【解決手段】基準電圧を生成する基準電圧生成回路22と、基準電圧生成回路22により生成された基準電圧Vrefを昇圧してバイアス電圧を生成する昇圧回路24と、電源電圧VDDから生成され、かつ液晶表示装置32の駆動を制御するための表示信号の電位を昇圧回路24により生成されたバイアス電圧の電位に変換するレベルシフタ28と、を備えた半導体装置10Aにおいて、電源電圧VDDの電圧値又は電源電圧VDDを生成する太陽電池20から流れる電源電流の電流値が予め定められた閾値未満となった場合に、基準電圧生成回路22及び昇圧回路24の少なくとも一方の動作を停止させる。
前記制御部は、さらに、前記電圧値又は前記電流値が前記閾値以上となった場合に、前記制御部により停止させる制御が行われた前記生成部及び前記昇圧部の少なくとも一方の動作を再開させる制御を行う
請求項1記載の半導体装置。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明を実施するための形態例を詳細に説明する。
【0014】
[第1の実施の形態]
まず、
図1を参照して、本実施の形態に係る半導体装置10Aの構成を説明する。
【0015】
図1に示すように、本実施の形態に係る半導体装置10Aは、太陽電池20の出力端が接続された基準電圧生成回路22、昇圧回路24、ロジック回路26、レベルシフタ28、ドライバ回路30、電圧検出回路34、及び他の回路36を備えている。
【0016】
本実施の形態に係る太陽電池20は、太陽光等の光エネルギーを電力に変換する電池であり、光エネルギーに応じた電源電圧VDDを各構成部位に供給する。
【0017】
本実施の形態に係る基準電圧生成回路22は、電源電圧VDDから基準電圧Vrefを生成して昇圧回路24に出力する。本実施の形態に係る昇圧回路24は、昇圧クロック信号に基づいて、基準電圧生成回路22から入力された基準電圧VrefをN倍(本実施の形態では、3倍。)に昇圧してバイアス電圧を生成し、レベルシフタ28に出力する。なお、本実施の形態に係る昇圧回路24は、チャージポンプ回路を含む昇圧回路としているが、これに限定されない。例えば、昇圧回路24は、インダクタを含む昇圧回路等のチャージポンプ回路以外を含む昇圧回路としてもよい。
【0018】
本実施の形態に係るロジック回路26は、液晶表示装置32の駆動を制御するための表示信号であって、電源電圧VDDより低い電位の電圧VDDLとされた表示信号を電源電圧VDDから生成してレベルシフタ28に出力する。本実施の形態に係るレベルシフタ28は、ロジック回路26から入力された表示信号の電位を昇圧回路24から入力されたバイアス電圧の電位に変換し、変換した表示信号(以下、「変換後信号」という。)をドライバ回路30に出力する。
【0019】
本実施の形態に係るドライバ回路30は、レベルシフタ28から入力された変換後信号に基づき、液晶表示装置32の表示(点灯)及び非表示(消灯)を制御する信号を液晶表示装置32に出力する。本実施の形態に係る液晶表示装置32は、一例として、所謂7セグメント・タイプのLED(Light Emitting Diode)を複数備えており、セグメント端子及びコモン端子への入力信号に応じて、各LEDの各セグメントの表示及び非表示が切り替えられる。なお、
図1では錯綜を回避するために図示を省略しているが、本実施の形態では、一例として、レベルシフタ28は、セグメント端子及びコモン端子の数に応じて複数設けられている。また、本実施の形態では、一例として、ドライバ回路30は、複数(本実施の形態では、2つ)のレベルシフタ28に対して1つずつ設けられている。
【0020】
本実施の形態に係る電圧検出回路34は、太陽電池20から供給される電源電圧VDDの電圧値を検出して、後述するCPU(Central Processing Unit)40に出力する。本実施の形態に係る他の回路36は、以上説明した構成部位以外の半導体装置10Aの動作に必要な回路を備えている。本実施の形態に係る他の回路36は、一例として、半導体装置10Aの全体的な動作を司るCPU40、各種プログラムや各種パラメータ等が予め記憶されたROM(Read Only Memory)42、及びフラッシュメモリ等の不揮発性のメモリ44を備えている。
【0021】
