【解決手段】ストレージシステム1は、データを記録し、様々な種類の記録媒体に対応したメモリパッケージ10と、メモリパッケージ10へのデータ書き込み及びメモリパッケージ10からのデータ読み出しを制御するアクセスサーバ30と、同一平面に隣接配置されたメモリパッケージ10の上側又は下側を移動し、メモリパッケージ10へのデータ書き込み及びメモリパッケージ10からのデータ読み出しを行うヘッドユニット20とを備える。
データを記録する複数の記録装置と、前記記録装置へのデータ書き込み及び前記記録装置からのデータ読み出しを制御する制御装置と、同一平面に隣接配置された前記記録装置の上側又は下側を移動し、前記記録装置へのデータ書き込み及び前記記録装置からのデータ読み出しを行う自律移動装置と、を備えるストレージシステムであって、
前記制御装置は、
前記データを記録する第1記録手段と、
前記第1記録手段のデータを前記自律移動装置に送信し、前記自律移動装置から前記データを受信して前記第1記録手段に記録する第1データアクセス手段と、
前記データの書き込みを行う自律移動装置と、前記データの書き込み先となる書込先記録装置とを決定し、決定した当該自律移動装置に、前記書込先記録装置へのデータ書き込みを指令すると共に、前記第1データアクセス手段を介して、前記第1記録手段のデータを送信するデータ書込指令手段と、
前記データの読み出しを行う自律移動装置と、前記データの読み出し元となる読出元記録装置とを決定し、決定した当該自律移動装置に、前記読出元記録装置からのデータ読み出しを指令すると共に、前記第1データアクセス手段を介して、前記データを受信して前記第1記録手段に記録するデータ読出指令手段と、を備え、
前記自律移動装置は、
前記データを記録する第2記録手段と、
前記自律移動装置を移動させる移動機構と、
前記第2記録手段のデータを前記制御装置又は前記記録装置に送信し、前記制御装置又は前記記録装置から前記データを受信して前記第2記録手段に記録する第2データアクセス手段と、
前記データ書込指令に応じて、前記自律移動装置を前記制御装置まで移動させ、前記制御装置から前記データの受信後、前記自律移動装置を前記書込先記録装置まで移動させ、前記データ読出指令に応じて、前記自律移動装置を前記読出元記録装置まで移動させ、前記記録装置から前記データの受信後、前記自律移動装置を前記制御装置まで移動させる自律移動制御手段と、
前記書込先記録装置まで移動後、前記書込先記録装置に給電し、前記読出元記録装置まで移動後、前記読出元記録装置に給電する給電手段と、
前記第2データアクセス手段を介して、前記データ書込指令に応じて、前記制御装置から前記データを受信して前記第2記録手段に記録させ、前記書込先記録装置まで移動後、前記第2記録手段のデータを前記書込先記録装置に送信し、前記データ読出指令に応じて、前記読出元記録装置から前記データを受信して前記第2記録手段に記録し、前記制御装置まで移動後、前記第2記録手段のデータを前記制御装置に送信するデータアクセス制御手段と、を備え、
前記記録装置は、
前記データを記録する記録媒体と、
異なる種類の前記記録媒体に対応したインターフェースと、
前記インターフェースを介して、前記自律移動装置から受信したデータを前記記録媒体に書き込み、前記記録媒体から前記データを読み出して前記自律移動装置に送信する第3データアクセス手段と、
前記自律移動装置からの給電で、前記記録媒体と、前記インターフェースと、前記第3データアクセス手段とを駆動する受電手段と、を備えることを特徴とするストレージシステム。
データを記録する複数の記録装置と、前記記録装置へのデータ書き込み及び前記記録装置からのデータ読み出しを制御する制御装置と、同一平面に隣接配置された前記記録装置の上側又は下側を移動し、前記記録装置へのデータ書き込み及び前記記録装置からのデータ読み出しを行う自律移動装置と、を備えるストレージシステムにおけるデータ書込方法であって、
前記制御装置が、前記データの書き込みを行う自律移動装置と、前記データの書き込み先となる書込先記録装置とを決定する決定ステップと、
前記制御装置が、決定した当該自律移動装置に、前記書込先記録装置へのデータ書き込みを指令する指令ステップと、
前記自律移動装置が、データ書込指令に応じて、前記制御装置まで移動する第1移動ステップと、
前記自律移動装置が、前記制御装置から前記データを受信する受信ステップと、
前記自律移動装置が、前記書込先記録装置まで移動する第2移動ステップと、
前記自律移動装置が、前記書込先記録装置に給電する給電ステップと、
前記自律移動装置が、記録した前記データを前記書込先記録装置に送信する送信ステップと、
前記書込先記録装置が、前記自律移動装置から受信したデータを記録媒体に書き込む書込ステップと、を順に実行することを特徴とするデータ書込方法。
データを記録する複数の記録装置と、前記記録装置へのデータ書き込み及び前記記録装置からのデータ読み出しを制御する制御装置と、同一平面に隣接配置された前記記録装置の上側又は下側を移動し、前記記録装置へのデータ書き込み及び前記記録装置からのデータ読み出しを行う自律移動装置と、を備えるストレージシステムにおけるデータ読出方法であって、
前記データの読み出しを行う自律移動装置と、前記データの読み出し元となる読出元記録装置とを決定する決定ステップと、
前記制御装置が、決定した当該自律移動装置に、前記読出元記録装置からのデータ読み出しを指令する指令ステップと、
前記自律移動装置が、データ読出指令に応じて、前記読出元記録装置まで移動する第3移動ステップと、
前記自律移動装置が、前記読出元記録装置に給電する給電ステップと、
前記読出元記録装置が、前記データを読み出す読出ステップと、
前記自律移動装置が、前記読出元記録装置が読み出したデータを受信する受信ステップと、
前記自律移動装置が、前記制御装置まで移動する第4移動ステップと、
前記自律移動装置が、受信した前記データを前記制御装置に送信する送信ステップと、を順に実行することを特徴とするデータ読出方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、ストレージシステムでは、コスト低減が重要な課題となっている。そこで、ストレージシステムにおけるコストの要因を検討する。
第一の要因は、記録媒体のビット単価である。例えば、HDDとSSDを比較した場合、HDDの方がビット単価で勝っている。しかしながら、大規模災害による供給工場の被災や、日々の技術革新により、記録媒体のビット単価の優劣は変化する。このような背景を踏まえて、特定の記録媒体に限定されず、様々な種類の記録媒体を適用可能なストレージシステムが求められている。
【0006】
第二の要因は、消費電力である。消費電力については、ストレージシステムの動作に必要な電力だけでなく、ストレージシステムを冷却する空調に必要な電力も大きな割合を占めている。特に、HDD等の記録媒体に常時給電を行う場合、ストレージシステムが大規模化する程、消費電力も増加することになる。そこで、運用に関わる電力消費量の少ないストレージシステムが求められている。
