(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-216764(P2016-216764A)
(43)【公開日】2016年12月22日
(54)【発明の名称】マグネトロンスパッタリング装置用のカソードユニット及びこのカソードユニットを用いたスパッタリング方法
(51)【国際特許分類】
C23C 14/35 20060101AFI20161125BHJP
C23C 14/34 20060101ALI20161125BHJP
【FI】
C23C14/35 C
C23C14/34 S
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-100494(P2015-100494)
(22)【出願日】2015年5月15日
(71)【出願人】
【識別番号】000231464
【氏名又は名称】株式会社アルバック
(74)【代理人】
【識別番号】110000305
【氏名又は名称】特許業務法人青莪
(72)【発明者】
【氏名】藤井 佳詞
(72)【発明者】
【氏名】中村 真也
【テーマコード(参考)】
4K029
【Fターム(参考)】
4K029AA24
4K029BA44
4K029BD01
4K029DA08
4K029DC25
4K029DC33
4K029DC34
4K029DC39
4K029DC40
4K029DC45
4K029FA09
(57)【要約】
【課題】ターゲットのスパッタ面側に発生する漏洩磁場の強度分布を変更することができるマグネトロンスパッタリング装置用のカソードユニットを提供する。
【解決手段】ターゲット31のスパッタ面と31a背向する側に配置されてターゲットのスパッタ面側に漏洩磁場を発生させる磁石ユニット4と、漏洩磁場の強度を局所的に変化させる磁場強度変更手段5とを備える本発明のマグネトロンスパッタリング装置SM用のカソードユニットCは、磁場強度変更手段が、ターゲットと磁石ユニットとの間に設けられて選択的に磁性流体が留められるタンク部51と、タンク部に対して磁性流体を供給する供給部と、タンク部から磁性流体を排出する排出部とを有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ターゲットのスパッタ面と背向する側に配置されてターゲットのスパッタ面側に漏洩磁場を発生させる磁石ユニットと、漏洩磁場の強度を局所的に変化させる磁場強度変更手段とを備えるマグネトロンスパッタリング装置用のカソードユニットにおいて、
磁場強度変更手段は、ターゲットと磁石ユニットとの間に設けられて選択的に磁性流体が留められるタンク部と、タンク部に対して磁性流体を供給する供給部と、タンク部から磁性流体を排出する排出部とを有することを特徴とするマグネトロンスパッタリング装置用のカソードユニット。
【請求項2】
タンク部は、スパッタ面と平行な同一平面内に敷設した複数本の配管で構成され、前記供給部は、複数本の配管の中から選択的に磁性流体を供給できるように構成されることを特徴とする請求項1記載のマグネトロンスパッタリング装置用のカソードユニット。
【請求項3】
請求項1記載のマグネトロンスパッタリング装置用のカソードユニットを用いたスパッタリング方法において、
磁石ユニットによりターゲットのスパッタ面側に漏洩磁場を発生させ、かつ、タンク部に磁性流体を留めた状態で、ターゲットのスパッタ面をスパッタリングして基板表面に成膜する成膜工程と、
タンク部から磁性流体を排出した状態で、ターゲットのスパッタ面をスパッタリングするダミースパッタリング工程とを含むことを特徴とするスパッタリング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マグネトロンスパッタリング装置用のカソードユニット及びスパッタリング方法に関し、より詳しくは、ターゲットのスパッタ面側に発生させる漏洩磁場の強度を局所的に変化させることができるものに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、不揮発性メモリ等の半導体デバイスの製造工程においては、半導体ウエハなどの処理すべき基板の表面に誘電体膜を量産性良く成膜するために、マグネトロンスパッタリング装置が用いられる。マグネトロンスパッタリング装置には、通常、平面視円形のターゲットのスパッタ面と背向する側に磁石ユニットが配置されている。このとき、磁石ユニットによりターゲットのスパッタ面側に発生される漏洩磁場に応じてスパッタ面の所定の領域が侵食される一方で、スパッタ面のその他の領域は、侵食されない非侵食領域として残る。
