特開2016-216772(P2016-216772A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特開2016-216772金属積層造形と塑性加工を複合した金属素材の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-216772(P2016-216772A)
(43)【公開日】2016年12月22日
(54)【発明の名称】金属積層造形と塑性加工を複合した金属素材の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B22F 3/24 20060101AFI20161125BHJP
   B22F 3/16 20060101ALI20161125BHJP
   B22F 3/105 20060101ALI20161125BHJP
   B22F 3/17 20060101ALI20161125BHJP
   B22F 3/20 20060101ALI20161125BHJP
   B22F 3/18 20060101ALI20161125BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20161125BHJP
   B33Y 80/00 20150101ALI20161125BHJP
   B22D 11/00 20060101ALN20161125BHJP
【FI】
   B22F3/24 D
   B22F3/16
   B22F3/105
   B22F3/17 A
   B22F3/20 A
   B22F3/20 D
   B22F3/18
   B33Y10/00
   B33Y80/00
   B22D11/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-101274(P2015-101274)
(22)【出願日】2015年5月18日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 刊行物名 平成27年度塑性加工春季講演会講演論文集第414 発行日 平成27年5月11日
(71)【出願人】
【識別番号】301021533
【氏名又は名称】国立研究開発法人産業技術総合研究所
(72)【発明者】
【氏名】梶野 智史
(72)【発明者】
【氏名】岡根 利光
(72)【発明者】
【氏名】本山 雄一
【テーマコード(参考)】
4K018
【Fターム(参考)】
4K018BA03
4K018BA08
4K018EA31
4K018EA41
4K018EA52
4K018EA60
4K018FA01
4K018HA08
4K018HA10
(57)【要約】
【課題】連続・半連続鋳造における問題点、および、上記金属積層造形の問題点を同時に解消し、なおかつ、両者の利点を兼ね備えた新たな金属製品の製造方法を提供する。
【解決手段】金属粉末材料で、金属積層造形により、板状、箔状、長尺状、または、塊状の造形物を製造する工程1と、前記造形物を塑性加工により、板材、箔材、長尺材、または、塊状材に加工する工程2と、からなる板材、箔材、長尺材、または、塊状材の製造方法。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属粉末材料で金属積層造形により板状、箔状、長尺状、または塊状の造形物を製造する工程1と、
前記造形物を塑性加工により板材、箔材、長尺材、または塊状材に加工する工程2と、
からなる板材、箔材、長尺材、または塊状材の製造方法。
【請求項2】
前記塑性加工は、圧延加工、押出し加工、鍛造加工のいずれか一つ、または、2以上を組み合わせたものであることを特徴とする請求項1に記載の板材、箔材、長尺材、または塊状材の製造方法。
【請求項3】
前記工程1の造形物の寸法は、前記造形物に対して前記工程2の塑性加工により加工可能な加工率以内の寸法にニアネットシェイプしたものであることを特徴とする請求項1または2に記載の板材、箔材、長尺材、または塊状材の製造方法。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の製造方法により製造したことを特徴とする板材、箔材、長尺材、または塊状材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属素材の製造方法に関し、特に、金属積層造形と塑性加工とを複合した微細結晶を有する金属素材(板材、箔材、長尺材、塊状材等)の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
金属素材の製造方法として、従来から以下のようなもの知られている。
(1)連続鋳造・半連続鋳造
溶融した金属を底なしの鋳型に流し込む。鋳型は冷却されており、鋳型に接触した溶融金属は冷却・凝固しつつ、鋳型底部から出てくる。鋳型の先は圧延ロール等が設置されており、圧延加工されながら送られていく。溶湯を鋳型に流し続けることにより、長尺材を連続的に製造する技術が連続鋳造法である(特許文献1参照)。溶湯の冷却速度はあまり速くない。材料によっては、連続してバルク材を送り出すことができず、ある程度の長さの連続鋳造をバッチ方式に繰り返す、半連続鋳造法も用いられている。