【0007】
第三の要因は、マイグレーションコストである。マイグレーションは、オペレータやシステム担当者の手動作業で行われるため、その作業時間を要し、人件費の増加につながる。そこで、マイグレーションコストを抑えられるストレージシステムが求められている。
なお、マイグレーションとは、ストレージシステムのデータを移行(バックアップ)することである。
【0008】
第四の要因は、ストレージシステムの設置スペースである。大容量データを扱うVideo On Demand(VOD)サービスを提供するストレージシステムは、設置スペースが少ない程、運用コストの点で有利である。しかしながら、特許文献1に記載の発明は、一定数の磁気テープに対して搬送機構が必要になり、データが大容量になるほど、設置スペースが増加する。そこで、記録媒体を高密度に配置可能なストレージシステムが求められている。
【0009】
そこで、本願発明は、コストを低減できるストレージシステムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願発明に係るストレージシステムは、データを記録する複数の記録装置と、記録装置へのデータ書き込み及び記録装置からのデータ読み出しを制御する制御装置と、同一平面に隣接配置された記録装置の上側又は下側を移動し、記録装置へのデータ書き込み及び記録装置からのデータ読み出しを行う自律移動装置と、を備えるストレージシステムであって、制御装置が、第1記録手段と、第1データアクセス手段と、データ書込指令手段と、データ読出指令手段と、を備え、自律移動装置が、第2記録手段と、移動機構と、第2データアクセス手段と、自律移動制御手段と、給電手段と、データアクセス制御手段と、を備え、記録装置が、2種類以上の記録媒体と、インターフェースと、第3データアクセス手段と、受電手段と、を備える構成とした。
【0011】
かかる構成によれば、記録装置が同一平面に隣接配置され、自律移動装置が記録装置の上側又は下側を移動するため、従来の磁気テープを用いたストレージシステムにおける搬送機構に相当するスペースを省略することができ、記録装置の設置スペースを抑えることができる。
制御装置は、データを第1記録手段に記録する。また、制御装置は、第1データアクセス手段によって、第1記録手段のデータを自律移動装置に送信し、自律移動装置からデータを受信して第1記録手段に記録する。
【0012】
制御装置は、データ書込指令手段によって、データの書き込みを行う自律移動装置と、データの書き込み先となる書込先記録装置とを決定し、決定した自律移動装置に、書込先記録装置へのデータ書き込みを指令すると共に、第1データアクセス手段を介して、第1記録手段のデータを送信する。
【0013】
制御装置は、データ読出指令手段によって、データの読み出しを行う自律移動装置と、データの読み出し元となる読出元記録装置とを決定し、決定した自律移動装置に、読出元記録装置からのデータ読み出しを指令すると共に、第1データアクセス手段を介して、データを受信して第1記録手段に記録する。
【0014】
自律移動装置は、データを第2記録手段に記録し、移動機構により移動する。また、自律移動装置は、第2データアクセス手段によって、第2記録手段のデータを制御装置又は記録装置に送信し、制御装置又は記録装置からデータを受信して第2記録手段に記録する。
【0015】
自律移動装置は、自律移動制御手段によって、データ書込指令に応じて、自律移動装置を制御装置まで移動させ、制御装置からデータの受信後、自律移動装置を書込先記録装置まで移動させ、データ読出指令に応じて、自律移動装置を読出元記録装置まで移動させ、記録装置からデータの受信後、自律移動装置を制御装置まで移動させる。
【0016】
自律移動装置は、給電手段によって、書込先記録装置まで移動後、書込先記録装置に給電し、読出元記録装置まで移動後、読出元記録装置に給電する。つまり、自律移動装置は、データ書き込み及びデータ読み出しを行うときだけ記録装置に給電するので、常時給電が必要なく、消費電力を抑えることができる。
【0017】
自律移動装置は、データアクセス制御手段によって、第2データアクセス手段を介して、データ書込指令に応じて、制御装置からデータを受信して第2記録手段に記録させ、書込先記録装置まで移動後、第2記録手段のデータを書込先記録装置に送信し、データ読出指令に応じて、読出元記録装置からデータを受信して第2記録手段に記録し、制御装置まで移動後、第2記録手段のデータを制御装置に送信する。
【0018】
記録装置は、データを記録する記録媒体と、異なる種類の記録媒体に対応したインターフェースとを有する。これにより、記録装置は、データ書き込み及びデータ読み出しを行うときに記録媒体の種類を意識する必要がなく、様々な種類の記録媒体に適用することができる。
【0019】
記録装置は、第3データアクセス手段によって、インターフェースを介して、自律移動装置から受信したデータを記録媒体に書き込み、記録媒体からデータを読み出して自律移動装置に送信する。
記録媒体は、受電手段によって、自律移動装置からの給電で、記録媒体と、インターフェースと、第3データアクセス手段とを駆動する。
【0020】
本願発明に係るデータ書込方法は、データを記録する記録装置と、記録装置へのデータ書き込み及び記録装置からのデータ読み出しを制御する制御装置と、同一平面に隣接配置された記録装置の上側又は下側を移動し、記録装置へのデータ書き込み及び記録装置からのデータ読み出しを行う自律移動装置と、を備えるストレージシステムにおけるデータ書込方法であって、決定ステップと、指令ステップと、第1移動ステップと、受信ステップと、第2移動ステップと、給電ステップと、送信ステップと、書込ステップとを順に実行する手順とした。
【0021】
かかる手順によれば、データ書込方法は、決定ステップにおいて、制御装置が、データの書き込みを行う自律移動装置と、データの書き込み先となる書込先記録装置とを決定する。また、データ書込方法は、指令ステップにおいて、制御装置が、決定した自律移動装置に、書込先記録装置へのデータ書き込みを指令する。
【0022】
データ書込方法は、第1移動ステップにおいて、自律移動装置が、データ書込指令に応じて、制御装置まで移動する。また、データ書込方法は、受信ステップによって、自律移動装置が、制御装置からデータを受信する。
【0023】
データ書込方法は、第2移動ステップにおいて、自律移動装置が、書込先記録装置まで移動する。ここで、記録装置が同一平面に隣接配置され、自律移動装置が記録装置の上側又は下側を移動できるため、記録装置の設置スペースを抑えることができる。
【0024】
データ書込方法は、給電ステップにおいて、自律移動装置が、書込先記録装置に給電する。つまり、自律移動装置は、データ書き込みを行うときだけ書込先記録媒体に給電するので、常時給電が必要なく、消費電力を抑えることができる。