【0003】
ここで、ターゲットの侵食される領域(エロージョン領域)が一部に偏ると、ターゲットを効率的に利用することができず、ターゲットの厚さに応じた寿命に達する前にターゲットを交換することになる。ターゲットが誘電体成膜用の高価なターゲットであるような場合、製造コストが多大となる。そこで、漏洩磁場の強度を局所的に変化させる磁場強度変更手段としてシャント板を備えるものが特許文献1で知られている。
【0004】
ところで、ターゲットの非浸食領域には、スパッタリング中、ターゲットのスパッタリングにより発生したスパッタ粒子が再付着してリデポ膜が形成される。このリデポ膜は、パーティクル等となって製品歩留まりの低下を招来する原因になり得るため、所定の厚さ以上のリデポ膜が形成される前に、ダミースパッタリングを行うことでリデポ膜が除去されるが、リデポ膜を除去するのに多大な時間を要するため、生産効率を低下させる要因となる。リデポ膜を除去する際、漏洩磁場の強度を局所的に変化させて強度分布を変更することができれば、ターゲットの浸食領域が変化するため、リデポ膜を効率よく除去することができる。しかしながら、上記従来例のものでは、シャント板が一旦配置された後では、漏洩磁場の強度分布を変更することができないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−16634号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、以上の点に鑑み、ターゲットのスパッタ面側に発生する漏洩磁場の強度分布を変更することができるマグネトロンスパッタリング装置用のカソードユニットを提供することを第1の課題とし、また、リデポ膜を効率よく除去することができるスパッタリング方法を提供することを第2の課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記第1の課題を解決するために、ターゲットのスパッタ面と背向する側に配置されてターゲットのスパッタ面側に漏洩磁場を発生させる磁石ユニットと、漏洩磁場の強度を局所的に変化させる磁場強度変更手段とを備える本発明のマグネトロンスパッタリング装置用のカソードユニットは、磁場強度変更手段が、ターゲットと磁石ユニットとの間に設けられて選択的に磁性流体が留められるタンク部と、タンク部に対して磁性流体を供給する供給部と、タンク部から磁性流体を排出する排出部とを有することを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、タンク部に磁性流体を供給し留めた状態と、タンク部から磁性流体を排出した状態とを切り替えることで、ターゲットのスパッタ面側に発生する漏洩磁場の強度分布を変更することができる。
【0009】
本発明において、タンク部は、スパッタ面と平行な同一平面内に敷設した複数本の配管で構成され、前記供給部は、複数本の配管の中から選択的に磁性流体を供給できるように構成されることが好ましい。これによれば、複数本の配管のうち磁性流体を供給する配管を選択することで、漏洩磁場の強度分布をより一層細かく変更することができる。
【0010】
また、上記第2の課題を解決するために、上記マグネトロンスパッタリング装置用のカソードユニットを用いた本発明のスパッタリング方法は、磁石ユニットによりターゲットのスパッタ面側に漏洩磁場を発生させ、かつ、タンク部に磁性流体を留めた状態で、ターゲットのスパッタ面をスパッタリングして基板表面に成膜する成膜工程と、タンク部から磁性流体を排出した状態で、ターゲットのスパッタ面をスパッタリングするダミースパッタリング工程とを含むことを特徴とする。