本実施の形態に係るCPU40は、電圧検出回路34により検出された電源電圧VDDの電圧値を取得し、取得した電圧値に応じて基準電圧生成回路22の動作を制御する制御信号を基準電圧生成回路22に出力する。具体的には、CPU40は、電源電圧VDDの電圧値が予め定められた閾値V1未満となった場合に、基準電圧生成回路22の動作を停止させる停止信号を基準電圧生成回路22に出力する。また、CPU40は、電源電圧VDDの電圧値が閾値V1以上となった場合に、基準電圧生成回路22の動作を開始させる駆動信号を基準電圧生成回路22に出力する。なお、上記閾値V1としては、例えば、半導体装置10Aの実機を用いた実験や半導体装置10Aの設計仕様に基づくコンピュータ・シミュレーション等により、レベルシフタ28に貫通電流が流れ始める電源電圧VDDの電圧値の下限値として予め得られた値や、該下限値に対して所定のマージン値を加味した値等を適用すればよい。
【0022】
一方、本実施の形態に係る基準電圧生成回路22は、CPU40から駆動信号が入力されている間は、動作状態が駆動状態となり、通常の動作を行う。また、基準電圧生成回路22は、CPU40から停止信号が入力されている間は、動作状態が停止状態となる。
【0023】
次に、
図2を参照して、本実施の形態に係る半導体装置10Aの作用を説明する。なお、
図2は、半導体装置10Aの電源端子への駆動用の電力の供給が開始された際にCPU40によって実行される駆動制御処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。また、本駆動制御処理プログラムはROM42に予めインストールされている。
【0024】
図2のステップ100では、CPU40は、電圧検出回路34により検出された電源電圧VDDの電圧値を取得する。次のステップ102では、CPU40は、上記ステップ100の処理により取得した電源電圧VDDの電圧値が、閾値V1未満であるか否かを判定する。CPU40は、この判定が否定判定となった場合はステップ106の処理に移行する一方、この判定が肯定判定となった場合はステップ104の処理に移行する。
【0025】
ステップ104では、CPU40は、上記停止信号を基準電圧生成回路22に出力する。基準電圧生成回路22は、上記停止信号が入力されている間は動作を停止する。また、基準電圧生成回路22の動作が停止すると、昇圧回路24による昇圧動作も行われなくなり、レベルシフタ28にバイアス電圧が入力されなくなる。従って、レベルシフタ28による変換動作も行われなくなる結果、レベルシフタ28に貫通電流が流れることを抑制することができる。
【0026】
ステップ106では、CPU40は、上記駆動信号を基準電圧生成回路22に出力する。基準電圧生成回路22は、上記駆動信号が入力されている間は動作状態が駆動状態となる。また、基準電圧生成回路22の動作が開始して駆動状態となると、昇圧回路24による昇圧が行われるようになり、レベルシフタ28にバイアス電圧が入力され、半導体装置10Aの通常の動作が開始される。
【0027】
ステップ108では、CPU40は、予め定められた終了タイミングが到来したか否かを判定し、この判定が否定判定となった場合は、上記ステップ100の処理に戻る一方、この判定が肯定判定となった場合は、本駆動制御処理プログラムを終了する。なお、本実施の形態では、上記終了タイミングとして、一例として半導体装置10Aの電源端子への駆動用の電力の供給が停止とされたタイミングを適用している。
【0028】
なお、本実施の形態では、CPU40により上記駆動信号及び停止信号を基準電圧生成回路22に直接出力しているが、これに限定されない。例えば、半導体装置10Aは、レジスタやメモリ44の所定の領域等に上記駆動信号及び停止信号に対応する情報が書き込まれたことをトリガとして、基準電圧生成回路22の動作状態が駆動状態及び停止状態の何れかに切り替わるように構成されているものとする。この場合、例えば、上記ステップ104の処理に代えて、CPU40は、上記停止信号に対応する情報をメモリ44の上記所定の領域に記憶する処理を行う。また、例えば、上記ステップ106の処理に代えて、CPU40は、上記駆動信号に対応する情報をメモリ44の上記所定の領域に記憶する処理を行う形態としてもよい。
【0029】
このように、本実施の形態では、上記駆動制御処理を、プログラムを実行することにより、コンピュータを利用してソフトウェア構成により実現する場合について説明したが、これに限定されない。例えば、上記駆動制御処理を、ハードウェア構成や、ハードウェア構成とソフトウェア構成の組み合わせによって実現する形態としてもよい。以下では、上記駆動制御処理をハードウェア構成により実現する変形例について説明する。