【0025】
データ書込方法は、送信ステップにおいて、自律移動装置が、記録したデータを書込先記録装置に送信する。また、データ書込方法は、書込ステップにおいて、書込先記録装置が、自律移動装置から受信したデータを記録媒体に書き込む。このとき、書込先記録装置は、インターフェースを介してデータ書き込みを行うので、記録媒体の種類を意識する必要がなく、様々な種類の記録媒体に適用することができる。
【0026】
本願発明に係るデータ読出方法は、データを記録する複数の記録装置と、記録装置へのデータ書き込み及び記録装置からのデータ読み出しを制御する制御装置と、同一平面に隣接配置された記録装置の上側又は下側を移動し、記録装置へのデータ書き込み及び記録装置からのデータ読み出しを行う自律移動装置と、を備えるストレージシステムにおけるデータ読出方法であって、決定ステップと、指令ステップと、第3移動ステップと、給電ステップと、読出ステップと、受信ステップと、第4移動ステップと、送信ステップと、を順に実行する手順とした。
【0027】
かかる手順によれば、データ読出方法は、決定ステップにおいて、データの読み出しを行う自律移動装置と、データの読み出し元となる読出元記録装置とを決定する。また、データ読出方法は、指令ステップにおいて、制御装置が、決定した自律移動装置に、読出元記録装置からのデータ読み出しを指令する。
【0028】
データ読出方法は、第3移動ステップにおいて、自律移動装置が、データ読出指令に応じて、読出元記録装置まで移動する。ここで、記録装置が同一平面に隣接配置され、自律移動装置が記録装置の上側又は下側を移動できるため、記録装置の設置スペースを抑えることができる。
【0029】
データ読出方法は、給電ステップにおいて、自律移動装置が、読出元記録装置に給電する。つまり、自律移動装置は、データ書き込みを行うときだけ読出元記録装置に給電するので、常時給電が必要なく、消費電力を抑えることができる。
【0030】
データ読出方法は、読出ステップにおいて、読出元記録装置が、データを読み出す。このとき、読出元記録装置は、インターフェースを介してデータ読み出しを行うので、記録媒体の種類を意識する必要がなく、様々な種類の記録媒体に適用することができる。
【0031】
データ読出方法は、受信ステップにおいて、自律移動装置が、読出元記録装置が読み出したデータを受信する。また、データ読出方法は、第4移動ステップにおいて、自律移動装置が、制御装置まで移動する。さらに、データ読出方法は、送信ステップにおいて、自律移動装置が、受信したデータを制御装置に送信する。
【発明の効果】
【0032】
本願発明によれば、以下のような優れた効果を奏する。
本願発明に係るストレージシステム、データ書込方法及びデータ読出方法によれば、記録装置の設置スペース及び消費電力を抑えられ、様々な種類の記録媒体に適用できるので、コストを低減することができる。
【発明を実施するための形態】
【0034】
[ストレージシステムの全体構成]
図1を参照し、本願発明の実施形態に係るストレージシステム1の全体構成について説明する。
【0035】
ストレージシステム1は、ネットワークNを介して、外部からの要求に応じて、データを書き込むと共に、記録されたデータを読み出すものである。
図1のように、ストレージシステム1は、複数のメモリパッケージ(記録装置)10と、1台以上のヘッドユニット(自律移動装置)20と、アクセスサーバ(制御装置)30とを備える。本実施形態では、ストレージシステム1は、設置室90の室内に設置され、ヘッドユニット20を2台備えることとする。
【0036】
メモリパッケージ10は、データを記録するものであり、箱形のパッケージ状である。例えば、メモリパッケージ10は、設置室90に設けた棚(不図示)の上に、平面状に隣接配置されている。
【0037】
各メモリパッケージ10は、その上側が平坦面であり、かつ、隣接配置されている。このため、隣接するメモリパッケージ10の平坦面により、後記するヘッドユニット20の移動エリアが形成される。
なお、
図1では、図面を見やすくするため、メモリパッケージ10に隙間を設けているが、メモリパッケージ10を隙間無く配置することが好ましい。
【0038】
ここで、メモリパッケージ10は、様々なデータを記録することができる。本実施形態では、メモリパッケージ10に記録するデータが、ビデオデータであることとする。当然、メモリパッケージ10は、ビデオデータ以外のデータも記録することができる。
【0039】
ヘッドユニット20は、隣接するメモリパッケージ10で形成される平坦面(移動エリア)を移動し、メモリパッケージ10へのデータ書き込みと、メモリパッケージ10からのデータ読み出しを行うものである。また、ヘッドユニット20は、自律移動機能、アクセスサーバ30との通信機能、メモリパッケージ10への給電機能を備える。例えば、ヘッドユニット20は、その直径がメモリパッケージ10の短辺と略同じ大きさの円筒形状である。
【0040】
また、ヘッドユニット20は、後記するアクセスサーバ30からの指令に応じて、所望のメモリパッケージ10の上側まで移動する。そして、ヘッドユニット20は、下側のメモリパッケージ10に給電し、そのメモリパッケージ10からデータを読み出し、又は、そのメモリパッケージ10にデータを書き込む。
また、ヘッドユニット20は、アクセスサーバ30にデータを送受信するため、アクセスサーバ30の近くまで移動する。
【0041】
ここで、ヘッドユニット20は、内蔵するバッテリ230(
図3)の蓄電量が一定以下になったら、設置室90に設けた給電ステーション(不図示)に移動し、バッテリ230を充電してもよい。さらに、ヘッドユニット20は、データ書き込みやデータ読み出しの終了後、給電ステーションで充電しながら、アクセスサーバ30からの指令を待ってもよい。
【0042】
アクセスサーバ30は、メモリパッケージ10へのデータ書き込みと、メモリパッケージ10からのデータ読み出しとを制御するものである。また、アクセスサーバ30は、ヘッドユニット20との通信機能、データ書き込み及びデータ読み出しの制御に必要な管理データベース350(
図4)を備える。
【0043】
ここで、アクセスサーバ30は、外部からデータ書き込みが要求された場合、管理データベース350を参照し、データ書き込みを行うヘッドユニット20と、データ書き込み先となる書込先メモリパッケージ(書込先記録装置)10とを決定する。そして、アクセスサーバ30は、決定したヘッドユニット20に、書込先メモリパッケージ10へのデータ書き込みを指令する。
【0044】
また、アクセスサーバ30は、外部からデータ読み出しが要求された場合、管理データベース350を参照し、データ読み出しを行うヘッドユニット20と、データ読み出し元となる読出元メモリパッケージ(読出元記録装置)10とを決定する。そして、アクセスサーバ30は、決定したヘッドユニット20に、読出元メモリパッケージ10からのデータ読み出しを指令する。
【0045】
