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特開2016-198743高塩類濃度含有廃水の廃水処理方法および廃水処理装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-198743(P2016-198743A)
(43)【公開日】2016年12月1日
(54)【発明の名称】高塩類濃度含有廃水の廃水処理方法および廃水処理装置
(51)【国際特許分類】
   C02F 3/34 20060101AFI20161104BHJP
   C02F 1/44 20060101ALI20161104BHJP
   C02F 3/00 20060101ALI20161104BHJP
【FI】
   C02F3/34 101A
   C02F3/34 101D
   C02F1/44 E
   C02F3/00 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2015-82227(P2015-82227)
(22)【出願日】2015年4月14日
【新規性喪失の例外の表示】申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】501061319
【氏名又は名称】学校法人 東洋大学
(71)【出願人】
【識別番号】509352945
【氏名又は名称】田中貴金属工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083116
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲三
(72)【発明者】
【氏名】角野 立夫
(72)【発明者】
【氏名】高品 知典
(72)【発明者】
【氏名】木村 隆典
(72)【発明者】
【氏名】藤田 光晴
【テーマコード(参考)】
4D006
4D040
【Fターム(参考)】
4D006GA03
4D006KA01
4D006KB22
4D006KB23
4D006KB25
4D006PA01
4D006PB08
4D040BB02
4D040BB12
4D040BB23
4D040BB42
4D040BB52
4D040BB82
4D040BB91
4D040BB93
(57)【要約】
【課題】高塩類濃度含有廃水を常時安定して良好に処理することができる高塩類濃度含有廃水の廃水処理方法および廃水処理装置を提供する。
【解決手段】高塩類耐性硝化細菌が固定化された固定化担体を、硝化槽で塩類濃度2%以上、好ましくは、3%以上7%以下の高塩類濃度のアンモニア含有廃水と接触させることで硝化処理を行う硝化工程を有する高塩類濃度含有廃水の廃水処理方法である。また、同様の構成を有する高塩類濃度含有廃水の廃水処理装置である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高塩類耐性硝化細菌が固定化された固定化担体を、硝化槽で塩類濃度2%(w/v)以上の高塩類濃度のアンモニア含有廃水と接触させることで硝化処理を行う硝化工程を有する高塩類濃度含有廃水の廃水処理方法。
【請求項2】
高塩類耐性脱窒菌が固定化された固定化担体を、脱窒槽で硝酸、亜硝酸およびそれらの塩のいずれか一以上を含有する塩類濃度2%(w/v)以上の高塩類濃度の廃水と接触させることで脱窒処理を行う脱窒工程を有する高塩類濃度含有廃水の廃水処理方法。
【請求項3】
前記硝化工程で処理された処理水を、脱窒菌により脱窒処理する脱窒工程と、
前記脱窒工程で処理された処理水を、曝気しながら有機物処理を行う再曝気工程と、を有する請求項1に記載の高塩類濃度含有廃水の廃水処理方法。
【請求項4】
前記脱窒工程で処理された処理水を、曝気しながら有機物処理を行う再曝気工程と、を有する請求項2に記載の高塩類濃度含有廃水の廃水処理方法。
【請求項5】
前記硝化槽内のアンモニア含有廃水または前記脱窒槽内の硝酸、亜硝酸およびそれらの塩のいずれか一以上を含有する廃水の塩類濃度を測定する測定工程と、
前記再曝気工程で処理した処理水を、脱塩液と塩類濃縮液と、に分離する分離工程と、
前記測定工程により測定した塩類濃度に基づいて、前記脱塩液または前記塩類濃縮液を前記硝化槽または前記脱窒槽に供給し、前記硝化工程の塩類濃度、または、脱窒工程の塩類濃度を2%(w/v)以上7%(w/v)以下に制御する制御工程と、を有する請求項3または4に記載の高塩類濃度含有廃水の廃水処理方法。
【請求項6】
馴養前の担体が馴養されている前記硝化槽に、馴養済みの前記固定化担体を、前記担体と前記固定化担体の総量に対して、5%(w/w)以上30%(w/w)以下の割合で混合し、前記アンモニア含有廃水の処理の立ち上げを行う請求項1から5のいずれか1項に記載の高塩類濃度含有廃水の廃水処理方法。
【請求項7】
前記アンモニア含有廃水または前記硝酸、亜硝酸およびそれらの塩のいずれか一以上を含有する廃水が、貴金属を回収した後の廃水である請求項1から6のいずれか1項に記載の高塩類濃度含有廃水の廃水処理方法。
【請求項8】
前記アンモニア含有廃水または前記硝酸、亜硝酸およびそれらの塩のいずれか一以上を含有する廃水が、貴金属を含む廃水である請求項1から6のいずれか1項に記載の高塩類濃度含有廃水の廃水処理方法。
【請求項9】
高塩類耐性硝化細菌が固定化された固定化担体を、塩類濃度2%(w/v)以上の高塩類濃度のアンモニア含有廃水と接触させる硝化槽を備える高塩類濃度含有廃水の廃水処理装置。
