【解決手段】配線基板10は、配線層11と、配線層11の上面11A及び側面を被覆し、配線層11の下面11Bを露出する絶縁層21と、絶縁層21の上面21Aに積層された絶縁層22と、絶縁層22を貫通して絶縁層21の上面21Aの一部を露出する開口部22Xとを有する。配線基板10は、開口部22Xの内壁面のうち絶縁層21と接する側の内壁面に、開口部22Xの開口幅を広げるように形成された凹部22Yと、開口部22Xから露出する絶縁層21の上面21Aに搭載された電子部品30とを有する。配線基板10は、開口部22X及び凹部22Yを充填し、絶縁層22の上面22A及び電子部品30を被覆する絶縁層24を有する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して各実施形態を説明する。なお、添付図面は、便宜上、特徴を分かりやすくするために特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。また、断面図では、各部材の断面構造を分かりやすくするために、一部の部材のハッチングを梨地模様に代えて示し、一部の部材のハッチングを省略している。
【0010】
(第1実施形態)
以下、
図1〜
図10に従って第1実施形態を説明する。
図1(a)に示すように、配線基板10は、配線層11と、絶縁層21と、配線層12と、絶縁層22と、配線層13と、絶縁層24と、配線層14とが順次積層された構造を有している。このように、本実施形態の配線基板10は、一般的なビルドアップ法を用いて作製される配線基板(支持基材としてのコア基板の両面又は片面に所要数のビルドアップ層を順次形成して積層したもの)とは異なり、支持基材を含まない、所謂「コアレス基板」の形態を有している。
【0011】
また、配線基板10は、複数の絶縁層21,22,24の中に内蔵された1つ又は複数(ここでは、1つ)のチップキャパシタ30と、絶縁層21の下面21Bに積層されたソルダレジスト層41と、絶縁層24の上面24Aに積層されたソルダレジスト層42とを有している。
【0012】
ここで、配線層11〜14の材料としては、例えば、銅(Cu)や銅合金を用いることができる。絶縁層21,22,24の材料としては、例えば、エポキシ樹脂やポリイミド樹脂などの絶縁性樹脂、又はこれら樹脂にシリカやアルミナ等のフィラーを混入した樹脂材を用いることができる。また、絶縁層21,22,24の材料としては、例えば、ガラス、アラミド、LCP(Liquid Crystal Polymer)繊維の織布や不織布などの補強材に、エポキシ樹脂やポリイミド樹脂等を主成分とする熱硬化性樹脂を含浸させた補強材入りの絶縁性樹脂を用いることもできる。なお、絶縁層21,22,24の材料としては、熱硬化性を有する絶縁性樹脂や感光性を有する絶縁性樹脂を用いることができる。
【0013】
配線層11は、配線基板10の最外層(ここでは、最下層)の配線層である。配線層11は、上面11Aと、下面11Bと、側面とを有している。配線層11の下面11Bは、絶縁層21から露出されている。本例の配線層11の下面11Bは、絶縁層21の下面21Bと略面一に形成されている。なお、配線層11の下面11Bは、絶縁層21の下面21Bよりも配線層12側に凹むように形成されていてもよい。
【0014】
このような配線層11は、例えば、他の配線層12〜14よりも微細に形成された配線層である。例えば、配線層11のラインアンドスペース(L/S)としては、1μm/1μm〜5μm/5μm程度とすることができる。ここで、ラインアンドスペース(L/S)は、配線の幅と、隣り合う配線同士の間隔とを示す。また、配線層11の厚さは、例えば、3〜20μm程度とすることができる。
【0015】
絶縁層21は、配線層11の上面11A及び側面を被覆し、配線層11の下面11Bを露出するように形成されている。絶縁層21には、所定の箇所に、当該絶縁層21を厚さ方向に貫通して配線層11の上面11Aの一部を露出する貫通孔VH1が形成されている。貫通孔VH1は、例えば、
図1(a)において上側(配線層12側)から下側(配線層11側)に向かうに連れて径が小さくなるテーパ状に形成されている。例えば、貫通孔VH1は、下側の開口端の開口径が上側の開口端の開口径よりも小さくなる略逆円錐台形状に形成されている。なお、配線層11の上面11Aから絶縁層21の上面21Aまでの厚さは、例えば、10〜35μm程度とすることができる。
【0016】
配線層12は、絶縁層21の上面21Aに積層されている。配線層12は、貫通孔VH1に充填されたビア配線を介して配線層11と電気的に接続されている。配線層12は、例えば、貫通孔VH1に充填されたビア配線と一体に形成されている。配線層12の厚さは、例えば、8〜25μm程度とすることができる。
【0017】
絶縁層22は、絶縁層21の上面21Aに、配線層12を被覆するように形成されている。なお、配線層12の上面から絶縁層22の上面22Aまでの厚さは、例えば、40〜100μm程度とすることができる。
【0018】
絶縁層22には、所要の箇所に、当該絶縁層22を厚さ方向に貫通して配線層12の上面の一部を露出する貫通孔VH2が形成されている。貫通孔VH2は、例えば、
図1(a)において上側から下側に向かうに連れて径が小さくなるテーパ状に形成されている。例えば、貫通孔VH2は、下側の開口端の開口径が上側の開口端の開口径よりも小さくなる略逆円錐台形状に形成されている。
【0019】
絶縁層22には、所要の箇所に、当該絶縁層22を厚さ方向に貫通して絶縁層21の上面21Aの一部を露出する開口部22Xが形成されている。開口部22Xは、内蔵されるチップキャパシタ30に対応して形成されている。すなわち、開口部22Xは、チップキャパシタ30の搭載位置に形成されている。この開口部22Xの内壁面と絶縁層21の上面21Aとによって囲まれた空間が、チップキャパシタ30を収容するキャビティとなる。このように、本例の配線基板10では、最下層の絶縁層21上に積層された絶縁層22がキャビティ形成用の絶縁層となる。
【0020】
開口部22Xは、例えば、
図1(a)において上側から下側に向かうに連れて幅が小さくなるテーパ状に形成されている。すなわち、開口部22Xは、絶縁層21側の開口部(下側の開口部)に対して絶縁層22の上面22A側の開口部(上側の開口部)が拡開されたテーパ状に形成されている。
【0021】
図2に示すように、開口部22Xは、平面視略矩形状に形成されている。開口部22Xは、チップキャパシタ30の平面形状よりも大きく形成されている。例えば、開口部22Xの大きさは、平面視で0.7mm×0.4mm〜15mm×15mm程度とすることができる。なお、
図2は、絶縁層21,22及びチップキャパシタ30を
図1(a)の上方から視た概略平面図である。
【0022】
図1(a)に示すように、開口部22Xの内壁面を構成する絶縁層22の下端部には凹部22Yが形成されている。詳述すると、開口部22Xの内壁面のうち絶縁層21と接する側の内壁面には、その内壁面を絶縁層22の内部に後退させる凹部22Yが形成されている。凹部22Yは、開口部22Xと連通するように形成されている。この凹部22Yによって、開口部22Xの内壁面を構成する絶縁層22の下面が絶縁層21から露出されている。すなわち、開口部22Xと絶縁層21の上面21Aとによって形成されるキャビティの底部には、そのキャビティの開口幅を広げる凹部22Yが形成されている。
【0023】
図2に示すように、凹部22Yは、例えば、開口部22Xの底部側外形の全周に亘って形成されている。なお、凹部22Yを、開口部22Xの底部側外形の一部のみに形成するようにしてもよい。凹部22Yの幅は、例えば、20〜80μm程度とすることができる。
【0024】
図1(a)に示すように、開口部22Xから露出する絶縁層21の上面21Aには、接着層35を介してチップキャパシタ30が搭載(接着)されている。すなわち、チップキャパシタ30は、開口部22X(キャビティ)内に配置されている。本例のチップキャパシタ30は、その一部が絶縁層22の上面22Aよりも上方に突出して開口部22X内に配置されている。接着層35は、絶縁層21の上面21Aに形成されている。例えば、接着層35は、配線層12と同一平面上に形成されている。なお、接着層35の材料としては、例えば、エポキシ系、ポリイミド系やシリコーン系等の熱硬化性の接着剤を用いることができる。
【0025】
チップキャパシタ30は、直方体状のキャパシタ本体31と、そのキャパシタ本体31の長手方向の両端に形成された2つの電極端子32とを有している。電極端子32は、キャパシタ本体31の長手方向端面を含む側面及び上下面の一部を被覆するように形成されている。チップキャパシタ30の厚さは、例えば、80〜120μm程度とすることができる。キャパシタ本体31は、例えば、主としてセラミックとニッケルや銅等の内部電極により形成されている。また、電極端子32の材料としては、例えば、銅や銅合金を用いることができる。
【0026】
配線層13は、絶縁層22の上面22Aに積層されている。配線層13は、貫通孔VH2に充填されたビア配線を介して配線層12と電気的に接続されている。配線層13は、例えば、貫通孔VH2に充填されたビア配線と一体に形成されている。配線層13の上面は、例えば、チップキャパシタ30の電極端子32の上面と略同一平面上に形成されている。なお、配線層13の上面を、電極端子32の上面よりも上方に形成するようにしてもよい。また、配線層13の上面と電極端子32の上面との高低差が僅か(例えば、絶縁層22の上面22Aから絶縁層24の上面24Aまでの厚さの1/3以下の距離)であれば、配線層13の上面を、電極端子32の上面よりも下方に形成してもよい。配線層13の厚さは、例えば、10〜20μm程度とすることができる。
【0027】
絶縁層24は、絶縁層22の上面22Aに、配線層13を被覆するとともに、チップキャパシタ30を全体的に被覆するように形成されている。絶縁層24は、配線層13から露出する絶縁層22の上面22A全面を被覆するように形成されている。絶縁層24は、絶縁層22の開口部22X及び凹部22Yを充填するように形成されている。絶縁層24は、開口部22X及び凹部22Yにおいて、接着層35から露出する絶縁層21の上面21Aを被覆するとともに、開口部22Xの内面及び凹部22Yの内面を被覆するように形成されている。
【0028】
具体的には、
図1(b)に示すように、絶縁層24は、開口部22Xの内壁面を被覆するとともに、凹部22Yから露出する絶縁層22の下面22Bと凹部22Yの内壁面を被覆するように形成されている。これにより、絶縁層24が、凹部22Yによって露出された絶縁層22の下面22Bに食い込むように形成されている。
【0029】
なお、
