特開2016-200652(P2016-200652A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-200652(P2016-200652A)
(43)【公開日】2016年12月1日
(54)【発明の名称】光変調器用の接続治具
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/01 20060101AFI20161104BHJP
【FI】
   G02F1/01 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-78910(P2015-78910)
(22)【出願日】2015年4月8日
(71)【出願人】
【識別番号】000183266
【氏名又は名称】住友大阪セメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116687
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 爾
(74)【代理人】
【識別番号】100098383
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 純子
(72)【発明者】
【氏名】片岡 利夫
(72)【発明者】
【氏名】市川 潤一郎
【テーマコード(参考)】
2K102
【Fターム(参考)】
2K102AA21
2K102BA01
2K102BD01
2K102CA06
2K102EA03
2K102EA07
2K102EA09
2K102EB22
2K102EB30
(57)【要約】
【課題】
光変調器の電気インターフェース部の特性インピーダンスを調整し、より正確な電気特性を測定可能とする光変調器用の接続治具を提供すること。
【解決手段】
光変調器の電気インターフェース部3と外部電気回路(30〜32)とを電気的に接続する光変調器用の接続治具において、該接続治具は、配線21が形成された基板20と、該配線に該電気インターフェース部3を押し付ける把持手段40とを有し、該把持手段は該電気インターフェース部に接触する部分を誘電体で構成していることを特徴とする。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光変調器の電気インターフェース部と外部電気回路とを電気的に接続する光変調器用の接続治具において、
該接続治具は、配線が形成された基板と、該配線に該電気インターフェース部を押し付ける把持手段とを有し、
該把持手段は該電気インターフェース部に接触する部分を誘電体で構成していることを特徴とする光変調器用の接続治具。
【請求項2】
請求項1に記載の光変調器用の接続治具において、該誘電体の誘電率が1〜9であることを特徴とする光変調器用の接続治具。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の光変調器用の接続治具において、該基板に形成された該配線は、該電気インターフェース部と接触する箇所に凹凸が形成されていることを特徴とする光変調器用の接続治具。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の光変調器用の接続治具において、該基板に形成された配線には、インピーダンス変換部を含むことを特徴とする光変調器用の接続治具。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の光変調器用の接続治具において、該電気インターフェース部は、フレキシブル回路基板又はリードピンのいずれかであることを特徴とする光変調器用の接続治具。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載の光変調器用の接続治具において、該接続治具と該外部電気回路との接続部分には、高周波プローブ、高周波コネクタ又は変調器を駆動するドライバアンプのいずれかが接続されていることを特徴とする光変調器用の接続治具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光変調器用の接続治具に関し、特に、光変調器の電気インターフェース部と外部電気回路とを電気的に接続する光変調器用の接続治具に関する。
【背景技術】
【0002】
光通信分野において、光変調器を用いた送受信機が利用されている。近年、光伝送システムの小型化要求により、送受信機モジュール(トランスポンダ)内に搭載される光変調器の電気インターフェース部であるRFインターフェース接続についても、短尺化傾向になっている。
【0003】
電気インターフェース部の具体例としては、リードピン(SMT:Surface-Mount-Technology)や、特許文献1又は2に示すようなフレキシブル回路基板(FPC)3などが、面実装用のインターフェース部として用いられている。これらのインターフェース部は、プッシュオンタイプの同軸コネクタ等の同軸ケーブルに比べ安価であり、トランスポンダ内基板の平面回路へ直接接続できる利点がある。
【0004】
図1は、モジュールを構成する回路基板2上に光変調器1を配置した様子を示している。短尺化を実現する手段として、フレキシブル回路基板(FPC)3が用いられるようになっている。図2は、図1における矢印A−A’における断面状態を示している。光変調器1は、光変調素子4を金属製筐体10内に収容し、気密封止されている。符号11は、筐体の蓋部分である。筐体内に収容された光変調素子と外部回路基板2とは、フレキシブル回路基板3と、筐体の貫通孔に配置されるリードピン5とを介して電気的に接続されている。また、フレキシブル回路基板3とリードピン5とは、直接接続される。リードピン5と光変調素子4との間は、金線等でワイヤーボンディング(60)されている。
【0005】
