【解決手段】本配線基板は、絶縁層と、前記絶縁層の一方の面の側に埋め込まれた配線層と、を有し、前記配線層の一方の面は、前記絶縁層の一方の面から露出し、前記配線層は、第1の部分と、前記第1の部分よりも幅が広い第2の部分と、を備え、前記第1の部分の一方の面と前記第2の部分の一方の面とが同一平面上にあり、前記第1の部分は、前記第2の部分よりも層厚が薄く形成されている。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。なお、各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
【0015】
〈第1の実施の形態〉
[第1の実施の形態に係る配線基板の構造]
まず、第1の実施の形態に係る配線基板の構造について説明する。
図1は、第1の実施の形態に係る配線基板を例示する図であり、
図1(a)は部分平面図、
図1(b)は
図1(a)のA−A線に沿う断面図である。なお、
図1(a)では、便宜上、配線層10を梨地模様で示している。
【0016】
図1を参照するに、配線基板1は、配線層10と、絶縁層20と、配線層30と、ソルダーレジスト層40及び50とを有するコアレスのビルドアップ配線基板である。
【0017】
なお、本実施の形態では、便宜上、配線基板1のソルダーレジスト層40側を上側又は一方の側、ソルダーレジスト層50側を下側又は他方の側とする。又、各部位のソルダーレジスト層40側の面を一方の面又は上面、ソルダーレジスト層50側の面を他方の面又は下面とする。但し、配線基板1は天地逆の状態で用いることができ、又は任意の角度で配置することができる。又、平面視とは対象物をソルダーレジスト層40の一方の面の法線方向から視ることを指し、平面形状とは対象物をソルダーレジスト層40の一方の面の法線方向から視た形状を指すものとする。
【0018】
配線基板1において、配線層10は絶縁層20の一方の面の側(上面側)に埋め込まれている。配線層10の上面は絶縁層20の上面から露出し、配線層10の下面及び側面は絶縁層20に被覆されている。配線層10の上面は、例えば、絶縁層20の上面と面一とすることができる。配線層10は単一の金属層からなり、配線層10の材料としては、例えば、銅(Cu)等を用いることができる。配線層10は、半導体チップ等と接続される外部接続用のパッド11と、配線層30のビア配線の端部と接続されるビア受け用のパッド12と、配線パターン13とを有している。パッド11は、配線パターン13を介して、パッド12と接続することができる。
【0019】
本実施の形態では、配線層10は、幅が狭い部分(第1の部分)と幅が広い部分(第2の部分)とを備えており、幅が狭い部分は幅が広い部分よりも層厚が薄く形成されている(他の配線層についても同様とすることができる)。幅が狭いか広いかの判断基準は、配線基板の仕様に応じて適宜決定できるが、ここでは一例として、幅が15μm以下である部分を幅が狭い部分、幅が15μmより大きい部分を幅が広い部分とする。ここでいう幅とは、対象部分の平面形状が円形であれば直径、楕円形であれば短径、細長状であれば短手方向の長さを指す。
【0020】
パッド11及び12は幅が広い部分であり、配線パターン13は幅が狭い部分である。パッド11の幅W
11は、例えば、25μm程度とすることができる。パッド11の間隔は、例えば、パッド11の幅W
11と同程度とすることができる。パッド12の幅W
12は、例えば、80μm程度とすることができる。パッド12の間隔は、例えば、パッド12の幅W
12と同程度とすることができる。又、パッド11及び12の夫々の層厚は、例えば、15μm程度とすることができる。
【0021】
配線パターン13の幅W
13は、例えば、10μm程度とすることができる。配線パターン13の間隔は、例えば、配線パターン13の幅W
13と同程度とすることができる。又、配線パターン13の層厚は、例えば、12μm程度とすることができる。
【0022】
配線パターン13の中で、
図1(a)及び
図1(b)の中央部分Nに配された配線パターン13は、配線パターン13同士が狭ピッチで隣接し、特にライン/スペースの狭い部分として形成される。本実施の形態において、特にライン/スペースの狭い部分とは、ライン/スペース=8μm/8μm以下の部分である。特にライン/スペースの狭い部分として、ライン/スペース=1μm/1μm〜3μm/3μm程度の配線パターンを形成することも可能である。ここで、ライン/スペースにおけるラインとは配線幅を表し、スペースとは隣り合う配線同士の間隔(配線間隔)を表す。例えば、ライン/スペース=8μm/8μmと記載されていた場合、配線幅が8μmで隣り合う配線同士の間隔が8μmであることを表す。
【0023】
なお、パッド11の上面、パッド12の上面、及び配線パターン13の上面は、同一平面上にある。すなわち、パッド11及び12と配線パターン13とは層厚が異なるが、絶縁層20から露出している面側は面一であり、絶縁層20の内部側に段差を有している。
【0024】
