特開2016-220983(P2016-220983A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-220983(P2016-220983A)
(43)【公開日】2016年12月28日
(54)【発明の名称】吸収性物品
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/15 20060101AFI20161205BHJP
   A61F 13/472 20060101ALI20161205BHJP
   A61F 13/511 20060101ALI20161205BHJP
【FI】
   A61F13/18 B
   A61F13/18 310Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2015-110885(P2015-110885)
(22)【出願日】2015年5月29日
(71)【出願人】
【識別番号】000115108
【氏名又は名称】ユニ・チャーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100077517
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100087413
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 哲次
(74)【代理人】
【識別番号】100093665
【弁理士】
【氏名又は名称】蛯谷 厚志
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100139022
【弁理士】
【氏名又は名称】小野田 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100141438
【弁理士】
【氏名又は名称】吉迫 大祐
(74)【代理人】
【識別番号】100192463
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 剛規
(72)【発明者】
【氏名】植田 隆宏
(72)【発明者】
【氏名】林 俊久
【テーマコード(参考)】
3B200
【Fターム(参考)】
3B200AA01
3B200AA03
3B200BB21
3B200DC04
(57)【要約】
【課題】トップシートに薬剤を塗布した場合であっても、着用者が薬剤に直接的に触れることを抑えて刺激を受けにくくし、使用感を損ねることを抑止することができる吸収性物品を得る。
【解決手段】吸収性物品のトップシート2が、長さ方向に延設され且つ幅方向に予め定めた間隔で形成された複数の凸部11と、長さ方向に延設され且つこれらの凸部11の間に形成された複数の溝部12とを備えていて、溝部12は、第1底部22を備えた第1凹部21と、第1凹部21内に形成された複数の第2凹部26とを有し、第2凹部26は、トップシート2の中で最も繊維密度が高い第2底部28とを備え、第2底部28の第2面2bに揮発性の薬剤9が塗布されていると共に、その第2底部28が吸収体4に接合されている構成とする。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長さ方向及び幅方向、厚さ方向を有し、液透過性を有するトップシートと、液不透過性を有するバックシートと、前記トップシートと前記バックシートとの間に配設された吸収体とを備えた吸収性物品であって、
前記トップシートは、前記吸収体とは反対側に位置する第1面と、前記吸収体側の第2面とを有し、前記長さ方向に延設され且つ前記幅方向に予め定めた間隔で形成された、前記第1面の方向に向けて突出する複数の凸部と、前記長さ方向に延設され且つこれらの凸部の間に形成された、前記第2面の方向に向けて窪んだ複数の溝部とを有していて、
前記溝部は、前記凸部の頂部における前記第1面側の位置よりも前記吸収体の方向に位置する第1底部を備えた第1凹部と、前記第1凹部内において前記長さ方向に不連続に設けられ、前記第1底部に開口する窪み状に形成された複数の第2凹部とを有し、
前記第2凹部は、前記第1底部から前記吸収体の方向に延設された周壁部と、前記周壁部の前記吸収体側の端部にその端部を塞ぐように設けられた、前記トップシートの中で最も繊維密度が高い第2底部とを備え、
前記第2凹部は、前記第2底部の前記第2面に揮発性の薬剤が塗布されていると共に、前記第2底部が前記吸収体に接合されている、吸収性物品。
【請求項2】
前記周壁部は、その周壁部を前記第1面から前記第2面に貫通する孔部を備えている、請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項3】
前記吸収体の前記トップシート側の面から前記凸部の前記頂部の前記第1面までの高さは、前記溝部の前記幅方向の大きさよりも大きい、請求項1又は2に記載の吸収性物品。
【請求項4】
前記凸部は、その凸部における前記第1面と前記第2面との間の距離が、前記頂部において最も大きい、請求項1〜3のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項5】
前記凸部は、前記頂部における前記第2面側の部分が前記吸収体と接合されていない、請求項1〜4のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項6】
前記トップシートは、前記凸部の前記第1面の領域及び前記第2面の領域が、前記第2面から前記第1面の方向に向けて凸となる形状に湾曲し、前記溝部の前記第1凹部における前記第1面の領域及び前記第2面の領域が、前記第1面から第2面に向けて凸となる形状に湾曲している構成を有している、請求項1〜5のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項7】
前記吸収性物品は、前記トップシート側の面に、前記厚さ方向に向けて前記トップシート及び前記吸収体を圧搾した圧搾溝を備えている、請求項1〜6のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生理用ナプキンや使い捨ておむつ、失禁パッド等の吸収性物品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
吸収性物品として、例えば経血等などの排泄液を吸収する生理用ナプキンとしては、着用者の肌側に位置する、液透過性を有するトップシートと、衣服側に位置する、液不透過性を有するバックシートと、これらのトップシートとバックシートとの間に設けられた吸収体とを備えているのが一般的である。
吸収性物品のトップシートは、使用者の肌に触れる部分であることから、柔軟で肌触りが良いことが大きな条件となる。
そのため、近年では、肌と接触する面に、複数列の凸部と、隣り合う凸部の間の空間に設けられた溝部とが設けられたトップシートが用いられることが多くなっているが、このようなトップシートは、比較的柔軟な凸部が肌に接触し、またその凸部が肌面にフィットし易いため、トップシートの柔軟性を感じ易い傾向にある。
【0003】
一方で、吸収性物品の中には、例えば特許文献1に示すように、着用時の清涼感等、着用者への使用感向上のために何らかの効果を付加すべく、吸収性物品のトップシートに、例えばメントールなどの薬剤を塗布することが行われる場合がある。メントールをトップシートに塗布した場合、着用時において揮発して着用者に清涼感を与えるため、ムレ等の不快感を得にくく、使用感に優れるという利点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015−12918号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、トップシートに薬剤が塗布された吸収性物品は、薬剤の種類によっては、直接的に着用者の肌に触れた場合に刺激を与えてしまい、却って使用感を低下させる可能性があるものも多い。例えば、前述のメントールなどの揮発性の薬剤は、メントールを塗布したトップシートの部分に着用者の肌が直接触れてしまうと、刺激が強すぎて着用者に痛みを与え、肌が弱い者の場合にはかぶれてしまう可能性があり、使用感を著しく損なう結果となる。
【0006】
本発明の技術的課題は、トップシートに揮発性の薬剤を塗布した場合であっても、着用者がその薬剤に直接的に触れることを抑えて刺激を受けにくくし、使用感を損ねることを抑止することができる吸収性物品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明の吸収性物品は次の通りである。