フレキシブル回路基板に形成される電気線路としては、コプレーナ線路(CPW線路)が多く用いられており、トランスポンダ内に搭載される基板電極と直接半田を介して接続を行うため、実装性を優先させるワイドギャップが多用されている。この場合、信号電極と接地電極との間を広めに離間させる形となり、結果として、電気線路の特性インピーダンスが50Ωから乖離することとなる。例えば、フレキシブル回路基板にCPW線路を形成した場合で、信号電極幅が0.35mm、接地電極間の距離が0.5mm、基板材料を一般的なポリイミド材料とした場合、特性インピーダンスは約160Ωとなる。仮に、両面にCPW線路を形成した構成でも約80Ωとなる
【0006】
このようなCPW線路のRF特性を正確に測定するためには、フレキシブル回路基板に形成される電気線路であって、半田接続される部分の特性インピーダンスを、当該電気線路が接続される基板側の電気線路の特性インピーダンスである50Ωに限りなく近づける必要がある。
【0007】
しかしながら、従来の高周波プローブを、フレキシブル回路基板の電気配線を構成する各信号電極や接地電極にコンタクトさせ、電気特性を測定した場合、特性インピーダンスのミスマッチや、ワイドギャップでプローブの信号電極用端子と接地電極用端子との間の静電容量が増加するため、プローブ自身の特性が劣化し、広帯域測定を正確に行うことができないという問題を生じていた。
【0008】
また、面実装での電気インターフェース部に高周波プローブをコンタクトした場合の特性インピーダンスのミスマッチを抑制するため、例えば、フレキシブル回路基板(特性インピーダンス値が50Ωより大きい。)とCPW線路を形成した基板(特性インピーダンス値が50Ωより小さい。)をオーバーラップして重ねて配置し、両者が接している部分を限りなく50Ωに近づけることも可能である。しかしこの場合は、半田付け作業等を要し、簡便な特性評価や出荷検査等が困難であった。以上では、電気インターフェース部にフレキシブル回路基板を用いた例を中心に説明したが、リードピンによる面実装の場合も同様な問題が発生する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2014−195061号公報
【特許文献2】特開2012−48121号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明が解決しようとする課題は、上述したような問題を解決し、光変調器の電気インターフェース部の特性インピーダンスを調整し、より正確な電気特性を測定可能とする光変調器用の接続治具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、本発明の光変調器用の接続治具は、次のような技術的特徴を備えている。
(1) 光変調器の電気インターフェース部と外部電気回路とを電気的に接続する光変調器用の接続治具において、該接続治具は、配線が形成された基板と、該配線に該電気インターフェース部を押し付ける把持手段とを有し、該把持手段は該電気インターフェース部に接触する部分を誘電体で構成していることを特徴とする。
【0012】
(2) 上記(1)に記載の光変調器用の接続治具において、該誘電体の誘電率が1〜9であることを特徴とする。
【0013】
(3) 上記(1)又は(2)に記載の光変調器用の接続治具において、該基板に形成された該配線は、該電気インターフェース部と接触する箇所に凹凸が形成されていることを特徴とする。
【0014】
(4) 上記(1)乃至(3)のいずれかに記載の光変調器用の接続治具において、該基板に形成された配線には、インピーダンス変換部を含むことを特徴とする。
【0015】
(5) 上記(1)乃至(4)のいずれかに記載の光変調器用の接続治具において、該電気インターフェース部は、フレキシブル回路基板又はリードピンのいずれかであることを特徴とする。
【0016】
(6) 上記(1)乃至(5)のいずれかに記載の光変調器用の接続治具において、該接続治具と該外部電気回路との接続部分には、高周波プローブ、高周波コネクタ又は変調器を駆動するドライバアンプのいずれかが接続されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、光変調器の電気インターフェース部と外部電気回路とを電気的に接続する光変調器用の接続治具において、該接続治具は、配線が形成された基板と、該配線に該電気インターフェース部を押し付ける把持手段とを有し、該把持手段は該電気インターフェース部に接触する部分を誘電体で構成しているため、電気インターフェース部の傍に誘電体が配置されることとなり、電気インターフェース部の電気線路の特性インピーダンスを50Ωに近づけることが可能となる。そして、その結果、当該電気インターフェース部を備えた光変調器の電気特性をより正確に測定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】外部回路基板上に光変調器を配置した様子を示す図である。
図2図1の一点鎖線A−A’における断面図を示す図である。
図3】本発明の接続治具を用いて高周波プローブによる測定方法を説明する図である。
図4図3の破線で囲む領域において、一点鎖線B−B’における断面図である。
図5】フレキシブル回路基板と接続治具との接続状況を説明する、平面図(a)と、該平面図の一点鎖線C−C’における断面図(b)である。
図6】リードピンと接続治具との接続状況を説明する側面図である。
図7】接続治具に形成されたインピーダンス変換部の例を示す図である。
図8】ドライバアンプ(DA)を接続治具に配置した様子を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の光変調器用の接続治具について、好適例を用いて詳細に説明する。
本発明の光変調器用の接続治具は、図3及び4に示すように、光変調器の電気インターフェース部3と外部電気回路(30〜32)とを電気的に接続する光変調器用の接続治具において、該接続治具は、配線21が形成された基板20と、該配線に該電気インターフェース部を押し付ける把持手段40とを有し、該把持手段は該電気インターフェース部3に接触する部分を誘電体で構成していることを特徴とする。
