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特開2016-164942半導体装置の製造方法および半導体積層構造物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-164942(P2016-164942A)
(43)【公開日】2016年9月8日
(54)【発明の名称】半導体装置の製造方法および半導体積層構造物
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3205 20060101AFI20160815BHJP
   H01L 21/768 20060101ALI20160815BHJP
   H01L 23/522 20060101ALI20160815BHJP
   H01L 29/786 20060101ALI20160815BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20160815BHJP
   H01L 27/12 20060101ALI20160815BHJP
   H01L 21/822 20060101ALI20160815BHJP
   H01L 27/04 20060101ALI20160815BHJP
   H01L 21/301 20060101ALI20160815BHJP
【FI】
   H01L21/88 S
   H01L29/78 623A
   H01L29/78 626C
   H01L29/78 627Z
   H01L27/12 Z
   H01L27/04 H
   H01L21/78 F
   H01L21/78 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-45133(P2015-45133)
(22)【出願日】2015年3月6日
(71)【出願人】
【識別番号】308033711
【氏名又は名称】ラピスセミコンダクタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100099025
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】小松原 弘毅
【テーマコード(参考)】
5F033
5F038
5F063
5F110
【Fターム(参考)】
5F033GG03
5F033HH08
5F033JJ19
5F033KK01
5F033KK08
5F033KK25
5F033KK27
5F033KK28
5F033KK29
5F033NN08
5F033PP06
5F033PP17
5F033QQ08
5F033QQ09
5F033QQ38
5F033QQ48
5F033QQ70
5F033QQ82
5F033RR04
5F033SS02
5F033VV01
5F033XX00
5F038BH13
5F038CA13
5F038CD18
5F038EZ06
5F038EZ14
5F038EZ15
5F038EZ16
5F038EZ19
5F038EZ20
5F063AA08
5F063BA13
5F063BA23
5F063CA01
5F063CA04
5F063CC10
5F110AA21
5F110DD05
5F110DD13
5F110HL04
5F110HL14
5F110HL23
5F110HL24
5F110HL27
5F110NN02
5F110NN03
(57)【要約】
【課題】イオン化スパッタ等の半導体層への電荷照射を伴う手法を用いた配線形成工程において、チップサイズの増大を伴うことなく半導体層への電荷の蓄積を抑制する。
【解決手段】基板層、基板層の上に設けられた第1の絶縁体層、および第1の絶縁体層の上に設けられた半導体層を含む半導体基板を準備する。半導体層の表面に第2の絶縁体層を形成する。スクライブラインによって画定される半導体基板のデバイス領域において、第2の絶縁体層を貫通して半導体層に達する導電性を有する第1のコンタクトを形成する。半導体基板のスクライブラインに対応する領域において、第2の絶縁体層を貫通して基板層に達する導電性を有する第2のコンタクトを形成する。第2の絶縁体層の表面に第1のコンタクトおよび第2のコンタクトに電気的に接続された第1の配線を形成する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板層、前記基板層の上に設けられた第1の絶縁体層、および前記第1の絶縁体層の上に設けられた半導体層を含む半導体基板を準備する工程と、
前記半導体層の表面に第2の絶縁体層を形成する工程と、
スクライブラインによって画定される前記半導体基板のデバイス領域において、前記第2の絶縁体層を貫通して前記半導体層に達する導電性を有する第1のコンタクトを形成する工程と、