【請求項10】
高塩類耐性脱窒菌が固定化された固定化担体を、塩類濃度2%(w/v)以上の高塩類濃度の硝酸、亜硝酸およびそれらの塩のいずれか一以上を含有する廃水と接触させる脱窒槽を備える高塩類濃度含有廃水の廃水処理装置。
【請求項11】
前記硝化槽の後段に、脱窒菌により脱窒処理する脱窒槽と、
曝気しながら有機物を処理する再曝気槽と、を備える請求項9に記載の高塩類濃度含有廃水の廃水処理装置。
【請求項12】
前記脱窒槽の後段に、前記脱窒槽で処理された処理水を、曝気しながら有機物を処理する再曝気槽と、を備える請求項10に記載の高塩類濃度含有廃水の廃水処理装置。
【請求項13】
前記硝化槽または前記脱窒槽の塩類濃度を測定する測定手段と、
前記再曝気槽の処理水を、脱塩液と塩類濃縮液と、に分離する分離手段と、
前記測定手段により測定した塩類濃度に基づいて、前記脱塩液を供給することで、前記硝化槽または前記脱窒槽の塩類濃度を7%(w/v)以下に制御する制御手段と、を備える請求項11または12に記載の高塩類濃度含有廃水の廃水処理装置。
【請求項14】
前記塩類濃縮液を貯留する貯留手段を備え、
前記制御手段は、前記脱塩液または前記塩類濃縮液を供給することで、前記硝化槽または前記脱窒槽の塩類濃度を2%(w/v)以上7%(w/v)以下に制御する請求項13に記載の高塩類濃度含有廃水の廃水処理装置。
【請求項15】
前記硝化槽の前段に担体を馴養する前処理槽を備え、
前記硝化槽に、前記前処理槽で馴養した馴養済みの固定化担体を、未馴養の担体と馴養済みの前記固定化担体の総量に対して、5%(w/w)以上30%(w/w)以下の割合で混合し、廃水処理の立ち上げを行う請求項9から14のいずれか1項に記載の高塩類濃度含有廃水の廃水処理装置。
【請求項16】
前記アンモニア含有廃水または前記硝酸、亜硝酸およびそれらの塩のいずれか一以上を含有する廃水が、貴金属を回収した後の廃水である請求項9から15のいずれか1項に記載の高塩類濃度含有廃水の廃水処理装置。
【請求項17】
前記アンモニア含有廃水または前記硝酸、亜硝酸およびそれらの塩のいずれか一以上を含有する廃水が、貴金属を含む廃水である請求項9から15のいずれか1項に記載の高塩類濃度含有廃水の廃水処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高塩類濃度含有廃水の廃水処理方法および廃水処理装置に係り、特に、アンモニアを含有する下水や産業廃水などの廃水を硝化脱窒処理する高塩類濃度含有廃水の廃水処理方法および廃水処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、中高濃度アンモニア処理では生物処理が多く行われており、微生物を用いた硝化反応と脱窒反応で窒素ガスに変換している。アンモニアは、硝化細菌による硝化反応により、亜硝酸や硝酸に酸化され、亜硝酸と硝酸は脱窒菌により脱窒され除去される。これらの反応においては硝化反応が律速となるため、硝化反応の効率化が検討されている。処理槽内の硝化細菌を高濃度に維持することで硝化反応の効率化が図れ、高濃度に維持するために、担体投入法による硝化細菌の高濃度化、用いる担体の生物膜法や包括固定化法の検討などが行われている。
【0003】
硝化反応における高速処理としては、例えば、下記の非特許文献1に硝化速度1.1kg−N/m/dayで処理できることが記載されている。また、非特許文献2には、1.2kg−N/(m・日)の亜硝酸化速度が得られることが記載されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】三宅將貴ら、外3名、硝化脱窒グラニュールの形成による高速窒素処理、第47回日本水環境学会年会講演集、2013年、p.266
【非特許文献2】中村安宏、外9名、嫌気性アンモニア酸化を用いた汚泥脱水分離液からの窒素除去、第47回日本水環境学会年会講演集、2013年、p.156
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、これらの微生物による硝化脱窒反応では、硝化が塩類により阻害されるため、高塩類濃度含有廃水の廃水処理には不向きであった。特に、レアメタルを含有する廃水からレアメタルを回収するために、塩類濃度を高くする必要があり、レアメタルを回収した産業廃水からアンモニアを除去するため、高塩類濃度硝化脱窒技術の開発が望まれていた。中でも、貴金属を含有する廃水から貴金属を回収した産業廃水に対するアンモニア、硝酸および亜硝酸等の窒素含有化合物の微生物による硝化脱窒処理においては、微量に残存する貴金属が微生物による処理活性を低下させるため、貴金属を含有する廃水の高塩類濃度硝化脱窒技術の開発が望まれていた。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、高塩類濃度雰囲気下において、高塩類耐性硝化細菌の高濃度化をすることができ、高塩類濃度含有廃水を常時安定して良好に処理することができる高塩類濃度含有廃水の廃水処理方法および廃水処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は前記目的を達成するために、高塩類耐性硝化細菌が固定化された固定化担体を、硝化槽で塩類濃度2%(w/v)以上の高塩類濃度のアンモニア含有廃水と接触させることで硝化処理を行う硝化工程を有する高塩類濃度含有廃水の廃水処理方法を提供する。
【0008】