図1(c)に示すように、凹部22Yと絶縁層22との間に、金属層70が形成されている部分があってもよい。金属層70は、絶縁層22と接するように形成されている。この場合には、金属層70と絶縁層22の下面22Bと絶縁層21の上面21Aとによって囲まれた空間が凹部22Yとなる。この場合の絶縁層24は、凹部22Yから露出する絶縁層22の下面22Bと金属層70の側面とを被覆するように、凹部22Yに充填される。この場合であっても、凹部22Yに充填された絶縁層24が、凹部22Yによって露出された絶縁層22の下面22Bに食い込むように形成されている。
【0030】
図1(a)に示すように、絶縁層24には、所要の箇所に、当該絶縁層24を厚さ方向に貫通して配線層13の上面の一部を露出する貫通孔VH4が形成されている。また、絶縁層24には、所要の箇所に、当該絶縁層24を厚さ方向に貫通して電極端子32の上面の一部を露出する貫通孔VH5が形成されている。貫通孔VH4,VH5は、例えば、
図1(a)において上側から下側に向かうに連れて径が小さくなるテーパ状に形成されている。すなわち、貫通孔VH4,VH5は、チップキャパシタ30側又は配線層13側の開口部(下側の開口部)に対して絶縁層24の上面24A側の開口部(上側の開口部)が拡開されたテーパ状に形成されている。なお、配線層13の上面から絶縁層24の上面24Aまでの厚さは、例えば、15〜45μm程度とすることができる。
【0031】
配線層14は、絶縁層24の上面24Aに積層されている。配線層14は、配線基板10の最外層(ここでは、最上層)の配線層である。一部の配線層14(第4配線層)は、貫通孔VH4に充填されたビア配線を介して配線層13と電気的に接続されている。残りの配線層14(第6配線層)は、貫通孔VH5に充填されたビア配線を介して電極端子32と電気的に接続されている。配線層14は、例えば、貫通孔VH4又は貫通孔VH5に充填されたビア配線と一体に形成されている。配線層14は、絶縁層24の上面24A上で平面方向(厚さ方向と断面視で直交する方向)に引き回されていてもよい。さらに、このような配線層14により、配線層13に接続される配線層14と、電極端子32に接続される配線層14とが相互に電気的に接続されていてもよい。配線層14の厚さは、例えば、10〜20μm程度とすることができる。
【0032】
ソルダレジスト層41は、最外層(ここでは、最下層)の絶縁層21の下面21Bに積層されている。ソルダレジスト層41の材料としては、例えば、エポキシ樹脂やアクリル樹脂などの絶縁性樹脂を用いることができる。ソルダレジスト層41の厚さは、例えば、10〜30μm程度とすることができる。
【0033】
ソルダレジスト層41には、最下層の配線層11の少なくとも一部をパッドP1として露出させるための開口部41Xが形成されている。本例の開口部41Xは、配線基板10に実装される半導体チップ51(
図3参照)の実装領域に対応して形成されている。例えば、開口部41Xは、実装領域における配線層11の下面11B及び絶縁層21の下面21Bを露出するように形成されている。また、ソルダレジスト層41には、配線層11の一部を接続パッドP2として露出させるための開口部41Yが形成されている。本例の開口部41Yは、開口部41X(つまり、実装領域)よりも外側の領域に形成されている。
【0034】
ここで、パッドP1は、例えば、半導体チップ等の電子部品と電気的に接続するための電子部品搭載用のパッドとして機能する。すなわち、パッドP1が形成されている側の面がチップ搭載面になっている。また、接続パッドP2は、例えば、他の配線基板や他の半導体装置が電気的に接続されるパッドとして機能する。
【0035】
なお、必要に応じて、パッドP1の表面及び接続パッドP2の表面に表面処理層を形成するようにしてもよい。表面処理層の例としては、金(Au)層、ニッケル(Ni)層/Au層(Ni層とAu層をこの順番で積層した金属層)、Ni層/パラジウム(Pd)層/Au層(Ni層とPd層とAu層をこの順番で積層した金属層)などを挙げることができる。これらNi層、Au層、Pd層としては、例えば、無電解めっき法により形成された金属層(無電解めっき金属層)や、電解めっき法により形成された金属層(電解めっき金属層)を用いることができる。また、Ni層はNi又はNi合金からなる金属層、Au層はAu又はAu合金からなる金属層、Pd層はPd又はPd合金からなる金属層である。また、パッドP1の表面及び接続パッドP2の表面に、OSP処理(Organic Solderability Preservative)などの酸化防止処理を施して表面処理層を形成するようにしてもよい。例えば、OSP処理を施した場合には、パッドP1の表面及び接続パッドP2の表面に、アゾール化合物やイミダゾール化合物等の有機皮膜による表面処理層が形成される。
【0036】
ソルダレジスト層42は、最外層(ここでは、最上層)の絶縁層24の上面24Aに積層されている。ソルダレジスト層42の材料としては、例えば、エポキシ樹脂やアクリル樹脂などの絶縁性樹脂を用いることができる。ソルダレジスト層42の厚さは、例えば、10〜30μm程度とすることができる。
【0037】
ソルダレジスト層42には、配線層14の一部を外部接続用パッドP3として露出させるための開口部42Xが形成されている。外部接続用パッドP3には、当該配線基板10をマザーボード等の実装基板に実装する際に使用されるはんだボールやリードピン等の外部接続端子が接続されるようになっている。すなわち、本実施形態では、外部接続用パッドP3が形成されている面が外部接続端子面となっている。なお、必要に応じて、外部接続用パッドP3の表面に表面処理層を形成するようにしてもよい。表面処理層の例としては、Au層、Ni層/Au層、Ni層/Pd層/Au層などを挙げることができる。また、外部接続用パッドP3の表面に、例えば、OSP処理などの酸化防止処理を施し、アゾール化合物やイミダゾール化合物等の有機皮膜による表面処理層を形成するようにしてもよい。なお、開口部42Xから露出する配線層14(又は、配線層14上に表面処理層が形成されている場合には、その表面処理層)自体を、外部接続端子としてもよい。
【0038】
次に、
図3に従って、半導体装置50の構造について説明する。なお、
図3において、同図に示す配線基板10は
図1(a)とは上下反転して描かれている。
半導体装置50は、配線基板10と、1つ又は複数の半導体チップ51と、アンダーフィル樹脂55とを有している。半導体チップ51は、配線基板10にフリップチップ実装されている。すなわち、半導体チップ51の回路形成面(ここでは、下面)に配設された接続端子52を、接合部材53を介して配線基板10のパッドP1に接合することにより、半導体チップ51は、接続端子52及び接合部材53を介してパッドP1(配線層11)と電気的に接続されている。
【0039】
半導体チップ51としては、例えば、CPU(Central Processing Unit)チップやGPU(Graphics Processing Unit)チップなどのロジックチップを用いることができる。また、半導体チップ51としては、例えば、DRAM(Dynamic Random Access Memory)チップ、SRAM(Static Random Access Memory)チップやフラッシュメモリチップなどのメモリチップを用いることもできる。なお、配線基板10に複数の半導体チップ51を搭載する場合には、ロジックチップとメモリチップとを組み合わせて配線基板10に搭載するようにしてもよい。
【0040】
接続端子52としては、例えば、金属ポストを用いることができる。この接続端子52は、半導体チップ51の回路形成面から下方に伸びる柱状の接続端子である。接続端子52の材料としては、例えば、銅や銅合金を用いることができる。なお、接続端子52としては、金属ポストの他に、例えば、金バンプを用いることもできる。
【0041】
接合部材53は、パッドP1に接合されるとともに、接続端子52に接合されている。接合部材53としては、例えば、錫(Sn)層やはんだ層を用いることができる。はんだ層の材料としては、例えば、Sn−銀(Ag)系、Sn−Cu系、Sn−Ag−Cu系の鉛(Pb)フリーはんだを用いることができる。
【0042】
アンダーフィル樹脂55は、配線基板10と半導体チップ51との隙間を充填するように設けられている。アンダーフィル樹脂55の材料としては、例えば、エポキシ系樹脂などの絶縁性樹脂を用いることができる。
【0043】
次に、配線基板10の製造方法について説明する。なお、説明の便宜上、最終的に配線基板10の各構成要素となる部分には、最終的な構成要素の符号を付して説明する。
図4(a)に示すように、支持体60の上面にキャリア付金属箔61が貼着された構造体を準備する。支持体60は、例えば、ガラス、アラミド、LCP繊維の織布や不織布などの補強材に、エポキシ樹脂やポリイミド樹脂等の熱硬化性樹脂を含浸させたプリプレグである。キャリア付金属箔61は、キャリア層62と、キャリア層62の上面に剥離層(図示略)を介して積層された極薄の金属箔63とを有している。キャリア層62は、金属箔63の取り扱いを容易にするための支持材として設けられている。キャリア層62は、例えば、厚さが15〜70μm程度の銅箔である。金属箔63は、例えば、厚さが0.5〜5μm程度の銅箔である。
【0044】
なお、キャリア層62の材料としては、銅に限定されず、銅以外の導電性を有する金属層であってもよいし、樹脂等の絶縁層であってもよい。また、金属箔63の材料としては、銅に限定されず、銅以外の金属であってもよい。
【0045】
次に、
図4(b)に示す工程では、金属箔63の上面63Aに、配線層11を形成する。配線層11は、例えばセミアディティブ法によって形成することができる。具体的には、まず、金属箔63の上面63Aに、配線層11の形状に対応した開口部を有するレジストパターン(図示略)を形成する。続いて、レジストパターンの開口部から露出する金属箔63の上面63Aに、金属箔63を給電層とする電解銅めっきにより銅めっき皮膜を析出させる。その後、レジストパターンを除去することにより、金属箔63上に配線層11を形成することができる。なお、配線層11の形成方法としては、上述したセミアディティブ法の他にサブトラクティブ法などの各種の配線形成方法を採用することもできる。
【0046】
続いて、
図4(c)に示す工程では、
図4(b)に示した構造体の上方に、絶縁層21とキャリア付金属箔64とを配置する。本工程における絶縁層21は、例えば、ガラス、アラミド、LCP繊維の織布や不織布などの補強材に、エポキシ樹脂やポリイミド樹脂等の熱硬化性樹脂を含浸させたB−ステージのプリプレグである。なお、絶縁層21においてキャリア付金属箔64と対向配置される面(ここでは、上面)には下地層(図示略)が形成されている。
【0047】
キャリア付金属箔64は、キャリア付金属箔61と同様に、キャリア層65と、キャリア層65の下面に剥離層(図示略)を介して積層された極薄の金属箔66とを有している。キャリア付金属箔64は、金属箔66を絶縁層21と対向するように配置される。
【0048】
