【解決手段】半導体装置は、支持基板上の第1の絶縁層102と、第1の絶縁層上の素子形成層103と、第1の絶縁層の側面と素子形成層の側面とに隣接して配置され、上面が平坦な頂面を有すると共に素子形成層に隣接する上面が素子形成層の上面と連続しており、素子形成層103の構成材料よりもエッチング速度が遅い材料で形成された第2の絶縁層107と、第2の絶縁層に近接するように素子形成層103の表面に形成された半導体素子120と、半導体素子と素子形成層103の表面と第2の絶縁層107の平坦な頂面とを被覆する第3の絶縁層128と、第3の絶縁層を貫通して半導体素子の一部を露出させる開口部と、半導体素子に接するように開口部内を埋める導電性部材とを有する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
《第1の実施形態》
図2から
図12までは、本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法のプロセスを概略的に示す断面図である。なお、
図12は、第1の実施形態に係る半導体装置の構造を示す図でもある。
【0011】
以下に、第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明する。先ず、
図2に示されるように、支持基板101と第1の絶縁層であるBOX層102と半導体素子が形成される素子形成層であるSOI層103とを積層させた構造を有するSOI基板100を準備する。次に、SOI層103上にパッド酸化膜104を形成し、パッド酸化膜104上にシリコン窒化膜105を形成する。パッド酸化膜104は、例えば、SOI層103の表面を熱酸化させる等の方法によって形成される。パッド酸化膜104の膜厚は、例えば、15[nm]程度である。シリコン窒化膜105は、例えば、CVD(Chemical Vapor Deposition)法により形成される。シリコン窒化膜105の膜厚は、例えば、200[nm]程度である。
【0012】
次に、
図3に示されるように、ホトリソグラフィー技術を用いて、SOI層103の素子形成領域上であって、シリコン窒化膜105上にレジストマスク106を形成する。
【0013】
次に、
図4に示されるように、エッチング技術を用いて素子形成領域以外のシリコン窒化膜105、パッド酸化膜104、SOI層103、及びBOX層102を除去する。第1の実施形態においては、素子形成層としてのSOI層103及び第1の絶縁層としてのBOX層102が除去された部分を、第1の開口部とも言う。このときのエッチングは、通常は、厚み方向にエッチングが進む異方性エッチングである。その後、ウェットエッチング等の等方性エッチングを行なうことで、
図4に示されるように、BOX層102の端部がSOI層103の素子形成領域の端部よりも内側になるように、BOX層102の側面を少し除去する。言い換えれば、SOI層103の素子形成領域の端部(側面)の位置E1と、BOX層102の端部(側面)の位置E2とが、支持基板1に平行な水平方向について、一致しないようにする。
図4においては、位置E1と位置E2との距離Eを、少なくとも10[nm]以上にすることが望ましい。
【0014】
また、第1の開口部を形成した後に、露出した素子形成層の側面を洗浄する工程を備えることが望ましい。洗浄液としては、フッ酸系の洗浄液のように、酸化膜を除去できる洗浄液を用いる。素子形成層を除去した場合、露出した素子形成層の側面が酸化されてしまう場合があり、この場合、第2の絶縁層を形成した場合であっても、コンタクト形成のためのエッチング時に酸化箇所のエッチングが進んでしまいコンタクト133が支持基板101とショートするおそれが高まるが、素子形成層の側面を洗浄して酸化膜を除去しておくと、このような問題が生じ難くなるからである。
【0015】
次に、
図5に示されるように、レジストマスク106を除去する。
【0016】
次に、
図6に示されるように、支持基板101の上面、BOX層102の側面、SOI層103の素子形成領域の側面、パッド酸化膜104の側面、シリコン窒化膜105の側面及び上面を覆うように、第2の絶縁層としての第1素子分離膜107を形成する。第1素子分離膜107は、例えば、シリコン窒化膜等のようなコンタクトエッチング時(後述の
図11で説明する)におけるエッチングレートが遅い膜であり、CVD法等により形成する。第1素子分離膜107の膜厚は、例えば、200[nm]程度であることが望ましい。なお、第1素子分離膜107がシリコン窒化膜である場合には、SOI層103の界面にシリコン窒化膜が形成されて界面準位が多くなることで、トランジスタの寄生リークが増大する懸念があるため、シリコン窒化膜である第1素子分離膜107の下にシリコン酸化膜を形成してもよい。このシリコン酸化膜は、例えば、熱酸化法あるいはCVD法等で形成することができる。
