使い捨ての着用物品のサイド接合域(22)には、横方向(X)の内側に位置する第1接合部(31)と、外側に位置する第2接合部(32)と、前記第1接合部と前記第2接合部との間に位置する第3接合部(32)とを有する複数の接合部(30)が位置しており、第1区域(64)において、前記第1接合部は、縦方向(Y)の離間寸法(R1)が他の区域に比して大きく、かつ前記横方向の内側から外側に向かってクロッチ域(13)側へ傾斜する第1方向(M)へ延び、前記第2及び第3接合部は、前記横方向の外側から内側へ向かって前記クロッチ域側へ傾斜する第2方向(N)へ延びており、前記第3接合部は、前記第1方向へ延びていない。
縦方向及び横方向と、前ウエスト域と、後ウエスト域と、前記前後ウエスト域の間に位置するクロッチ域と、ウエスト開口及び一対のレッグ開口とを含む使い捨ての着用物品において、
前記前後ウエスト域の少なくとも一方の側縁部は、前記縦方向へ不連続的に延びる複数の接合部が位置するサイド接合域を介して互いに接合されており、
前記サイド接合域は、前記ウエスト開口側に位置する第1区域を有し、
前記接合部は、前記横方向の内側に位置する第1接合部と、前記横方向の外側に位置する第2接合部と、前記横方向において前記第1接合部と前記第2接合部との間に位置する第3接合部とを有し、
前記第1区域において、前記第1接合部は、前記縦方向の離間寸法が他の区域に比して大きく、かつ前記横方向の内側から外側に向かって前記クロッチ域側へ傾斜する第1方向へ延び、前記第2接合部と前記第3接合部とは、前記第1接合部の前記クロッチ域側に位置しており、前記第2接合部は、前記横方向の外側から内側へ向かって前記クロッチ域側へ傾斜する第2方向へ延びており、前記第3接合部は、前記第2方向へ延び、かつ前記第1方向へ延びていない前記着用物品。
前記第1区域は、前記第1接合部が配置され、かつ前記第3接合部が非配置である第1列と、前記第1列に隣接して前記クロッチ域側に位置し、前記第2及び第3接合部が配置され、かつ前記第1接合部が非配置である第2列とが、前記縦方向に複数配置される請求項1に記載の着用物品。
前記第1列において、前記第1接合部は一つ配置されており、前記第2列において、前記第2接合部と前記第3接合部とは、前記第2方向へ並んで配置される請求項1又は2に記載の着用物品。
前記第1区域において、前記第1接合部と、前記第2接合部と、前記第3接合部とは、前記縦方向において互いに位置ずれしている請求項1〜5のいずれかに記載の着用物品。
前記サイド接合域は、前記第2区域よりも前記クロッチ域側に位置する第3区域をさらに有し、前記第2区域と前記第3区域とは、少なくとも前記第3接合部の配置パターンが互いに異なる請求項9〜11のいずれかに記載の着用物品。
前記前後ウエスト域は、前記横方向へ弾性的に伸縮可能な弾性域を有し、前記弾性域のうち、前記縦方向において前記第1区域が位置する外側弾性域は、前記第3区域が位置する内側弾性域に比して所定幅における伸長応力が低い請求項12に記載の着用物品。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の着用物品は、サイド接合域のウエスト開口側に、他の区域に比して接合部の離間寸法が大きい第1区域を有している。かかる着用物品では、着用操作において着用物品を引き上げる際に、第1区域に指を掛けて引き上げ操作し易い。
【0005】
しかし、第1区域では、他の区域に比して接合強度が弱くなっているため、破れが生じやすく、着用操作において破れが生じた場合に、サイド接合域において連続的に横方向へ直線状に延びる接合部に沿って、前後ウエスト域の側縁部が不用意に引き裂かれてしまうおそれがある。
【0006】
そこで、本発明の目的は、従来の技術の改良であって、引き上げ操作がし易く、前後ウエスト域の側縁部が不用意に引き裂かれるのを防止することができる使い捨ての着用物品の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を達成するために、本発明が対象とするのは、縦方向及び横方向と、前ウエスト域と、後ウエスト域と、前記前後ウエスト域の間に位置するクロッチ域と、ウエスト開口及び一対のレッグ開口とを含む使い捨ての着用物品である。
【0008】
(請求項1に記載の発明)
上記着用物品において、前記前後ウエスト域の少なくとも一方の側縁部は、前記縦方向へ不連続的に延びる複数の接合部が位置するサイド接合域を介して互いに接合されており、前記サイド接合域は、前記ウエスト開口側に位置する第1区域を有し、前記接合部は、前記横方向の内側に位置する第1接合部と、前記横方向の外側に位置する第2接合部と、前記横方向において前記第1接合部と前記第2接合部との間に位置する第3接合部とを有し、前記第1区域において、前記第1接合部は、前記縦方向の離間寸法が他の区域に比して大きく、かつ前記横方向の内側から外側に向かって前記クロッチ域側へ傾斜する第1方向へ延び、前記第2接合部と前記第3接合部とは、前記第1接合部の前記クロッチ域側に位置しており、前記第2接合部は、前記横方向の外側から内側へ向かって前記クロッチ域側へ傾斜する第2方向へ延びており、前記第3接合部は、前記第2方向へ延び、かつ前記第1方向へ延びていないことを特徴とする。