本発明によれば、塩類濃度2%(w/v)以上の高塩類濃度のアンモニア含有廃水と、高塩類耐性硝化細菌が固定化された固定化担体を接触させることで、高い硝化速度を得ることができ、処理水のアンモニア性窒素濃度を減らすことができる。
【0009】
本発明は前記目的を達成するために、高塩類耐性脱窒菌が固定化された固定化担体を、脱窒槽で硝酸、亜硝酸およびそれらの塩のいずれか一以上を含有する塩類濃度2%(w/v)以上の高塩類濃度の廃水と接触させることで脱窒処理を行う脱窒工程を有する高塩類濃度含有廃水の廃水処理方法を提供する。
【0010】
本発明によれば、硝酸、亜硝酸およびそれらの塩のいずれか一以上を含有する塩類濃度2%(w/v)以上の高塩類濃度の廃水と、高塩類耐性脱窒菌が固定化された固定化担体を接触させることで、高塩類濃度においても高い処理速度を得ることができ、処理水のアンモニア窒素濃度を減らすことができる。
【0011】
本発明の別の態様においては、硝化工程で処理された処理水を、脱窒菌により脱窒処理する脱窒工程と、脱窒工程で処理された処理水を、曝気しながら有機物処理を行う再曝気工程と、を有することが好ましい。
【0012】
この態様によれば、硝化工程後の処理水を、脱窒、再曝気を行うことで、処理水中の窒素濃度を下げることができる。
【0013】
本発明の別の態様においては、硝化槽内のアンモニア含有廃水または脱窒槽内の硝酸、亜硝酸およびそれらの塩のいずれか一以上を含有する廃水の塩類濃度を測定する測定工程と、再曝気工程で処理した処理水を、脱塩液と塩類濃縮液と、に分離する分離工程と、測定工程により測定した塩類濃度に基づいて、脱塩液または塩類濃縮液を硝化槽または脱窒槽に供給し、硝化工程の塩類濃度、または、脱窒工程の塩類濃度を2%(w/v)以上7%(w/v)以下に制御する制御工程と、を有することが好ましい。
【0014】
この態様によれば、再曝気工程後の処理水を脱塩液と塩類濃縮液とに分離し、硝化工程の塩類濃度、または、脱窒工程の塩類濃度の制御に用いることで、塩類濃縮液廃水を減らすことができる。
【0015】
本発明の別の態様においては、馴養前の担体が馴養されている硝化槽に、馴養済みの固定化担体を、担体と固定化担体の総量に対して、5%(w/w)以上30%(w/w)以下の割合で混合し、アンモニア含有廃水の処理の立ち上げを行うことが好ましい。
【0016】
この態様によれば、廃水処理の立ち上げ時において、馴養済みの固定化担体と馴養前の担体を混合して用いることで、立ち上げ時間を短縮することができる。
【0017】
本発明の別の態様においては、アンモニア含有廃水または硝酸、亜硝酸およびそれらの塩のいずれか一以上を含有する廃水が、貴金属を回収した後の廃水であることが好ましい。
【0018】
本発明の別の態様においては、アンモニア含有廃水または硝酸、亜硝酸およびそれらの塩のいずれか一以上を含有する廃水が、貴金属を含む廃水であることが好ましい。
【0019】
貴金属の回収は、貴金属を含む廃水の塩類濃度を高くして、貴金属を析出させ回収するため、貴金属を回収した後の廃水は、塩類濃度が高くなっている。したがって、本発明の高塩類濃度含有廃水の廃水処理方法を好適に用いることができる。また、貴金属を含む廃水に対しても好適に用いることができる。
【0020】
本発明は前記目的を達成するために、高塩類耐性硝化細菌が固定化された固定化担体を、塩類濃度2%(w/v)以上の高塩類濃度のアンモニア含有廃水と接触させる硝化槽を備える高塩類濃度含有廃水の廃水処理装置を提供する。
【0021】
本発明によれば、塩類濃度2%(w/v)以上の高塩類濃度のアンモニア含有廃水と、高塩類耐性硝化細菌が固定化された固定化担体を接触させることで、高い硝化速度を得ることができ、処理水のアンモニア性窒素濃度を減らすことができる。
【0022】
本発明は前記目的を達成するために、高塩類耐性脱窒菌が固定化された固定化担体を、塩類濃度2%(w/v)以上の高塩類濃度の硝酸、亜硝酸およびそれらの塩のいずれか一以上を含有する廃水と接触させる脱窒槽を備える高塩類濃度含有廃水の廃水処理装置を提供する。
【0023】
本発明によれば、硝酸、亜硝酸およびそれらの塩のいずれか一以上を含有する塩類濃度2%(w/v)以上の高塩類濃度の廃水と、高塩類耐性脱窒菌が固定化された固定化担体を接触させることで、高塩類濃度においても高い処理速度を得ることができ、処理水のアンモニア窒素濃度を減らすことができる。
【0024】
本発明の別の態様においては、硝化槽の後段に、脱窒菌により脱窒処理する脱窒槽と、曝気しながら有機物を処理する再曝気槽と、を備えることが好ましい。
【0025】
この態様によれば、硝化槽から排出された処理水を、脱窒、再曝気を行うことで、処理水中の窒素濃度を下げることができる。
【0026】
本発明の別の態様においては、硝化槽または脱窒槽の塩類濃度を測定する測定手段と、再曝気槽の処理水を、脱塩液と塩類濃縮液と、に分離する分離手段と、測定手段により測定した塩類濃度に基づいて、脱塩液を供給することで、硝化槽または脱窒槽の塩類濃度を7%(w/v)以下に制御する制御手段と、を備えることが好ましい。
【0027】
本発明の別の態様においては、塩類濃縮液を貯留する貯留手段を備え、制御手段は、脱塩液または塩類濃縮液を供給することで、硝化槽または脱窒槽の塩類濃度を2%(w/v)以上7%(w/v)以下に制御する
ことが好ましい。
【0028】
この態様によれば、再曝気槽の処理水を脱塩液と塩類濃縮液とに分離し、硝化槽または脱窒槽の塩類濃度の調整に用いることで、装置から排出される廃液の量を減らすことができる。
