【解決手段】画像表示装置1は、時間的に前後する2つのフレームに基づいて、フレームに記録される被写体の動きを抽出する抽出部121と、その抽出の結果に基づいて、フレームの領域を、被写体に動きがあるとされる動領域と、被写体に動きがないとされる静領域とに水平方向毎に分割する分割部122と、表示部10に映像を表示させる場合、静領域については1フレーム期間発光させ、動領域については、1フレーム期間よりも短い時間発光させると共に、静領域の輝度よりも高い輝度になるようにする制御部16と、を備える。制御部16は、さらに、動領域を構成する複数の水平ラインについて、動領域全体で同時に発光を開始し、動領域全体で同時に発光を終了させるよう表示部10を制御する。
【発明を実施するための形態】
【0020】
<第1実施形態>
まず、本発明の第1実施形態について説明する。
図1は、画像表示装置1の一実施形態について説明するためのブロック図である。
図2は、行駆動ドライバ部14について説明するための図である。
図3は、画素の構成を説明するための図である。
【0021】
図1に示すように、画像表示装置1は、表示部10と、映像入力部11と、動領域抽出部12と、時間アパーチャー制御部13と、行駆動ドライバ部14と、列駆動ドライバ部15と、を備える。時間アパーチャー制御部13と、行駆動ドライバ部14と、列駆動ドライバ部15とが、本発明の「制御部」(制御部16)の一実施形態に対応する。
【0022】
映像入力部11は、映像信号を入力する。映像入力部11は、映像信号に含まれるフレームを一時的に記憶するバッファ(図示せず)を備える。映像入力部11は、フレームをバッファに記憶させた後、バッファに記憶されたフレームIn−1と、映像信号に含まれる時間的に次のフレームInとを動領域抽出部12に供給する。また、映像入力部11は、フレームInをバッファに一時的に記憶する。
【0023】
動領域抽出部12は、抽出部121と、分割部122とを備える。
抽出部121は、時間的に前後する2つのフレームに基づいて、フレームに記録される被写体の動きを抽出する。すなわち、抽出部121は、フレームIn−1と、時間的に次のフレームInとに基づいて、被写体の動きを抽出する。
【0024】
例えば、抽出部121は、時間的に前後する2つのフレームに基づいて、フレーム間における各画素の被写体の動きの大きさ(動き量)を取得する。具体的な一例として、抽出部121は、フレームから16画素×16画素のブロックを抽出し、フレーム間でブロックマッチングを行うことにより、各画素の被写体の動きの大きさを取得する。抽出部121は、例えば、被写体の動きの大きさをVn(x,y)で表す。ここで、xは、0<x≦Nx(Nx:水平方向の画素数)の関係を満たす。また、yは、0<y≦Ny(Ny:垂直方向の画素数)の関係を満たす。
【0025】
分割部122は、抽出部121による抽出の結果に基づいて、フレームの領域を、被写体に動きがあるとされる動領域と、被写体に動きがないとされる静領域とに水平方向毎に分割する。すなわち、分割部122は、抽出部121による抽出の結果に基づいて、フレームの水平方向に対応する水平ライン毎に被写体が動く画素数の割合を求める。そして、分割部122は、水平ライン毎の割合のうち閾値を超える水平ラインを動領域とする。また、分割部122は、水平ライン毎の割合のうち閾値以下の水平ラインを静領域とする。
【0026】
具体的には、分割部122は、抽出部121によって抽出された被写体の動きの大きさVnに基づいて、水平ライン毎の被写体の動き量のヒストグラムHn(l)を作成する。ここで、lは、水平ラインの番号を表す。
【0027】
より詳細には、分割部122は、まず、水平ライン番号がy=lにおける被写体の動きの大きさVnに関して、被写体の動きの大きさVnが第1閾値Vthを超える画素の数を求める。ここで、一例として、第1閾値Vthは、4ピクセル/フレームである。したがって、分割部122は、各水平ラインについて、1フレームあたり4ピクセルを超える被写体の動きが有る画素の数を求める。次に、分割部122は、求めた画素数を、1つの水平ラインを構成する画素の数Nx(水平方向の画素数)で割った値Wを求める。各水平ラインについて値Wを求めることに基づいて、ヒストグラムHn(l)を作成する。次に、分割部122は、ヒストグラムHn(l)について、第2閾値Hthを超える水平ラインを動領域とする。すなわち、分割部122は、第2閾値Hthを超える値Wを有する水平ラインを動領域とする。一方、分割部122は、ヒストグラムHn(l)について、第2閾値Hth以下の水平ラインを静領域とする。すなわち、分割部122は、第2閾値Hth以下の値Wを有する水平ラインを静領域とする。