【0017】
次に、
図6に示されるように、第1素子分離膜107上に、第2素子分離膜108を形成する。第2素子分離膜108は、例えば、シリコン酸化膜をHDP(High Density Plasma)装置等を用いてSTI(Shallow Trench Isolation)の埋め込みのために堆積させることによって形成される。
【0018】
次に、
図7に示されるように、CMP(Chemical Mechanical Polishing)技術を用いて平坦化を行なうことで、素子分離領域のみにシリコン窒化膜である第1素子分離膜107とシリコン酸化膜である第2素子分離膜108とが残る形状を得る。
【0019】
次に、
図8に示されるように、少なくとも一部が第2の絶縁層としての第1素子分離膜107に近接するように、SOI層103の素子形成領域(SOI層103のうちの、
図4の処理によって除去されなかった部分)上に半導体素子120を形成する。半導体素子120は、例えば、MOSトランジスタであり、公知のトランジスタ形成プロセスを用いて形成する。また、半導体素子120は、MOSトランジスタ以外の素子であってもよい。なお、ここで言う「近接」は、層間絶縁膜128において開口する半導体素子120へのコンタクト(
図1におけるコンタクト132,133)の径よりも短い距離である。
【0020】
半導体素子120は、例えば、以下の手順で形成される。先ず、ホトリソグラフィー及びエッチング処理により、
図8に示されるように、SOI層103上にゲート酸化膜121を形成し、ゲート酸化膜121の上にポリシリコン等からなるゲート電極122を形成する。次に、SOI層103に不純物を打ち込み、n型又はp型の不純物拡散領域123,124を形成する。次に、SOI層103上に、半導体素子120の側壁絶縁膜であるLDDサイドウォール125を形成し、金属シリサイド膜126,127を形成する。LDDサイドウォール125は、例えば、シリコン窒化膜である。
【0021】
次に、
図9に示されるように、半導体素子120を覆うように、第3の絶縁層としての層間絶縁膜128を形成する。層間絶縁膜128は、例えば、BPSG(Boron Phosphorus Silicon Glass)等からなる。
【0022】
次に、
図10に示されるように、層間絶縁膜128上にコンタクトを形成するために、ホトリソグラフィー技術を用いて、レジストマスク129を形成する。
図10の例では、レジストマスク129の右側の開口129aに合せズレが発生している場合が示されている。
【0023】
次に、
図11に示されるように、エッチングにより、層間絶縁膜128を貫通して半導体素子の一部を露出させる第2の開口部としてのコンタクトホール131を形成する。なお、
図11には、本来、金属シリサイド膜127上から外れた領域を持たないように形成されるべきであるが、何らかの原因によって、コンタクトホール131がずれて(合わせズレが発生し)、金属シリサイド膜127の外側に及んでいる場合(符号131aで示す部分)を例示している。
【0024】
次に、
図12に示されるように、コンタクトホール131によって露出した半導体素子に接するように第2の開口部内を埋める導電性部材であるコンタクト132,133を形成する。コンタクト132,133は、例えば、タングステン(W)等の金属を、CVD法等によって形成する。
【0025】
図12の破線領域140内に示されるように、コンタクトホール131の外側の端部がSOI層103の素子形成領域の端部よりも外側にずれて形成されるが、BOX層102の外側に形成されたシリコン窒化膜等のエッチングレートが遅い膜107がエッチングストッパとして働いて、コンタクトホール131を支持基板101に到達させない役目を担っている。したがって、第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法によれば、半導体装置の製造に際して、層間絶縁膜128を貫通して半導体素子120の一部を露出させるコンタクトホール131を形成する工程において、SOI基板100を構成する支持基板101とコンタクトホール131内に形成されるコンタクト133とのショートを防止することができ、半導体素子120に所望の特性を持たせることができる。
【0026】