(1)長さ方向及び幅方向、厚さ方向を有し、液透過性を有するトップシートと、液不透過性を有するバックシートと、前記トップシートと前記バックシートとの間に配設された吸収体とを備えた吸収性物品であって、前記トップシートは、前記吸収体とは反対側に位置する第1面と、前記吸収体側の第2面とを有し、前記長さ方向に延設され且つ前記幅方向に予め定めた間隔で形成された、前記第1面の方向に向けて突出する複数の凸部と、前記長さ方向に延設され且つこれらの凸部の間に形成された、前記第2面の方向に向けて窪んだ複数の溝部とを有していて、前記溝部は、前記凸部の頂部における前記第1面側の位置よりも前記吸収体の方向に位置する第1底部を備えた第1凹部と、前記第1凹部内において前記長さ方向に不連続に設けられ、前記第1底部に開口する窪み状に形成された複数の第2凹部とを有し、前記第2凹部は、前記第1底部から前記吸収体の方向に延設された周壁部と、前記周壁部の前記吸収体側の端部にその端部を塞ぐように設けられた、前記トップシートの中で最も繊維密度が高い第2底部とを備え、前記第2凹部は、前記第2底部の前記第2面に揮発性の薬剤が塗布されていると共に、前記第2底部が前記吸収体に接合されている、吸収性物品。
【0008】
(2)前記周壁部は、その周壁部を前記第1面から前記第2面に貫通する孔部を備えている、前記(1)に記載の吸収性物品。
これにより、前記薬剤が揮発した場合であっても、その揮発した前記薬剤の一部を前記周壁部の前記孔部から前記第2面の方向に向けて移動させることができるため、直接的に肌に向けて移動する揮発した薬剤の量を抑え、肌への刺激を和らげることができる。
【0009】
(3)前記吸収体の前記トップシート側の面から前記凸部の前記頂部の前記第1面までの高さは、前記溝部の前記幅方向の大きさよりも大きい、前記(1)又は前記(2)に記載の吸収性物品。
これにより、前記トップシートの前記凸部が前記幅方向に倒れた場合には、前記溝部の前記第2凹部の開口部分を塞ぐため、前記薬剤が塗布されている前記第2凹部の前記第2底部に肌が触れる機会を減少させることができる。
【0010】
(4)前記凸部は、その凸部における前記第1面と前記第2面との間の距離が、前記頂部において最も大きい、前記(1)〜(3)のいずれか1つに記載の吸収性物品。
これにより、前記第2凹部の前記第2底部に塗布した前記薬剤が、仮に前記凸部の方向に移動したとしても、肌に最も接しやすい前記凸部の前記頂部は、前記凸部中で厚さ(前記第1面と前記第2面との間の距離)が最も大きいため、その薬剤が前記凸部の前記第1面側に到達しにくい。これにより、前記薬剤が肌に触れる機会をより安定的に抑えることができる。
【0011】
(5)前記凸部は、前記頂部における前記第2面側の部分が前記吸収体と接合されていない、前記(1)〜(4)のいずれか1つに記載の吸収性物品。
これにより、前記トップシートにおける前記凸部の前記第2面側と前記吸収体との間に空間ができる。この結果、前記凸部の前記頂部と前記第2底部との間の距離をできるだけ大きく保つことができるため、前記第2底部に塗布された薬剤がより一層肌に触れにくくなる。
【0012】
(6)前記トップシートは、前記凸部の前記第1面の領域及び前記第2面の領域が、前記第2面から前記第1面の方向に向けて凸となる形状に湾曲し、前記溝部の前記第1凹部における前記第1面の領域及び前記第2面の領域が、前記第1面から第2面に向けて凸となる形状に湾曲している構成を有している、前記(1)〜(5)のいずれか1項に記載の吸収性物品。
これにより、前記トップシートの前記凸部及び前記第1凹部は、前記第1面の領域と前記第2面の領域とが同期して前記厚さ方向や前記幅方向、あるいは長さ方向に変形するため、前記凸部全体及び前記第1凹部全体の柔軟性を安定的に確保することができる。さらに、前記凸部の前記第1面の領域及び前記第2面の領域が、前記第2凹部から離れた形状となるため、前記凸部の前記頂部と前記第2底部との距離も離れ、その第2底部に塗布された前記薬剤が、着用者の肌に直接的に触れる機会が抑えられる。
【0013】
(7)前記吸収性物品は、前記トップシート側の面に、前記厚さ方向に向けて前記トップシート及び前記吸収体を圧搾した圧搾溝を備えている、前記(1)〜(6)のいずれか1つに記載の吸収性物品。
これにより、前記圧搾溝が、前記トップシートと前記吸収体との接合強度を向上させる一方、前記第1凹部とは別に前記第2凹部が存在することによって、圧搾によって前記トップシートが引っ張られても、前記第2凹部がその引張りを緩衝、軽減し、前記第1凹部、さらには前記第1凹部に隣り合う前記凸部に対する引張りの影響を小さくすることができる。この結果、前記圧搾溝の影響による前記トップシートの柔軟性の低下を抑えることができる上、引張りによる前記凸部や前記第1凹部の形状の崩れも最小限に抑えることができるため、前記第2凹部への肌の接触を抑えることができ、前記第2底部に塗布した前記薬剤が肌に接触することも抑えることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の吸収性物品によれば、トップシートは、第2凹部の第2底部における第2面に揮発性の薬剤が塗布されていると共に、前記第2底部は前記トップシートの中で最も繊維密度が高いため、前記薬剤が、他の部分、特に肌に接し易い凸部に移動しにくい。
また、前記トップシート中、前記第2底部は、前記吸収性物品の厚さ方向において、前記凸部の頂部から最も離れているため、前記薬剤が肌に触れる機会を可及的に抑止することができる。この点、前記薬剤が肌に対して刺激を与える物質である場合は特に有効である。
したがって、前記トップシートに前記薬剤を塗布した場合であっても、着用者が前記薬剤に直接的に触れることを抑えることができ、前記薬剤による刺激を受けにくくし、使用感を損ねることを抑止することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、本発明の吸収性物品の一実施の形態である生理用ナプキンを模式的に示す平面図である。
図2図2は、図1のI−Iでの模式的な断面図である。
図3図3は、図1の要部拡大平面図である。
図4図4は、図3におけるII−IIでの模式的な要部拡大断面図である。
図5図5は、図4の要部拡大断面図である。ただし、図中の白抜きの矢印は揮発した薬剤や空気が流れる方向を示す。
図6図6は、図3におけるIII−IIIでの模式的な要部拡大断面図である。
図7図7は、本発明に係る吸収性物品を製造する製造装置を模式的に示す図である。
図8図8は、図7における賦形装置の延伸ロールを模式的に示す斜視図である。
図9図9は、下方の延伸ロールのピンの配置を説明する模式図である。
図10図10は、上方の延伸ロールと下方の延伸ロールとの噛み合わせ状態を模式的に示す要部拡大図である。
図11図11は、本発明の吸収性物品において使用される、トップシート連続体(トップシート、賦形シート)を模式的に示す一部破断斜視図である。
図12図12は、ウイング部を折り畳んだ状態を模式的に示す(a)要部平面図、(b)(a)のIV−IVでの要部拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1図6は、本発明の吸収性物品の一実施形態を示すもので、この実施形態においては、吸収性物品が生理用ナプキンである場合について説明する。
具体的に、この生理用ナプキン1は、長さ方向(L)、幅方向(W)、厚さ方向(D)を有していて、液透過性層としてのトップシート2と、トップシート2の一面側に配設された液不透過性層としてのバックシート3と、これらのトップシート2及びバックシート3との間に配設された吸収体4とを備えている。また、この生理用ナプキン1は、生理用ナプキン1の幅方向の両端側に、使用時において下着のクロッチ部に固定される、バックシート3及びサイドシート6,6から形成されるウイング部7,7を備えている。
なお、バックシート3及びウイング部7には、生理用ナプキン1を下着のクロッチ部に貼り付けるための粘着シート8が設けられている。
【0017】
バックシート3は、生理用ナプキン1における使用者の下着側(図2中の吸収体4の下面側)に設けられていて、排出された排泄液の透過を防止して下着等に漏れ出るのを防止するものである。この実施形態においては、バックシート3は、ウイング部7,7の平面視の形状(この場合はトップシート3の方向から見た形状)を含んだ形状となっている。
このバックシート3は、トップシート2との間に吸収体4を挟んだ状態で、そのトップシート2と周縁部分において相互に接合されている。
【0018】