次いで、上述のように配置された構造体、絶縁層21及びキャリア付金属箔64は、減圧下(例えば、真空雰囲気)において、所定の温度(例えば、180〜230℃)に加熱され、金属箔63の上面63Aと断面視で直交する方向(図中上下方向)に加圧される。これにより、B−ステージの絶縁層21が硬化される。その後、キャリア層65を金属箔66から剥離する。このとき、キャリア付金属箔64において、キャリア層65と金属箔66との間には剥離層(図示略)が介在されているため、キャリア層65と金属箔66との間の接着力は弱い。このため、キャリア層65を金属箔66から容易に剥離することができる。本工程により、
図4(d)に示す構造体が得られる。
【0049】
なお、絶縁層21として、ガラスクロス等の補強材を含まない樹脂やフィラーのみを含有した樹脂を用いるようにしてもよい。この場合には、以下のような方法により絶縁層21を形成することができる。絶縁層21として樹脂フィルムを用いる場合には、金属箔63の上面63Aに樹脂フィルムをラミネートする。そして、樹脂フィルムを押圧しながら硬化温度以上の温度(例えば、130〜200℃程度)で熱処理して硬化させることにより、絶縁層21を形成することができる。なお、樹脂フィルムとしては、例えば、エポキシ系樹脂を主成分とする熱硬化性樹脂のフィルムを用いることができる。また、絶縁層21として液状又はペースト状の絶縁性樹脂を用いる場合には、金属箔63の上面63Aに液状又はペースト状の絶縁性樹脂をスピンコート法などにより塗布する。そして、塗布した絶縁性樹脂を硬化温度以上の温度で熱処理して硬化させることにより、絶縁層21を形成することができる。なお、液状又はペースト状の絶縁性樹脂としては、例えば、エポキシ系樹脂を主成分とする熱硬化性樹脂を用いることができる。
【0050】
次に、
図5(a)に示す工程では、配線層11の上面11Aの一部が露出されるように、絶縁層21及び金属箔66を厚さ方向に貫通する貫通孔VH1を形成する。貫通孔VH1は、例えば、CO
2レーザやYAGレーザ等によるレーザ加工法によって形成することができる。なお、絶縁層21が感光性樹脂を用いて形成されている場合には、フォトリソグラフィ法により所要の貫通孔VH1を形成するようにしてもよい。
【0051】
続いて、貫通孔VH1をレーザ加工法によって形成した場合には、デスミア処理を行って、貫通孔VH1の底部に露出する配線層11の上面11Aに付着した絶縁層21の樹脂残渣(樹脂スミア)を除去する。このデスミア処理は、例えば、過マンガン酸塩法などを用いて行うことができる。
【0052】
次いで、
図5(b)に示す工程では、金属箔66の上面、貫通孔VH1の内壁面及び貫通孔VH1の底部に露出する配線層11の上面11Aを連続的に被覆するシード層67を形成する。シード層67は、例えば、無電解めっき法(例えば、無電解銅めっき法)やスパッタ法によって形成することができる。シード層67の材料としては、例えば、銅や銅合金を用いることができる。
【0053】
次に、
図5(c)に示す工程では、シード層67上に、所定の箇所に開口パターン68X,68Yを有するレジスト層68を形成する。開口パターン68Xは、配線層12(
図1(a)参照)の形成領域に対応する部分のシード層67を露出するように形成される。開口パターン68Yは、チップキャパシタ30の搭載領域に対応する部分のシード層67を露出するように形成される。例えば、開口パターン68Yは、開口部22X(
図1(a)参照)よりも一回り大きい平面形状に形成される。
【0054】
レジスト層68の材料としては、例えば、次工程のめっき処理に対して耐めっき性がある材料を用いることができる。例えば、レジスト層68の材料としては、感光性のドライフィルムレジスト又は液状のフォトレジスト(例えば、ノボラック系樹脂やアクリル系樹脂等のドライフィルムレジストや液状レジスト)等を用いることができる。例えば、感光性のドライフィルムレジストを用いる場合には、シード層67の上面にドライフィルムを熱圧着によりラミネートし、そのドライフィルムをフォトリソグラフィ法によりパターニングして上記開口パターン68X,68Yを有するレジスト層68を形成する。なお、液状のフォトレジストを用いる場合にも、同様の工程を経て、レジスト層68を形成する。
【0055】
続いて、
図5(d)に示す工程では、レジスト層68をめっきマスクとして、シード層67の上面に、そのシード層67をめっき給電層に利用する電解めっき法を施す。具体的には、レジスト層68の開口パターン68X,68Yから露出されたシード層67の上面に電解めっき法(ここでは、電解銅めっき法)を施すことにより、そのシード層67の上面に電解銅めっき層69を形成する。
【0056】
次いで、レジスト層68を例えばアルカリ性の剥離液により除去する。これにより、
図6(a)に示した構造体が得られる。続いて、電解銅めっき層69をエッチングマスクとして、不要なシード層67及び金属箔66をエッチングにより除去する。これにより、
図6(b)に示すように、絶縁層21の上面21Aに、金属箔66とシード層67と電解銅めっき層69とからなり、チップキャパシタ30(
図1(a)参照)の搭載領域よりも一回り大きい金属層70が形成される。また、
図6(c)に示すように、シード層67と電解銅めっき69とからなり、貫通孔VH1を充填するビア配線が形成される。また、金属箔66とシード層67と電解銅めっき層69とからなる配線層12が絶縁層21の上面21A上に形成される。
【0057】
次に、
図6(d)に示す工程では、
図4(c)及び
図4(d)に示した工程と同様に、絶縁層21の上面21Aに、配線層12の上面全面及び側面全面(表面全面)を被覆する絶縁層22と、その絶縁層22の上面22A全面を被覆する金属箔71とを順に積層する。
【0058】
続いて、金属箔71をエッチングにより除去する。次いで、
図7(a)に示す工程では、チップキャパシタ30(
図1(a)参照)の搭載領域に対応する部分の金属層70が露出されるように、絶縁層22を厚さ方向に貫通する開口部22Xを形成する。このとき、開口部22Xの平面形状は、金属層70の平面形状よりも一回り小さく形成される。このため、金属層70の周縁部は絶縁層22により被覆されている。開口部22Xは、例えば、CO
2レーザやYAGレーザ等によるレーザ加工法によって形成することができる。このとき、金属層70がレーザ加工のストッパ層として機能する。これにより、例えば、過剰なレーザ加工によって、絶縁層22の下層の絶縁層21が損傷することを好適に抑制できる。
【0059】
また、金属箔71(
図6(d)参照)をコンフォーマルマスクとして利用して開口部22Xを形成するようにしてもよい。具体的には、まず、金属箔71をエッチングによりパターニングし、金属箔71に開口部22Xと同じ平面形状の開口部(図示略)を形成する。続いて、金属箔71の開口部に露出する絶縁層22に対してレーザ加工を施し、絶縁層22に開口部22Xを形成する。その後、金属箔71をエッチングにより除去する。この場合には、エッチングによりパターニングされた金属箔71がレーザ加工時のマスクとなるため、開口部22Xの平面形状を所望の形状に精度良く形成することができる。また、この場合にも、金属層70がレーザ加工のストッパ層として機能するため、絶縁層21が損傷することを好適に抑制できる。
【0060】
なお、絶縁層22が感光性樹脂を用いて形成されている場合には、フォトリソグラフィ法により所要の開口部22Xを形成するようにしてもよい。
次いで、金属層70をエッチングにより除去する。例えば、絶縁層22をエッチングマスクとして、金属層70を等方性エッチングにより除去する。この等方性エッチングにより、エッチングが金属層70の面内方向に進行するサイドエッチ現象によって、絶縁層22に被覆された金属層70も除去される。これにより、
図7(b)に示すように、開口部22Xの内壁面を構成する絶縁層22の下端部に凹部22Yが形成される。このとき、本工程のエッチング処理の処理条件(処理時間等)によって、
図7(c)に示すように、絶縁層22に被覆されていた金属層70が完全に除去される場合と、
図7(d)に示すように、絶縁層22に被覆されていた金属層70の一部が残る場合とがある。すなわち、絶縁層22に被覆されていた金属層70の一部が除去されて凹部22Yが形成されていれば、金属層70の一部が除去されずに残ってもよい。なお、金属層70の一部が残る場合には、その金属層70の側面と、絶縁層22の下面22Bと、絶縁層21の上面21Aとによって囲まれた空間が凹部22Yとなる。
【0061】
次に、
図8(a)に示す工程では、
図5(a)に示した工程と同様に、絶縁層22に貫通孔VH2を形成する。次いで、
図5(b)〜
図6(b)に示した工程と同様に、貫通孔VH2を充填するビア配線を形成するとともに、そのビア配線を介して配線層12と電気的に接続される配線層13を絶縁層22の上面22Aに形成する。
【0062】
続いて、
図8(b)に示す工程では、開口部22Xから露出する絶縁層21の上面21Aに接着層35を形成する。接着層35は、例えば、接着層35となる液状樹脂やペースト状樹脂を絶縁層21の上面21Aに塗布することによって形成することができる。なお、接着層35としては、例えば、エポキシ系樹脂からなる接着剤が用いられる。また、本工程における接着層35は、A−ステージのものが使用される。なお、本工程における接着層35として、B−ステージのものを用いるようにしてもよい。
【0063】
次いで、
図8(c)に示す工程では、マウンタを用いて、開口部22X内において、接着層35上にチップキャパシタ30を搭載する。このとき、チップキャパシタ30は、電極端子32の下面が接着層35の上面に接するように固定される。
【0064】
次に、
図9(a)に示す工程では、
図4(c)及び
図4(d)に示した工程と同様に、絶縁層22の上面22Aに、配線層13の表面全面を被覆し、開口部22X及び凹部22Yを充填する絶縁層24と、その絶縁層24の上面24A全面を被覆する金属箔73とを順に積層する。絶縁層24は、接着層35と接していないチップキャパシタ30の表面全面を被覆するように形成される。このとき、配線層13の上面がチップキャパシタ30の電極端子32の上面と同一平面上、又は電極端子32の上面よりも上方に形成されているため、絶縁層24の上面24Aを平坦に形成することができる。さらに、絶縁層22の開口部22Xが図中上側から下側に向かうに連れて幅が小さくなるテーパ状に形成されているため、絶縁層22とチップキャパシタ30との隙間への樹脂の充填性を向上させることができる。これにより、絶縁層24中へのボイドの巻き込みを好適に抑制することができる。
【0065】
続いて、
図9(b)に示す工程では、まず、
図5(a)に示した工程と同様に、絶縁層24の所定箇所に貫通孔VH4,VH5を形成する。次いで、
図5(b)〜
図6(b)に示した工程と同様に、貫通孔VH4,VH5を充填するビア配線を形成するとともに、それらビア配線を介して配線層13又は電極端子32と電気的に接続される配線層14を絶縁層24の上面24Aに積層する。
【0066】
