特開2016-211063(P2016-211063A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特開2016-211063スパッタ方法、および、スパッタ装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-211063(P2016-211063A)
(43)【公開日】2016年12月15日
(54)【発明の名称】スパッタ方法、および、スパッタ装置
(51)【国際特許分類】
   C23C 14/34 20060101AFI20161118BHJP
【FI】
   C23C14/34 S
   C23C14/34 U
   C23C14/34 V
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-97986(P2015-97986)
(22)【出願日】2015年5月13日
(71)【出願人】
【識別番号】000231464
【氏名又は名称】株式会社アルバック
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 俊介
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 亮由
(72)【発明者】
【氏名】神保 武人
【テーマコード(参考)】
4K029
【Fターム(参考)】
4K029AA09
4K029AA11
4K029AA24
4K029AA25
4K029BA02
4K029BA03
4K029BA08
4K029BA09
4K029BA11
4K029BA12
4K029BA16
4K029BA17
4K029BA35
4K029BA43
4K029BA46
4K029BB04
4K029CA05
4K029DA03
4K029DC16
4K029DC34
4K029DC35
4K029DC39
4K029EA01
4K029EA09
4K029KA01
(57)【要約】
【課題】第1ターゲットと第2ターゲットとが高周波電圧の印加によって同時にスパッタされる際に、ターゲット間において成膜の結果にばらつきが生じることを抑えることを可能にしたスパッタ方法、および、スパッタ装置を提供する。
【解決手段】第1ターゲットに印加される高周波電圧の位相である第1位相と、第2ターゲットに印加される高周波電圧の位相である第2位相との差が位相差である。互いに異なる複数の位相差の各々において第1ターゲットと第2ターゲットとを同時にスパッタするとともに、各位相差における第1ターゲットの第1特性値と、各位相差における第2ターゲットの第2特性値とを結果として取得する取得工程と、第1特性値と第2特性値とがほぼ一致するときの位相差が設定値であり、結果から得られる設定値を成膜用の位相差として設定した後に、基板Sに対し成膜を行う成膜工程とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ターゲットに印加される高周波電圧の位相が第1位相であり、
第2ターゲットに印加される高周波電圧の位相が第2位相であり、
前記第1ターゲットと前記第2ターゲットとが1つの真空槽内で同時にスパッタされるときの前記第1位相と前記第2位相との差が位相差であり、
前記第1ターゲットに関わる特性値であって、前記第1ターゲットからのスパッタ粒子の放出量を反映する値が第1特性値であり、
前記第2ターゲットに関わる特性値であって、前記第2ターゲットからのスパッタ粒子の放出量を反映する値が第2特性値であり、
互いに異なる複数の位相差の各々において前記第1ターゲットと前記第2ターゲットとを同時にスパッタするとともに、各位相差における前記第1特性値と、各位相差における前記第2特性値とを結果として取得する取得工程と、
前記第1特性値と前記第2特性値とがほぼ一致するときの前記位相差が設定値であり、前記結果から得られる前記設定値を成膜用の前記位相差として設定した後に、基板に対し前記成膜を行う成膜工程と、を備える
スパッタ方法。
【請求項2】
前記取得工程では、前記基板に膜を形成し、
前記膜のうち、前記第1ターゲットと対向する部分の厚さを前記第1特性値として取得し、前記第2ターゲットと対向する部分の厚さを前記第2特性値として取得する
請求項1に記載のスパッタ方法。
【請求項3】
前記取得工程では、前記第1ターゲットに印加される直流バイアス電圧を前記第1特性値として取得し、前記第2ターゲットに印加される直流バイアス電圧を前記第2特性値として取得する
請求項1に記載のスパッタ方法。
【請求項4】
真空槽と、
前記真空槽に搭載された第1ターゲットと、
前記真空槽に搭載された第2ターゲットと、
前記第1ターゲットに第1位相で高周波電圧を印加するとともに、前記第2ターゲットに第2位相で高周波電圧を印加する電源と、
前記第1位相と前記第2位相との差である位相差であって、前記第1ターゲットと前記第2ターゲットとが前記真空槽内で同時にスパッタされるときの前記位相差を変更する位相差変更部と、