前記半導体基板の前記スクライブラインに対応する領域において、前記第2の絶縁体層を貫通して前記基板層に達する導電性を有する第2のコンタクトを形成する工程と、
前記第2の絶縁体層の表面に前記第1のコンタクトおよび前記第2のコンタクトに電気的に接続された第1の配線を形成する工程と、
を含む半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記第1の配線を、前記第1のコンタクトに接続された部分と前記第2のコンタクトに接続された部分とに分離する工程を更に含む、
請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記第1の配線の、前記第1のコンタクトに接続された部分と前記第2のコンタクトに接続された部分との分離を、前記第1の配線のパターニングとともに行う
請求項2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記第1の配線を形成した後に、前記第2のコンタクトを除去しつつ前記半導体基板を前記スクライブラインに沿って切断する工程を更に含む
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項5】
第2の絶縁体層を形成する前に、前記半導体基板の前記スクライブラインに対応する領域において、前記半導体層および前記第1の絶縁体層を除去して前記基板層を露出させる工程および前記基板層の露出部に合金層を形成する工程を更に含み、
前記第2のコンタクトを前記合金層に接続させる
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項6】
前記第1の配線を覆う第3の絶縁体層を形成する工程と、
前記半導体基板の前記デバイス領域において、前記第3の絶縁体層を貫通して前記第1の配線の、前記第1のコンタクトに接続された部分に達する導電性を有する第1のビアを形成する工程と、
前記半導体基板の前記スクライブラインに対応する領域において、前記第3の絶縁体層を貫通して前記第1の配線の、前記第2のコンタクトに接続された部分に達する導電性を有する第2のビアを形成する工程と、
前記第3の絶縁体層の表面に前記第1のビアおよび前記第2のビアに電気的に接続された第2の配線を形成する工程と、
を更に含む請求項2に記載の製造方法。
【請求項7】
基板層、前記基板層の上に設けられた第1の絶縁体層、および前記第1の絶縁体層の上に設けられた半導体層を含み、スクライブラインによって画定されたデバイス領域を有する半導体基板と、
前記半導体層の表面に設けられた第2の絶縁体層と、
前記半導体基板の前記デバイス領域において、前記第2の絶縁体層を貫通して前記半導体層に達する導電性を有する第1のコンタクトと、
前記半導体基板の前記スクライブラインに対応する領域において、前記第2の絶縁体層を貫通して前記基板層に達する導電性を有する第2のコンタクトと、
前記第2の絶縁体層の表面に設けられ、前記第1のコンタクトおよび前記第2のコンタクトに電気的に接続された第1の配線と、
を含む半導体積層構造物。
【請求項8】
前記半導体基板の前記スクライブラインに対応する領域において、前記基板層の表面に設けられた合金層を更に含み、
前記第2のコンタクトは、前記合金層に接続されている
請求項7に記載の半導体積層構造物。
【請求項9】
前記第1の配線は、前記第1のコンタクトに接続された部分と、前記第2のコンタクトに接続された部分とに分離されている、
請求項7または請求項8に記載の半導体積層構造物。
【請求項10】
前記第1の配線を覆う第3の絶縁体層と、
前記半導体基板の前記デバイス領域において、前記第3の絶縁体層を貫通して前記第1の配線の、前記第1のコンタクトに接続された部分に達する導電性を有する第1のビアと、
前記半導体基板の前記スクライブラインに対応する領域において、前記第3の絶縁体層を貫通して前記第1の配線の、前記第2のコンタクトに接続された部分に達する導電性を有する第2のビアと、
前記第3の絶縁体層の表面に設けられ、前記第1のビアおよび前記第2のビアに電気的に接続された第2の配線と、
を更に含む請求項9に記載の半導体積層構造物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法および半導体積層構造物に関する。
【背景技術】
【0002】
SOI(Silicon On Insulator)基板は、基板層と、その上に形成される半導体層とが埋め込み酸化膜層(BOX(Buried Oxide)層ともいう)によって絶縁分離された構造を有する。SOI基板によれば、半導体層に形成される素子間の絶縁分離を容易に行うことが可能となる。
【0003】
しかしながら、SOIデバイスにおいては、半導体層が基板層から絶縁分離されていることから、製造工程において実施されるプラズマ処理等によって半導体層に電荷が蓄積されやすく、この電化によって生ずる電界によって半導体層の表面に形成されるゲート酸化膜が劣化してしまうおそれがある。SOI基板の半導体層における電荷蓄積を抑制する技術として、例えば以下のものが知られている。
