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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-215087(P2016-215087A)
(43)【公開日】2016年12月22日
(54)【発明の名称】噴出混合ヘッド及び噴出混合装置
(51)【国際特許分類】
   B01F 5/02 20060101AFI20161125BHJP
   B01F 3/08 20060101ALI20161125BHJP
   B01F 5/20 20060101ALI20161125BHJP
   B01F 5/18 20060101ALI20161125BHJP
   B01F 15/02 20060101ALI20161125BHJP
   B05B 7/08 20060101ALI20161125BHJP
【FI】
   B01F5/02 Z
   B01F3/08 Z
   B01F5/20
   B01F5/18
   B01F15/02 A
   B05B7/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-99622(P2015-99622)
(22)【出願日】2015年5月15日
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成26年度、独立行政法人科学技術振興機構、革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)タフ・ロボティクス・チャレンジ「極限環境での探査活動能を拡張させる革新的ロボット機構の研究開発」に係る委託業務、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】504176911
【氏名又は名称】国立大学法人大阪大学
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】特許業務法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】多田隈 建二郎
(72)【発明者】
【氏名】藤澤 隆介
【テーマコード(参考)】
4F033
4G035
4G037
【Fターム(参考)】
4F033QA01
4F033QB03X
4F033QB03Y
4F033QB10X
4F033QB10Y
4F033QB18
4F033QD02
4F033QD20
4F033QD25
4F033QE09
4F033QE15
4F033QF08X
4F033QF08Y
4F033QF14X
4F033QF14Y
4G035AB36
4G035AC14
4G035AC38
4G035AC39
4G035AE13
4G037AA02
4G037EA10
(57)【要約】
【課題】異種物の混合を内部詰まりを生じない簡易な構成で実現する。
【解決手段】円筒状基体10Aの軸方向に貫通する、材を供給するための複数の孔13を備え、複数の孔13は、主剤を供給する4個の孔13iと、硬化剤を供給する4個の孔13jとを備え、各孔13の下流の、材が噴出される下流側開口131は、軸の周方向に等距離で分散配列され、各孔13は、各下流側開口131からの材の噴出方向が1つの交点MPで交わる向きに設定されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの面を持つ基体を貫通する、材を供給するための複数の孔を備え、
前記複数の孔は、第1の材を供給する複数の第1の材供給孔と、第2の材を供給する複数の第2の材供給孔とを少なくとも備え、
前記各孔の下流の、前記材が噴出される下流側開口は、前記一の面において周方向に分散配列され、前記各孔は、前記各下流側開口からの材の噴出方向が1つの交点で交わる向きに設定されていることを特徴とする噴出混合ヘッド。
【請求項2】
前記第1、第2の材供給孔の各下流側開口は、前記円周方向において交互に配置されたことを特徴とする請求項1に記載の噴出混合ヘッド。
【請求項3】
前記1つの面は、線対称の断面テーパ状の凹面であり、前記各孔は、前記線の同心上に位置し、前記1つの交点は、前記テーパ状の部分よりも外方に設定されたことを特徴とする請求項1又は2に記載の噴出混合ヘッド。
【請求項4】
前記第1の材供給孔の下流側開口は第1の断面形状を有し、前記第2の材供給孔の下流側開口は第2の断面形状を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の噴出混合ヘッド。
【請求項5】
前記第1の材は主剤であり、前記第2の材は硬化剤である請求項1〜4のいずれかに記載の噴出混合ヘッド。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の噴出混合ヘッドに、前記円周の中心周りの回転、揺動及び並進移動の少なくとも一つの挙動を与える駆動部を備えたことを特徴とする噴出混合装置。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれかに記載の噴出混合ヘッドを相対移動可能に支持する支持体を備え、
前記第1、第2の材供給孔の上流側開口は、前記一の面とは異なる他の面において前記相対移動方向に分散配列されており、
前記支持体は、前記各上流側開口と連通する孔を有することを特徴とする噴出混合装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば異種物を同時に外方に噴出し、外空間で混合させるための噴出混合ヘッド、及び前記ヘッドを用いた噴出混合装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、2種類の液体や複数種類の物質を同時に噴出し、混合させて、例えば固形の塗布剤や接着剤を生成するものが知られている。膨張性を有する発泡ウレタンを使用する2種混合の例として、走行の障害となる溝を埋めたり(非特許文献1,2)、多種多様な対象物を把持したり(非特許文献3)する作業ロボットや移動ロボットの活動を支援する技術が提案されている。また、飛翔体に搭載された3Dプリンタの実現化を目指す提案もなされている(非特許文献4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−36144号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Nils Napp, Radhike Nagpal,"Distributed Amorphous Ramp Construction in UnstructuredEnvironments", Symposium on Distributed Autonomous Robotic Systems(DARS),Nov2012.