前記第1ターゲットに関わる特性値であって、前記第1ターゲットからのスパッタ粒子の放出量を反映する第1特性値と、前記第2ターゲットに関わる特性値であって、前記第2ターゲットからのスパッタ粒子の放出量を反映する第2特性値とを、互いに異なる複数の位相差の各々において取得する取得部と、
前記第1特性値と前記第2特性値とがほぼ一致するときの前記位相差が設定値であり、前記取得部の取得した結果から得られた前記設定値を成膜用の前記位相差として設定する設定部と、を備える
スパッタ装置。
【請求項5】
前記取得部は、前記第1ターゲットに印加される直流バイアス電圧を前記第1特性値として取得し、前記第2ターゲットに印加される直流バイアス電圧を前記第2特性値として取得する
請求項4に記載のスパッタ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1ターゲットと第2ターゲットとを高周波電圧の印加によって同時にスパッタするスパッタ方法、および、スパッタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のスパッタ装置としては、例えば特許文献1に記載の装置が知られている。この装置は、スパッタ室内の基板の移動経路を挟んで互いに対向する位置に一対のターゲットを備えている。そして、各ターゲットに対し直流電圧が印加されることによって、スパッタ室内を移動する基板の両面に成膜が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−83404号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述した各ターゲットに高周波電圧が印加される構成では、各ターゲットに印加された高周波電圧が互いに干渉し、それによって、各ターゲットの近傍における放電状態の間に差が生じる。結果として、スパッタリング速度やスパッタされた粒子の密度がターゲットごとに異なる等のように、ターゲットごとの成膜の結果にばらつきが生じてしまう。なお、ターゲットごとの成膜の結果にばらつきが生じることは、例えば、各ターゲットの消費量にも差を生じさせる。そして、あるターゲットが交換時期に達したとしても他のターゲットは未だに使用可能な状態であるため、全てのターゲットが一律のタイミングで交換されるとなれば、使用可能な状態にあるターゲットまでが無駄に廃棄される。
【0005】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、第1ターゲットと第2ターゲットとが高周波電圧の印加によって同時にスパッタされる際に、ターゲット間において成膜の結果にばらつきが生じることを抑えることを可能にしたスパッタ方法、および、スパッタ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するためのスパッタ方法において、第1ターゲットに印加される高周波電圧の位相が第1位相であり、第2ターゲットに印加される高周波電圧の位相が第2位相であり、前記第1ターゲットと前記第2ターゲットとが1つの真空槽内で同時にスパッタされるときの前記第1位相と前記第2位相との差が位相差であり、前記第1ターゲットに関わる特性値であって、前記第1ターゲットからのスパッタ粒子の放出量を反映する値が第1特性値であり、前記第2ターゲットに関わる特性値であって、前記第2ターゲットからのスパッタ粒子の放出量を反映する値が第2特性値である。そして、このスパッタ方法は、互いに異なる複数の位相差の各々において前記第1ターゲットと前記第2ターゲットとを同時にスパッタするとともに、各位相差における前記第1特性値と、各位相差における前記第2特性値とを結果として取得する取得工程と、前記第1特性値と前記第2特性値とがほぼ一致するときの前記位相差が設定値であり、前記結果から得られる前記設定値を成膜用の前記位相差として設定した後に、基板に対し前記成膜を行う成膜工程と、を備える。
【0007】
また、上記課題を解決するためのスパッタ装置は、真空槽と、前記真空槽に搭載された第1ターゲットと、前記真空槽に搭載された第2ターゲットと、前記第1ターゲットに第1位相で高周波電圧を印加するとともに、前記第2ターゲットに第2位相で高周波電圧を印加する電源とを備える。また、このスパッタ装置は、前記第1位相と前記第2位相との差である位相差であって、前記第1ターゲットと前記第2ターゲットとが前記真空槽内で同時にスパッタされるときの前記位相差を変更する位相差変更部と、前記第1ターゲットに関わる特性値であって、前記第1ターゲットからのスパッタ粒子の放出量を反映する第1特性値と、前記第2ターゲットに関わる特性値であって、前記第2ターゲットからのスパッタ粒子の放出量を反映する第2特性値とを、互いに異なる複数の位相差の各々において取得する取得部とを備える。そして、前記第1特性値と前記第2特性値とがほぼ一致するときの前記位相差が設定値であり、このスパッタ装置は、前記取得部の取得した結果から得られた前記設定値を成膜用の前記位相差として設定する設定部をさらに備える。