【0029】
本発明の別の態様においては、硝化槽の前段に担体を馴養する前処理槽を備え、硝化槽に、前処理槽で馴養した馴養済みの固定化担体を、未馴養の担体と馴養済みの固定化担体の総量に対して、5%(w/w)以上30%(w/w)以下の割合で混合し、廃水処理の立ち上げを行うことが好ましい。
【0030】
この態様によれば、廃水処理の立ち上げ時において、前処理槽で馴養済みの固定化担体を製造し、馴養済みの固定化担体と馴養前の担体を混合して用いることで、立ち上げ時間を短縮することができる。
【0031】
本発明の別の態様においては、アンモニア含有廃水または硝酸、亜硝酸およびそれらの塩のいずれか一以上を含有する廃水が、貴金属を回収した後の廃水であることが好ましい。
【0032】
本発明の別の態様においては、アンモニア含有廃水または硝酸、亜硝酸およびそれらの塩のいずれか一以上を含有する廃水が、貴金属を含む廃水であることが好ましい。
【0033】
貴金属の回収は、貴金属を含む廃水の塩類濃度を高くして、貴金属を析出させ回収するため、貴金属を回収した後の廃水は、塩類濃度が高くなっている。したがって、本発明の高塩類濃度含有廃水の廃水処理装置を好適に用いることができる。また、貴金属を含む廃水に対しても好適に用いることができる。
【発明の効果】
【0034】
本発明の高塩類濃度含有廃水の廃水処理方法および廃水処理装置によれば、高塩類濃度雰囲気下で高塩類耐性硝化細菌の高濃度化をすることができ、常時安定して、良好な処理水を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】第1実施形態の高塩類濃度含有廃水の廃水処理装置を示す構成図である。
図2】第2実施形態の高塩類濃度含有廃水の廃水処理装置を示す構成図である。
図3】第3実施形態の高塩類濃度含有廃水の廃水処理装置を示す装置フローである。
図4】第3実施形態の高塩類濃度含有廃水の廃水処理装置の変形例を示す装置フローである。
図5】実施例1の結果を示す図である。
図6】実施例2の結果を示す図である。
図7】実施例3で使用した装置フローである。
図8】実施例3の結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、添付図面に従って、本発明に係る高塩類濃度含有廃水の廃水処理方法および廃水処理装置について説明する。なお、本明細書において、「〜」とは、その前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味で使用される。
【0037】
[固定化担体]
(硝化細菌)
本実施形態で使用される固定化担体に固定化される微生物(菌体)としては、下水処理場などの活性汚泥に棲息した高塩類耐性硝化細菌を用いることができる。高塩類耐性硝化細菌としては、Nitrosomonas、NitrosospiraおよびNitrosococcusなどのアンモニア酸化細菌類のいずれか一以上が用いられる。この活性汚泥を集積培養した高塩類耐性硝化細菌を用いる。培養に用いる塩類としては、特に限定されないが、例えばアルカリ金属、アルカリ土類金属およびアンモニウムのハロゲン塩、リン酸塩、リン酸水素塩、炭酸塩、炭酸水素塩、硫酸塩および硫酸水素塩から選択される一以上の塩が挙げられる。培養に用いる塩類の濃度としては、0.5〜20%(w/v)が好ましく、1〜10%(w/v)がより好ましく、1〜5%(w/v)が最適である。高塩類耐性硝化細菌として本実施例では一態様を示すが、塩類濃度3%(w/v)含有の5000mg/L硫酸アンモニウム培地で培養され、検出される硝化菌群である。活性汚泥の固定化には、(1)生物膜法による付着固定化(固定化担体)、(2)包括固定化(包括固定化担体)の2つの方法を用いることができる。
【0038】
(1)生物膜法による付着固定化
生物膜法は、担体表面で増殖する微生物群を利用する処理方法である。固定化担体は、水中に担体を浸漬し、適切な曝気撹拌状態を維持するため、散気管により空気を供給することで担体と液体との界面、すなわち、担体の表面で増殖する微生物群と、これらの微生物が分泌した細胞外ポリマー状物質の集合体とを含むゲル状の膜を形成することにより形成される。
【0039】
生物膜法で用いられる担体としては、ポリビニルアルコール(PVA)およびその誘導体、アセタール化ポリビニルアルコール系ゲルを用いることができ、特に、ポリビニルアルコール(PVA)およびその誘導体を用いることが好ましい。
【0040】
担体に固定化される微生物(菌体)としては、高塩類耐性硝化細菌を使用できる。高塩類耐性硝化細菌は上述したように、高塩類耐性硝化細菌を含有する活性汚泥を固定化してもよいし、純粋菌を固定化してもよい。
【0041】
担体の形状は、特に限定されないが、四角状、球状、筒状、紐状、不織布状などの形状が好ましい。特に、担体の表面の凹凸を多くすることで、廃水との接触効率が良くなり、反応速度が向上するため好ましい。
【0042】
担体への硝化細菌の付着量としては、リアルタイムPCRコピー法で測定した値で、2×1010コピー/g−担体以上であることが好ましい。また、高塩類耐性硝化菌として、2×10cells/g−担体以上であることが好ましい。担体への硝化細菌、および、高塩類耐性硝化細菌の付着量を上記の数値以上とすることで、廃水の処理を常時安定して行うことができる。
【0043】
[リアルタイムPCR法]