【0030】
図3を参照して、本変形例に係る半導体装置10Bの構成を説明する。なお、
図3における
図1と同一の機能を有する構成部位については
図1と同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0031】
図3に示すように、本変形例に係る半導体装置10Bは、上記第1の実施の形態に係る基準電圧生成回路22に代えて基準電圧生成回路22Aを備えている。また、本変形例に係る半導体装置10Bは、上記第1の実施の形態に係る電圧検出回路34に代えて電圧検出回路34Aを備えている。
【0032】
本変形例に係る電圧検出回路34Aは、太陽電池20から供給される電源電圧VDDの電圧値を検出し、検出した電圧値が閾値V1以上である場合は、ハイ(High)レベルの信号を基準電圧生成回路22Aに出力する。また、本変形例に係る電圧検出回路34Aは、上記検出した電圧値が閾値V1未満である場合は、ロー(Low)レベルの信号を基準電圧生成回路22Aに出力する。
【0033】
本変形例に係る基準電圧生成回路22Aは、電圧検出回路34Aからハイレベルの信号が入力されている間は、動作状態が駆動状態となり、通常の動作を行う。一方、基準電圧生成回路22Aは、電圧検出回路34Aからローレベルの信号が入力されている間は、動作状態が停止状態となる。
【0034】
次に、
図4を参照して、本変形例に係る電圧検出回路34Aの構成について説明する。なお、以下では、説明の便宜上、Nチャネル型MOS電界効果トランジスタをNMOSトランジスタという。また、以下では、説明の便宜上、Pチャネル型MOS電界効果トランジスタをPMOSトランジスタという。
【0035】
図4に示すように、本変形例に係る電圧検出回路34Aは、抵抗素子R1、NMOSトランジスタN1、N2、PMOSトランジスタP1、P2、及びインバータI1を備えている。PMOSトランジスタP1、P2のソースは、各々電源電圧VDDを供給する電源ラインに接続されている。PMOSトランジスタP1のドレインは、NMOSトランジスタN1のドレインに接続され、PMOSトランジスタP2のドレインは、NMOSトランジスタN2のドレインに接続されている。PMOSトランジスタP1のゲートは、PMOSトランジスタP1のドレイン、及びPMOSトランジスタP2のゲートに接続されている。
【0036】
NMOSトランジスタN1のゲートには、NMOSトランジスタN1の電流源からのゲートバイアス信号が入力される。NMOSトランジスタN2のゲートは、抵抗素子R1を介して電源電圧VDDを供給する電源ラインに接続されている。NMOSトランジスタN1、N2のソースは、各々接地されている。PMOSトランジスタP2のドレインとNMOSトランジスタN2のドレインとの接続点refは、インバータI1の入力端子に接続されている。インバータI1からの出力信号OUTは、電圧検出回路34Aからの出力信号として基準電圧生成回路22Aへ入力される。
【0037】
ここで、本変形例に係る電圧検出回路34Aの動作について説明する。NMOSトランジスタN1のゲートに上記ゲートバイアス信号が入力されると、NMOSトランジスタN1にはバイアス電流iが流れる。そして、接続点refには、バイアス電流iに応じた電流niが流れる。従って、インバータI1に入力される接続点refの電位は、電流niの値に基づいて定まる。なお、電流niは、PMOSトランジスタP1とPMOSトランジスタP2との面積比に応じて、バイアス電流iがn倍された電流となる。
【0038】
本実施の形態に係るNMOSトランジスタN2は、電源電圧VDDの電圧値が閾値V1以上である場合にオン状態となり、該電圧値が閾値V1未満である場合にオフ状態となるように、ゲート閾値電圧が定められている。従って、電源電圧VDDの電圧値が閾値V1未満となった場合、NMOSトランジスタN2はオフ状態となり、接続点refの電位は電源電圧VDDの電位に近くなり、インバータI1からの出力信号OUTはローレベルの信号となる。一方、電源電圧VDDの電圧値が閾値V1以上となった場合、NMOSトランジスタN2はオン状態となり、接続点refの電位は接地電位に近くなり、インバータI1からの出力信号OUTはハイレベルの信号となる。
【0039】
次に、
図5を参照して、本変形例に係る半導体装置10Bの動作について説明する。
図5の最上段から一段目は、電圧検出回路34Aによる電源電圧VDDの検出値を示し、