【0004】
例えば、特許文献1には、SOI基板の半導体層の上に絶縁体層およびマスク層を形成し、マスク層を介したドライエッチングにより、SOI基板の基板層に達する第1のコンタクトホールおよびSOI基板の半導体層に達する第2のコンタクトホールを形成するとともに、ドライエッチングによって生ずる導電性を有する生成物を第1および第2のコンタクトホールの内壁面およびマスク層の表面に堆積させて半導体層と基板層とを電気的に接続することが記載されている。
【0005】
また、特許文献2には、チップ領域を分離するスクライブラインにおいて、プラズマを利用した処理によって埋め込み酸化膜下の半導体基板の表面を露出させることにより、プラズマにより発生するチャージアップ電荷を半導体基板に逃がすことが記載されている。
【0006】
また、特許文献3には、SOI基板の半導体層にトランジスタと素子分離領域とを形成し、これらを絶縁膜で覆い、絶縁膜、素子分離領域及びSOI基板の埋め込み酸化膜層を貫通してSOI基板の基板層を露出する第1開口部を形成し、トランジスタに電気的に接続される配線と、この配線に接続されかつ第1開口部を介してSOI基板の基板層と電気的に接続されるダミー配線とを、絶縁膜上に形成することが記載されている。引用文献3には、配線パターン形成工程において配線に電荷が入り込んだとしても、これらの電荷はダミー配線を介してSOI基板の基板層に逃がすことができる旨が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2013−191676号公報
【特許文献2】特開平9−63994号公報
【特許文献3】特開2005−5577号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
半導体装置の配線を構成する金属膜の形成手法として、イオン化スパッタ(IMP: Ionized metal Plasma)法が知られている。イオン化スパッタ法は、ターゲットから飛散するスパッタ粒子をイオン化し、基板にバイアス電圧を印加することでイオン化したスパッタ粒子を基板に対し垂直に引き込む手法である。イオン化スパッタ法によれば、配線を形成するスパッタ粒子は、電荷を帯びているので、SOI基板の半導体層における電荷蓄積を抑制するための措置が必要となる。
【0009】
上記の特許文献1および2に記載の手法は、配線を形成する際の半導体層における電荷蓄積を抑制し得るものではない。また、特許文献3に記載の手法によれば、SOI基板の基板層に電荷を逃がすための領域を半導体チップ内に形成する必要があることから、半導体チップのサイズが増大するというデメリットがある。
【0010】
本発明は、上記した点に鑑みてなされたものであり、イオン化スパッタ等の半導体層への電荷照射を伴う処理を含む配線形成工程において、チップサイズの増大を伴うことなく半導体層への電荷の蓄積を抑制することができる半導体装置の製造方法および半導体積層構造物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る半導体装置の製造方法は、基板層、前記基板層の上に設けられた第1の絶縁体層、および前記第1の絶縁体層の上に設けられた半導体層を含む半導体基板を準備する工程と、前記半導体層の表面に第2の絶縁体層を形成する工程と、スクライブラインによって画定される前記半導体基板のデバイス領域において、前記第2の絶縁体層を貫通して前記半導体層に達する導電性を有する第1のコンタクトを形成する工程と、前記半導体基板の前記スクライブラインに対応する領域において、前記第2の絶縁体層を貫通して前記基板層に達する導電性を有する第2のコンタクトを形成する工程と、前記第2の絶縁体層の表面に前記第1のコンタクトおよび前記第2のコンタクトに電気的に接続された第1の配線を形成する工程と、を含む。
【0012】
本発明に係る半導体積層構造物は、基板層、前記基板層の上に設けられた第1の絶縁体層、および前記第1の絶縁体層の上に設けられた半導体層を含み、スクライブラインによって画定されたデバイス領域を有する半導体基板と、前記半導体層の表面に設けられた第2の絶縁体層と、前記半導体基板の前記デバイス領域において、前記第2の絶縁体層を貫通して前記半導体層に達する導電性を有する第1のコンタクトと、前記半導体基板の前記スクライブラインに対応する領域において、前記第2の絶縁体層を貫通して前記基板層に達する導電性を有する第2のコンタクトと、前記第2の絶縁体層の表面に設けられ、前記第1のコンタクトおよび前記第2のコンタクトに電気的に接続された第1の配線と、を含む。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る半導体装置の製造方法および半導体積層構造物によれば、イオン化スパッタ等の半導体層への電荷照射を伴う手法を用いた配線形成工程において、チップサイズの増大を伴うことなく半導体層への電荷の蓄積を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