【0020】
電気インターフェース部に近接して、把持手段40である誘電体を配置するため、該誘電体近傍の電気インターフェース部の特性インピーダンスが変化する。具体的には、接続治具の基板に形成された配線の特性インピーダンスである、50Ω程度にまで、当該電気インターフェース部の特性インピーダンスを調整することも可能である。
【0021】
誘電体近傍の電気インターフェース部の特性インピーダンスは、誘電体の誘電率が大きく影響し、具体的には、誘電率は1〜9の範囲で設定される。これらは、高周波基板で多用されるアルミナ(Al)等のセラミック基板の誘電率が約9以上の値を持つため、把持部材の誘電体材料は、基板を透過する電気信号の電界吸収を与えないように設定する。また、誘電率の異なる誘電体で構成された複数種類の把持手段を予め用意しておき、測定対象である光変調器の電気インターフェース部の特性インピーダンスの値に応じて、適切な把持手段を選択できるようにすることが好ましい。
【0022】
図4に示すように、基板20に形成された配線21には、電気インターフェース部3と接触する箇所に細かな凹凸22が形成されている。この凹凸により、把持手段40で電気インターフェース部3を配線21に押し付けた際に、所定の接触面積で安定的に接触することができ、接続部の電気抵抗の変化を抑制することが可能となる。
【0023】
図5に、電気インターフェース部3としてフレキシブル回路基板(FPC)を用いた例を示す。図5(a)は平面図であり、図5(b)は図5(a)の一点鎖線C−C’に置ける断面図である。フレキシブル回路基板には、例えば、表面にCPW線路(信号線路S3,接地線路G3)が形成され、裏面に接続用線路(信号線路用の接続線路BS3など)が形成されている。表面のCPW線路と裏面の接続用線路とは、コンタクトホールH3で電気的に接続されている。
【0024】
図5(a)のように、フレキシブル回路基板3を基板20のCPW線路(信号線路S2,接地線路G2)にオーバーラップするように重ねて配置する。そして、図5(b)のように、把持手段40でフレキシブル回路基板3を基板20のCPW線路に押さえつける。なお、図5では、図4のような凹凸22は図示されていないが、適宜設けることができることは、言うまでも無い。
【0025】
電気インターフェース部には、図6に示すように、リードピンLP1を用いることも可能である。リードピンLP1は、先端の断面が長方形又は円形であり、把持手段40により基板20に形成された配線(信号線路S2など)に押し付けられている。
【0026】
図3及び4では明示されていないが、接続治具を構成する基板20の配線21には、インピーダンス変換部を含むよう構成することも可能である。例えば、接続治具に接続する電気インターフェース部の種類・形状や外部電気回路の接続部の形状等に応じて、CPW線路だけでなく、マイクロストリップ線路やG−CPW線路(一方の面にCPW線路を形成し、他方の面に接地電極を形成した線路)を組み合わせ使用する場合などは、基板2の配線の途中で電気線路の形状が変化(例えば、CPW線路からG−CPW線路への変換)するインピーダンス変換部を設けることが、好ましい。
【0027】
インピーダンス変換部の例としては、例えば、図7には基板20の表面にCPW線路を形成しているが、接地線路(G20,G21)と信号線路(S20又はS21)との間隔を段階的に(図7(a)参照)又は連続的に(図7(b)参照)変化させることにより、CPW線路の入力側と出力側で特性インピーダンスを変化させることが可能となる。
【0028】
また、電気インターフェース部の特性インピーダンスと、外部電気回路の接続部の特性インピーダンスとが大きく異なる場合には、図7のようなインピーダンスが連続的又は段階的に変化するインピーダンス変換部を配線21の途中に設けて、両者のインピーダンスの差の一部を補うことも可能である。
【0029】
図3及び4では、接続治具と該外部電気回路との接続部分には、高周波プローブを用いる例を示したが、高周波プローブに限らず、高周波コネクタを接続したり、図8に示すように、接続治具の配線の一部に、変調器を駆動するドライバアンプ(DA)や光変調器に搭載される変調光をモニタするためのフォトダイオードを接続しても良い。図8では、基板20には配線(22,23)が形成され、ドライバアンプDAのリードピン(LP2,LP3)が、把持手段40により基板20に形成された配線(22,23)に押し付けられる。また、配線23には、高周波プローブ(RFP)が電気的に接続される。これにより、例えば、ドライバアンプ自体の動作試験を行ったり、ドライバアンプを光変調器に電気的に接続した環境(この場合は、図8の配線22の左端に光変調器の電気インターフェース部が接続される。)で、光変調器の動作試験を行うことも可能となる。
【0030】
以上では、接続治具は、光変調器モジュールの外部に配置されていたが、モジュールを構成する筐体内に実装したり、光変調器モジュールを載置する回路基板に実装するなど、種々の配置が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0031】
以上説明したように、本発明によれば、光変調器の電気インターフェース部の特性インピーダンスを調整し、より正確な電気特性を測定可能とする光変調器用の接続治具を提供することができる。
【符号の説明】
【0032】
1 光変調器
2 外部回路基板
3 フレキシブル回路基板
4 光変調素子
5 リードピン
10,11 筐体
20 基板
21〜23 配線
30,RFP 高周波プローブ
31 高周波プローブの配線ケーブル
32 高周波プローブの接触端子
40〜42 把持手段
G2〜G21 接地配線
LP1〜LP3 リードピン
S2〜S21 信号配線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8