吸収体4は、経血等の排泄液を吸収するもので、この実施形態においては、排泄液を吸収・保持する吸収性材料を含有したものを用いている。また、この吸収体4は、生理用ナプキン1の長さ方向に沿う方向に長く形成されていて、長さ方向の両端側がその吸収体4の長さ方向の外方向きに凸となるように湾曲し、且つ一定の厚さを有する、トップシート2やバックシート3よりも小さな平面視略長円形状に形成されている。なお、この実施形態の吸収体4は、トップシート側の面及びバックシート側の面がいずれも平坦状に形成されている。
吸収体の厚み、坪量等は、生理用ナプキンが備えるべき特性(例えば吸収性、強度、軽量性等)に応じて適宜調整することができる。吸収体の厚みは、通常0.1〜15mm、好ましくは1〜10mm、さらに好ましくは2〜5mmであり、坪量は、通常20〜1000g/m2、好ましくは50〜800g/m2、さらに好ましくは100〜500g/m2である。吸収体4の厚み、坪量等は、吸収体全体にわたって一定であってもよいし、部分的に異なっていてもよい。
【0019】
また、吸収体4は、トップシート側の面においてトップシート2(図2においては吸収体4の上面側)と、バックシート側の面においてバックシート3(図2においては吸収体4の下面側)とそれぞれホットメルト型接着剤等の接着剤により接合されている。
【0020】
サイドシート6は、使用者からの排泄液が生理用ナプキン1の幅方向の両側から外側に漏れるのを防止するものである。これらの各サイドシート6,6は、前記トップシート2の幅方向の両側部の一部をそれぞれ覆っていると共に、バックシート3における、前記一対のウイング部7,7に相当する部分のトップシート側の表面を被覆している。
なお、前記一対のサイドシート6,6は、体液の漏れを防止し得るように、疎水性又は撥水性を有する不織布を用いることが好ましい。
【0021】
そして、トップシート2は、着用者の肌に当接してその着用者からの排泄液を素早く吸収あるいは透過させて、吸収体4に向けて移行させるもので、吸収体4における着用者の肌と対向する面側(図1図6中、吸収体4の上面側)に配設されている。
この実施の形態においては、前記トップシート2は、生理用ナプキン1の長さ方向に沿う方向に長く形成されている。
トップシート2は、例えば不織布、織布、液透過孔が形成された合成樹脂フィルム、網目を有するネット状シート等により形成されるが、このうち、不織布が好ましい。
【0022】
この実施形態においては、トップシート2の強度の向上を図るため、熱可塑性樹脂繊維を含む不織布を用いている。
本発明において、熱可塑性樹脂繊維を構成する熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド等が挙げられる。ポリオレフィンとしては、例えば、直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレン、ポリブチレン、これらを主体とした共重合体(例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−アクリル酸エチル共重合体(EEA)、エチレン−アクリル酸共重合体(EAA)、アイオノマー樹脂)等が挙げられる。ポリエステルとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリトリメチレテレフタレート(PTT)、ポリブチレンテレタレート(PBT)、ポリ乳酸、ポリグリコール酸をはじめとする直鎖状又は分岐状の炭素数20までのポリヒドロキシアルカン酸等のポリエステル、これらを主体とした共重合体、アルキレンテレフタレートを主成分として他の成分を少量共重合してなる共重合ポリエステル等が挙げられる。ポリアミドとしては、例えば、6−ナイロン、6,6−ナイロン等が挙げられる。熱可塑性樹脂繊維の繊度は、通常1.1〜8.8dtex、好ましくは2.2〜5.6dtexであり、繊維長は、通常20〜100mm、好ましくは35〜65mmである。熱可塑性樹脂繊維については親水化処理を行ってもよく、この親水化処理としては、例えば、界面活性剤、親水剤等を利用した処理(例えば、繊維内部への界面活性剤の練り込み、繊維表面への界面活性剤の塗布等)等が挙げられる。
【0023】
ここで、トップシート2は、図3図6図11に示すように、吸収体4とは反対側に位置する第1面2aと、この第1面2aとは反対側である吸収体4側の第2面2bとを有している。
また、このトップシート2は、長さ方向に延設され且つ幅方向に予め定めた間隔で形成された、第1面2aの方向(吸収体4とは反対の方向)に向けて突出する複数の凸部11と、長さ方向に延設され且つこれらの凸部11の間に形成された、第2面2bの方向(吸収体4の方向)に向けて窪んだ複数の溝部12とを有している。
【0024】
溝部12は、凸部11の頂部13(凸部において最も突出した部分)における第1面2aの位置よりも吸収体4の方向に位置する第1底部22を備えた第1凹部21と、この第1凹部21内において長さ方向に不連続に設けられ、第1底部22に開口する窪み状に形成された複数の第2凹部26とを有している。
また、第2凹部26は、第1底部22から吸収体4の方向に延設された周壁部27と、この周壁部27の吸収体4側の端部に、その端部を塞ぐように設けられた、トップシート2の中で最も繊維密度が高い第2底部28とを備えている。
さらに、この第2凹部26の第2底部28には、この第2底部28の第2面2bを含めたほぼ全体に揮発性の薬剤9が塗布されている。
【0025】
このトップシート2については、凸部11は、頂部13における第2面2bは吸収体4に接合されておらず、溝部12は、第2凹部26の第2底部28が吸収体4のトップシート側の部分に前記接着剤による接着剤層10により接合されている。
一方、図3図6に示すように、この実施形態においては、第1凹部21の第1底部22の第2面2bの一部も、吸収体4のトップシート側の部分に接着剤層10によって接合されている一方で、凸部11については、頂部13を含め、第2面2bの部分は吸収体4には接合されていない。これにより、凸部11は、比較的自由に変形することができるため、着用者の肌に対する柔軟性を確保することができる。
また、凸部11の頂部13の第2面2b側の部分が吸収体4に接合されていないことにより、凸部11の第2面2b側と吸収体4との間に空間ができる。このため、凸部11の頂部13と第2底部28との間の距離をより安定的に確保することができ、第2底部28に塗布された薬剤9が肌に触れにくくなる。特に、この実施形態の場合は、凸部11の第2面2b側の全体が吸収体4に接合されていないため、凸部11の第2面2b側と吸収体4との間の空間が大きく、これにより、凸部11の頂部13と第2底部28との間の距離をより安定的に保つことができ、第2底部28の薬剤が一層肌に触れにくくなっている。
【0026】
この実施形態のトップシート2は、図4図6及び図11に示すように、凸部11をなす第1面2aの領域及び第2面2bの領域が、第2面2bから第1面2aの方向(即ち、吸収体4とは反対側の方向)に向けて凸となる形状に湾曲した構成となっている。一方で、溝部12の第1凹部21は、その第1凹部21をなす第1面2aの領域及び第2面2bの領域が、第1面2aから第2面2bの方向(即ち、吸収体4の方向)に向けて凸となる形状に湾曲した構成となっている。したがって、トップシート2は、幅方向に対して、凹凸が交互に繰り返される断面略波型のシート状に形成されたものとなっている。
これにより、トップシート2の凸部11は、着用者等からの外力が作用した場合に、第1面2aの領域と第2面2bの領域とが同期して厚さ方向や幅方向、あるいは長さ方向に変形するため、凸部11全体の柔軟性を安定的に確保することができる。また、凸部11の第1面2aの領域及び第2面2bの領域が、第2凹部26から離れた形状となるため、凸部11の頂部13と第2底部28との間の距離をより安定的に確保することができる。この結果、第2底部28に塗布された薬剤9が、着用者の肌に直接的に触れる機会をより安定的に抑えることが可能となる。さらに、第1凹部21についても、第1面2aの領域と第2面2bの領域とが同期して厚さ方向及び幅方向に変形するため、第1凹部21全体、特に第1底部22の柔軟性を安定的に確保することができる。
なお、この実施形態においては、トップシート2における凸部11と溝部12については、凸部11の頂部13における第1面2aと、第1凹部21の第1面2aとの中間の高さの位置を境に、吸収体4から離れている領域を凸部11とすると共に、吸収体4に近い領域を溝部12としている。
【0027】
凸部11は、生理用ナプキン1の長さ方向、即ちトップシート2の長さ方向に向けて延設されていると共に、トップシート2の幅方向に予め定めた間隔で複数列配設されている。この実施形態においては、各凸部11は、いずれも長さ方向に向けて連続的且つ他の凸部11と相互に平行となるように延設されている。