図2】本発明の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
図3】本発明の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
図4】本発明の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
図5】本発明の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
図6】本発明の実施形態に係るSOI基板の平面図である。
図7】本発明の実施形態に係るスクライブライン上に設けられるコンタクトの配置を示す平面図である。
図8】本発明の実施形態に係るスクライブライン上に設けられるコンタクトの配置を示す平面図である。
図9】本発明の実施形態に係るスクライブライン上に設けられるコンタクトの配置を示す平面図である。
図10】本発明の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
図11】本発明の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態の一例を図面を参照しつつ説明する。なお、各図面において、同一または対応する構成要素および部分には、同一の参照符号を付与している。図1図5は、本発明の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【0016】
はじめに、基板層11、埋め込み酸化膜層(BOX層)12および半導体層(SOI層)13が積層されて構成されるSOI基板10を用意する(図1(a))。基板層11は、例えばシリコン等の半導体材料により構成され得るが、これに限定されるものではなく、導電体材料などによって構成されていてもよい。半導体層13は、例えばシリコン等の半導体材料により構成され得るが、これに限定されるものではなく、シリコン以外の他の半導体材料により構成されていてもよい。
【0017】
なお、図1図5には、スクライブラインSLと、スクライブラインSLを間に挟んで隣接する2つのデバイス領域Dが示されている。図6は、SOI基板10の平面図である。スクライブラインSLは、SOI基板10をダイシングによって切断するための切りしろであり、SOI基板10上を格子状に伸長している。デバイス領域Dは、スクライブラインSLによって画定される矩形形状のチップ領域である。すなわち、ダイシング工程において、スクライブラインSLに沿ってSOI基板10を切断することで、デバイス領域Dが、半導体チップとして切り出される。なお、SOI基板10は本発明における半導体基板の一例である。また、基板層11は本発明における基板層の一例であり、埋め込み酸化膜層12は本発明における第1の絶縁体層の一例であり、半導体層13は本発明における半導体層の一例である。
【0018】
次に、公知のLOCOS(local oxidation of silicon)法、STI(Shallow Trench Isolation)法またはDTI(Deep Trench Isolation)法などにより、半導体層13を複数領域に電気的に分離する絶縁分離層14を形成する。その後、SOI基板10のデバイス領域Dにおける半導体層13にトランジスタ等の半導体素子(図示せず)を形成する(図1(b))。
【0019】
次に、ドライエッチングまたはウェットエッチングにより、スクライブラインSLに対応する領域において、SOI基板10の半導体層13および埋め込み酸化膜層12を除去し、開口部15を形成する。すなわち、スクライブラインSLに対応する領域において、基板層11の表面を露出させる(図1(c))。
【0020】
次に、開口部15の底面において露出した基板層11の表面に合金層16を形成する(図2(a))。合金層16は、基板層11と、基板層11に接続される後述する基板コンタクト23との間の接触抵抗を低減させる役割を担う。合金層16は、例えば、基板層11の表面をシリサイド化することにより形成することができる。例えば、基板層11の露出部分にコバルトを堆積し、RTA(Rapid Thermal Anneal)処理を実施する。この熱処理により、コバルトとシリコンが反応し、合金層16が形成される。その後、硫酸過水やアンモニア過水等を用いた洗浄により、未反応のコバルトが除去される。コバルトに代えてモリブテン、タングステン、チタンまたはニッケルなどを用いてもよい。なお、デバイス領域Dに形成されたトランジスタ(図示せず)のソース、ドレインおよびゲートの表面に自己整合的に合金層を形成するサリサイド工程において、合金層16を形成してもよい。合金層16は、本発明における合金層の一例である。