【非特許文献2】石橋晟人、岡崎慎也、藤澤隆介、”外界を改変することで移動可能性を拡張する環境構築型ロボット群のメカニズム”、2P1-I02、日本機械学会ロボティクス・メカトロニクス講演会 2013
【非特許文献3】多田隈建二郎、多田隈理一郎、西田健、JoseBerengueres "超膨張バブル式グリッパ機構”、2H1-4、第15回 公益社団法人計測自動制御学会システムインテグレーション部門講演会SI2014
【非特許文献4】Hunt,G.; Mitzalis,F.; Alhinai,T.;Hooper,P.A.; Kovac,M. "3D printing with flying robots" IEEEInternational Conference on Robotics and Automation 2014, Page(s):4493-4499
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、2種類の液体や複数種類の物質を混合するものは、混合過程において、混合する閉空間容器乃至はチャンバを必要とする。この構成では、混合処理終了後に容器内に残留した混合途中状態の物質が容器内で硬化して詰まってしまう虞がある。従って、混合体の噴出作業の再開の度に容器を交換する必要があった。前記した作業ロボットや移動ロボット等においても、上記の容器内詰まりが使用する上での課題となっている。すなわち、先端バルブの再噴出の都度の交換は、作業効率を著しく低下させ、消耗が激しくコストが嵩むという2次的問題に加え、何よりも移動体に搭載した場合の活動機能や活動環境に制約を与えることになる。
【0006】
ところで、特許文献1には、塗布のための各溶液を互いに平行なカーテン状に噴出し、両側からエアを吹き付けて混合させることで容器内詰まりの問題を解消するようにした塗布技術が提案されているが、溶液の噴出形態がカーテンスプレー状に限定され、また他力的手段であるエア吹き付け構造を別途要するものである。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたもので、外方に噴出された異種物を外空間で効果的に混合させて内部詰まりのない、簡易な噴出混合ヘッド及び噴出混合装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る噴出混合ヘッドは、少なくとも1つの面を持つ基体を貫通する、材を供給するための複数の孔を備え、前記複数の孔は、第1の材を供給する複数の第1の材供給孔と、第2の材を供給する複数の第2の材供給孔とを少なくとも備え、前記各孔の下流の、前記材が噴出される下流側開口は、前記一の面において周方向に分散配列され、前記各孔は、前記各下流側開口からの材の噴出方向が1つの交点で交わる向きに設定されていることを特徴とするものである。
【0009】
本発明によれば、第1の材供給孔の下流側開口から噴出される材と、第2の材供給孔の下流側開口から噴出される材とが、噴出後に、いわば能動的に交点で混合するようになる。従って、従来のように、容器内乃至はチャンバ内で混合するものではないため、簡易な構造でありながら、内部詰まりを生じることがなくなり、また作業効率が向上する。なお、本発明は、第1、第2の材の供給のみに限定されるものではなく、さらに第3の材等の供給を行う態様も含む。
【0010】
また、前記第1、第2の材供給孔の各下流側開口は、前記円周方向において交互に配置されたことを特徴とする。この構成によれば、隣接する下流側開口から異種の材が噴出されるので、異種材の混合が効果的に行われる。
【0011】
また、前記1つの面は、線対称の断面テーパ状の凹面であり、前記各孔は、前記線の同心上に位置し、前記1つの交点は、前記テーパ状の部分よりも外方に設定されたことを特徴とする。この構成によれば、交点がテーパ状の部分よりも外方である外空間に設定されるので、下流側開口が外環境の影響を受けにくく、かつ噴出される材がテーパ状の空間部分で詰まりを生じることもない。
【0012】
また、前記第1の材供給孔の下流側開口は第1の断面形状を有し、前記第2の材供給孔の下流側開口は第2の断面形状を有することを特徴とする。この構成によれば、各材を噴出する下流側開口は同一形状でもよいが、材の噴出動作に好適な下流側開口の形状を設定することが可能となる。
【0013】