【0009】
かかる着用物品では、第1区域において、第1接合部の縦方向の離間寸法が他の区域に比して大きいため、柔らかく、指を掛けて引き上げ操作がし易い。使用後は、第1接合部によってサイド接合域を引き裂きやすく、着用操作時や着用中には、第2及び第3接合部によって、サイド接合域が不用意に引き裂かれるのを防止することができる。
【0010】
(請求項2に記載の発明)
上記着用物品において、前記第1区域は、前記第1接合部が配置され、かつ前記第3接合部が非配置である第1列と、前記第1列に隣接して前記クロッチ域側に位置し、前記第2及び第3接合部が配置され、かつ前記第1接合部が非配置である第2列とが、前記縦方向に複数配置される。
【0011】
かかる着用物品では、第1接合部に沿って破れが生じた場合に、第2列において、第2方向へ延びる第2及び第3接合部によって破れを抑えることができる。
【0012】
(請求項3に記載の発明)
上記着用物品において、前記第1列において、前記第1接合部は一つ配置されており、前記第2列において、前記第2接合部と前記第3接合部とは、前記第2方向へ並んで配置される。
【0013】
かかる着用物品では、第1区域における不用意な引き裂きを防止する効果が高い。
【0014】
(請求項4に記載の発明)
前記第1区域において、前記第1接合部と前記第3接合部とは、前記縦方向における離間寸法が互いに等しい。
【0015】
かかる着用物品では、サイド接合域の柔軟性を高めながら、引き裂きを防止することができる。
【0016】
(請求項5に記載の発明)
前記第1区域において、前記第2接合部の前記縦方向における離間寸法は、前記第1接合部の前記縦方向における離間寸法よりも小さい。
【0017】
かかる着用物品では、破れを防止する効果が高い。
【0018】
(請求項6に記載の発明)
前記第1区域において、前記第1接合部と、前記第2接合部と、前記第3接合部とは、前記縦方向において互いに位置ずれしている。
【0019】
かかる着用物品では、横方向への破れを効果的に防止することができる。
【0020】
(請求項7に記載の発明)
前記サイド接合域は、前記第1接合部が位置する内側域と、前記第2接合部が位置する外側域と、前記第3接合部が位置する中間域とを有し、少なくとも前記第1区域において、前記内側域は、前記横方向へ弾性的に伸縮可能である。
【0021】
かかる着用物品では、前後ウエスト域が前後方向へ開きやすくなり、着用操作が容易である。また、外観視において接合部が目立たなくなり、美観が向上する。
【0022】
(請求項8に記載の発明)
前記サイド接合域において、前記第1区域は、シート部材の積層枚数が最も多い。
【0023】
かかる着用物品では、ウエスト開口の近傍において、肌触りを良好にして刺激を低減することができる。
【0024】
(請求項9に記載の発明)
前記サイド接合域は、前記第1区域と隣接して前記クロッチ域側に位置し、単位面積当たりの前記接合部の割合が前記第1区域に比して高い第2区域を有し、前記第2区域において前記縦方向に隣り合う前記第3接合部の離間寸法は、前記第1区域において前記縦方向に隣り合う前記第3接合部の離間寸法よりも小さい。
【0025】
かかる着用物品では、使用後において、サイド接合域を引き裂きやすい。また、着用操作時や着用中には、サイド接合域が不用意に引き裂かれるのを防止することができる。
【0026】
(請求項10に記載の発明)
前記第2区域において、前記第3接合部は、前記第1方向へ延びる第1傾斜接合部と、前記第2方向へ延びる第2傾斜接合部とを含む。
【0027】
かかる着用物品では、着用時において破れを防止しながら、着用物品の使用後にサイド接合域を引き裂く際には、破れを誘導して引き裂き易くすることができる。
【0028】
(請求項11に記載の発明)
前記第2区域の前記縦方向における上端部は、下端部に比してシート部材の積層枚数が多い。
【0029】
かかる着用物品では、接合強度のばらつきを抑えることができる。
【0030】
(請求項12に記載の発明)
前記サイド接合域は、前記第2区域よりも前記クロッチ域側に位置する第3区域をさらに有し、前記第2区域と前記第3区域とは、少なくとも前記第3接合部の配置パターンが互いに異なる。
【0031】
かかる着用物品では、不用意な破れを防止し、さらに、廃棄処理においてサイド接合域を意図的に引き裂き易くすることができる。
【0032】
(請求項13に記載の発明)
前記前後ウエスト域は、前記横方向へ弾性的に伸縮可能な弾性域を有し、前記弾性域のうち、前記縦方向において前記第1区域が位置する外側弾性域は、前記第3区域が位置する内側弾性域に比して所定幅における伸長応力が低い。
【0033】
かかる着用物品では、第1区域を掴んで着用物品を引き上げ操作しやすい。
【発明の効果】
【0034】
本発明に係る使い捨ての着用物品によれば、引き上げ操作がし易く、サイド接合域が不用意に引き裂かれるのを防止することができる。
【発明を実施するための形態】
【0036】
下記の実施の形態は、本発明の一例である
図1〜8に示す使い捨ての着用物品に関し、発明の不可欠な構成ばかりではなく、選択的及び好ましい構成を含む。