[メモリパッケージの構成]
図2,
図5を参照し、メモリパッケージ10の構成について説明する。
なお、
図2では、インターフェース130及び記録媒体140を一体で図示した。
また、
図5では、データ書き込み及びデータ読み出しに関係のない手段の図示を省略した(
図6も同様)。
【0046】
図2,
図5のように、メモリパッケージ10は、筐体100と、受電手段110と、データアクセス手段(第3データアクセス手段)120と、インターフェース130と、記録媒体140と、識別情報通知手段150とを備える。
【0047】
筐体100は、メモリパッケージ10の各手段を収納する箱型の筐体である。従って、筐体100は、隙間無く、他のメモリパッケージ10との隣接配置が可能である。例えば、筐体100の素材としては、アルミ等の金属やプラスティックがあげられる。
なお、筐体100の素材としてアルミ等の金属を用いる場合、受電手段110およびデータアクセス手段120の機能を妨げないように、筐体100を部分的に非金属とする必要がある。
【0048】
受電手段110は、ヘッドユニット20からの給電により、データアクセス手段120と、インターフェース130と、記録媒体140とを駆動するものである。ここで、受電手段110は、ヘッドユニット20の移動による摩耗を抑えるため、筐体100の内部に収容することが好ましい。
【0049】
例えば、受電手段110は、コイル112を備え、「Qi」でワイヤレス給電を行う。この「Qi」は、ワイヤレスパワーコンソーシアム(WPC:Wireless Power Consortium)により策定された国際規格のため、これ以上の説明を省略する。
【0050】
データアクセス手段120は、ヘッドユニット20から書き込みの対象となるデータ(書込対象データ)を受信し、インターフェース130を介して、受信した書込対象データを記録媒体140に書き込むものである。
また、データアクセス手段120は、インターフェース130を介して、記録媒体140から読み出しの対象となるデータ(読出対象データ)を読み出して、読み出した読出対象データをヘッドユニット20に送信する。
【0051】
ここで、データアクセス手段120は、数百Mbps以上のスループットとなる近距離無線方式(例えば、「Transfer Jet」)を用いて、データ通信を行うことができる。この「Transfer Jet」は、Transfer Jetコンソーシアムにより策定された国際規格のため、これ以上の説明を省略する。
【0052】
インターフェース130は、記録媒体140のデータ入出力インターフェースである。
記録媒体140は、例えば、データを記録する非可換記録媒体である。この非可換記録媒体とは、従来の磁気テープや光ディスクのように頻繁な交換を前提としていない記録媒体のことである。
【0053】
本実施形態では、記録媒体140は、主に、HDD(Hard disk drive)やSSD(Solid State Drive)の何れかである。さらに、記録媒体140は、USBメモリのような可換性の高い記録媒体であってもよい。従って、インターフェース130は、HDDやSSDに対応した「Serial ATA」、「Serial Attached SCSI」、及び、「Universal Serial Bus(USB)」を備える。
【0054】
このように、メモリパッケージ10は、異なる種類の記録媒体140をインターフェース130でカプセル化している。このため、メモリパッケージ10は、例えば、記録媒体140をHDDからSSDに置き換えても、ストレージシステム1に悪影響を及ぼすことがない。
【0055】
識別情報通知手段150は、メモリパッケージ10に一意に割り当てられたメモリパッケージID(識別情報)をヘッドユニット20に通知するものである。例えば、識別情報通知手段150として、RFID(Radio Frequency IDentification)のRFタグ、NFC(Near Field Communication)のNFCチップ、QRコード(登録商標)があげられる。
【0056】
[ヘッドユニットの構成]
図3,
図5を参照し、ヘッドユニット20の構成について説明する。
図3,
図5のように、ヘッドユニット20は、筐体200と、駆動輪(移動機構)210と、補助輪212と、自律移動用センサ214と、給電手段220と、バッテリ230と、無線通信手段240と、データアクセス手段(第2データアクセス手段)250と、一時記録手段(第2記録手段)260と、識別情報認識手段270と、CPU280とを備える。
【0057】
筐体200は、ヘッドユニット20の各手段を収納する円筒形の筐体である。また、筐体200は、ある程度の強度を有することが好ましい。例えば、筐体100の素材としては、アルミ等の金属やプラスティックがあげられる。
なお、メモリパッケージ10と同様、筐体200の素材としてアルミ等の金属を用いる場合、給電手段220およびデータアクセス手段250の機能を妨げないように、筐体200を部分的に非金属とする必要がある。
【0058】
例えば、筐体200は、左右に駆動輪210が取り付けられ、前後に補助輪212が取り付けられている。駆動輪210は、ゴムタイヤであり、図示を省略した駆動モータに接続されている。駆動モータは、CPU280からの駆動信号で駆動輪210を回転させる。補助輪212は、ゴムの球体であり、駆動輪210と異なり駆動モータに接続されていない。
【0059】
また、例えば、筐体200は、その前方に自律移動用センサ214が取り付けられている。自律移動用センサ214は、ヘッドユニット20が自律移動するときに障害物を検知するためのセンサである。例えば、自律移動用センサ214としては、赤外線センサ、レーダセンサ、接触センサがあげられる。そして、自律移動用センサ214は、障害物を検知した場合、CPU280に通知する。
なお、自律移動用センサ214は、筐体200の左右や後方に取り付けてもよい。
【0060】
給電手段220は、メモリパッケージ10に給電するものである。この給電手段220は、コイル222を備え、バッテリ230に接続されている。ここで、給電手段220は、給電ステーションで待機中の場合、バッテリ230を充電する。また、給電手段220は、データ書き込み又はデータ読み出しを行う場合、バッテリ230の電力をメモリパッケージ10に給電する。例えば、給電手段220は、「Qi」でワイヤレス給電を行う。
【0061】
バッテリ230は、ヘッドユニット20の動作やメモリパッケージ10への給電に必要な電力を蓄積するものである。例えば、バッテリ230としては、リチウムイオンバッテリがあげられる。
【0062】
無線通信手段240は、アクセスサーバ30との間で無線通信を行うものである。具体的には、無線通信手段240は、データ書込指令又はデータ読出指令をアクセスサーバ30から受信し、受信したデータ書込指令又はデータ読出指令をCPU280に出力する。例えば、無線通信手段240は、IEEE802.11等の無線LAN(Local Area Network)や「Bluetooth(登録商標)」を用いて、無線通信を行う。