【0008】
上記構成または方法によれば、第1特性値と第2特性値とがほぼ一致するときの位相差、すなわち、2つのターゲット間におけるスパッタ粒子の放出量のばらつきが最も小さくなるときの位相差が成膜時に設定される。そのため、第1ターゲットと第2ターゲットとが高周波電圧の印加によって同時にスパッタされる際には、ターゲット間において成膜の結果にばらつきが生じることが抑えられる。
【0009】
上記スパッタ方法において、前記取得工程では、前記基板に膜を形成し、前記膜のうち、前記第1ターゲットと対向する部分の厚さを前記第1特性値として取得し、前記第2ターゲットと対向する部分の厚さを前記第2特性値として取得してもよい。
【0010】
上記方法によれば、第1ターゲットと対向する部分の膜厚と、第2ターゲットと対向する部分の膜厚とがほぼ一致したときの位相差が成膜時に設定される。そのため、第1ターゲットと第2ターゲットとが高周波電圧の印加によって同時にスパッタされる際には、ターゲット間において成膜量のばらつきが生じること、ひいては、ターゲット間において成膜の結果のばらつきが生じることが抑えられる。
【0011】
上記スパッタ方法において、前記取得工程では、前記第1ターゲットに印加される直流バイアス電圧を前記第1特性値として取得し、前記第2ターゲットに印加される直流バイアス電圧を前記第2特性値として取得してもよい。
【0012】
上記スパッタ装置において、前記取得部は、前記第1ターゲットに印加される直流バイアス電圧を前記第1特性値として取得し、前記第2ターゲットに印加される直流バイアス電圧を前記第2特性値として取得してもよい。
【0013】
上記構成または方法によれば、第1ターゲットに印加される直流バイアス電圧と、第2ターゲットに印加される直流バイアス電圧とがほぼ一致したときの位相差が成膜時に設定される。そのため、第1ターゲットと第2ターゲットとが高周波電圧の印加によって同時にスパッタされる際には、ターゲット間において放電状態にばらつきが生じること、ひいては、ターゲット間において成膜の結果にばらつきが生じることが抑えられる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】スパッタ装置の一実施の形態の概略構成を示すブロック図である。
図2】スパッタ装置の電気的構成を示すブロック図である。
図3】第1のターゲット装置、および、第2のターゲット装置の各々に印加する高周波電圧の位相差を変化させたときの各ターゲットに印加される直流バイアス電圧(Vdc)の推移、および、基板に形成された絶縁膜の膜厚の推移を示すグラフである。
図4】第1のターゲット装置、および、第3のターゲット装置の各々に印加する高周波電圧の位相差を変化させたときの各ターゲットに印加される直流バイアス電圧(Vdc)の推移、および、基板に形成された絶縁膜の膜厚の推移を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、スパッタ装置の一実施の形態について図面を参照して説明する。
図1が示すように、本実施の形態のスパッタ装置は、例えばガラス基板等の基板に成膜処理を行うための装置であり、成膜前の基板を外部から搬入したり、成膜後の基板を外部に搬出したりするときに用いられる搬出入室11を備えている。スパッタ装置は、搬出入室11を通じて搬入された基板に対して成膜処理を行うときに用いられるスパッタ室12を備えている。搬出入室11とスパッタ室12との間には、これらの間を連通、および、遮断するゲートバルブ13が取り付けられている。
【0016】
スパッタ室12は、箱状をなす真空槽14を有し、真空槽14には4つのターゲット装置15A,15B,15C,15Dが収容されている。各ターゲット装置15A〜15Dは、ターゲットとバッキングプレートとを1つずつ備えている。すなわち、各ターゲット装置15A〜15Dは、真空槽14の内部に向けられたスパッタ面SA,SB,SC,SDを有するターゲット16A,16B,16C,16Dを備えている。また、各ターゲット装置15A〜15Dは、ターゲット16A,16B,16C,16Dにおけるスパッタ面SA,SB,SC,SDとは反対側の面に取り付けられたバッキングプレート17A,17B,17C,17Dを有している。各ターゲット16A〜16Dの主成分は、例えば、リン酸リチウム(Li3PO4)である。
【0017】
各バッキングプレート17A〜17Dには、電源を構成する高周波電源が1つずつ接続されている。すなわち、各バッキングプレート17A〜17Dには、ターゲット装置15A〜15Dごとに設けられた高周波電源18A,18B,18C,18Dが接続され、各高周波電源18A〜18Dからそれに接続されたバッキングプレートに高周波電圧が印加される。なお、各バッキングプレート17A〜17Dにおけるターゲット16A〜16Dの取付面とは反対側の面には、磁気回路が1つずつ設けられている。すなわち、各バッキングプレート17A〜17Dに対し、ターゲット16A〜16Dのスパッタ面SA,SB,SC,SDに磁場を形成する磁気回路19A,19B,19C,19Dが設けられている。
