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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-220998(P2016-220998A)
(43)【公開日】2016年12月28日
(54)【発明の名称】吸収性物品用不織布
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/49 20060101AFI20161205BHJP
   A61F 13/511 20060101ALI20161205BHJP
   A61F 13/15 20060101ALI20161205BHJP
   D04H 1/4374 20120101ALI20161205BHJP
【FI】
   A41B13/02 E
   A61F13/18 310Z
   D04H1/4374
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2015-110963(P2015-110963)
(22)【出願日】2015年5月29日
(11)【特許番号】特許第5829349号(P5829349)
(45)【特許公報発行日】2015年12月9日
(71)【出願人】
【識別番号】000115108
【氏名又は名称】ユニ・チャーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077517
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100087413
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 哲次
(74)【代理人】
【識別番号】100093665
【弁理士】
【氏名又は名称】蛯谷 厚志
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100139022
【弁理士】
【氏名又は名称】小野田 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100141438
【弁理士】
【氏名又は名称】吉迫 大祐
(74)【代理人】
【識別番号】100192463
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 剛規
(72)【発明者】
【氏名】宇田 匡志
(72)【発明者】
【氏名】坂口 智
(72)【発明者】
【氏名】深山 拓也
【テーマコード(参考)】
3B200
4L047
【Fターム(参考)】
3B200AA01
3B200AA03
3B200BA08
3B200BA20
3B200BB03
3B200BB04
3B200DC01
3B200DC02
3B200DC04
3B200DC06
4L047AB02
4L047CA02
4L047CA05
4L047CA12
4L047CB10
4L047CC04
4L047CC05
(57)【要約】
【課題】手の指が接触した際に、繊細で柔らかな、且つ滑らかな肌触りを得ることができる吸収性物品用の不織布を得る。
【解決手段】吸収性物品用の不織布1が、複数の凸部4と、隣り合う凸部4,4の間の空間に設けられた複数の溝部5における第1凹部11の第1底部12に、第1底部12に開口する窪み状に形成された、第2底部18を有する第2凹部16を備えた構成とし、凸部4の頂部4aとその凸部4と隣り合う凸部4の頂部4aとの間の距離を0.5〜2mmとし、不織布1において少なくとも凸部4を形成する繊維の平均繊維径を10〜30μmとする。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面と該第1面とは反対側の第2面とを有し、前記第2面から前記第1面の方向に向けて突出する複数の凸部と、前記第1面から前記第2面の方向に向けて窪んだ複数の溝部とを備えた、熱可塑性樹脂繊維を含む吸収性物品用不織布であって、
前記凸部は、前記不織布の平面方向における第1方向に向けて延設されていると共に、前記不織布の平面方向において前記第1方向と直交する第2方向に予め定めた間隔で設けられ、
前記溝部は、前記第2方向に対して相互に隣り合う前記凸部の間の空間に、前記第1方向に向けて延設されていて、前記凸部の頂部における前記第1面の位置よりも第2面の方向に位置する第1底部を備えた第1凹部と、前記第1凹部内において前記第1方向に不連続に設けられ、前記第1底部に開口する窪み状に形成された、前記第1底部よりも前記第2面の方向に位置する第2底部を備えた複数の第2凹部とを有し、
前記凸部の頂部とその凸部と隣り合う他の前記凸部の頂部との間の距離が0.5〜2mmであり、
前記不織布において少なくとも前記凸部を形成する繊維の平均繊維径が10〜30μmである、吸収性物品用不織布。
【請求項2】
前記凸部を形成する繊維の平均繊維間距離が50〜150μmである、請求項1に記載の吸収性物品用不織布。
【請求項3】
前記第2凹部は、前記第1底部から前記凸部の突出する方向と反対の方向に延出した周壁部と、前記周壁部における前記第1底部とは反対の方向の端部に、その端部を塞ぐように設けられた第2底部とを備えている、請求項1又は2に記載の吸収性物品用不織布。
【請求項4】
前記第2凹部の前記周壁部は、前記第1方向に沿うように形成された一対の第1周壁部と、前記第2方向に沿うように形成された一対の第2周壁部とを有し、前記第1周壁部は、前記第1面と前記第2面との間を貫通させる孔部を備えている、請求項3に記載の吸収性物品用不織布。