(2)金属積層造形
金属粉末を敷き詰めた粉末床に、エネルギー源としてレーザーもしくは電子ビームを照射し、照射した個所の金属粉末を溶融させる。その後、レーザーもしくは電子ビームの照射をやめると、溶融した個所の金属が冷却されて凝固する。レーザーもしくは電子ビームを所定の箇所に走査すれば、凝固させたい箇所だけ凝固させることができる。その後、さらに1層分だけ金属粉末を敷き、レーザーもしくは電子ビームの走査を繰り返せば、凝固した個所が積み重なり、最終的は立体の造形物が完成する。設計した部品のCADデータからスライスデータを作製し、そのスライスデータに従って、レーザーもしくは電子ビームを走査すれば、設計通りの部品が製造できる。金属積層造形はこのような技術である(特許文献2、3参照)。
(3)塑性加工
金属材料に応力を加えていき、ある応力を超えると材料に永久変形が残る塑性という性質を利用して、金属材料を変形させて、所定の形状に成形する技術が総称して塑性加工である。応力の加え方や、用いる工具、対象とする素材の形状などにより、種々の方法に区分される。以下、代表的な例として圧延加工、押出し加工、鍛造加工を説明する。
(ア)圧延加工
板や棒状の材料をロールと呼ばれる一対の工具で挟み込み、所定の寸法のロールギャップを設定する。その後、ロールを回転させることにより、材料を連続的に噛みこませ、ロールギャップの厚さの板などを製造する加工方法である。
(イ)押出し加工
コンテナと呼ばれる容器形状の工具の底に、部品形状の穴を開けておく。そのコンテナに素材を入れ、素材の後方からコンテナの内径と同寸法の外径を持つパンチと呼ばれる工具で、素材を押しこみ、コンテナの底に明けた穴から材料を押し出すことにより、所定の形状の部材を加工する技術である。
(ウ)鍛造加工
一組の割金型の内側を削り、合わせることにより所定の形状の空隙となる金型の間に素材を挟み、金型を近づけていくことにより、その空隙に材料を充満させて形状を加工する技術である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−223887号公報
【特許文献2】特開2015−38237号公報
【特許文献3】特配平11−347761号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の連続・半連続鋳造のように溶融状態から凝固させて長尺材等を製造した場合、冷却速度があまり速くなく、数十マイクロメートルの大きさまで結晶粒が成長してしまう。そのため、生産性は高いが、素材の機械的性質を改善するのは困難であり、材質によっては脆性を示してしまう点が課題である。
一方、従来の金属積層造形では溶融・凝固の速度が非常に早く、結晶粒が微細であることが知られている。しかし、金属積層造形はワンバッチ方式の製造方法であり、形状の自由度は高くても、寸法は有限であり、造形エリアを超えた長さの造形物は作製不可能である。また、従来の金属積層造形では、敷き詰める紛体の大きさが表面性状を決定する重要な要素となる。現状では細かい粉末であっても数十ミクロンの粒径であるため、造形物の表面性状は劣悪になってしまう。より細かい粒径の粉末の開発も進んでいるが、微細粉ほど危険物になり、防爆など扱いが難しくなっている。造形条件などをコントロールすることにより、表面性状を向上させる技術も検討されているが、表面性状の改善には限界値が存在している。また、金属粉を溶かして凝固させるという造形方法について、現状では局所的な溶融と凝固の現象が完全に把握できておらず、溶融・凝固現象が不安定となり、造形物の寸法精度を高めることも非常に困難である。金属積層造形のみで、表面性状が良好で、かつ高寸法精度の造形物を製造するのは不可能に近いのが現状である。
【0005】
そこで、本発明の解決しようとする課題は、上記連続・半連続鋳造における問題点および上記金属積層造形の問題点を同時に解消し、なおかつ両者の利点を兼ね備えた新たな金属素材(板材、箔材、長尺材、塊状材等)の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の製造方法では、金属粉末材料から金属積層造形により造形物を製造する工程と、前記造形物に圧延加工、押出し加工、鍛造加工等の塑性加工を施し板材、箔材、長尺材、塊状材を製造する工程を備えたことに特徴を有するものである。
すなわち、本発明は、金属粉末材料で金属積層造形により板状、箔状、長尺状、または塊状の造形物を製造する工程1と、前記造形物を塑性加工により板材、箔材、長尺材、または塊状材に加工する工程2と、からなる板材、箔材、長尺材、または塊状材の製造方法である。
また、本発明は上記製造方法において、前記塑性加工は、圧延加工、押出し加工、鍛造加工のいずれか一つ、または、2以上を組み合わせたものであることを特徴とする。