絶縁層20は、配線層10や配線層30が形成される層である。絶縁層20の材料としては、例えば、エポキシ系樹脂、イミド系樹脂、フェノール系樹脂、シアネート系樹脂等を主成分とする熱硬化性の絶縁樹脂を用いることができる。絶縁層20として用いる熱硬化性の絶縁樹脂は、非感光性絶縁樹脂であってもよいし、感光性絶縁樹脂であってもよい。又、絶縁層20は、ガラス繊維やアラミド繊維等の織布や不織布からなる補強部材を有しても構わない。又、絶縁層20は、シリカ(SiO
2)等のフィラーを含有しても構わない。絶縁層20の厚さは、例えば10〜50μm程度とすることができる。
【0025】
配線層30は、絶縁層20の下面側に形成されている。配線層30の材料としては、例えば、銅(Cu)等を用いることができる。配線層30は、他の配線基板等と接続される外部接続用のパッド31と、配線パターン33とを有している。パッド31は、配線パターン33と接続することができる。パッド31は、絶縁層20を貫通しパッド12の下面を露出するビアホール20x内に充填されたビア配線を介して、パッド12と接続されている。ビアホール20xは、ソルダーレジスト層50側に開口されている開口部の径がパッド12の下面によって形成された開口部の底面の径よりも大きい円錐台状の凹部となっている。なお、パッド31とビアホール20x内のビア配線とは一体に形成されている。
【0026】
パッド31は幅が広い部分(第4の部分)であり、パッド31の幅は、例えば、150μm程度とすることができる。パッド31の層厚は、例えば、15μm程度とすることができる。配線パターン33(第3の部分)は幅が狭い部分であり、配線パターン33の幅は、例えば、10μm程度とすることができる。又、配線パターン33の層厚は、例えば、12μm程度とすることができる。なお、配線層30に配線パターン33と接続されたビア受け用のパッドを設け、ビア受け用のパッドをビアによりパッド12に接続してもよい。
【0027】
ソルダーレジスト層40は、絶縁層20の上面に、配線層10を被覆するように形成されている。ソルダーレジスト層40は開口部40xを有し、開口部40xの底部には配線層10の一部(例えば、パッド11と配線パターン13の一部)が露出している。ソルダーレジスト層50は、絶縁層20の下面に、配線層30を被覆するように形成されている。ソルダーレジスト層50は開口部50xを有し、開口部50xの底部には配線層30のパッド31の下面が露出している。ソルダーレジスト層40及び50の材料としては、例えば、感光性のエポキシ系絶縁樹脂やアクリル系絶縁樹脂等を用いることができる。ソルダーレジスト層40及び50の夫々の厚さは、例えば、5〜40μm程度とすることができる。
【0028】
必要に応じ、開口部40xから露出する配線層10の上面、開口部50xから露出する配線層30の下面に金属層を形成してもよい。金属層の例としては、Au層や、Ni/Au層(Ni層とAu層をこの順番で積層した金属層)、Ni/Pd/Au層(Ni層とPd層とAu層をこの順番で積層した金属層)等を挙げることができる。又、金属層の形成に代えて、OSP(Organic Solderability Preservative)処理等の酸化防止処理を施してもよい。なお、OSP処理により形成される表面処理層は、アゾール化合物やイミダゾール化合物等からなる有機被膜である。
【0029】
[第1の実施の形態に係る配線基板の製造方法]
次に、第1の実施の形態に係る配線基板の製造方法について説明する。
図2〜
図5は、第1の実施の形態に係る配線基板の製造工程を例示する図である。本実施の形態では、支持体上に複数の配線基板となる部分を作製し支持体を除去後個片化して各配線基板とする工程の例を示すが、支持体上に1個ずつ配線基板を作製し支持体を除去する工程としてもよい。
【0030】
まず、
図2(a)に示す工程では、上面が平坦面である支持体300を準備する。支持体300としては、例えば、プリプレグ310上にキャリア付き金属箔320が積層されたものを用いることができる。支持体300の厚さは、例えば18〜100μm程度とすることができる。
【0031】
プリプレグ310は、例えば、ガラス繊維やアラミド繊維等の織布や不織布(図示せず)にエポキシ系樹脂等の絶縁樹脂を含侵させたものである。キャリア付き金属箔320は、銅からなる厚さ10〜50μm程度の厚箔(キャリア箔)322上に、剥離層(図示せず)を介して、銅からなる厚さ1.5〜5μm程度の薄箔321が剥離可能な状態で貼着されたものである。厚箔322は、薄箔321の取り扱いを容易にするための支持材として設けられている。厚箔322の下面は、プリプレグ310の上面に接着されている。
【0032】
次に、
図2(b)に示す工程では、支持体300を構成する薄箔321の上面に、例えば、キャリア付き金属箔320をめっき給電層に利用する電気めっき法等により、バリア層330を形成する。バリア層330は、後工程で薄箔321をエッチングで除去する際のエッチングストップ層となるものである。バリア層330の材料としては、銅からなる薄箔321のエッチング液で除去されない金属、例えば、ニッケル(Ni)等を用いることができる。バリア層330の厚さは、例えば、数μm程度とすることができる。
【0033】
次に、
