【解決手段】情報収集回路21のコイルL21の第1端子はダイオードD21とスイッチSW1を介して制御回路22の電源端子Vccに接続されている。スイッチSW1の制御端子は、抵抗R21を介してグランドGNDに接続され、情報収集装置20の非動作時にオン状態にある。制御回路22の電源端子Vccは、スイッチSW2を介してバッテリBAの正極に接続されている。起動装置10によりコイルL21に生じた起電力は、ダイオードD21により直流電力に変換され、制御回路22は、オン状態のスイッチSW1を介して供給される直流電力に基づいて起動し、制御信号S2によりスイッチSW2をオンする。そして、制御回路22は、制御信号S1によりスイッチSW1をオフする。
前記第1の半導体スイッチは、前記整流回路に接続された第1端子と、前記制御回路の電源端子に接続された第2端子と、抵抗を介してグランドレベルの配線に接続された制御端子とを有し、前記制御回路の非動作時に前記第1端子と前記第2端子との間が導通状態となるものであり、
前記制御回路は、前記第2の半導体スイッチを導通状態に制御した後、前記第1の半導体スイッチの制御端子に供給する制御信号により非導通状態に制御すること、
を特徴とする請求項1に記載の情報収集回路。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、各形態を説明する。
なお、添付図面は、理解を容易にするために構成要素を拡大して示している場合がある。構成要素の寸法比率は実際のものと、または別の図面中のものと異なる場合がある。
【0009】
(第一実施形態)
以下、第一実施形態を説明する。
図1に示すように、情報収集システムは、起動装置10、情報収集装置20、情報管理装置30を含む。
【0010】
情報収集装置20は、起動装置10から非接触にて供給される電力に基づいて起動する。つまり、起動装置10は、情報収集装置20の起動スイッチ(電源スイッチ)として機能する。起動した情報収集装置20は、バッテリBAのバッテリ電圧VBに応じて供給される電源電圧Vccに基づいて動作する。つまり、情報収集装置20は、バッテリBAの電力に基づいて継続的に動作する。そして、この情報収集装置20は、内蔵するセンサにより測定対象物の情報を収集し、その情報を無線通信によって送信する。バッテリBAは、たとえばボタン型やコイン型の一次電池である。なお、バッテリBAとして、矩形箱状の電池を用いてもよい。また、バッテリBAとして二次電池を用いてもよい。
【0011】
情報管理装置30は、アンテナ31を有し、情報収集装置20から送信される情報を受信する。そして、情報管理装置30は、受信した情報を記憶装置(HDD等)に記憶する。たとえば、情報収集装置20には、識別情報(ID)が設定されている。複数の情報収集装置20において、各情報収集装置20には互いに異なる識別情報(ID)が設定される。情報収集装置20は、識別情報と収集した情報(生体情報)を含む送信情報を送信する。情報管理装置30は、受信した情報、つまり識別情報と生体情報とを記憶する。
【0012】
起動装置10は、給電回路11、コイルL11、コンデンサC11を含む。給電回路11の出力端子はコイルL11の両端子に接続されている。コイルL11には、コンデンサC11が並列に接続されている。給電回路11は、所定の周波数の交流電力をコイルL11に供給する。交流電力の周波数は、コイルL11のインダクタンスとコンデンサC11のキャパシタンスとに基づく共振周波数に設定され、たとえば10MHzである。
【0013】
情報収集装置20は、情報収集回路21のコイルL21を含む。コイルL21の第1端子はダイオードD21のアノードに接続され、コイルL21の第2端子は低電位電圧の配線(グランドGND)に接続されている。コイルL21にはコンデンサC21が並列に接続されている。ダイオードD21のカソードは、スイッチSW1を介して制御回路22の電源端子Vccに接続されている。コイルL21とコンデンサC21は、共振回路に含まれる。コイルL21のインダクタンスとコンデンサC21のキャパシタンスとに基づく共振周波数は、起動装置10の共振回路における共振周波数と等しく設定される。
【0014】
スイッチSW1は、たとえばPチャネルMOSトランジスタであり、第1の半導体スイッチの一例である。スイッチSW1の第1端子(たとえばソース端子)はダイオードD21のカソードに接続されている。スイッチSW1の第2端子(たとえばドレイン端子)は制御回路22の電源端子Vccに接続されている。スイッチSW1の制御端子(ゲート端子)は抵抗R21の第1端子に接続され、抵抗R21の第2端子はグランドGNDに接続されている。
【0015】