また、この実施形態においては、凸部11は、その凸部11における第1面2aと第2面2bとの間の距離が頂部13において最も大きくなっている。即ち、凸部11は頂部13の部分が最も厚くなっている。これにより、第2凹部26の第2底部28に塗布した薬剤9が、仮に周壁部27や第1底部22等を伝って凸部11の方向に移動したとしても、その移動する薬剤9が肌に最も接しやすい凸部11の頂部13の第1面2aに到達するまでの移動距離を実質的に長くすることができる。この結果、移動する薬剤9が、距離的あるいは時間的に、凸部11の頂部13の第1面2aに到達しづらくなるため、薬剤9が肌に触れる機会をより安定的に抑えることができる。
【0028】
本発明における凸部は、隣り合う他の凸部との間の間隔は0.25〜5mmであることが好ましく、さらに好ましくは0.5〜3mm、より好ましくは、0.75〜2mmとすることである。なお、ここで、隣り合う凸部の間の間隔とは、各凸部におけるトップシートの幅方向の略中央位置(実質的に凸部の頂部)の間の距離を指す。
隣り合う凸部の間の間隔の距離が0.25mm未満であるとトップシートが凹凸構造を形成しているとは言い難く、凸部による肌との接触面積を実質的にあまり減らすことができないため、肌触りが低下する可能性がある一方、5mm超となると加工前の加工対象の不織布と大差がなくなるため、凹凸を生かした柔軟な肌触りを得ることができない。
【0029】
また、図4及び図5に示すように、凸部11の頂部13における第2面2bの部分と吸収体4のトップシート側の部分との間の距離は、第1底部22の第1面2aにおいて最も吸収体4に近い部分と吸収体4のトップシート側の部分との間の距離よりも小さくなっている。したがって、凸部11の頂部13は、全体として、第1底部22よりも、トップシート2から離れた位置(図4及び図5においては、上方側)に配設された態様となっている。
これにより、凸部11の第2面2bと吸収体4のトップシート側の面との間に空間が安定的に形成されるため、トップシート2の凸部11に着用者からの外力、特に、着用者の肌との摩擦等に伴う幅方向のせん断力が加わったとしても、その外力の方向や大きさに応じて凸部11が前記空間を利用して変形あるいは潰れてその力を吸収し易くなる。特に、凸部11が潰れた場合には、凸部11が第2面2b側と吸収体4との間の空間に押し込まれ、凸部11の第1面2aと第1凹部21(第1底部22)の第1面2aとの高さの差が小さくなるため、幅方向のせん断力をより小さくすることができる。したがって、トップシート2の柔軟性をより安定的に維持することができ、トップシート2と着用者の肌との擦れにより発生するトップシート2の張力も低減されて、トップシート2の吸収体4から剥離も抑えられる。
【0030】
第1凹部21は、幅方向において凸部11と一体に形成されている。また、この第1凹部21の第1底部22は、全体としての厚さがトップシート2において最も厚くなっていて、第1底部22は全体として弾性に優れた部分となっている。なお、トップシート2に形成されている複数の第1凹部21は、いずれも相互に同幅に形成されている。
また、この実施形態においては、第1凹部21の第1底部22の第2面2bは、少なくとも第1底部22において最も吸収体側に位置する部分、即ち、凸部11の頂部13の高さの位置から最も離れた深さの位置の部分、及びその近傍の部分が、吸収体4のトップシート側の部分に接合されている。
【0031】
ここで、この実施形態においては、吸収体4のトップシート側の面から凸部11の頂部13の第1面2aまでの高さは、溝部12の幅方向の大きさよりも大きくしている。なお、溝部12の幅方向の大きさは、実質的に第1凹部21の幅方向の大きさとなる。
これにより、トップシート2の凸部11が幅方向に倒れた場合、即ち、着用者の肌の動きにより凸部11に幅方向のせん断力が作用した場合には、その倒れた凸部11が溝部12に覆い被さって第2凹部26の開口部分を全体的又は部分的に塞ぐ。したがって、薬剤9が塗布されている第2凹部26の第2底部28に着用者の肌が触れる機会を減少させることができ、肌が薬剤9から直接的に受けるダメージを抑えることが可能となる。
【0032】
第2凹部26は、平面視(トップシート2の第1面2aから見て)略矩形状の開口を有していて、全体としてトップシート2の吸収体4側に突出して、略直方体状の内部空間を備えたものとなっている。また、第2凹部26は、各溝部12の長さ方向、より具体的には第1凹部21の長さ方向に一定の間隔で配設されていて、これらの各第2凹部26は、他の第2凹部26とは相互に独立した状態に形成されている。
【0033】
周壁部27は、トップシート2の長さ方向に沿うように形成された一対の第1周壁部29,29と、トップシート2の幅方向に沿うように形成された一対の第2周壁部30,30とを有している。一対の第1周壁部29,29同士は、相互に向かい合う位置に配設されていると共に、一対の第2周壁部30,30同士についても、相互に向かい合う位置に配設されている。
そして、図4図6に示すように、一対の第1周壁部29,29には、第1凹部21の内部空間から第2面2bに通じる孔部31がそれぞれ形成されている。
この実施の形態においては、孔部31は、一対の第1周壁部29,29のそれぞれに1つずつ設けられていて、それらの孔部31は、第1周壁部29における第2底部28寄りの位置に形成されたものとなっている(したがって、1つの第2凹部26には2つの孔部31が存在している。)。一方で、一対の第2周壁部30,30は、孔部31に相当するものは存在せず、各第2周壁部30は、吸収体4側の端部の全部が第2底部28と直接的に連結された状態となっている。
【0034】
ここで、トップシート2に第2凹部26を設けたのは、溝部12の溝底、より具体的には第1凹部21の第1底部22が肌に接触する機会を極力減らすと共に、仮に第1底部22が肌に触れた際であってもその接触面積を極力小さくするためである。
即ち、本発明においては、トップシートの凸部、次いで第1凹部の第1底部の順に肌に触れ易いが、吸収体に接合されていない凸部(特に頂部)が最も柔軟性が高いため、第1底部よりも凸部が肌に触れる機会が多いことが好ましい。また、トップシートとしては肌に触れる接触面積が少ない方が柔軟性を感じ易い。そのため、第2凹部を設けて第1凹部が存在しない部分を形成することにより、第1凹部の第1底部において肌に接する部分をより少なくし、肌に当たる機会を少なくして相対的に凸部に触れる機会を多くすると共に、仮に肌が第1底部に触れても接触面積が可及的に少なくなるようにしている。
また、第2凹部を第1底部に設けたのは、凸部に比べて肌に触れにくい第1凹部の第1底部に第2凹部を設けることにより、その第2凹部が肌に触れる機会をできるだけ少なくして、第2凹部による違和感や異物感をできるだけ抑えるためである。したがって、この第2凹部において最も凸部から離れている第2底部は肌に触れる機会が一層少なくなるため、この第2底部に薬剤を塗布することにより、その薬剤が直接的に肌に触れる機会が安定的に抑えられることとなる。
【0035】
さらに、この実施形態において、周壁部27に孔部31を設けたのは、第2底部28に塗布した揮発性の薬剤9が直接的に肌に向けて揮発することをできる限り抑止して、薬剤9による肌への刺激を和らげるためである。また、第2底部28に塗布した薬剤9が周壁部27を通じて凸部11の方向に移動するのを妨げるためである。さらには、第2凹部26内に空気の流れを作り出して、揮発した薬剤の移動方向をある程度制御することができるようにするためである。
即ち、メントール等の清涼剤など、揮発性の薬剤は揮発して第2凹部26内を移動し、着用者の肌に向かって放出されるが、このとき、揮発した薬剤のすべてが肌に向かうと、刺激が強くなりすぎる場合がある。そのため、図5に示すように、孔部31を通じて、揮発した薬剤9の一部を第2凹部26内からトップシート2の第2面2b側に移動させ、直接的に肌の方向に移動する揮発した薬剤9の量を抑えることができるようにしている。
また、第2底部28に塗布した薬剤9は、周壁部27を通じて凸部11の方向に移動する可能性があるが、孔部31によって薬剤9が周壁部27を移動できる範囲をできるだけ狭くすることにより、周壁部27を通じての薬剤9の移動を妨げている。
さらに、図5に示すように、孔部31を通じて第2凹部26内に空気の出入りを可能としたことにより、空気の流れが形成されるため、その空気の流れに乗って揮発した薬剤9を移動させることができる。例えば、トップシート2の第2面2b側と吸収体4との間の空間を流通する空気に揮発した薬剤を乗せることにより薬剤9の効果を拡散させることができる。あるいは、揮発により効果が薄くなった第2底部28の薬剤9について、揮発する方向を第2凹部26の開口方向に向かわせる空気の流れを形成して、肌に対する薬剤9の効果をできるだけ長く持続さたりすることができる。なお、空気の流れは、吸収体4やトップシート2が変形した場合等に発生させることができる。