【0063】
データアクセス手段250は、メモリパッケージ10及びアクセスサーバ30との間でデータ通信を行うものである。
具体的には、データアクセス手段250は、アクセスサーバ30から書込対象データを受信し、受信した書込対象データを一時記録手段260に記録する。そして、データアクセス手段250は、一時記録手段260の書込対象データを書込先メモリパッケージ10に送信する。
また、データアクセス手段250は、読出元メモリパッケージ10から読出対象データを受信し、受信した読出対象データを一時記録手段260に記録する。そして、データアクセス手段250は、一時記録手段260の読出対象データをアクセスサーバ30に送信する。
【0064】
一時記録手段260は、書込対象データ又は読出対象データを一時的に記録するものである。また、一時記録手段260は、複数(例えば、4個)備えられてもよい。例えば、一時記録手段260としては、固体メモリやHDDがあげられる。
【0065】
識別情報認識手段270は、メモリパッケージ10から通知されたメモリパッケージIDを認識するものである。例えば、識別情報認識手段270としては、RFタグリーダ、NFCチップリーダ、QRコードリーダがあげられる。そして、識別情報認識手段270は、通知されたメモリパッケージIDを識別情報判定手段286に出力する。
【0066】
CPU280は、ヘッドユニット20の各種制御を行うものである。本実施形態では、CPU280は、自律移動制御手段282と、データアクセス制御手段284と、識別情報判定手段286を備える(
図7)。
【0067】
自律移動制御手段282は、ヘッドユニット20の自律移動を制御するものである。例えば、自律移動制御手段282は、駆動信号を駆動モータに出力し、アクセスサーバ30から指令されたメモリパッケージ10までヘッドユニット20を移動させる。また、自律移動制御手段282は、自律移動用センサ214が障害物を検知した場合、障害物回避行動を行う。
なお、ヘッドユニット20の自律移動手法や障害物回避手法は、一般的な自律移動ロボットと同様のため、これ以上の説明を省略する。
【0068】
データアクセス制御手段284は、データ書き込み及びデータ読み出しを制御するものである。
識別情報判定手段286は、識別情報認識手段270から入力されたメモリパッケージIDと、データ書込指令のメモリパッケージIDとが一致するか否かを判定するものである。
なお、データアクセス制御手段284及び識別情報判定手段286の詳細は、後記する。
【0069】
[アクセスサーバの構成]
図4,
図6を参照し、アクセスサーバ30の構成について説明する。
図4,
図6のように、アクセスサーバ30は、筐体300と、ネットワークインターフェース310と、無線通信手段320と、データアクセス手段(第1データアクセス手段)330と、一時記録手段(第1記録手段)340と、管理データベース350と、CPU360とを備える。
【0070】
筐体300は、アクセスサーバ30の各手段を収納する箱型の筐体である。例えば、筐体300の素材としては、アルミ等の金属があげられる。
なお、ヘッドユニット20と同様、筐体300の素材としてアルミ等の金属を用いる場合、データアクセス手段330の機能を妨げないように、筐体300を部分的に非金属とする必要がある。
【0071】
ネットワークインターフェース310は、ネットワークNとのインターフェースである。具体的には、ネットワークインターフェース310は、外部から書込対象データを受信すると共に、外部に読出対象データを送信する。例えば、ネットワークインターフェース310としては、ネットワークNに接続するWAN(Wide Area Network)ポートがあげられる。
【0072】
無線通信手段320は、ヘッドユニット20との間で無線通信を行うものである。具体的には、無線通信手段320は、CPU280からのデータ書込指令又はデータ読出指令をヘッドユニット20に送信する。例えば、無線通信手段320は、IEEE802.11等の無線LANや「Bluetooth」を用いて、無線通信を行うことができる。
【0073】
データアクセス手段330は、ヘッドユニット20との間でデータ通信を行うものである。
具体的には、データアクセス手段330は、一時記録手段340の書込対象データをヘッドユニット20に送信する。
また、データアクセス手段330は、ヘッドユニット20から読出対象データを受信し、受信した読出対象データを一時記録手段340に記録する。
例えば、データアクセス手段330は、「Transfer Jet」を用いて、データ通信を行う。
【0074】
一時記録手段340は、書込対象データ又は読出対象データを一時的に記録するものである。例えば、一時記録手段340としては、固体メモリやHDDがあげられる。
管理データベース350は、CPU360での演算に必要な各種情報を蓄積するデータベースである。この管理データベース350は、後記するCPU360により参照される。
【0075】
図7のように、管理データベース350は、メモリパッケージ管理情報352と、ヘッドユニット管理情報354と、データ管理情報356と、データ記録先情報358とを記録する。
【0076】
メモリパッケージ管理情報352は、ストレージシステム1が備える全てのメモリパッケージ10を管理する情報である。
図7(a)のように、メモリパッケージ管理情報352は、メモリパッケージIDと、配置情報と、記録媒体最大容量と、記録媒体空き容量というデータ項目を有する。
メモリパッケージIDは、各メモリパッケージ10に一意に割り当てられた識別情報を表す。
【0077】
配置情報は、各メモリパッケージ10が配置された場所を表す。
図1のように、メモリパッケージ10が縦横に配列されている場合、配置情報は、左上のメモリパッケージ10を基準として、横でX個目、縦でY個目のような座標(X,Y)で表してもよい。
【0078】
記録媒体最大容量は、各メモリパッケージ10が記録可能な最大データ量を表す。
記録媒体空き容量は、各メモリパッケージ10が記録可能なデータ量を表す。つまり、記録媒体空き容量は、記録媒体最大容量から、そのメモリパッケージ10に記録されたデータ量を引いたものとなる。
【0079】
ヘッドユニット管理情報354は、ストレージシステム1が備える全てのヘッドユニット20を管理する情報である。
図7(b)のように、ヘッドユニット管理情報354は、ヘッドユニットIDと、ヘッドユニット状況というデータ項目を有する。
ヘッドユニットIDは、各ヘッドユニット20に一意に割り当てられた識別情報を表す。
【0080】
ヘッドユニット状況は、各ヘッドユニット20の稼働状況を表す。例えば、「稼働中」は、そのヘッドユニット20がデータ書き込み中又はデータ読み出し中であることを表す。また、「待機中」は、そのヘッドユニット20が待機中であることを表す。また、「充電中」は、そのヘッドユニット20が充電ステーションで充電中であることを表す。