【0028】
時間アパーチャー制御部13は、分割部122によって分割された水平ライン毎の静領域又は動領域の情報を受け付ける。時間アパーチャー制御部13は、静領域については1フレーム期間のうち所定の期間発光させるよう設定する。ここで、本実施形態の場合、所定の期間は、1フレーム期間である。また、時間アパーチャー制御部13は、動領域については、所定の期間よりも短い期間発光させると共に、静領域の輝度よりも高い輝度になるよう設定する。一例として、時間アパーチャー制御部13は、静領域における所定の期間(本実施形態では1フレーム期間)の発光時間を100%とすると、動領域における1フレームの発光時間を25%とする。動領域における1フレームの発光時間は、映像のぼやけが分かりにくくなるように、適宜設定される。
【0029】
また、発光時間が変化すると輝度も変化してしまうため、発光時間に応じて発光輝度を変更する必要がある。このため、時間アパーチャー制御部13は、発光時間に応じて輝度を高くするため、輝度を下式(1)に基づいて変更する。
出力輝度=(入力輝度×100)/(時間アパーチャー[%]) …(1)
【0030】
ここで、入力輝度は、映像信号に記録された輝度である。時間アパーチャーは、前記所定の期間(本実施形態では1フレーム期間)の静領域の発光時間を100%とした場合、静領域の発光時間に対する動領域の発光時間を表す。すなわち、時間アパーチャーは、静領域の発光時間に対する、動領域の発光時間をパーセントで表したものである。
【0031】
一例として、動領域の発光時間が25%であると、出力輝度は、入力輝度を4倍した値となる。すなわち、時間アパーチャー制御部13は、発光輝度を変化させない場合に対して、動領域の発光輝度を4倍にして有機EL素子112を発光させるようにする。
時間アパーチャー制御部13は、動領域及び静領域に関するデータと、出力輝度に関するデータとを後段に供給する。
【0032】
列駆動ドライバ部15には、垂直方向に配される複数のデータ信号線DL(
図1には図示せず、
図3を参照)が接続される。列駆動ドライバ部15は、複数のデータ信号線DLのそれぞれにデータ信号を供給する。
【0033】
行駆動ドライバ部14には、水平方向に配される複数の選択信号線SL(
図1には図示せず、
図3を参照)が接続される。行駆動ドライバ部14は、複数の選択信号線SLのそれぞれに選択信号を供給する。また、行駆動ドライバ部14には、水平方向に沿う、複数の発光時間制御信号線113(
図1には図示せず、
図3を参照)が接続される。各発光時間制御信号線113には、その発光時間制御信号線113が配された水平方向に沿う領域に存在する発光時間制御用トランジスタTr3(
図3参照)が複数接続される。
【0034】
図2を参照して、行駆動ドライバ部14について説明する。なお、
図2では、水平ラインの数を100本とした例について記載しているが、水平ラインの数は100本に限定されることはない。
行駆動ドライバ部14は、発光制御用シフトレジスタ141と、AND回路142と、発光制御用アンプ143と、発光時間制御用シフトレジスタ144と、ラッチ145と、発光時間制御用アンプ146と、を備える。
【0035】
発光制御用シフトレジスタ141は、有機EL素子112(
図3参照)を発光させるか否かを制御するための選択信号を、表示パネル111(
図3参照)を構成する複数の水平ライン(選択信号線)について、1水平ライン毎に表示パネル111に順次出力する。
【0036】
AND回路142は、発光時間制御用シフトレジスタ144の後段に接続され、水平ライン(選択信号線)毎に配される。AND回路142は、発光制御用シフトレジスタ141から出力された選択信号と、ゲートパルスとの論理積を演算し、演算結果を、発光制御用アンプ143を介して選択信号線SLに供給する。
【0037】
発光時間制御用シフトレジスタ144は、発光制御用シフトレジスタ141が1水平ラインの選択信号を出力する期間毎に、複数の水平ライン全てについての、有機EL素子112の発光時間を制御するための発光時間制御信号を順次出力する。
【0038】
ラッチ145は、発光時間制御用シフトレジスタ144から出力されたデータを順次蓄積し、発光制御用シフトレジスタ141が1水平ラインの選択信号を出力する期間のうちの所定のタイミングで、蓄積した全ての発光時間制御信号を、発光時間制御用アンプ146及び発光時間制御信号線113を介して発光時間制御用トランジスタTr3に出力する。