また、前記第1の材は主剤であり、前記第2の材は硬化剤である。この構成によれば、外部支持体や構造的道具を3次元で構成することが可能となる。
【0014】
また、本発明に係る噴出混合装置は、請求項1〜5のいずれかに記載の噴出混合ヘッドに、前記円周の中心周りの回転、揺動及び並進移動の少なくとも一つの挙動を与える駆動部を備えたことを特徴とするものである。本発明によれば、噴出材にさらに振動を付与することで混合処理効率を高めることが可能となる。
【0015】
また、本発明に係る噴出混合装置は、請求項1〜5のいずれかに記載の噴出混合ヘッドを相対移動可能に支持する支持体を備え、前記第1、第2の材供給孔の上流側開口は、前記一の面とは異なる他の面において前記相対移動方向に分散配列されており、前記支持体は、前記各上流側開口と連通する孔を有することを特徴とするものである。本発明によれば、支持体を相対移動させることで下流側開口を開閉する弁機能を実現することが可能となる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、異種物の混合を内部詰まりを生じない簡易な構成で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明に係る噴出混合装置が適用される環境改変型の移動体の全体概略図である。
図2】噴出混合ヘッドの第1実施形態を示す構成図で、(a)は透明化した斜視図、(b)は上面図、底面図、c−c線縦断面図を含む図である。
図3】第1実施形態の噴出混合ヘッドを用いた噴出混合装置を含む概略構成図である。
図4】噴出混合ヘッドの第2実施形態を示す構成図で、(a)は透明化した斜視図、(b)は底面図、c−c線縦断面図を含む図である。
図5】噴出混合ヘッドの第3実施形態を示す構成図で、(a)は透明化した斜視図、(b)は底面図、c−c線縦断面図を含む図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、本発明に係る噴出混合装置が適用される環境改変型の移動体の全体概略図である。図1の適用例は、作業者が踏み込めないような環境下での作業、例えば災害現場での状況をモニタリングする移動体である。噴出混合装置1は、走行車200に搭載されている。走行車200は、走行手段としてのクローラ(Crawler)や、本例のような車輪202及び図略の操舵部とを備える基台201と、モニタ用の1又は複数の撮像手段203と、必要に応じて搭載されたロボットハンド等のアクチュエータ204などを備えている。アクチュエータ204に代えて各種の環境計器類でもよい。
【0019】
また、走行車200は、基台201に立設された所定長の支柱205を備え、その上部に噴出混合装置1及び噴出対象となる溶剤の容器を支持する容器支持部100を含む環境改変部が搭載されている。また、図では示していないが、各種の駆動部位(例えば、走行車輪202や操舵、アクチュエータ204、更には撮像手段203)を自動であるいはマニュアル操作によって駆動させる駆動手段を備えている。遠隔制御を行うマニュアル操作の場合には、駆動指示信号を受信し、また撮像信号を送信する有線又は無線式の送信、受信部を備えている。
【0020】
容器支持部100は、好ましくは速乾性の発泡接着剤を生成するべく、例えば発泡ウレタン等の主剤を収容する容器130と硬化剤を収容する容器140を支持する。容器支持部100は、さらに必要に応じて、洗浄剤を収容する容器150を支持する。
【0021】
図1の適用例では、噴出混合装置1は、発泡ウレタン等の主剤と硬化剤とを個別に所望時間だけ噴出させ、外空間の1点で混合させて化学反応を連続的に生じさせ、固形化しつつある接着剤の成形体CLとして落下させる。噴出混合装置1の動作は、前記同様、自動あるいは有線又は無線式で遠隔指示すればよい。走行車200は、撮像手段203あるいは別途、超音波を利用した公知の障害物センサを利用して、進行方向乃至は周囲の床面FLの整地状況を監視する。走行車200は、進行方向に例えば溝とかの凹みDE等の障害を検出した場合、走行車200を一旦停止させ、噴出混合装置1を駆動させて、成形体CLを生成し、凹みDE内に落下させる。成形体CLが速乾性である場合には、例えば数分で硬化し、凹みDEが埋められて舗装(整地化)が完了する。従って、走行車200は移動を再開し、より広い範囲のモニタリングを可能とする。なお、障害物は凹みDEに限定されず、床面FLで集中して山積み状態にある各種のデブリ等にも適用可能である。すなわち、上方から発泡接着剤である成形体CLを吹き付けて、全体を被うなどすることで一塊化して崩れを防止した状態にし、容易に乗り越えるようにする態様も想定している。