図2(c)に示す工程では、バリア層330の上面に、配線層10を形成する部分に開口部340xを備えたレジスト層340を形成する。具体的には、例えば、バリア層330の上面に、レジスト層340として感光性樹脂からなるドライフィルムレジストをラミネートする。そして、ドライフィルムレジストを露光及び現像によりパターニングし、配線層10を形成する部分にバリア層330の上面を露出する開口部340xを形成する。
【0034】
次に、
図2(d)に示す工程では、キャリア付き金属箔320及びバリア層330をめっき給電層に利用する電解めっき法により、レジスト層340の開口部340x内に露出するバリア層330の上面に配線層10を形成する。配線層10は、一方の面がバリア層330の上面に接し、他方の面が開口部340x内に露出する。
【0035】
例えば、硫酸銅と硫酸を所定の濃度比で建浴した電解銅めっき液を用い、支持体300上に銅めっきを析出することで、幅が広い部分であるパッド11及び12の層厚を厚く、幅が狭い部分である配線パターン13の層厚を薄く形成できる。この際、硫酸銅と硫酸の濃度比(硫酸銅/硫酸)を1以上5以下の範囲とすると、幅が狭い配線パターン13の部分の層厚を特に薄くできる点で好適である(後述の
図11参照)。なお、パッド11、パッド12、及び配線パターン13の夫々の幅や層厚の数値例は、
図1を参照して説明した通りである。
【0036】
次に、
図3(a)に示す工程では、
図2(d)に示すレジスト層340を剥離する。レジスト層340は、例えば、水酸化ナトリウム等を含有する剥離液を用いて剥離できる。この際、幅の狭い配線パターン13の厚さが厚いと、狭ピッチ、高アスペクト比の配線パターンに挟まれ、狭ピッチ、高アスペクト比のレジストパターンが存在することになる。よって、前述のように、レジストパターンの剥離不良が発生し易くなる。
【0037】
しかし、本実施の形態では、
図2(d)に示す工程において、めっき条件を調整することにより、配線パターン13の厚さを薄くしている。そのため、狭ピッチの配線パターン13に挟まれた狭ピッチ、高アスペクト比のレジストパターンにおいて、レジストパターン側面の、隣接する配線パターン13に挟み込まれる部分の面積を減少できる。
【0038】
その結果、レジストパターンの機械的な歪量が相対的に少なくても、レジストパターン側面と配線パターン13との接触面積が減少しているため、容易にレジストパターンを剥離できる。よって、剥離不良の発生を抑制できる。この効果は、ライン/スペース=8μm/8μm以下の、特にライン/スペースの狭い配線パターン13として形成される部分(例えば、
図1(a)及び
図1(b)の中央部分N)で顕著である。
【0039】
次に、
図3(b)に示す工程では、バリア層330の上面に配線層10の他方の面及び側面を被覆する絶縁層20を形成し、更に、絶縁層20を貫通しパッド12の他方の面を露出させるビアホール20xを形成する。具体的には、バリア層330の上面に配線層10を被覆するように、例えば熱硬化性を有するフィルム状のエポキシ系絶縁樹脂等をラミネートする。或いは、バリア層330の上面に配線層10を被覆するように、例えば熱硬化性を有する液状又はペースト状のエポキシ系絶縁樹脂等をスクリーン印刷、スピンコート法等により塗布する。そして、ラミネート又は塗布した絶縁樹脂を押圧しつつ、硬化温度以上に加熱して硬化させ、絶縁層20を作製する。必要に応じて、加圧しながら加熱してもよい。なお、絶縁層20を形成する前に、配線層10の他方の面及び側面に粗化処理を施しておくと、絶縁層20との密着性が向上する点で好ましい。
【0040】
次に、絶縁層20に、絶縁層20を貫通しパッド12の他方の面を露出させるビアホール20xを形成する。ビアホール20xは、例えば、CO
2レーザ等を用いたレーザ加工法により形成できる。ビアホール20xをレーザ加工法により形成した場合には、デスミア処理を行い、ビアホール20xの底部に露出するパッド12の他方の面に付着した絶縁層20の樹脂残渣を除去することが好ましい。なお、レーザ光が照射される部分であるパッド12は厚く形成されているため、レーザ光がパッド12を貫通するおそれを低減できる。
【0041】
次に、
図3(c)に示す工程では、絶縁層20上に、パッド31及び配線パターン33を有する配線層30を形成する。パッド31は、絶縁層20を貫通しパッド12の他方の面を露出するビアホール20x内に充填されたビア配線を介して、パッド12と接続される。配線層30は、例えば、セミアディティブ法により、形成することができる。
【0042】
セミアディティブ法を用いて配線層30を形成するには、まず、無電解めっき法又はスパッタ法により、銅(Cu)等からなるシード層(図示せず)を形成する。シード層は、ビアホール20xの底部に露出したパッド12の他方の面及びビアホール20xの内壁面を含む絶縁層20の他方の面全面に形成する。更に、シード層上に配線層30に対応する開口部を備えたレジスト層(図示せず)を形成する。そして、シード層を給電層に利用した電解めっき法により、レジスト層の開口部に銅(Cu)からなる電解めっき層(図示せず)を形成する。続いて、レジスト層を除去した後に、電解めっき層をマスクにして、電解めっき層に覆われていない部分のシード層をエッチングにより除去する。これにより、シード層上に電解めっき層が積層された配線層30が形成される。