次に、支持体60及びキャリア付金属箔61(キャリア層62及び金属箔63)を除去する。例えば、まず、キャリア層62及び支持体60を金属箔63から機械的に剥離する。このとき、キャリア層62と金属箔63との間には剥離層(図示略)が介在されているため、キャリア層62と金属箔63との間の接着力は弱い。このため、キャリア層62及び支持体60を金属箔63から容易に剥離することができる。続いて、金属箔63をエッチングにより除去する。このとき、配線層14の最表層がCu層である場合には、その配線層14が金属箔63と一緒にエッチングされることを防止するため、配線層14をマスクしてエッチング処理が行われる。本工程により、
図9(c)に示すように、配線層11の下面11B及び絶縁層21の下面21Bが外部に露出される。
【0067】
次に、
図10(a)に示す工程では、絶縁層21の下面21Bに、開口部41X,41Yを有するソルダレジスト層41を積層するとともに、絶縁層24の上面24Aに、開口部42Xを有するソルダレジスト層42を積層する。これらソルダレジスト層41,42は、例えば、感光性のソルダレジストフィルムをラミネートし、又は液状のソルダレジストを塗布し、当該レジストを所要の形状にパターニングすることにより形成することができる。これにより、開口部41Xから露出する配線層11がパッドP1となり、開口部41Yから露出する配線層11が接続パッドP2となり、開口部42Xから露出する配線層14が外部接続用パッドP3となる。なお、必要に応じて、パッドP1上、接続パッドP2上及び外部接続用パッドP3上に、例えば、Ni層とAu層をこの順番で積層した金属層(表面処理層)を形成するようにしてもよい。この金属層は、例えば、無電解めっき法により形成することができる。
【0068】
以上の製造工程により、
図1(a)に示した配線基板10を製造することができる。
次に、半導体装置50の製造方法について説明する。
図10(b)に示す工程では、柱状の接続端子52を有する半導体チップ51を準備する。接続端子52は、公知の製造方法により製造することが可能であるため、図示は省略して詳細な説明を割愛するが、例えば以下のような方法で製造される。
【0069】
まず、半導体チップ51の回路形成面(ここでは、下面)に、例えば電極パッドを露出させる開口部を有する保護膜を形成し、その保護膜の下面及び電極パッドの下面を被覆するようにシード層を形成する。次に、接続端子52の形成領域に対応する部分のシード層(電極パッドの下面を被覆するシード層)を露出させたレジスト層を形成する。続いて、レジスト層から露出されたシード層上に、そのシード層を給電層に利用する電解めっき法(例えば、電解銅めっき法)を施すことにより、電極パッド上に柱状の接続端子52を形成する。
【0070】
続いて、接続端子52の下面に、接合部材53を形成する。この接合部材53は、例えばシード層上に形成されたレジスト層をめっきマスクに利用し、シード層をめっき給電層に利用する電解はんだめっき法により、接続端子52の下面にはんだを被着することにより形成することができる。その後、不要なシード層及びレジスト層を除去する。
【0071】
次いで、配線基板10のパッドP1(配線層11)上に、半導体チップ51の接続端子52をフリップチップ接合する。例えば、配線基板10と半導体チップ51とを位置合わせした後に、リフロー処理を行って接合部材53(はんだめっき層)を溶融させ、接続端子52をパッドP1に電気的に接続する。
【0072】
その後、フリップチップ接合された半導体チップ51と配線基板10との間に、アンダーフィル樹脂55を充填し、そのアンダーフィル樹脂55を硬化する。以上の製造工程により、
図3に示した半導体装置50を製造することができる。
【0073】
以上説明した本実施形態によれば、以下の効果を奏することができる。
(1)絶縁層22にキャビティとなる開口部22Xを形成し、その開口部22Xの内壁面のうち絶縁層21と接する側の内壁面に、開口部22Xの開口幅を広げる凹部22Yを形成した。そして、凹部22Y及び開口部22Xを充填する絶縁層24を、絶縁層22の上面22Aに積層した。これにより、絶縁層24の一部(具体的には、凹部22Yを充填する絶縁層24)が絶縁層22の下面22Bに食い込むように形成される。このため、アンカー効果により、凹部22Yが形成されていない場合に比べて、キャビティ形成用の絶縁層22とキャビティ充填用の絶縁層24との密着性を向上させることができる。したがって、配線基板10に反り等が生じた場合であっても、絶縁層24が絶縁層22から剥離することを好適に抑制することができる。
【0074】
(2)絶縁層21の上面21Aに積層された絶縁層22を貫通する開口部22Xにより、チップキャパシタ30を収容するキャビティを形成した。ここで、例えば絶縁層21の上面21Aを薄化することによりキャビティを形成した場合には、そのキャビティに配置されたチップキャパシタ30と配線層11との間の絶縁層21が薄くなる。このため、チップキャパシタ30と配線層11との間の絶縁信頼性が低下するという問題がある。これに対し、本実施形態では、絶縁層21を薄化せずに、絶縁層22のみにキャビティを形成するようにした。これにより、チップキャパシタ30と配線層11との間の絶縁層21の厚さを十分に確保することができるため、チップキャパシタ30と配線層11との間の絶縁信頼性を向上させることができる。
【0075】
(3)接着層35を配線層12と同一平面上に形成した。これにより、例えば接着層35が配線層12よりも上方に設けられる場合に比べて、配線基板10全体を薄型化することができる。また、例えば接着層35が配線層12よりも下方に設けられる場合に比べて、チップキャパシタ30と配線層11との間の距離を確保できるため、チップキャパシタ30と配線層11との間の絶縁信頼性を向上させることができる。
【0076】
(4)絶縁層21の上面21Aに金属層70を形成し、その金属層70の表面全面を被覆するように絶縁層22を形成した後に、レーザ加工法により絶縁層22に金属層70よりも一回り小さい開口部22Xを形成した。このように金属層70が設けられた状態で開口部22Xが形成されるため、上記レーザ加工により絶縁層21の上面21Aが薄化されることを抑制できる。さらに、開口部22Xを形成した後に、その開口部22Xよりも一回り大きい金属層70を等方性エッチングにより除去した。これにより、開口部22Xの底部に容易に凹部22Yを形成することができる。
【0077】
(5)絶縁層22の開口部22Xが上面22A側から絶縁層21側に向かうに連れて幅が小さくなるテーパ状に形成されている。このため、開口部22X内に絶縁層24を形成する際に、絶縁層22とチップキャパシタ30との隙間への樹脂の充填性を向上させることができる。これにより、絶縁層24中へのボイドの巻き込みを好適に抑制することができる。
【0078】
(6)配線基板10をコアレス基板の形態を有する配線基板とした。これにより、コア基板を有するビルドアップ配線基板に比べて、配線基板10全体を薄型化することができる。
【0079】
(第2実施形態)
以下、
図11〜
図14に従って第2実施形態を説明する。先の
図1〜
図10に示した部材と同一の部材にはそれぞれ同一の符号を付して示し、それら各要素についての詳細な説明は省略する。以下、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0080】
図11に示すように、配線基板10Aは、配線層11と、絶縁層21と、配線層12と、絶縁層22と、配線層13と、絶縁層23と、絶縁層24と、配線層14とが順次積層された構造を有している。また、配線基板10Aは、複数の絶縁層21〜24の中に内蔵されたチップキャパシタ30と、ソルダレジスト層41と、ソルダレジスト層42とを有している。
【0081】
絶縁層22は、絶縁層21の上面21Aに、配線層12を被覆するように形成されている。絶縁層22の上面22Aは、内蔵されるチップキャパシタ30の電極端子32の上面よりも低い位置に設けられている。なお、配線層12の上面から絶縁層22の上面22Aまでの厚さは、例えば、30〜60μm程度とすることができる。
【0082】
絶縁層22には、当該絶縁層22を厚さ方向に貫通して配線層12の上面の一部を露出する貫通孔VH2と、当該絶縁層22を厚さ方向に貫通して絶縁層21の上面21Aの一部を露出する開口部22Xとが形成されている。
【0083】
配線層13は、絶縁層22の上面22Aに積層されている。配線層13は、貫通孔VH2に充填されたビア配線を介して配線層12と電気的に接続されている。配線層13は、例えば、貫通孔VH2に充填されたビア配線と一体に形成されている。配線層13の厚さは、例えば、10〜20μm程度とすることができる。
【0084】
絶縁層23は、絶縁層22の上面22Aに、配線層13を被覆するように形成されている。絶縁層23の上面23Aには配線層が形成されていない。絶縁層23の材料としては、絶縁層21,22,24と同様の材料を用いることができる。なお、配線層13の上面から絶縁層23の上面23Aまでの厚さは、例えば、15〜45μm程度とすることができる。
【0085】
絶縁層23には、所要の箇所に、当該絶縁層23を厚さ方向に貫通して配線層13の上面の一部を露出する貫通孔VH3が形成されている。貫通孔VH3は、例えば、
図11において上側から下側に向かうに連れて径が小さくなるテーパ状に形成されている。例えば、貫通孔VH3は、下側の開口端の開口径が上側の開口端の開口径よりも小さくなる略逆円錐台形状に形成されている。
【0086】
絶縁層23には、所要の箇所に、当該絶縁層23を厚さ方向に貫通して絶縁層21の上面21Aの一部を露出する開口部23Xが形成されている。開口部23Xは、開口部22Xと同様に、内蔵されるチップキャパシタ30に対応して形成されている。すなわち、開口部23Xは、チップキャパシタ30の搭載位置に形成されている。これら開口部22X,23Xの内壁面と絶縁層21の上面21Aとによって囲まれた空間が、チップキャパシタ30を収容するキャビティとなる。このように、本例の配線基板10Aでは、最下層の絶縁層21上に積層された2層の絶縁層22,23がキャビティ形成用の絶縁層となる。さらに、配線基板10Aでは、キャビティ形成用の絶縁層22,23中に配線層12,13が内蔵されている。
【0087】
開口部23Xは、絶縁層22の開口部22Xと連通するように形成されている。具体的には、開口部22Xの内壁面と開口部23Xの内壁面とは連続するように形成されている。このため、開口部23Xの平面形状は、開口部22Xと同様の平面形状(ここでは、略矩形状)に形成され、開口部22Xと略同じ大きさに形成されている。
【0088】
開口部22X,23Xは、例えば、図中上側から下側に向かうに連れて幅が小さくなるテーパ状に形成されている。すなわち、開口部22X,23Xは、絶縁層21側の開口部(下側の開口部)に対して絶縁層23の上面23A側の開口部(上側の開口部)が拡開されたテーパ状に形成されている。なお、開口部22Xの内壁面を構成する絶縁層22の下端部には凹部22Yが形成されている。
【0089】