【0022】
噴出混合装置1は、噴出混合ヘッド10、支持部20、主剤用の流路系30、硬化剤用の流路系40、及び洗浄用の配管50を含み、さらに噴出混合ヘッド10の開口の開閉を行う弁駆動部60を備えている。なお、駆動部70は後述する。
【0023】
噴出混合ヘッド10は、詳細な構造は図2図3で説明するが、本実施形態では、2種類の異なる溶剤を、すなわち前述したように主剤としての発泡ウレタンと硬化剤としてのイソシアネート等とを個別に噴出させるものである。支持部20は、噴出混合ヘッド10を相対移動可能に支持するもので、この相対移動によって噴出口の開閉、すなわち弁機能を実現している。主剤の流路系30は、支持部20を介して噴出混合ヘッド10と容器130とを連通する配管系である。硬化剤の流路系40は、支持部20を介して噴出混合ヘッド10と容器140とを連通させる配管系である。なお、配管50は、流路系40と容器150とを連通する配管系である。流路系30,40及び配管50は必要に応じてフレキシブル構造を採用することができ、詳細については後述する。
【0024】
図2に示すように、噴出混合ヘッド10は、樹脂あるいは金属等で構成され、所定径、例えば直径3〜4cm程度の円筒形状の基体10Aを有する。基体10Aには、軸中心に沿って下面、上面間に亘る所定径の中心孔11が穿設されている。また、基体10Aの下面は、軸対称に穿設されて、断面テーパ状の凹面12が形成されている。断面テーパ状の凹面12は、例えば所定の傾斜面、例えば45°を有する円錐台形状である。図2に示す第1の実施形態では、凹面12は、穿設された円錐台の底面に相当する部位の円周長が短い。なお、凹面12の断面テーパ部は、断面直線状の他、例えば紡錘状のような断面曲線でもよい。
【0025】
基体10Aには、軸の周囲に、軸に沿って下面、上面間を貫通する所定径、例えば直径5mmの孔13が複数、本例では8個穿設されている。孔13の下流側の開口131は、凹面12の下端縁側であって、軸の周りの所定半径上に等間隔となるよう位置決めされている。第1の実施形態では、隣接する孔13の中心間寸法が狭めに、例えば5mmに設定されている。孔13の上流の開口132は、上面側の軸の周りの所定半径上に等間隔となるよう位置決めされている。上流の開口132は、弁機能を実現するべく、隣接する開口間の寸法が少なくとも開口の寸法以上に設定されている。なお、上流の開口132は、円周上に配列される他、種々の配置形状が採用可能である。
【0026】
また、各孔13は、開口132から開口131に向かうにつれて軸の中心側に漸近し、開口131からの外方への延長線が外空間(図2(b)の断面視で凹面12の下端縁121よりも外側(凹面12の形成領域の外方))における1つの交点MPで交わるようになっている。交点MPは、後述するように、各孔13の開口131から溶剤が噴出された場合に、噴出方向の交点であり、従って噴出した溶剤が混合することを意味する。なお、開口131からの外方への延長線には、幾何学的な場合の他、自然落下を考慮した多少の成分を加味したものを適宜含むものとする。交点MPは、基体10Aの軸線と一致していても、していなくてもよい。噴出した溶剤を前記したように外空間で混合するので、容器及びチャンバ内詰まりは発生しない。
【0027】
円周方向に配置された8個の孔13は、本実施形態では、互いに隣接する孔13に異なる溶剤が供給される。例えば、図2(b)において、後述するように、孔13iには上流側の開口132iを介して容器130からの主剤が供給され、孔31jには開口132jを介して容器140からの硬化剤が供給される。このように、主剤と硬化剤とを隣接する噴射口となる開口131から噴出して交点MPで混合させるので、混合効率を高めることが可能となる。なお、連続する2個毎に同一の溶剤を噴出する態様としてもよい。また、溶剤の種類、混合割合等によっては、同数の孔13に配分せず、例えば3個と5個というように振り分けてもよい。
【0028】