【0043】
この際、
図2(d)に示す工程と同様の条件で電解めっきを行うことにより、パッド31の厚さをパッド11及び12と同様に厚く形成し、配線パターン33の厚さを配線パターン13と同様に薄く形成することができる。その結果、
図3(a)に示す工程と同様に、レジストパターンの機械的な歪量が相対的に少なくても、レジストパターン側面と配線パターン33との接触面積が減少しているため、容易にレジストパターンを剥離できる。よって、剥離不良の発生を抑制できる。
【0044】
次に、
図3(d)に示す工程では、
図3(c)に示す構造体から支持体300の一部を除去する。具体的には、支持体300に機械的な力を加え、キャリア付き金属箔320の薄箔321と厚箔322との界面を剥離する。前述のように、キャリア付き金属箔320は、薄箔321上に剥離層(図示せず)を介して厚箔322が貼着された構造を有するため、厚箔322は、剥離層(図示せず)とともに薄箔321から容易に剥離する。
【0045】
これにより、薄箔321のみがバリア層330側に残り、支持体300を構成する他の部材(プリプレグ310及び厚箔322)が除去される。但し、剥離層とともに薄箔321から厚箔322が剥離する場合の他に、剥離層内で凝集破壊が起こり、薄箔321から厚箔322が剥離する場合もある。又、剥離層から厚箔322が剥離することで、薄箔321から厚箔322を剥離する場合もある。
【0046】
次に、
図4(a)に示す工程では、エッチングにより銅からなる薄箔321(
図3(d)参照)を除去する。銅からなる薄箔321は、例えば、過酸化水素/硫酸系水溶液や、過硫酸ナトリウム水溶液、過硫酸アンモニウム水溶液等を用いたウェットエッチングにより除去できる。なお、バリア層330がニッケル(Ni)からなる場合には、銅の上記エッチング液では除去されず、エッチングストップ層として機能するため、配線層10はエッチングされない。
【0047】
次に、
図4(b)に示す工程では、バリア層330(
図4(a)参照)を除去する。バリア層330がニッケル(Ni)からなる場合には、銅を除去せずにニッケル(Ni)を除去するエッチング液を選択することで、配線層10はエッチングせずにバリア層330のみをエッチングすることができる。これにより、絶縁層20の一方の面に配線層10の一方の面が露出する。配線層10の一方の面は、例えば、絶縁層20の一方の面と面一とすることができる。
【0048】
次に、
図4(c)に示す工程では、絶縁層20の一方の面に配線層10を被覆するソルダーレジスト層40を形成する。又、絶縁層20の他方の面に配線層30を被覆するソルダーレジスト層50を形成する。ソルダーレジスト層40及び50は、例えば、液状又はペースト状の絶縁樹脂を、スクリーン印刷法、ロールコート法、又は、スピンコート法等により、配線層10及び30を被覆するように各面に塗布することで形成できる。或いは、フィルム状の絶縁樹脂を、配線層10及び30を被覆するように各面にラミネートしてもよい。絶縁樹脂としては、例えば、感光性のエポキシ系絶縁樹脂やアクリル系絶縁樹脂等を用いることができる。
【0049】
そして、塗布又はラミネートした絶縁樹脂を露光及び現像することでソルダーレジスト層40に配線層10のパッド11及び配線パターン13の一部を露出する開口部40xを形成する(フォトリソグラフィ法)。同様に、ソルダーレジスト層50に配線層30のパッド31を露出する開口部50xを形成する(フォトリソグラフィ法)。エポキシ系樹脂やポリイミド系樹脂を主成分とする非感光性の絶縁樹脂(熱硬化性樹脂)をソルダーレジスト層40及び50の材料として用いた場合には、開口部40x及び50xをレーザ加工法やブラスト処理等により形成してもよい。
【0050】
必要に応じ、開口部40xの底部に露出するパッド11及び配線パターン13の一方の面、開口部50xの底部に露出するパッド31の他方の面に、例えば無電解めっき法等により金属層を形成してもよい。金属層の例としては、前述の通りである。又、開口部40xの底部に露出するパッド11及び配線パターン13の一方の面、開口部50xの底部に露出するパッド31の他方の面に、OSP処理等の酸化防止処理を施してもよい。
【0051】
図4(c)に示す工程の後、
図4(c)に示す構造体をスライサー等により切断位置Cで切断して個片化することにより、複数の配線基板1(
図1参照)が完成する。必要に応じ、ソルダーレジスト層40の開口部40x内に露出するパッド11上や、ソルダーレジスト層50の開口部50x内に露出するパッド31上に、はんだボール等の外部接続端子を設けてもよい。
【0052】
なお、
図2(b)に示す工程において、
図5に示すように、支持体300を構成する薄箔321の上面と、キャリア付き金属箔320の側面(薄箔321の側面及び厚箔322の側面)とを連続的に被覆するように、バリア層330を形成してもよい。この構造は、配線基板1の製造工程中での不意のキャリア付き金属箔320の剥離を防止できる点で好適である。