また、スイッチSW1の制御端子は、制御回路22のポートP0に接続されている。制御回路22はたとえば、演算回路,周辺回路,等を含むマイクロコントローラである。制御回路22は、メモリ22aを有している。メモリ22aには、制御回路22の動作プログラム、動作における一次的なデータ、識別情報(ID)等が記憶される。なお、メモリ22aに収集した情報を記憶してもよい。
【0016】
制御回路22は、電源端子Vccに供給される電源電圧(電源端子に加わる電圧であるため、同じ符号Vccを用いる)に基づいて起動し、メモリ22aに格納された動作プログラムを実行する。そして、制御回路22は、動作状態に基づいて制御信号S1を出力する。スイッチSW1は、制御信号S1に応答してオン・オフする。
【0017】
また、制御回路22の電源端子Vccは、スイッチSW2に接続されている。スイッチSW2は、たとえばNチャネルMOSトランジスタであり、第2の半導体スイッチの一例である。スイッチSW2の第1端子(たとえばドレイン端子)はバッテリBAの正極端子に接続されている。バッテリBAの負極端子はグランドGNDに接続されている。
【0018】
スイッチSW2の第2端子(たとえばソース端子)は制御回路22の電源端子Vccに接続されている。スイッチSW2の制御端子(ゲート端子)は制御回路22のポートP1に接続されている。制御回路22は、動作状態に基づいて制御信号S2を出力する。スイッチSW2は、制御信号S2に応答してオン・オフする。
【0019】
制御回路22のポートP2はセンサ23に接続されている。センサ23は、たとえば温度センサであり、生体情報として取着された測定対象物の温度に応じた信号を出力する。制御回路22は、センサ23の出力信号に基づいて、測定対象物の温度を検出する。たとえば、情報収集装置20は、生体情報を収集する装置であり、人体に取着される。センサ23は、人体の体温に応じた信号を出力する。制御回路22は、センサ23の出力信号に基づいて体温を検出する。
【0020】
なお、生体情報として、体温以外の情報、たとえば心電(心臓の活動電流)、脈拍、脳波、体温、呼吸数、発汗、等を収集するようにしてもよい。また、
図1では、1つのセンサ23を示したが、収集する複数の情報に応じて複数のセンサを制御回路22に接続してもよい。
【0021】
制御回路22のポートP3は、通信回路24に接続されている。この通信回路24にはアンテナ25が接続されている。通信回路24は、たとえば送信回路である。制御回路22は、センサ23により収集した生体情報を含む送信情報を通信回路24に出力する。通信回路24は、その送信情報をアンテナ25から送信する。通信回路24が送信する信号の周波数は、たとえば2.4GHzである。
【0022】
次に、情報収集装置20の起動方法を説明する。
バッテリBAが接続されていないとき、制御回路22は、電源電圧Vccが供給されていない(Vcc=0)ため、非動作状態にある。
【0023】
バッテリBAが接続されると、バッテリ電圧VBがスイッチSW2に供給される。制御回路22は非動作状態であるため、スイッチSW2のゲート電圧はLレベル(グランドGNDレベル)である。このため、スイッチSW2はオフしている。
【0024】
起動装置10の給電回路11は、常時または図示しないスイッチの操作に基づいて、コイルL11に交流電力を供給する。この交流電力に基づいて、情報収集装置20のコイルL21に起電力(交流電力)が生じる。この交流電力は、ダイオードD21により整流され、直流電力がスイッチSW1に供給される。
【0025】
スイッチSW1はPチャネルMOSトランジスタであり、制御端子(ゲート端子)が抵抗R21を介してグランドGNDに接続されている。このため、制御回路22が非動作状態にあるとき、スイッチSW1はオンしている。なお、スイッチSW1はPチャネルMOSトランジスタであり、ゲート端子とソース端子との間の電位差に基づいてオン・オフする。そして、スイッチSW1の第1端子(トランジスタのソース端子)には、コイルL21に生じた起電力を平滑化した直流電力が供給される。スイッチSW1は、この直流電力の供給によりオン(導通)する。つまり、起電力が生じていないとき(且つ制御回路22により制御されていないとき)、スイッチSW1はオン可能な状態にある。このオン可能な状態を含めてスイッチSW1のオン状態(導通状態)とよぶ。そして、直流電力は、オン状態(導通状態)のスイッチSW1を介して制御回路22の電源端子Vccに供給される。制御回路22は、この直流電力(第1の電源電圧)に基づいて起動する。
【0026】
起動した制御回路22は、ポートP1から所定の電圧Vhレベルの制御信号S2を出力する。制御信号S2の電圧Vhは、スイッチSW2のオン状態を維持するために必要なレベルである。本実施形態のスイッチSW2は、NチャネルMOSトランジスタである。したがって、制御回路22は、スイッチSW2の端子電圧(たとえば、ドレイン端子に供給されるバッテリ電圧B)より高い電圧(スイッチSW2のしきい値電圧Vthn高い電圧)の制御信号S2を生成する。たとえば、制御回路22は、昇圧回路を有し、その昇圧回路にて必要な電圧を生成する。昇圧回路は、たとえば、スイッチング方式、チャージポンプ式、ブートストラップ式等の回路を用いることができる。
