【課題】電極部が、透過率の高い透明導電膜からなり、IM層(Index Matching Layer)を必要としない構造を備えることにより、優れた視認性を有するタッチパネルを提供する。
【解決手段】本発明のタッチパネル10は、透明基板11と、前記透明基板の表示領域16内に設けられた透明導電膜12からなる複数の電極部12Lとを含む。前記透明導電膜は、平坦な膜表面を有し、かつ、その膜面内に局在する低抵抗部12Lと高抵抗部12Hから構成されている。前記電極部は、該透明導電膜のうち前記低抵抗部からなり、該電極部どうしの間には前記高抵抗部が配されている。
前記表示領域内とともに、前記表示領域を囲む外周領域においても、前記透明導電膜の構成を有する、第一透明導電膜、第二透明導電膜、及び第三透明導電膜を、前記透明基板側から順に重ねて備え、
前記外周領域を断面視する方向から見て、前記第三透明導電膜の低抵抗部からなる一方の電極部と他方の電極部が各々、前記外周領域のうち、異なる一辺を構成する範囲に配置されており、かつ、請求項2の前記表示領域内における構成と電気的に接続されていることを特徴とする請求項2に記載のタッチパネル。
前記表示領域内において、前記透明導電膜の構成を有する、第七透明導電膜、第八透明導電膜、第九透明導電膜、及び第十透明導電膜を、前記透明基板側から順に重ねて備え、
前記第十透明導電膜の低抵抗部からなる一方の電極部と他方の電極部が、階層の異なる前記第七〜第九透明導電膜から選択される何れかの導電膜と、それぞれ電気的に接続されるように、配されていることを特徴とする請求項1に記載のタッチパネル。
前記表示領域を断面視する方向から見て、前記第十透明導電膜の低抵抗部からなる一方の電極部と他方の電極部が、階層の異なる前記第七透明導電膜の低抵抗部と前記第八透明導電膜の低抵抗部に、それぞれ電気的に接続されており、
前記表示領域を平面視する方向から見て、前記第七透明導電膜の低抵抗部が延設される方向と、前記第八透明導電膜の低抵抗部が延設される方向とが、並行をなすように構成されていることを特徴とする請求項5に記載のタッチパネル。
前記表示領域を断面視する方向から見て、前記第十透明導電膜の低抵抗部からなる一方の電極部と他方の電極部が、階層の異なる前記第七透明導電膜の低抵抗部と前記第九透明導電膜の低抵抗部に、それぞれ電気的に接続されており、
前記表示領域を平面視する方向から見て、前記第七透明導電膜の低抵抗部が延設される方向と、前記第九透明導電膜の低抵抗部が延設される方向とが、直交をなすように構成されていることを特徴とする請求項5に記載のタッチパネル。
前記表示領域内とともに、前記表示領域を囲む外周領域においても、前記透明導電膜の構成を有する、第七透明導電膜、第八透明導電膜、第九透明導電膜、及び第十透明導電膜を、前記透明基板側から順に重ねて備え、
前記外周領域を断面視する方向から見て、前記第十透明導電膜の低抵抗部からなる一方の電極部と他方の電極部が各々、前記外周領域のうち、異なる一辺を構成する範囲に配置されており、かつ、請求項6又は7の前記表示領域内における構成と電気的に接続されていることを特徴とする請求項6又は7に記載のタッチパネル。
前記透明基板と前記透明導電膜との間、及び、前記透明導電膜上、あるいは何れか一方に、反射防止層が配されてなることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載のタッチパネル。
前記透明基板と前記透明導電膜との間、及び、前記透明導電膜上、あるいは何れか一方に、反射防止層が配されてなることを特徴とする請求項10に記載の透明導電性基板。
【背景技術】
【0002】
タッチパネルは、表示画面上の透明な面を操作者が指またはペンでタッチすることにより、接触した位置を検出してデータ入力できる入力装置の構成要素となるものであって、キー入力より直接的、かつ直感的な入力を可能とする。このため、近年、テレビやコンピュータの他に、携帯電話機、スマートフォンやタブレットに代表される携帯情報端末、カーナビゲーションシステムなど、様々な電子機器の操作部に多用されている。
【0003】
前記タッチパネルは、入力装置として、液晶パネル等の平面型表示装置の表示画面上に貼り合わせて使用することができる。たとえば、
図15に示すように、タッチパネルは液晶パネル等の上に配置され、操作面111aに触って操作される。
このようなタッチパネルの検出方式には、抵抗式、静電容量式、超音波式、光学式等多種あり、その構造は多様となる。
静電容量式タッチパネルは、表面型と投影型とに大別できる。表面型は2点以上の接触点を同時に検知することは困難である。投影型は2点以上の接触点を同時に検知できることから、マルチタッチ仕様が要求される分野において注目されている。
【0004】