図5以降の工程は、
図2(c)〜
図4(c)と同様である。
【0053】
このように、本実施の形態では、配線層10を、例えば、硫酸銅と硫酸を所定の濃度比で建浴した電解銅めっき液を用い、支持体300上に銅めっきを析出して形成する。これにより、配線層10のうち、幅が狭い配線パターン13の部分を薄く形成し、幅が広いパッド11及び12の部分を厚く形成することができる。
【0054】
そのため、狭ピッチの配線パターン13に挟まれた狭ピッチ、高アスペクト比のレジストパターンにおいて、レジストパターン側面の、隣接する配線パターン13に挟み込まれる部分の面積を減少できる。その結果、レジストパターンの機械的な歪量が相対的に少なくても、レジストパターン側面と配線パターン13との接触面積が減少しているため、容易にレジストパターンを剥離できる。よって、剥離不良の発生を抑制できる(他の配線層も同様)。
【0055】
特に、硫酸銅と硫酸の濃度比(硫酸銅/硫酸)を1以上5以下の範囲とすると、幅が狭い配線パターン13の部分の層厚を特に薄くできる点で好適である。この場合、レジスト層340の剥離不良をいっそう低減できる(他の配線層も同様)。なお、剥離不良の低減等の効果については、後述の実施例において、更に詳しく説明する。
【0056】
〈第1の実施の形態の変形例1〉
第1の実施の形態の変形例1では、配線基板1の製造方法の他の例を示す。なお、第1の実施の形態の変形例1において、既に説明した実施の形態と同一構成部についての説明は省略する場合がある。
【0057】
図6は、第1の実施の形態の変形例1に係る配線基板の製造工程を例示する図である。第1の実施の形態の変形例1では、支持体300上にバリア層330を形成しない。
【0058】
まず、
図6(a)に示す工程では、
図2(a)に示す工程の後、
図2(c)〜
図3(c)と同様の工程を実行し、支持体300上に、直接、配線層10、絶縁層20、及び配線層30を積層する。次に、
図6(b)に示す工程では、
図3(d)に示す工程と同様にして、
図6(a)に示す構造体から支持体300を構成するプリプレグ310及び厚箔322を剥離する。これにより、薄箔321のみが絶縁層20側に残り、支持体300を構成する他の部材(プリプレグ310及び厚箔322)が除去される。
【0059】
次に、
図6(c)に示す工程では、
図4(a)に示す工程と同様にして、エッチングにより銅からなる薄箔321(
図6(b)参照)を除去する。本実施の形態では、エッチングストップ層となるバリア層330が存在しないため、銅からなる配線層10の一方の面側もエッチングされる。これにより、配線層10の一方の面は、絶縁層20の一方の面よりも窪んだ位置に露出する。
【0060】
次に、
図6(d)に示す工程では、
図4(c)に示す工程と同様にして、絶縁層20の一方の面に配線層10を被覆するソルダーレジスト層40を形成する。又、絶縁層20の他方の面に配線層30を被覆するソルダーレジスト層50を形成する。
図6(d)に示す工程の後、
図6(d)に示す構造体をスライサー等により切断位置Cで切断して個片化することにより、複数の配線基板1が完成する。但し、
図1とは異なり、配線層10の上面は、絶縁層20の上面よりも窪んだ位置となる。
【0061】
〈第1の実施の形態の変形例2〉
第1の実施の形態の変形例2では、配線基板1の製造方法の更に他の例を示す。なお、第1の実施の形態の変形例2において、既に説明した実施の形態と同一構成部についての説明は省略する場合がある。
【0062】
図7は、第1の実施の形態の変形例2に係る配線基板の製造工程を例示する図である。第1の実施の形態の変形例2では、プリプレグ310上にキャリア付き金属箔320Aが積層された支持体300Aを用いる。キャリア付き金属箔320Aは、銅からなる厚さ10〜50μm程度の厚箔(キャリア箔)322上に、剥離層(図示せず)を介して、ニッケルからなる厚さ1.5〜5μm程度の薄箔321Aが剥離可能な状態で貼着されたものである。なお、薄箔321Aがエッチングストップ層となるため、支持体300Aにバリア層330を形成しない。
【0063】
まず、
図7(a)に示す工程では、
図2(a)に示す工程と同様にして支持体300Aを作製後、
図2(c)〜
図3(c)と同様の工程を実行し、支持体300A上に、直接、配線層10、絶縁層20、及び配線層30を積層する。次に、
図7(b)に示す工程では、
図3(d)に示す工程と同様にして、
図7(a)に示す構造体から支持体300Aを構成するプリプレグ310及び厚箔322を剥離する。これにより、薄箔321Aのみが絶縁層20側に残り、支持体300Aを構成する他の部材(プリプレグ310及び厚箔322)が除去される。
【0064】
次に、
図7(c)に示す工程では、エッチングによりニッケルからなる薄箔321A(
図7(b)参照)を除去する。銅を除去せずにニッケル(Ni)を除去するエッチング液を選択することで、配線層10はエッチングせずに薄箔321Aのみをエッチングすることができる。これにより、絶縁層20の一方の面に配線層10の一方の面が露出する。配線層10の一方の面は、例えば、絶縁層20の一方の面と面一とすることができる。