【0036】
また、この実施形態において、孔部31を第1周壁部29に設けたのは、孔部31が設けられている溝部12と隣り合う凸部11の繊維の張力を解放して、凸部11全体あるいは凸部11を形成する繊維が移動する自由度を向上させるためである。これにより、凸部11の柔軟性、より具体的には凸部11におけるトップシート2の厚さ方向への柔軟性、及びトップシート2の長さ方向や幅方向(特に幅方向)に肌を滑らせた際の柔軟性を向上させて滑らかな感触を確保することができる。したがって、凸部11に、優れた硬軟感(厚さ方向への優れた柔らかさ)及び長さ方向及び幅方向への優れた粗滑感(トップシート2の表面(特に幅方向)の優れた滑らかさ)の両方を付与して、トップシート2全体として優れた硬軟感及び粗滑感を確保することが可能となり、柔軟な肌触りを実現することができる。
逆に、孔部31を第2周壁部30に設けていないのは、トップシート2の長さ方向、即ち凸部11や溝部12が延びている方向に肌を滑らせた場合に、第2凹部26の存在による段差が肌に引っ掛かるのを抑止して、トップシート2の長さ方向への滑らかさを確保するためである。即ち、第2周壁部30については、第1底部22及び第2底部28と連続し、継ぎ目なく一体となっているため、肌をトップシート2の長さ方向に滑らせた場合には、肌は第2凹部26による第1底部22の段差をあまり感じることない。これにより、肌を凸部11や溝部12に沿って滑らかに移動させ易くなるため、トップシート2の長さ方向への滑らかさを確保することできる。
さらに、孔部31を第1周壁部29における第2底部28寄りの位置に設けたのは、孔部31を、肌が触れやすい凸部11や第1底部22からできるだけ遠ざけることにより、孔部31が肌に触れる機会を極力減らし、孔部31による違和感あるいは異物感を感じにくくするためである。これにより、肌をトップシート2の平面方向に滑らせた際の滑らかさをより安定的に確保することができる。また、揮発した薬剤9の孔部31を通じての第2凹部26内外への流通が行い易いという利点もある。
【0037】
また、図6に示すように、孔部31は、トップシート2に含まれている熱可塑性樹脂繊維を溶融することなく、その熱可塑性樹脂繊維を破断することにより形成されていて、この孔部31の周縁には、熱可塑性樹脂繊維のうち、その熱可塑性樹脂繊維を破断することにより形成された破断端部を備えた破断繊維におけるその破断端部が含まれている。なお、この破断繊維の破断端部は、熱可塑性樹脂繊維長さ方向に引っ張ったり物理的に切断したりすることにより破断することにより形成されたものであり、熱可塑性樹脂繊維を溶融した場合のように、繊維の端部が溶けて丸くなって繊維径が大きくなることはなく、ちぎれたことによって先細りになったり、あるいは繊維径の変化がほとんど生じない態様となったりしている。
したがって、仮に着用者の肌が孔部31の周縁に触れたとしても、周縁には溶融により硬化した熱可塑性樹脂繊維が存在しないため、ごわつきや繊維の引っ掛かりによる違和感が抑えられると共に、トップシート2の硬さや粗さを感じることが抑止される。
【0038】
また、孔部31の内部空間には、その内部空間内に架け渡された熱可塑性樹脂繊維と、一部の延出した熱可塑性樹脂繊維とが混在した状態となっていて、完全に開放された空間とはなっていない。
このように、孔部31は、内部空間に熱可塑性樹脂繊維の一部が架け渡されたり延出したりしているため、孔部31に肌が触れた場合であっても、内部空間内の熱可塑性樹脂繊維が、第2凹部26の第1周壁部29や第2底部28と孔部31との間の段差を小さくして、触れた者の違和感を抑えることができる。
なお、このときの孔部の内部空間の開孔率は、1〜50%とすることが好ましく、さらに好ましくは1.5〜35%、より好ましくは2.5〜20%とすることである。孔部の内部空間の開孔率が1%未満であると、開孔率が低すぎて凸部や凸部を形成する繊維に自由度を付与することができず、凸部に柔軟性を十分に確保できない。逆に50%を超えると孔部が設けられた第1周壁部の強度が低くなり易い上、孔部の周縁の境目が触感上分かり易くなる可能性がある。ただし、孔部の内部空間の開孔率については、吸収性物品の種類や用途等によっては、前記範囲以外であってもよく、任意に設定することができる。
【0039】
また、第2底部28は、トップシート2を構成する繊維が、第1面2aから第2面2bの方向に圧縮されることにより形成されていて、前述のようにトップシート2の中で最も繊維密度が高く、且つ剛性も最も大きくなっている。
このように、第2底部28の繊維密度をトップシート2の中で最も高くしたことにより、この第2底部28に塗布されている薬剤9は、毛細管現象の影響もあって、この第2底部28より繊維密度が低い周壁部27には移動しづらい。したがって、薬剤9が第2底部28から凸部11に向けて移動することを抑えることができ、薬剤9が着用者の肌に直接的に触れることをできる限り抑止することができる。
【0040】
さらに、この第2底部28の第1面2a(即ち、第2凹部26の内部空間側)及び第2面2b(即ち、吸収体4側)は、全体として面状に形成されている。この実施形態では、第2底部28の第2面2bの面は略平坦面となっていて、吸収体4のトップシート側の面に接触している。
このように、第2底部28の第2面2bの面は平坦状であるため、第2底部28と吸収体4との接触面積を可及的に大きくすることができる。この結果、トップシート2は接合されている吸収体4から剥離しにくくなる上、トップシート2と吸収体4との間の排泄液の移行をよりスムーズに行うことができる。特に、この実施形態においては、前述のように、吸収体4のトップシート側の面は平坦状の面となっていて、この第2底部28の第2面2bは吸収体4のトップシート側の面と面接触した状態で相互に接合されるため、より剥離しにくく、排泄液の移行もきわめてスムーズである。また、第2底部28の第2面2bの面は平坦状としたことにより、生理用ナプキン1の製造時において、コータロール等による薬剤9の塗布を行い易いという利点もある。
【0041】
ここで、図3に示すように、この実施形態においては、第2凹部26は、トップシート2の平面視(厚さ方向に見た場合)において、千鳥状に配置されている。
そして、図4に示すように、トップシート2は、第2凹部26と、その第2凹部26と幅方向において隣り合う他の第2凹部26との間に、少なくとも2つの凸部11が位置した構成となっている。即ち、トップシート2は、幅方向において、隣り合う第2凹部26と第2凹部26との間に、凸部11、第1凹部21、凸部11の順でそれぞれ配置された構成となっていて、少なくとも1つの第1凹部21、特に第1底部22が存在するようになっている。したがって、トップシート2の幅方向において、第2底部28とその第2底部28と隣り合う他の第2底部28との間には、第1底部22が位置するようになっている。このように、隣り合う第2底部28,28の間に、第2底部28よりも繊維密度が低くて変形し易い第1底部22を位置させることにより、トップシート2に張力が発生した場合に、その第1底部22の変形によってその張力をできるだけ軽減、吸収することができるようにしている。これにより、凸部11の自由度が阻害されず、凸部11の柔軟性を安定的に維持することができ、また、トップシート2が吸収体4から剥離することも抑止される。
【0042】
ところで、揮発性の薬剤9は、第2底部28の第2面2b側から塗布されていて、この第2底部28の内部にまで含浸させた状態となっている。この実施形態においては、薬剤9は第2底部28の第2面2b側から塗布されているが、第2底部28のほぼ全体に拡散して含浸された状態となっている。
ここで、本発明における揮発性については、機能性成分が発揮すべき機能によってその好ましい蒸気圧は異なるが、例えば、20℃において1Pa以上の蒸気圧を有することが好ましい。前記蒸気圧が低すぎると、所望の機能を発揮しにくくなる傾向があり、逆に前記蒸気圧が高すぎると、ユーザーが吸収性物品を使用するまでの間に、機能性成分が揮発し、その量が減少する傾向したり、着用者の皮膚に過度の機能を発揮したりする場合がある。
また、本発明において用いられる揮発性の薬剤としては、冷感機能を有するもの、例えば皮膚の神経にある受容体活性化チャネル(TRPM8)に作用するもの、例えば天然冷却剤(例えばメントール(例えばI-メントール)及びその誘導体(乳酸メンチル)、ペパーミント油、カンファー、ボルネオール、ユーカリプトール、ユーカリ油、茶木油)や、ケタール、カルボキサミド、シクロヘキサノール誘導体、シクロヘキシル誘導体等が挙げられる。