【0021】
次に、半導体層13の表面を全体的に覆い且つ開口部15を埋めるように、絶縁体層20を形成する(図2(b))。絶縁体層20は、例えば、シラン(SiH)ガスと酸素(O)ガスとを材料ガスとして用いたCVD(Chemical Vapor Deposition)法により半導体層13の表面を全体的にSiO膜で覆うことにより形成される。なお、絶縁体層20をSiO以外の他の絶縁体により構成することも可能である。絶縁体層20は、本発明における第2の絶縁体層の一例である。
【0022】
次に、公知のフォトリソグラフィー技術を用いて絶縁体層20の表面にレジスト(図示せず)を形成した後、このレジストを介したエッチングにより絶縁体層20にコンタクトホール21を形成する。コンタクトホール21は、デバイス領域Dの所定位置に形成されるとともに、スクライブラインSLに対応する領域に形成される。デバイス領域Dの所定位置に形成されるコンタクトホール21は、半導体層13に達しており、スクライブラインSLに対応する領域に形成されるコンタクトホール21は、基板層11に達している。(図2(c))。
【0023】
次に、絶縁体層20に形成されたコンタクトホール21の各々を埋める導電性を有する複数のデバイスコンタクト22および複数の基板コンタクト23を形成する(図3(a))。デバイス領域Dに形成されるデバイスコンタクト22の各々は、絶縁体層20を貫通して半導体層13に達している。すなわち、デバイスコンタクト22は、半導体層13に形成されたトランジスタ等の半導体素子(図示せず)に電気的に接続される。一方、スクライブラインSLに対応する領域に形成される基板コンタクト23の各々は、絶縁体層20を貫通して基板層11に達している。すなわち、基板コンタクト23の各々は、合金層16を介して基板層11に電気的に接続される。基板層11の表面に合金層16が形成されていることにより、基板コンタクト23と基板層11との間の接触抵抗を小さくすることができる。デバイスコンタクト22および基板コンタクト23の各々の上端面は、絶縁体層20の表面と略同一面内に延在している。デバイスコンタクト22および基板コンタクト23の各々は、例えば、CVD法により、タングステン(W)等の導電体を、コンタクトホール21の各々を埋めるように絶縁体層20の表面に堆積させ、その後、絶縁体層20の表面に堆積した不要な導電体をCMP(Chemical Mechanical Polishing)またはエッチバックにより除去することにより形成することができる。なお、デバイスコンタクト22は、本発明における第1のコンタクトの一例であり、基板コンタクト23は、本発明における第2のコンタクトの一例である。
【0024】
次に、イオン化スパッタ法により、絶縁体層20の表面に第1の配線層M1を構成する配線24を形成する(図3(b))。本工程において、SOI基板10にはバイアス電圧が印加され、配線24の材料であるイオン化された金属粒子が絶縁体層20の表面に供給される。配線24を構成する材料として例えばアルミニウム(Al)を好適に用いることができるが、これに限定されるものではない。配線24は、デバイス領域Dに形成されたデバイスコンタクト22の各々に電気的に接続されるとともに、スクライブラインSLに対応する領域に形成された基板コンタクト23の各々に接続される。すなわち、半導体層13は、デバイスコンタクト22、配線24および基板コンタクト23を介して基板層11に電気的に接続される。換言すれば、半導体層13と基板層11との間に、これらを電気的に接続する導電経路が形成される。これにより、本工程において半導体層13に注入された電荷は、デバイスコンタクト22、配線24および基板コンタクト23を介して基板層11に移動することができ、半導体層13における電荷の蓄積が抑制される。なお、配線24は、本発明における第1の配線の一例である。
【0025】
次に、公知のフォトリソグラフィー技術を用いて配線24の表面にレジスト(図示せず)を形成した後、このレジストを介したエッチングにより配線24のパターニングを行う(図3(c))。本工程において、配線24のデバイスコンタクト22に接続された配線部分24aと、配線24の基板コンタクト23に接続された配線部分24bとを分離する。すなわち、配線24のパターニングが行われるとともに、半導体層13と基板層11との間に形成された導電経路が分離される。
【0026】
次に、配線24(配線部分24aおよび24b)を覆うように絶縁体層30を形成する(図4(a))。絶縁体層30は、先に形成された絶縁体層20と同様の方法によって形成することが可能である。絶縁体層30は、本発明における第3の絶縁体層の一例である。
【0027】