図5の二段目は、電圧検出回路34Aからの出力信号を示している。また、
図5の三段目は、基準電圧生成回路22Aの動作状態を模式的に示している。また、
図5の一段目の破線は閾値V1を示している。なお、ここでは、錯綜を回避するために、電源電圧VDDの電圧値が閾値V1以上で、半導体装置10Bの各構成部位が通常の動作を行っており、太陽電池20に入射される光エネルギーが低下し始めて電源電圧VDDが低下し始めた時点を起点(
図5の左端)として説明する。
【0040】
図5に示すように、上記光エネルギーの低下に伴って、電源電圧VDDの電圧値も低下し、電源電圧VDDの検出値はタイミングt0で閾値V1未満となる。このため、タイミングt0で電圧検出回路34Aからの出力信号はハイレベルからローレベルに切り替わる。この出力信号の切り替わりに伴い、基準電圧生成回路22Aの動作状態は、駆動状態から停止状態に切り替わる。
【0041】
次にタイミングt1において、上記光エネルギーが増加し始め、光エネルギーの増加に伴って、電源電圧VDDの電圧値も増加し、電源電圧VDDの検出値はタイミングt2で閾値V1以上となる。このため、タイミングt2で電圧検出回路34Aからの出力信号はローレベルからハイレベルに切り替わる。この出力信号の切り替わりに伴い、基準電圧生成回路22Aの動作状態は、停止状態から駆動状態に切り替わる。
【0042】
以上説明したように、本実施の形態では、電源電圧VDDの電圧値が閾値V1未満となった場合に、基準電圧生成回路22、22Aのみの動作を停止している。これにより、装置全体の動作を停止させることなく、レベルシフタ28に貫通電流が流れることを抑制することができる。
【0043】
特に、半導体装置10A、10Bの電源端子への駆動用の電力の供給が開始され、装置全体の起動時において、レベルシフタ28に貫通電流が流れることを抑制することができる結果、貫通電流に起因する起動時の消費電力の増加を抑制することができる。これにより、半導体装置10A、10Bの起動時間を短縮することができる。
【0044】
なお、本実施の形態及び変形例では、電源電圧VDDの電圧値が閾値V1未満となった場合の停止対象として、基準電圧生成回路22、22Aを適用しているが、これに限定されない。例えば、上記停止対象として、昇圧回路24を適用する形態としてもよいし、基準電圧生成回路22、22A及び昇圧回路24の双方を適用する形態としてもよい。
【0045】
具体的には、上記停止対象として昇圧回路24を適用する場合、
図6に示すように、本実施の形態と同様の停止信号及び駆動信号をCPU40から昇圧回路24に出力する。この場合、昇圧回路24は、本実施の形態の基準電圧生成回路22と同様に、入力された信号に応じて、動作状態が停止状態及び駆動状態の何れかに切り替わる。また、上記停止対象として基準電圧生成回路22及び昇圧回路24の双方を適用する場合、
図7に示すように、本実施の形態と同様の停止信号及び駆動信号をCPU40から基準電圧生成回路22及び昇圧回路24の双方に出力する。この場合、基準電圧生成回路22及び昇圧回路24は、本実施の形態の基準電圧生成回路22と同様に、入力された信号に応じて、動作状態が停止状態及び駆動状態の何れかに切り替わる。
【0046】
また、上記変形例において上記停止対象として昇圧回路24を適用する場合、
図8に示すように、上記変形例と同様のローレベルの信号及びハイレベルの信号を電圧検出回路34Aから昇圧回路24に出力する。この場合、昇圧回路24は、上記変形例の基準電圧生成回路22Aと同様に、入力された信号に応じて、動作状態が停止状態及び駆動状態の何れかに切り替わる。また、上記変形例において上記停止対象として基準電圧生成回路22A及び昇圧回路24の双方を適用する場合、
図9に示すように、上記変形例と同様のローレベルの信号及びハイレベルの信号を電圧検出回路34Aから基準電圧生成回路22A及び昇圧回路24の双方に出力する。この場合、基準電圧生成回路22A及び昇圧回路24は、上記変形例の基準電圧生成回路22Aと同様に、入力された信号に応じて、動作状態が停止状態及び駆動状態の何れかに切り替わる。
【0047】
[第2の実施の形態]
まず、
図10を参照して、本実施の形態に係る半導体装置10Cの構成を説明する。なお、
図10における
図3と同一の機能を有する構成部位については
図3と同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0048】