図2、さらに図3に示すように、支持部20は、好ましくは金属で構成され、円筒形状を有し、下流面が噴出混合ヘッド10の上面に当接して同心状に配置される。支持部20は、容器支持部100と同じ静止側に支持されている。また、支持部20は、噴出混合ヘッド10に形成されている中心孔11及び各孔13とそれぞれ連通する位置に、対応して同じ径を有する中心孔21及び各孔22が軸方向に平行に穿設されている。なお、孔22と孔21とは、対向位置にあればよく、必ずしも同一径でなくてもよい。
【0029】
図3に示すように、支持部20の近傍には、回転軸61及び回転駆動源であるモータ62を備える弁機構部60が配設されている。回転軸61は、噴出混合ヘッド10の中心孔11及び支持部20の中心孔21を貫通している。回転軸61は、噴出混合ヘッド10と支持部20との一方と相対回転可能なように、例えば噴出混合ヘッド10と一体回転する一方、支持部20とは空回りする。回転軸61の上流端はモータ62の出力軸に連結されている。モータ62は、容器支持部100と同じ静止側に支持されている。従って、モータ62が例えば逆転駆動されると、噴出混合ヘッド10が軸周りに回転し、噴出混合ヘッド10の各孔13と支持部20の各孔22との対向位置関係がずれて、開口131が開状態から閉状態に切換えられ、溶剤の噴出が停止される。一方、モータ62が正転方向に駆動されると、開口131が閉状態から開状態に切換えられ、溶剤の噴出が可能にされる。1個の開口132のピッチ分の回転量(回転角度)の制御用として、例えば正転、逆転方向に対して各ストッパを設けておけば、回転制御が容易となる。なお、モータ62に代えて、マニュアル操作で行う態様としてもよい。例えば回転軸61の上流端側に把持部を設け、この把持部で正逆方向に回転操作することで開口131を開閉切換え操作するようにしてもよい。
【0030】
このように、噴出混合ヘッド10と支持部20との対向部位に弁機能を持たせたので、閉止時の溶剤の孔内残留量を極力少なくすることができる。なお、弁機能は弁機構部60による他、支持部20と流路系30,40との間に設けてもよいし、流路系30,40の途中に設けてもよい。また、開口131を直接開閉する蓋部材を弁として設けてもよい。
【0031】
流路系30は、主剤の容器130と噴出混合ヘッド10の開口132iとを支持部20を介して連通する。流路系30は、容器130と噴出混合ヘッド10の開口132iとを連通する支持部20の孔22(4個)とを繋ぐ分岐を含む配管31と、配管31の下流端と支持部20の孔22とを連結する接続治具32と、配管途中であって、分岐の上流側に介在された、溶剤噴出用のポンプ33とを備えている。なお、発泡材を含む主剤の場合にはポンプ33を用いなくても、溶剤の噴出は可能である。
【0032】
流路系40は、容器140と噴出混合ヘッド10の開口132jとを支持部20を介して連通する。流路系40は、容器140と噴出混合ヘッド10の開口132jとを連通する支持部20の孔22(4個)とを繋ぐ分岐を含む配管41と、配管41の下流端と支持部20の孔22とを連結する接続治具42と、配管途中であって、分岐の上流側に介在された、硬化剤噴出用のポンプ43とを備えている。また、ポンプ43のさらに上流側には、必要に応じて、容器150と連通する配管50が分岐形成されている。分岐位置には、方向切替弁44が介在されている。方向切替弁44は、公知のように電磁式でもよいし、マニュアル式でもよい。方向切替弁44を操作することで、容器140の硬化剤を噴出混合ヘッド10に供給したり、硬化剤供給後に、容器150の洗浄剤を配管41を含む下流側の開口131bまで流すことで、配管等の詰まり発生を防止している。容器150及び配管50は溶剤単体でも内部詰まりを生じる可能性のある場合に採用すればよい。また、ポンプ33,43は容器を上方に配置し、自由落下で開口131から材の噴出が現可能な場合、特に設けなくてもよい。
【0033】
図4は、噴出混合ヘッドの第2実施形態を示す。第2実施形態は、第1の実施形態と比較して、噴出混合ヘッド10bの凹面12bのサイズの差に関連する相違点の他は同一である。基体10Bの下面の断面テーパ状の凹面12bは、第1の実施形態と同一の傾斜面、例えば45°を有する円錐台形状である。凹面12bは、穿設された円錐台の底面に相当する部位の円周長が第1の実施形態と比べて長い。基体10Bには、第1の実施形態と同様、直径5mmの孔13bが8個が穿設されている。孔13bの下流側の開口131bは、凹面12bの下端縁側であって、軸の周りの所定半径上に等間隔となるよう位置決めされている。第2の実施形態では、隣接する開口131bの中心間寸法が、例えば10mmに設定されている。