リアルタイムPCR法は、遺伝子解析により菌体濃度を測定する方法であり、遺伝子解析においては硝化細菌に特有の遺伝子を対象として解析を行って遺伝子数を測定し、さらにその遺伝子数から硝化細菌の菌濃度、菌数を測定する。
【0044】
amoAプライマーコピー数の測定には、下記のプライマーを使用した。
【0045】
プライマー名および配列5’→3’
amoA1f(GGG GTT TCT ACT GGT GGT)
amoA2r(CC CTC KGS AAA GCC TTC TTC)
また、担体質量当たりのコピー数は次式(1)によって算出した。
【0046】
X=X(V+V)/V……(1)
ここで、X:担体内部の生菌数(コピー/g−担体)
:前処理後の原液の生菌数(コピー/mL)
:前処理した担体量(g)
:前処理に用いた液量(mL)
遺伝子解析の方法としては、プライマーペアにより遺伝子を増幅するPCRが好ましく、特に遺伝子を増幅する際、ハイブリダイゼイションプローブを用いて定量するリアルタイムPCR、および最確数法と組み合わせたMPN−PCRが好ましいが、他の解析方法でもよい。
【0047】
(2)包括固定化担体
包括固定化担体は、菌体の存在下で固定化材料を重合化してゲル化することにより菌体を固定化材料(モノマー、プレポリマー)に包括固定化することにより形成される。
【0048】
固定化材料として使用されるモノマー材料としては、アクリルアミドメチレンビスアクリルアミド、トリアクリルフォルマールなどが好ましく用いられる。プレポリマー材料としては、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールメタアクリレート、および、その誘導体などが好ましく用いられる。
【0049】
また、固定化材料以外に、架橋剤を含有させることが好ましい。架橋剤としてはエチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールメタアクリレートのように菌体に無害であり、且つ分子量の低いモノマーまたはプレポリマー、およびその誘導体を好適に用いることができる。
【0050】
固定化材料に包括固定される微生物(菌体)としては、高塩類耐性硝化細菌を使用できる。高塩類耐性硝化細菌は上述したように、高塩類耐性硝化細菌を含有する活性汚泥を固定化してもよいし、純粋菌を固定化してもよい。
【0051】
[包括固定化担体の製造方法]
上記した固定化材料、架橋剤、および、菌体(活性汚泥)を混合して懸濁液とし、この懸濁液に重合促進剤(NNN’N’テトラメチルエチレンジアミン)と、重合開始剤(例えば、過硫酸カリウム)を添加する。これにより、懸濁液の重合が始まりゲル化する。このゲルを所定サイズに切断し、包括固定化担体を製造する。包括固定化担体の代表液な組成例として、以下の組成を挙げる。
【0052】
・活性汚泥 ・・・15部
・ポリエチレングリコールジアクリレート ・・・10部
・NNN’N’テトラメチルエチレンジアミン ・・・0.5部
・水 ・・・74.25部
この組成の懸濁液に過硫酸カリウム0.25部を添加することで重合が開始し、ゲル化する。このゲルを切断することで、固定化担体が形成される。
【0053】
包括固定化担体の形状は、四角状、球状、筒状、紐状、不織布状などの形状が好ましい。特に、担体表面に凹凸が多い包括固定化担体は、廃水との接触効率がよく除去率が向上するため好ましい。包括固定化担体の大きさは、一般に、3mm角の立方体形状(キュービック形状)のものが使用されているが、特に限定されない。
【0054】
(脱窒菌)
高塩類耐性硝化細菌による硝化反応により、アンモニアを亜硝酸と硝酸に酸化された廃水は、脱窒菌により脱窒される。固定化担体に固定化される脱窒菌としては、高塩類耐性脱窒菌を用いる。高塩類耐性脱窒菌としては、下水処理場などの活性汚泥に棲息した高塩類耐性脱窒菌を用いることができる。この活性汚泥を集積培養した高塩類耐性脱窒菌を用いる。活性汚泥の固定化は、上記の硝化細菌と同様に、生物膜法による付着固定化(固定化担体)、包括固定化(包括固定化担体)の2つの方法を用いることができる。また、材料、製造方法についても、硝化細菌と同様に行うことができる。
【0055】
[廃水中に含まれる塩類]
アンモニア含有廃水または硝酸、亜硝酸およびそれらの塩のいずれか一以上を含有する廃水中の含まれる塩類としては、特に限定されないが、例えばアルカリ金属、アルカリ土類金属およびアンモニウムのハロゲン塩、リン酸塩、リン酸水素塩、硝酸塩、亜硝酸塩、炭酸塩、炭酸水素塩、硫酸塩、亜硫酸塩および硫酸水素塩から選択される一以上の塩が挙げられる。塩類濃度としては、廃水中に含まれる全ての塩として2%(w/v)以上で排水処理が実施されるが、2%(w/v)以上10%(w/v)以下で実施されることが好ましく、より好ましくは2%(w/v)以上7%(w/v)以下で実施される。
【0056】
[廃水処理装置]
<第1実施形態>
第1実施形態の高塩類濃度含有廃水の廃水処理装置について説明する。図1は、第1実施形態の高塩類濃度含有廃水の廃水処理装置を示す構成図である。図1に示すように、本実施形態の高塩類濃度含有廃水の廃水処理装置10は、主として、担体12を充填した硝化槽14と、硝化槽14に原水(高塩類濃度のアンモニア含有廃水)を流入させる原水配管16と、硝化槽14で処理した処理水を排出する処理水配管18と、硝化槽14内にエアを曝気する曝気手段20と、硝化槽14内のpHを制御するpH調整手段22と、で構成される。硝化槽14に供試される原水は、塩類濃度2%(w/v)以上、好ましくは3〜7%(w/v)の廃水を用いることが好ましい。また、担体12は、包括固定化担体、未馴養の担体、生物膜法で馴養された固定化担体のいずれでもよいが、未馴養の担体、生物膜法で馴養された固定化担体を用いる場合は、高塩類耐性硝化細菌の純粋菌、または、高塩類耐性硝化細菌を含有する種汚泥が投入する配管が設けられる。硝化工程は、硝化槽14において、高塩類耐性硝化細菌が固定化された固定化担体と、原水を接触させることで行われる。