本実施の形態に係る半導体装置10Cは、ロジック回路50をさらに備えている。上記昇圧クロック信号及び電圧検出回路34Aからの出力信号は、ロジック回路50に各々入力される。
【0049】
本実施の形態に係るロジック回路50は、電圧検出回路34Aからハイレベルの信号が入力された場合は、昇圧クロック信号をそのまま昇圧回路24に出力する。一方、ロジック回路50は、電圧検出回路34Aからローレベルの信号が入力された場合は、昇圧クロック信号の出力を停止する。なお、ロジック回路50の一例としては、AND回路が挙げられる。
【0050】
次に、
図11を参照して、本実施の形態に係る半導体装置10Cの動作について説明する。
図11の最上段から一段目は、上記第1の実施の形態の変形例(
図5参照。)と同様に、電圧検出回路34Aによる電源電圧VDDの検出値を示している。タイミングt0〜t2も各々上記第1の実施の形態の変形例と同様である。
図11の二段目は、昇圧クロック信号を示し、
図11の三段目は、電圧検出回路34Aからの出力信号を示し、
図11の四段目は、ロジック回路50からの出力信号を示している。
【0051】
図11に示すように、タイミングt0で電圧検出回路34Aからの出力信号はハイレベルからローレベルに切り替わる。この出力信号の切り替わりに伴い、ロジック回路50は、昇圧クロック信号の出力を停止する。また、ロジック回路50が昇圧クロック信号の出力を停止すると、昇圧回路24による昇圧動作も行われなくなり、レベルシフタ28にバイアス電圧が入力されなくなる。従って、レベルシフタ28による変換動作も行われなくなる結果、レベルシフタ28に貫通電流が流れることを抑制することができる。
【0052】
タイミングt2で電圧検出回路34Aからの出力信号はローレベルからハイレベルに切り替わる。この出力信号の切り替わりに伴い、ロジック回路50は昇圧クロック信号の出力を開始する。また、ロジック回路50が昇圧クロック信号の出力を開始すると、昇圧回路24による昇圧動作も行われるようになり、レベルシフタ28にバイアス電圧が入力され、半導体装置10Cの通常の動作が開始される。
【0053】
以上説明したように、本実施の形態でも、上記第1の実施の形態と同様の効果を奏することができる。また、本実施の形態では、電源電圧VDDの電圧値が閾値V1以上であるか否かによって、ロジック回路50からの昇圧クロック信号の出力と出力停止が切り替えられる。従って、上記第1の実施の形態のように停止信号を用いる場合に比較して、昇圧回路24による昇圧動作をより早く停止することができる結果、レベルシフタ28に流れる貫通電流をより早く抑制することができる。また、上記第1の実施の形態のように駆動信号を用いる場合に比較して、昇圧回路24による昇圧動作をより早く開始することができる結果、装置全体の動作をより早く開始することができる。
【0054】
[第3の実施の形態]
まず、
図12を参照して、本実施の形態に係る半導体装置10Dの構成を説明する。なお、
図12における
図10と同一の機能を有する構成部位については
図10と同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0055】
図12に示すように、本実施の形態に係る半導体装置10Dは、上記第2の実施の形態に係る電圧検出回路34Aに代えて電圧検出回路34Bを備えている。本実施の形態に係る電圧検出回路34Bは、ヒステリシス特性を有する点が電圧検出回路34Aとは異なっている。
【0056】
次に、
図13を参照して、本実施の形態に係る電圧検出回路34Bの構成を説明する。なお、
図13における
図4と同一の機能を有する構成部位については
図4と同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0057】
図13に示すように、本実施の形態に係る電圧検出回路34Bは、PMOSトランジスタP3、P4をさらに備えている。PMOSトランジスタP3のソースは、電源電圧VDDを供給する電源ラインに接続されている。PMOSトランジスタP3のゲートは、インバータI1の出力端子に接続されている。PMOSトランジスタP3のドレインは、PMOSトランジスタP4のソースに接続されている。PMOSトランジスタP4のゲートは、PMOSトランジスタP1のドレインに接続されている。PMOSトランジスタP4のドレインは、接続点refに接続されている。
【0058】