静電容量式タッチパネルの投影型における表示領域には、透明基板に、透明導電膜などの素材を用いた、X,Y方向のマトリクス状をなす電極部が形成されている。このような電極部の構成例としては、たとえば田形電極と菱形電極が挙げられる。田形電極は、上下に位置する配線を直交させて田形状に電極を配置したものであり、相互容量方式に用いられる。これに対して、菱形電極は、菱形状の電極をX方向、Y方向に接続し格子状に配置したものであり、自己容量方式に用いられる(特許文献1)。
【0005】
図14は、田形電極の構成例を示す模式図であり、(a)電極部が配される表示領域(有効タッチ領域とも呼ぶ)を備えたタッチパネルの一例を示す平面図、(b)表示領域内の特定領域σにおける電極部の拡大平面図、(c)特定領域σにおける電極部の拡大断面図である。
図14に示したタッチパネル110の表示領域(有効タッチ領域とも呼ぶ)116においては、透明基板111に第一電極層(RX)112、絶縁層113、第二電極層(TX)114が順に積層されている。第一電極層(RX)112と第二電極層(TX)114は何れも、ITOなどの透明導電膜からなり、所定間隔で離間して平行に配置された複数本の電極部を構成している。
【0006】
透明基板111としては、たとえばガラスやPETなどの耐熱透明プラスチック等の透明な基板が用いられる。第一電極層(RX)112と第二電極層(TX)114は、導電性と透過性を兼ね備えた材料、たとえばITO(酸化インジウム:Indium Tin Oxide)等の透明導電材料により形成される。
また、表示領域116の周囲には、
図10に示すように、第一電極層(RX)112からなる複数のX電極部の各々と、第二電極層(TX)114からなる複数のY電極部の各々とからの配線を、縦横方向の周辺部に導いて端子部(不図示)に至る複数の配線117が配置されている。
【0007】
田形電極においては、第一電極層(RX)112からなる下部電極の長手方向と、第二電極層(TX)114からなる上部電極の長手方向とが、直交するように配置されている。この構成においては、以下に示す2つの課題があった。
(a)直交する交差部K[
図14(b)のハッチング領域]では、3層[第一電極層(RX)112と絶縁層113と第二電極層(TX)114]を重ねた厚みとなるのに対して、下部電極の離間部では、第一電極層(RX)112が欠損した分だけ厚みが目減りした状況となる[
図14(c)]。ゆえに、上部電極は、その平坦性が損なわれ、導通性が不安定となる。
(b)透明基板21側から目視した場合、下部電極が有る領域(交差部K)と、下部電極が無い領域(離間部)との間で膜の積層構造が異なるため、電極パターンが見え易くなり、視認性が低下する(特許文献1における「骨見え現象」)。
【0008】
従来、上記(b)の解決策としては、透明基板21と第一電極層(RX)112との間に、光学調整層としてインデックス・マッチング層(Index Matching Layer:IM層)を設ける手法が採用されている(特許文献2)。このIM層は、エッチング処理後のITO電極パターンが見え難くするように機能するものであるが、反面その存在は表示領域116の全体にわたって透過性の低下をもたらす原因となっていた。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係るタッチパネルの一実施形態を、図面に基づいて説明する。
<第一実施形態>
図1は、本実施形態におけるタッチパネルを示す図であり、(a)は全体平面図、(b)は表示領域の一部αを示す拡大平面図、(c)は(b)に対応する拡大断面図である。
図2は、タッチパネルを備える表示装置の一例を示す模式断面図である。
【0019】
本実施形態におけるタッチパネル10は、
図1及び
図2に示すように、液晶や有機ELなどの表示パネル2上に配置され、操作面11aに触って操作される静電容量方式のタッチパネルである。
このようなタッチパネル10は、
図1に示すように、透明基板11と、透明基板11の操作面11aの裏面11b側にあって、表示領域16内に設けられた透明導電膜12からなる複数の電極部12L(12La、12Lb)とを含んでいる。
【0020】
そして、この透明導電膜12は、後述する手法により、その膜面内に局在する低抵抗部12Lと高抵抗部12Hから構成されており、前述のとおり電極部12L(12La、12Lb)は、透明導電膜12のうち低抵抗部から構成される。そして、電極部12L(12La、12Lb)どうしの間には、前記高抵抗部12Hが配されている。
【0021】
また、表示領域16の周囲16osには、
図1に示すように、透明導電膜12からなる複数の電極部12L(12La、12Lb)からの配線を、縦横方向の周辺部に導いて端子部(不図示)に至る複数の配線17が配置されている。
【0022】
上記構成によれば、本発明のタッチパネル10における透明導電膜12は、その膜面内が局在した低抵抗部12Lと高抵抗部12Hから構成されているが、その膜表面は「膜が連続したプロファイル」を有している。これにより、従来のような「膜が残された部位(電極部)」と「膜が除去された部位(離間部)」との間に生じる段差に起因した問題が、本発明のタッチパネル10を構成する透明導電膜12では原理的に発生しない。ゆえに、本発明のタッチパネル10においては、「電極パターンが見え易く、視認性が低下するという問題」が解消される。