【0011】
本発明によれば、タンク部に磁性流体を留めた状態で成膜すると、ターゲットの非侵食領域にリデポ膜が形成される。タンク部から磁性流体を排出して漏洩磁場の強度分布を変更した状態でダミースパッタリングを行うことで、成膜工程において非侵食領域であったターゲットの部分が侵食され、効率よくリデポ膜を除去できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施形態のカソードユニットを備えるマグネトロンスパッタリング装置を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、マグネトロンスパッタリング装置(以下「スパッタリング装置」という)に組み付けられるものを例に、本発明の実施形態のカソードユニットについて説明する。以下においては、「上」「下」といった方向を示す用語は、
図1を基準とする。
【0014】
図1に示すように、スパッタリング装置SMは、ロータリーポンプ、ターボ分子ポンプなどの真空排気手段Pを介して所定の真空度に保持できる真空チャンバ1を備える。真空チャンバ1の側壁には、マスフローコントローラ10を介設したガス管11が接続されており、図示省略のガス源からスパッタガスを真空チャンバ1内に導入できるようになっている。スパッタガスには、Ar等の希ガスだけでなく、反応性スパッタリングを行う場合には酸素ガスが含まれるものとする。
【0015】
真空チャンバ1の底部には、基板ステージ2が配置されている。基板ステージ2は、図示省略する公知の静電チャックを有し、静電チャックの電極にチャック電源からチャック電圧を印加することで、基板ステージ2上に基板Wをその成膜面を上にして吸着保持できるようになっている。
【0016】
真空チャンバ1の上壁に形成された開口には、カソードユニットCが配置されている。カソードユニットCは、ターゲットアッセンブリ3と、磁石ユニット4と、磁場強度変更手段5とで構成されている。
【0017】
ターゲットアッセンブリ3は、スパッタ面31aが基板ステージ2を臨むように配置されるターゲット31と、ターゲット31の上面(
図1中、スパッタ面31aと背向する面)にインジウムやスズなどのボンディング材を介して接合されるバッキングプレート32とを備える。ターゲット31は、基板Wに成膜しようとする薄膜の組成に応じて適宜選択される金属や絶縁物から成り、公知の方法により基板Wより一回り大きい外形(例えば平面視円形)となるように作製されている。バッキングプレート32に形成された図示省略の通路に冷却水を循環させることで、スパッタリングによる成膜中、ターゲット31を冷却できるようになっている。バッキングプレート32の外周部が絶縁部材Iを介して真空チャンバ1の上壁に取り付けられている。ターゲット31にはスパッタ電源Eが接続され、スパッタリング時、ターゲット3に直流電力や交流電力を投入できるようになっている。
【0018】
バッキングプレート32の上方には磁石ユニット4が配置され、ターゲット31のスパッタ面31aの下方空間に漏洩する磁場を発生させ、スパッタリング時にスパッタ面31aの下方で電離した電子等を捕捉してターゲット31から飛散したスパッタ粒子を効率よくイオン化している。
図2も参照して、磁石ユニット4は、ヨーク41と、ヨーク41の下面に環状に列設した複数個の第1の磁石42aと、第1の磁石42aの周囲を囲うように環状に列設した第1の磁石42aと同磁化の複数個の第2の磁石体42bとを有する。ヨーク41上面には回動手段43の回転軸43aが接続され、回転軸43aを回転駆動することで、ターゲット31の中心を回転中心として第1及び第2の磁石42a,42bを回転駆動できるようになっている。
【0019】