図2及び
図3において、後述する各弾性体は、その収縮力に抗して、横方向X及び縦方向Yへの収縮力により各弾性体が取り付けられた部材に生じたギャザーが、自然な視覚によって実質的に無くなっているように見える程度にまで伸長された状態にある。
【0037】
図1〜3を参照すると、本発明に係る使い捨ての着用物品の一例である使い捨てのおむつ10は、縦方向Y及びそれに交差(直交)する横方向Xと、肌対向面及びその反対側の非肌対向面と、横方向Xの長さ寸法を二等分する縦軸Pと、縦方向Yの長さ寸法を二等分する横軸Qとを有し、縦軸Pに関してほぼ対称であり、前ウエスト域11と、後ウエスト域12と、前ウエスト域11および後ウエスト域12の間に位置するクロッチ域13とを含む。
【0038】
おむつ10は、ベース形態をなすシャーシ14を含み、シャーシ14は、クロッチ域13を画定する両側縁部が凹曲状を有する。前ウエスト域11の前側縁部11a,11bと後ウエスト域12の後側縁部12a,12bとは、おむつ10の前後方向において互いに対向するように重ねられ、縦方向Yへ不連続的に延びる接合部30が位置するサイド接合域22を介して互いに接合されている。このように前後側縁部11a,11b,12a,12bが連結されることによって、ウエスト開口23及び一対のレッグ開口24が画定される。接合部30では、例えば、熱又は超音波によるエンボス・デボス加工等の公知の手段によって互いに重なり合うシートどうしが融着される。
【0039】
<シャーシ>
シャーシ14は、肌対向面に位置し、前後ウエスト域11,12及びクロッチ域13を一連に画定する繊維不織布製のベースシート25と、非肌対向面側に位置し、縦方向Yにおいて互いに離間対向する、繊維不織布製の前ウエストシート26及び後ウエストシート27と、ベースシート25の肌対向面側に位置し、クロッチ域13から前後ウエスト域11,12へ延びる吸液構造体15とを含む。
【0040】
ベースシート25は、縦方向Yにおいて離間対向する第1及び第2端縁25a,25bと、横方向Xにおいて離間対向する両側縁25c,25dとを有する。両側縁25c,25dは、前後ウエスト域11,12における直状部位と、クロッチ域13において、縦軸Pに向かって後ウエスト域12側から前ウエスト域11側により深く凸曲する曲状部位とから形成される。
【0041】
前ウエストシート26は、前ウエスト域11とクロッチ域13の一部とを形成する略台形状であって、横方向Xへ延びる中間内端縁26a及び外端縁26bと、縦方向Yへ延びる両外側縁26c,26dと、両外側縁26c,26dと中間内端縁26aとを結ぶ両側内端縁26e,26fとから形成される。両側内端縁26e,26fは、外側縁26c,26dから横方向Xへ直状に延びる直状部位と、該直状部位から中間内端縁26aに延びる曲状部位とを有する。前ウエストシート26は、ウエスト開口縁に沿って内側へ折り曲げられた折曲部28を有する。折曲部28は、ベースシート25の内面に吸液構造体15が配置された状態で、ベースシート25の第1端縁25aに沿って内側へ折り曲げられ、ベースシート25及び吸液構造体15の肌対向面に固定される。
【0042】
後ウエストシート27は、後ウエスト域12とクロッチ域13の一部とを形成する略台形状であって、横方向Xへ延びる中間内端縁27a及び外端縁27bと、外端縁27bから縦方向Yへ延びる両外側縁27c,27dと、両外側縁27c,27dと中間内端縁27aとを曲状に結ぶ両側内端縁27e,27fとから形成される。後ウエストシート27は、ウエスト開口縁に沿って内側へ折り曲げられた折曲部29を有する。折曲部29は、ベースシート25の内面に吸液構造体15が配置された状態で、ベースシート25の第2端縁25bに沿って内側へ折り曲げられ、ベースシート25及び吸液構造体15の肌対向面に固定される。
【0043】
ベースシート25及び前後ウエストシート26,27としては、質量が約10〜40g/m
2であり、繊維密度が約0.03〜0.10g/cm
3である、例えば、スパンボンド繊維不織布、SMS(スパンボンド・メルトブローン・スパンボンド)繊維不織布、エアスルー繊維不織布、プラスチックシート、またはそれらのラミネートシートなどを用いることができる。本実施形態においては、ベースシート25として質量約10〜18g/m
2、好ましくは質量約15g/m
2のSMS繊維不織布、前後ウエストシート26,27として質量約15〜25g/m
2、好ましくは質量約20g/m
2のスパンボンド繊維不織布を用いることができる。前後ウエストシート26,27の外面には、オプションとして格子状のエンボス・デボス加工が施されており、凹凸の模様が配置される。本実施形態においては、クロッチ域13の中央部13Cがベースシート25のみから形成されているが、複数のシートから形成されていてもよい。
【0044】
図2及び
図3を参照すると、前ウエストシート26とベースシート25との間には、前ウエスト域11において横方向Xへ延びる前ウエスト弾性体41が伸長状態で収縮可能に取り付けられる。後ウエストシート27とベースシート25との間には、後ウエスト域12において横方向Xへ延びる後ウエスト弾性体42と、後ウエスト域12からクロッチ域13へ向かって湾曲状して延びる臀部弾性体43とが伸長状態で収縮可能に取り付けられる。前後ウエスト域11,12は、前後ウエスト弾性体41,42が配置されることによって、弾性的に伸縮可能な前後ウエスト弾性域45,46を有する。また、後ウエスト域12及びクロッチ域13には、臀部弾性体43が配置されることによって臀部弾性域47が形成される。