【0023】
従来は、電極部を得るためにエッチング処理等により離間部を形成する必要があり、透明導電膜にはエッチング容易性が求められていた。ゆえに、エッチング容易性を満たすことが優先であり、透過率の高い透明導電膜を選択することができず、視認性は犠牲にされていた。これに対して、本発明は、従来の電極部を得るためには必須であったエッチング容易性を必要としないので、透過率の高い透明導電膜を選択することが可能となった。
【0024】
また、従来のタッチパネルは、前述したとおり、内在する段差の影響を低減するために、IM層を備えることを必須としていた。これに対して、本発明のタッチパネル10を構成する透明導電膜12には、従来のような段差は存在しないので、本発明のタッチパネル10はIM層を設ける必要がない。ゆえに、本発明のタッチパネル10は、IM層を設けたことによる、透過率の低下など光学的な不利益を解消することもできる。
したがって、本発明は、電極部が、透過率の高い透明導電膜からなり、IM層を必要としない構造を備えることにより、優れた視認性を有するタッチパネルの提供に貢献する。
【0025】
さらに、本発明のタッチパネル10においては、上記構成からなる透明導電膜12を採用したことにより、透明基板11と透明導電膜12との界面、および、透明導電膜の表面は何れも、連続した膜形状、すなわち平坦な膜表面が維持されている。
ゆえに、本発明によれば、透明導電膜12の上に積層される絶縁膜および上部電極層の平坦性を確保することができ、導通性などの膜の機能の安定性を確保することができる。
さらに、透明基板11と透明導電膜12との間、または、透明導電膜12の表面に、反射防止層(Anti Reflection Layer:AR層)を追加して配置する構成(
図13に示す構成)を採用することにより、極めて安定した反射防止能力も備えたタッチパネルを構築することができる。
【0026】
<作製方法>
以下では、上述した本発明のタッチパネル10を構成する透明導電膜12の作製方法について説明する。透明導電膜12には、膜面内に局在する低抵抗部12Lと高抵抗部12Hから構成されており、電極部12L(12La、12Lb)が、透明導電膜12のうち低抵抗部から構成され、電極部12L(12La、12Lb)どうしの間には、前記高抵抗部12Hが配されている。
【0027】
以下の作製方法では、透明導電膜を成膜する前に、下地層として酸化膜を設ける層構成を前提として説明する。この酸化膜は、透明基板として、PET等の耐熱透明プラスチック基板を使用する場合に、基板からの放出ガスを抑制する構造として機能するが、基板がガラスの場合などには、必ずしも酸化膜を設ける必要はない。
【0028】
(1)酸化膜と透明導電膜の作製
透明基板上に、酸化膜と透明導電膜を形成するための製造装置としては、たとえば
図3に示すようなインターバック式のスパッタリング装置が用いられる。
図3の製造装置50においては、基板58(透明基板11に相当)は、不図示の搬送手段により、仕込取出室(L/UL)51、加熱室(H)52、第一成膜室(S1)53、第二成膜室(S2)54の内部を移動可能とされている。
上記の各室51,52、53、54には個別に、その内部空間を減圧可能とするための排気手段51P、52P、53P、54Pが配されている。
【0029】
まず、基板58は製造装置から外部(大気雰囲気)から大気圧とされた仕込取出室51へ導入される。その後、仕込取出室51は排気手段51Pを用いて減圧雰囲気とされる。次いで、基板58は減圧雰囲気とされた仕込取出室51から加熱室52へ搬送され、加熱手段59により所望の熱処理が施される。
【0030】
次に、熱処理後の基板58は、加熱室52から第一成膜室53へ搬送され、第一成膜室53の内面53b側に配された、酸化シリコンからなるターゲット62の前を通過させることにより、基板58上に酸化膜(SiO
2 )を形成する。その際、第一成膜室53の内面53bと対向する内面53a側に設けた温度調整手段61により、基板58は所望の温度とされる。ターゲット62はバッキングプレート63に載置されており、スパッタ時にはガス供給源65から所望のプロセスガスが導入されるとともに、バッキングプレート63には電源64から所望の電力が供給される。
【0031】
その後、酸化膜が形成された基板58は、第一成膜室53から第二成膜室54へ搬送され、ITOからなるターゲット72の前を通過させることにより、酸化膜上に透明導電膜(ITO)を形成する。その際、温度調整手段71により、基板58は所望の温度とされる。ターゲット72はバッキングプレート73に載置されており、スパッタ時にはガス供給源75から所望のプロセスガスが導入されるとともに、バッキングプレート73には電源74から所望の電力が供給される。
【0032】