【0065】
次に、
図7(d)に示す工程では、
図4(c)に示す工程と同様にして、絶縁層20の一方の面に配線層10を被覆するソルダーレジスト層40を形成する。又、絶縁層20の他方の面に配線層30を被覆するソルダーレジスト層50を形成する。
図7(d)に示す工程の後、
図7(d)に示す構造体をスライサー等により切断位置Cで切断して個片化することにより、複数の配線基板1(
図1参照)が完成する。
【0066】
〈第2の実施の形態〉
第2の実施の形態では、3層構造の配線基板の例を示す。なお、第2の実施の形態において、既に説明した実施の形態と同一構成部についての説明は省略する場合がある。
【0067】
図8は、第2の実施の形態に係る配線基板を例示する断面図である。
図8を参照するに、第2の実施の形態に係る配線基板2は、配線層30とソルダーレジスト層50との間に、絶縁層60及び配線層70が挿入されている点が配線基板1(
図1参照)と相違する。
【0068】
絶縁層60は、絶縁層20の下面に、配線層30を被覆するように形成されている。絶縁層60の材料や厚さ、形成方法は、例えば、絶縁層20と同様とすることができる。
【0069】
配線層70は絶縁層60の下面側に形成されている。配線層70の材料や形成方法は、例えば、配線層30と同様とすることができる。配線層70は、他の配線基板等と接続される外部接続用のパッド71と、配線パターン73とを有している。パッド71は、配線パターン73と接続することができる。パッド71は、絶縁層60を貫通しパッド31の下面を露出するビアホール60x内に充填されたビア配線を介して、パッド31と接続されている。ビアホール60xは、ソルダーレジスト層50側に開口されている開口部の径がパッド31の下面によって形成された開口部の底面の径よりも大きい円錐台状の凹部となっている。なお、パッド71とビアホール60x内のビア配線とは一体に形成されている。
【0070】
パッド71は幅が広い部分(第4の部分)であり、パッド71の幅は、例えば、150μm程度とすることができる。パッド71の層厚は、例えば、15μm程度とすることができる。配線パターン73(第3の部分)は幅が狭い部分であり、配線パターン73の幅は、例えば、10μm程度とすることができる。又、配線パターン73の層厚は、例えば、12μm程度とすることができる。
【0071】
ソルダーレジスト層50は開口部50xを有し、開口部50xの底部には配線層70のパッド71の下面が露出している。必要に応じ、開口部50xから露出する配線層70の下面に前述の金属層を形成してもよい。又、金属層の形成に代えて、OSP処理等の酸化防止処理を施してもよい。
【0072】
このように、配線層30とソルダーレジスト層50との間に、絶縁層60及び配線層70を形成することで、3層構造の配線基板2を実現できる。絶縁層60及び配線層70は、例えば、絶縁層20及び配線層30と同様の方法で形成することができる。配線層30とソルダーレジスト層50との間に、更に絶縁層及び配線層を必要数交互に形成し、4層構造以上の配線基板とすることも可能である。
【0073】
〈配線基板の応用例1〉
配線基板の応用例1では、第1の実施の形態に係る配線基板に半導体チップが搭載(フリップチップ実装)された半導体パッケージの例を示す。なお、配線基板の応用例1において、既に説明した実施の形態と同一構成部についての説明は省略する場合がある。
【0074】
図9(a)及び
図9(b)は、応用例1に係る半導体パッケージを例示する断面図である。
図9(a)を参照するに、半導体パッケージ3は、
図1に示す配線基板1と、半導体チップ100と、バンプ110と、アンダーフィル樹脂120とを有する。半導体パッケージ3において、配線基板1のソルダーレジスト層40側が半導体チップ100が搭載されるチップ搭載面となり、配線基板1のソルダーレジスト層50側が外部接続端子が形成される外部接続端子面となる。
【0075】
半導体チップ100は、例えば、シリコン等からなる薄板化された半導体基板(図示せず)上に半導体集積回路(図示せず)等が形成されたものである。半導体基板(図示せず)には、半導体集積回路(図示せず)と電気的に接続された電極パッド(図示せず)が形成されている。
【0076】
バンプ110は、半導体チップ100の電極パッド(図示せず)と、配線基板1のソルダーレジスト層40の開口部40xから露出する配線層10のパッド11とを電気的に接続している。バンプ110は、例えば、はんだバンプである。はんだバンプの材料としては、例えばPbを含む合金、SnとCuの合金、SnとAgの合金、SnとAgとCuの合金等を用いることができる。アンダーフィル樹脂120は、半導体チップ100と配線基板1(絶縁層20)との間に充填されている。
【0077】
このように、第1の実施の形態に係る配線基板1に半導体チップ100を搭載することにより、半導体パッケージ3を実現できる。又、
図9(b)に示すように、第2の実施の形態に係る配線基板2に半導体チップ100を搭載することにより、半導体パッケージ4を実現してもよい。
【0078】