また、本発明は上記製造方法において、前記工程1の造形物の寸法は、前記造形物に対して前記工程2の塑性加工により加工可能な加工率以内の寸法にニアネットシェイプしたものであることを特徴とする。
また、本発明は、上記製造方法により製造したことを特徴とする板材、箔材、長尺材、または塊状材である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、数マイクロメートル以下の微細な結晶組織を有する板状、箔状、長尺状、塊状の金属素材が製造できる。微細な結晶組織のため、強度、延性が従来の金属素材よりも格段に向上しており、靱性も非常に高い金属素材となる。加えて、表面性状、寸法精度も良好な金属素材の製造が可能である。このような金属素材を用いることにより、例えば、現在、アルミニウム合金の鋳造で製造されている、ミッションケース、ブレーキドラム、マニホールド、水冷シリンダーブロックなどや、鍛造で製造されているコンロッド、クランクシャフト、ロックアーム、カムシャフトなど、プレスで製造されている車体ボディ鋼板、センターピラー、バンパーなどの部品強度・破壊靭性などを向上させ、さらなる軽量化を実現させるのに活用できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、従来の鋳造材、従来の金属積層造形のみによる積層まま材、本発明による積層後圧延材の引張試験結果(縦軸:公称応力σ[MPa]、横軸:公称歪みε)を比較している。
図2図2は、従来の金属積層造形のみによる積層まま材と本発明による積層後圧延材の表面状態をレーザー顕微鏡で観察した結果である。
図3図3は、(a)鋳造材を圧延した時と(b)金属積層造形による積層造形材を圧延した時の圧延後の板の状態を示している。
図4図4は、(a)従来の金属積層造形のみによる積層まま材と(b)本発明による積層後圧延材の内部組織を低倍率で観察した結果である。
図5図5は、(a)従来の金属積層造形のみによる積層まま材と(b)本発明による積層後圧延材の内部組織を図4より高倍率で観察した結果である。
図6図6は、従来の鋳造材の内部組織を観察した結果である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
従来の連続鋳造のように溶融状態から凝固させて金属素材を製造した場合、冷却速度があまり速くなく、数十マイクロメートルの大きさまで結晶粒が成長してしまう。一方、金属積層造形では溶融・凝固の速度が非常に早く、結晶粒が微細であることが知られている。そこで、本発明は、溶融・凝固が急速な金属積層を連続鋳造における注湯・鋳造の部分に活用し、それに圧延加工、鍛造等を組み合わせ、微細内部組織を有する板材、箔材、長尺材、塊状材を製造する生産プロセスである。
本発明の生産プロセスでは、結晶粒が微細な板材、箔材、長尺材となるため、従来の製造方法による板材、箔材、長尺材よりも強度、延性、靱性などの諸機械的特性が高くなると考えられる。このように製造された板材、箔材、長尺材を用いることにより、最終的に強度・靱性に優れた高付加価値の製品が製造できる。例えば、現在、アルミニウム合金の鋳造で製造されている、ミッションケース、ブレーキドラム、マニホールド、水冷シリンダーブロックなどや、鍛造で製造されているコンロッド、クランクシャフト、ロックアーム、カムシャフトなど、プレスで製造されている車体ボディ鋼板、センターピラー、バンパーなどの部品強度・破壊靭性などを向上させ、さらなる軽量化を実現させるのに活用できる。
また、本発明では金属積層造形で製造した造形物に、圧延加工、押出し加工、鍛造加工等の塑性加工を加えることによって、表面性状の改善、および寸法精度の向上の効果もある。さらに、塑性加工を加えることにより、寸法精度を高めるだけではなく、加工硬化に起因する機械的性質の向上や内部組織変化による改質なども行える。以上のように、本発明では積層造形で課題となっている表面性状、寸法精度を改善することに加え、造形物の機械的性能を高めることができる。
本発明によれば、従来では塑性加工が難しい材料(チタンなど)に対して、金属積層造形で加工が可能な加工率以内の形状となる素材をニアネットシェイプし、連続的に長尺材を製造することが可能となる。
従来の鋳造によって製造された部品では、材料の成分を調整することにより、ある程度の大きさの強度を出すことは可能であるが、延性を出すことが非常に難しく、延性や靱性が必要となる部品を鋳造のみで製造することはできない。一方、本発明の生産プロセスでは、金属積層により結晶粒が微細な内部組織を作製することが可能であるため、鋳造材と比べて、延性・靱性を高めることが可能である。したがって、本発明によれば、従来の鋳造では製造できない性能の部品を製造できる。また、塑性加工に対しても、従来では素材形状の制約から、作製が可能となる加工率の範囲内の形状に限界があったが、本発明の生産プロセスでは、金属積層で塑性加工が可能となる加工率に収まるように、素材形状を作製することにより、従来よりも複雑な形状の塑性加工品が製造できる。このように、本発明の製造プロセスは従来の鋳造・塑性加工を超える性能を持った部品を製造可能なプロセスである。