開口部22X,23Xから露出する絶縁層21の上面21Aには、接着層35を介してチップキャパシタ30が搭載されている。すなわち、チップキャパシタ30は、開口部22X,23X(キャビティ)内に配置されている。本例のチップキャパシタ30は、電極端子32の上面が絶縁層23の上面23Aと同一平面上、もしくは上面23Aよりも低い平面上に位置するように、開口部22X,23X内に配置されている。
【0090】
絶縁層24は、絶縁層23の上面23Aに、その上面23A全面を被覆し、チップキャパシタ30を全体的に被覆するように形成されている。絶縁層24は、開口部23X、開口部22X及び凹部22Yを充填するように形成されている。絶縁層24は、開口部22X,23X及び凹部22Yにおいて、接着層35から露出する絶縁層21の上面21Aを被覆するとともに、開口部23Xの内壁面、開口部22Xの内壁面及び凹部22Yの内面を被覆するように形成されている。なお、絶縁層23の上面23Aから絶縁層24の上面24Aまでの厚さは、例えば、15〜45μm程度とすることができる。
【0091】
絶縁層24には、所要の箇所に、当該絶縁層24を厚さ方向に貫通して配線層13の上面の一部を露出する貫通孔VH4が形成されている。貫通孔VH4は、絶縁層23の貫通孔VH3と連通するように形成されている。例えば、貫通孔VH3の内壁面と貫通孔VH4の内壁面とは連続するように形成されている。貫通孔VH3,VH4は、例えば、図中上側から下側に向かうに連れて径が小さくなるテーパ状に形成されている。貫通孔VH3,VH4は、下側の開口端の開口径が上側の開口端の開口径よりも小さくなる略逆円錐台形状に形成されている。
【0092】
一部の配線層14は、貫通孔VH3,VH4に充填されたビア配線を介して配線層13と電気的に接続されている。すなわち、一部の配線層14は、絶縁層23,24を厚さ方向に貫通するビア配線を介して配線層13と電気的に接続されている。残りの配線層14は、貫通孔VH5に充填されたビア配線を介して電極端子32と電気的に接続されている。
【0093】
このように、キャビティ形成用の絶縁層22,23に内蔵された配線層13と、配線層14との間には、2層の絶縁層23,24が形成され、それら2層の絶縁層23,24を厚さ方向に貫通するビア配線によって配線層13,14が電気的に接続されている。
【0094】
次に、配線基板10Aの製造方法について説明する。なお、説明の便宜上、最終的に配線基板10Aの各構成要素となる部分には、最終的な構成要素の符号を付して説明する。
まず、
図4(a)〜
図6(b)に示した工程と同様の工程を実施することにより、
図12(a)に示した構造体を製造する。
【0095】
次に、
図12(b)に示す工程では、
図4(c)〜
図5(a)に示した工程と同様に、配線層12及び金属層70を被覆する絶縁層22を絶縁層21の上面21Aに形成し、絶縁層22に貫通孔VH2を形成する。続いて、
図5(b)〜
図6(b)に示した工程と同様に、貫通孔VH2を充填するビア配線を形成するとともに、そのビア配線を介して配線層12と電気的に接続される配線層13を絶縁層22の上面22Aに積層する。
【0096】
次いで、
図12(c)に示す工程では、
図4(c)及び
図4(d)に示した工程と同様に、絶縁層22の上面22Aに、配線層13の表面全面を被覆する絶縁層23と、その絶縁層23の上面23A全面を被覆する金属箔75とを順に積層する。
【0097】
次に、金属箔75をエッチングにより除去する。続いて、
図12(d)に示す工程では、チップキャパシタ30(
図11参照)の搭載領域に対応する部分の金属層70が露出されるように、絶縁層23を貫通する開口部23Xと、その開口部23Xと連通し絶縁層22を貫通する開口部22Xとを形成する。このとき、開口部22Xの平面形状は、金属層70の平面形状よりも一回り小さく形成される。このため、金属層70の周縁部は絶縁層22によって被覆されている。開口部22X,23Xは、例えば、CO
2レーザやYAGレーザ等によるレーザ加工法によって形成することができる。このとき、金属層70がレーザ加工のストッパ層として機能する。これにより、例えば、過剰なレーザ加工によって、絶縁層22の下層の絶縁層21が損傷することを好適に抑制できる。
【0098】
また、金属箔75(
図12(c)参照)をコンフォーマルマスクとして利用して開口部22X,23Xを形成するようにしてもよい。具体的には、まず、金属箔75をエッチングによりパターニングし、金属箔75に開口部22X,23Xと同じ平面形状の開口部(図示略)を形成する。続いて、金属箔75の開口部に露出する絶縁層22,23に対してレーザ加工を施し、絶縁層22,23に開口部22X,23Xを形成する。その後、金属箔75をエッチングにより除去する。この場合には、エッチングによりパターニングされた金属箔75がレーザ加工時のマスクとなるため、開口部22X,23Xの平面形状を所望の形状に精度良く形成することができる。また、この場合にも、金属層70がレーザ加工のストッパ層として機能する。
【0099】
なお、絶縁層22,23が感光性樹脂を用いて形成されている場合には、フォトリソグラフィ法により所要の開口部22X,23Xを形成するようにしてもよい。
続いて、
図7(b)に示した工程と同様に、絶縁層22,23をエッチングマスクとして、金属層70を等方性エッチングにより除去する。これにより、
図13(a)に示すように、開口部22Xの内壁面を構成する絶縁層22の下端部に凹部22Yが形成される。
【0100】
次いで、
図13(b)に示す工程では、
図8(b)及び
図8(c)に示した工程と同様に、開口部22X,23Xから露出する絶縁層21の上面21A上に、接着層35を介してチップキャパシタ30を搭載する。
【0101】
次に、
図13(c)に示す工程では、
図4(c)及び
図4(d)に示した工程と同様に、絶縁層23の上面23A全面を被覆し、開口部22X,23X及び凹部22Yを充填する絶縁層24と、その絶縁層24の上面24A全面を被覆する金属箔76とを順に積層する。絶縁層24は、接着層35と接していないチップキャパシタ30の表面全面を被覆するように形成される。このとき、絶縁層23の上面23Aが、チップキャパシタ30の電極端子32の上面と同一平面上、又は電極端子32の上面よりも上方に形成されているため、絶縁層24の上面24Aを平坦に形成することができる。
【0102】
続いて、
図13(d)に示す工程では、まず、
図5(a)に示した工程と同様に、絶縁層24の所定箇所に貫通孔VH4,VH5を形成するとともに、絶縁層23の所定箇所に貫通孔VH4と連通する貫通孔VH3を形成する。次いで、
図5(b)〜
図6(b)に示した工程と同様に、貫通孔VH3,VH4を充填するビア配線を介して配線層13と電気的に接続される配線層14と、貫通孔VH5を充填するビア配線を介して電極端子32と電気的に接続される配線層14とを絶縁層24の上面24Aに積層する。
【0103】
次に、
図9(c)に示した工程と同様に、支持体60及びキャリア付金属箔61(キャリア層62及び金属箔63)を除去する。これにより、
図14(a)に示すように、配線層11の下面11B及び絶縁層21の下面21Bが外部に露出される。
【0104】
続いて、
図14(b)に示す工程では、
図10(a)に示した工程と同様に、絶縁層21の下面21Bに、開口部41X,41Yを有するソルダレジスト層41を積層するとともに、絶縁層24の上面24Aに、開口部42Xを有するソルダレジスト層42を積層する。
【0105】
以上の製造工程により、
図11に示した配線基板10Aを製造することができる。
以上説明した実施形態によれば、第1実施形態の(1)〜(6)の効果に加えて以下の効果を奏することができる。
【0106】
(7)絶縁層21上に積層された2層の絶縁層22,23をキャビティ形成用の絶縁層とし、それら絶縁層22,23の中に配線層13を内蔵し、絶縁層23の上面23Aには配線層を形成せずに、その上面23Aにキャビティ充填用の絶縁層24を形成した。そして、絶縁層24の上面24Aに、絶縁層22,23を厚さ方向に貫通するビア配線を介して配線層13と電気的に接続される配線層14を形成した。これにより、絶縁層21,22,23,24の厚さのばらつきを抑制しつつも、配線基板10A全体の薄型化に寄与することができる。
【0107】
詳述すると、まず、キャビティ形成用の絶縁層を1層の絶縁層(例えば、絶縁層22)のみで構成した比較例1の場合には、その1層の絶縁層の厚さがチップキャパシタ30の厚さに依存して制限される。これに対し、本例では、キャビティ形成用の絶縁層を2層の絶縁層22,23で構成するようにしたため、それら絶縁層22,23の合計の厚さはチップキャパシタ30の厚さに依存するものの、絶縁層22,23の各々の厚さはチップキャパシタ30の厚さに依存せずに設定することができる。
【0108】
例えば、チップキャパシタ30の厚さを100μmとし、キャビティの深さを105μmとし、各配線層11〜13の厚さを15μmとし、各絶縁層21〜24の最小の厚さを25μmとした場合について考える。本実施形態及び比較例1では、配線層11の上面11Aから絶縁層21の上面21Aまでの厚さを25μmに設定することができる。ここで、比較例1の場合には、1層の絶縁層22のみによってキャビティが形成されるため、配線層12の厚さを15μmとすると、配線層12の上面から絶縁層22の上面22Aまでの厚さを90μmに設定する必要がある。なお、比較例1の場合には、配線層13の上面から絶縁層24の上面24Aまでの厚さを25μmに設定することができる。このように、比較例1では、絶縁層22が他の絶縁層21,24よりも3倍以上厚くなる。すると、絶縁層22を貫通して配線層12の上面を露出する貫通孔VH2の底部の径が小さくなり、配線層12と配線層13との接続信頼性が低下するという問題がある。
【0109】
これに対し、本実施形態では、絶縁層22,23に内蔵される配線層12,13の厚さの合計が30μmであるため、例えば配線層13の上面から絶縁層23の上面23Aまでの厚さを25μmに設定すると、配線層12の上面から絶縁層22の上面22Aまでの厚さを50μmに設定することができる。また、絶縁層24の厚さは25μmに設定することができるため、絶縁層23,24の合計の厚さを50μmに設定することができる。このように、本実施形態では、絶縁層22の厚さ、及び絶縁層23,24の合計の厚さを、絶縁層21の厚さの2倍程度の厚さに抑えることができ、絶縁層21〜24の厚さのばらつきを抑制することができる。これにより、貫通孔VH2の底部の径や貫通孔VH3,VH4の底部の径が小さくなることを好適に抑制できる。したがって、配線層12と配線層13との接続信頼性、及び配線層13と配線層14との接続信頼性が低下することを好適に抑制することができる。
【0110】