図13(a)及び(b)はそれぞれ、第1の実施形態及び比較例の要部を概略的に示す拡大断面図である。
図13(a)に示されるように、第1の実施形態によれば、SOI層103の端部に接するSTI領域(符号107の領域)にコンタクトエッチングのレートが遅いシリコン窒化膜が形成されているため、コンタクトホール131が素子領域からはみ出して形成された場合であっても、コンタクトエッチングがシリコン窒化膜(符号107)でストップされるので、コンタクトエッチングがシリコン窒化膜(符号107)でストップされるので、コンタクト133の先端133aもBOX層102でストップされ、支持基板101とSOI層103のショートに起因する不良を無くすることが可能である。
【0027】
特に、BOX層102に接するように形成されるシリコン窒化膜(符号107)がSOI層103の端部よりも10[nm]以上食込んだ(内側に後退した)形状とすることで、SOI層103のシリコン表面に酸化膜が形成されていると、その部分のみエッチングが早く進み、
図13(b)のようにシリコンである支持基板101とのコンタクト333の先端とのショートが発生する危険性を低減させることが可能となる。
【0028】
また、シリコン窒化膜の誘電率(約7.5)は、シリコン酸化膜の誘電率(約3.9)に比べて、約2倍であるため、BOX層102の下にSiN層が一様に存在する場合に比べて、寄生容量の増大を抑制することが可能であり、トランジスタの高速動作に悪影響を与える原因を減らすことができる。
【0029】
《第2の実施形態》
図14から
図24までは、本発明の第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法のプロセスを概略的に示す断面図である。なお、
図24は、第2の実施形態に係る半導体装置の構造を示す図でもある。
【0030】
以下に、第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明する。先ず、
図14に示されるように、支持基板201と第1の絶縁層であるBOX層202と半導体素子が形成される素子形成層であるSOI層203とを積層させた構造を有するSOI基板200を準備する。次に、SOI層203上にパッド酸化膜204を形成し、パッド酸化膜204上にシリコン窒化膜205を形成する。パッド酸化膜204は、例えば、SOI層203の表面を熱酸化させる等の方法によって形成される。シリコン窒化膜205は、例えば、CVD法により形成される。パッド酸化膜204の膜厚は、例えば、15[nm]程度である。シリコン窒化膜205の膜厚は、例えば、200[nm]程度である。
【0031】
次に、
図15に示されるように、ホトリソグラフィー技術を用いて、SOI層203の素子形成領域上であって、シリコン窒化膜205上にレジストマスク206を形成する。
【0032】
次に、
図16に示されるように、エッチング技術を用いて素子形成領域以外のシリコン窒化膜205、パッド酸化膜204、及びSOI層203を除去する。第2の実施形態においては、素子形成層としてのSOI層203が除去された部分を、第1の開口部とも言う。このときのエッチング処理には、主に、厚み方向にエッチングが進む異方性エッチングを行う。
【0033】
また、第1の開口部を形成した後に、露出した素子形成層の側面を洗浄する工程を備えることが望ましい。洗浄液としては、フッ酸系の洗浄液のように、酸化膜を除去できる洗浄液を用いる。素子形成層を除去した場合、露出した素子形成層の側面が酸化されてしまう場合があり、この場合、第2の絶縁層を形成した場合であっても、コンタクト形成のためのエッチング時に酸化箇所のエッチングが進んでしまいコンタクト133が支持基板101とショートするおそれが高まるが、素子形成層の側面を洗浄して酸化膜を除去しておくと、このような問題が生じ難くなるからである。
【0034】
次に、
図17に示されるように、レジストマスク206を除去する。
【0035】
次に、
図18に示されるように、BOX層202の上面、SOI層203の素子形成領域の側面、パッド酸化膜204の側面、シリコン窒化膜205の側面及び上面を覆うように、第2の絶縁層としての第1素子分離膜207を形成する。第1素子分離膜207は、例えば、シリコン窒化膜等のようなコンタクトエッチング時(後述の
図23で説明する)におけるエッチングレートが遅い膜であり、CVD法等により形成する。第1素子分離膜207の膜厚は、例えば、200[nm]程度であることが望ましい。なお、第1素子分離膜207がシリコン窒化膜である場合には、SOI層203の界面にシリコン窒化膜が形成されて界面準位が多くなることで、トランジスタの寄生リークが増大する懸念があるため、シリコン窒化膜である第1素子分離膜207の下にシリコン酸化膜を形成してもよい。このシリコン酸化膜は、例えば、熱酸化法あるいはCVD法等で形成することができる。
