【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 平成26年11月21日に、2014年広島大学新技術説明会要旨集にて発表 平成26年12月13日に、第11回広島大学「ナノバイオインフォ化学シンポジウム」要旨集にて発表
本発明のキャリアドーピング法は、リチウムイオンを包接したクラウンエーテルとジチオレート金属錯体とがイオン結合することにより形成されたイオン伝導性結晶を、リチウムイオン以外の酸化還元性を有する金属イオンが溶解した溶液に浸漬させることにより、イオン伝導性結晶におけるリチウムイオンを金属イオンと交換し、イオン伝導性結晶にキャリアである電子または正孔をドープすることを特徴とする。
リチウムイオンを包接したクラウンエーテルとジチオレート金属錯体とがイオン結合することにより形成されたイオン伝導性結晶を、前記リチウムイオン以外の酸化還元性を有する金属イオンが溶解した溶液に浸漬させることにより、前記イオン伝導性結晶における前記リチウムイオンを前記金属イオンと交換し、前記イオン伝導性結晶にキャリアである電子または正孔をドープすることを特徴とするキャリアドーピング方法。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明のキャリアドーピング法(カチオン交換法)は、リチウムイオンを包接したクラウンエーテルとジチオレート金属錯体とがイオン結合することにより形成されたイオン伝導性結晶を、リチウムイオン以外であって、リチウムイオン以外の酸化還元性を有する金属イオン(以下、単に「金属イオン」という。)が溶解した溶液に浸漬させることにより、イオン伝導性結晶におけるリチウムイオンを金属イオンと交換し、イオン伝導性結晶にキャリア(電子または正孔)をドープする方法である。
【0012】
そして、このような方法により、元々、リチウムイオンが存在していたサイトに、別の金属イオンを挿入する(即ち、イオン交換を行う)ことが可能になるため、イオン伝導性結晶に大きな構造変化を生じることなく、キャリアのドープを行うことが可能になる。
【0013】
即ち、本発明のキャリアドーピング法を使用することにより、キャリアドープ前のイオン伝導性結晶の結晶構造を維持した状態で、キャリアをドープすることができるため、結晶構造の変化を生じることなく、安価かつ簡単な方法により、キャリアドープ後のイオン伝導性結晶(即ち、キャリアドープ後の導電体)における伝導性を向上させることが可能になる。
【0014】
本発明のイオン伝導性結晶は、リチウムイオンを包接したクラウンエーテル(18−クラウン−6)とジチオレートニッケル錯体(Ni(dmit)
2)とが電気的に引き合った構造を有するものである。
【0015】
より具体的には、本発明で使用されるイオン伝導性結晶は、全体として1価のカチオンであるリチウムイオンを包接したクラウンエーテル(Li
+(18−クラウン−6))と、1価のアニオンであるジチオレートニッケル錯体(Ni(dmit)
2)とがクーロン力によって電気的に引き合い、結びつけられることにより(即ち、イオン結合することにより)形成されている。
【0017】
図1に式(1)で表されるイオン伝導性結晶の構造図を示す。
図1に示すように、イオン伝導性結晶1は、2つのリチウムイオン2に対し、3つのクラウンエーテル3と、2つのジチオレートニッケル錯体4と、4つの水分子5により構成され、以下の化学式により表される。
【0019】
(式中、dmitは1,3−ジチオール−2−チオン−4,5−ジチオレートを示す。)
そして、
図1に示すように、3つのクラウンエーテル3を1つのユニットとし、これが一次元的に積層することにより、結晶内にイオンチャネル9が形成されており、クラウンエーテル3に包接されたリチウムイオン2が、クラウンエーテル3からなるイオンチャネル9内を移動することができる。従って、上記式(2)で表される結晶は、イオン伝導性を有することになる。