次に、デバイス領域DおよびスクライブラインSLに対応する領域において絶縁体層30にビアホール(図示せず)を形成した後、このビアホールの各々を埋める導電性を有する複数のビア32および33を形成する(図4(b))。デバイス領域Dに形成されるビア32の各々は、絶縁体層30を貫通して配線24のデバイスコンタクト22に接続された配線部分24aに達している。すなわち、ビア32は、配線部分24aおよびデバイスコンタクト22を介して半導体層13に電気的に接続される。一方、スクライブラインSLに対応する領域に形成されるビア33の各々は、絶縁体層30を貫通して配線24の基板コンタクト23に接続された配線部分24bに達している。すなわち、ビア33は、配線部分24bおよび基板コンタクト23を介して基板層11に電気的に接続される。ビア32および33は、デバイスコンタクト22および基板コンタクト23と同様の方法によって形成することが可能である。なお、ビア32は、本発明における第1のビアの一例であり、ビア33は、本発明における第2のビアの一例である。
【0028】
次に、イオン化スパッタ法により、絶縁体層30の表面に第2の配線層M2を構成する配線34を形成する(図4(c))。配線34は、第1の配線層M1における配線24と同様の方法によって形成することが可能である。すなわち、本工程において、SOI基板10にはバイアス電圧が印加され、配線34の材料であるイオン化された金属粒子が絶縁体層30の表面に供給される。配線34は、デバイス領域Dに形成されたビア32の各々に電気的に接続されるとともに、スクライブラインSLに対応する領域に形成されたビア33の各々に接続される。すなわち、半導体層13は、デバイスコンタクト22、配線24(配線部分24a)、ビア32、配線34、ビア33、配線24(配線部分24b)および基板コンタクト23を介して基板層11に電気的に接続される。換言すれば、半導体層13と基板層11との間に、これらを電気的に接続する導電経路が再び形成される。これにより、本工程において半導体層13に注入された電荷は、デバイスコンタクト22、配線24(配線部分24a)、ビア32、配線34、ビア33、配線24(配線部分24b)および基板コンタクト23を介して基板層11に移動することができ、半導体層13における電荷の蓄積が抑制される。なお、配線34は、本発明における第2の配線の一例である。
【0029】
次に、公知のフォトリソグラフィー技術を用いて配線34の表面にレジスト(図示せず)を形成した後、このレジストを介したエッチングにより配線34のパターニングを行う(図5(b))。本工程において、配線34のビア32に接続された配線部分34aと、配線34のビア33に接続された配線部分34bとを分離する。すなわち、配線34のパターニングが行われるとともに、半導体層13と基板層11との間に形成された導電経路が分離される。
【0030】
以降、上記と同様の方法により、絶縁体層の形成、ビアの形成、配線の形成および配線のパターニングを繰り返し実施し、複数の配線層を形成する(図5(b))。図5(b)には、配線層M1〜M5を有する半導体積層構造物100の構成が例示されているが、配線層の層数は、適宜変更することが可能である。各配線層M3〜M5を構成する配線は、配線24および34と同様、イオン化スパッタ法により形成され得る。従って、各配線層M3〜M5を構成する配線の形成時に、半導体層13に電荷が注入され得るが、半導体層13に注入された電荷は、デバイス領域DおよびスクライブラインSLに対応する領域に設けられたコンタクトおよびビアを介して基板層11に移動することができるので、半導体層13における電荷の蓄積が抑制される。
【0031】
次に、ダイシングブレード200によって、スクライブラインSLに沿ってSOI基板10を切断する。これにより、複数のデバイス領域Dに対応する複数の半導体チップが個片化される。
【0032】
以上のように、本実施形態に係る半導体装置の製造方法によれば、イオン化スパッタ法を用いた配線形成工程において半導体層13は、デバイスコンタクト22、配線および基板コンタクト23を介して基板層11に電気的に接続される。これにより、配線形成工程において半導体層13に注入された電荷を基板層11に引き抜くことができ、半導体層13における電荷の蓄積を抑制することが可能となる。また、基板層11に電気的に接続される基板コンタクト23は、スクライブラインSLに対応する領域に設けられるので、基板コンタクト23をデバイス領域Dに設ける場合と比較して、半導体チップの面積を小さくすることが可能となる。すなわち、本実施形態に係る半導体装置の製造方法によれば、イオン化スパッタ法を用いた配線形成工程において、チップサイズの増大を伴うことなく半導体層への電荷の蓄積を抑制することが可能となる。
【0033】
また、本実施形態に係る半導体装置の製造方法によれば、配線24のデバイスコンタクト22に接続された配線部分24aと、配線24の基板コンタクト23に接続された配線部分24bとを分離する配線分離工程は、配線24をパターニングするためのエッチング工程において実施されるので、配線分離のための新たな工程の追加が不要である。
【0034】