【0045】
前後ウエスト弾性体41,42は、ストリング状またはストランド状の弾性材料から形成することができる。前後ウエスト弾性体41,42は、繊度が約470〜940dteXであり、縦方向Yに互いに約5〜20mm離間して配置されることが好ましい。本実施形態において、前後外側弾性域45A,46Aに配置された前後ウエスト弾性体41,42は、繊度が約620dteX、伸長倍率が約2.2〜2.8倍であり、縦方向Yに約6mm間隔で離間して配置される。また、前後内側弾性域45B,46Bに配置され前後ウエスト弾性体41,42は、繊度が約470〜940dteX、伸長倍率が約2.2〜2.8倍であり、縦方向Yに約5.0〜15.0mm間隔で離間して配置される。臀部弾性体43は、繊度が約500〜800dteXであって、伸長倍率が約1.1〜2.5倍に伸長された複数条のストリング状またはストランド状の弾性材料から形成することができる。
【0046】
<前後ウエスト弾性域>
図2を参照すると、前ウエスト弾性域45は、ウエスト開口23側において横方向Xへ延びる前外側弾性域45Aと、クロッチ域13側において横方向Xへ延びる前内側弾性域45Bとを有する。後ウエスト弾性域46は、ウエスト開口23側において横方向Xへ延びる後外側弾性域46Aと、クロッチ域13側において横方向Xへ延びる後内側弾性域46Bとを有する。前外側弾性域45Aと後外側弾性域46A、及び前内側弾性域45Bと後内側弾性域46Bは、それぞれ、着用状態における前後方向において互いに対向して位置している。本実施形態において、前外側弾性域45Aの所定幅における伸長応力は、前内側弾性域45Bの所定幅における伸長応力よりも低くなっており、後外側弾性域46Aの所定幅における伸長応力は、後内側弾性域46Bの所定幅における伸長応力よりも低くなっている。なお、ここで所定幅とは、各弾性域の伸長応力が比較できる程度の幅寸法(縦方向Yの寸法)をいい、本実施形態では後記のとおり、20mm幅における伸長応力を比較している。
【0047】
<吸液構造体>
図2及び
図3を参照すると、吸液構造体15は、縦方向Yに離間対向して横方向Xに延びる前端縁15a及び後端縁15bと、横方向Xにおいて離間対向して縦方向Yに延びる両側縁15cとを有し、前端部16Aと、後端部16Bと、前後端部16A,16B間に位置する中央部16Cとを有する。吸液構造体15は、肌対向面側に位置し、透液性を有する繊維不織布製の身体側ライナ50と、曲状の両側縁を有する吸液性の吸収体51と、一対のバリアカフシート52と、防漏シート53とを含む。吸収体51は、例えば、フラッフパルプと、吸収性ポリマー粒子等との混合物から形成された吸液性コアと、吸液性コア全体を被包するティッシュペーパ等の液吸収拡散性のコアラップシートとを含む。吸液性コアは、前ウエスト域11において横方向Xに延びる前端縁と、前端縁と縦方向Yにおいて離間対向し、後ウエスト域において横方向Xに延びる後端縁とを有する。身体側ライナ50とバリアカフシート52及び防漏シート53とは、吸液性コアの前端縁及び後端縁から、それぞれ縦方向Yに延出するエンドフラップを形成する。吸液構造体15とベースシート25とは、それらの対向面の少なくとも一方に塗布されたホットメルト接着剤等の公知の接合手段から形成された接合域60を介して互いに接合される。本実施形態においては、接合域60は、縦方向Yにおいて離間した複数の接合部位から構成されているが、吸液構造体15の裏面全体を接合するように連続した接合域であってもよい。
【0048】
一対のバリアカフシート52は、2つに折り畳まれて内面を互いに固定したものであって、身体側ライナ50の肌対向面に固定された、縦方向Yにおいて離間対向する前固定部及び後固定部と、縦方向Yへ延びる固定側縁部52bと、固定側縁部52bから横方向Xの内側に位置する自由側縁部52aとを有する。バリアカフシート52の自由側縁部52a内には、ストリング状またはストランド状の弾性材料からなり、縦方向Yへ延びるカフ弾性体57が伸長状態で収縮可能に取り付けられる。カフ弾性体57が収縮することによって、自由側縁部52aが身体側ライナ50から着用者の身体側へ離間し、体液の横漏れを防止するための一対の防漏カフが形成される。防漏シート53は、不透液性の繊維不織布、不透液性で透湿性のプラスチックフィルム又はそれらのラミネートシートから形成されており、少なくとも吸収体51の下面のほぼ全体を覆うように配置されており、吸液構造体15の非肌対向面(底面)側から体液が漏れ出るのを防止する。
【0049】
なお、本実施形態において、前後ウエスト域11,12及びクロッチ域13には、ベースシート25によって一連に形成されているが、後述する本発明の効果を奏する限りにおいて、前後ウエスト域11,12及びクロッチ域13を別体のパネル、例えば、前ウエストパネル、後ウエストパネル及びクロッチパネルによって形成してもよい。