ところで、パッド11が、幅の異なる複数種類のパッドを含んでいる場合がある。この場合、幅が異なるパッドは厚さも異なるが(幅が広い方が厚くなる)、パッド11の半導体チップ100を搭載する側の面は同一平面にある。そのため、パッド11の厚さが異なっても、各パッド11と半導体チップ100の各電極パッドとのギャップは一定となり、各パッド11と半導体チップ100の各電極パッドとを容易に接続することができる。
【0079】
〈配線基板の応用例2〉
配線基板の応用例2では、半導体パッケージ上に更に他の半導体パッケージが搭載された所謂POP(Package on package)構造の半導体パッケージの例を示す。なお、配線基板の応用例2において、既に説明した実施の形態と同一構成部についての説明は省略する場合がある。
【0080】
図10は、応用例2に係る半導体パッケージを例示する断面図である。
図10を参照するに、半導体パッケージ5は、半導体パッケージ3上に、更に他の半導体パッケージ3が搭載された構造である。
【0081】
但し、下側の半導体パッケージ3において、配線基板1のソルダーレジスト層40には、パッド12の上面を露出する開口部40yが追加されている。そして、下側の半導体パッケージ3のソルダーレジスト層40の開口部40y内に露出するパッド12と、上側の半導体パッケージ3のソルダーレジスト層50の開口部50x内に露出するパッド31とは、バンプ90を介して接続されている。バンプ90としては、例えば、銅コアボールの周囲をはんだで覆った構造のはんだボールを用いることができる。
【0082】
このように、第1の実施の形態に係る配線基板1を用いて、POP構造の半導体パッケージ5を実現できる。なお、配線基板1に代えて、配線基板2を用いることも可能である。
【0083】
[実施例1]
配線幅が狭い部分(ここではファインライン部と称する)と、配線幅が広い部分(ここではラフライン部と称する)について、電解銅めっきの条件を変更して、形成された配線のめっき厚の検討を行った。
【0084】
ここでは、ファインライン部のライン/スペースを10μm/10μm、ラフライン部のライン/スペースを25μm/25μmとした。
【0085】
まず、導体層を設けた基板上に、ライン/スペース=10μm/10μmのファインライン部と、ライン/スペース=25μm/25μmのラフライン部とを形成するための開口部を備えたレジスト層を作製した。
【0086】
次に、硫酸銅と硫酸を濃度比1で建浴した電解銅めっき液と、濃度比5で建浴した電解銅めっき液とを用意した。そして、夫々の電解銅めっき液を用い、電流密度を1.0ASD(A/dm
2)、めっき時間を60分として電解めっきを行い、ファインライン部及びラフライン部に対応するレジスト層の開口部内に電解銅めっき膜を析出した。
【0087】
又、比較例1として、硫酸銅と硫酸を濃度比0.2で建浴した電解銅めっき液と、濃度比5.5で建浴した電解銅めっき液とを用意した。そして、実施例1と同様に、夫々の電解銅めっき液を用い、電流密度を1.0ASD、めっき時間を60分として電解めっきを行い、ファインライン部及びラフライン部に対応するレジスト層の開口部内に電解銅めっき膜を析出した。
【0088】
結果を
図11に示す。
図11よりわかるように、硫酸銅と硫酸との濃度比を1とした場合には、ファインライン部のめっき厚は平均値で13μm程度、ラフライン部のめっき厚は平均値で15μm程度となり、両者の差異は2μm程度であった。又、硫酸銅と硫酸との濃度比を5とした場合には、ファインライン部のめっき厚は平均値で12μm程度、ラフライン部のめっき厚は平均値で15.5μm程度となり、両者の差異は3.5μm程度であった。つまり、何れの濃度比でも、ファインライン部とラフライン部で、平均値で1μm以上の十分なめっき厚差が得られた。
【0089】
これに対して、比較例1で硫酸銅と硫酸との濃度比を0.2とした場合には、ファインライン部のめっき厚は平均値で14μm程度、ラフライン部のめっき厚は平均値で14.5μm程度となり、両者の差異は0.5μm程度であった。又、比較例1で硫酸銅と硫酸との濃度比を0.2とした場合には、銅イオンの供給不足のため、電解銅めっきの異常析出が生じていた。なお、比較例1で硫酸銅と硫酸との濃度比を5.5とした場合には、銅イオンの供給過剰のため、電解銅めっきの異常析出が生じ、めっき厚を計測することができず、
図11に結果を示すことができなかった。
【0090】
このように、硫酸銅と硫酸との濃度比が0.2以下、又は5.5以上では電解銅めっき膜の品質を確保できないため、硫酸銅と硫酸との濃度比は0.2よりも大きく5以下であることが好ましい。又、ファインライン部とラフライン部で平均値で1μm以上の顕著なめっき厚差が得られる、硫酸銅と硫酸との濃度比が1以上5以下の範囲が特に好ましい。
【0091】
[実施例2]
硫酸銅と硫酸を濃度比1で建浴した電解銅めっき液を用い、電流密度を変化させて(めっき時間は60分)電解めっきを行い、ファインライン部及びラフライン部に対応するレジスト層の開口部内に電解銅めっき膜を析出した。なお、この他の条件は、実施例1と同様である。
【0092】
結果を
図12に示す。