【0020】
ここで、ジチオレートニッケル錯体(Ni(dmit)
2)は、バンド構造を有しており、様々な価数を取り得ることが知られている。そのうち、−1価では、磁性体としての性質を示し、分子磁性体の分野では有用なビルディングブロックとして用いられている。一方、0価から−1価の間、及び−1価から−2価の間では、伝導体としての性質を示すことが知られており、いくつかの超伝導体も報告されている。また、ジチオレートニッケル錯体(Ni(dmit)
2)は、上記式(2)で表される結晶内において、ダイマーを形成しており、このダイマーが1次元に配列することにより、スピンラダー構造を有している。
【0021】
次に、本実施形態におけるイオン伝導性結晶の製造方法の概略を以下の反応スキーム1に示す。
【0023】
<反応スキーム1>
式(2)で表される、全体として1価のカチオンであるリチウムイオンを包接したクラウンエーテル(Li
+(18−クラウン−6))と1価のアニオンであるジチオレートニッケル錯体とからなるイオン伝導性結晶を得るには、まず、式(3)の18−クラウン−6と過塩素酸リチウム(LiClO
4)とをアセトニトリルに溶解した溶液を準備する。
【0024】
また、TBA・Ni(dmit)
2(ビス(1,3-ジチオール−2−チオン−4,5−ジチオレート)ニッケル(III)酸テトラブチルアンモニウム)を合成し、このTBA・Ni(dmit)
2をアセトニトリルに溶解して、ジチオレートニッケル錯体を含有する溶液を準備する。なお、TBA・Ni(dmit)
2は、公知の方法(例えば、Steinmecke, G.; Sieler, H. J.; Krimes, R.; Hoyer, E. Phosphorus Sulfur 1979, 7, 49を参照)により合成することができる。
【0025】
次いで、過塩素酸リチウムとクラウンエーテル(18−クラウン−6)が溶解したアセトニトリル溶液(以下、「溶液A」という。)をサンプル管に流し込み、ジチオレートニッケル錯体が溶解したアセトニトリル溶液(以下、「溶液B」という。)を、溶液Aと溶液Bとが急激に混合しないように、サンプル管に流し込む。
【0026】
次いで、サンプル管に蓋をせず、室温で3〜4日、暗所にて静置することにより、上述の式(1)に示すように、式(4)に示すリチウムイオンを包接したリチウム−クラウンエーテル(Li
+(18−クラウン−6))とジチオレートニッケル錯体とが電気的引き合い、式(2)で表されるイオン伝導性結晶を得ることができる。
【0027】
また、本発明で使用されるイオン伝導性結晶は、リチウムイオンと交換される他の金属イオンに対応させて、選択することができる。
【0028】
より具体的には、イオン伝導性結晶に含まれるクラウンエーテルに対して、交換される他の金属イオンの結合定数が、リチウムイオンの結合定数よりも大きい場合に、この金属イオンを使用することができる(なお、クラウンエーテルと金属イオンの結合定数については、R. M. Izatt, J. S. Bradshaw, S. A. Nielsen, J. D. Lamb, and J. J. Christensen, Chem. Rev., 85, 271-339 (1985)、R. M. Izatt, K. Pawlak, and J. S. Bradshaw, Chem. Rev., 91, 1721-2085 (1991)、R. A. Samant, V. S. Ijeri, and A. K. Srivastava, J. Chem. Eng. Data, 48, 203-207 (2003)を参照)。
【0029】
例えば、交換される金属イオンがカリウムイオン(Cu2
+)の場合、クラウンエーテル(18−クラウン−6)に対するカリウムイオンの結合定数は4.17であり、これは(18−クラウン−6)に対するリチウムイオンの結合定数2.69よりも大きいため、クラウンエーテル(18−クラウン−6)を有するイオン伝導性結晶をイオン交換体として使用することができる。