そして、酸化膜と透明導電膜が形成された基板58は、第二成膜室54から仕込取出室51へ搬送され、製造装置から外部(大気雰囲気)へ取り出される。
次いで、酸化膜と透明導電膜が形成された基板58に対して、後処理(大気雰囲気、135℃、60minのアニール処理)を行う。このような後処理を施すことにより、比抵抗が約150Ω/□の透明導電膜が得られる。
【0034】
上述した酸化膜および透明導電膜の代表的な作製条件を、表1に示す。
(2)透明導電膜に対する低抵抗部と高抵抗部の作製
上記工程(1)により得られた基板58の透明導電膜に対して、反応性イオンエッチング装置を用い、酸素プラズマ処理を行う。
図4は、透明導電膜に対してプラズマ処理を行っている状態を示すイメージ図である。
図4に示すように、開口部を有するマスクを挟んで、透明導電膜に対して酸素プラズマ(「小円の中にO」と表示)を照射することにより、透明導電膜の中に低抵抗部と高抵抗部とを作り分ける。
すなわち、透明導電膜のうち、マスクが存在するためにプラズマから遮蔽された領域は、膜中に含まれるキャリア量に変動がなく、比抵抗の低い(約150Ω/□)状態が維持され、低抵抗部Lとなる。
これに対して、透明導電膜のうち、マスクの開口部を通してプラズマが照射された領域は、膜中に含まれるキャリア量が減少することにより、比抵抗の高い(約740Ω/□)状態に変化し、高抵抗部Hとなる。
上述したプラズマ処理の前後における透明導電膜の比抵抗を、
図5のグラフに示す。
【0035】
ゆえに、低抵抗部から高抵抗部へ変化させたい領域に合せた、開口部を有するマスクを介して、透明導電膜の表面に対してプラズマ処理を行うだけで、透明導電膜の中に低抵抗部と高抵抗部とが所望のパターンで局在した状態を形成できることが分かった。
上述したプラズマ処理により低抵抗部から高抵抗部を形成する作製条件を、表2に示す。
【0037】
酸素プラズマ処理により、マスクの開口を通してプラズマが照射された領域は、酸素プラズマによるエッチングが発生するため、未処理部分に対して、膜厚の減少が僅かながら発生する。しかし、
図14(c)に示されるような電極膜自体が欠損するような構成に比べ、低抵抗部と高抵抗部とが所望のパターンで局在した透明導電膜の表面は平坦であるということができ、上層に形成する上部電極の平坦性を確保することが可能となる。
【0038】
透明導電膜のうち、低抵抗部から高抵抗部へ変化させる方法としては、上述したプラズマ処理に限定されるものではなく、たとえば、イオンドープ法を用いても同様の作用・効果を得ることができる。
また、透明導電膜の中に低抵抗部と高抵抗部とを作り分ける作製方法は、上記の手法に限定されるものではない。すなわち、最初に高抵抗部の透明導電膜をスパッタ法により形成した後、たとえば、レーザー照射やランプ加熱などのアニール処理により、高抵抗部のうち特定の領域を酸化還元作用によって低抵抗部に変化させる方法を採用してもよい。
【0039】
<第二実施形態>
図6は、本実施形態におけるタッチパネルを示す図であり、(a)は全体平面図、(b)は表示領域の一部β1を示す拡大平面図、(c)は(b)に示した線分B−Bに対応する拡大断面図である。
本実施形態は、電極構造が田形電極をなす場合であり、各層22、23、24は全て透明導電膜から構成されている。すなわち、
本実施形態に係るタッチパネル20は、表示領域26内において、透明基板21側から順に重ねて積層された、第一透明導電膜22、第二透明導電膜23、第三透明導電膜24は何れも、上述した透明導電膜の構成(第一実施形態にて説明した、透明導電膜の中に低抵抗部と高抵抗部とが局在した構成)を備えている。
【0040】
前記表示領域26を平面視する方向から見て、第一透明導電膜22の低抵抗部Lからなる一方の電極部RXと、第三透明導電膜24の低抵抗部Lからなる他方の電極部TXとが交差部K[
図6(b)のハッチング領域]を有している。
そして、第二透明導電膜23は、少なくとも前記交差部Kと重なる領域が、高抵抗部Hから構成されている。
【0041】
また、表示領域26の周囲には、
図6に示すように、第一電極層(RX)22からなる複数のX電極部の各々と、第二電極層(TX)24からなる複数のY電極部の各々とからの配線を、縦横方向の周辺部に導いて端子部(不図示)に至る複数の配線27が配置されている。
【0042】
第一透明導電膜22、第二透明導電膜23、第三透明導電膜24における低抵抗部Lと高抵抗部Hは、第一実施形態において説明した手法により作製する。
これにより、タッチパネル20は、以下に述べる作用・効果が得られる。
(2a)透明基板21上に配された第一透明導電膜22は、巨視的に平坦な表面を有する連続した膜である。電極部をなす低抵抗部Lと、電極部どうしの間に位置する高抵抗部Hとは、電気的な特性が異なるだけであり、同じ膜厚を有する。ゆえに、両者の間には膜厚の差が無いので、電極パターンが見え難く、良好な視認性が確保される。
【0043】