【0050】
<サイド接合域>
図1及び
図4を参照すると、前後ウエスト域11,12の両側縁部は、サイド接合域22を介して連結される。なお、以下においては、前後ウエスト域11,12の両側縁部に位置するサイド接合域22のうちの一方の側縁部のサイド接合域22の構成について説明するが、他方の側縁部のサイド接合域22も同様の特徴構成を有している。また、両側縁部に位置するサイド接合域22のうちの少なくとも一方の側縁部が、かかるサイド接合域22の特徴構成を有していればよい。サイド接合域22は、それぞれ、縦方向Yにおいて、便宜上、第1〜第4区域64,65,66,67に区分される。各区域において、サイド接合域22は、横方向Xの内側に位置する内側域61と、横方向Xの外側に位置する外側域62と、内外側域61,62の間に位置する中間域63とを有する。サイド接合域22に位置する接合部30は、内側域61に位置する第1接合部31と、外側域62に位置する第2接合部32と、中間域63に位置する第3接合部33とを有する。第1、第2及び第3接合部31,32,33は、互いに離間して配置される。
【0051】
第1区域64は、ウエスト開口23側に位置し、第1接合部31の縦方向Yにおける離間寸法R1が他の区域65,66,67に比して大きい。ここで縦方向Yにおける離間寸法とは、縦方向Yにおいて互いに隣り合う接合部30の間に位置する非接合部の縦方向Yの距離をいう。第2区域65は、第1区域64と隣接してクロッチ域13側に位置し、第3区域66は、第2区域65と隣接してクロッチ域13側に位置する。第4区域67は、第1区域64とウエスト開口23との間に位置する。各区域64〜67において、第1、第2及び第3接合部31,32,33のそれぞれは、接合部30の面積がほぼ等しくなるように、ほぼ等しい大きさを有している。
【0052】
図6を参照すると、第1区域64において、第1接合部31は、横方向Xの内側から外側へ向かってクロッチ域13側に傾斜する第1方向Mへ延びている。第2及び第3接合部32,33は、横方向Xの外側から内側へ向かってクロッチ域13側に傾斜する第2方向Nへ延びている。また、第1区域64において、第1接合部31は第2方向Nへ延びておらず、第2及び第3接合部32,33は、第1方向Mへ延びていない。
【0053】
第1方向Mと横軸Qとの交角(交角のうち、値が小さい方の角度)θ1の値は、0度<θ1<90度の範囲であって、5度≦θ1≦45度であることがより好ましい。また、第2方向Nと横軸との交角θ2の値は、0度<θ2<90度の範囲であって、5度≦θ2≦45度であることがより好ましい。なお、本実施形態において第1、第2及び第3接合部31,32,33は、それぞれ矩形状であるが、形状はこれに限られず、第1方向M又は第2方向Nに長い形状であればよく、例えば、楕円形状等であってもよい。
【0054】
第1区域64は、便宜上、縦方向Yにおいて、第1接合部31が配置される第1列71と、第1列71と隣接してクロッチ域13側に位置し、第3接合部33が配置される第2列72とを有し、第1及び第2列71,72は、縦方向Yに複数配置されて第1区域を形成している。なお、第1列71の縦方向Yの寸法D1は、第1接合部31の縦方向Yの寸法に等しく、かかる第1列71には、第3接合部33が非配置である。第2列72の縦方向Yの寸法D2は、第1列71の下端から第3接合部33の下端までの寸法に等しく、かかる第2列72には、第1接合部31が非配置であり、少なくとも1つの第2接合部32が配置される。なお、第2列72に配置される第2接合部32は、第1列71と第2列72とに跨って配置されていてもよい。本実施形態において、第1列71には、一つの第1接合部31が配置されており、第2列72には、一つの第2及び第3接合部32,33が第2方向Nへ直線状に並んで配置されている。
【0055】
本実施形態では、さらに、縦方向Yにおいて、第2列72と隣接してクロッチ域13側に位置し、第2接合部32の少なくとも一部が配置される第3列73を有する。第3列73はさらに第1列71と隣接し、第1〜第3列71〜73が縦方向Yに複数配置されて、第1区域64を形成している。なお、第3列73に配置される第2接合部32は、第1列71に跨って配置されていてもよい。第1区域64において、第1、第2及び第3接合部31,32,33は、縦方向Yにおいて互いに位置ずれしている(すなわち、各接合部の上端が横方向Xに並んでいない)。
【0056】
第1区域64において、第1接合部31の縦方向Yの離間寸法R1と、第3接合部33の縦方向Yにおける離間寸法R3とは、ほぼ等しく、第2接合部32の縦方向Yにおける離間寸法R2は、第1接合部31の離間寸法R1よりも小さい。本実施形態において、第1及び第3接合部31,33の離間寸法R1,R3は、約3.0〜10.0mmであり、第2接合部32の離間寸法R2は、約1.0〜5.0mmである。
【0057】
図4及び
図5を参照すると、前後ウエスト弾性体41,42は、サイド接合域22の外側縁まで延びており、第1〜第4区域64〜67のうち、少なくとも第1区域64の内側域61は、横方向Xへ弾性的に伸縮可能となるように前後ウエスト弾性域に重なって位置している。本実施形態では、第1区域の内側域61から外側域62に亘って横方向Xへ伸縮可能になっている。なお、第2、第3及び第4区域65,66,67においても、少なくとも内側域61が横方向Xへ伸縮可能であることが好ましい。