【請求項5】
前記孔部は、前記熱可塑樹脂性繊維を溶融することなく形成された周縁部を有していて、前記周縁部には、前記熱可塑性樹脂繊維のうち、破断により形成された破断端部を備えた破断繊維の前記破断端部が含まれている、請求項4に記載の吸収性物品用不織布。
【請求項6】
前記孔部は、その孔部の内部空間内に、前記熱可塑性樹脂繊維の一部が架け渡されている請求項4又は5に記載の吸収性物品用不織布。
【請求項7】
前記孔部は、前記内部空間の開孔率が1〜50%である、請求項4〜6のいずれか1項に記載の吸収性物品用不織布。
【請求項8】
前記孔部が前記第1周壁部の前記第2底部寄りの位置にのみ設けられている、請求項4〜7のいずれか1項に記載の吸収性物品用不織布。
【請求項9】
前記第2凹部は、前記第1凹部における前記第1底部の前記第1面から、第2底部の第1面までの距離が0.05〜2mmである、請求項1〜8のいずれか1項に記載の吸収性物品用不織布。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使い捨ておむつや生理用ナプキン、失禁パッド等の吸収性物品に使用される不織布に関するものである。
【0002】
例えば使い捨ておむつ等の吸収性物品において、トップシート等の構成部材として用いられる不織布は、使用者の肌に触れる部分であることから、柔軟で肌触りが良いことが大きな条件となる。
そのため、近年では、肌と接触する面に、複数列の凸部と、隣り合う凸部の間の空間に設けられた溝部とが設けられた不織布が用いられることが多くなっているが、このような不織布は、比較的柔軟な凸部が肌に接触し、またその凸部が肌面にフィットし易いため、不織布の柔軟性を感じ易い傾向にある。
【0003】
この種の不織布の中には、繊細で柔らかな感触によって肌触りをより向上させるため、例えば特許文献1に記載されているように、アーチ状の凸部の表面に、その凸部よりも小さな島状の小凸部を設けたものが存在する。この特許文献1に記載の不織布は、前記小凸部によって不織布の肌に対する接触面積を小さくすることにより、不織布を触った際にさらっとした感覚やすべり感を感じ易くして、肌触りを向上させようとするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−334374号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の不織布は、肌に対する不織布の接触面積は小さくなることに起因して、小凸部が存在しない場合に比べると肌触りは向上するものの、例えば不織布の表面に対して肌を滑らせた際には、小凸部の存在による凹凸によって、不織布表面の乾燥したざらざらした感触が残る場合があるため、繊細で柔らかな、肌になじむような感触を得るまでには至らない可能性がある。
【0006】
本発明の技術的課題は、手の指が接触した際に、繊細で柔らかな、肌になじむような感触を得ることができる吸収性物品用の不織布を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するための本発明の吸収性物品用不織布は次の通りである。
(1)第1面と該第1面とは反対側の第2面とを有し、前記第2面から前記第1面の方向に向けて突出する複数の凸部と、前記第1面から前記第2面の方向に向けて窪んだ複数の溝部とを備えた、熱可塑性樹脂繊維を含む吸収性物品用不織布であって、前記凸部は、前記不織布の平面方向における第1方向に向けて延設されていると共に、前記不織布の平面方向において前記第1方向と直交する第2方向に予め定めた間隔で設けられ、前記溝部は、前記第2方向に対して相互に隣り合う前記凸部の間の空間に、前記第1方向に向けて延設されていて、前記凸部の頂部における前記第1面の位置よりも第2面の方向に位置する第1底部を備えた第1凹部と、前記第1凹部内において前記第1方向に不連続に設けられ、前記第1底部に開口する窪み状に形成された、前記第1底部よりも前記第2面の方向に位置する第2底部を備えた複数の第2凹部とを有し、前記凸部の頂部とその凸部と隣り合う他の前記凸部の頂部との間の距離が0.5〜2mmであり、前記不織布において少なくとも前記凸部を形成する繊維の平均繊維径が10〜30μmである、吸収性物品用不織布。
【0008】
(2)前記凸部を形成する繊維の平均繊維間距離が50〜150μmである、前記(1)に記載の吸収性物品用不織布。
これにより、前記凸部を形成する繊維を、手の指の指紋の凹凸に沿わせ易くなるため、前記凸部を形成する繊維を、突起部間により安定的に入り込ませることができ、より肌になじみ易い、しっとりした感触を得ることができる。
【0009】
(3)前記第2凹部は、前記第1底部から前記凸部の突出する方向と反対の方向に延設された周壁部を有していて、前記周壁部における前記第1底部とは反対の方向の端部に、前記第2底部がその端部を塞ぐように配設されている、前記(1)又は(2)に記載の吸収性物品用不織布。
これにより、肌に対する前記第1凹部の前記第1底部の接触面積をより安定的に抑えることができ、柔軟な感触を付与することができる。また、周壁部により前記第2底部は前記凸部から離れた位置に存在することとなるため、前記第1面に肌が触れた際には、前記第2底部が肌に触れにくく、前記第1面の滑らかな肌触りを確保することができる。
【0010】
(4)前記第2凹部の前記周壁部は、前記第1方向に沿うように形成された一対の第1周壁部と、前記第2方向に沿うように形成された一対の第2周壁部とを有し、前記第1周壁部は、前記第1面と前記第2面との間を貫通させる孔部を備えている、前記(3)に記載の吸収性物品用不織布。