【0030】
また、例えば、交換される金属イオンがユウロピウムイオン(Eu
3+)の場合、クラウンエーテル(15−クラウン−5)に対するユウロピウムイオンの結合定数は5.6であり、これは(15−クラウン−5)に対するリチウムイオンの結合定数4.26よりも大きいため、クラウンエーテル(15−クラウン−5)を有するイオン伝導性結晶をイオン交換体として使用することができる。
【0031】
即ち、リチウムイオンを包接し、全体として1価のカチオンであるリチウムイオン−クラウンエーテル(Li
+(15−クラウン−5))を有するイオン電導性結晶が使用される。
【0032】
この場合、イオン伝導性結晶の製造方法は、上述の18−クラウン−6を使用する場合と同様であり、上述の18−クラウン−6を15−クラウン−5に置き換えて製造することにより、下記式(5)で表されるイオン伝導性結晶を得ることができる。
【0034】
ここで、クラウンエーテルに対する金属イオンの結合定数は、クラウンエーテルのサイズに依存するため、交換される金属イオンに対応させて、結合定数の大きなクラウンエーテルのサイズを選択することにより、キャリアドープ後の金属錯体の伝導性を向上させることが可能になる。
【0035】
なお、交換対象となる金属イオンとしては、特に限定されず、上述の銅イオンやユウロピウムイオンの他、例えば、銀イオン、鉄イオン、コバルトイオン、クロムイオン、及びランタノイド系の金属イオン等を挙げることができる。
【0036】
次に、本発明の実施形態に係るキャリアドーピング法について説明する。
【0037】
本発明のキャリアドーピング法は、リチウムイオンを包接したクラウンエーテルとジチオレート金属錯体とがイオン結合することにより形成されたイオン伝導性結晶を、金属イオンが溶解した溶液に浸漬させることにより、イオン伝導性結晶におけるリチウムイオンを金属イオンと交換し、結晶内において金属イオンの価数が変化することにより、イオン伝導性結晶にキャリア(電子または正孔)をドープする方法である。
【0038】
そして、本発明においては、金属イオンの価数が変化する際のエネルギー(酸化電位)が、(Ni(dmit)
2)
−の価数が変化するエネルギー(還元電位)と同等程度かそれ以上の場合にキャリアがドープされる。
【0039】
より具体的には、(Ni(dmit)
2)結晶のLi
+と金属イオン(M
n+)が交換された後、M
n+→M
(n−1)+になるエネルギー(還元電位)が、(Ni(dmit)
2)
−→(Ni(dmit)
2)
0になるエネルギー(酸化電位)と同程度かそれ以上になった場合に、(Ni(dmit)
2)相にキャリアが導入(この場合は、正孔がドープ)される。
【0040】
また、本発明においては、金属イオンの価数が変化する際のエネルギー(還元電位)が、(Ni(dmit)
2)
−の価数が変化するエネルギー(酸化電位)と同等程度かそれ以上の場合にキャリアがドープされる。
【0041】
より具体的には、(Ni(dmit)
2)結晶のLi
+と金属イオン(M
n+)が交換された後、M
n+→M
(n+1)+になるエネルギー(酸化電位)が、(Ni(dmit)
2)
−→(Ni(dmit)
2)
2-になるエネルギー(還元電位)と同程度かそれ以上になった場合に、(Ni(dmit)
2)相にキャリアが導入(この場合は、電子がドープ)される。
【0042】
ここで、金属イオンのイオン交換を確実に行うとの観点から、溶液中の金属イオンの濃度は、0.01〜1Mが好ましい。
【0043】
また、同様に、金属イオンのイオン交換を確実に行うとの観点から、溶液の温度は、20〜40℃が好ましく、反応時間(即ち、イオン伝導性結晶を金属イオンが溶解した溶液に浸漬させる時間)は、2時間以上が好ましい。
【0044】
なお、上記実施形態は以下のように変更しても良い。