本実施形態の磁場強度変更手段5は、ターゲット31と磁石ユニット4との間に設けられて選択的に磁性流体が留められるタンク部51としての環状の配管と、磁性流体を貯蔵する容器52と、容器52からの磁性流体をタンク部51に供給する供給管53と、タンク部51から排出される磁性流体を容器52に戻す排出管54と、容器52に圧縮空気を供給する配管55及びポンプ56とを備える。供給管53の途中には開閉弁V1が設けられ、開閉弁V1の下流で供給管53が分岐され、その分岐管53aと配管55とが三方弁V2を介して接続されている。開閉弁V1を開き、配管55と分岐管53aとが連通しないように三方弁V2を操作した状態でポンプ56を作動させると、ポンプ56からの圧縮空気が配管55を介して容器52内に供給され、容器52内の磁性流体が供給管53を介してタンク部51に供給され、タンク部51に磁性流体が留められる。磁性流体としては、例えば、公知の磁性コロイド溶液を用いることができるため、ここでは詳細な説明を省略する。粘性の低い磁性流体を用いる場合、タンク部51に磁性流体を連続的に供給することで、タンク部51に磁性流体を留めることができる。粘性の高い磁性流体を用いる場合、タンク部51に磁性流体を留めた後、タンク部51への磁性流体の供給を一旦停止してもよい。
【0020】
また、開閉弁V1を閉じ、三方弁V2を切り替えて配管55と分岐管53aとを連通させると、ポンプ56からの圧縮空気が分岐管53a及び供給管53を介してタンク部51に供給され、これにより、タンク部51から磁性流体が排出され、排出された磁性流体は排出管54を介して容器52に戻される。このように、タンク部51に磁性流体を供給し留めた状態と、タンク部51から磁性流体を排出した状態とを切り替えることで、ターゲット31のスパッタ面31a側に発生する漏洩磁場の強度分布を変更することができる。尚、タンク部51から磁性流体を排出するとき、磁石42a,42bの磁場の作用により排出し難い場合には、磁石ユニット4を回転させることで磁性流体を効率よく排出できてよい。
【0021】
上記スパッタリング装置SMは、マイクロコンピュータやシーケンサ等を備えた公知の制御手段を有し、マスフローコントローラ10の稼働、真空排気手段Pの稼働、スパッタ電源Eの稼働、回動手段43、開閉弁V1や三方弁V2の操作、後述する三方弁V3,V4や開閉弁Va〜Vjの操作、ポンプ56の駆動等を統括制御するようにしている。以下、上記スパッタリング装置SMを用いた本発明の実施形態のスパッタリング方法について説明する。
【0022】
先ず、開閉弁V1を開けると共にポンプ56を作動させて圧縮空気を容器52に供給し、容器52に貯留された磁性流体を供給管53を介してタンク部51に供給し留める。この状態で、アルミナ製のターゲット31が配置された真空チャンバ1内を所定の真空度(例えば、1×10
−5Pa)まで真空引きし、図外の搬送ロボットにより真空チャンバ1内に基板Wを搬送し、基板ステージ2に基板Wを受け渡し、静電吸着する。このとき、基板ステージ2をヒータ等により加熱し、基板Wを所定温度に加熱してもよい。次いで、磁石ユニット4を回転させながら、スパッタガスたるアルゴンガスを所定流量で導入し、スパッタ電源Eからターゲット31に交流電力(例えば、13.56MHz、4kWの高周波電力)を投入することにより、真空チャンバ1内にプラズマを形成する。これにより、ターゲット31のスパッタ面31がスパッタされ、飛散したスパッタ粒子が基板Wの表面に付着、堆積してアルミナ膜が成膜される(成膜工程)。
【0023】
ここで、成膜工程中、ターゲット31の所定領域(例えば、ターゲット31の中心を含む中央領域)は侵食されずに非浸食領域となり、この非侵食領域にターゲット31から飛散したスパッタ粒子の一部が再付着するとリデポ膜が形成される。このリデポ膜がターゲット31から剥離して基板Wに堆積すると、パーティクル等となって製品歩留まりの低下を招来する原因となり得る。そこで、例えば、スパッタ電源Eからターゲット31への積算電力投入時間(積算電力)が所定値(例えば、1.5kWh)に達したとき、ダミー基板を基板ステージ2に保持し、次のダミースパッタリング工程を行う。
【0024】