【0018】
スパッタ室12には、真空槽14の内部を所定の圧力に減圧する排気部20と、真空槽14の内部にスパッタガスである窒素ガスを供給するスパッタガス供給部21とが接続されている。スパッタガス供給部21は、真空槽14内に供給する窒素ガスの流量を制御するマスフローコントローラーであり、窒素ガスが溜められたボンベ(図示略)に接続されている。
【0019】
スパッタ室12には、成膜の対象となる基板SをトレイTとともに搬送する成膜レーン22、および、回収レーン23が設けられている。成膜レーン22は、例えば、連結方向に沿って設けられたレールと、レールに所定の間隔を空けて配置された複数のローラーと、各ローラーを回転させるモーターとを備えている。
【0020】
そして、成膜レーン22は、一方向に向けて各ローラーを回転させることによって、基板Sを搬出入室11からスパッタ室12に向けて搬送する。また、成膜レーン22は、基板Sに対して成膜するときには、スパッタ室12内において基板Sの位置を固定する。この場合、基板Sには、窒素置換リン酸リチウム(LiPON)からなる絶縁膜が成膜される。回収レーン23は、成膜レーン22と同等の構成であり、成膜後の基板Sをスパッタ室12から搬出入室11に向けて搬送する。なお、成膜レーン22と回収レーン23との間には、成膜レーン22上の基板Sを回収レーン23上に移動させるレーン変更部(図示略)が設けられている。
【0021】
図2が示すように、スパッタ装置は、装置全体の動作を統括的に制御する制御装置30を備えている。制御装置30は、上述したようにターゲット装置15A〜15Dごとに設けられた複数の高周波電源18A〜18Dに接続されている。そして、制御装置30は、各高周波電源18A〜18Dからの高周波電圧の供給を開始させるための供給開始信号や、各高周波電源18A〜18Dからの高周波電圧の供給を停止させるための供給停止信号や、各高周波電源18A〜18Dから出力される高周波電圧の位相を所定値に設定するための位相制御信号を出力する。各高周波電源18A〜18Dは、制御装置30からの制御に基づき、それに接続された1つのマッチングボックスを介し、それに対応する1つのバッキングプレートに高周波電圧を印加する。すなわち、各高周波電源18A〜18Dは、マッチングボックス26A,26B,26C,26Dを介してバッキングプレート17A〜17Dに対して高周波電圧を印加する。なお、マッチングボックス26A〜26Dの構成は、全てのターゲット装置15A〜15Dにおいて共通である。
【0022】
互いに接続された高周波電源とバッキングプレートとの間には、電圧センサが1つずつ接続されている。すなわち、高周波電源18A〜18Dとバッキングプレート17A〜17Dとの間には、電圧センサ27A,27B,27C,27Dが接続されている。電圧センサ27A〜27Dは、高周波電源18A〜18Dからバッキングプレート17A〜17Dに印加される高周波電圧の位相、および、ターゲットに印加された直流バイアス電圧(いわゆるVdc(Volt direct current))を検出し、その検出結果を制御装置30に出力する。
【0023】
制御装置30は、各電圧センサ27A〜27Dの検出した位相に基づき、互いに異なる2つのターゲットに印加された高周波電圧の位相差を算出する。また、制御装置30は、各電圧センサ27A〜27Dの検出した直流バイアス電圧に対し、成膜時の位相差を定めるための処理を施す。
【0024】
制御装置30は、基板Sの成膜時には、各ターゲット16A,16B,16C,16Dと対向する基板Sでの成膜の結果が揃うように、各高周波電源18A〜18Dにおける高周波電圧の出力を制御する。こうした高周波電圧の出力は、ターゲットに印加された直流バイアス電圧と位相差との関係、あるいは、ターゲットと対向する位置での成膜量と位相差との関係に従って、以下に示す手順に基づき予め設定される。
【0025】
[位相差設定例1]
例えば、ターゲットに印加された直流バイアス電圧と位相差との関係に従って、2つのターゲット16A,16Bに対する高周波電圧の出力が設定されるとき、制御装置30はまず、ターゲット装置15A,15Bに対し、高周波電源18A,18Bに別々の高周波電圧を印加させる。この際に、制御装置30は、各ターゲットに印加される高周波電圧間の位相差を−180度から+180度の範囲内で段階的に変化させる。そして、制御装置30は、各ターゲット16A,16Bに印加される直流バイアス電圧を電圧センサ27A,27Bからの検出結果に基づいて位相差ごとに取得する。このように位相差ごとの検出結果を取得する工程は、取得工程の一例であり、ターゲット16A,16Bからのスパッタ粒子の放出量が反映された特性値を取得する工程である。ターゲット16Aに印加された直流バイアス電圧は第1特性値の一例であり、ターゲット16Bに印加された直流バイアス電圧は第2特性値の一例である。
【0026】