ここで、本実施の形態に係る電圧検出回路34Bの動作について説明する。本実施の形態に係るPMOSトランジスタP3は、インバータI1からの出力信号OUTがローレベルの信号の場合にオン状態となり、インバータI1からの出力信号OUTがハイレベルの信号の場合にオフ状態となる。例えば、電源電圧VDDの電圧値が閾値V1以上である場合、出力信号OUTはハイレベルの信号となり、PMOSトランジスタP3はオフ状態となる。従って、この場合の電圧検出回路34Bの動作は、上記第1の実施の形態の変形例及び第2の実施の形態に係る電圧検出回路34Aの動作と同じ動作となる。
【0059】
一方、電源電圧VDDの電圧値が閾値V1未満である場合、出力信号OUTはローレベルの信号となり、PMOSトランジスタP3はオン状態となる。これに伴い、接続点refには、PMOSトランジスタP2からの電流路とPMOSトランジスタP3、P4からの電流路の2つの電流路から電源電圧VDDが供給されることになる。このため、この場合、電源電圧VDDの電圧値が上昇して閾値V1以上となり、NMOSトランジスタN2がオン状態となった場合における接続点refの電位の低下速度は、上記電圧検出回路34Aよりも遅くなる。
【0060】
すなわち、この場合、インバータI1からの出力信号OUTがローレベルの信号からハイレベルの信号に切り替わるタイミングが、上記電圧検出回路34Aよりも遅くなる。従って、本実施の形態に係る電圧検出回路34Bは、電源電圧VDDの電圧値が閾値V1の近傍にある場合は、出力信号のレベルが切り替わらない。
【0061】
次に、
図14を参照して、本実施の形態に係る半導体装置10Dの動作について説明する。なお、ここでは、上記第2の実施の形態に係る半導体装置10Cの動作と異なる部分についてのみ説明する。
図14の最上段から一段目は、電圧検出回路34Bによる電源電圧VDDの検出値を示し、
図14の二段目は、電圧検出回路34Bからの出力信号を示している。また、
図14の一点鎖線は、ヒステリシス幅を示している。
【0062】
図14の矩形の破線で囲まれた部分に示すように、電圧検出回路34Bによる電源電圧VDDの検出値には、ノイズ等の影響による誤検知やチャタリングの影響が含まれる場合がある。本実施の形態に係る電圧検出回路34Bはヒステリシス特性を有するため、上記誤検知やチャタリングの影響により電源電圧VDDの検出値がヒステリシス幅内で閾値V1を上回ったり下回ったりした場合でも、電圧検出回路34Bの出力信号のレベルは切り替わらない。従って、本実施の形態では、上記第1の実施の形態及び第2の実施の形態と同様の効果を奏することができると共に、上記誤検知やチャタリングによる影響を抑制することができる。
【0063】
[第4の実施の形態]
まず、
図15を参照して、本実施の形態に係る半導体装置10Eの構成を説明する。なお、
図15における
図12と同一の機能を有する構成部位については
図12と同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0064】
図15に示すように、本実施の形態に係る半導体装置10Eは、上記第3の実施の形態に係る電圧検出回路34Bに代えて電圧検出回路34Cを備えている。また、本実施の形態に係る半導体装置10Eは、トリミング回路52をさらに備えている。本実施の形態に係るトリミング回路52は、電圧検出回路34Cの出力信号のレベルが切り替えられる基準となる上記閾値V1をトリミング(微調整)して変更する。
【0065】
次に、
図16を参照して、本実施の形態に係る電圧検出回路34C及びトリミング回路52の構成を説明する。なお、
図16における
図13と同一の機能を有する構成部位については
図13と同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0066】
図16に示すように、本実施の形態に係る電圧検出回路34Cは、PMOSトランジスタP5A〜P5C、及びP6A〜P6Cをさらに備えている。なお、以下では、PMOSトランジスタP5A〜P5Cを区別する必要がない場合は、符号末尾のアルファベットを省略する。また、以下では、PMOSトランジスタP6A〜P6Cを区別する必要がない場合は、符号末尾のアルファベットを省略する。
【0067】