【0081】
データ管理情報356は、ストレージシステム1に記録された全てのデータを管理する情報である。
図7(c)のように、データ管理情報356は、データIDと、データ容量と、メタデータというデータ項目を有する。
データIDは、各データに一意に割り当てられた識別情報を表す。
データ容量は、各データの容量(サイズ)を表す。
【0082】
メタデータは、各データに付加されているメタデータを表す。例えば、ビデオデータの場合、そのコンテンツに関するメタデータは、タイトル、タイトル静止画、コンテンツ尺、コンテンツ概要(テキスト)、放送実績日時、出演者、ロケ地、チャプターデータ、チャプター静止画、及び、関連番組になる。
なお、このメタデータは、必須のデータ項目でない。
【0083】
データ記録先情報358は、各データの記録先となるメモリパッケージ10を管理する情報である。つまり、
図7(d)のように、データ記録先情報358は、メモリパッケージIDと、データIDとを対応付けて管理する情報である。
【0084】
CPU360は、ストレージシステム1での各種指令を行うものである。本実施形態では、CPU360は、データ書込指令手段362と、データ読出指令手段364と、マイグレーション指令手段(移行指令手段)366とを備える。
【0085】
データ書込指令手段362は、データ書き込みをヘッドユニット20に指令するものである。
データ読出指令手段364は、データ読み出しをヘッドユニット20に指令するものである。
マイグレーション指令手段366は、データのマイグレーション(移行)をヘッドユニット20に指令するものである。
なお、CPU360の各手段の詳細は、後記する。
【0086】
[データ書込処理]
図8を参照し、ストレージシステム1でのデータ書込処理について説明する(適宜
図1〜
図7参照)。
【0087】
データ書込指令手段362は、管理データベース350を参照し、データ書き込みを行うヘッドユニット20と、データ書き込み先となる書込先メモリパッケージ10とを決定する(決定ステップ:ステップS1)。
【0088】
<決定ステップの詳細>
例えば、データ書込指令手段362は、ネットワークインターフェース310を介して、書込対象データが入力される。また、データ書込指令手段362は、入力された書込対象データを一時記録手段340に記録する。そして、データ書込指令手段362は、入力された書込対象データのデータIDを決定し、決定したデータIDと、その書込対象データのサイズと、メタデータが付加されている場合にはそのメタデータとをデータ管理情報356に登録する。
【0089】
続いて、データ書込指令手段362は、ヘッドユニット管理情報354を参照し、データ書き込みを行うヘッドユニット20を決定する。例えば、データ書込指令手段362は、ヘッドユニット管理情報354のヘッドユニット状況が「待機中」のヘッドユニット20を、データ書き込みを行うヘッドユニット20として決定する。そして、データ書込指令手段362は、データ書き込みを行うヘッドユニット20について、ヘッドユニット管理情報354のヘッドユニット状況を「待機中」から「稼働中」に更新する。
なお、「待機中」のヘッドユニット20が複数存在する場合、データ書込指令手段362は、データ書き込みを行うヘッドユニット20をランダムに決定できる。
【0090】
続いて、データ書込指令手段362は、メモリパッケージ管理情報352を参照し、書込先メモリパッケージ10を決定する。例えば、データ書込指令手段362は、メモリパッケージ管理情報352の記録媒体空き容量が、書込対象データのサイズを超えるメモリパッケージ10を、書込先メモリパッケージ10として決定する。この条件を満たすメモリパッケージ10が複数存在する場合、データ書込指令手段362は、これらの中から書込先メモリパッケージ10をランダムに決定できる。
続いて、データ書込指令手段362は、決定した書込先メモリパッケージ10と、書込対象データのデータIDとを対応付けて、データ記録先情報358に登録する。
【0091】
以下、データ書込処理の説明を続ける。
データ書込指令手段362は、ステップS1で決定したヘッドユニット20にデータ書込指令を送信する。このデータ書込指令には、書込対象データのデータIDと、書込先メモリパッケージ10のメモリパッケージID及び配置情報とが含まれる(指令ステップ:ステップS2)。
【0092】
自律移動制御手段282は、ステップS2で送信されたデータ書込指令に応じて、アクセスサーバ30までヘッドユニット20を移動させる。ここで、自律移動制御手段282は、アクセスサーバ30の配置場所が予め登録されていることとする(第1移動ステップ:ステップS3)。
自律移動制御手段282は、アクセスサーバ30にデータ受信準備完了を送信する(ステップS4)。
【0093】
データ書込指令手段362は、ステップS4で送信されたデータ受信準備完了に応じて、一時記録手段340の書込対象データを、ステップS1で決定したヘッドユニット20に送信する。
データアクセス制御手段284は、アクセスサーバ30から書込対象データを受信し、受信した書込対象データを一時記録手段260に記録する(受信ステップ:ステップS5)。
自律移動制御手段282は、ステップS2で送信されたデータ書込指令の配置情報が示す書込先メモリパッケージ10まで、ヘッドユニット20を移動させる(第2移動ステップ:ステップS6)。
【0094】
給電手段220は、書込先メモリパッケージ10に給電する。これにより、書込先メモリパッケージ10は、データアクセス手段120と、インターフェース130と、記録媒体140とが駆動(活性化)し、データ書込可能な状態となる(給電ステップ:ステップS7)。
【0095】
識別情報認識手段270は、識別情報通知手段150から通知されたメモリパッケージIDを認識する。
識別情報判定手段286は、識別情報認識手段270が認識したメモリパッケージIDと、ステップS2で送信されたデータ書込指令のメモリパッケージIDとが一致するか否かを判定する(認識ステップ:ステップS8)。
【0096】
ここで、両メモリパッケージIDが一致する場合(認識成功)、識別情報判定手段286は、ステップS9の処理に進む。
一方、両メモリパッケージIDが一致しない場合(認識失敗)、識別情報判定手段286は、再移動指令を自律移動制御手段282に出力する。この場合、自律移動制御手段282は、予め設定された距離及び方向にヘッドユニット20を移動させてヘッドユニット20の位置を微調整し、ステップS8の処理を再実行する。
【0097】
データアクセス制御手段284は、ステップS5で一時記録手段260に記録した書込対象データを、書込先メモリパッケージ10に送信する(送信ステップ:ステップS9)。
データアクセス手段120は、ステップS9で送信された書込対象データを受信して、受信した書込対象データを記録媒体140に書き込む(書込ステップ:ステップS10)。