【0045】
上記実施形態においては、ジチオレート金属錯体としてジチオレートニッケル錯体(Ni(dmit)
2)を使用したが、ジチオレート金属錯体はこれに限定されず、電荷を中性に保つためのアニオンであってもよい。例えば、ジチオレートパラジウム錯体(Pd(dmit)
2)やジチオレート白金錯体(Pt(dmit)
2)、ジチオレート金錯体(Au(dmit)
2)を使用する構成としてもよい。
【実施例】
【0046】
以下に、本発明を実施例に基づいて説明する。なお、本発明は、これらの実施例に限定されるものではなく、これらの実施例を本発明の趣旨に基づいて変形、変更することが可能であり、それらを本発明の範囲から除外するものではない。
【0047】
(イオン伝導性結晶の合成)
式(3)の18−クラウン−6(東京化成工業(株)製、商品名18-crown-6-Ether)130mgと過塩素酸リチウム(無水)(関東化学(株)製、商品名Lithium perchlorate,anhydrous)10mgとをアセトニトリル(ナカライテスク(株)製)5mlに溶解し、溶液Aを得た。
【0048】
また、公知の方法により、TBA・Ni(dmit)
2を合成し、次いで、このTBA・Ni(dmit)
27mgをアセトニトリル(ナカライテスク(株)製)5mlに溶解して、ジチオレートニッケル錯体を含有する溶液Bを得た。
【0049】
次いで、5mlの溶液Aを10mlのサンプル管に流し込んだ後、5mlの溶液Bを、溶液Aと溶液Bとが急激に混合しないように(溶液Aの界面を乱さないように)、サンプル管にゆっくりと流し込んだ。
【0050】
次いで、溶液Aと溶液Bが流し込まれたサンプル管に蓋をせず、室温で3〜4日、暗所にて静置した。そうすると、サンプル管の底に濃緑色の板状結晶が沈殿し、式(2)で表されるイオン伝導性結晶を得た。
【0051】
(キャリアドーピング)
次いで、得られたイオン伝導性結晶を、1Mの塩化銅二水和物水溶液(和光純薬工業(株)製、液温:30℃)に、24時間、浸漬させ、イオン伝導性結晶におけるリチウムイオンを2価の銅イオン(Cu
2+)と交換した。
【0052】
また、同様に、得られたイオン伝導性結晶を、1Mの塩化カリウム水溶液(ナカライテスク(株)製、液温:30℃)に、24時間、浸漬させ、イオン伝導性結晶におけるリチウムイオンをカリウムイオンと交換した。
【0053】
(IRスペクトル測定)
次いで、イオン交換を行う前のイオン伝導性結晶と、イオン交換後のイオン伝導性結晶のIRスペクトルの測定を行った。以上の結果を、
図2に示す。
【0054】
なお、IRスペクトルの測定は、赤外分光計(日本分光(株)製、商品名:FT−IR 660plus)を使用し、KBr錠剤(30mg程度)と測定する試料を20回程度すりつぶして、加圧することにより、KBrディスクを作製し、これを測定することにより行った。
【0055】
図2に示すように、銅イオン(Cu
2+)と交換したイオン伝導性結晶のスペクトルにのみ、約2000cm
−1〜約6000cm
−1の領域にCT(Charge Transfer:電荷移動遷移)バンドと考えられるブロードなピークが観測された。
【0056】
(UVスペクトル測定)
次いで、イオン交換を行う前のイオン伝導性結晶と、銅イオンと交換後のイオン伝導性結晶のUVスペクトル(紫外線吸収スペクトル)の測定を行った。以上の結果を、
図3に示す。
【0057】
なお、UVスペクトルの測定は、紫外分光光度計(日立(株)製、商品名:U−3310分光光度計)を使用し、各試料をKBrで希釈してペレット(厚さ:0.5mm)を成型することにより行った。
【0058】
図3に示すように、銅イオン(Cu
2+)と交換したイオン伝導性結晶のスペクトルにのみ、約600〜700nmの領域にCT(Charge Transfer:電荷移動遷移)バンドと考えられるブロードなピークが観測された。
【0059】