図16に示すように、各PMOSトランジスタP5、P6は同様の構成とされており、電圧検出回路34Cには3組のPMOSトランジスタP5及びPMOSトランジスタP6が並列に設けられている。また、本実施の形態に係るトリミング回路52は、PMOSトランジスタP5とPMOSトランジスタP6との組み合わせの数と同数(本実施の形態では、3つ)のヒューズ56A〜56C、インバータI2〜I4、及び1つのデコーダ58を備えている。
【0068】
PMOSトランジスタP5のソースは、電源電圧VDDを供給する電源ラインに接続されている。PMOSトランジスタP5のドレインは、PMOSトランジスタP6のソースに接続されている。PMOSトランジスタP6のゲートは、PMOSトランジスタP1のドレインに接続されている。PMOSトランジスタP6のドレインは、接続点refに接続されている。
【0069】
PMOSトランジスタP5A〜P5CとインバータI2〜I4は1対1で対応し、PMOSトランジスタP5A〜P5Cの各々のゲートは、対応するインバータI2〜I4の出力端子に接続されている。
【0070】
ヒューズ56A〜56Cは、PMOSトランジスタP5A〜P5Cと1対1で対応して設けられている。デコーダ58は、ヒューズ56A〜56Cが溶断されているか否かを検出する。そして、デコーダ58は、検出したヒューズ56A〜56Cの状態を、対応するPMOSトランジスタP5A〜P5Cのオンオフの状態を制御する信号にデコードする。さらに、デコーダ58は、デコードした信号を対応するインバータI2〜I4を介して、対応するPMOSトランジスタP5A〜P5Cのゲートに出力する。
【0071】
従って、本実施の形態に係る電圧検出回路34Cは、PMOSトランジスタP5A〜P5Cのオンオフの状態が切り替えられることにより、インバータI1からの出力信号OUTのレベルの切り替えの基準となる閾値V1がきめ細かく変更される。なお、PMOSトランジスタP5とPMOSトランジスタP6との組み合わせの数は3組に限定されず、所望の閾値V1の変更幅に応じて3組以外としてもよいことは言うまでもない。
【0072】
次に、トリミング回路52によるトリミングについて説明する。半導体装置10Eは、各構成部位の製造工程におけるばらつき等により、レベルシフタ28に貫通電流が流れ始める電源電圧VDDの電圧値の下限値(閾値V1に対応する値)が異なる場合がある。そこで、本実施の形態では、半導体装置10Eの製造後のテスト工程においてトリミング回路52によるトリミングを行う。
【0073】
半導体装置10Eのテストを行う検査員は、製造後の半導体装置10Eに電圧を印加し、レベルシフタに貫通電流が流れ始める電圧値の下限値を測定する。また、検査員は、閾値V1が測定した電圧値の下限値に一致する値か、又は最も近い値になるように、PMOSトランジスタP5A〜P5Cのオンオフの状態を決定する。そして、検査員は、PMOSトランジスタP5A〜P5Cのオンオフの状態が決定した状態となるように、対応するヒューズ56A〜56Cを溶断する。
【0074】
なお、本実施の形態に係る半導体装置10Eの動作は、上記第3の実施の形態に係る半導体装置10Dの動作と同様であるため、ここでの説明は省略する。
【0075】
以上説明したように、本実施の形態でも、上記第1の実施の形態〜第3の実施の形態と同様の効果を奏することができる。さらに、本実施の形態では、半導体装置10Eの製造工程におけるばらつきを考慮して閾値V1を変更しているので、レベルシフタ28に流れる貫通電流を精度良く抑制することができる。
【0076】
なお、本実施の形態では、ヒューズ56A〜56Cの状態によってPMOSトランジスタP5A〜P5Cのオンオフの状態を決定しているが、これに限定されない。例えば、PMOSトランジスタP5A〜P5Cのオンオフの状態を示す情報をメモリ44に記憶し、PMOSトランジスタP5A〜P5Cがメモリ44に記憶された情報を読み出すことによりPMOSトランジスタP5A〜P5Cのオンオフの状態を決定する形態としてもよい。なお、メモリ44の一例としては、フラッシュメモリが挙げられる。
【0077】
また、本実施の形態では、上記第3の実施の形態に係る半導体装置10Dにトリミング回路52を設け、電圧検出回路34BにPMOSトランジスタP5、P6を設けているが、これに限定されない。例えば上記第1の実施の形態の変形例及び第2の実施の形態に係る半導体装置10B、10Cにトリミング回路52を設け、電圧検出回路34AにPMOSトランジスタP5、P6を設ける形態としてもよい。
【0078】