その他の薬剤としては、気化熱により周囲の温度を下げるもの、例えばアルコール、例えばメタノール及びエタノールが挙げられる。
また、塗布方法としては、例えば、外周面に揮発性の薬剤を付着させたコータロール等を第2底部の第2面に接触させることによりその薬剤を塗布する接触式の方法や、薬剤を噴霧や吐出によって第2底部に塗布する非接触式のもの等、第2底部の第2面に対して確実に薬剤を塗布できれば任意の方法を選択することができる。
さらに、薬剤の塗布量としては、薬剤の種類にもよるが、0.001g〜0.1gとすることが好ましく、さらに好ましくは0.005g〜0.05gとすることである。薬剤の塗布量が0.001g未満であると肌に対して機能を十分に発揮できず(例えば冷感機能を有するものの場合は冷感を感じにくい。)、0.1gを超えると刺激が強すぎて肌を痛めるおそれがある。
【0043】
また、図1及び図2に示すように、この実施形態の生理用ナプキン1には、トップシート側の面に、厚さ方向にエンボス加工を施すことによりトップシート2及び吸収体4を圧搾した複数の圧搾溝41〜43を備えている。
この実施形態の生理用ナプキン1には、複数の圧搾溝のうち、平面視(厚さ方向から見た場合)において、最も外側に位置する、全体として生理用ナプキン1の長さ方向に長く形成された環状の第1圧搾溝41と、この第1圧搾溝41の内側に位置し且つ生理用ナプキン1の長さ方向のほぼ中央に位置する、長さ方向に延びる一対の第2圧搾溝42,42とが設けられている。さらに、第1圧搾溝41の内側に位置し且つこの第1圧搾溝41の長さ方向の両端側の近傍に位置する、幅方向に延びる一対の第3圧搾溝43,43が設けられている。
【0044】
このように、圧搾溝41〜43を設けたのは、この圧搾溝41〜43の圧搾によってトップシート2と吸収体4との接合をより強固なものとするためである。また、トップシート2及び吸収体4との間における繊維密度を高めて、トップシート2から吸収体4への排泄液の引き込み性を向上させるためである。
ここで、一般に、トップシート及び吸収体を厚さ方向に圧搾して圧搾溝を形成した場合には、圧搾溝がトップシートを吸収体の方向に引っ張った状態となるため、何ら対策を施さなければ、トップシート、特に凸部に張力が発生して突っ張る上、凸部が変形して柔軟性が低下する傾向にある。特に圧搾溝の近傍については、その傾向が顕著である。
【0045】
しかしながら、本発明の場合、吸収体に接合されているトップシートの溝部の第2凹部が、圧搾溝の圧搾に起因してトップシートに発生する張力が広がるのを阻止あるいはその張力を軽減して、その張力の影響が凸部や第1凹部に与える影響を抑止している。
即ち、圧搾によってトップシートに張力が発生した場合には、第2凹部は、第2底部が吸収体に接合されたままの状態で周壁部が変形して、張力を緩衝して他の部分に広がるのを阻止あるいはその張力を軽減して他の部分に広がるのを抑止する。これにより、圧搾によってトップシートに生じる張力の影響は最低限に抑えられ、トップシートにおいては、圧搾による直接的な変形の影響を大きく受ける部分以外については変形が生じにくく、また張力に伴う突っ張りも少ない。
【0046】
したがって、本発明においては、圧搾溝によってトップシートと吸収体との接合をより強固にしながら、圧搾溝の影響によるトップシートの柔軟性の低下を抑えると共に、圧搾に伴う張力に起因する凸部や第1凹部の形状の崩れも最小限に抑えることができ、トップシートの良好な肌触りを維持することができる。また、凸部や第1凹部の形状の崩れが抑えられて、第2凹部、特に第2底部が肌に接触する機会を減らすことができるため、この点においても肌触りの低下が抑えられ、さらに第2底部に塗布した薬剤に肌が直接的に触れることも抑止することができる。
さらに、この実施形態の場合、トップシート2の溝部12における第2凹部26の周壁部27に形成された孔部31により、周壁部27が切り欠かれた構成となるため、周壁部27全体として柔軟性が高くて変形し易く、トップシート2に作用する張力を緩衝し易い。また、前述のように孔部31が溝部12と隣り合う凸部11の繊維の張力を解放して、凸部11全体あるいは凸部11を形成する繊維が移動する自由度を向上させているため、トップシート2に作用している張力を軽減し易い。これにより、圧搾溝の圧搾によってトップシート2の長さ方向や幅方向に発生する張力が、他の部分に広がることを効果的に抑止することができ。その張力の影響をより一層安定的に抑えることができる。
【0047】
なお、この実施形態においては、図1に示すように、生理用ナプキン1のトップシート側における、第2圧搾溝42,42と、第3圧搾溝43,43との囲まれた部分、即ちトップシート2のほぼ中央には、トップシート2と吸収体4とを圧搾するドット状の複数の圧搾部44が形成されている。この圧搾部44についても、圧搾溝41〜43と同様に、その圧搾によってトップシート2に張力を発生させうるが、前述のように、第2凹部26の働きにより圧搾によって生じる張力の影響を抑えることができる。
また、この圧搾溝41〜43や圧搾部44の圧搾部分における生理用ナプキン1の厚さとしては、トップシートや吸収体の厚さにもよるが、例えば、圧搾部分の厚さが吸収体の厚さの20%未満とすることが好ましく、より好ましくは5%以下、さらに好ましくは3%以下とすることである。
圧搾部分の厚さが吸収体の厚さの20%以上となると圧搾が不足し、所望の繊維密度を得られないため、排泄液の引き込み性が低下し、また剥離に対する強度も小さくなる。なお、各圧搾溝41〜43、圧搾部44の深さについては、すべて同じ深さであっても、相互に異なる深さであってもよい。
【0048】
以下、前記構成を有する生理用ナプキンの製造方法の一例について説明する。
この実施形態における生理用ナプキン1の製造方法は、吸収体を形成する工程と、後述するトップシートとなる長尺のトップシート連続体を形成する工程で形成したトップシート連続体を、吸収体に対して積層し、トップシート連続体と吸収体との積層体を形成する工程と、積層体に圧搾溝を形成する工程とを順次実施する。さらに、積層体に対してバックシートとなる長尺のバックシート連続体を積層して生理用ナプキンの連続体を形成する工程と、生理用ナプキンの連続体から単体の生理用ナプキンを切り出す切断工程とを順次実施する。
また、生理用ナプキン1を製造するに際しては、例えば図7図10に示すような製造装置50を用いる。
この製造装置50は、吸収性材料61を積層することにより吸収体4を形成する回転自在のサクションドラム62を備えた吸収体形成装置60と、トップシート2となるトップシート連続体72を形成するトップシート形成装置70と、トップシート2と吸収体4とに対してエンボス加工による圧搾を行って圧搾溝41〜43を形成するエンボス加工装置80とを備えている。また、バックシート3となるバックシート連続体91がロール状に巻かれたバックシートロール90と、吸収体4にトップシート連続体72及びバックシート連続体91を取付けた生理用ナプキンの連続体92を切断し、個々の生理用ナプキン1とする切断装置100とを備えている。
【0049】
吸収体を製造する工程は、吸収体形成装置60において、回転しているサクションドラム62の外周面に対して吸収性材料61を上方から供給して、その吸収性材料61を、サクションドラム62の外周面に設けられた、吸収体4の形に適合する窪み状の型部材62a内に吸引し、吸収性材料61を積層させることにより、吸収体4を形成する。
その後、回転しているサクションドラム62が、そのサクションドラム62の下方において搬送方向MDに向けて搬送されているキャリアシート65上に、型部材62a内の吸収体4を転写し、載置する。なお、キャリアシート65は、載置された吸収体4と共に搬送方向MDの下流に搬送され、次工程に供されることとなる。
【0050】
吸収体を製造する工程の後、積層体を形成する工程を実施する。
この工程においては、まず、後で詳述するトップシート形成装置70によって、トップシート2が長さ方向に連続する、賦形シート71に薬剤9が塗布されたトップシート連続体72を形成する。そして、搬送方向MDに搬送されている吸収体4の第1面(図7においては上面)に対して、ホットメルト型接着剤による接着剤層を介して、トップシート連続体72を積層且つ接合することにより積層体67とする。なお、積層体67は、その形成後、搬送方向MDの下流に搬送され、次工程に供される。
【0051】
積層体を形成する工程の後、圧搾溝を形成する工程を実施する。
この工程では、エンボス加工装置80における上段ロール81と下段ロール82との間に積層体67を通すことにより、トップシート連続体72と吸収体4とを圧搾し、圧搾溝41〜43を形成する。