【0027】
スイッチSW2は、この制御信号S2に応答してオンする。このオンしたスイッチSW2を介してバッテリBAのバッテリ電圧VBと等しい電源電圧Vcc(第2の電源電圧)が制御回路22に供給される。この電源電圧Vcc(バッテリ電圧VB)に基づいて、制御回路22は、継続的に動作する。
【0028】
次に、制御回路22は、所定の電圧レベルの制御信号S1を出力する。たとえば、この制御信号S1のレベルは、たとえば上記の制御信号S2のレベル(電圧Vh)と等しい。スイッチSW1は、電圧Vhの制御信号S1に応答してオフする。なお、制御信号S1のレベルを、電源電圧Vccレベルとしてもよい。スイッチSW1がオフすることにより、コイルL21、コンデンサC21、及びダイオードD21を含む起動回路が制御回路22の電源端子Vccから切り離される。つまり、制御回路22は、起動回路により供給される電源電圧Vccに基づいて起動し、起動後に起動回路を電源端子Vccから切り離す。
【0029】
次に、上記の情報収集装置20の動作状態の遷移を説明する。
図2に示す状態ST11は初期状態である。この状態において、情報収集装置20の電源はオフしている。したがって、
図1に示すスイッチSW1,SW2は非制御状態にある。スイッチSW1(「スイッチ1」と表記、以下同様)は、制御端子が抵抗R21を介してグランドGNDに接続され、オン可能な状態にある。スイッチSW2(「スイッチ2」と表記、以下同様)はオフしている。また、情報収集装置20のバッテリBAは制御回路22等に対して十分な(動作可能な)バッテリ電圧VBを供給することができる状態にある。
【0030】
コイルL21に起電力が生じると、その起電力に基づいて制御回路22が起動する(状態ST12)。起動した制御回路22は、制御信号S2を出力し、その制御信号S2に基づいてスイッチSW2がオンする(状態ST13)。
【0031】
オンしたスイッチSW2を介してバッテリBAからバッテリ電圧VBが供給される。そのバッテリ電圧VBを電源電圧Vccとして装置全体が起動する(状態ST14)。制御回路22は、制御信号S1を出力し、その制御信号S1に基づいてスイッチSW1がオフし(状態ST15)、状態ST14へ遷移する。
【0032】
この状態ST14において、情報収集装置20は、センサ23により収集した情報を、通信回路24及びアンテナ25を介して送信する。
また、この状態ST14において、ノイズ等の混入により、コイルL21に起電力が発生する場合がある。しかし、コイルL21と制御回路22との間のスイッチSW1がオフしているため、制御回路22は、起電力の影響を受けない。つまり、状態ST14にて動作する。
【0033】
バッテリ電圧VBの低下、つまりバッテリ電圧VBが制御回路22の動作可能な電圧範囲より低くなると、状態ST16へ遷移し、情報収集装置20は電源オフとなる。この状態ST16において、制御回路22は停止している。したがって、スイッチSW1,SW2は非制御状態となる。スイッチSW1はオン状態となり、スイッチSW2はオフ状態となる。
【0034】
この停止状態(状態ST16)において、ノイズ等の混入により、コイルL21に起電力が生じる場合がある。このような場合、状態ST12へ遷移し、起電力に基づいて制御回路22が起動する。起動した制御回路22は、制御信号S2を出力し、スイッチSW2をオンする。しかし、スイッチSW2を介してバッテリ電圧VBが供給されないため、状態ST16へ遷移し、電源オフとなる。
【0035】
そして、状態ST16において、電池交換、つまりバッテリBAが交換されると、状態ST11(初期状態)へ遷移する。電池交換において、使用済の電池は、新品の一次電池、または充電済みの二次電池と交換される。このように、バッテリBAの交換により、情報収集装置20が再利用される。なお、バッテリBAに二次電池を用いた場合、バッテリBAは、配線基板40(
図3(a)参照)から取り外されて充電され、再び配線基板40に取着される。なお、配線基板40に取着した状態で、バッテリBA(二次電池)を充電してもよい。
【0036】
図3(a)に示すように、情報収集装置20は、たとえば配線基板40を含むモジュールとして提供される。配線基板40の材料としては、たとえばエポキシ樹脂等の絶縁樹脂、ガラス等のフィラーを含む絶縁樹脂、等を用いることができる。なお、配線基板40を、ポリイミド等の樹脂フィルムに配線層を含むものとしてもよい。
【0037】