図3が示す4本の曲線のなかの下側の2本は、ターゲット16Aに印加された直流バイアス電圧と位相差との関係の一例、および、ターゲット16Bに印加された直流バイアス電圧と位相差との関係の一例を示す。ターゲット16Aに印加された直流バイアス電圧と位相差との関係を示す曲線上には、△印が付されるとともに、ターゲット16Bに印加された直流バイアス電圧と位相差との関係を示す曲線上には×印が付されている。
【0027】
図3が示すように、ターゲット16Aに印加された直流バイアス電圧は、位相差に対する正弦曲線上を推移する。ターゲット16Bに印加された直流バイアス電圧は、これもまた位相差に対する正弦曲線上を推移し、また、ターゲット16Aに印加された直流バイアス電圧に対し、180度だけ進んだ曲線上を推移する。ターゲット16Aに印加された直流バイアス電圧と、ターゲット16Bに印加された直流バイアス電圧とは、位相差が−180度、0度、+180度であるときに互いにほぼ一致している。
【0028】
制御装置30は、ターゲットに印加された直流バイアス電圧と位相差とのこうした関係に従い、ターゲット16A,16Bに印加される高周波電圧間の位相差が−180度、0度、+180度の何れかとなるように、各高周波電圧の位相を設定する。これによって、各ターゲット16A,16Bに印加される直流バイアス電圧を揃えること、ひいては、直流バイアス電圧に起因した薄膜の電気的な特性など、各ターゲット装置15A,15Bによる成膜の結果を揃えることが可能となる。
【0029】
[位相差設定例2]
また例えば、ターゲットと対向する位置での成膜量と位相差との関係に従って、2つのターゲット16A,16Bに対する高周波電圧の出力が設定されるとき、ここでもまた、制御装置30はまず、ターゲット装置15A,15Bに対し、高周波電源18A,18Bに別々の高周波電圧を印加させる。この際に、制御装置30は、各ターゲットに印加される高周波電圧間の位相差を−180度から+180度の範囲内で段階的に変化させる。また、各ターゲット16A,16Bと対向する位置には、ターゲットと対向する位置での成膜量を検出するための基板が、位相差が変わるごとに新たに設置される。
【0030】
各ターゲット16A,16Bと対向する部位に設置された基板上の膜厚は、位相差が変わるごとに、外部の測定機器によって測定され、それによって、各ターゲット16A,16Bと対向する部位における成膜量が、電圧センサ27A,27Bからの検出結果に基づく位相差ごとに取得される。このように位相差ごとの検出結果と膜厚とを取得する工程もまた、取得工程の一例であり、ターゲット16A,16Bからのスパッタ粒子の放出量が反映された特性値を取得する工程である。ターゲット16Aと対向する位置での成膜量は第1特性値の一例であり、ターゲット16Bと対向する位置での成膜量は第2特性値の一例である。
【0031】
図3が示す4本の曲線のなかの上側の2本は、ターゲット16Aと対向する位置での成膜量と位相差との関係の一例、および、ターゲット16Bと対向する位置での成膜量と位相差との関係の一例を示す。ターゲット16Aと対向する位置での成膜量と位相差との関係を示す曲線上には、◇印が付されるとともに、ターゲット16Bに印加された直流バイアス電圧と位相差との関係を示す曲線上には□印が付されている。
【0032】
ターゲット16Aと対向する位置での成膜量は、位相差に対する正弦曲線上を推移する。ターゲット16Bと対向する位置での成膜量は、これもまた位相差に対する正弦曲線上を推移し、また、ターゲット16Aに印加された直流バイアス電圧に対し、180度だけ進んだ曲線上を推移する。ターゲット16Aと対向する位置での成膜量と、ターゲット16Bと対向する位置での成膜量とは、位相差が−180度、0度、+180度であるときに互いにほぼ一致している。
【0033】
制御装置30は、ターゲットに対向する位置での成膜量と位相差とのこうした関係に基づく外部からの位相の入力に従い、ターゲット16A,16Bに印加される高周波電圧間の位相差が−180度、0度、+180度の何れかとなるように、各高周波電圧の位相を設定する。これによって、各ターゲット16A,16Bと対向する位置での成膜量を揃えること、ひいては、成膜量に起因した薄膜の電気的な特性など、各ターゲット装置15A,15Bによる成膜の結果を揃えることが可能となる。
【0034】
[位相差設定例3]
1つの方向に沿って並ぶ3つのターゲットのなかの両端に位置するターゲット、例えばターゲット16A,16Cに対し、ターゲットに印加された直流バイアス電圧と位相差との関係に従って各高周波電圧の出力が設定されるとき、制御装置30はまず、高周波電源18A,18Cに別々の高周波電圧を印加させる。ここでも、制御装置30は、各ターゲットに印加される高周波電圧間の位相差を−180度から+180度の範囲内で段階的に変化させる。そして、制御装置30は、各ターゲット16A,16Cに印加される直流バイアス電圧を電圧センサ27A,27Cからの検出結果に基づいて位相差ごとに取得する。このように1つおきに位置する2つのターゲットに関し、位相差ごとの検出結果を取得する工程は、取得工程の一例であり、ターゲット16A,16Cからのスパッタ粒子の放出量が反映された特性値を取得する工程である。ターゲット16Aに印加された直流バイアス電圧は第1特性値の一例であり、ターゲット16Cに印加された直流バイアス電圧は第2特性値の一例である。