これにより、前記周壁部の前記第1周壁部の前記孔部が、隣り合う前記凸部を形成する繊維の張力を解放するため、前記凸部の全体あるいは前記凸部を形成する繊維が移動する自由度を向上させることができる。この結果、前記凸部の柔軟性をより向上させることができる上、前記凸部の繊維を指の指紋の凹凸に追従させ易くなり、繊細で柔らかな、肌になじみやすい感触をより安定的に得ることができる。
【0011】
(5)前記孔部は、前記熱可塑樹脂性繊維を溶融することなく形成された周縁部を有していて、前記周縁部には、前記熱可塑性樹脂繊維のうち、破断により形成された破断端部を備えた破断繊維の前記破断端部が含まれている、前記(4)に記載の吸収性物品用不織布。
これにより、肌が前記孔部の周縁部に触れたとしても、この周縁部には溶融により硬化した熱可塑性樹脂繊維が存在しないため、ごわつきや繊維の引っ掛かりによる違和感が抑えられ、不織布に対して硬さや粗さを感じることが抑止される。
【0012】
(6)前記孔部は、その孔部の内部空間内に、前記熱可塑性樹脂繊維の一部が架け渡されている前記(4)又は前記(5)に記載の吸収性物品用不織布。
これにより、仮に肌が孔部に触れた場合であっても、内部空間内の熱可塑性樹脂繊維が、第2凹部の第1周壁部や第2底部と孔部21との間の境目や段差を小さくすることができる。これにより、孔部が存在していても、滑らかな肌触りが維持することができるため、この孔部の存在に起因する触れた際の違和感を少なくすることができる。
【0013】
(7)前記孔部は、前記内部空間の開孔率が1〜50%である、前記(4)〜(6)のいずれか1つに記載の吸収性物品用不織布。
これにより、凸部や凸部の繊維に適度な自由度を付与して柔軟性を確保することができる一方で、孔部が設けられている第1周壁部の強度を確保し、且つ孔部の周縁部に触れた際の違和感を抑えることができる。
【0014】
(8)前記孔部が前記第1周壁部の前記第2底部寄りの位置にのみ設けられている、(4)〜(7)のいずれか1つに記載の吸収性物品用不織布。
これにより、孔部を、肌が触れやすい凸部や第1底部からできるだけ遠ざけることができるため、孔部が肌に触れる機会を極力減らし、孔部による違和感あるいは異物感を減らすことができる。この結果、肌を不織布の平面方向に滑らせた際の滑らかさをより安定的に確保することができる。
【0015】
(9)前記第2凹部は、前記第1凹部における前記第1底部の前記第1面から、第2底部の第1面までの距離が0.05〜2mmである、前記(1)〜(8)のいずれか1つに記載の吸収性物品用不織布。
これにより、前記第2底部の形成時において繊維密度を確保してその第2底部の剛性の低下を抑えると共に、第2凹部の周壁部の剛性を確保して、不織布全体の強度を確保することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、凸部を形成する繊維の平均繊維径が、手の指の指紋の突起部の間の幅よりも小さく、また隣り合う凸部の頂部の間の距離を予め定めた範囲内としたことにより、前記凸部を形成する繊維を、手の指の指紋の凹凸に沿わせ易く、また前記凸部を形成する繊維を、突起部間に入り込ませ易い。一方で、第2凹部の存在により、第1凹部の第1底部が肌に接する面積が抑えられて、柔軟な肌触りを得ることができる。これにより、不織布全体として柔軟な肌触りが得られる上、凸部を形成する繊維が手の指の指紋の隣り合う突起部間にある平坦部分や、突起部の側面部分にある触覚器官を刺激するため、繊細で柔らかく、肌になじみ易くてしっとりした感触を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は本発明に係る吸収性物品用不織布の一実施の形態を模式的に示す一部破断斜視図である。
図2図2は本発明に係る吸収性物品用不織布の一実施の形態を模式的に示す平面図である。
図3図3図2のA−A線における要部拡大断面図である。
図4図4は(a)指の指紋を模式的に示す図、(B)本発明に係る吸収性物品用不織布における凸部を形成する繊維が指の指紋に接触した状態を説明する断面図である。
図5図5は本発明に係る吸収性物品用不織布を製造するための製造装置の一例を模式的に示す図である。
図6図6は賦形装置の一対の延伸ロールを模式的に示す要部拡大斜視図である。
図7図7は下方の延伸ロールのピンの配置を模式的に示す要部拡大図である。
図8図8は上方の延伸ロールと下方の延伸ロールとの噛み合わせ状態を示す要部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1図3は、本発明の吸収性物品用不織布の一実施形態を示すもので、この実施形態の不織布1は、第1面2と、その第1面2とは反対側の第2面3とを有し、第1面2側(図1図3において上方側)に突出する複数の凸部4と、第2面3側、即ち凸部4の突出する方向とは逆の方向(図1図3において下方側)に窪んだ複数の溝部5とを備えた、熱可塑性樹脂繊維を含む吸収性物品用のものである。また、不織布1は、この不織布1の平面方向における第1方向Xと、不織布1の平面方向において第1方向Xと直交する第2方向Yとを有している。
なお、この実施形態においては、凸部4が突出する方向を上方、凸部が突出する方向と反対側の方向を下方として説明する。
【0019】
本発明の不織布は、使い捨ておむつや生理用ナプキン、尿取りパット、パンティーライナー等の吸収性物品のトップシートや防漏壁、即ち、吸収性物品の使用者の肌と接する側に配設されるシートとして好適に用いられる。あるいは、使い捨ておむつ等のバックシートの外方側の面に貼り付けられるシートとしても用いられる。