なお、行駆動ドライバ部14の動作については、後述する。
【0039】
表示部10は、アクティブマトリクス型の表示パネル111を備える。
図1に示す表示部10は、複数の画素を備える。
図3に示すように、1つの画素は、選択トランジスタTr1と、駆動トランジスタTr2と、発光時間制御用トランジスタTr3と、保持容量Cと、有機EL素子112と、を備える。
【0040】
選択トランジスタTr1のゲート電極Gは、選択信号線SLに接続される。選択トランジスタTr1のドレイン電極Dは、データ信号線DLに接続される。選択トランジスタTr1のソース電極Sは、駆動トランジスタTr2のゲート電極Gと、保持容量Cに接続される。
【0041】
駆動トランジスタTr2のドレイン電極Dは、電源Vddと、保持容量Cに接続される。駆動トランジスタTr2のソース電極Sは、発光時間制御用トランジスタTr3のドレイン電極Dに接続される。発光時間制御用トランジスタTr3のソース電極Sは、有機EL素子112に接続される。発光時間制御用トランジスタTr3のゲート電極Gは、発光時間制御信号線113に接続される。
【0042】
次に、行駆動ドライバ部14の動作について説明する。
図4は、行駆動ドライバ部14の動作の一例について説明するための第1の図である。
図4(A)は、1フレーム期間、AND回路142に入力される信号と、発光制御用シフトレジスタ141に入力される信号とを示す図である。
図4(B)は、1の水平ラインに信号を供給するとき(1行駆動期間)に、発光制御用シフトレジスタ141に入力される信号と、ラッチ145に入力される信号と、発光時間制御用シフトレジスタ144に入力される信号とを示す図である。
図4(C)は、1行駆動期間、ラッチ145に入力される信号と、発光時間制御用シフトレジスタ144に入力される信号とを示す図である。
図5は、行駆動ドライバ部14の動作の一例について説明するための第2の図である。
【0043】
図4(A)に示すように、AND回路142の一方の入力には、ゲートパルスが順次入力される。
また、発光制御用シフトレジスタ141には、1フレーム期間の初期にゲート信号が入力されると共に、1フレーム期間にわったって第1クロック信号(CLK1)が順次入力される。
【0044】
図4(B)に示すように、1行駆動期間の間、発光制御用シフトレジスタ141には1の第1クロック信号(CLK1)が入力され、その第1クロック信号に対応してAND回路142には1のゲートパルスが入力される。また、発光時間制御用シフトレジスタ144には、1行駆動期間の間に、複数の水平ライン全てについての発光時間を制御するためのデータ信号が、第2クロック信号(CLK2)に同期させて入力される(
図4(B),(C)参照)。なお、
図2では100本の水平ラインが配される例を示しているので、
図4(C)においても100個のデータが入力される例を示す。
ラッチ145には、複数の水平ライン全てについてのデータ信号が入力された後、1行駆動期間の間に1つのラッチ信号が入力される。
なお、ゲートパルス、ゲート信号、第1クロック信号、データ信号、第2クロック信号、ラッチ信号は、制御部16において生成される。
【0045】
発光制御用シフトレジスタ141は、1行駆動期間の間に、入力されたゲート信号を1の水平ラインに対応するAND回路142に出力する。AND回路142は、入力されたゲート信号と、ゲートパルスの論理積を演算し、演算結果を選択信号として出力する。
また、発光時間制御用シフトレジスタ144は、第2クロック信号と同期したデータ信号を入力すると、複数の水平ライン全てについてのデータ信号をラッチ145に順次出力する。
【0046】
ラッチ145は、発光時間制御用シフトレジスタ144からデータ信号を入力すると蓄積し、複数の水平ライン全てについてのデータ信号を蓄積すると、入力されたラッチ信号に基づいて、全ての水平ラインについてデータ信号を発光時間制御信号として出力する。
【0047】
すなわち、行駆動ドライバ部14は、1行駆動期間において、1つの水平ライン(選択信号線)に対して選択信号を出力すると共に、複数の水平ライン(発光時間制御信号線113)全てに対して発光時間制御信号を出力する。
【0048】
図5に示すように、第1の水平ライン(No.1)についての選択信号(No.1)と発光時間制御用信号(No.1)とは対応して出力され、次に、第2の水平ライン(No.2)についての選択信号(No.2)と発光時間制御用信号(No.2)とは対応して出力される。以降の水平ラインについての選択信号と発光時間制御用信号とも同様に出力され、1フレーム期間の間に複数の水平ライン全てについての選択信号と発光時間制御用信号とが出力される。