(2b)本実施形態における電極構造(田形電極)は、巨視的に平坦な表面を有する連続した膜である、3つの膜(第一透明導電膜22、第二透明導電膜23、第三透明導電膜24)が積層されたものとなる。ゆえに、透明基板上に3つの膜(第一透明導電膜22、第二透明導電膜23、第三透明導電膜24)が積層された最表面、すなわち、第三透明導電膜24の表面は、3つの膜が全て連続した膜であることから、自ずと巨視的に平坦な表面プロファイルとなる。そのため、交差部Kが存在するにも拘わらず、交差部Kとそれ以外との境界において段差が発生しない。よって、本実施形態に係るタッチパネルでは、「交差部に起因して段差が生じ、上部電極の平坦性が損なわれ、導通性が不安定となる問題」が、表示領域26の全域にわたって解消される。
【0044】
<第三実施形態>
図7は、本実施形態におけるタッチパネルを示す図であり、(a)は全体平面図、(b)は表示領域と外周領域を含む一部β2を示す拡大平面図、(c)は(b)に示した線分B2−B2に対応する拡大断面図、(d)は(b)に示した線分B3−B3に対応する拡大断面図である。
【0045】
本実施形態(第三実施形態)は、上述した第二実施形態(電極構造が田形電極をなす場合)の派生形であり、各層22、23、24は全て透明導電膜から構成されている。すなわち、
本実施形態に係るタッチパネル20は、表示領域26内とともに、この表示領域26を囲む外周領域26osにおいても、前記透明導電膜の構成を有する。つまり、透明基板21側から順に重ねて積層された、第一透明導電膜22、第二透明導電膜23、及び第三透明導電膜24は何れも、上述した透明導電膜の構成(第一、第二実施形態にて説明した、透明導電膜の中に低抵抗部と高抵抗部とが局在した構成)を備えている。
【0046】
また、前記外周領域26osを断面視する方向から見て、前記第三透明導電膜24の低抵抗部からなる一方の電極部24(RX)と他方の電極部24(TX)が各々、前記外周領域のうち、異なる一辺を構成する範囲[
図7(b)においては、一方の電極部24(RX)は上辺側、他方の電極部24(TX)は右辺側]に配置されており、かつ、第二実施形態(電極構造が田形電極をなす場合)の前記表示領域26内における構成と電気的に接続されている。
【0047】
ここで、第二実施形態(電極構造が田形電極をなす場合)の表示領域26内における構成とは、「表示領域26を平面視する方向から見て、第一透明導電膜22の低抵抗部Lからなる一方の電極部RXと、第三透明導電膜24の低抵抗部Lからなる他方の電極部TXとが交差部K[
図6(c)のハッチング領域]を有すること」を意味する。
【0048】
第一透明導電膜22、第二透明導電膜23、第三透明導電膜24における低抵抗部Lと高抵抗部Hは、第一及び第二実施形態において説明した手法により作製する。
これにより、タッチパネル20は、上述した第二実施形態の作用・効果(2a)、(2b)に加えて、以下の作用・効果が得られる。
(2c)表示領域26を囲む外周領域26osにおいても、透明導電膜の構成は表示領域26と同一の積層構造が維持される。ゆえに、第三実施形態のタッチパネル20は、表示領域26とこれを囲む外周領域26osとが、完全に平坦な形状を有することが可能となる。よって、第三実施形態によれば、表示領域26のみならず、これを囲む外周領域26osにおいても、電極パターンが見え難く、良好な視認性が確保される。
【0049】
<第四実施形態>
図8は、本実施形態におけるタッチパネルを示す図であり、(a)は全体平面図、(b)は表示領域の一部γを示す拡大平面図、(c)は(b)に示した線分C−Cに対応する拡大断面図である。
本実施形態は、電極構造が菱形電極をなす場合であり、各層32、33、34は全て透明導電膜から構成されている。すなわち、
本実施形態に係るタッチパネル30は、表示領域36内において、透明基板31側から順に重ねて積層された、第四透明導電膜32、第五透明導電膜33、第六透明導電膜34は何れも、上述した透明導電膜の構成(第一実施形態にて説明した、透明導電膜の中に低抵抗部と高抵抗部とが局在した構成)を備えている。
【0050】
前記表示領域36を平面視する方向から見て、第四透明導電膜32の低抵抗部Lからなる一方の電極部TXと他方の電極部RXが「交差部」を有している。
図8(b)において、一方の電極部TXは、菱形領域32Ybと、菱形領域32Ybどうしを接続する連結領域32Yaから構成されており、Y軸方向に電気的に接続される。同様に、他方の電極部RXは、菱形領域32Xbと、菱形領域32Xbどうしを接続する連結領域32Xaから構成されており、X軸方向に電気的に接続される。
すなわち、本実施形態における「交差部」とは、連結領域32Yaと連結領域32Xaの交わる部位を意味する。
【0051】
そして、この「交差部」には、他方の電極部RXをなす菱形領域32Xbどうしを接続する連結領域32Xaを跨いで、一方の電極部TXが電気的に接続されるように、第五透明導電膜33の高抵抗部Hを挟んで、第五透明導電膜33の低抵抗部Lと第六透明導電膜34の低抵抗部Lからなる導通部Jを有する。