図12よりわかるように、電流密度を0.75ASDとした場合には、ファインライン部のめっき厚は平均値で13.8μm程度、ラフライン部のめっき厚は平均値で14.5μm程度となり、両者の差異は0.8μm程度であった。又、電流密度を1ASDとした場合には、ファインライン部のめっき厚は平均値で13μm程度、ラフライン部のめっき厚は平均値で15μm程度となり、両者の差異は2μm程度であった。又、電流密度を2ASDとした場合には、ファインライン部のめっき厚は平均値で12.5μm程度、ラフライン部のめっき厚は平均値で15.5μm程度となり、両者の差異は3μm程度であった。なお、電流密度を2.5ASDとした場合は、焼けめっきとなり、電解銅めっき膜の品質を確保できなかった。
【0093】
このように、電流密度は電解銅めっき膜の品質を確保できる0.75ASDより大きく2ASD以下であることが好ましい。又、ファインライン部とラフライン部で平均値で1μm以上の顕著なめっき厚差が得られる、電流密度が1ASD以上2ASD以下の範囲が特に好ましい。なお、他の濃度比(例えば、硫酸銅と硫酸との濃度比が5)の場合にも、以上と同様の結果が得られた。すなわち、電流密度が1ASD以上2ASD以下の範囲の場合に、ファインライン部とラフライン部で平均値で1μm以上の顕著なめっき厚差が得られた。
【0094】
[実施例3]
レジスト層のアスペクト比を1〜4まで0.5置きに変えたサンプルを作製した。そして、硫酸銅と硫酸を濃度比5で建浴した電解銅めっき液を用い、電流密度を1.0ASD、めっき時間を60分として、アスペクト比の異なるレジスト層を用いて電解めっきを行った。その後、レジスト層を剥離し、レジスト剥離の不良率を測定した。
【0095】
又、比較例2として、硫酸銅と硫酸を濃度比0.2未満で建浴した電解銅めっき液を用い、電流密度を1.0ASD、めっき時間を60分として、アスペクト比の異なるレジスト層を用いて電解めっきを行った。その後、レジスト層を剥離し、レジスト剥離の不良率を測定した。
【0096】
結果を
図13に示す。
図13よりわかるように、実施例3では、レジスト層のアスペクト比が3.5までは不良率が0%であり、レジスト層のアスペクト比が4では不良率が約10%であった。これに対して、比較例2では、レジスト層のアスペクト比が3.5では不良率が約5%であり、レジスト層のアスペクト比が4では不良率が約50%であった。
【0097】
このように、レジスト層のアスペクト比が高い部分(すなわち、ファインライン部)におけるめっき厚を薄くすることにより、レジスト剥離の不良率を大幅に低減できることが確認された。
【0098】
[実施例4]
硫酸銅と硫酸を濃度比5で建浴した電解銅めっき液を用意した。そして、この電解銅めっき液を用い、電流密度を1.0ASD、めっき時間を60分として電解めっきを行い、ラフライン部に対応するレジスト層の開口部内に電解銅めっき膜を析出した。レジスト層を剥離した後、ラフライン部上にはんだボールをリフローし、3000時間放置後の様子を顕微鏡で撮影した。
【0099】
又、比較例3として、硫酸銅と硫酸を濃度比0.2未満で建浴した電解銅めっき液を用意した。そして、この電解銅めっき液を用い、電流密度を1.0ASD、めっき時間を60分として電解めっきを行い、ラフライン部に対応するレジスト層の開口部内に電解銅めっき膜を析出した。レジスト層を剥離した後、ラフライン部上にはんだボールをリフローし、3000時間放置後の様子を顕微鏡で撮影した。
【0100】
結果を
図14に示す。
図14よりわかるように、実施例4及び比較例3の何れについても、リフロー後に放置することで、はんだと銅との接合部で合金化が進み、はんだボールの直下のめっき厚が薄くなる。しかし、実施例4では比較例3よりも元々のめっき厚が厚く形成されているため、3000時間放置後においても、はんだボールの直下のめっき厚が十分に確保されている。
【0101】
このように、ファインライン部のめっき厚を薄くするばかりでなく、ラフライン部のめっき厚を厚くすることにより、はんだとの接続信頼性を従来よりも向上することができる。
【0102】
以上、好ましい実施の形態等について詳説したが、上述した実施の形態等に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施の形態等に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0103】
例えば、上記実施の形態では、配線層の幅が狭い部分の例として配線パターンを、幅が広い部分の例としてパッドを挙げたが、これには限定されない。例えば、幅が広い部分の例として、電源やグラウンドのプレーン層を挙げることができる。又、配線パターンの中に、幅が狭い配線パターンと、幅が広い配線パターンとが混在してもよい。
【0104】
又、複数の配線層を有する配線基板において、幅が狭い部分の層厚と幅が広い部分の層厚とを略均一とした配線層を一部に含んでもよい。
【0105】
又、配線基板の製造方法において、プリプレグ310の両面にキャリア付き金属箔320や320Aを積層して支持体とし、支持体の両面上に配線基板を形成してもよい。