【0058】
図5(a)〜(c)を参照すると、第1区域64及び第4区域67では、前後ウエスト域11,12におけるベースシート25、非肌対向面を形成する前ウエストシート26、前ウエストシート26の折曲部28、非肌対向面を形成する後ウエストシート27、及び後ウエストシート27の折曲部29が積層された状態で溶着されており、シート部材の積層枚数が最も多くなっている。第2区域65は、シート部材の積層枚数が変化する部位に位置している。図示例において、第2区域65におけるシート部材の積層枚数は、上端部65Aでは6枚、下端部65Bでは4枚、中間部65Cでは5枚となっている。第3区域66では、シート部材の積層枚数が他の区域に比して少なくなっている。このようにシート部材の積層枚数が比較的に多い第1及び第4区域64,67では、クッション性が高くなり、着用者が刺激を感じやすいウエスト開口23の近傍において、肌触りを良好にして刺激を低減することができる。
【0059】
図6(b)を参照すると、従来のおむつ100においては、サイド接合域22の内側域から外側域に亘って、接合部130が横方向Xへ連続的に直線的に延びている。サイド接合域22においてシート部材に破れが生じた場合、非接合部(非溶着部)においてシート部材が接合部130の延在方向に沿ってが破れやすくなる。従来のおむつ100では、接合部130に沿って一方向(すなわち横方向X)にシート部材が破れやすく、該方向と交差する方向には接合部が配置されていないため、破れを抑止することができず、前後ウエスト域11,12の側縁部が不用意に引き裂かれてしまうおそれがある。
【0060】
図6(a)を参照すると、本実施形態のおむつ10は、第1区域64において第1接合部31の離間寸法R1が他の区域に比して大きいため、サイド接合域22の内側域61の柔軟性が高く、着用操作において第1区域64に指を掛けておむつ10を引き上げやすい。また、おむつ10の引き上げ操作の際に、第1区域64において第1接合部31の近傍で破れが生じた場合に、第1接合部31に対して横方向Xの外側に位置し、かつ第1方向Mと交差する第2方向Nに延びる、第2及び/又は第3接合部32,33によって破れが抑止され、前後ウエスト域11,12の側縁部が不用意に引き裂かれることを防止できる。また、第1、第2及び第3接合部31,32,33は、それぞれ縦方向Yにおいて互いに位置ずれして配置されているので、横方向Xへの破れを効果的に防止し得る。
【0061】
また、第1列71に配置された一つの第1接合部31に対し、第1列71に隣接する第2列72では、第2及び第3接合部32,33が一つずつ並んで配置されており、第1方向Mへ延びる接合部30の長さ寸法(すなわち、第1接合部31の長さ寸法)よりも、第2方向Nへ延びる接合部30の長さ寸法(すなわち、第2及び第3接合部32,33の長さ寸法の和)の方が長くなっている。そのため、第1接合部31の離間寸法R1を比較的に大きくしても、破れを効果的に抑えることができる。さらに、本実施形態では、第3列73において、第2接合部32が配置されることで、不用意な破れをより抑止することができる。
【0062】
既述のとおり、第1区域64では、第1接合部31の離間寸法R1と、第3接合部33の離間寸法R3とがほぼ等しく、第3接合部33の離間寸法R3が比較的に大きくなっているため、サイド接合域22の柔軟性が高い。また、第1及び第3接合部31,33よりも横方向Xの外側に位置する第2接合部32の離間寸法R2は、第1接合部31の離間寸法R1よりも小さいため、サイド接合域22の外側域62では接合強度を高めて、不用意な破れを防止することができる。
【0063】
使用後のおむつ10を廃棄処理する場合、サイド接合域22は意図的に引き裂かれる。このような廃棄操作において、サイド接合域22のウエスト開口23側の端部には、内側域61から外側域62へ、縦方向Yの内側へ向かうように引っ張り力Fが作用され(
図4参照)、サイド接合域22は、かかる力Fによって破れやすくなっていることが好ましい。本実施形態のおむつ10では、内側域61に配置された第1接合部31が、引っ張り力Fの作用方向と平行するように第1方向Mへ延在しているため、廃棄操作においてサイド接合域22を引き裂きやすくなっている。なお、サイド接合域22を引き裂いておむつ10を廃棄する場合、最もウエスト開口23側の区域において接合強度が弱くなっていることが好ましいが、着用操作時や着用中において、サイド接合域22の縦方向Yの両端部は、外力が集中して破れが生じる基点となりやすいため、最もウエスト開口23側に位置する第4区域67では、局所的に接合強度を高くし、不用意な破れを防止している。なお、第4区域67において、内側域61に位置する第1接合部31は、第1方向Mへ延在している。
【0064】
また、サイド接合域22は、前後ウエスト弾性体41,42によって横方向Xへ弾性的に収縮可能であるため、外観視において、接合部30は、前後ウエスト域11,12に形成される皺に紛れて目立たなくなり、おむつ10の美観が向上する。さらに、前後ウエスト弾性体41,42の収縮作用によって、ウエスト開口23が前後方向に開きやすくなり、着用操作においてウエスト開口23を容易に開くことができる。