配線基板40の上面には、情報収集回路21が形成されている。なお、図では、情報収集回路21を1つの矩形として示したが、
図1に示すコンデンサC21やダイオードD21等のディスクリート部品が配線基板40に実装されることもある。また、コンデンサC21はダイオードD21等を含む1つの半導体チップが配線基板40に実装されてもよい。また、配線基板40の上面には、バッテリBAが実装されている。バッテリBAは、配線基板40に含まれる配線パターン(図示略)を介して制御回路22やコイルL21などに接続される。
【0038】
図3(b)に示すように、配線基板40の下面には、コイルL21が配線パターンにより形成されている。なお、収集する情報に応じて、配線基板40の下面に情報収集のための電極等を形成してもよい。
【0039】
(使用形態)
図4(a)に示すように、情報収集装置20(モジュール)は、取着フィルム50を用いて測定対象物(たとえば人体)に取着される。
【0040】
図4(b)に示すように、取着フィルム50は、基材51と粘着層52とを含む。基材51は、伸縮性を有している。基材51は、たとえばポリエステルやポリウレタン等の樹脂フィルムである。なお、基材51として、防水性を有するとよい。粘着層は、たとえばアクリル系粘着材である。基材51及び粘着層52は、情報収集装置20を測定対象物に密着させ、その情報収集装置20を被覆する。粘着層52は、測定対象物に応じて、たとえば人体であれば貼付/剥離が可能であるとよい。
【0041】
未使用状態において、粘着層52の下面は保護シート53により覆われている。保護シート53には、薄い金属フィルム、金属粒を含む樹脂フィルム、フェライト等の磁性体粒を含む樹脂フィルムを用いることができる。このような保護シート53は、情報収集装置20に含まれる共振回路(コイルL21とコンデンサC21)の共振周波数を、起動装置10の共振周波数に対してずらす。これにより、未使用状態における起動を防止する。
【0042】
なお、
図4(c)に示すように、保護シート53を剥離したときに、情報収集装置20(モジュール)の下面(
図3に示す配線基板40の下面)が露出するようにしてもよい。この場合、情報収集装置20の下面が測定対象物の表面に接する。
【0043】
(比較例)
次に、比較例を説明する。
なお、上記実施形態と同じ部材については同じ符号を用いて説明する。
【0044】
図5に示すように、情報収集装置100において、コイルL21の一端はダイオードD21を介して制御回路101の電源端子Vccに接続されている。したがって、コイルL21により発生した起電力は、ダイオードD21により直流電力に変換されて制御回路101の電源端子Vccに供給される。制御回路101は、この電源端子Vccに供給される電源電圧に基づいて起動する。なお、
図5では、
図1に示す通信回路24、アンテナ25及びセンサ23を省略している。
【0045】
図6に示すように、磁界または電界を生じさせる装置110がある。この装置110は、たとえば、ICカードやICタグなどのリーダ・ライタ装置である。このような装置110による磁界または電界により、情報収集装置100のコイルL21に起電力が発生する。この起電力は、制御回路101の電源端子Vccにおける電圧を変化させる。このような電圧変動により、制御回路101が誤動作する場合がある。
【0046】
(作用)
次に、上記の情報収集装置20の作用を説明する。
図1に示すコイルL21には、起動装置10からの電力供給(磁界共鳴)により起電力が発生する。この起電力は、ダイオードD21により直流電力に変換される。ダイオードD21と制御回路22との間のスイッチSW1は、制御端子が抵抗R21を介してグランドに接続されている。したがって、スイッチSW1は、直流電力に基づいてオンする。そして、オンしたスイッチSW1を介して直流電力が制御回路22の電源端子Vccに供給され、制御回路22が起動する。
【0047】
起動した制御回路22は、ポートP1から制御信号S2を出力し、スイッチSW2をオンする。このオンしたスイッチSW2を介してバッテリBAのバッテリ電圧VBに応じた電源電圧Vccが制御回路22の電源端子Vccに供給される。制御回路22は、制御信号S2によりスイッチSW2のオン状態を継続することで、バッテリBAから供給される電源電圧Vccにより継続的に動作する。
【0048】
また、制御回路22は、ポートP0から制御信号S1を出力し、スイッチSW1をオフする。つまり、制御回路22は、コイルL21、コンデンサC21、ダイオードD21を含む回路を制御回路22の電源端子Vccから切り離す。したがって、たとえば
図8に示す装置110によりコイルL21に起電力が発生しても、その起電力は、電源端子Vccの電圧に影響しない。このように、制御回路22の起動後においてコイルL21に発生する起電力による電源電圧Vccの変動が抑制される。したがって、制御回路22の誤動作が抑制される。