このとき、エンボス加工装置80の上段ロール81は、その外周面に、圧搾溝41〜43の位置や形状に合わせて配設された突起部(図示せず)を備えていて、この突起部が積層体67を、トップシート連続体72側の面から厚さ方向に圧搾し、圧搾溝41〜43を形成する。なお、下段ロール82は、外周面が平坦なロールとなっていて、上段ロール81による積層体67の圧搾時にはその積層体67を安定的に支持する。
また、この工程においては、ドット状の複数の圧搾部44も形成する。したがって、上段ロール81は、圧搾部44を形成するための突起部を備えていて、圧搾溝41〜43と同時に形成されることとなる。なお、積層体67は、圧搾溝41〜43、圧搾部44の形成が終了した後、搬送方向MDの下流に搬送され、次工程に供される。
【0052】
圧搾溝を形成する工程の後、生理用ナプキンの連続体を形成する工程を実施する。
この工程においては、積層体67の吸収体4側の面(この場合、積層体67の下面)に、バックシートロール90から巻き出したバックシート連続体91を、ホットメルト型接着剤による接着剤層を介して順次積層して、複数の生理用ナプキン1がその長さ方向に直接的に連なった生理用ナプキンの連続体92を形成する。これにより、吸収体4の第1面にトップシート連続体72が、第1面とは反対側の面(この場合、吸収体4の下面)にバックシート連続体91がそれぞれ接合された状態となる。
生理用ナプキンの連続体92は、搬送方向MDの下流に搬送され、次工程に供される。
【0053】
生理用ナプキンの連続体を形成する工程の後、切断工程を実施する。
この工程においては、切断装置100が備えているカッターによって、生理用ナプキンの連続体から所望の形状・大きさの単体の生理用ナプキンを切り出す。
これにより、製品としての生理用ナプキン1が完成することとなる。
【0054】
ところで、積層体を形成する工程に含まれる、前述のトップシート連続体を形成する工程は次のように行われる。
トップシート2となるトップシート連続体72を形成する方法として、トップシート連続体72の原料となる長尺の加工対象の不織布73がロール状に巻かれたトップシートロール74から、加工対象の不織布73を巻出し、その巻き出された加工対象の不織布73に対して予熱を加える予熱工程と、予熱工程を経た加工対象の不織布73を延伸して賦形加工し、賦形シート71とする賦形工程とを実施する。さらに、賦形工程で賦形加工が終了した賦形シート71に対して揮発性の薬剤9を塗布してトップシート連続体72とする塗布工程を順次行う。
【0055】
また、前記トップシート連続体を形成する方法は、図7図10に示すようなトップシート形成装置70を用いて行い、最終的には図11に示すようなトップシート連続体72(ただし、図11には第2底部28に塗布された薬剤9は示されていない。)を形成する。
この形成装置70は、加工対象の不織布73を搬送方向MDの下流に巻き出す、前述したトップシートロール74と、トップシートロール74から巻き出させたによって形成された加工対象の不織布73に予熱を与える予熱装置75とを備えている。さらに、予熱を与えた加工対象の不織布73を延伸して凸部11及び溝部12(第1凹部21及び第2凹部26)を形成するための賦形加工を行う賦形装置76と、賦形加工により形成された賦形シート71に対して薬剤9を塗布する塗布装置77とを備えている。
なお、図11に示すようなトップシート連続体72を形成するに際し、前記トップシート連続体72を形成する方法において形成される賦形シート71は、長さ方向が長尺であること及び揮発性の薬剤が塗布されていないこと以外の構成は、基本的にトップシート2と同じ構成であることから、トップシート2の場合と同様の符号を付して詳細な説明は省略する。また、トップシート連続体72は、長さ方向が長尺であること以外の構成は、基本的にトップシート2と同じ構成であることから、トップシート2の場合と同様の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0056】
前記予熱工程は、トップシートロール74から巻き出され、搬送方向MDに沿って搬送されてきた、坪量が一定の長尺のシート状に形成された加工対象の不織布73を、予熱装置75の、回転している上下一対の加熱ロール75a,75bの外周面に順次接触させて、加工対象の不織布73の両面を順次加熱して予熱を加える。即ち、トップシートロール74から巻き出された加工対象の不織布73を、まず下方の加熱ロール75bの外周面に巻き付け、その外周面に接している加工対象の不織布73の一面側を加熱する。次に、加工対象の不織布73を、下方の加熱ロール75bで加熱した面とは反対側の面が上方の加熱ロール75aの外周面に接するように受け渡し、その外周面に接している面を上方の加熱ロール75aで加熱する。
【0057】
ここで、予熱温度は、加工対象の不織布を構成する熱可塑性樹脂繊維の種類にもよるが、例えば、加工対象の不織布に使用されている熱可塑性樹脂繊維の軟化が始まる温度以上、融点未満の温度で加熱することが好ましい。
予熱温度が融点以上とすると熱可塑性樹脂繊維が溶解し硬化するため、柔軟な肌触りが損なわれる。また、熱可塑性樹脂繊維の軟化が始まる温度未満であると、熱可塑性樹脂繊維同士の接合が維持されるため、次工程の賦形工程において加工対象の不織布を賦形しづらくなり、適切な凹凸が形成しにくくなる。
例えば、加工対象の不織布が、ポリエチレンテレフタレート(PET)と高密度ポリエチレン(HDPE)との芯鞘型の複合繊維の場合、融点温度が120℃、軟化が始まる温度が50℃未満であるため、加熱ロールの外周面の温度を50〜110℃程度とすることが好ましく、より好ましくは60〜100℃程度とすることである。
【0058】
賦形工程は、予熱工程を経て搬送されてきた加工対象の不織布73を、賦形装置76において、噛み合いながら回転している上下一対の延伸ロール78,79の間に装入し、加工対象の不織布73を、噛み合っている上方の延伸ロール78の突稜78a及び凹溝78bと、下方の延伸ロール79の凹部79b及びピン79aとの間で延伸して賦形することにより、賦形シート71を形成する。
なお、賦形工程の実施の際は、賦形を行い易いように延伸ロール78,79を加熱しながら賦形することが好ましい。このときの加熱温度は、予熱工程における予熱温度よりも高く、加工対象の不織布73の融点温度よりも低い温度とすることが好ましい。
【0059】
具体的に、図8に示すように、上方の延伸ロール78は、その外周面に、ロール幅方向に一定の間隔で、この上方の延伸ロール78の外周面に沿って相互に平行に複数列設けられた前述の突稜78aと、隣り合う突稜78a,78aの間に設けられた複数列の前述の凹溝78bとを備えている。
一方、下方の延伸ロール79は、その外周面に、上方の延伸ロール78の凹溝78bと噛み合うように設けられた複数のピン79aと、突稜78aと噛み合う凹部79bとを備えている。図8及び図9に示すように、これらのピン79aは、ロール幅方向に対しては、上方の延伸ロール78の突稜78aと接触しないように一定の間隔で配設されていると共に、ロールの周方向に対しては、外周面に沿って一定の間隔でほぼ直線的に配設されている。また、図9に示すように、この実施の形態における下方の延伸ロール79は、複数のピン79aが、下方の延伸ロール79の外周面に千鳥状に配設された構成となっている。
【0060】
前記賦形工程を実施するに際しては、図10に示すように、上方の延伸ロール78は、突稜78aが加工対象の不織布73と接触している部分を、下方の延伸ロール79における凹部79b内に押し込み、これによりトップシート2(賦形シート71、トップシート連続体72)の凸部11を賦形する。
一方で、下方の延伸ロール79は、周方向に一列に並んでいる複数のピン79aが、そのピン79aの先端部分に接触している加工対象の不織布73を、上方の延伸ロール78の同一の凹溝78b内に押し込む。このとき、加工対象の不織布73のうち、ピン79aと非接触状態で凹溝78b内に押し込まれた部分は、他の部分に比べてあまり延伸されず、トップシート2(賦形シート71、トップシート連続体72)の溝部12の第1凹部21の第1底部22となる。また、ピン79aの先端部分と接触していた部分は、凹溝78b内に強く押し込まれて賦形され、これにより、周壁部27及び第2底部28を備えた、トップシート2(賦形シート71、トップシート連続体72)の第2凹部26が形成されることとなる。
なお、第2凹部26の第2底部28については、その形成時において、上方の延伸ロール78と下方の延伸ロール79とが加工対象の不織布73を噛み込んだ状態で、ピン79aの先端部分がその加工対象の不織布73の当接部分を凹溝78b内に押し込むため、実質的に繊維密度が他の部分よりも高くなり、剛性が向上する。したがって、トップシート2(賦形シート71、トップシート連続体72)は、この第2凹部26の第2底部28の作用により、全体の剛性が向上することとなる。