【0065】
図7を参照すると、第2区域65では、単位面積当たりの接合部30の面積の割合が第1区域64に比して高くなっていることが好ましい。第2区域65の単位面積当たりの接合部30の面積の割合は、第1区域64とほぼ等しくてもよいが、第1区域64よりも高くすることで、着用操作時や着用中において、サイド接合域が不用意に引き裂かれるのをより効果的に防止することができる。ここで、各区域における単位面積当たりの接合部30の割合とは、各区域において、区域の全面積に対する、該区域に配置された接合部30の総面積の割合をいう。第1区域64における単位面積当たりの接合部30の割合は、約5〜15%であり、第2区域65における単位面積当たりの接合部30の割合は、約5〜20%である。
【0066】
第2区域65において、第1接合部31は第1方向Mへ延在しており、縦方向Yにおいて互いに隣り合う第1接合部31の離間寸法R4は、第1区域65における離間寸法R1よりも小さい。第2接合部32は、第2方向Nへ延びており、縦方向Yにおいて互いに隣り合う第2接合部32の離間寸法R5は、第1接合部31の離間寸法R4とほぼ等しい。さらに、本実施形態では、第2区域65における第2接合部32の離間寸法R5が、第1区域64における第2接合部32の離間寸法R2とほぼ等しくなっている。第3接合部33は、第1方向Mへ延びる第1傾斜接合部33aと、第2方向Nへ延びる第2傾斜接合部33bとを有する。第1傾斜接合部33aは、第1接合部31と第1方向Mへ直線状に並んで配置され、第2傾斜接合部33bは、第2接合部32と第2方向Nへ直線状に並んで配置される。
【0067】
第2区域65は、便宜上、縦方向Yに並ぶ、第1、第2及び第3列74,75,76に区分される。各列の縦方向Yの寸法D4は、ほぼ等しくなっており、各列には、第1接合部31と第2接合部32とが一つずつ配置されている。第1〜第3列74〜76が縦方向Yに複数配置されて、第2区域66を形成している。第1列74において、第3接合部33は、第1接合部31と第2接合部32とに並ぶように第1傾斜接合部33aと第2傾斜接合部33bとが配置される。第2列75では、第2接合部32と並ぶように第2傾斜接合部33bが配置される。第3列76では第3接合部33が配置されていない。なお、第1列74及び第2列75に配置される第2傾斜接合部33bは、それぞれ、一部が第2列75及び第3列76に跨って配置されていてもよい。
【0068】
既述のとおり、第2区域65では、シート部材の積層枚数が上端部65Aと下端部65Bとで異なっている。おむつ10の製造時において、前後ウエスト域11,12の両側縁部に接合部30を形成する際には、シート部材の積層枚数が変化する部位において、個々の接合部30の接合強度にばらつきが生じやすくなる。本実施形態のおむつ10では、第2区域65において、単位面積当たりの接合部30の面積の割合を比較的に大きくしているので、所要の接合強度を維持して不用意な破れを防止することができる。さらに、第2区域65において、第3接合部33は、第1方向Mへ延びる第1傾斜接合部33aを有しているため、第3接合部33が第2方向Nへのみ延びているものと比べて、廃棄操作におけるシート部材の破れを誘導してサイド接合域22を引き裂きやすくすることができる。
【0069】
図8(a)を参照すると、第3区域66は、単位面積当たりの接合部30の面積の割合が第1区域64に比して高く、少なくとも第3接合部33の配置パターンが第2区域65と異なっている。なお、第3区域66において単位面積当たりの接合部30の面積の割合は、第2区域65とほぼ等しい、又は第2区域65よりも高いことが好ましい。第3区域66において、第1接合部31は第1方向Mへ延在しており、縦方向Yにおいて互いに隣り合う第1接合部31の離間寸法R6は、第1区域65における離間寸法R1よりも小さい。第2接合部32は、第2方向Nへ延びており、縦方向Yにおいて互いに隣り合う第2接合部32の離間寸法R7は、第1接合部31の離間寸法R6とほぼ等しい。第3接合部は、第2方向Nへ延びており、第1方向Mへ延びておらず、縦方向Yにおいて互いに隣り合う第3接合部33の離間寸法R8は、第1接合部31の離間寸法R6とほぼ等しい。第3区域66における第2接合部32の離間寸法R7は、第1区域64における第2接合部32の離間寸法R2とほぼ等しい又は小さいことが好ましい。
【0070】
第3区域66では、一つの第1接合部31に対し、第2及び第3接合部32,33が第第1接合部31のクロッチ域13側に一つずつ配置される。第2接合部32と第3接合部33とは、第2方向Nへ直線状に並んで配置される。本実施形態では、第2区域65と第3区域66とにおいて、単位面積当たりの接合部30の面積の割合がほぼ等しくなっており、第3接合部33の配置パターンのみが異なっている。第3区域66では、第1区域64に比して、第1接合部31の横軸Qに対する傾斜角度が小さくなっている(すなわち、第1区域64に比して、交角θ1の値が小さくなっている)ことが好ましい。