【0049】
すなわち、行駆動ドライバ部14は、1行駆動期間において、1つの水平ライン(選択信号線)に対して選択信号を出力すると共に、複数の水平ライン(発光時間制御信号線113)全てに対して発光時間制御信号を出力することを、1フレーム期間にわたって全ての水平ラインで繰り返す。
【0050】
次に、
図3を参照して、有機EL素子112を構成する1の画素の動作について説明する。
選択トランジスタTr1のゲート電極Gには、AND回路142(
図2参照)から出力された選択信号が入力される。選択トランジスタTr1は、選択信号が入力されるとオン状態になり、列駆動ドライバ部15から出力されたデータ信号を保持容量Cに供給する。
保持容量Cは、供給されたデータ信号を蓄積する。
【0051】
駆動トランジスタTr2は、保持容量Cから供給されたデータ信号がゲート電極Gに入力されると、電源から供給された電流を有機EL素子112に供給する。
駆動トランジスタと有機EL素子112との間には、発光時間制御用トランジスタTr3が接続されている。発光時間制御用トランジスタTr3のゲート電極Gには、ラッチ145(
図2参照)から出力された発光時間制御信号が入力される。発光時間制御用トランジスタTr3は、発光時間制御用信号が入力されるとオン状態になり、電流を有機EL素子112に供給する。発光時間制御用トランジスタTr3は、オン状態になっている時間に応じて、有機EL素子112を発光させる時間を制御することができる。これにより、画像表示装置1は、動領域を構成する複数の水平ラインについて、動領域全体で同時に発光を開始し、動領域全体で同時に発光を終了させることができる。
【0052】
次に、画像表示装置1の動作について説明する。
図6は、画像表示装置1の動作について説明するための図である。
まず、
図6(A)に示すように、人がサッカーボールを蹴っている映像が映像入力部11に入力されたとする。この場合、動領域抽出部12は、サッカーボールに対応する領域、及び、サッカーボールの影に対応する領域において動きを検出する(
図6(B)参照)。
【0053】
制御部16は、映像を表示部10に表示させる場合、動領域抽出部12によって動きが検出された動領域、すなわち、サッカーボール及び影の領域に対応するフレームの行領域について、動きが検出されない静領域に対応するフレームの行領域よりも1フレームあたりの発光時間を短くする。例えば、制御部16は、サッカーボール及び影の領域を含む行領域について、1フレームの発光時間を25%にする。また、制御部16は、動領域抽出部12によって動きが検出されなかった静領域については、1フレームの発光時間を100%のままで変更しない(
図6(C)参照)。この場合、制御部16は、発光時間を25%とした行領域の発光輝度を他の領域よりも高くする。
【0054】
なお、表示部10は、複数の表示パネル111を備えていてもよい。すなわち、画像表示装置1は、複数の表示パネル111をタイル状(少なくとも垂直方向)に並べて、全体で1の映像を表示するようにしてもよい。
【0055】
この場合、制御部16は、複数の表示パネル111それぞれに対して対応する映像に関するデータを供給する。制御部16は、複数の表示パネル111に表示される動領域については、動領域を構成する複数の水平ラインについて、動領域全体で同時に発光を開始し、動領域全体で同時に発光を終了させるよう表示部10を制御する。すなわち、制御部16は、表示部10が複数の表示パネル111を備える場合であっても、動領域については同時発光駆動を行い、静領域については順次発光駆動を行う。
【0056】
図7は、複数の表示パネル111で1の映像を表示する場合の、発光のタイミングについて説明するための図である。
図7は、垂直方向に3つの表示パネル111を並べた例である。
図7において、縦軸は走査ラインを示し、横軸は時間を示す。
【0057】
複数の表示パネル111間で同時に、各表示パネル111の上方の水平ライン(走査ライン)から順に、保持容量Cへのデータの書き込みが開始される。
静領域については、各水平ラインに配される保持容量Cへの書き込みが終了すると、その水平ラインに対応する発光時間制御用トランジスタTr3に発光時間制御信号が供給される。これにより、有機ELに電流が供給されて、有機EL素子112は発光する。すなわち、静領域については、順次発光が行われる。
【0058】