つまり、この「導通部J」がジャンパー部として機能し、一方の電極部TXを構成する菱形領域32Ybどうしを接続する「連結領域32Ya」の役割を果たす。
【0052】
第四透明導電膜32、第五透明導電膜33、第六透明導電膜34における低抵抗部Lと高抵抗部Hは、第一実施形態において説明した手法により作製する。
これにより、タッチパネル30は、以下に述べる作用・効果が得られる。
(3a)透明基板31上に順に積層された第四透明導電膜32、第五透明導電膜33、第六透明導電膜34は何れも、巨視的に平坦な表面を有する連続した膜である。電極部(RX、TX)をなす低抵抗部Lと、電極部(RX、TX)どうしの間に位置する高抵抗部Hとは、電気的な特性が異なるだけであり、同じ膜厚を有する。ゆえに、両者の間には膜厚の差が無いので、交差部が存在するにもかかわらず、電極パターンが見え難く、良好な視認性が確保される。
【0053】
(3b)本実施形態における電極構造(菱形電極)は、巨視的に平坦な表面を有する連続した膜である、3つの膜(第四透明導電膜32、第五透明導電膜33、第六透明導電膜34)が積層されたものとなる。ゆえに、透明基板上に3つの膜(第四透明導電膜32、第五透明導電膜33、第六透明導電膜34)が積層されたものであり、最表面、すなわち、第六透明導電膜34の表面は、3つの膜が全て連続した膜であることから、自ずと巨視的に平坦な表面プロファイルとなる。そのため、交差部において、ジャンパー部として機能する「導通部J」が存在するにも拘わらず、交差部とそれ以外との境界において段差が発生しない。よって、本実施形態に係るタッチパネルでは、「交差部に起因して段差が生じ、上部電極の平坦性が損なわれ、導通性が不安定となる問題」が、表示領域36の全域にわたって解消される。
【0054】
<第五実施形態>
図9は、本実施形態におけるタッチパネルを示す図であり、(a)は全体平面図、(b)は表示領域の一部δを示す拡大平面図、(c)は(b)に示した線分D1−D1に対応する拡大断面図である。
本実施形態は、電極構造が3次元電極をなす場合であり、各層42、43、44、45は全て透明導電膜から構成されている。すなわち、
本実施形態に係るタッチパネル40は、表示領域46内において、透明基板41側から順に重ねて積層された、第七透明導電膜42、第八透明導電膜43、第九透明導電膜44、第十透明導電膜45は何れも、上述した透明導電膜の構成(第一実施形態にて説明した、透明導電膜の中に低抵抗部と高抵抗部とが局在した構成)を備えている。
【0055】
前記表示領域46を断面視する方向から見て、第十透明導電膜45の低抵抗部Lからなる一方の電極部TXと他方の電極部RXが、階層の異なる第七透明導電膜42の低抵抗部Lと第八透明導電膜43の低抵抗部Lに、それぞれ電気的に接続されるように、第八透明導電膜43と第九透明導電膜44の低抵抗部Lと高抵抗部Hが配されている。
換言すると、前記第十透明導電膜45の低抵抗部からなる一方の電極部L(X)と他方の電極部L(Y)が、階層の異なる前記第七〜第九透明導電膜から選択される何れかの導電膜と、それぞれ電気的に接続されるように、配されている。
これにより、一方の電極部TXどうしがY軸方向に電気的に接続され、他方の電極部RXどうしがX軸方向に電気的に接続される構成とした場合、Y軸方向の電気的接続とX軸方向の電気的接続は、それぞれ異なる階層に設けられたものとなる。
【0056】
第七透明導電膜42、第八透明導電膜43、第九透明導電膜44、第十透明導電膜45における低抵抗部Lと高抵抗部Hは、第一実施形態において説明した手法により作製する。
これにより、タッチパネル40は、以下に述べる作用・効果が得られる。
(4a)透明基板41上に順に積層された第七透明導電膜42、第八透明導電膜43、第九透明導電膜44、第十透明導電膜45は何れも、巨視的に平坦な表面を有する連続した膜である。第十透明導電膜45おいて電極部(RX、TX)をなす低抵抗部Lと、電極部(RX、TX)どうしの間に位置する高抵抗部Hとは、電気的な特性が異なるだけであり、同じ膜厚を有する。ゆえに、両者の間には膜厚の差が無いので、電極パターンが見え難く、良好な視認性が確保される。
【0057】
(4b)本実施形態における電極構造(3次元電極)は、巨視的に平坦な表面を有する連続した膜である、4つの膜(第七透明導電膜42、第八透明導電膜43、第九透明導電膜44、第十透明導電膜45)が積層されたものとなる。ゆえに、透明基板上に4つの膜(第七透明導電膜42、第八透明導電膜43、第九透明導電膜44、第十透明導電膜45)が積層された最表面、すなわち、第十透明導電膜45の表面は、4つの膜が全て連続した膜であることから、自ずと巨視的に平坦な表面プロファイルとなる。
【0058】