ダミースパッタリング工程では、開閉弁V1を閉じると共にポンプ56を作動させて圧縮空気をタンク部51に供給し、タンク部51から磁性流体を排出する。これにより、ターゲット31のスパッタ面31a側に発生する漏洩磁場の強度が局所的に変化し、漏洩磁場の強度分布を変更することができる。その結果、ターゲット31の侵食される領域が成膜工程から変化する。この状態でターゲット31を所定時間スパッタリング(ダミースパッタリング)する。ダミースパッタリングの条件としては、成膜工程とは異なる条件(例えば、低圧)を用いることができる。このようにターゲット31の侵食される領域を変化させてダミースパッタリングすることにより、成膜工程でターゲット31に付着したリデポ膜を効率よく除去できる。
【0025】
所定時間ダミースパッタリングを行った後、次の基板に対する成膜工程を行う前に、タンク部51に磁性流体を供給し留めることにより、漏洩磁場の強度分布を元に戻すことができ、成膜工程で膜厚や膜質の面内分布よく成膜を行うことができる。
【0026】
以上説明したように、タンク部51に磁性流体を留めた状態と、タンク部51から磁性流体を排出した状態とを切り替えることで、ターゲット31のスパッタ面31a側に発生する漏洩磁場の強度を局所的に変化させることができ、ひいては、漏洩磁場の強度分布を変更することができる。
【0027】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態では、ターゲット31の中央領域が非侵食領域となる場合に、非侵食領域の内側にタンク部51を設けた例について説明したが、ターゲット31の外周領域が非侵食領域となる場合には、
図3に示すように、ターゲット31の外縁に沿ってタンク部51を設置すればよい。さらに、
図4に示すように、
図2と同様のタンク部51aたる環状の配管と、
図3と同様のタンク部51bたる環状の配管とを併設してもよい。この場合、供給管53と配管51a,51bとの接続箇所に三方弁V3を設けると共に、排出管54と配管51a,51bとの接続箇所に三方弁V4を設ける。そして、これら三方弁V3,V4を切り換えることで、磁性流体を供給し留める配管51a,51bを選択する。また、三方弁V3,V4を切り換えることで、磁性流体を排出する配管51a,51bを選択する。これによれば、ターゲット31の非侵食領域に応じて、つまり、非侵食領域がターゲット31の中央領域か外周領域かに応じて、タンク部51a,51bを選択することができる。
【0028】
また、上記実施形態では、タンク部51を環状の配管で構成する場合について説明したが、タンク部51はこれに限定されず、例えば、
図5に示すように、スパッタ面31aと平行な同一平面内に格子状に敷設した複数本の配管51a〜51jで構成してもよい。このものでは、上記平面上で互いに直交する2方向をX方向、Y方向とし、供給管53が2つの供給管53a,53bに分岐され、供給管53aにX方向にのびる複数本の配管51a〜51eを接続し、供給管53bにY方向にのびる複数本の配管51f〜51jを接続し、各配管51a〜51jに夫々開閉弁Va〜Vfを設けている。これによれば、上記制御手段により開閉弁Va〜Vfの開閉制御を行うことで、複数本の配管51a〜51jのうち磁性流体を供給し留める配管を選択することができる。これにより、漏洩磁場の強度分布をより一層細かく変更することができ、ひいては、膜質や膜質の面内分布を容易に変化させることができて有利である。尚、複数本の配管は格子状に敷設しなくてもよく、例えば、径の異なる環状の配管の複数本(
図4は2本の例を示す。)を同心に敷設することでタンク部を構成してもよい。
【0029】
また、上記実施形態では、ダミースパッタリング時に基板ステージ2にダミー基板を保持しているが、ターゲット31と基板ステージ2との間に進退自在な公知のシャッターを設け、ダミースパッタリング時に両者の間にシャッターを進入させるようにしてもよい。これによれば、ダミー基板の出し入れの時間が不要となり、スループットを向上できてよい。
【符号の説明】
【0030】
C…カソードユニット、SM…マグネトロンスパッタリング装置、V1,Va〜Vj…開閉弁(供給部)、V2…三方弁(供給部、排出部)、V3,V4…三方弁(供給部、排出部)、31…ターゲット、31a…スパッタ面、4…磁石ユニット、5…磁場変更手段、51…配管(タンク部)、51a〜51j…配管(タンク部)、53…排出管(排出部)、54…供給管(供給部)、56…ポンプ(供給部、排出部)。