【0061】
また、加工対象の不織布73において、ピン79aの先端部分の幅方向(ロール幅方向)の両端部に接触していた部分は、上方の延伸ロール78の突稜78aが加工対象の不織布73を下方の延伸ロール79の凹部79bに押し込む際に発生する張力も手伝って、ピン79aが、第2凹部26の周壁部27のうちの第1周壁部29を形成する熱可塑性樹脂繊維を掻き分けたり、あるいは破断して前述した破断端部を有する破断繊維を形成したりする。
これにより、第2凹部26に、周縁部分に破断繊維の破断端部が含まれた孔部31が形成されることとなる。なお、一部の熱可塑性樹脂繊維は、孔部31の内部空間に架け渡された状態で残り、また、一部の破断繊維の破断端部は孔部31の内部空間内に延出した状態となる。
ここで、孔部31が形成されるのは、加工対象の不織布73の搬送方向MDに沿う方向、即ち、延伸ロール78,79の回転方向であって、凸部11及び溝部12が延設される方向であることから、孔部31は、凸部11及び溝部12が延設される方向に沿う周壁部である第1周壁部29に形成される。
この賦形工程終了後、賦形された賦形シート71は、凸部11の突出方向とは反対側の面(第2面側)が上面側となった状態で搬送方向MDに搬送される。
【0062】
賦形工程終了後、塗布工程を行う。この塗布工程においては、賦形装置76を出て搬送方向MDに向けて搬送されている賦形シート71に対して、塗布装置77により揮発性の薬剤9を塗布する。
この実施形態においては、塗布装置77は、外周面に薬剤が付着しているコータロール77aを回転させながら、そのコータロール77aを賦形シート71における第2凹部26の第2底部28の第2面2b(この場合は上面)に直接的に接触させて、薬剤9を第2底部28の第2面に転写し、塗布する構成となっている。なお、図7中の符号77bは、コータロール77aに接触する賦形シート71を支持して、薬剤の転写、塗布を安定的に行えるようにする支持ロールである。
【0063】
このとき、賦形シート71の第2凹部26は他の部分比べて突出(この場合上方に突出)しているため、コータロール77aを第2底部28に接触させ易い。しかも、その第2底部28は、繊維密度が他の部分より高く剛性が高いため、コータロール77aを安定的に接触させることができ、これにより、薬剤9を第2底部28に確実且つ安定的に塗布することができる。
なお、第2底部28の第2面2bに塗布された薬剤9は、第2底部28の第2面2bの表面だけでなく、その内部にまで浸透する。しかしながら、この第2底部28は繊維密度が他の部分よりも高いため、薬剤9は、毛細管現象の影響により、第2底部28から周壁部27、さらにはトップシートとして最も肌に接し易い凸部11に移動しにくく、第2底部28に留まり易い。
【0064】
塗布工程が終了すると、図11に示すようなトップシート連続体72が完成することになるが、このトップシート連続体72は、吸収体4に積層すべく、キャリアシート65上の吸収体4に向けて搬送されて、接着剤層を介して吸収体4の上面側の面に積層且つ接合されることとなる。このとき、トップシート連続体72は、第1凹部21における第1底部22の第2面2bの少なくとも一部と、第2凹部26における第2底部28の第2面2bが吸収体4の上面に接合される一方、凸部11の第2面2bについてはほとんど接合されない。
その後、上述した各工程を実施して、製品としての生理用ナプキン1が完成する。
【0065】
前記構成を有する生理用ナプキン1は、トップシート2の第2凹部26の第2底部28における第2面2bに揮発性の薬剤9が塗布されている。このとき、第2底部28はトップシート2の中で最も繊維密度が高いため、薬剤9が他の部分、特に肌に接する凸部11に移動しにくい。
また、薬剤9が塗布されている第2底部28は、トップシート2の中で、生理用ナプキン1の厚さ方向において、着用者の肌に最も触れ易い凸部11の頂部13から最も離れており、さらには凸部11の次に肌に接し易い第1凹部21の第1底部22からも離れているため、薬剤9が直接的に肌に触れることを可及的に抑止することができる。この点、薬剤9が、清涼剤等、肌に対して刺激を与える可能性があるものである場合は特に有効であり、この場合は、第2底部28に塗布された薬剤9が肌に直接的に接触しない場合であっても、揮発した薬剤からの肌への刺激を少なくすることができる。
【0066】
さらに、図12(a)に示すように、例えば生理用ナプキン1を個包装する場合等、ウイング部7,7を、生理用ナプキン1の幅方向の内側方向に折り畳む場合には、ウイング部7、特にサイドシート6がトップシート2と接触することになる。しかしながら、図12(b)に示すように、この場合であっても、トップシート2と接触しているサイドシート6は、第2底部28からは離れていて接触しづらいため、薬剤9がサイドシート6と接触することを抑止することができる。
そのため、生理用ナプキン1を下着に装着する場合等、折り畳まれたウイング部7を指でつまんで開く際、薬剤9がサイドシート6を通じて指の皮膚に転写されることが抑止され、また着用時においてサイドシート6,6が着用者の太腿等の皮膚に接触したとしても、薬剤9がその皮膚に転写されることが抑止されるため、薬剤9による皮膚へのダメージを抑えることができる。
【0067】
前記実施形態では、トップシート2の第2底部28は吸収体4に接合されていたが、吸収体におけるトップシート側の面に、繊維密度が第2底部よりも大きくて液拡散性に優れた、液透過性のセカンドシートを設けると共に、トップシートの第2底部をそのセカンドシートに接合するようにしてもよい。
この場合、第2底部に塗布された薬剤が、繊維密度がその第2底部よりも高いセカンドシートに移動し易くなるため、凸部の方向に向けて薬剤が移動しづらくなる。
また、前記セカンドシートを設ける場合、そのセカンドシートの疎水性がトップシートよりも高いものを選択した場合には、薬剤がセカンドシートに移動し易くなるため、やはり凸部11に薬剤が移動しづらくなる。
【0068】
前記実施形態においては、周壁部27に孔部31が設けられているが、この孔部については必ずしも設ける必要はない。また、孔部を設ける場合においては、周壁部の第1周壁部あるいは第2周壁部のどちらに設けてもよく、また孔部の数については、第2凹部の剛性、特に周壁部の剛性を確保できる範囲で任意に設定できる。
さらに、前記実施形態においては、吸収体4のトップシート側の面から凸部11の頂部13の第1面2aまでの高さは、溝部12の幅方向の大きさよりも大きくしているが、必ずしもこのように構成する必要はない。
【0069】
前記実施形態においては、凸部11は、その凸部11における第1面2aと第2面2bとの間の距離、つまり厚さが、頂部13において最も大きくなっている。しかしながら、凸部は、必ずしも頂部の厚さが最大である必要はない。
また、前記実施形態においては、凸部11は、頂部13における第2面2b側の部分が吸収体4と接合されていないが、凸部は、凸部として柔軟性が十分に確保できている場合には、頂部における第2面側の部分が吸収体と接合されていてもよい。
さらに、前記実施形態においては、第1凹部21における第1底部22の第2面2bの少なくとも一部が吸収体4に接合されているが、第1底部については、必ずしも吸収体に接合されていなくてもよい。
【0070】
前記実施形態では、トップシート側の面に圧搾溝41〜43や圧搾部44が設けられているが、圧搾溝やドット状の圧搾部については、必ずしも設ける必要はない。このような圧搾溝や圧搾部を設ける場合であっても、その数や形状は任意に設定することができる。
【0071】
また、前記実施形態では、揮発性の薬剤9が第2底部28の第2面2bのみならず、第2底部28のほぼ全体に塗布された状態となっているが、薬剤は第2底部の第2面に塗布されていれば、第2底部全体に塗布されている必要はない。
【0072】
さらに、前記実施形態では、吸収性物品として生理用ナプキンの例について説明したが、吸収性物品としては、使い捨ておむつ、失禁パッド(パンティーライナー)等の各種吸収性物品であってもよい。
また、前記実施形態においては、生理用ナプキン1にウイング部7が設けられているが、吸収性物品が生理用ナプキンであっても、このウイング部は必ずしも設ける必要はない。
【符号の説明】
【0073】
1 生理用ナプキン(吸収性物品)
2 トップシート
3 バックシート
4 吸収体
9 揮発性の薬剤
11 凸部
12 溝部
13 頂部
21 第1凹部
22 第1底部
26 第2凹部
27 周壁部
28 第2底部
29 第1周壁部
30 第2周壁部
31 孔部
41〜43 圧搾溝
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12