【0049】
以上記述したように、本実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1−1)情報収集装置20の情報収集回路21は、コイルL21を含む。コイルL21の第1端子はダイオードD21とスイッチSW1を介して制御回路22の電源端子Vccに接続されている。スイッチSW1の制御端子は、抵抗R21を介してグランドGNDに接続され、情報収集装置20の非動作時にオン状態にある。制御回路22の電源端子Vccは、スイッチSW2を介してバッテリBAの正極に接続されている。スイッチSW2は、情報収集装置20の非動作時にオフしている。
【0050】
コイルL21には、起動装置10のコイルL11に流れる交流電力に基づいて起電力が生じる。この起電力は、ダイオードD21により直流電力に変換される。直流電力は、オン状態のスイッチSW1を介して制御回路22の電源端子Vccに供給され、制御回路22が起動する。起動した制御回路22は、制御信号S2によりスイッチSW2をオンする。オンしたスイッチSW2により、バッテリBAのバッテリ電圧VBに応じた電源電圧Vccが制御回路22の電源端子Vccに供給される。したがって、情報収集装置20にスイッチや露出した接点等を設けることなく、非接触で情報収集装置20を起動することができる。
【0051】
したがって、スイッチの接触等によって情報収集装置20が停止することを防止することができる。また、スイッチの接点や露出した接点等が不要であるため、情報収集装置20全体を樹脂等により被覆することで、防塵、耐腐食性を向上することができる。
【0052】
(1−2)起動した制御回路22は、制御信号S1によりスイッチSW1をオフする。磁界または電界を生じさせる装置110によりコイルL21に起電力が発生しても、スイッチSW1がオフしているため、その起電力に基づく直流電力は、制御回路22の電源端子Vccに供給されない。このように、制御回路22の起動後においてコイルL21に発生する起電力による電源電圧Vccの変動を抑制することができる。したがって、制御回路22の誤動作を抑制することができる。
【0053】
(1−3)スイッチSW1,SW2は半導体スイッチである。したがって、機械式の接点がないため、衝撃等によりスイッチがオン・オフすることがない。したがって、バッテリBAから電源電圧Vccを安定して制御回路22に供給することができ、安定して情報収集を行うことができる。
【0054】
(第二実施形態)
以下、第二実施形態を説明する。
なお、この実施形態において、上記実施形態と同じ構成部材については同じ符号を付してその説明の全てまたは一部を省略する。
【0055】
図7に示すように、情報収集装置60の情報収集回路61は、コイルL21を含む。コイルL21の第1端子はダイオードD21のアノードに接続され、コイルL21の第2端子は低電位電圧の配線(グランドGND)に接続されている。コイルL21にはコンデンサC21が並列に接続されている。ダイオードD21のカソードは、スイッチSW11に接続されている。コイルL21とコンデンサC21は、共振回路に含まれる。コイルL21のインダクタンスとコンデンサC21のキャパシタンスとに基づく共振周波数は、起動装置10の共振回路における共振周波数と等しく設定される。
【0056】
スイッチSW11は、たとえばNチャネルMOSトランジスタであり、第1の半導体スイッチの一例である。ダイオードD21のカソードはスイッチSW11の制御端子(ゲート端子)に接続されている。スイッチSW11の第1端子(たとえばドレイン端子)はバッテリBAの正極に接続されている。スイッチSW12の第2端子(たとえばソース端子)は制御回路62の電源端子Vccに接続されている。
【0057】
制御回路62はたとえば、演算回路,周辺回路,等を含むマイクロコントローラである。制御回路62は、メモリ62aを有している。メモリ62aには、制御回路62の動作プログラム、動作における一次的なデータ、識別情報(ID)等が記憶される。なお、メモリ62aに収集した情報を記憶してもよい。制御回路62は、電源端子Vccに供給される電源電圧(電源端子に加わる電圧であるため、同じ符号Vccを用いる)に基づいて起動し、メモリ62aに格納された動作プログラムを実行する。
【0058】
また、制御回路62の電源端子Vccは、スイッチSW12に接続されている。スイッチSW12は、たとえばNチャネルMOSトランジスタであり、第2の半導体スイッチの一例である。スイッチSW12の第1端子(たとえばドレイン端子)はバッテリBAの正極端子に接続されている。バッテリBAの負極端子はグランドGNDに接続されている。
【0059】