(8)また、配線基板10Aの絶縁層23の上面23Aに、配線層13と電気的に接続される配線層を更に形成した比較例2の場合には、その配線層を被覆するように絶縁層24を形成する必要がある。このため、絶縁層23の上面23Aに配線層を形成した場合には、配線基板全体が厚くなるという問題がある。これに対し、本実施形態では、絶縁層23の上面23Aに配線層を形成せずに、絶縁層24の上面24Aに、配線層13と電気的に接続される配線層14を形成するようにした。これにより、比較例2に比べて、1層の配線層の分だけ配線基板全体を薄く形成することができる。
【0111】
(第3実施形態)
以下、
図15〜
図17に従って第3実施形態を説明する。この実施形態の配線基板10Bは、チップ搭載面に配線層15が積層された点が上記第1実施形態と異なっている。以下、第1実施形態との相違点を中心に説明する。なお、先の
図1〜
図14に示した部材と同一の部材にはそれぞれ同一の符号を付して示し、それら各要素についての詳細な説明は省略する。
【0112】
図15(a)に示すように、配線基板10Bの配線層15は、絶縁層21の下面21Bから下方に突出するように形成されている。本例の配線層15は、配線層11の下面11B上に積層されている。配線層15は、配線層11の下面11Bに直に積層され、その配線層11と直接接続されている。すなわち、配線層15は、配線層11と平面視で重なる位置に形成されている。
【0113】
図15(a)に示した配線層15は、配線層11と平面視で完全に重なるように形成されているが、配線層15の平面形状はこれに限定されない。例えば
図15(b)に示すように、配線層15は、配線層11よりも平面形状が大きく形成されていてもよい。例えば
図15(c)に示すように、配線層15は、配線層11よりも平面形状が小さく形成されていてもよい。また、例えば、配線層11の形成されていない絶縁層21の下面21B上において、平面方向に引き回すように配線層15を形成してもよい。この場合及び
図15(b)に示した例の場合には、配線層15は、配線層11の下面11B上及び絶縁層21の下面21B上に形成される。
【0114】
図15(a)に示すように、一部の配線層15(第5配線層)は、配線層12と電気的に接続される配線層11に直接接続されている。残りの配線層15(第7配線層)は、チップキャパシタ30の電極端子32と電気的に接続されている。詳述すると、配線層11、絶縁層21及び接着層35には、それら配線層11、絶縁層21及び接着層35を厚さ方向に貫通して電極端子32の下面の一部を露出する貫通孔VH6が形成されている。貫通孔VH6は、例えば、
図15(a)において下側から上側に向かうに連れて径が小さくなるテーパ状に形成されている。すなわち、貫通孔VH6は、チップキャパシタ30側の開口部(上側の開口部)に対して絶縁層21の下面21B側の開口部(下側の開口部)が拡開されたテーパ状に形成されている。そして、上記残りの配線層15は、貫通孔VH6に充填されたビア配線を介して電極端子32と電気的に接続されている。例えば、上記残りの配線層15は、貫通孔VH6に充填されたビア配線と一体に形成されている。このとき、上記残りの配線層15の直上に形成された配線層11は、配線層15と直接接続されるとともに、貫通孔VH6に充填されたビア配線と直接接続されている。なお、上記残りの配線層15と電極端子32との間に配置された配線層11を省略してもよい。この場合には、電極端子32と電気的に接続される配線層15は、絶縁層21の下面21B上に積層される。
【0115】
ソルダレジスト層41には、配線層11の少なくとも一部をパッドP1として露出させるための開口部41Xが形成されている。本例の開口部41Xは、半導体チップ51(
図3参照)が実装される実装領域に対応して形成されている。例えば、開口部41Xは、実装領域に配置された配線層11の下面11Bの一部及び絶縁層21の下面21Bの一部を露出するように形成されている。なお、開口部41Xから露出される配線層11の直下には、配線層15は形成されていない。また、ソルダレジスト層41には、配線層15の一部をパッドP1として露出させるための開口部41Zが形成されている。本例の開口部41Zは、実装領域に配置された配線層15の下面の一部を露出するように形成されている。さらに、ソルダレジスト層41には、配線層15の一部を接続パッドP2として露出させるための開口部41Yが形成されている。
【0116】
次に、配線基板10Bの製造方法について説明する。なお、説明の便宜上、最終的に配線基板10Bの各構成要素となる部分には、最終的な構成要素の符号を付して説明する。
まず、
図4(a)〜
図9(a)に示した工程と同様の工程を実施することにより、
図16(a)に示した構造体を製造する。
【0117】
次に、支持体60及びキャリア層62を除去する。例えば、キャリア層62及び支持体60を金属箔63から機械的に剥離する。これにより、
図16(b)に示すように、金属箔63の下面が外部に露出される。
【0118】
続いて、
図16(c)に示す工程では、金属箔73及び絶縁層24の所定箇所に貫通孔VH4,VH5を形成するとともに、金属箔63、配線層11、絶縁層21及び接着層35を厚さ方向に貫通する貫通孔VH6を形成する。貫通孔VH4〜VH6は、例えば、CO
2レーザやYAGレーザ等によるレーザ加工法によって形成することができる。
【0119】
次いで、
図17(a)に示す工程では、
図5(b)〜
図6(b)に示した工程と同様に、貫通孔VH4,VH5を充填するビア配線を介して、配線層13又は電極端子32と電気的に接続される配線層14を絶縁層24の上面24Aに積層する。また、貫通孔VH6を充填するビア配線を介して電極端子32と電気的に接続される配線層15と、配線層11に直接接続される配線層15とを配線層11の下面11Bに積層する。このとき、
図17(b)に示すように、配線層15は、金属箔63と、金属箔63の下面を被覆するシード層78と、シード層78の下面を被覆する電解銅めっき層79とから構成されている。ここで、シード層78は、金属箔63の下面と、貫通孔VH6の内壁面と、貫通孔VH6から露出する電極端子32の下面とを被覆するように形成されている。電解銅めっき層79は、貫通孔VH6を充填するとともに、シード層78の下面を被覆するように形成されている。シード層78の材料としては、例えば、銅や銅合金を用いることができる。
【0120】
このように、本実施形態の製造方法では、支持基板(ここでは、
図16(a)に示した支持体60及びキャリア層62)を除去した面に、チップキャパシタ30又は配線層11と電気的に接続される配線層15が形成される。
【0121】
次に、
図17(c)に示す工程では、
図10(a)に示した工程と同様に、絶縁層21の下面21Bに、開口部41X,41Y,41Zを有するソルダレジスト層41を積層するとともに、絶縁層24の上面24Aに、開口部42Xを有するソルダレジスト層42を積層する。
【0122】
以上の製造工程により、
図15(a)に示した配線基板10Bを製造することができる。
以上説明した実施形態によれば、第1実施形態の(1)〜(6)の効果に加えて以下の効果を奏することができる。
【0123】
(9)最表層の絶縁層21に埋設した配線層11と、絶縁層21の下面21Bから下方に突出した配線層15とを形成した。ここで、配線層11は、支持体60及びキャリア層62からなる支持基板上に積層された金属箔63の上面63Aに直接積層される配線層である。このため、配線層11は、例えば、レジスト層の形成、金属箔63をめっき給電層に利用する電解めっき、レジスト層の除去というエッチング処理を必要としない工程により形成することができる。したがって、配線層11は、
図5(b)〜
図6(b)に示した工程と同様の工程、つまりシード層等を除去するためのエッチング処理を含む工程により形成される配線層15に比べて微細に形成することができる。これにより、配線層11において、高密度な配線の引き回しを実現することができる。
【0124】
その一方で、支持基板除去面に配線層15を形成したことにより、例えば接続パッドP2として必要な厚さを容易に確保することができる。詳述すると、他の配線基板や他の半導体装置が電気的に接続される接続パッドP2を形成する場合には、その接続パッドP2に接合される外部接続端子(はんだボール等)によるはんだ食われを考慮して、接続パッドP2の厚さを十分に確保する必要がある。このとき、本実施形態では、微細配線である配線層11とは別に配線層15が形成されるため、配線層15(接続パッドP2)において所望の厚さを容易に確保することができる。
【0125】
換言すると、配線層11,15を設けたことにより、配線層15の厚さとは関係なく、微細配線である配線層11を形成することができる。このため、配線層15において所望の厚さを確保しつつも、配線層11により高密度な配線の引き回しが可能となる。したがって、配線層11,15において効率的な配線の引き回しが可能となり、配線基板10A全体の小型化及び薄型化に貢献することができる。
【0126】
(10)貫通孔VH5を充填するビア配線を介してチップキャパシタ30の電極端子32の上面と接続される配線層14と、貫通孔VH6を充填するビア配線を介して電極端子32の下面と接続される配線層15とを形成した。すなわち、コアレス基板の形態を有する配線基板10Bにおいて、チップキャパシタ30の電極端子32の上面及び下面の両側からビア接続するようにした。これにより、配線基板10Bの設計自由度を向上させることができる。
【0127】
(第4実施形態)
以下、
図18に従って第4実施形態を説明する。この実施形態の配線基板10Cは、チップ搭載面に配線層15が積層された点が上記第2実施形態と異なっている。以下、第2実施形態との相違点を中心に説明する。なお、先の
図1〜
図17に示した部材と同一の部材にはそれぞれ同一の符号を付して示し、それら各要素についての詳細な説明は省略する。
【0128】
ここでは、
図18(d)に示す配線基板10Cの製造方法について説明する。
まず、
図12(a)〜
図13(c)に示した工程と同様の工程を実施することにより、
図18(a)に示した構造体を製造する。
【0129】
次に、支持体60及びキャリア層62を除去し、金属箔63の下面を外部に露出する。続いて、
図18(b)に示すように、レーザ加工法により、金属箔76及び絶縁層24に貫通孔VH4,VH5を形成するとともに、絶縁層23に貫通孔VH4と連通する貫通孔VH3を形成する。また、レーザ加工法により、金属箔63、配線層11、絶縁層21及び接着層35の所定箇所に貫通孔VH6を形成する。
【0130】
続いて、
図18(c)に示す工程では、
図17(a)に示した工程と同様に、貫通孔VH3,VH4を充填するビア配線を介して配線層13と電気的に接続される配線層14を絶縁層24の上面24Aに積層する。また、貫通孔VH5を充填するビア配線を介して電極端子32と電気的に接続される配線層14を絶縁層24の上面24Aに積層する。さらに、貫通孔VH6を充填するビア配線を介して電極端子32と電気的に接続される配線層15と、配線層11に直接接続される配線層15とを配線層11の下面11Bに積層する。
【0131】
次いで、
図18(d)に示す工程では、