なお、本発明の不織布が吸収性物品に使用される場合には、この不織布の第2面が吸収性物品の各構成部材(例えば、トップシートとして使用される場合には吸収体)に接合される。このとき、凸部(特に頂部)の第2面側は接合しないことがきわめて好ましい。
【0020】
また、本発明において、不織布に含まれる熱可塑性樹脂繊維を構成する熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド等が挙げられる。ポリオレフィンとしては、例えば、直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレン、ポリブチレン、これらを主体とした共重合体(例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−アクリル酸エチル共重合体(EEA)、エチレン−アクリル酸共重合体(EAA)、アイオノマー樹脂)等が挙げられる。ポリエステルとしては、例えば、ポリエチレンタレフタレート(PET)、ポリトリメチレテレフタレート(PTT)、ポリブチレンテレタレート(PBT)、ポリ乳酸、ポリグリコール酸をはじめとする直鎖状又は分岐状の炭素数20までのポリヒドロキシアルカン酸等のポリエステル、これらを主体とした共重合体、アルキレンテレフタレートを主成分として他の成分を少量共重合してなる共重合ポリエステル等が挙げられる。ポリアミドとしては、例えば、6−ナイロン、6,6−ナイロン等が挙げられる。繊維長は、通常20〜100mm、好ましくは35〜65mmである。熱可塑性樹脂繊維については親水化処理を行ってもよく、この親水化処理としては、例えば、界面活性剤、親水剤等を利用した処理(例えば、繊維内部への界面活性剤の練り込み、繊維表面への界面活性剤の塗布等)等が挙げられる。
【0021】
なお、本発明の不織布には、熱可塑性樹脂繊維に加えて、その他の構成繊維を含有してもよい。その他の構成繊維としては、例えば、天然繊維(例えば、羊毛,コットン等)、再生繊維(例えば、レーヨン,アセテート等)、無機繊維(例えば、ガラス繊維,炭素繊維等)等が挙げられる。また、不織布には、芯・鞘型繊維、サイド・バイ・サイド型繊維、島/海型繊維等の複合繊維;中空タイプの繊維;扁平、Y型、C型等の異型繊維;潜在捲縮又は顕在捲縮の立体捲縮繊維;水流、熱、エンボス加工等の物理的負荷により分割する分割繊維等が混合されていてもよい。
【0022】
そして、不織布1は、材料となるシート状の加工前の不織布を、第1面2側の方向及び第2面3側の方向、即ち上方と下方とに交互に折り返すことにより形成された略波型のもので、第1面2側に向けて、即ち上方に向けて折り返した部分によって前述の複数の凸部4が形成され、その凸部4が突出する方向とは反対側の方向、即ち下方に向けて折り返した部分によって前述の複数の溝部5が形成された構成となっている。
凸部4は、不織布1の平面方向(シート面)における第1方向Xに向けて連続的に延設されていると共に、第2方向Yに予め定めた間隔で複数列設けられている。この実施の形態においては、各凸部4は、いずれも第1方向Xに向けて連続的に、且つ他の凸部4と相互にほぼ平行となるように延設されている。
【0023】
一方、溝部5は、第2方向Yにおいて隣り合う凸部4,4の間の空間に、第1方向Xに延設されている。
この溝部5は、凸部4の頂部4aにおける第1面2の位置よりも第2面3の方向、即ち下方に位置する第1底部12を備えた第1凹部11と、第1凹部11内において第1方向Xに不連続に設けられ、第1底部12に開口する窪み状に形成された複数の第2凹部16とを有している。
【0024】
第1凹部11は、第2方向Yにおいて凸部4と一体に形成されている。また、この第1凹部11の第1底部12は、その最大部分の厚さ(第1面2と第2面3との最大距離)はこの不織布1において最も厚くなっていて、第1底部12は全体として弾性に優れた部分となっている。なお、不織布1に形成されている複数の第1凹部11は、いずれも相互に同幅に形成されている。
【0025】
第2凹部16は、平面視(この実施形態においては上方から見て)略矩形状の開口を有していて、全体として不織布1の下方側に突出して、略直方体状の内部空間を備えたものとなっている。また、第2凹部16は、各溝部5の第1方向X、より具体的には第1凹部11の第1方向Xに一定の間隔で配設されていて、これらの各第2凹部16は、他の第2凹部16とは相互に独立した状態に形成されている。
さらに、この第2凹部16は、第1底部12から凸部4が突出する方向とは反対側の方向である下方に向けて延設された、立壁状の周壁部17と、この周壁部17における第1底部12とは反対側の端部、即ち下方側の端部に、その端部を塞ぐように設けられた、第1底部12よりも第2面3の方向、即ち下方に位置する第2底部18とを備えている。
【0026】
第2底部18は、不織布1を構成する繊維が上下方向に圧縮されることにより形成されていて、不織布1の中で最も繊維密度が高く、且つ剛性も最も大きくなっている。
さらに、この第2底部18の第1面2(即ち、第2凹部16の内部側の面)及び第2面3は、全体としてほぼ面状に形成されている。
【0027】
ここで、本発明において、不織布に第2凹部を設けたのは、溝部の溝底、より具体的には第1凹部の第1底部が肌に接触する機会を極力減らすと共に、仮に第1底部が肌に触れた際であってもその接触面積を極力小さくするためである。