【0036】
次に、
図18に示されるように、第1素子分離膜207上に、第2素子分離膜208を形成する。第2素子分離膜208は、例えば、シリコン酸化膜をHDP装置等を用いてSTIの埋め込みのために堆積させることによって形成される。
【0037】
次に、
図19に示されるように、CMP技術を用いて平坦化を行なうことで、素子分離領域のみにシリコン窒化膜である第1素子分離膜207とシリコン酸化膜である第2素子分離膜108とが残る形状を得る。
【0038】
次に、
図20に示されるように、少なくとも一部が第2の絶縁層としての第1素子分離膜207に近接するように、SOI層203の素子形成領域上に半導体素子220を形成する。半導体素子220は、例えば、MOSトランジスタであり、公知のトランジスタ形成プロセスを用いて形成する。また、半導体素子220は、例えば、MOSトランジスタ以外の素子であってもよい。なお、ここで言う「近接」は、層間絶縁膜228において開口する半導体素子220へのコンタクト(
図1におけるコンタクト232,233)の径よりも短い距離である。
【0039】
半導体素子220は、例えば、以下の手順で形成される。先ず、ホトリソグラフィー及びエッチング処理により、
図20に示されるように、SOI層203上にゲート酸化膜221を形成し、ゲート酸化膜221の上にポリシリコン等からなるゲート電極222を形成する。次に、SOI層203に不純物を打ち込み、n型又はp型の不純物拡散領域223,224を形成する。次に、SOI層203上に、半導体素子120の側壁絶縁膜であるLDDサイドウォール225を形成し、金属シリサイド膜226,227を形成する。LDDサイドウォール225は、例えば、シリコン窒化膜である。
【0040】
次に、
図21に示されるように、半導体素子220を覆うように、第3の絶縁層としての層間絶縁膜228を形成する。
【0041】
次に、
図22に示されるように、層間絶縁膜228上にコンタクトを形成するために、ホトリソグラフィー技術を用いて、レジストマスク229を形成する。
【0042】
次に、
図23に示されるように、エッチングにより、層間絶縁膜228を貫通して半導体素子の一部を露出させる第2の開口部としてのコンタクトホール231を形成する。なお、
図23には、本来、金属シリサイド膜227上から外れた領域を持たないように形成されるべきであるが、何らかの原因によって、コンタクトホール231がずれて(合わせズレが発生し)、金属シリサイド膜227の外側に及んでいる場合を例示している。
【0043】
次に、
図24に示されるように、コンタクトホール231によって露出した半導体素子に接するように第2の開口部内を埋める導電性部材であるコンタクト232,233を形成する。コンタクトホール231は、例えば、タングステン(W)等の金属を、CVD法等によって形成する。
【0044】
図24の破線領域240内に示されるように、コンタクトホール231の外側の端部がSOI層203の素子形成領域の端部よりも外側にずれて形成されるが、BOX層202上面がエッチングストッパとして働いて、コンタクトホール231を支持基板101に到達させない役目を担っている。したがって、第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法によれば、半導体装置の製造に際して、層間絶縁膜228を貫通して半導体素子220の一部を露出させるコンタクトホール231を形成する工程において、SOI基板200を構成する支持基板201とコンタクトホール231内に形成されるコンタクト233とのショートを防止することができ、半導体素子220に所望の特性を持たせることができる。
【0045】
図25はそれぞれ、第2の実施形態の要部を概略的に示す拡大断面図である。
図25(a)に示されるように、第2の実施形態によれば、SOI層203の端部に接するSTI領域(符号207の領域)にコンタクトエッチングのレートが遅いシリコン窒化膜が形成されており、SOI層203の下層及びシリコン窒化膜(符号207)の下層にBOX層202を備えており、コンタクトエッチングがBOX層202でストップされるので、コンタクト233の先端233aもBOX層202でストップされ、支持基板201とSOI層203のショートに起因する不良を無くすることが可能である。