した場合であってもニトロソアミンを生成することを防止できる効果を発揮することができる。
ケイ酸塩を添加させない場合には、ケイ酸塩の添加によって発生する冷却液中での安定性の低下、熱やpHが変化した場合や他の塩類が共存する場合における容易にゲル化する支障、及び腐食防止機能が低下するという不具合を防止することができる。
ホウ酸塩を含まない場合には、ホウ酸塩によるアルミニウムやその合金の腐食を防止することができ、これにより、冷却液組成物の腐食防止性が早期に低下してしまうという不具合が発生することもない。
【0028】
リン酸塩を含まない場合には、冷却液中に含有される硬水成分と反応することにより沈殿の発生を防止でき、これにより冷却液の腐食防止機能の低下、さらには沈殿物が堆積することによる冷却系統の循環路が閉塞する事態を引き起こすことを防止できる。
亜硝酸塩は、ディーゼルエンジン内において金属、特に鉄表面に皮膜を形成し、この皮膜が気泡による浸食を防ぐ作用を発揮し、キャビテーションに対してきわめて有効に作用する成分ではあるものの、アミン塩と反応して発ガン性物質であるニトロソアミンを発生することも知られており、亜硝酸塩を使用しないことによりニトロソアミンの発生を防止できる。
【0029】
(孔食電位)
本発明における孔食電位とは、アノード分極曲線において、電位を上昇させても電流値が一定の値を示す不働態域(この時の電流を不働態保持電流という)と、それ以上の電位にした場合に電流振動が生じ、それが電位の上昇とともに増加する電位域がある。この電流の増加は孔食の発生によるものである。
この電流値が増加する部分を直線で近似し、その直線と不働態保持電流の直線との交点の電位を孔食電位とする。
この孔食電位が0.4V以上であることが好ましく、より好ましくは0.6V以上、さらに好ましくは0.8V以上、最も好ましくは0.9V以上である。
孔食電位が0.4V未満であると、内燃機関の冷却液等に使用した際に、その内燃機関を構成するアルミニウム系材料が腐食することを防止することが困難になる。
【0030】
(実施例)
実施例において孔食電位を図1に示す装置により測定した。その測定条件は以下の表1に示す通りである。この図1においてCEは対極を示す。
試験液として各実施例及び各比較例の冷却液組成物を使用して測定した。
【0031】
【表1】
【0032】
本発明の効果を実施例及び比較例に基づいて示す。
実施例1〜4と比較例1〜6にて使用した組成の成分及び試験結果を下記表2に示す。
ここで、孔食電位は銀−塩化銀電極を基準とした電位のことである。溶剤(エチレングリコール水溶液)とは、エチレングリコールをJIS K2234金属腐食性の調整水で30vol%に希釈したものである。また、水酸化カリウムを用いて液のpHを8.0に調整した。
【0033】
【表2】
【0034】
本発明に沿った例である実施例1〜4によれば、孔食電位が高いのでアルミニウムを十分に防食することができることがわかる。これに対し、比較例1〜4によれば孔食電位が低いのでアルミニウムの防食をすることが困難である。
また比較例5及び6によれば、孔食電位は実施例と同程度であるが、比較例5における2−エチルヘキサン酸を、その含有量を変更せずにヘキサン酸とすることにより、実施例1に示すように孔食電位が0.1V上昇し、比較例6における2−エチルヘキサン酸を、その含有量を変更せずにヘキサン酸とすることにより、実施例2に示すように孔食電位が0.2V上昇した。これらの結果によれば、可能な限り効率よく孔食電位を高くするためには、2−エチルヘキサン酸よりもヘキサン酸のほうが好ましいことがわかる。
図1