一方、動領域については、各水平ラインに配される保持容量Cへの書き込みが終了した後、動領域となる水平ラインに配される全ての発光時間制御用トランジスタTr3に対して、同時に発光時間制御信号が供給される。これにより、動領域となる水平ラインに配される全ての有機EL素子112は、同時に発光する。また、動領域となる水平ラインに配される全ての発光時間制御用トランジスタTr3に対して、同時に発光時間制御信号の供給が停止される。このため、動領域となる水平ラインに配される全ての有機EL素子112は、同時に非発光となる。
【0059】
このような画像表示装置1によれば、次の効果が奏される。
すなわち、画像表示装置1は、動領域を構成する複数の水平ラインについて、動領域全体で同時に発光を開始し、動領域全体で同時に発光を終了させる。すなわち、画像表示装置1は、動領域については同時発光駆動を行い、静領域については順次発光駆動を行う。動領域及び静領域は、水平ライン毎に設定する。
これにより、画像表示装置1は、水平ライン毎に同時発光駆動又は順次発光駆動を行うので、画素毎に発光時間と発光輝度を制御する従来に比べて、処理負担の増大を少なくすることができる。
また、画像表示装置1は、水平ライン毎に発光時間と発光輝度を制御するので、全ての画素について発光時間を短くすると共に発光輝度を高くする従来と比べて、寿命が短くなるのを抑えることができる。
さらに、画像表示装置1は、動領域の発光時間を静領域よりも短くするので、映像を表示する際のぼやけを抑制することができる。
【0060】
また、画像表示装置1は、動領域の発光時間を静領域よりも短くした場合、動領域の輝度を発光時間に応じて高くする。これにより、画像表示装置1は、動領域の映像が暗く認識されることを防ぐことができる。
【0061】
また、画像表示装置1は、選択信号を1水平ライン毎に表示部10に出力する発光制御用シフトレジスタ141と、前記発光制御用シフトレジスタ141が1水平ラインの選択信号を出力する期間毎に、複数の水平ライン全てについての発光時間制御信号を出力する発光時間制御用シフトレジスタ144及びラッチ145と、を備える。これにより、画像表示装置1は、同時発光駆動と順次発光駆動とを行うことができる。
【0062】
また、画像表示装置1は、画素毎に、電源から有機EL素子112に電流が供給される水平ラインに発光時間制御用トランジスタTr3を備える。これにより、画像表示装置1は、水平ライン毎に、有機EL素子112の発光のタイミングと発光時間を制御することができる。
【0063】
また、画像表示装置1は、表示部10が複数の表示パネル111を備える場合であっても、複数の表示パネル111に表示される動領域については、動領域を構成する複数の水平ラインについて、動領域全体で同時に発光を開始し、動領域全体で同時に発光を終了させる。これにより、画像表示装置1は、例えば、縦状のラインを表示させる場合等でも、表示される映像の乱れを抑制することができる。
【0064】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態について説明する。
図8は、第2実施形態における有機ELディスプレイ200について説明するための図である。
【0065】
第2実施形態の画像表示装置としての有機ELディスプレイ200は、一般的に使用される有機ELディスプレイの構成を備える。例えば、有機ELディスプレイ200は、ディスプレイモジュール201として、映像データ駆動部202、書き込み走査部203、電源駆動部204、及び、複数の画素を備えるディスプレイパネル205(
図8では、簡略化のため1つの画素を記載する)を備える。映像データ駆動部202、書き込み走査部203及び電源駆動部204は、本発明の「走査発光制御部」の一実施形態に対応する。
【0066】
そして、有機ELディスプレイ200は、複数のディスプレイモジュール201を備えることにより、すなわち複数のディスプレイパネル205を並べて配置することにより、マルチディスプレイを構成する。
【0067】
ディスプレイパネル205を構成する各画素は、選択トランジスタ210と、駆動トランジスタ211と、保持容量Cと、有機EL素子212と、を備える。
【0068】
選択トランジスタ210のゲート電極Gは、選択信号線SLを介して書き込み走査部203に接続される。選択トランジスタ210のドレイン電極Dは、データ信号線DLを介して映像データ駆動部202に接続される。選択トランジスタ210のソース電極Sは、駆動トランジスタ211のゲート電極Gと、保持容量Cに接続される。
【0069】