スイッチSW12の第2端子(たとえばソース端子)は制御回路62の電源端子Vccに接続されている。スイッチSW12の制御端子(ゲート端子)は制御回路62のポートP1に接続されている。制御回路62は、動作状態に基づいて制御信号S12を出力する。スイッチSW12は、制御信号S12に応答してオン・オフする。
【0060】
制御回路62のポートP2はセンサ23に接続されている。センサ23は、たとえば温度センサであり、生体情報として取着された測定対象物の温度に応じた信号を出力する。制御回路62は、センサ23の出力信号に基づいて、測定対象物の温度を検出する。たとえば、情報収集装置60は、生体情報を収集する装置であり、人体に取着される。センサ23は、人体の体温に応じた信号を出力する。制御回路62は、センサ23の出力信号に基づいて体温を検出する。
【0061】
なお、生体情報として、体温以外の情報、たとえば心電(心臓の活動電流)、脈拍、脳波、体温、呼吸数、発汗、等を収集するようにしてもよい。また、
図1では、1つのセンサ23を示したが、収集する複数の情報に応じて複数のセンサを制御回路62に接続してもよい。
【0062】
制御回路62のポートP3は、通信回路24に接続されている。この通信回路24にはアンテナ25が接続されている。通信回路24は、たとえば送信回路である。制御回路62は、センサ23により収集した生体情報を含む送信情報を通信回路24に出力する。通信回路24は、その送信情報をアンテナ25から送信する。通信回路24が送信する信号の周波数は、たとえば2.4GHzである。
【0063】
次に、情報収集装置60の起動方法を説明する。
バッテリBAが接続されていないとき、制御回路62は、電源電圧Vccが供給されていない(Vcc=0)ため、非動作状態にある。
【0064】
バッテリBAが接続されると、バッテリ電圧VBがスイッチSW11,SW12に供給される。コイルL21に起電力が生じていないとき、スイッチSW11の制御端子の電位はLレベル(グランドGNDレベル)である。このため、スイッチSW11はオフしている。制御回路62は非動作状態であるため、スイッチSW12の制御端子の電圧はLレベル(グランドGNDレベル)である。このため、スイッチSW12はオフしている。
【0065】
起動装置10の給電回路11は、常時または図示しないスイッチの操作に基づいて、コイルL11に交流電力を供給する。この交流電力に基づいて、情報収集装置60のコイルL21に起電力(交流電力)が生じる。この交流電力は、ダイオードD21により整流され、直流電力がスイッチSW11の制御端子に供給される。
【0066】
スイッチSW11はNチャネルMOSトランジスタである。このため、スイッチSW11は、ダイオードD21から供給される直流電力に基づいてオンする。このオンしたスイッチSW11を介してバッテリBAのバッテリ電圧VBが電源電圧Vccとして制御回路62の電源端子Vccに供給される。制御回路62は、この直流電力に基づいて起動する。
【0067】
起動した制御回路62は、ポートP1から所定の電圧Vhレベルの制御信号S12を出力する。制御信号S12の電圧Vhは、スイッチSW12のオン状態を維持するために必要なレベルである。本実施形態のスイッチSW12は、NチャネルMOSトランジスタである。したがって、制御回路62は、スイッチSW12の端子電圧(たとえば、ドレイン端子に供給されるバッテリ電圧B)より高い電圧(スイッチSW12のしきい値電圧Vthn高い電圧)の制御信号S12を生成する。たとえば、制御回路62は、昇圧回路を有し、その昇圧回路にて必要な電圧を生成する。昇圧回路は、たとえば、スイッチング方式、チャージポンプ式、ブートストラップ式等の回路を用いることができる。
【0068】
スイッチSW12は、この制御信号S12に応答してオンする。このオンしたスイッチSW12を介してバッテリBAのバッテリ電圧VBと等しい電源電圧Vccが制御回路62に供給される。この電源電圧Vcc(バッテリ電圧VB)に基づいて、制御回路62は、継続的に動作する。
【0069】
次に、上記の情報収集装置60の動作状態の遷移を説明する。
図8に示す状態ST21は初期状態である。この状態において、情報収集装置60の電源はオフしている。したがって、
図1に示すスイッチSW12は非制御状態にある。スイッチSW11(「スイッチ1」と表記、以下同様)は、制御端子がダイオードD21のカソードに接続されLレベル(グランドレベル)にあり、オフしている。スイッチSW12(「スイッチ2」と表記、以下同様)はオフしている。また、情報収集装置60のバッテリBAは制御回路62等に対して十分な(動作可能な)バッテリ電圧VBを供給することができる状態にある。
【0070】