【0034】
図5は、噴出混合ヘッドの第3実施形態を示す。第3実施形態は、第1、第2の実施形態と比較して、噴出混合ヘッド10cの凹面12cのサイズの差に関連する相違点の他は同一である。基体10Cの下面の断面テーパ状の凹面12cは、第1、第2の実施形態と同一の傾斜面、例えば45°を有する円錐台形状である。凹面12cは、穿設された円錐台の底面に相当する部位の円周長がさらに長い。基体10Cには、第1、第2の実施形態と同様、直径5mmの孔13cが8個が穿設されている。孔13cの下流側の開口131cは、凹面12cの下端縁側であって、軸の周りの所定半径上に等間隔となるよう位置決めされている。第3の実施形態では、隣接する開口131cの中心間寸法が、例えば15mmに設定されている。
【0035】
溶剤の噴出口となる開口131,131b、131cの中心間寸法の異なるものを用途等に応じて種々使い分けることで、用途に応じた混合状況を得ることが可能となる。また、開口131b、131cは、中心間寸法がより大きくなるが、その分、開口の個数を増やすことも可能となり、それによって混合効率を一層高めることが可能となる。
【0036】
本発明は、以下の態様を採用することが可能である。
【0037】
(1)溶剤の種類の他、噴出混合ヘッド10の開口131の個数、サイズ、形状、中心間寸法、噴出角度、及び噴出混合ヘッド10の材質、孔13また孔13i,13jの表面粗さ等の各要素を考慮して混合効率をより高めることが可能となる。
【0038】
(2)前記実施形態では、開口131等の個数を8個としたが、これに限定されず、各材に対して少なくとも1個の開口が対応付けられていればよく、また、材毎に複数の開口を採用することが、混合効率上好ましい。また、前記実施形態では、開口131等を円周上に等間隔に配置したが、円周を1重でなく、2重さらにそれ以上とするものでもよい。また、各開口からの噴出後に1つの交点で交われば、開口の位置は円周上の等間隔位置に限定されず、例えば千鳥状その他の種々の配置形状が採用可能である。また、開口131の近傍となる孔13の形状を螺旋状とし、開口131に向きを付けるなどすることで、材を螺旋的に噴出し、効率的に混合させることが可能となる。
【0039】
(3)噴出混合装置1は、走行車200に搭載する他、作業者が携帯して操作する態様でもよい。また、走行車200に搭載する他、飛行体、水中移動体に配備してもよい。適用対象は種々考えられ、例えば前記走行の障害としての溝、隙間等の凹みの補修等の外部支持体の構成や船状浮遊体や梯子・スロープ等の構造的道具を構成することが想定される。
【0040】
(4)噴出材は、発泡ウレタンやエポキシ系接着剤等と硬化剤のような化学反応を生じるものに限定されず、種々の用途に適用でき、例えば栄養分を含有する粘性溶剤と育成対象の種子等の粒状物とを噴出し混合することで、植生、緑地化等の自然環境改変に有効となる。また、噴出材は、混合によって所期の目的を達成する混合物になれば、2種類に限らず、3種類、さらにそれ以上の複数種類であってもよい。また、1つの開口から複数種類の材を噴出する態様でもよい。さらに、環境は大気中に限らず、液中でもよい。
【0041】
(5)前記実施形態では、溶剤の噴出中は噴出混合ヘッド10を静的なものとしたが、噴出中に能動的に制御するようにして、より混合効率を高めるようにしてもよい。例えば、噴出混合装置1を噴出混合ヘッド10の軸中心に正逆に揺動回転させたり、並進運動させたりする、静止側に支持される駆動部70(図1参照)を追加すればよい。例えば駆動部70は、支持部20の外周に軸受を介して設けた回転駆動機構とし、これを振動駆動することで相対的に噴出混合装置1に正逆揺動を与える。また、駆動部70は、噴出混合装置1にある面上で、例えば水平面上で振動を与える振動発生器でもよい。
【符号の説明】
【0042】
1 噴出混合装置
10 噴出混合ヘッド
10A 基体
12 凹面(断面テーパ状の凹面)
13 孔
13i 第1の材供給孔
13j 第2の材供給孔
131 下流側開口
132 上流側開口
20 支持部(支持体)
22 孔
30,40 配管
130,140 容器
60 弁駆動部
70 駆動部
MP 交点
図1
図3
図2
図4
図5