【0057】
曝気手段20は、硝化槽14の底部に接続されたエア配管20Aと、エア配管20Aを介してエアを供給するブロア20Bとで構成される。そして、硝化槽14内にエアを曝気することにより、硝化槽14内を好気性条件に形成するとともに、硝化槽14内の担体12を流動させる。担体12を好気性条件下で流動させることにより、担体表面に微生物を付着増殖させ固定化担体を形成する。また、硝化槽14内で固定化担体と廃水とを接触させることにより廃水中のアンモニアを生物学的に処理して、亜硝酸および硝酸にする。
【0058】
硝化槽14内のpHは、pH調整手段22により制御される。pHの調整は、例えば、5%(w/v)NaHCOによりpH=7.5に制御することができる。
【0059】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態の高塩類濃度含有廃水の廃水処理装置について説明する。図2は第2実施形態の高塩類濃度含有廃水の処理装置を示す構成図である。第2実施形態の高塩類濃度含有廃水の廃水処理装置110は、生物膜法による付着固定化で固定化担体を製造する際に用いられ、担体12の前処理を行う前処理槽124を硝化槽14の前段に備える点が第1実施形態の廃水処理装置と主に異なっている。そして、前処理槽124に高塩類耐性硝化細菌の純粋菌または高塩類耐性硝化細菌を含有する種汚泥が投入される。
【0060】
硝化槽14に原水を流入させる原水配管16には、廃水を前処理槽124に流入させるための原水分配管126が原水配管16から分岐して設けられている。原水分配管126には、開閉バルブ128が設けられており、開閉バルブ128により、前処理槽124への原水の供給を制御する。前処理槽124には、担体を投入するための担体投入管130を備える。担体投入管130から投入された担体は、前処理槽124内において、原水中で馴養される。前処理槽124は、曝気手段138を有し、曝気手段138からエアを曝気することにより担体を流動させ、担体表面に微生物を付着増殖させることで、種担体(固定化担体)136を形成する。原水中の塩類濃度は2%(w/v)以上、好ましくは3〜7%(w/v)の廃水を用いる。
【0061】
前処理槽124で、高塩類耐性硝化細菌を担体の存在下で馴養することで、担体に高塩類耐性硝化細菌を付着増殖させる。担体に付着、増殖させた硝化細菌の菌体量としては、リアルタイムPCR法により測定した値で、2×1010コピー/g−担体以上であることが好ましく、高塩類耐性硝化菌として、2×10cells/g−担体以上であることが好ましい。また、前処理槽124での馴養期間は、2週間以上16週間以下とすることが好ましく、より好ましくは4週間以上12週間以下である。馴養期間を上記範囲とすることにより、所望の菌体量を担体に保持させることができる。
【0062】
前処理槽124で馴養された種担体136は、馴養済み担体投入管132から硝化槽14に投入される。廃水処理装置110の硝化槽14の立ち上げ時には、硝化槽14内は、種担体と新担体(馴養前の担体)の総量に対して5%(w/w)以上30%(w/w)以下が、前処理槽124で馴養された種担体を用いる。好ましくは、種担体の割合が総量の10%(w/w)以上20%(w/w)以下である。廃水処理装置110の立ち上げ時に、硝化槽14内で新担体のみを用いて、廃水処理を行うと、十分な処理性能を得るまでに、時間がかかってしまう。立ち上げ時に汚泥種として、種担体を用い、新担体と混合して用いることで、立ち上げ時間を短くすることができる。
【0063】
種担体の割合を多くすることで、立ち上げ時間を短くすることができるが、種担体の製造コストが上がるため、前処理槽124で馴養した種担体の量は上記範囲とすることが好ましい。また、馴養した担体の量が多くなりすぎても立ち上げ時間の短縮の効果は得られない。
【0064】
また、担体を前処理槽124において、一週間程度、空曝気することが好ましい。空曝気することで、担体に硝化細菌を付着増殖させ易くすることができる。
【0065】
なお、種担体は、図2に示すように、前処理槽124で馴養し、硝化槽14に投入することもできるが、図1に示すような処理装置においても、他の処理装置で馴養、廃水処理した担体を、立ち上げ時の硝化槽に混合することで、馴養済みの種担体と馴養前の新担体とを混合して用いることで、同様の効果を得ることができる。
【0066】
<第3実施形態>
図3は、第3実施形態の高塩類濃度含有廃水の廃水処理装置200を示す装置フローである。第3実施形態の高塩類濃度含有廃水の廃水処理装置は、硝化槽202(第1実施形態の硝化槽14に相当)の後段に脱窒槽204、および、再曝気槽206を備え、原水配管201から供給された原水は、硝化槽202、脱窒槽204、再曝気槽206で処理され、処理水配管207から処理水が排出される。脱窒槽204は、硝化槽202で硝化細菌により処理された処理水中の亜硝酸および硝酸を脱窒菌により脱窒処理する槽である(脱窒工程)。また、再曝気槽206は、脱窒槽204で脱窒処理した処理液の有機物を処理する槽である。脱窒槽204において、メタノール等の有機性水素供与体を添加した場合、余剰のメタノールの除去を行うことができる(再曝気工程)。