コイルL21に起電力が生じると、その起電力に基づいてスイッチSW11がオンし(状態ST22)、制御回路62の電源端子VccにバッテリBAのバッテリ電圧VBが供給され、制御回路62が起動する(状態ST23)。起動した制御回路62は、制御信号S12を出力し、その制御信号S12に基づいてスイッチSW12がオンする(状態ST24)。
【0071】
オンしたスイッチSW12を介してバッテリBAからバッテリ電圧VBが供給される。そのバッテリ電圧VBを電源電圧Vccとして装置全体が起動する(状態ST25)。コイルL21の起電力がなくなると、制御端子の電圧が低下し、スイッチSW11がオフする。
【0072】
この状態ST25において、情報収集装置60は、センサ23により収集した情報を、通信回路24及びアンテナ25を介して送信する。
また、この状態ST25において、ノイズ等の混入により、コイルL21に起電力が発生する場合がある。この起電力に基づいてスイッチSW11の制御端子の電圧が変動する。
【0073】
本実施形態において、スイッチSW11はNチャネルMOSトランジスタである。したがって、このスイッチSW11をオンするためには、ソース端子の電圧レベルよりNチャネルMOSトランジスタのしきい値電圧Vthn高い電圧が必要である。つまり、コイルL21により発生する起電力をダイオードD21により整流した直流電圧がこの必要な電圧より低い場合、スイッチSW11はオフしている。
【0074】
また、ダイオードD21により整流した電圧が必要な電圧より高い場合、スイッチSW11がオンする(状態ST26)。この場合、バッテリBAの出力電流が、互いに並列接続された2つのスイッチSW11,SW12を介して制御回路62に供給されることになる。このため、制御回路62の電源端子Vccにおける電圧は変動しない。そして、起電力がなくなると、スイッチSW11がオフし、状態ST25に遷移する。
【0075】
バッテリ電圧VBの低下、つまりバッテリ電圧VBが制御回路62の動作可能な電圧範囲より低くなると、状態ST27へ遷移し、情報収集装置60は電源オフとなる。この状態ST27において、制御回路62は停止している。したがって、スイッチSW12は非制御状態となる。つまり、スイッチSW11,SW12はオフする。
【0076】
この停止状態(状態ST27)において、ノイズ等の混入により、コイルL21に起電力が生じる場合がある。このような場合、状態ST22へ遷移し、スイッチSW11がオンする。しかし、スイッチSW11を介してバッテリ電圧VBが供給されないため、状態ST27へ遷移し、電源オフとなる。
【0077】
そして、状態ST27において、電池交換、つまりバッテリBAが交換されると、状態ST21(初期状態)へ遷移する。このように、バッテリBAの交換により、情報収集装置60が再利用される。
【0078】
(作用)
次に、上記の情報収集装置60の作用を説明する。
図1に示すコイルL21には、起動装置10からの電力供給(磁界共鳴)により起電力が発生する。この起電力は、ダイオードD21により直流電力に変換される。スイッチSW11は、この直流電力に基づいてオンする。そして、オンしたスイッチSW11を介してバッテリ電圧VBに応じた電源電圧Vccが制御回路62の電源端子Vccに供給され、制御回路62が起動する。
【0079】
起動した制御回路62は、ポートP1から制御信号S12を出力し、スイッチSW12をオンする。このオンしたスイッチSW12を介してバッテリBAのバッテリ電圧VBに応じた電源電圧Vccが制御回路62の電源端子Vccに供給される。制御回路62は、制御信号S12によりスイッチSW12のオン状態を継続することで、バッテリBAから供給される電源電圧Vccにより継続的に動作する。
【0080】
本実施形態において、スイッチSW11はNチャネルMOSトランジスタである。したがって、このスイッチSW11をオンするためには、ソース端子の電圧レベルよりNチャネルMOSトランジスタのしきい値電圧Vthn高い電圧が必要である。つまり、コイルL21により発生する起電力をダイオードD21により整流した直流電圧がこの必要な電圧より低い場合、スイッチSW11はオフしている。したがって、制御回路62の電源端子Vccにおける電源電圧Vccは変動しない。
【0081】
また、ダイオードD21により整流した電圧が必要な電圧より高い場合、スイッチSW11がオンする(
図8に示す状態ST26)。この場合、バッテリBAの出力電流が、互いに並列接続された2つのスイッチSW11,SW12を介して制御回路62に供給されることになる。このため、制御回路62の電源端子Vccにおける電圧は変動しない、またはわずかな変動となる。
【0082】
このように、本実施形態では、制御回路62の電源端子Vccにおける電源電圧Vccの変動が抑制される。
以上記述したように、本実施形態によれば、上記第一実施形態の効果に加え、以下の効果を奏する。