また、本発明によれば、工程1の金属積層造形において複数の金属粉を敷き分けてクラッド板材、クラッド線材の製造にも応用できる。工程2の鍛造で板厚を部分的に変え、エンボスやモールドのある板材やテーラードブランク材などの製造も可能となる。さらに、内部形状が特殊な中空長尺材の製造も可能となる。
工程1の金属積層造形から直列で工程2の圧延加工、押出し加工、鍛造加工を施しつつ、連続的に板材、箔材、長尺材などを製造する連続生産プロセスにも応用できる。従来の金属積層造形はワンバッチ方式の製造方法であり、形状の自由度は高くても、寸法は有限であり、造形エリアを超えた長さの造形物は作製不可能である。しかし、本発明の製造プロセスは積層造形直後に圧延加工、押出し加工などを施し、連続的に板材、箔材、長尺材を生成可能であり、積層造形の生産性の悪さを改善できる。
【0010】
(製造例)
金属積層造形で板状の造形物を製造した後、塑性加工として圧延加工を加えて金属製品である板材を製造した。圧延前と後の板材の引張り強さを比較した。
金属積層造形には、EOS社製のレーザーによる金属積層造形装置を用いた。金属素材はAl−Si−Mg合金粉末を用い、積層方向は厚さ方向とした。金属積層造形装置により製造した板状造形物の寸法は幅70mm、長さ210mm、厚さ7mmとした。金属積層造形後、板状造形物をベースプレートから放電加工により切り離し、切り離した板状造形物に対して、200℃の温間温度域で、1パスあたりの圧下率を0.3mmとして、所定の厚さ5.05mmまで圧延加工を施し板材を製造した。圧延後の板材から引張り試験片を切り出し、引張り特性を測定した。
また、内部の硬さ分布、内部組織観察、レーザー顕微鏡によって表面状態を観察した。
【0011】
図1に、金属積層造形のままの板材と圧延加工を加えた板材から切り出した引張り試験片の試験結果を示す。図において、横軸は公称歪み、縦軸は公称応力[MPa]を表している。鋳造で製造したAl−Si−Mg合金(図中の鋳造材のグラフ参照)では、100〜250MPaの0.2%耐力および、1〜2%程度の伸びである。それに対して、金属積層造形で作製した場合(図中の積層まま材のグラフ参照)は、0.2%耐力が400MPaと高く、伸びも10%ほどになっている。金属積層造形にさらに圧延加工を加えた場合(図中の積層後圧延材のグラフ参照)には、0.2%耐力が400MPaとほぼ同等で、伸びは15%まで増加する結果となった。これは金属積層造形において非常に微細な結晶粒が生成できているためと考えられる。金属積層造形や圧延加工において、高強度・高延性なバルク材製造の可能性が示唆されている。
図2の(a)に積層後圧延材(圧延加工により板厚t=5.05mmに仕上げ)、(b)に積層まま材の表面状態の顕微鏡写真を示す。金属積層造形のままの板材の表面は、レーザー走査の跡が残っており、凹凸の大きい粗悪な状態である。それに対して、図2の(a)に示した、圧延加工後の板材の表面状態は良好になっている。これは、圧延加工によって、表面が平滑化されたためである。このように積層造形物に圧延加工を施すと、大幅に表面状態が改善することが確認された。圧延加工後の表面粗さは、積層造形のみでは達成できない滑らかな表面粗さとなっている。(b)の積層まま材では観測範囲内で最も高い個所と最も低い個所の差を表している表面粗さ指標である最大高さRでは350μmという結果となった。一方、(a)の積層後に圧延を加えた板材では、積層まま材に見られた造形跡の凹凸が潰されて平坦になっている様子が観察された。最大高さRZも170μmになっており、積層まま材と比較して半減している。
図3に鋳造で作製した板材と積層造形で作製した板材を圧延加工した板材を示す。なお、図中の矢印は圧延方向を示す。図3において、(a)の鋳造で作製した板材では、圧延の途中で割れてしまっているが、(b)の積層造形で作製した板材では、割れが発生せずに圧延されている。鋳造で作製した板材は、さらに板材の端に割れ(みみ割れ)が生じているが、積層造形による板材は、みみ割れも発生していない。
図4図5に、(a)積層まま材と(b)積層後圧延材の断面の内部組織観察の写真を示す。なお、図中の矢印は積層方向を示す。図4の低倍率の結果では、うろこ状の模様が観察できる。これは、積層造形においてレーザーが走査した時に、急速に溶融・凝固した結果できたと考えられる。このうろこ状の模様が結晶粒ではない。図5の高倍率の結果により、うろこ状の模様の中に見られる微細な粒々が結晶粒であることが観察できた。結晶粒の大きさは数μm程度であり、非常に微細な結晶粒となっている。また、この内部組織は圧延しても維持されていることが確認できる。一方、比較の為、鋳造材の内部組織を観察した結果を図6に示す。デンドライトが発達し、数十マイクロメートル以上の結晶粒になっていることが確認できる。このように、鋳造と金属積層造形では内部組織が大きく異なっている。
【産業上の利用可能性】
【0012】
本発明の製造方法は、金属粉末材料を金属積層造形により造形物を製造した後、塑性加工を施して板状、箔状、長尺状、塊状の金属素材を製造するプロセスに利用できる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6