即ち、本発明に係る不織布は、例えば吸収性物品にトップシートとして使用される場合は、この不織布の第2面が吸収性物品の吸収体に接合されるが、その状態においては、凸部、次いで第1凹部の第1底部の順に肌に触れ易くなる。このとき、凸部(特に頂部)は、吸収体にほとんど接合されず、柔軟性も高まることから、第1底部よりも凸部が肌に触れる機会が多いことが好ましい。一方で、トップシート等に使用される不織布としては、不織布全体として肌に触れる接触面積が少ない方が柔軟性を感じ易い。
そのため、本発明においては、第2凹部を設けて第1底部が存在しない部分を形成することにより、第1凹部の第1底部において肌に接する部分をより小さくし、肌が第1底部に当たる機会を可及的に少なくして凸部に触れ易くすると共に、仮に肌が第1底部に接する場合であってもその接触面積が可及的に少なくなるようにしている。
さらに、第2凹部を第1底部に設けたのは、第2凹部を、凸部に比べて肌に触れにくい第1凹部の第1底部に設けることにより、凸部と第2底部との間の距離を確保してその第2凹部が肌に触れる機会をできるだけ少なくするためである。これにより、他の部分に比べて繊維密度が高く剛性も高い第2凹部に触れることによる違和感や異物感をできるだけ抑えることができる。
【0028】
本発明の第2凹部については、第1凹部の第1底部(この場合最も第2底部に近い位置)の第1面(この場合は上面)側の高さから、この第2凹部の底部の第1面の高さまでの大きさは、不織布の厚さによるが、0.05〜2mmであることが好ましく、さらに好ましくは0.075〜1.5mm、より好ましくは0.1〜1mmとすることである。
第1凹部の第1底部の第1面の高さから第2凹部の第2底部の第1面の高さまでの大きさが0,05mm未満であると、第2底部の形成時において繊維密度が低くなって剛性を確保しづらくなり、不織布の厚み方向の強度が不足する可能性がある。逆に2mm超であると、第2底部を吸収性物品の他の部材、例えば吸収体や他の不織布、フィルム等と貼り合わせた際、第2凹部の周壁部が長く延びすぎて不織布の厚さ方向の強度が出ない一方で、圧縮した際に硬さを感じてしまう可能性がある。
また、第2凹部と凸部との関係について、第1凹部の第1底部の第1面の高さから第2凹部の第2底部の第1面の高さまでの大きさは、第1凹部の第1底部(この場合、最も第2底部に近い位置)の第1面の高さから凸部の頂部の第1面側の高さまでの大きさの10〜80%であることが好ましく、さらに好ましくは15〜70%、より好ましくは20〜60%とすることである。
第1凹部の第1底部の第1面側の高さから第2凹部の第2底部の第1面側の高さまでの大きさが、第1凹部の第1底部の第1面側の高さから凸部の頂部の第1面側の高さまでの大きさの10%未満であると、周壁部おける孔部の形成スペースが十分に確保できず、孔部の形成が不十分となって凸部、延いては不織布としての柔軟性を得られない。逆に80%を超えると、第2凹部が深くなりすぎて周壁部の強度が低下し毛羽立ち易くなるため、肌触りが低下する可能性がある。
【0029】
また、第2凹部の第1方向及び第2方向の長さは、溝部の溝幅、即ち隣り合う凸部の間の距離にもよるが、0.25〜5mmであることが好ましく、さらに好ましくは0.5〜3mm、より好ましくは0.75〜2mmとすることである。
第2凹部の第1方向や第2方向の長さが0.25mm未満であると、第2凹部が小さくなりすぎて第2底部の形成が不十分になるため、第2凹部がほとんど機能しない可能性がある。逆に5mm超であると、第2凹部が大きくなりすぎて、凹部による違和感や異物感を感じ易くなる可能性がある。
【0030】
また、周壁部17は、第1方向Xに沿うように形成された一対の第1周壁部19,19と、第2方向Yに沿うように形成された一対の第2周壁部20,20とを有している。一対の第1周壁部19,19同士は、相互に向かい合う位置に配設されていると共に、一対の第2周壁部20,20同士についても、相互に向かい合う位置に配設されている。
そして、図1及び図3に示すように、一対の第1周壁部19,19には、第1凹部11の内部空間から第2面3に通じる孔部21がそれぞれ形成されている。
この実施の形態においては、孔部21は、一対の第1周壁部19,19のそれぞれに1つずつ設けられていて、それらの孔部21は、第1周壁部19における第2底部18寄りの位置に形成されたものとなっている(したがって、1つの第1凹部11には2つの孔部21が存在している。)。一方で、一対の第2周壁部20,20は、孔部21に相当するものは存在せず、第2周壁部20は第2底部28と直接的に連結されている。
【0031】
ここで、この実施形態において、孔部21を第1周壁部19に設けたのは、孔部21が設けられている溝部5と隣り合う凸部4の繊維の張力を解放するためである。これにより、凸部4全体あるいは凸部4を形成する繊維が移動する自由度を向上させ、凸部4の柔軟性、より具体的には凸部4における厚さ方向(第1面2から第2面3への方向)への柔軟性、及び不織布1の第1方向Xや第2方向Y(特に第2方向Y)に肌を滑らせた際の柔軟性を向上させて滑らかな感触を確保することができる。この結果、凸部4に、優れた硬軟感(厚さ方向への優れた柔らかさ)及び第1方向X及び第2方向Yへの優れた粗滑感(不織布1の表面(特に第2方向Y)の優れた滑らかさ)の両方を付与して、不織布1全体として優れた硬軟感及び粗滑感を確保することができ、柔軟な肌触りを実現することができる。
逆に、孔部21を第2周壁部20に設けていないのは、不織布1の第1方向X、即ち凸部4や溝部5が延びている方向に肌を滑らせた場合に、第2凹部16の存在による段差が肌に引っ掛かるのを抑止して、不織布1の第1方向Xへの滑らかさを確保するためである。即ち、第2周壁部20については、第1底部12及び第2底部18と連続し、継ぎ目なく一体となっているため、肌を不織布1の第1方向Xに滑らせた場合には、肌は第2凹部16の存在による第1底部12の段差をあまり感じることなく凸部4や溝部5に沿って滑らかに移動し易い。これにより、凸部4の柔軟性や繊維の柔軟性を生かした不織布1の第1方向Xへの滑らかさを確保することできる。