また、ペレットの色が濃緑色(イオン交換前)から黒色(イオン交換後)に変化したことから、2価の銅イオン(Cu
2+)への交換により、電子状態が変化したことが判る。
【0060】
即ち、上述の
図2、
図3に示すスペクトル、及びペレットの色が変化したことから、2価の銅イオン(Cu
2+)への交換により、CTバンドがUV領域からIR領域へとシフトしたものと考えられる。
【0061】
(電気抵抗率測定)
上述のごとく、CTバンドがUV領域からIR領域へとシフトしたものと考えられ、また、紫外光が有するエネルギーの方が、赤外光が有するエネルギーより大きいことを考慮すると、イオン交換により、電荷移動遷移に必要なエネルギーが小さくなったものと考えられる。そこで、イオン交換前後の試料について、電気抵抗率(比抵抗)の測定を行い、物性を評価した。
【0062】
より具体的には、イオン交換を行う前のイオン伝導性結晶の粉末試料を圧縮してペレットを成型し、抵抗率計 (Keithley Instruments製、商品名:6517A 高抵抗メータ)を使用した2端子法により電気抵抗率を測定した。また、銅イオンと交換後の粉末試料については、粉末試料を圧縮してペレットを成型し、抵抗率計(advantest製、商品名:R6581T デジタルマルチメータ)及び電圧電流発生器(advantest製、商品名:R6161 ソースメータ)を使用した4端子法により電気抵抗率を測定した。また、全ての測定のプローブには、シルベスト(徳力化学研究所製、金ペースト)を用いた。以上の結果を、
図4に示す。
【0063】
図4に示すように、300Kにおける、イオン交換を行う前の試料の電気抵抗率は281MΩ・cmであるのに対し、銅イオンと交換後の試料の電気抵抗率は396Ω・cmであり、イオン交換により、比抵抗が6桁減少していることが確認された。
【0064】
また、アレニウスプロットにより、イオン交換前の試料の活性化エネルギーは0.473eV、イオン交換後の試料の活性化エネルギーは0.115eVであることが判明した。
【0065】
なお、「アレニウスプロット」とは、横軸に温度Tの逆数、縦軸に比抵抗ρの自然対数値をとったプロットである。このプロットについて、線形関数でフィッティングを行い、活性化エネルギーの値を見積もった。交換前のイオン伝導性結晶では、300〜210K、銅イオンへの交換を行った試料では、300〜120Kの範囲で、それぞれフィッティングを行った。なお、今回、算出した活性化エネルギーは、傾きとボルツマン定数との積を電子ボルト単位に変換したものである。イオン交換前の試料のアレニウスプロットを
図5に示すとともに、銅イオンへのイオン交換後の試料のアレニウスプロットを
図6に示す。
【0066】
以上より、イオン伝導性結晶におけるリチウムイオンを2価の銅イオン(Cu
2+)へ交換することにより、キャリアドーピングが行われ、電気伝導性が向上したことが判る。
【0067】
(EPMA測定)
次いで、イオン交換後のイオン伝導性結晶のEPMA(Electron Probe Micro Analyzer)測定を行った。より具体的には、イオン交換後の試料を割り、その断面に対して電子線を照射して、発生する特性X線のスペクトルを取得し、そのスペクトルを解析することにより、試料の構成元素(即ち、ニッケルを基準としたニッケル、硫黄、及び銅の原子比)を分析した。
【0068】
なお、EPMA測定装置(日本電子(株)製、商品名:JXA−8200)を使用して、
図7に示す試料の断面部分1〜4の各々に対してEPMA測定を行った。また、加速電圧を15kV、照射電流量を10nAに設定し、10μmのビーム径を有する電子線を、20秒間、照射した。以上の結果を表1に示す。
【0069】
【表1】
【0070】
表1に示すように、断面部分1〜4のいずれの部分においても、銅が検出された。このことから、イオン交換により、リチウムイオンが銅イオンへ交換されたことが判る。