図10(a)に示した工程と同様に、絶縁層21の下面21Bに、開口部41X,41Y,41Zを有するソルダレジスト層41を積層するとともに、絶縁層24の上面24Aに、開口部42Xを有するソルダレジスト層42を積層する。
【0132】
以上の製造工程により、本実施形態の配線基板10Cを製造することができる。配線基板10Cでは、配線層11の下面11Bに直に積層され、その配線層11と直接接続される配線層15が形成される。そして、配線基板10Cでは、開口部41X,41Zから露出する配線層11,15がパッドP1となり、開口部41Yから露出する配線層15が接続パッドP2となる。
【0133】
以上説明した実施形態によれば、第1〜第3実施形態の(1)〜(10)の効果と同様の効果を奏することができる。
(第5実施形態)
以下、
図19〜
図22に従って第5実施形態を説明する。この実施形態の配線基板10Dは、積層された配線層の層数が上記第2実施形態と異なっている。以下、第2実施形態との相違点を中心に説明する。なお、先の
図1〜
図18に示した部材と同一の部材にはそれぞれ同一の符号を付して示し、それら各要素についての詳細な説明は省略する。
【0134】
図19に示すように、配線基板10Dは、配線層11と、絶縁層21と、絶縁層22と、配線層13と、絶縁層23と、絶縁層24と、配線層14とが順次積層された構造を有している。また、配線基板10Dは、複数の絶縁層21〜24の中に内蔵されたチップキャパシタ30と、ソルダレジスト層41と、ソルダレジスト層42とを有している。
【0135】
絶縁層21の上面21Aには、接着層35が形成されている。但し、絶縁層21の上面21Aには配線層が形成されていない。絶縁層21には、所要の箇所に、当該絶縁層21を厚さ方向に貫通して配線層11の上面11Aの一部を露出する貫通孔VH1が形成されている。
【0136】
絶縁層22は、絶縁層21の上面21A上に積層されている。絶縁層22の上面22Aは、内蔵されるチップキャパシタ30の電極端子32の上面よりも低い位置に設けられている。なお、絶縁層21の上面21Aから絶縁層22の上面22Aまでの厚さは、例えば、30〜60μm程度とすることができる。
【0137】
絶縁層22には、所要の箇所に、当該絶縁層22を厚さ方向に貫通して配線層11の上面11Aの一部を露出する貫通孔VH2が形成されている。貫通孔VH2は、絶縁層21の貫通孔VH1と連通するように形成されている。例えば、貫通孔VH1の内壁面と貫通孔VH2の内壁面とは連続するように形成されている。貫通孔VH1,VH2は、例えば、図中上側から下側に向かうに連れて径が小さくなるテーパ状に形成されている。貫通孔VH1,VH2は、下側の開口端の開口径が上側の開口端の開口径よりも小さくなる略逆円錐台形状に形成されている。
【0138】
配線層13は、絶縁層22の上面22Aに積層されている。配線層13は、貫通孔VH1,VH2に充填されたビア配線を介して配線層11と電気的に接続されている。配線層13は、例えば、貫通孔VH1,VH2に充填されたビア配線と一体に形成されている。
【0139】
絶縁層23は、絶縁層22の上面22Aに、配線層13を被覆するように形成されている。絶縁層23の上面23Aは、内蔵されるチップキャパシタ30の電極端子32の上面と同一平面上、又は電極端子32の上面よりも上方に設けられている。なお、配線層13の上面から絶縁層23の上面23Aまでの厚さは、例えば、15〜45μm程度とすることができる。
【0140】
次に、配線基板10Dの製造方法について説明する。なお、説明の便宜上、最終的に配線基板10Dの各構成要素となる部分には、最終的な構成要素の符号を付して説明する。
まず、
図4(a)及び
図4(b)に示した工程と同様の工程を実施することにより、
図20(a)に示す構造体を製造する。続いて、
図20(b)に示す工程では、
図4(c)及び
図4(d)に示した工程と同様に、金属箔63の上面63Aに、配線層11の表面全面を被覆する絶縁層21と、その絶縁層21の上面21A全面を被覆する金属箔66とを順に積層する。次いで、金属箔66上に、所定パターンのレジスト層80を形成する。レジスト層80は、チップキャパシタ30(
図19参照)の搭載領域に形成され、開口部22X(
図19参照)よりも一回り大きい平面形状に形成される。レジスト層80の材料としては、例えば、次工程のエッチング処理に対して耐エッチング性がある材料を用いることができる。例えば、レジスト層80の材料としては、感光性のドライフィルムレジスト又は液状のフォトレジスト(例えば、ノボラック系樹脂やアクリル系樹脂等のドライフィルムレジストや液状レジスト)等を用いることができる。
【0141】
続いて、レジスト層80をエッチングマスクとして、金属箔66をエッチングにより除去する。これにより、
図20(c)に示すように、チップキャパシタ30(
図19参照)の搭載領域に金属層70が形成される。このとき、絶縁層21の上面21Aには、金属層70のみが形成され、配線層は形成されない。その後、
図20(b)に示したレジスト層80を例えばアルカリ性の剥離液により除去する。
【0142】
次に、
図21(a)に示す工程では、
図4(c)〜
図5(a)に示した工程と同様に、金属層70の表面全面を被覆する絶縁層22を絶縁層21の上面21Aに形成し、絶縁層22に貫通孔VH2を形成するとともに絶縁層21に貫通孔VH1を形成する。続いて、
図5(b)〜
図6(b)に示した工程と同様に、貫通孔VH1,VH2を充填するビア配線を介して配線層11と電気的に接続される配線層13を絶縁層22の上面22Aに積層する。
【0143】
続いて、
図21(b)に示した工程では、
図12(c)に示した工程と同様に、配線層13の表面全面を被覆する絶縁層23を絶縁層22の上面22Aに形成する。次いで、
図12(d)に示した工程と同様に、絶縁層23に開口部23Xを形成するとともに、その開口部23Xと連通する開口部22Xを絶縁層22に形成する。
【0144】
次に、
図7(a)に示した工程と同様に、絶縁層22,23をエッチングマスクとして、金属層70を等方性エッチングにより除去する。これにより、
図21(c)に示すように、開口部22Xの内壁面を構成する絶縁層22の下端部に凹部22Yが形成される。
【0145】
続いて、
図8(b)及び
図8(c)に示した工程と同様に、開口部22X,23Xから露出する絶縁層21の上面21A上に、接着層35を介してチップキャパシタ30を搭載する。
【0146】
次に、
図21(d)に示す工程では、
図4(c)及び
図4(d)に示した工程と同様に、絶縁層23の上面23A全面を被覆し、開口部22X,23X及び凹部22Yを充填する絶縁層24と、その絶縁層24の上面24A全面を被覆する金属箔81とを順に積層する。絶縁層24は、接着層35と接していないチップキャパシタ30の表面全面を被覆するように形成される。
【0147】
続いて、金属箔81をエッチングにより除去する。次いで、
図22(a)に示す工程では、
図13(d)に示した工程と同様に、貫通孔VH3,VH4を充填するビア配線を介して配線層13と電気的に接続される配線層14を絶縁層24の上面24Aに積層する。また、貫通孔VH5を充填するビア配線を介して電極端子32と電気的に接続される配線層14を絶縁層24の上面24Aに積層する。
【0148】
次に、
図9(c)に示した工程と同様に、支持体60及びキャリア付金属箔61(キャリア層62及び金属箔63)を除去する。これにより、
図22(b)に示すように、配線層11の下面11B及び絶縁層21の下面21Bが外部に露出される。
【0149】
続いて、
図22(c)に示す工程では、
図10(a)に示した工程と同様に、絶縁層21の下面21Bに、開口部41X,41Yを有するソルダレジスト層41を積層するとともに、絶縁層24の上面24Aに、開口部42Xを有するソルダレジスト層42を積層する。
【0150】
以上の製造工程により、
図19に示した配線基板10Dを製造することができる。
以上説明した本実施形態によれば、上記第2実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0151】
(第6実施形態)
以下、
図23に従って第6実施形態を説明する。この実施形態の配線基板10Eは、チップ搭載面に配線層15が積層された点が上記第5実施形態と異なっている。以下、第5実施形態との相違点を中心に説明する。なお、先の
図1〜
図22に示した部材と同一の部材にはそれぞれ同一の符号を付して示し、それら各要素についての詳細な説明は省略する。
【0152】
ここでは、
図23(d)に示す配線基板10Eの製造方法について説明する。
まず、
図20(a)〜
図21(d)に示した工程と同様の工程を実施することにより、
図23(a)に示した構造体を製造する。
【0153】
次に、支持体60及びキャリア層62を除去し、金属箔63の下面を外部に露出する。続いて、
図23(b)に示すように、レーザ加工法により、金属箔81及び絶縁層24の所定箇所に貫通孔VH4,VH5を形成するとともに、貫通孔VH4と連通する貫通孔VH3を絶縁層23に形成する。また、レーザ加工法により、金属箔63、配線層11、絶縁層21及び接着層35を厚さ方向に貫通する貫通孔VH6を形成する。
【0154】
続いて、
図23(c)に示す工程では、
図17(a)に示した工程と同様に、貫通孔VH3,VH4を充填するビア配線を介して配線層13と電気的に接続される配線層14を絶縁層24の上面24Aに積層する。また、貫通孔VH5を充填するビア配線を介して電極端子32と電気的に接続される配線層14を絶縁層24の上面24Aに積層する。また、貫通孔VH6を充填するビア配線を介して電極端子32と電気的に接続される配線層15と、配線層11に直接接続される配線層15とを配線層11の下面11Bに積層する。
【0155】
次いで、
図23(d)に示す工程では、
図10(a)に示した工程と同様に、絶縁層21の下面21Bに、開口部41X,41Y,41Zを有するソルダレジスト層41を積層するとともに、絶縁層24の上面24Aに、開口部42Xを有するソルダレジスト層42を積層する。
【0156】
以上の製造工程により、本実施形態の配線基板10Eを製造することができる。配線基板10Eでは、配線層11の下面11Bに直に積層され、その配線層11と直接接続される配線層15が形成される。そして、配線基板10Eでは、開口部41X,41Zから露出する配線層11,15がパッドP1となり、開口部41Yから露出する配線層15が接続パッドP2となる。
【0157】
以上説明した本実施形態によれば、上記第1〜第3実施形態と同様の効果を奏することができる。
(他の実施形態)
なお、上記各実施形態は、これを適宜変更した以下の態様にて実施することもできる。
【0158】
・上記第3、第4及び第6実施形態において、貫通孔VH5及びその貫通孔VH5を充填するビア配線を省略してもよい。
例えば
図24に示すように、上記第3実施形態の配線基板10B(