【0035】
図4が示す4本の曲線のなかの下側の2本は、ターゲット16Aに印加された直流バイアス電圧と位相差との関係の一例、および、ターゲット16Cに印加された直流バイアス電圧と位相差との関係の一例を示す。ターゲット16Aに印加された直流バイアス電圧と位相差との関係を示す曲線上には、△印が付されるとともに、ターゲット16Cに印加された直流バイアス電圧と位相差との関係を示す曲線上には十字印が付されている。
【0036】
図4が示すように、ターゲット16Aに印加された直流バイアス電圧は、位相差に対する正弦曲線上を推移する。ターゲット16Cに印加された直流バイアス電圧は、これもまた位相差に対する正弦曲線上を推移し、また、ターゲット16Aに印加された直流バイアス電圧に対し、180度だけ進んだ曲線上を推移する。ターゲット16Aに印加された直流バイアス電圧と、ターゲット16Cに印加された直流バイアス電圧とは、位相差が−180度、0度、+180度であるときに互いにほぼ一致している。
【0037】
制御装置30は、ターゲットに印加された直流バイアス電圧と位相差とのこうした関係に従い、ターゲット16A,16Cに印加される高周波電圧間の位相差が−180度、0度、+180度の何れかとなるように、各高周波電圧の位相を設定する。これによって、各ターゲット16A,16Cに印加される直流バイアス電圧を揃えること、ひいては、直流バイアス電圧に起因した薄膜の電気的な特性など、各ターゲット装置15A,15Cによる成膜の結果を揃えることが可能となる。また、上述したように、ターゲット16A,16Bに印加される高周波電圧間の位相差が−180度、0度、+180度の何れかとなるように、これらに対する高周波電圧の位相が設定されることと組み合わせれば、各ターゲット装置15A,15B,15Cによる成膜の結果を揃えることが可能ともなる。
【0038】
[位相差設定例4]
また、上記2つのターゲット16A,16Cに対し、ターゲットと対向する位置での成膜量と位相差との関係に従って各高周波電圧の出力が設定されるとき、制御装置30はまず、ターゲット装置15A,15Cに対し、高周波電源18A,18Cに別々の高周波電圧を印加させる。ここでも、制御装置30は、各ターゲットに印加される高周波電圧間の位相差を−180度から+180度の範囲内で段階的に変化させる。また、各ターゲット16A,16Cと対向する位置には、ターゲットと対向する位置での成膜量を検出するための基板が、位相差が変わるごとに新たに設置される。
【0039】
各ターゲット16A,16Cと対向する部位に設置された基板上の膜厚は、位相差が変わるごとに、外部の測定機器によって測定され、それによって、各ターゲット16A,16Cと対向する部位における成膜量が、電圧センサ27A,27Cからの検出結果に基づく位相差ごとに取得される。このように1つおきに位置する2つのターゲットに関し、位相差ごとの検出結果を取得する工程は、取得工程の一例であり、ターゲット16A,16Cからのスパッタ粒子の放出量が反映された特性値を取得する工程である。ターゲット16Aと対向する位置での成膜量は第1特性値の一例であり、ターゲット16Cと対向する位置での成膜量は第2特性値の一例である。
【0040】
図4が示す4本の曲線のなかの上側の2本は、ターゲット16Aと対向する位置での成膜量と位相差との関係の一例、および、ターゲット16Cと対向する位置での成膜量と位相差との関係の一例を示す。ターゲット16Aと対向する位置での成膜量と位相差との関係を示す曲線上には、◇印が付されるとともに、ターゲット16Cと対向する位置での成膜量と位相差との関係を示す曲線上には○印が付されている。
【0041】
ターゲット16Aと対向する位置での成膜量は、位相差に対する正弦曲線上を推移する。ターゲット16Cと対向する位置での成膜量は、これもまた位相差に対する正弦曲線上を推移し、また、ターゲット16Aに印加された直流バイアス電圧に対し、180度だけ進んだ曲線上を推移する。ターゲット16Aと対向する位置での成膜量と、ターゲット16Cと対向する位置での成膜量とは、位相差が−180度、0度、+180度であるときに互いにほぼ一致している。
【0042】
制御装置30は、ターゲットに対向する位置での成膜量と位相差とのこうした関係による外部からの位相の入力に従い、ターゲット16A,16Cに印加される高周波電圧間の位相差が−180度、0度、+180度の何れかとなるように、各高周波電圧の位相を設定する。これによって、各ターゲット16A,16Cと対向する位置での成膜量を揃えること、ひいては、成膜量に起因した薄膜の電気的な特性など、各ターゲット装置15A,15Cによる成膜の結果を揃えることが可能となる。また、上述したように、ターゲット16A,16Bに印加される高周波電圧間の位相差が−180度、0度、+180度の何れかとなるように、これらに対する高周波電圧の位相が設定されることと組み合わせれば、各ターゲット装置15A,15B,15Cによる成膜の結果を揃えることが可能ともなる。