以上、各実施の形態を説明したが、本発明の技術的範囲は上記各実施の形態に記載の範囲には限定されない。発明の要旨を逸脱しない範囲で上記各実施の形態に多様な変更又は改良を加えることができ、当該変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0079】
また、上記各実施の形態は、クレーム(請求項)にかかる発明を限定するものではなく、また各実施の形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。前述した各実施の形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件の組み合わせにより種々の発明が抽出される。各実施の形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、効果が得られる限りにおいて、この幾つかの構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【0080】
例えば、上記各実施の形態では、電圧検出回路34A〜34CにインバータI1を用いた場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、電圧検出回路34A〜34Cにコンパレータを用いる形態としてもよい。この場合、コンパレータの非反転入力端子に電源電圧VDDを入力し、反転入力端子に閾値V1の電圧を入力する形態が例示される。また、電源電圧VDDの電圧値が閾値V1未満である場合と閾値V1以上である場合とで異なる信号を出力可能な構成であれば、電圧検出回路34A〜34Cの構成は特に限定されない。
【0081】
また、上記各実施の形態では、電源電圧VDDの電圧値が閾値V1未満であるか否かによって基準電圧生成回路22、22Aの動作や昇圧クロック信号の出力を停止させるか否かを切り替える場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、電源電圧VDDを生成する太陽電池20から流れる電源電流の電流値が予め定められた閾値V2未満であるか否かによって基準電圧生成回路22、22Aの動作や昇圧クロック信号の出力を停止させるか否かを切り替える形態としてもよい。この場合の閾値V2としては、閾値V1と同様に、例えば、半導体装置10A〜10Eの実機を用いた実験や半導体装置10A〜10Eの設計仕様に基づくコンピュータ・シミュレーション等により、レベルシフタ28に貫通電流が流れ始める電源電流の電流値の下限値として予め得られた値や、該下限値に対して所定のマージン値を加味した値等を適用すればよい。
【0082】
また、上記各実施の形態では、電圧検出回路34、34A〜34Cにより電源電圧VDDの電圧値を検出する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、レベルシフタ28へ入力される表示信号の電圧VDDLの電圧値を電圧検出回路34、34A〜34Cにより検出する形態としてもよい。
【0083】
また、上記各実施の形態では、電源として太陽電池を適用した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。電源として太陽電池以外の電源を適用してもよいことは言うまでもない。
【0084】
また、上記第1の実施の形態では、駆動制御処理プログラムがROM42に予めインストールされている場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、駆動制御処理プログラムが、CD−ROM(Compact Disk Read Only Memory)等の記憶媒体に格納されて提供される形態、又はネットワークを介して提供される形態としてもよい。
【0085】
その他、上記各実施の形態で説明した半導体装置及び各回路の構成(
図1、
図3、
図4、
図6〜
図10、
図12、
図13、
図15、
図16参照。)は一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において不要な部分を削除したり、新たな部分を追加したりしてもよいことは言うまでもない。
【0086】
また、上記第1の実施の形態で説明した駆動制御処理の流れ(
図2参照。)も一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において不要なステップを削除したり、新たなステップを追加したり、処理順序を入れ替えたりしてもよいことは言うまでもない。