【0067】
第3実施形態の廃水処理装置200は、硝化槽202内の塩類濃度(TDS:Total Dissolved Solids)を測定する塩類濃度測定装置208、および、脱窒槽204内の塩類濃度を測定する塩類濃度測定装置209(測定手段に相当)を備える。塩類濃度測定装置208、209としては、電磁誘導電気伝導率計MBM−160(東亜ディーケーケー社製)を用いることができる。また、再曝気槽206の処理水を塩類濃縮液と脱塩液に分離する逆浸透装置210(分離手段に相当)を備える。
【0068】
硝化槽202内および脱窒槽204内で処理する廃水の塩類濃度は、2%(w/v)以上であり、3〜7%(w/v)とすることが好ましい。塩類濃度測定装置208により硝化槽202内の塩類濃度の測定、または、塩類濃度測定装置209により脱窒槽204内の塩類濃度の測定を行う(測定工程)。また、再曝気槽206で処理した処理水を、塩類濃縮液と脱塩液に分離する(分離工程)。塩類濃度測定装置208、209で測定した塩類濃度に基づいて、処理槽202、または、脱窒槽204の塩類濃度が7%(w/v)以上になると、制御手段(不図示)がバルブ214、216の開閉を制御し、逆浸透装置210により分離された脱塩液が脱塩液配管212を通り、硝化槽202または脱窒槽204に供給される。これにより、硝化槽202内または脱窒槽204内の塩類濃度が7%(w/v)以下に制御される(制御工程)。
【0069】
逆浸透装置210で分離された塩類濃縮液は、塩類濃縮液排出管213を通り、装置外へ排出される。
【0070】
(変形例)
図4は、第3実施形態の変形例を示す装置フローである。図4に示す廃水処理装置250は、逆浸透装置210から排出される塩類濃縮液を貯留する塩類濃縮液ピット252(貯留手段に相当)を備える点が、図3の廃水処理装置と異なっている。塩類濃縮液ピット252に塩類濃縮液を貯留することで、硝化槽202または脱窒槽204の塩類濃度が低下した場合に、塩類濃縮液を硝化槽202または脱窒槽204に供給することで硝化槽202内または脱窒槽204の塩類濃度を所望の値にすることができる。
【0071】
上述したように、硝化槽202内および脱窒槽204内で処理する廃水の塩類濃度は、2%(w/v)以上であり、3〜7%(w/v)とすることが好ましい。塩類濃度測定装置208、209により測定された硝化槽202内の塩類濃度または脱窒槽204内の塩類濃度が2%(w/v)以下であれば、バルブ256、258を制御し、塩類濃縮液ピット252から塩類濃縮液を、塩類濃縮液配管254を通り、硝化槽202または脱窒槽204に供給することで、硝化槽202内または脱窒槽204内の塩類濃度を上昇させることができる。また、硝化槽202内または脱窒槽204内の塩類濃度が7%(w/v)以上になった場合は、バルブ214、216を制御し、逆浸透装置210から脱塩液を、脱塩液配管212を通り、硝化槽202または脱窒槽204に供給することで、硝化槽202内または脱窒槽204内の塩類濃度を下げることができる。
【0072】
図4に示す廃水処理装置250の構成とすることで、硝化槽202内および脱窒槽204の塩類濃度の制御を、再曝気槽206からの処理液を逆浸透装置210で分離した脱塩液、または、塩類濃縮液により行うことで、廃液となる塩類濃縮液を減らすことができる。再曝気槽206から排出される処理水以外の排出を完全に排除するためには、硝化槽202内の塩類濃度を5〜6%(w/v)で制御することが好ましい。
【0073】
なお、第3実施形態においては、硝化槽202において処理された廃水を脱窒槽204で処理する態様で説明したが、本発明はこれに限定されず、硝化槽202を設けず、他の処理槽、および、方法で処理された、硝酸、亜硝酸およびそれらの塩のいずれか一以上を含む塩類濃度2%(w/v)以上の高塩類濃度の廃水を、脱窒槽204で処理することもできる。
【0074】
[廃水]
本実施形態で用いられる廃水である、アンモニア含有廃水、または、硝酸、亜硝酸およびそれらの塩のいずれか一以上を含有する廃水は、貴金属を回収した後の廃水を用いることが好ましい。貴金属の回収は、一般的に、貴金属を含む廃水の塩類濃度を高くして、貴金属を析出させ回収するため、貴金属を回収した後の廃水は、塩類濃度が高くなっている。したがって、貴金属を回収後の塩類濃度の高い廃水に対して、好適に用いることができる。また、貴金属を含む廃水に対しても好適に用いることができる。貴金属を含む廃水は、20ppm以下の貴金属を含む廃水が好ましく用いられ、より好ましくは5ppm以下、最適には3ppm以下で用いられる。
【実施例】
【0075】
以下に実施例を挙げ、本発明をより詳細に説明する。ただし、本発明はこの実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。
【0076】
(実施例1)[NH−N400mg/L含有高塩類濃度合成廃水の処理]