そのため、第十透明導電膜45の下層に位置する3つの膜(第七透明導電膜42、第八透明導電膜43、第九透明導電膜44)に内在する低抵抗部Lを接続させることにより、第十透明導電膜45の電極部(RX、TX)から延びる配線部が、たとえ交差するようなレイアウトを採用したとしても、配線部とそれ以外との境界において段差が発生しない。よって、本実施形態に係るタッチパネルでは、「交差部に起因して段差が生じ、上部電極の平坦性が損なわれ、導通性が不安定となる問題」が、表示領域46の全域にわたって解消される。
【0059】
(4c)表示領域において各電極部(第十透明導電膜45)から延びる配線は全て、第十透明導電膜45の下層に位置する3つの膜(第七透明導電膜42、第八透明導電膜43、第九透明導電膜44)に内在する低抵抗部Lを接続させることにより構成されている。ゆえに、第十透明導電膜45からなる表示領域内の各電極部の形状は、極めて高い自由度をもつことが可能となる。
図9(b)には、各電極部が円形をなす一例を示したが、円形に限定されるものではなく、三角形、四角形、矩形、楕円形、あるいは不定形でも良いし、これらの組み合わせとしても構わない。またその大きさ(面積)も調整可能である。これにより、たとえば、表示領域内において、中央部は高密度に検出可能な領域として、周縁部は低密度となるように各電極部を配置することにより、面内感度が局所的に制御されたタッチパネルの提供も可能となる。
【0060】
<第六実施形態>
図10は、本実施形態におけるタッチパネルを示す図であり、(a)は全体平面図、(b)は表示領域の一部δを示す拡大平面図、(c)は(b)に示した線分D2−D2に対応する拡大断面図である。
【0061】
本実施形態(第六実施形態)は、第五実施形態の派生形の一例である。具体的には、
図10(c)に示すとおり、表示領域46を断面視する方向から見て、第十透明導電膜45の低抵抗部からなる一方の電極部L(X)と他方の電極部L(Y)が、階層の異なる第七透明導電膜42の低抵抗部と第八透明導電膜43の低抵抗部に、それぞれ電気的に接続されている。これに加えて、表示領域46を平面視する方向から見て、第七透明導電膜42の低抵抗部が延設される方向(
図10ではX方向)と、第八透明導電膜43の低抵抗部が延設される方向(
図10ではX方向)とが、並行をなすように構成されている。
すなわち、本実施形態は、
図10(b)に示すとおり、一方の電極部L(X)と他方の電極部L(Y)が、碁盤目状に配列された構成例である。
【0062】
本実施形態の構成によれば、タッチパネル40における表示領域46を囲む外周領域46osのうち、特定の一辺(たとえば、
図10(a)において上辺)、あるいは、対向する側に位置する二辺(たとえば、
図10(a)において上辺と下辺)に、第十透明導電膜45の低抵抗部からなる一方の電極部L(X)と他方の電極部L(Y)が、それぞれ電気的に接続されるように、配線を構築することができる。
【0063】
<第七実施形態>
図11は、本実施形態におけるタッチパネルを示す図であり、(a)は全体平面図、(b)は表示領域の一部δを示す拡大平面図、(c)は(b)に示した線分D3−D3に対応する拡大断面図である。
【0064】
本実施形態(第七実施形態)は、第五実施形態の派生形の一例である。具体的には、
図11(c)に示すとおり、表示領域46を断面視する方向から見て、第十透明導電膜45の低抵抗部からなる一方の電極部L(X)と他方の電極部L(Y)が、階層の異なる第七透明導電膜42の低抵抗部と第九透明導電膜44の低抵抗部に、それぞれ電気的に接続されている。これに加えて、表示領域46を平面視する方向から見て、第七透明導電膜42の低抵抗部が延設される方向(
図11ではX方向)と、第九透明導電膜44の低抵抗部が延設される方向(
図11ではY方向)とが、直交をなすように構成されている。
すなわち、本実施形態は、
図11(b)に示すとおり、一方の電極部L(X)と他方の電極部L(Y)が、千鳥状に配列された構成例である。
【0065】
本実施形態の構成によれば、タッチパネル40における表示領域46を囲む外周領域46osのうち、特定の近接する二辺(たとえば、
図10(a)において上辺と右辺)に、第十透明導電膜45の低抵抗部からなる一方の電極部L(X)と他方の電極部L(Y)が、それぞれ電気的に接続されるように、配線を構築することができる。
【0066】
<第八実施形態>
図12は、本実施形態におけるタッチパネルを示す図であり、(a)は全体平面図、(b)は表示領域と外周領域を含む一部εを示す拡大平面図、(c)は(b)に示した線分D4−D4に対応する拡大断面図、(d)は(b)に示した線分D5−D5に対応する拡大断面図である。
【0067】
本実施形態(第八実施形態)は、上述した第五実施形態の派生形であり、各層42、43、44、45は全て透明導電膜から構成されている。すなわち、
本実施形態に係るタッチパネル40は、表示領域46内とともに、この表示領域46を囲む外周領域46osにおいても、前記透明導電膜の構成を有する。つまり、透明基板41側から順に重ねて積層された、第七透明導電膜42、第八透明導電膜43、第九透明導電膜44、第十透明導電膜45は何れも、上述した透明導電膜の構成(第五〜第七実施形態にて説明した、透明導電膜の中に低抵抗部と高抵抗部とが局在した構成)を備えている。