駆動トランジスタ211のドレイン電極Dは、電源線PLを介して電源駆動部204に接続される。駆動トランジスタ211のソース電極Sは、保持容量Cと、有機EL素子212に接続される。
【0070】
このような画素の動作は、次のようになる。すなわち、まず、映像データ駆動部202は、データ信号線DLに、発光させる映像データに相当する電圧を印加する。書き込み走査部203は、映像データに相当する電圧がデータ信号線DLに印加された状態で、選択信号線SLに書き込み走査パルス220を印加する。これにより、選択トランジスタ210がオンになるので、映像データに相当する電圧は、保持容量Cに蓄積される。その後、電源駆動部204は、電源線PLに有機EL素子212の駆動電圧を印加する。これにより、駆動トランジスタ211に電流が流れ、有機EL素子212は、所定の輝度で発光する。
【0071】
図9は、1つのディスプレイモジュール201における、各画素への映像データの書き込み走査と、有機EL素子212の発光とのタイミングを説明するための図である。
本実施形態の有機ELディスプレイ200は、
図9に示すように、1フレーム期間において、各画素へ映像データを書き込む期間(走査期間)と、有機EL素子212を発光させる期間(発光期間)とを別々に設ける。
【0072】
走査期間では、1つの水平ラインについて、書き込み走査部203から選択信号線SLに1つの書き込み走査パルス220が供給される場合、その水平ラインに配される画素に、映像データ駆動部202から映像データに相当する電圧が印加される。走査期間では、複数の水平ラインについて順次走査を行うことにより、全ての画素に映像データに相当する電圧が蓄積させる。
【0073】
発光期間は、複数の水平ライン全ての走査が終了した後、開始される。すなわち、複数の水平ライン全ての走査が終了した場合、電源駆動部204から全ての電源線PLに対して同時に駆動電圧が印加されると、各画素の有機EL素子212は同時に発光する。
【0074】
図10は、マルチディスプレイの場合の、書き込み走査と、有機EL素子212の発光とのタイミングを説明するための図である。
図10は、マルチディスプレイとして、3つの表示パネルA,B,Cを垂直方向に配置した場合について例示するものである。
有機ELディスプレイ200では、表示パネルA,B,Cのそれぞれについて同時又は略同時に、複数の水平ラインについて順次の書き込み走査を開始する。この順次走査によって、各画素には映像データに相当する電圧が蓄積される。すなわち、各画素には、走査期間内に映像データが書き込まれる。そして、マルチディスプレイを構成する全ての画素について映像データが書き込まれた後、全ての画素を構成する有機EL素子212が発光する。このようなマルチディスプレイの場合、有機ELディスプレイ200は、例えば、映像データ駆動部202、書き込み走査部203及び電源駆動部204を制御する駆動制御部(図示せず)を備え、その駆動制御部から映像データ駆動部202、書き込み走査部203及び電源駆動部204に供給される制御信号に基づいて、有機EL素子212の発光が制御される。
【0075】
なお、表示パネルが3つの例に限定されることはなく、表示パネルが2若しくは4以上の場合、又は、表示パネルが水平方向(左右方向)に並べられたマルチディスプレイであっても、上記と同様の動作を行う。
【0076】
これにより、有機ELディスプレイ200は、
図11に示すように、複数の表示パネルに跨るように表示される物体100が横方向に移動する場合であっても、表示パネルの境界101で不連続が発生することを防ぐことができ、また、物体100が歪むのを防ぐことができる。
また、有機ELディスプレイ200は、マルチディスプレイを構成するディスプレイモジュール201も一般的に使用される有機ELディスプレイ200のモジュールと大きな変更はなく、価格の上昇も抑えることができる。
【0077】
ここで、各画素の構成は、
図8に示すものに限定されることはなく、書き込み走査と発光を別々の期間で行えるものであれば使用することができる。
また、ディスプレイは、有機ELディスプレイ200に限るものではなく、マトリクス型ディスプレイで書き込み走査と発光を別々の期間で行えるものであれば使用することができる。
また、書き込み走査の方向は、
図10に示すように上から下に書き込み走査する例に限定されることはなく、下から上への方向に線順次に書き込み走査を行ってもよい。
【0078】
<第3実施形態>
次に、第3実施形態について説明する。
図12は、第3実施形態に係る液晶ディスプレイ300について説明するための図である。
【0079】