図1に示す装置を用いて処理を行った。充填率20%でPVA担体(クラレ社製、クラゲール担体)を硝化槽14に充填し、種汚泥として下水処理場返送汚泥を投入した。廃水は表1に示す組成の廃水を用い、塩類濃度4%(w/v)になるように、塩化ナトリウムを添加し、廃水処理を行った。運転開始から3ヶ月経過後、処理は安定し、硝化速度0.3kg−N/m/day、処理水濃度NH−N1mg/L以下の処理水を得た。この時担体への硝化細菌の付着量は、リアルタイムPCRコピー法で測定した値で、2×1010コピー/g−担体以上であり、また、高塩類耐性硝化菌として、2×10cells/g−担体以上であった。その後、塩類濃度が2〜8%(w/v)となるように、塩化ナトリウムを添加し、塩類濃度と硝化速度の関係を得た。結果を図5に示す。塩類濃度が2%(w/v)以上、特に、3〜7%(w/v)の条件とすることで、高い硝化速度が得られることが確認でき、塩類濃度が2%(w/v)以上、好ましくは3〜7%(w/v)の雰囲気で処理することが好ましい。
【0077】
【表1】
【0078】
(実施例2)[新担体と馴養済み担体の混合立ち上げ試験]
装置の立ち上げ時の担体において、馴養済みの担体(種担体)と無生物担体である馴養前の担体(新担体)との混合比について検討を行った。馴養済みの担体としては、実施例1で使用した担体を用いた。実際に廃水処理装置を立ち上げるためには、担体の馴養が必要であり、立ち上げ時に投入する馴養済みの担体の量が少ない方がより安価に立ち上げることができる。
【0079】
無生物担体である馴養前の担体と馴養済みの担体を混在させ、立ち上がりの検討を行った。担体総量中の馴養済み担体の割合に対する硝化活性の立ち上がりの結果を図6に示す。試験方法は、実施例1と同様の方法により行い、馴養済みの担体の割合に対する硝化速度比をプロットした。硝化速度比は、(硝化速度比=[立ち上げ中の硝化速度]/[馴養済みの担体100%の硝化速度])により求め、1、2、3、4週間後の硝化速度を測定した。
【0080】
図6に示すように、馴養済みの担体の量が18%以上の場合は、それぞれの時間経過後における硝化速度比に差は見られなかった。馴養済みの担体の量が多くなると立ち上げ時間は早くなるが、担体のコストが高くなるため、馴養済みの担体の量としては、担体総量の10〜30%とすることが好ましく、より好ましくは10〜20%である。
【0081】
(実施例3)
レアメタル回収の際に排出される産業廃水は高アンモニア濃度や高塩類濃度を含有するなどの理由により、生物学的窒素処理が困難である。レアメタル回収系産業廃水を想定し、貴金属を1ppm含む廃水を包括固定化法と生物膜法で製造した固定化担体を用いて連続処理実験を行った。処理水のNH−N(アンモニア性窒素濃度)が30mg/Lとなるように、硝化脱窒処理の馴養と限界塩類濃度の検討を行った。
【0082】
実験装置は、図7に示すフロー図のように、硝化槽(1.15L)202、脱窒槽(1.60L)204、再曝気槽(1.20L)206からなる装置を用い、表2に示す充填材と撹拌方式(RUN1、RUN2)により実験を行った。原水は、実廃水をNH−Nが200〜1510mg/L(T−N200〜1510mg/L)になるように希釈し、NaHCO(3.0g/L)とNaHPO・12HO(0.15g/L)を栄養塩類として添加した。また、原水の塩類濃度は、0.3〜4%(w/v)と段階的に塩化ナトリウム(NaCl)を添加し、増加させた。RUN1、RUN2とも、硝化槽において、5%(w/v)NaHCOによるpH制御(pH=7.5)を行い、脱窒槽ではメタノールを添加した。水温は室温とし、硝化槽のHRT(水理学的滞留時間)は、RUN1で32〜50h、RUN2で32〜44hとし、窒素容積負荷はRUN1で0.5〜0.5kg−N/m/day、RUN2で0.2〜0.3kg−N/m/dayとした。
【0083】
【表2】
【0084】
結果の一例として、RUN1の硝化槽での水質濃度の経日変化の結果を図8に示す。RUN1では、連続運転開始直後から亜硝酸型硝化が見られた(処理水NO−Nが増加)。開始から、50〜70日目に原水濃度が上昇したため、処理水質が悪化したが、その後、容積負荷0.2〜0.6kg−N/m/dayで硝酸型硝化へ推移し安定した。塩類濃度0.3%(w/v)の条件下において、処理水NH−Nは16mg/L以下で安定した。また、塩類濃度1.3〜3.8%(w/v)に段階的に増加させると、処理水NH−Nは2.1mg/L以下で安定した。硝化速度は、塩類濃度3.8%(w/v)で0.31kg−N/m/dayを得た。
【0085】
RUN2においては、3ヶ月の馴養後に立ち上がり始め、容積負荷0.1〜0.4kg−N/m/dayで、RUN1と同じ挙動で硝酸型硝化へと推移し安定した。塩類濃度1.3〜2.3%(w/v)の条件で運転した場合、塩類濃度2.3%(w/v)で一次処理が不安定になったが、その後安定した。塩類濃度3.3〜3.8%(w/v)の条件で運転し、処理水NH−Nは5.0mg/L以下で安定した。RUN1、2ともに塩類濃度3〜3.8%(w/v)で再曝気槽の流出処理水T−Nが30mg/L以下を得た。
【0086】
高塩類濃度で安定した硝化脱窒処理が可能であることが確認できる。
【符号の説明】
【0087】
10、110、200、250…廃水処理装置、12…担体、14、202…硝化槽、16、201…原水配管、18、207…処理水配管、20、138…曝気手段、22…pH調整手段、124…前処理槽、126…原水分配管、136…種担体、204…脱窒槽、206…再曝気槽、208、209…塩類濃度測定装置、210…逆浸透装置、212…脱塩液配管、213…塩類濃縮液排出管、214、216、256、258…バルブ、252…塩類濃縮液ピット、254…塩類濃縮液配管
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8