【0068】
また、外周領域46osを断面視する方向から見て、第十透明導電膜45の低抵抗部からなる一方の電極部L(X)と他方の電極部L(Y)が各々、外周領域46osのうち、異なる一辺を構成する範囲に配置されており、かつ、上述した第六実施形態または第七実施形態の表示領域46内における構成と電気的に接続されている。
【0069】
ここで、上述した第六実施形態または第七実施形態の表示領域46内における構成とは、「表示領域46を断面視する方向から見て、第七透明導電膜42、第八透明導電膜43、第九透明導電膜44、第十透明導電膜45の中の低抵抗部L(X)、L(Y)が、
図12(c)、(d)に示すように、電気的に接続された構成を意味する。
【0070】
第七透明導電膜42、第八透明導電膜43、第九透明導電膜44、第十透明導電膜45の中の低抵抗部L(X)、L(Y)と高抵抗部Hは、第一及び第二実施形態において説明した手法により作製する。
これにより、タッチパネル40は、上述した第五実施形態の作用・効果(4a)〜(4c)に加えて、以下の作用・効果が得られる。
(4d)表示領域46を囲む外周領域46osにおいても、透明導電膜の構成は表示領域46と同一の積層構造が維持される。ゆえに、第八実施形態のタッチパネル40は、表示領域46とこれを囲む外周領域46osとが、完全に平坦な形状を有することが可能となる。よって、第八実施形態によれば、表示領域46のみならず、これを囲む外周領域46osにおいても、電極パターンが見え難く、良好な視認性が確保される。
【0071】
<第九実施形態>
図13は、本実施形態におけるタッチパネルを示す図であり、反射防止層(Anti Reflection Layer:AR層)を設けた構成例である。
図13(a)は反射防止層が透明基板と前記透明導電膜との間に配置された場合であり、
図13(b)は反射防止層が透明導電膜上に配置された場合を示している。すなわち、
図13は、本発明に係るタッチパネルを備える表示装置(
図2)において、反射防止層ARLを追加した2種類の構成例を表すものである。さらに、反射防止層が、透明基板と透明導電膜との間と透明導電膜の上に、透明導電膜を挟むように配置される構成、すなわち、
図13(a)と
図13(b)の構成を重ね合わせた配置も可能である。
【0072】
第一乃至第八実施形態に説明したように、本発明における電極部として機能する透明導電膜は何れも、巨視的に平坦な表面を有する連続した膜である。ゆえに、たとえ2層以上を重ねた積層構造とした場合でも、界面や最表面は連続した膜のプロファイルが維持されることになる。よって、
図13(a)や
図13(b)に示すように、反射防止層が配置される積層位置に依存することなく、どちらの構成例においても、反射防止層は自ずと巨視的に平坦な表面を有する連続した膜となる。
したがって、反射防止層を付加した構成を採用することにより、さらに優れた視認性を有するタッチパネルを提供することが可能となる。
【0073】
<第十実施形態>
第一乃至第九実施形態においては、
図1に示した基本構造(透明基板/透明導電膜、透明導電膜は、その膜面内に局在する低抵抗部と高抵抗部から構成されており、前記低抵抗部どうしの間には前記高抵抗部が配置される)を、タッチパネルに適用する事例について詳細に説明した。
【0074】
しかしながら、
図1の基本構造を有する透明導電性基板、すなわち、「透明基板と、前記透明基板に配された透明導電膜とを含み、前記透明導電膜は、膜表面が平坦であり、かつ、膜面内に局在する低抵抗部と高抵抗部から構成されており、前記低抵抗部どうしの間には前記高抵抗部が配されている透明導電性基板」は、タッチパネル以外の用途にも十分に使用することができる。たとえば、各種デバイスを載置する配線基板、多層配線構造を有する配線基板、各種デバイス間に配置されるインターポーザー、熱電回路を設けた窓ガラスやレンズ、ミラーなど、多種多様な用途において活用することができる。
【0075】
何れの用途先においても、透明導電膜が、「巨視的に平坦な表面を有する連続した膜であり、その膜面内に局在する低抵抗部と高抵抗部から構成され、前記低抵抗部どうしの間には前記高抵抗部が配置される」という基本構成は、極めて有効に機能する。すなわち、透明導電膜はその最表面が平坦性が確保されているので、配線基板やインターポーザー用途においては、デバイスを載置する場合の安定性に優れるとともに、デバイスのピン配置に応じて自由に導電部を設定することが可能となる。窓ガラスやレンズ、ミラー用途においては、それぞれの光学設計に影響を及ぼすことなく、自由に導電部を設定することが可能となる。
【0076】
このような透明導電性基板においても、
図13に示したように、反射防止機能を備えることは有効である。すなわち、「透明基板と透明導電膜との間、及び、透明導電膜上、あるいは何れか一方に反射防止膜を配置」することにより、光学的にさらに優れた特性を有する透明導電性基板が得られる。