また、孔部21を第1周壁部19における第2底部18寄りの位置に設けたのは、孔部21を、肌が触れやすい凸部4や第1底部12からできるだけ遠ざけることにより、孔部21が肌に触れる機会を極力減らし、違和感あるいは異物感を感じにくくするためである。これにより、肌を不織布1の平面方向に滑らせた際の滑らかさをより安定的に確保することができる。
【0032】
また、図3に示すように、孔部21は、不織布1に含まれている熱可塑性樹脂繊維を溶融することなく、その熱可塑性樹脂繊維を破断することにより形成された周縁部22を備えている。この孔部21の周縁部22には、熱可塑性樹脂繊維のうち、その熱可塑性樹脂繊維を破断することにより形成された破断端部23aを備えた破断繊維23におけるその破断端部23aが含まれていて、溶融等により硬化した熱可塑性樹脂繊維は含まれていない。この破断繊維23の破断端部23aは、第1周壁部19に含まれる熱可塑性樹脂繊維の一部の繊維であり、その熱可塑性樹脂繊維を第1方向Xに引っ張ったり物理的に切断したりすることにより破断することにより形成されたものである。したがって、この破断繊維23は、熱可塑性樹脂繊維を溶融した場合のように、繊維の端部が溶けて丸くなって繊維径が大きくなったり硬化したりすることはなく、ちぎれたことによって先細りになったり、あるいは繊維径の変化がほとんど生じない態様となったりしている。
この結果、仮に肌が孔部21の周縁部22に触れたとしても、この周縁部22には溶融により硬化した熱可塑性樹脂繊維が存在しないため、ごわつきや繊維の引っ掛かりによる違和感が抑えられると共に、不織布1の硬さや粗さを感じることが抑止される。
【0033】
また、孔部21の内部空間21aには、その内部空間21a内に架け渡された熱可塑性樹脂繊維24と、内部空間21a内に破断端部23aが延出した一部の破断繊維23とが混在した状態となっていて、完全に開放された空間とはなっていない。このように、孔部21は、内部空間21aに熱可塑性樹脂繊維の一部が架け渡されたり、延出したりしているため、仮に肌が孔部21に触れた場合であっても、内部空間21a内の熱可塑性樹脂繊維が、第2凹部16の第1周壁部19や第2底部18と孔部21との間の境目や段差を小さくすることができる。これにより、孔部21が存在していても、滑らかな肌触りが維持することができるため、この孔部21の存在に起因する感触の違いをできるだけ小さくし、触れた際の違和感を少なくすることができる。
なお、このときの孔部の内部空間の開孔率は、1〜50%とすることが好ましく、さらに好ましくは1.5〜35%、より好ましくは2.5〜20%とすることである。
孔部の内部空間の開孔率が1%未満であると、開孔率が低すぎて凸部や凸部の繊維に自由度を付与することができず、凸部の十分な柔軟性を確保できない。逆に50%を超えると孔部が設けられた第1周壁部の強度が低くなり易い上、孔部の周縁部の境目が触感上分かり易くなる可能性がある。ただし、孔部の内部空間の開孔率については、吸収性物品の種類や用途等によっては、前記範囲以外であってもよく、任意に設定することができる。
【0034】
さらに、孔部の大きさについて、孔部の最大部分の長さ(この実施形態の場合、第1方向の長さ)は、第2凹部の大きさにもよるが、0.25〜5mmであることが好ましく、さらに好ましくは0.5〜3mm、より好ましくは0.75〜2mmとすることである。
孔部の最大部分の長さが0.25mm未満であると孔部の形成が不十分であり、第2凹部の柔軟性が確保できない上、凸部の繊維の張力が低下せずに凸部の十分な柔軟性が確保できない。逆に、5mm超であると孔部が大き過ぎて孔部の周縁部が毛羽立ち易くなり、かえって孔部による違和感や異物感が生じ易くなるため、不織布の肌触りを低下させるおそれがある。
一方、孔部の高さ方向の最大長さは、第2凹部の深さにもよるが、0.1〜5mmであることが好ましく、さらに好ましくは0.25〜3mm、より好ましくは0.5〜2mmとすることである。
孔部の高さ方向の最大長さが0.1mm未満であると、孔部の形成が不十分であり、この場合であっても、第2凹部の柔軟性が確保できない上、凸部の繊維の張力が低下せずに凸部の十分な柔軟性が確保できない。逆に、5mm超であると、やはり孔部の周縁部が大き過ぎて周縁部が毛羽立ち易くなり、孔部が違和感や異物感を生じさせ易くなるため、不織布の肌触りを低下させる可能性がある。
【0035】
ところで、この不織布1のうち少なくとも凸部4を形成する繊維4bについては、その平均繊維径が10〜30μmとしている。
本発明において、凸部を形成する繊維の平均繊維径を10〜30μmとしたのは、凸部に指の皮膚が触れた際に、繊細で柔らかく、肌になじみ易くてしっとりした感触を得ることができるようにするためである。この凸部を形成する繊維の平均繊維径は、繊細で柔らかく、肌になじみ易くてしっとりした感触の不織布を得るための非常に重要な要素である。
即ち、人間は、物の表面を指で触れた際に、その物の表面の凹凸における隣り合う凸状部分間の距離(ピッチ)と、指の指紋の隣り合う突起部間の距離との関係によって、その物の表面がすべすべしているか、ザラザラしているかを知覚するといわれている。即ち、物の表面の凸状部分が、指の指紋の突起部間に入り込んで、その指紋の突起部間の窪みである平坦部分や、突起部の先端以外の側面部分等を刺激すると、指の触覚器官が刺激されて、繊細で柔らかく、すべすべした感触が得られる。