図15(a)参照)における貫通孔VH5及びその貫通孔VH5を充填するビア配線を省略してもよい。この場合の配線基板10Fでは、外部接続端子面に設けられた配線層14とチップキャパシタ30とを接続するビア配線は形成されずに、チップ搭載面に設けられた配線層15とチップキャパシタ30とを接続するビア配線のみが形成される。すなわち、配線基板10Fでは、チップキャパシタ30の電極端子32の上面と下面のうち下面側のみにビア配線が形成される。
【0159】
なお、上記第4実施形態の配線基板10C及び上記第6実施形態の配線基板10Eについても同様に変更することができる。
・上記各実施形態及び上記変形例の配線基板10,10A〜10Fに内蔵するチップキャパシタ30の数は限定されない。
【0160】
例えば
図25に示すように、複数(ここでは、2つ)のチップキャパシタ30を配線基板10G内に内蔵するようにしてもよい。この配線基板10Gは、
図1(a)に示した配線基板10に内蔵するチップキャパシタ30を2つに変更した配線基板である。この配線基板10Gの絶縁層22には、内蔵されるチップキャパシタ30と同じ数(ここでは、2つ)の開口部22Xが形成されている。
【0161】
例えば
図26に示すように、2つの開口部22Xは互いに独立して形成されている。各開口部22Xは、平面視略矩形状に形成されている。各チップキャパシタ30は、対応する開口部22X内に個別に配置されている。すなわち、各開口部22X内にはチップキャパシタ30が一つずつ配置されている。
図25に示すように、各チップキャパシタ30の電極端子32は、貫通孔VH5を充填するビア配線を介して配線層14と電気的に接続されている。
【0162】
ここでは、配線基板10を変形した例を示したが、配線基板10A〜10Fについても同様に変更することができる。
・
図25及び
図26に示した変形例では、内蔵されるチップキャパシタ30と同じ数の開口部22Xを形成したが、1つの開口部22X(又は、1つの開口部22X,23X)に複数のチップキャパシタ30を配置するようにしてもよい。
【0163】
・上記各実施形態及び上記各変形例では、配線基板10,10A〜10Gに、2つの電極端子32を有するチップキャパシタ30を内蔵するようにした。これに限らず、例えば、3つ以上の電極端子32を有するキャパシタなどの電子部品を配線基板10,10A〜10Gに内蔵するようにしてもよい。
【0164】
・上記各実施形態及び上記各変形例では、配線基板10,10A〜10Gにチップキャパシタ30を内蔵したが、チップ抵抗、インダクタ、半導体装置(LSI)等の電子部品を内蔵するようにしてもよい。また、配線基板10,10A〜10Gに内蔵する電子部品は1種類に限らず、複数種類の電子部品を内蔵するようにしてもよい。
【0165】
・上記各実施形態及び上記各変形例における半導体装置50,50Aの配線基板10,10Gに実装される半導体チップ51の数、その半導体チップ51の実装の形態(例えば、フリップチップ実装、ワイヤボンディングによる実装、又はこれらの組み合わせ)などは様々に変形・変更することが可能である。
【0166】
・上記各実施形態及び上記各変形例における配線基板10A〜10Fに半導体チップ51を実装するようにしてもよい。
・上記第2、第4、第5及び第6実施形態の配線基板10A,10C,10D,10Eでは、キャビティ形成用の絶縁層を2層の絶縁層22,23で構成するようにした。これに限らず、キャビティ形成用の絶縁層を3層以上の絶縁層で構成するようにしてもよい。
【0167】
・上記各実施形態及び上記各変形例の配線基板10,10A〜10Gにおいて、キャビティ充填用の絶縁層24の上面24A上に積層される配線層及び絶縁層の層数は特に限定されない。例えば、絶縁層24の上面24A上に、配線層14と、その配線層14を被覆する絶縁層と、その絶縁層上に積層される配線層とを順に積層するようにしてもよい。
【0168】
・上記各実施形態及び上記各変形例の配線基板10,10A〜10Gにおいて、キャビティ形成用の絶縁層22の下面に積層される配線層及び絶縁層の層数は特に限定されない。例えば、絶縁層21の上面21Aに、複数層の配線層と複数層の絶縁層とを順次積層した後に、キャビティ形成用の絶縁層22を積層するようにしてもよい。換言すると、上記各実施形態及び上記各変形例では、1層の絶縁層21によって「第1絶縁層」を具体化したが、複数層の絶縁層によって「第1絶縁層」を具体化してもよい。
【0169】
・上記各実施形態では、主にビルドアップ工法により支持基板の片側(一方の面)に配線層及び絶縁層を積層し、最後に支持基板を除去してコアレスの配線基板を製造するようにした。これに限らず、例えば支持基板の両側(一方の面及び他方の面)にキャリア付金属箔61を設け、主にビルドアップ工法により支持基板の両側(一方の面及び他方の面)に配線層及び絶縁層を積層し、最後に支持基板を除去して複数のコアレスの配線基板を製造するようにしてもよい。この場合には、支持基板の一方の面及び他方の面の何れにも、例えば
図4〜
図9(b)に示した工程と同様にチップ搭載面側から配線層及び絶縁層を順次積層し、最後に支持基板を除去する。ここでは、第1実施形態の変形例について説明したが、他の第2〜第6実施形態についても同様に変更することができる。
【0170】
・上記第1、第2及び第5実施形態の配線基板10,10A,10Dの製造方法では、支持体60とキャリア付金属箔61(キャリア層62及び金属箔63)とからなる支持基板を使用した。また、上記第3、第4及び第6実施形態の配線基板10B,10C,10Eの製造方法では、支持体60とキャリア層62とからなる支持基板を使用した。これに限らず、例えば、キャリア付金属箔61を省略し、支持体60のみからなる支持基板を使用してもよい。
【0171】
・上記各実施形態の配線基板10,10A〜10Eの製造方法において、金属箔66,71,73,75,76,81を省略してもよい。
・上記各実施形態では、単数個取り(一個取り)の製造方法に具体化したが、多数個取りの製造方法に具体化してもよい。
【0172】
・上記各実施形態及び上記各変形例の配線基板10,10A〜10Gでは、パッドP1が形成されている側の面をチップ搭載面とし、外部接続用パッドP3が形成されている側の面を外部接続端子面とした。これに限らず、例えば、パッドP1が形成されている側の面を外部接続端子面とし、外部接続用パッドP3が形成されている側の面をチップ搭載面としてもよい。
【0173】
・次に、
図27に従って、配線基板10Gの適用例について説明する。ここでは、配線基板10Gに他の半導体パッケージ101を搭載した半導体装置100について説明する。
【0174】
半導体装置100は、配線基板10Gと、配線基板10Gに実装された半導体チップ51と、配線基板10Gに積層接合された半導体パッケージ101とを有している。半導体装置100は、配線基板10Gと半導体パッケージ101の配線基板110との間の空間に形成された封止樹脂102と、外部接続端子103とを有している。
【0175】
次に、半導体パッケージ101の構造の一例について簡単に説明する。
半導体パッケージ101は、配線基板110と、配線基板110に実装された一つ又は複数の半導体チップ120と、半導体チップ120と配線基板110とを電気的に接続するボンディングワイヤ121と、半導体チップ120等を封止する封止樹脂123とを有している。
【0176】
配線基板110は、コア基板111と、コア基板111に設けられた貫通電極112と、コア基板111の下面に形成された最下層の配線層113と、コア基板111の上面に形成された最上層の配線層114と、ソルダレジスト層115,116とを有している。配線層113,114は、貫通電極112を介して相互に電気的に接続されている。
【0177】
ソルダレジスト層115は、配線層113の一部を覆うようにコア基板111の下面に積層されている。ソルダレジスト層115には、配線層113の一部を接続パッドP4として露出させるための開口部115Xが形成されている。この接続パッドP4は、配線基板10Gの接続パッドP2と電気的に接続されるパッドであり、接続パッドP2の各々に対向するように設けられている。
【0178】
ソルダレジスト層116は、配線層114の一部を覆うようにコア基板111の上面に積層されている。ソルダレジスト層116には、配線層114の一部をパッドP5として露出させるための開口部116Xが形成されている。このパッドP5は、半導体チップや受動素子等の電子部品と電気的に接続するための電子部品搭載用のパッドとして機能する。
【0179】
なお、配線基板110は、コア基板111を有する配線基板に限らず、コア基板111を含まないコアレス基板を用いてもよい。
半導体チップ120は、以上説明した配線基板110にワイヤボンディング実装されている。詳述すると、半導体チップ120は、コア基板111の上面に接着層122により接着されている。そして、半導体チップ120の電極(図示略)は、ボンディングワイヤ121を介してパッドP5と電気的に接続されている。なお、半導体チップ120の実装の形態は特に限定されず、例えば半導体チップ120を配線基板110にフリップチップ実装するようにしてもよい。
【0180】
封止樹脂123は、半導体チップ120及びボンディングワイヤ121等を封止するように配線基板110の上面に形成されている。
配線基板10Gの接続パッドP2上には、はんだボール104が接合されている。はんだボール104は、配線基板10Gと半導体パッケージ101との間に介在して設けられ、その一端が接続パッドP2に接合され、他端が接続パッドP4に接合されている。はんだボール104としては、例えば、導電性コアボール(銅コアボールなど)や樹脂コアボールの周囲をはんだで覆った構造を有するはんだボールを用いることができる。なお、はんだボール104としては、導電性コアボールや樹脂コアボールを省略したはんだボールを用いることもできる。
【0181】
このように、配線基板10Gと半導体パッケージ101とがはんだボール104を介して積層接合され、POP(Package on Package)構造の半導体装置100が形成されている。
【0182】
配線基板10Gと配線基板110との間の空間には、封止樹脂102が充填されている。この封止樹脂102によって、配線基板110が配線基板10Gに対して固定されるとともに、配線基板10Gに実装された半導体チップ51が封止される。すなわち、封止樹脂102は、配線基板10Gと配線基板110とを接着する接着剤として機能するとともに、半導体チップ51を保護する保護層として機能する。
【0183】
外部接続端子103は、配線基板10Gの外部接続用パッドP3上に形成されている。この外部接続端子103は、例えば、図示しないマザーボード等の実装基板に設けられたパッドと電気的に接続される接続端子である。外部接続端子103としては、例えば、はんだボールやリードピンを用いることができる。
【0184】
なお、ここでは、配線基板10Gの適用例を説明したが、配線基板10,10A〜10Fについても同様に適用することができる。