【0043】
なお、1つの方向に沿って並ぶ4つのターゲットのなかの両端に位置するターゲット、すなわち、ターゲット16A,16Dに対する各高周波電圧の出力が設定されるときにおいても、上述と同様である。すなわち、ターゲットに印加された直流バイアス電圧と位相差との関係、あるいは、ターゲットと対向する位置での成膜量と位相差との関係が用いられる。この際に、ターゲット装置15A,15Dに関しても、直流バイアス電圧と位相差との関係、および、ターゲットと対向する位置での成膜量と位相差との関係は、上述と同様の傾向を示す。すなわち、ターゲット16A,16Dに印加される高周波電圧間の位相差を−180度、0度、+180度の何れかに制御装置30が設定すれば、各ターゲット装置15A,15Dによる成膜の結果を揃えることが可能となる。
【0044】
そしてこのように、1つのターゲット16Aを基準として、他の3つのターゲット16B〜16Dに印加する高周波電圧の位相差を−180度、0度、+180度の何れかに設定することによって、各ターゲット装置15A〜15Dによる成膜の結果を揃えることが可能となる。
【0045】
このように2つのターゲットに関する特性値が互いにほぼ一致するときの位相差は設定値であり、制御装置30が取得した結果から得られた設定値を成膜用の位相差として設定する工程は、設定工程の一例である。例えば、2つのターゲット16A,16Bに関する特性値である直流バイアス電圧が互いにほぼ一致するときの位相差は、設定値の一例である。そして、制御装置30が取得した関係である直流バイアス電圧と位相差との関係から得られた設定値を成膜用の位相差として設定する工程は、設定工程の一例である。また例えば、2つのターゲット16A,16Bに関する特性値である成膜量が互いにほぼ一致するときの位相差も、設定値の一例である。そして、制御装置30が取得した位相差と、外部機器が取得した成膜量との関係から得られた設定値を成膜用の位相差として設定する工程も、設定工程の一例である。こうした工程において、成膜用の位相差に設定値を設定する制御装置30は、設定部の一例である。
【0046】
[スパッタ装置の作用]
複数のターゲット装置15A〜15Dが限られた大きさのスパッタ室12の内部に隣接して配置された場合、各ターゲット装置15A〜15Dに対して高周波電圧が印加されると、各高周波電圧同士が干渉し、それによって、ターゲットごとの放電状態間に差が生じる可能性がある。実際、図3、および、図4に示したように、2つのターゲットに対し同時に高周波電圧が印加されるとき、高周波電圧間の位相差が特定の位相差である−180度、0度、+180度以外であるときには、ターゲットごとの成膜量にばらつきが生じる。
【0047】
なお、ターゲットごとの成膜量は、各ターゲットのスパッタリング速度に基づくものであることから、ターゲット間においてターゲットごとの成膜量が互いに異なるとすると、ターゲットの消費量にも自ずとターゲット間で差が生じることとなる。その結果、あるターゲットが交換時期に達したとしても他のターゲットは未だに使用可能な状態となることから、真空槽14に収容された全てのターゲット16A〜16Dを一律のタイミングで交換すると、未だ使用可能な状態にあるターゲットを無駄に廃棄することになる。
【0048】
この点、本実施の形態では、上述のように、ターゲット16A〜16Dに印加される高周波電圧間の位相差を最適化することによって、高周波電圧同士の干渉が抑えられる。実際、図3、および、図4に示したように、2つのターゲットに印加した高周波電圧間の位相差を特定の位相差である−180度、0度、+180度に最適化すれば、ターゲットごとの成膜量のばらつきをターゲット間で抑えられる。この最適化によれば、各ターゲット16A〜16Dの消費量に差が生じることが抑えられるため、全てのターゲット16A〜16Dの交換タイミングが一律に揃うようにもなる。その結果、真空槽14に収容された全てのターゲット装置15A〜15Dが一律のタイミングでメンテナンスされるとしても、ターゲットを無駄に廃棄することにはなりにくい。
【0049】
以上説明したように、上記実施の形態によれば、以下に示す効果を得ることができる。
(1)ターゲットごとの特性値がターゲット間で一致するときの位相差が、成膜時の位相差として設定される。それゆえに、各ターゲット16A〜16Dを高周波電圧の印加によって同時にスパッタするときでも、ターゲットごとの成膜の結果がターゲット間においてばらつくことが抑えられる。また、ターゲット16A〜16Dの消費量のばらつきがターゲット間において抑えられるため、ターゲット16A〜16Dの利用効率を高めることが可能ともなる。
【0050】