一般に、人間の指の指紋は、隣り合う突起部間の距離が460±15μm程度といわれている。そのため、本発明においては、不織布において最も肌に触れ易い凸部を、この指紋における隣り合う突起部間の距離よりも十分に小さい平均繊維径の繊維により形成し、不織布の凸部を指で触った際に、凸部を形成する繊維が指の指紋の突起部間に入り込み易くしている。
【0036】
より具体的に説明すると、図4(a)に示すように、人間の指30は、複数の突起部31と、これらの突起部31の間に存在する窪んだ平坦部分32とで指紋が形成されている。指30によって凸部4に触れた場合には、凸部4を形成する繊維4bの平均繊維径が、指30においての隣り合う突起部31間の距離よりも小さいため、図4(b)に示すように、凸部4を形成する繊維4bが、指30の指紋において隣り合う突起部31,31間に入り込む。
この結果、凸部4を形成する繊維4bの複数が、指30の平坦部分32や、突起部31の側面部分31aに接触し、指30の触覚器官を刺激するため、繊細で柔らかく、肌になじみ易いしっとりとした感触が得られることとなる。
【0037】
ここで、凸部を形成する繊維の平均繊維径が10μm未満であると、不織布の嵩が不足する上、繊維密度が高まる傾向にあるため、柔軟性が損なわれる可能性がある。また、不織布全体としての強度も下がる。逆に、30μmを超えると手の指の指紋における隣り合う突起部の間、特に平坦部分に接触しにくくなることが考えられ、繊細な感覚を得づらく、しっとりとした感触が得られない可能性がある。
なお、凸部を形成する繊維の平均繊維径としては、10〜20μmとすることがより好ましい。
【0038】
凸部を形成する繊維の平均繊維径の測定は、電子顕微鏡やマイクロスコープ(例えば(KEYENCE製 VHX−2000等)により凸部を形成する繊維の拡大画像を得て、画像中に映る繊維の直径に相当する2点間の距離を測定することにより行なう。測定数は、100を目安として、その平均値を平均繊維径とする
【0039】
また、不織布1は、凸部4を形成する繊維の平均繊維間距離を50〜150μmとしている。
本発明において、凸部を形成する繊維の平均繊維間距離を50〜150μmとしているのは、前記凸部を形成する繊維の位置を、指の指紋における隣り合う突起部の間に距離に一層適合し易くして、前記凸部を形成する繊維をできるだけ指の指紋の凹凸に沿わせるように接触させるためである。これにより、その繊維をより安定的に且つ確実に指の指紋の突起部間に入り込ませることができるため、凸部を指で触った際に、肌になじみ易くてしっとりとした感触をより確実且つ安定的に得ることができる。
凸部を形成する繊維の平均繊維間距離が50μm未満であると繊維間距離が近くなりすぎてしまい、結果として繊維が動きにくくなることから、凸部を形成する繊維を手の指の指紋の凹凸に沿わせにくくなる。逆に、150μmを超えると、凸部を形成する繊維が手の指の指紋における隣り合う突起部の間に入り込みにくくなり、また入り込める繊維の数も少なくなることから、繊細な感覚を得づらく、肌になじみ易い間隔が損なわれる可能性がある。
なお、凸部を形成する繊維の平均繊維間距離は、60〜130μmがより好ましく、さらに好ましくは70〜110μmとすることである。
【0040】
凸部を形成する繊維の平均繊維間距離は、例えば、水銀圧入法(JIS R 1655)に準拠して、水銀ポロシメーター(株式会社島津製作所製)等を用いて測定することができる。この水銀圧入法は、水銀を測定対象物である不織布の構成繊維間に圧入したときの水銀に加えられた圧力と、前記不織布の構成繊維間の空間内に押し込まれた水銀の容積とを測定することによって、前記不織布の構造に関する情報を得ることができる。
【0041】
具体的には、前記不織布の繊維間距離は、水銀ポロシメーターを用いて以下の手順に従って測定することができる。
1)測定対象物である不織布を24mm×15mmにカットして、測定用サンプルを作製する。この測定用サンプルは、3枚作製する。
2)3枚の測定用サンプルを、互いに重なり合わないようにして水銀ポロシメーター(株式会社島津製作所製)のサンプルセルにセットした後、水銀に加える圧力を徐々に変化させながら、不織布の構成繊維間の空間(すなわち、細孔)内に押し込まれた水銀の体積(すなわち、細孔容積)を測定する。なお、測定は、22℃、65%RHの環境下で行う。
3)下記の式(1)に従って前記細孔の孔径D(μm)(すなわち、不織布の繊維間距離(μm))を算出し、該孔径Dと前記細孔容積との関係を、前記孔径Dの分布曲線(微分・積分曲線)として得る。なお、下記の式(1)における各種測定条件は、水銀の表面張力が0.483N/m、接触角が130°、水銀圧力が0〜414MPa(絶対圧)である。
【数1】
(式中、Dは孔径(繊維間距離)、γは水銀の表面張力、θは接触角、Pは圧力を表す。)
4)得られた孔径Dの分布曲線から、孔径Dが0〜500μmである細孔の合計容積に対する、孔径Dが50〜150μmである細孔の容積の割合を算出する。
5)上記2)〜4)の操作を3回行い、得られた容積の割合の平均値を、50〜150μmの繊維間距離が全体に占める割合(%)とする。
【0042】
凸部を形成する繊維の平均繊維間距離を測定するその他の方法としては、次のような方法を用いることができる。