第3実施形態の画像表示装置としての液晶ディスプレイ300は、一般的に使用される液晶ディスプレイの構成を備える。例えば、液晶ディスプレイ300は、ディスプレイモジュール301と、バックライト305と、を備える。ディスプレイモジュール301は、映像データ駆動部302、書き込み走査部303、及び、複数の画素を備えるディスプレイパネル304(
図12では、簡略化のため1つの画素を記載する)、を備える。映像データ駆動部302及び書き込み走査部303は、走査制御部を構成し、本発明の「走査発光制御部」の一実施形態に対応する。
【0080】
そして、液晶ディスプレイ300は、複数のディスプレイモジュール301を備えることにより、すなわち、複数のディスプレイパネル304を並べて配置することにより、マルチディスプレイを構成する。
【0081】
ディスプレイパネル304を構成する各画素は、選択トランジスタ310と、画素容量Cと、液晶311とを備える。
選択トランジスタ310のゲート電極Gは、選択信号線SLを介して書き込み走査部303に接続される。選択トランジスタ310のドレイン電極Dは、データ信号線DLを介して映像データ駆動部302に接続される。選択トランジスタ310のソース電極Sは、画素容量Cと、液晶311に接続される。
【0082】
このような画素の動作は、次のようになる。すなわち、まず、映像データ駆動部302は、データ信号線DLに、発光させる映像データに相当する電圧を印加する。書き込み走査部303は、映像データに相当する電圧がデータ信号線DLに印加された状態で、選択信号線SLに書き込み走査パルスを印加する。これにより、画素容量Cと液晶311には映像データに相当する電圧が蓄積されるため、液晶311は、所定の透過率になるよう設定される。そして、バックライト305から出射された光を液晶311に透過させることにより、液晶ディスプレイ300には映像が表示される。
【0083】
図13は、1つのディスプレイモジュール301における、各画素への映像データの書き込み走査と、バックライト305の発光のタイミングとを説明するための図である。
本実施形態の液晶ディスプレイ300は、
図13に示すように、1フレーム期間において、各画素へ映像データを書き込む期間(走査期間)と、バックライト305を発光させる期間(発光期間)とを別々に設ける。
【0084】
走査期間では、1つの水平ラインについて、書き込み走査部303から選択信号線SLに1つの書き込み走査パルス320が供給される場合、その水平ラインに配される画素に、映像データ駆動部302から映像データに相当する電圧が印加される。走査期間では、複数の水平ラインについて順次走査を行うことにより、全ての画素に映像データに相当する電圧が蓄積させる。
【0085】
発光期間は、複数の水平ライン全ての走査が終了した後、開始される。すなわち、複数の水平ライン全ての走査が終了した場合、液晶ディスプレイ300の発光制御部306(本発明の「走査発光制御部」の一実施形態に対応する)は、バックライト305を発光させる。
【0086】
マルチディスプレイの場合では、書き込み走査と、バックライト305の発光タイミングは、
図10に例示する有機EL素子の場合と同様になる。すなわち、上下方向に並べられた、上部ディスプレイモジュール、中部ディスプレイモジュール及び下部ディスプレイモジュールでは、1フレーム期間の同じ走査期間内で線順次に書き込み走査を行い、書き込み走査の終了後に、同じ発光のタイミングでバックライト305を発光させて、マルチディスプレイに映像を表示する。
なお、ディスプレイパネル304が上下方向又は左右方向に複数並べられたマルチディスプレイであれば、上記と同様の動作を行うことができる。すなわち、マルチディスプレイを構成する全てのディスプレイで時間的に一致させた発光期間で発光し映像を表示すること可能になる。
【0087】
このような液晶ディスプレイ300は、マルチディスプレイとした場合のディスプレイモジュール301の境界での不連続性は解消され、動体が変形する形状歪も解消される。また、マルチディスプレイを構成する各ディスプレイも一般的に使用される液晶ディスプレイ300と大きな変更はなく、価格の上昇も抑えることができる。
【0088】
なお、各画素の構成は、
図13に示すものに限定されることはなく、マトリクス型液晶ディスプレイで線順次の書き込み走査が行えるものであれば使用することができる。
また、書き込み走査の方向は、上から下方向に線順次に書き込み走査を行う例に限定されることはなく、下から上への方向に線順次に書き込み走査を行ってもよい。