(2)各ターゲット16A〜16Dと対向する位置での成膜量が、位相差ごとに取得され、かつ、ターゲットからのスパッタ粒子の放出量を反映させた特性値として取り扱われる。そのため、あるターゲットと他のターゲットとが高周波電圧の印加によって同時にスパッタされる際には、ターゲット間において成膜量のばらつきが生じること、ひいては、ターゲット間において成膜の結果のばらつきが生じることが抑えられる。
【0051】
(3)各ターゲット16A〜16Dに印加された直流バイアス電圧が、位相差ごとに取得され、かつ、ターゲットからのスパッタ粒子の放出量を反映させた特性値として取り扱われる。そのため、あるターゲットと他のターゲットとが高周波電圧の印加によって同時にスパッタされる際には、ターゲット間において放電状態にばらつきが生じること、ひいては、ターゲット間において放電状態にばらつきが生じること、ひいては、ターゲット間において成膜の結果にばらつきが生じることが抑えられる。
【0052】
なお、上記実施の形態は、以下のような形態にて実施することもできる。
・上記実施の形態では、各ターゲット16A〜16Dからのスパッタ粒子の放出量を反映した特性値として、各ターゲット16A〜16Dに印加する高周波電圧の直流バイアス電圧、および、基板Sに形成される絶縁膜の厚さの双方を求めた。これに代えて、各基板Sに形成された絶縁膜の厚さのみを求め、これらの絶縁膜の厚さの値が互いにほぼ一致するときの高周波電圧の位相差を設定値として求めてもよい。また、基板Sに形成された絶縁膜の厚さが何ら測定されずとも、各ターゲット16A〜16Dに印加された直流バイアス電圧が互いにほぼ一致するときの位相差を設定条件として求めてもよい。
【0053】
・上記実施の形態において、各ターゲット16A〜16Dからのスパッタ粒子の放出量を反映させたターゲットの特性値として、各ターゲット16A〜16Dに印加される高周波電圧の振幅電圧(いわゆるVpp(Volt peak to peak))や、各ターゲット16A〜16Dにおけるエロージョン領域の体積等が用いられてもよい。
【0054】
・上記実施の形態において、基板Sに対する絶縁膜の形成に際し、成膜レーン22の途中で、もしくは、回収レーン23の途中で、基板Sは静止されなくてもよい。つまり、基板Sに対する絶縁膜の形成に際し、成膜レーン22、もしくは、回収レーン23を基板Sが搬送されながら、基板Sに対して絶縁膜が形成されてもよい。
【0055】
・上記実施の形態において、スパッタガスとして、窒素ガスに代えて、ヘリウムガス、ネオンガス、アルゴンガス、クリプトンガス、および、キセノンガス等の希ガスを用いてもよい。要するに、基板Sに形成する成膜の種類に応じてスパッタガスを適宜変更することが可能である。なお、基板Sに形成する膜種は、必ずしも絶縁膜である必要はなく、例えば導電膜であってもよい。そして、ターゲットを形成する材料もまた、必ずしも絶縁体である必要はなく、例えば導電体であってもよく、第1ターゲットを形成する材料と、第2ターゲットを形成する材料とが互いに異なってもよい。
【0056】
・スパッタ装置が備える電源の数は、ターゲットの数よりも少なくてもよい。この際に、複数のターゲットに対する高周波電圧の印加は、ターゲットごとに設けられる位相変更部を介し、複数のターゲットに共通する1つの電源から印加される。
【0057】
・上記実施の形態において、ターゲット装置の数は、4つに限らず、複数であれば任意の数であってもよい。
・上記実施の形態では、複数のターゲット装置15A〜15Dが基板Sの片面に成膜を行う構成であったが、複数のターゲット装置が基板の両面に成膜を行う構成であってもよい。
【0058】
・上記実施の形態において、基板Sはガラス基板に限らず、例えば、樹脂製のフィルムであってもよい。この場合、スパッタ装置には、成膜レーン22と回収レーン23とに代えて、フィルムの搬送を行うフィルム搬送部が備えられていればよい。また、基板Sの形成材料はSi、Siの酸化物、および、Siの窒化物であってもよいし、SUS、Ti、Ni、Al、Cu、Fe、Ta、Mo、および、Wなどの金属であってもよい。なお、ターゲットに対して、複数枚の基板Sが対向するように配置されてもよく、この場合には、複数枚の基板を固定することができるトレイが用いられればよい。また、複数枚の基板Sがターゲットに対して対向するように配置される構成では、各ターゲットに対して複数枚の基板Sが対向するように配置されてもよいし、複数のターゲット毎に1枚の基板Sが対向するように配置されてもよい。
【符号の説明】
【0059】
S…基板、SA,SB,SC,SD…スパッタ面、11…搬出入室、12…スパッタ室、13…ゲートバルブ、14…真空槽、15A,15B,15C,15D…ターゲット装置、16A,16B,16C,16D…ターゲット、17A,17B,17C,17D…バッキングプレート、18A,18B,18C,18D…高周波電源、19A,19B,19C,19D…磁気回路、20…排気部、22…成膜レーン、23…回収レーン、26A,26B,26C,26D…マッチングボックス、27A,27B,27C,27D…電圧センサ、30…制御装置。
図1
図2
図3
図4