【0098】
給電手段220は、書込先メモリパッケージ10への給電を終了する。これにより、書込先メモリパッケージ10は、データアクセス手段120と、インターフェース130と、記録媒体140とが駆動していない状態に戻る。
データアクセス制御手段284は、データ書込終了をアクセスサーバ30に送信する(ステップ11)。
【0099】
データ書込指令手段362は、ステップ10で送信されたデータ書込終了に応じて、データ書き込みを終了したヘッドユニット20について、ヘッドユニット管理情報354のヘッドユニット状況を「稼働中」から「待機中」に更新する(ステップS12)。
【0100】
[データ読出処理]
図9を参照し、ストレージシステム1でのデータ読出処理について説明する(適宜
図1〜
図7参照)。
【0101】
データ読出指令手段364は、管理データベース350を参照し、データ読み出しを行うヘッドユニット20と、データ読み出し元となる読出元メモリパッケージ10とを決定する(決定ステップ:ステップS20)。
【0102】
<決定ステップの詳細>
まず、データ読出指令手段364は、読出対象データのデータIDを特定する。例えば、データ読出指令手段364は、ネットワークインターフェース310を介して、読出対象データのデータIDが入力される。また、データ読出指令手段364は、データ管理情報356のメタデータから、ストレージシステム1の利用者が希望する読出対象データを検索して、検索された読出対象データのデータIDを取得してもよい。
【0103】
続いて、データ読出指令手段364は、データ記録先情報358を参照し、読出対象データのデータIDに対応付けられた読出元メモリパッケージ10のメモリパッケージIDを取得する。そして、データ読出指令手段364は、メモリパッケージ管理情報352を参照し、読出元メモリパッケージ10の配置情報を取得する。
【0104】
続いて、データ読出指令手段364は、ヘッドユニット管理情報354を参照し、データ読み出しを行うヘッドユニット20を決定する。例えば、データ読出指令手段364は、ヘッドユニット管理情報354のヘッドユニット状況が「待機中」のヘッドユニット20を、データ読み出しを行うヘッドユニット20として決定する。そして、データ読出指令手段364は、データ読み出しを行うヘッドユニット20について、ヘッドユニット管理情報354のヘッドユニット状況を「稼働中」に更新する。
なお、「待機中」のヘッドユニット20が複数存在する場合、データ読出指令手段364は、データ読み出しを行うヘッドユニット20をランダムに決定できる。
【0105】
以下、データ読出処理の説明を続ける。
データ読出指令手段364は、ステップS20で決定したヘッドユニット20にデータ読み出しを指令する。このデータ読出指令には、読出対象データのデータIDと、読出先メモリパッケージ10のメモリパッケージID及び配置情報とが含まれる(指令ステップ:ステップS21)。
【0106】
自律移動制御手段282は、ステップS21で送信されたデータ読出指令に応じて、読出元メモリパッケージ10までヘッドユニット20を移動させる(第3移動ステップ:ステップS22)。
【0107】
給電手段220は、読出元メモリパッケージ10に給電する。これにより、読出元メモリパッケージ10は、データアクセス手段120と、インターフェース130と、記録媒体140とが駆動し、データ読出可能な状態となる(給電ステップ:ステップS23)。
【0108】
識別情報認識手段270は、識別情報通知手段150から通知されたメモリパッケージIDを認識する。
識別情報判定手段286は、識別情報認識手段270が認識したメモリパッケージIDと、ステップS21で送信されたデータ読出指令のメモリパッケージIDとが一致するか否かを判定する(認識ステップ:ステップS24)。
【0109】
ここで、両メモリパッケージIDが一致する場合(認識成功)、識別情報判定手段286は、ステップS25の処理に進む。
一方、両メモリパッケージIDが一致しない場合(認識失敗)、識別情報判定手段286は、再移動指令を自律移動制御手段282に出力する。この場合、自律移動制御手段282は、ヘッドユニット20の位置を微調整し、ステップS24の処理を再実行する。
【0110】
データアクセス手段120は、記録媒体140から読出対象データを読み出し、読み出した読出対象データをヘッドユニット20に送信する(読出ステップ:ステップS25)。
データアクセス制御手段284は、ステップS25で送信された読出対象データを受信し、受信した読出対象データを一時記録手段340に記録する(受信ステップ:ステップS26)。
【0111】
給電手段220は、読出元メモリパッケージ10への給電を終了する。これにより、読出元メモリパッケージ10は、データアクセス手段120と、インターフェース130と、記録媒体140とが駆動していない状態に戻る。
自律移動制御手段282は、アクセスサーバ30までヘッドユニット20を移動させる(第4移動ステップ:ステップS27)。
【0112】
自律移動制御手段282は、アクセスサーバ30にデータ送信準備完了を送信する(ステップS28)。
データアクセス制御手段284は、一時記録手段340の読出対象データをアクセスサーバ30に送信する(送信ステップ:ステップS29)。
【0113】
データアクセス制御手段284は、データ読出終了をアクセスサーバ30に送信する(ステップ30)。
データ読出指令手段364は、ステップ30で送信されたデータ読出終了に応じて、データ読み出しを終了したヘッドユニット20について、ヘッドユニット管理情報354のヘッドユニット状況を「稼働中」から「待機中」に更新する(ステップS31)。
【0114】
[マイグレーション処理]
図10を参照し、ストレージシステム1でのマイグレーション処理の一例について説明する(適宜
図1〜
図7参照)。
【0115】
本実施形態では、以下の前提でマイグレーション処理を行うこととする。
図10のように、ストレージシステム1は、マイグレーション元となる複数のメモリパッケージ(移行元メモリパッケージ)10aに対し、移行元メモリパッケージ10aと同数、かつ、同配列のメモリパッケージ(移行先メモリパッケージ)10bを備えることとする。
【0116】
移行元メモリパッケージ10aには移行の対象となるデータが記録されているが、移行先メモリパッケージ10bにはデータが記録されていない。つまり、移行先メモリパッケージ10bの記録媒体空き容量は、移行元メモリパッケージ10aよりも多くなる。
【0117】
また、移行先メモリパッケージ10bは、ヘッドユニット20が移動可能であれば、どこに配置されてもよい。本実施形態では、移行先メモリパッケージ10bは、移行元メモリパッケージ10aと同一の設置室90に配置されている。
【0118】