【0083】
(2−1)スイッチSW11はバッテリBAと制御回路62の電源端子Vccとの間に接続され、コイルL21に発生する起電力に基づいてオンする。このオンしたスイッチSW11を介して、バッテリBAのバッテリ電圧VBに応じた電源電圧Vccが制御回路62に供給される。このため、起動時において、安定した電源電圧Vccを制御回路62に供給することができる。
【0084】
(2−2)スイッチSW11は、バッテリBAと制御回路62の電源端子Vccとの間に接続されている。また、スイッチSW12は、バッテリBAと制御回路62の電源端子Vccとの間に接続され、起動後に制御回路62によりオン制御されている。情報収集装置60(制御回路62)の起動後に、コイルL21に発生する起電力に基づいてスイッチSW11がオンした場合、バッテリBAのバッテリ電圧VBは、並列に接続されたスイッチSW11,SW12を介して制御回路62の電源端子Vccに供給される。したがって、制御回路62の電源端子Vccにおける電圧は変動しない、またはわずかな変動となり、電源電圧Vccの電圧変動を抑制することができる。
【0085】
尚、上記各実施形態は、以下の態様で実施してもよい。
・上記実施形態に対し、電磁誘導方式等の他の非接触給電方式によって起動装置から情報収集装置に電力を供給し、その電力によって情報収集装置(制御回路)を起動するようにしてもよい。
【0086】
・上記実施形態では、スイッチSW1,SW2,SW11,SW22としてMOSトランジスタを用いたが、バイポーラトランジスタを用いてもよい。また、MOSトランジスタとバイポーラトランジスタとを用いてもよい。
【0087】
・上記実施形態では、人体における生体情報を収集するようにしたが、たとえば、他の生体における情報を収集するようにしてもよい。たとえば、犬や猫などのペット、牛や豚などの家畜、飼育された動物の情報を収集するようにしてもよい。
【0088】
・上記各実施形態では、生体情報を収集するようにしたが、環境情報を収集する情報収集装置としてもよい。環境情報としては、たとえば温度、音、ガス濃度、加速度、振動、等である。
【0089】
・上記実施形態では、
図3(b)に示すように配線基板40の下面にコイルL21を形成したが、配線基板40の上面にコイルL21を形成してもよい。
・上記実施形態において、スイッチSW1,SW2,SW11,SW12を適宜変更してもよい。
【0090】
図9に示す情報収集装置70の情報収集回路71は、スイッチSW22と抵抗R22を含む。スイッチSW22は、たとえばPチャネルMOSトランジスタである。スイッチSW22の第1端子(ソース端子)はバッテリBAに接続されている。スイッチSW22の第2端子(ドレイン端子)は制御回路72の電源端子Vccに接続されている。スイッチSW22の制御端子(ゲート端子)は制御回路72のポートP1に接続されている。スイッチSW22の第1端子と制御端子との間には抵抗R22が接続されている。
【0091】
抵抗R22は、バッテリBAのバッテリ電圧VBに基づいて、スイッチSW22の制御端子をプルアップする。したがって、制御回路72の非動作時に、スイッチSW22はオフしている。
【0092】
制御回路72は、上記第一実施形態の制御回路22と同様に、スイッチSW1を介して供給される電源電圧Vccに基づいて起動し、メモリ72aに格納された動作プログラムに基づいてLレベル(たとえばグランドGNDレベル)の制御信号S22を出力する。スイッチSW22は、このLレベルの制御信号S22に基づいてオンする。このオンしたスイッチSW22を介してバッテリBAのバッテリ電圧VBに応じた電源電圧Vccが制御回路72に供給される。そして、制御回路72は、所定レベル(たとえば、電圧Vhレベル)の制御信号S1を出力し、スイッチSW1をオフする。なお、制御回路72が出力する制御信号S1のレベルを、電源電圧Vccレベルとしてもよい。
【0093】
なお、上記第二実施形態のスイッチSW12を、この
図9に示すスイッチSW22及び抵抗R22と置き換えてもよい。
・上記各実施形態の通信回路24において、指令信号等を受信可能とする。制御回路22,62は、収集した情報をメモリ22a,62aに格納する。そして、制御回路22,62は、指令信号等に応答して、メモリ22a,62aから読み出した情報を、通信回路24を介して送信する。
【0094】
・上記各実施形態において、小型のメモリカード等の記録媒体に情報を格納するようにしてもよい。たとえば、バッテリBAの交換時に、記録媒体を取り出し、その記録媒体に格納された情報を情報管理装置にデータ移動する。このようにすると、通信回路24により常時通信する必要がなくなり、消費電力が低減する。このため、バッテリBAによる使用期間を長くすることが可能となる。