【0071】
サイド接合域22において、最もレッグ開口24側に位置する第3区域66では、着用者の脚の動きによって、おむつ10の着用中に破れが生じやすい。本実施形態のおむつ10では、単位面積当たりの接合部30の面積の割合が第1区域64に比して高くなっており、第3区域66の接合強度を高めて、着用中の不用意な破れを防止することができる。また、第2区域65と第3区域66とでは、接合部30の配置パターンを変えており、シート部材の積層枚数が最も多い区域(第1区域64)と、積層枚数が最も少ない区域(第3区域66)と、積層枚数が変化する区域(第2区域65)との少なくとも3つの区域において接合部30の配置パターンを変えることで、所要の接合強度を維持し、不用意な破れを防止しながら、廃棄操作における引き裂きやすさを実現している。
【0072】
図8(b)を参照すると、第4区域67は、第1区域64の上端縁からウエスト開口縁まで区域であり、単位面積当たりの接合部30の割合が他の区域に比して高くなっている。第4区域67において、第1接合部31は第1方向Mへ延在しており、第2接合部32は第2方向Nへ延在している。縦方向Yにおいて互いに隣り合う第1接合部31の離間寸法R9は、縦方向Yにおいて互いに隣り合う第2接合部32の離間寸法と等しく、さらに、第1区域64における第2接合部32の離間寸法R2と等しい。第4区域67において、第3接合部33は、一つの第1接合部31に対して、第1方向Mへ延びる一つの第1傾斜接合部33aが第1方向Mへ並んで配置され、一つの第2接合部32に対して、第2方向Nへ延びる一つの第2傾斜接合部33bが第2方向Nへ並んで配置される。このような第4区域67をウエスト開口23側の端部に配置することで、着用操作における不用意な破れを効果的に防止し得る。
【0073】
図4を参照すると、第1区域64の長さ寸法(縦方向Yの寸法)L2は、サイド接合域22の長さ寸法L1の約15.0〜60.0%の大きさであり、第2区域65の長さ寸法L3は、長さ寸法L1の約25.0〜40.0%の大きさであり、第3区域66の長さ寸法L4は、長さ寸法L1の約10.0〜35.0%の大きさである。なお、第4区域67の長さ寸法L5は、約0〜10.0mmであり、第4区域67を設けていない(すなわち、長さ寸法L5=0mm)構成であってもよい。第2区域65の長さ寸法L3は、第1区域64の長さ寸法L2よりも大きいことが好ましい。第1〜第4区域64,65,66,67において、第1接合部31は、全て第1方向Mへ延びているため、廃棄操作において、サイド接合域22を引き裂きやすくすることができる。第2接合部32の縦方向Yにおける離間寸法R2,R7は、ほぼ等しくなっている。また、前後ウエスト弾性体41,42によって、第1〜第4区域64,65,66,67の内外側域61,62及び中間域63が横方向Xへ収縮され、長さ方向(縦方向Y)の全域に亘って、接合部30が外観視において目立ち難くなっている。
【0074】
図5を参照すると、前後外側弾性域45A,46Aには、第1及び第4区域64,67が位置しており、前後内側弾性域45B,46B及び臀部弾性域47には、第3区域66が位置している。第2区域65には、前後外側弾性域45A,46Aと、前後内側弾性域45B,46Bとの境界部分が位置している。既述のとおり、第1区域64が位置する前後外側弾性域45A,46Aは、第3区域66が位置する前後内側弾性域45B,46Bに比して、所定幅における伸長応力が低くなっている。かかるおむつ10では、着用操作において、第1区域64を掴んでウエスト開口23を拡げることが容易であり、柔軟性が高く、より引き上げ操作しやすくなる。一方、第3区域66が位置するレッグ開口24側では、フィット性を高めて横漏れを効果的に防止することができる。なお、前外側弾性域45Aと前内側弾性域45Bとの境界部分、及び後外側弾性域46Aと後内側弾性域46Bとの境界部分は、それぞれ、配置された前後ウエスト弾性体41,42の色や繊度、縦方向Yの離間寸法(ピッチ)等が異なることによって識別することができる。
【0075】
<伸長応力の測定方法>
前後ウエスト域11,12の各弾性域の伸長応力は、インストロン ジャパン カンパニーリミテッド社製の引張試験機(INSTRON 型式:5564)を用い、引張速度を100mm/minに設定して、以下の方法で測定した。各弾性域のうちで吸液構造体と重なることのない部分について、その部分から横方向Xの長さが30〜50mmの試片を切り取って、自然状態にある試片に横方向Xの離間寸法が20mmの一対の標線を記入し、その離間寸法が1.7倍になるまで伸長した時の各試片の伸長力を求めて、比較する。なお、各試片においてその幅寸法であるおむつ10の縦方向Yの寸法が一定でない場合には、各試片についての伸長力を幅20mmである場合の値に換算したときの伸長応力によって各試片を比較する。
【0076】
本発明に係るおむつ10を構成する各構成部材には、明細書に記載されている材料のほかに、この種の物品において通常用いられている各種公知の材料を制限なく用いることができる。また、明細書及び特許請求の範囲において、「第1」及び「第2」等の用語は、同様の要素、位置等を単に区別するために用いられる。