また、本実施形態に係る半導体装置の製造方法によれば、基板層11における基板コンタクト23との接続面には、合金層16が設けられているので、基板層11と基板コンタクト23との間の接触抵抗を低減することができる。これにより、半導体層13と基板層11との間に形成される導電経路の抵抗を低減することができ、半導体層13に注入された電荷を基板層11に引き抜く効果を促進することが可能となる。
【0035】
図7は、基板層11に接続される基板コンタクト23の配置の一例を示す平面図である。図7に示すように、複数の基板コンタクト23によって構成されるコンタクト群23Aが、SOI基板10のスクライブラインSL上に配置され得る。
【0036】
図8は、基板層11に接続される基板コンタクト23の配置の他の例を示す平面図である。複数の基板コンタクト23は、矩形形状を有するデバイス領域Dの各辺に沿って均一間隔で設けられていてもよい。これにより、半導体層13と基板層11との間に形成される導電経路上の抵抗の大きさの偏りを小さくすることができ、半導体層13に注入された電荷の基板層11への引き抜きを、デバイス領域Dの全体に亘り略均一に行うことができる。また、複数の基板コンタクト23は、スクライブラインSLの幅方向において、スクライブラインSLの中心線Cよりもデバイス領域D寄りに配置されていてもよい。このように、複数の基板コンタクト23をデバイス領域Dに近接して配置することで、半導体層13と基板層11との間に形成される導電経路の抵抗を低減することができ、半導体層13に注入された電荷を基板層11に引き抜く効果を促進することが可能となる。
【0037】
図9は、基板層11に接続される基板コンタクト23の配置の他の例を示す平面図である。複数の基板コンタクト23は、スクライブラインSLに沿って配置され、且つスクライブラインSLの幅方向において、中心線C寄りに配置されていてもよい。このように、複数の基板コンタクト23を、スクライブラインSLの中心線の近傍に配置することにより、ダイシング工程において、基板コンタクト23を完全に除去することが可能となる。従って、半導体層13と基板層11との間に形成される導電経路の切断を、ダイシング工程において行うことが可能となる。
【0038】
図10(a)および図10(b)は、半導体層13と基板層11との間に形成される導電経路の切断を、ダイシング工程において行う場合の製造方法を示す断面図であり、図5(b)および図5(c)に対応する。
【0039】
図10(a)に示すように、基板コンタクト23並びにビア33、43、53および63は、スクライブラインSLの中心付近に対応する領域に設けられている。配線層M1〜M5に設けられた各配線は、基板層11に電気的に接続されるとともに半導体層13に電気的に接続されている。すなわち、上記の実施形態においては、各配線層M1〜M5における配線をパターニングする際のエッチング処理において半導体層13と基板層11との間に形成された導電経路の切断を行っていたが、本実施形態においては、各配線層M1〜M5における配線のパターニングが完了した段階において、半導体層13と基板層11との間に形成された、これらを電気的に接続する導電経路は残存したままとなっている。
【0040】
図10(b)に示すように、ダイシング工程において、スクライブラインSLに対応する領域に設けられた基板コンタクト23並びにビア33、43、53および63を除去しつつ、スクライブラインSLに沿ってSOI基板10が切断される。これにより、半導体層13と基板層11との間に形成された導電経路が切断される。
【0041】
なお、半導体層13と基板層11との間に形成された導電経路の切断を、各配線をパターニングする際のエッチング処理において行うとともに、上記したようにダイシング工程において行ってもよい。これにより、エッチング処理が不完全であり、半導体層13と基板層11との間に形成された導電経路の切断が適正に行われていない場合でも、その後のダイシング工程において、上記導電経路の切断を確実に行うことが可能となる。
【0042】
また、上記の実施形態においては、スクライブラインSLに対応する領域において、基板層11の表面に合金層16を形成する場合を例示したが、合金層16を省略してもよい。この場合、スクライブラインSLに対応する領域において、図1(c)に示すような、開口部15を形成することを要しない。図11は、合金層16および開口部15の形成を省略した場合の構造を示す断面図であり、図3(b)に対応する。図11に示す構成においても、半導体層13に注入された電荷を基板層11に引き抜く効果を得ることが可能である。
【符号の説明】
【0043】
10 SOI基板
11 基板層
12 埋め込み酸化膜層
13 半導体層
16 合金層
20 絶縁体層
22 デバイスコンタクト
23 基板コンタクト
24 配線
100 半導体積層構造物
SL スクライブライン
D デバイス領域
M1〜M5 配線層
図6
図7
図8
図9
図1
図2
図3
図4
図5
図10
図11