マイグレーション指令手段366は、予め設定されたマイグレーションスケジュールに基づいて、メモリパッケージ10に記録されたデータのマイグレーション(移行)をヘッドユニット20に指令する。
【0119】
例えば、マイグレーション指令手段366は、ヘッドユニット管理情報354のヘッドユニット状況が「待機中」となる全てのヘッドユニット20で、マイグレーションを行うと決定する。そして、マイグレーション指令手段366は、決定したヘッドユニット20に対して、移行元メモリパッケージ10aを順番に割り当てて、マイグレーション指令を送信する。このマイグレーション指令は、ヘッドユニット20に割り当てられた移行元メモリパッケージ10のメモリパッケージID及び配置情報が含まれる。
【0120】
このマイグレーション指令を受信した場合、ヘッドユニット20は、移行元メモリパッケージ10aから移行先メモリパッケージ10bにデータを移行する。例えば、ヘッドユニット20は、右上に位置する移行元メモリパッケージ10aのデータを、この移行元メモリパッケージ10aに対応する位置の移行先メモリパッケージ10bに移行する。
【0121】
なお、ヘッドユニット20は、移行元メモリパッケージ10aからデータ読み出して、移行先メモリパッケージ10bにデータ書き込みを行う処理を繰り返すことになるので、これ以上の説明を省略する。
【0122】
また、移行先メモリパッケージ10bが、ヘッドユニット20の移動できない別のストレージシステムに配置されている場合もある。この場合、ヘッドユニット20は、アクセスサーバ30を介して、別のストレージシステムにデータを移行する。
【0123】
[作用・効果]
本願発明の実施形態に係るストレージシステム1は、隣接するメモリパッケージ10の平坦面によりヘッドユニット20の移動エリアが形成され、この移動エリアを移動してヘッドユニット20がデータ書き込み及びデータ読み出しを行うので、メモリパッケージ10の設置スペースを抑えることができる。
【0124】
さらに、ストレージシステム1は、データ書き込み及びデータ読み出しを行うときだけメモリパッケージ10に給電し、データ書き込み及びデータ読み出しを行わないときはメモリパッケージ10に給電する必要がない。これにより、ストレージシステム1は、メモリパッケージ10への常時給電が必要なく、消費電力を抑えることができる。
【0125】
さらに、ストレージシステム1は、インターフェース130を介して、メモリパッケージ10にデータ書き込み及びデータ読み出しを行うので、HDD、SSDやUSBといった記録媒体140の種類を意識することなく、様々な種類の記録媒体140に適用することができる。
【0126】
さらに、ストレージシステム1は、自動的にマイグレーションを行うので、オペレータやシステム担当者が手動でマイグレーション作業を行う必要がなく、人件費を抑制することができる。
以上のように、ストレージシステム1は、設置スペースと消費電力と人件費とを抑制し、様々な種類の記録媒体140に対応できるので、コストを低減することができる。
【0127】
さらに、ストレージシステム1は、移動後にメモリパッケージ10のメモリパッケージIDを認識し、ヘッドユニット20の位置を微調整するため、データ書き込みやデータ読み出しを誤ってしまう事態を低減することができる。
【0128】
(変形例)
以上、本願発明の実施形態を詳述してきたが、本願発明は前記した実施形態に限られるものではなく、本願発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【0129】
前記した実施形態では、ヘッドユニット及びメモリパッケージがワイヤレス給電を行うこととしたが、金属接点により給電してもよい。
前記した実施形態では、メモリパッケージの筐体が箱型であることとして説明したが、隙間無く配列可能な形状であれば箱型に限定されない。
【0130】
前記した実施形態では、ヘッドユニットがメモリパッケージの上側を移動することとして説明したが、メモリパッケージの下側を移動してもよい。例えば、棚に配置されたメモリパッケージの下側にヘッドユニットが移動可能な空間を設けてもよい。この場合、メモリパッケージは、この空間に張られた電線から受電するためのパンタグラフを備えることで、充電ステーションに戻ることなく、データ書き込みやデータ読み出しを継続できる。
【0131】
また、ストレージシステムは、シールドルーム(電波暗室)に配置することで、広い帯域の無線を利用できる。この場合、ストレージシステムは、データアクセス手段によるヘッドユニットとアクセスサーバとのデータ通信に、高速な無線通信を利用できる。さらに、ストレージシステムは、データ書き込みやデータ読み出しを行う際、ヘッドユニットをアクセスサーバまで移動させる手間も省略することができる。
【0132】
前記した実施形態では、メモリパッケージのインターフェースが「Serial ATA」、「Serial Attached SCSI」及び「USB」を全て備えることとしたが、2以上を備えてもよい。
【0133】
また、データ書込処理では、給電ステップ(ステップS7)の後に認識ステップ(ステップS8)を実行することとして説明したが、これに限定されない。すなわち、RFID、NFC及びQRコードが非給電で受動応答するため、給電ステップの前に認識ステップを実行してもよい。
また、データ読出処理でも、データ書込処理と同様、給電ステップ(ステップS23)の前に認識ステップ(ステップS24)を実行してもよい。
【0134】
(実施例)
以下、本願発明の実施例として、ストレージシステムの設置スペースについて説明する。
例えば、メモリパッケージの記録媒体として、3.5インチのHDD(記憶容量3Tバイト、寸法:102mm×147mm×27mm)を採用したこととする。この場合、メモリパッケージの筐体の寸法は、120mm×170mm×40mmに収まる。
【0135】
そして、設置室が24m×34m×2.8mの場合(アクセスサーバの配置スペースを除く)、200個×200個=40000個のメモリパッケージをこの設置室に配置することができる。従って、ストレージシステム全体の記憶容量は、40000個×3Tバイト=120Pバイトとなる。
【0136】
また、ヘッドユニットは、その移動のために、高さ方向に100mmの空間が必要である。すると、メモリパッケージと合わせて、高さ方向に140mmの空間があれば、メモリパッケージを配置できる。つまり、高さ2.8mの設置室には、2.8m/140mm=20層のメモリパッケージを配置できる。この場合、ストレージシステム全体の記憶容量は、120Pバイト×20層=2400Pバイトとなる。このように、本願発明によれば、メモリパッケージの設置スペースが抑えられるので、非常に大容量のストレージシステムを実現できる。
【0137】
ここで、ヘッドユニットは、1層あたりメモリパッケージの個数に対して、1%までの台数を配置してもよい。例えば、1層のメモリパッケージが40000個の場合、ヘッドユニットの台数は、1層あたり、40000個×0.01=400個となる。