即ち、測定対象の不織布を5cm四方の四角形形状にカットしたものを試料とし、マイクロスコープ(KEYENCE製 VHX−2000、レンズ VH−Z20W絞り開放)の3D画像連結機能を用いて、この試料の表面から深度100μmまで焦点が一致している200倍拡大画像を得、その拡大画像を基に焦点が一致している繊維の外側を抽出し、そこに形成された面を繊維空間とする。前記マイクロスコープの面積測定機能を用いて繊維空間の占める面積を求める。このとき、試料の任意の場所を任意に選択し、その選択した範囲の繊維空間の面積を100箇所測定する。その選択した範囲における繊維空間1つ当たりの面積A〔繊維空間面積(平均値)〕より、下記式(2)によって繊維空間径(r)を求め、該繊維空間径(r)を繊維間距離とする。
【数2】
【0043】
さらに、不織布1は、隣り合う凸部4,4との間の間隔、より具体的には、凸部4の頂部4aとその凸部4と隣り合う他の凸部4の頂部4aとの間の距離(凸部のピッチ)を、0.5〜2mmとしている。
本発明において、凸部の頂部とその凸部と隣り合う他の凸部の頂部との間の距離を0.5〜2mmとしたのは、手の指が不織布に触れた際に、凸部と凸部との間に入り込ませた指紋の突起部のすべてを、その凸部と凸部との間において不織布に確実に接触させて、突起部の側面部分等を刺激し易くするためである。この凸部の頂部とその凸部と隣り合う他の凸部の頂部との間の距離も、前述の凸部を形成する繊維の平均繊維径と並んで、繊細で柔らかく、肌になじみ易くてしっとりした感触の不織布を得るための非常に重要な要素である。
即ち、不織布に指で触れた者がその不織布に対して、繊細で柔らかく、肌になじみ易くてしっとりとした感触を感じるか否かは、手の指の指紋の突起部の側面部分等が刺激されるか否かが問題となる。また、突起部の側面部分等への刺激は、凸部を形成する繊維が指の指紋の突起部間に入り込んだ場合はもちろんであるが、指が不織布に触れた際に指紋の突起部の側面部分等が不織布の表面に直接的に触れた場合にも起こりうる。
手の指が不織布に触れた場合、その指は凸部だけでなく凸部と凸部との間に入り込むことが多いが、その際、指紋の突起部も凸部と凸部との間に入り、すべての凸部(特に側面部分等)に対して刺激を与えることができれば、不織布に対して、繊細で柔らかく、肌になじみ易くてしっとりとした感触が安定的に得られる。
ここで、前述のように、人間の手の指の指紋において、隣り合う突起部間の距離は460±15μm程度であるため、凸部の頂部とその凸部と隣り合う他の凸部の頂部との間の距離が0.5mm未満であると、指紋の突起部が凸部と凸部との間に入り込みにくく、まったく入り込まない場合が考えられる。また、凸部の頂部とその凸部と隣り合う他の凸部の頂部との間の距離が2mmを超えると、複数の指紋の突起部が凸部と凸部との間に入り込むことができるものの、例えば溝部の一番深い場所等、場所によっては、指紋の突起部が不織布に接触しずらくなる場合がある。そうすると、指紋の突起部、特に突起部の側面部分への刺激が弱いあるいは刺激できない可能性があるため、凸部と凸部との間に入り込んだ突起部すべてをうまく刺激できずに、不織布に対して、繊細で柔らかく、肌になじみ易くてしっとりとした感触が得られない場合がある。
そのため、本発明においては、凸部の頂部とその凸部と隣り合う他の凸部の頂部との間の距離を0.5〜2mmとした。
【0044】
さらには、凸部の頂部とその凸部と隣り合う他の凸部の頂部との間の距離が0.5mm未満であると、凸部の頂部と隣り合う凸部の頂部との距離が短すぎて不織布が凹凸構造を形成しているとは言い難く、結果として凸部による肌との接触面積をあまり減らすことができないため、肌触りが低下する可能性がある。
逆に、凸部の頂部とその凸部と隣り合う他の凸部の頂部との間の距離が2mmを超えると、凸部の頂部と隣り合う凸部の頂部との距離が大きすぎて、不織布の第1面を指でなぞった際に、指が第1凹部に触れてしまう可能性が高くなり、結果として、繊維密度が高く剛性も高い第2凹部の第2底部に触れる機会が多くなってしまい、柔軟な感触が損なわれ、肌になじみにくい。
【0045】
なお、凸部の頂部とその凸部と隣り合う他の凸部の頂部との間の距離の測定は、例えば次のような方法で行う。
鋭利な刃物を準備(例えば、コクヨ株式会社製のカッターナイフHA−7NB(商品名)用の標準替え刃HA−100NB等)し、不織布を裁断する。
裁断後、24時間以上放置したのち、シートの断面をキーエンス社製のマイクロスコープで5倍に拡大し、隣り合う凸部の頂点間のY軸方向に沿う距離を測定する。このとき、凸部の頂点がY軸方向に一定の幅を持つ場合には、その一定の幅のY軸方向の中心を頂点とし測定を行なう。
そして、隣り合う凸部の頂点間のY軸方向に沿う距離を10箇所測定し、その平均値を凸部の頂部とその凸部と隣り合う他の凸部の頂部との間の距離とする。
【0046】
以下、前記構成を有する吸収性物品用不織布1の製造方法について説明する。
図5図8は、不織布1を製造する製造装置の一例を示すもので、この製造装置50は、不織布1とするための加工を行う加工対象の不織布51がロール状に巻かれ、その加工対象の不織布51を搬送方向MDに向けて巻き出す巻出装置52と、巻出装置52によって形成された加工対象の不織布51に予熱を与える予熱装置61とを備えている。さらに、予熱を与えた加工対象の不織布51を延伸して凸部4及び溝部5(第1凹部11及び第2凹部16を含む)を形成するための賦形加工を行う賦形装置62とを備えている。
【0047】
巻出装置により巻き出される加工対象の不織布の製造方法としては、例えば、ウェブ(フリース)を形成し、繊維同士を物理的・化学的に結合させる方法が挙げられ、ウェブの形成方法としては、例えば、スパンボンド法、乾式法(カード法、メルトブローン法、エアレイド法等)、湿式法等が挙げられ、結合方法としては、例えば、サーマルボンド法、ケミカルボンド法、ニードルパンチ法、ステッチボンド法、スパンレース法等が挙げられる。
また、加工対象の不織布に用いる繊維は、吸収性物品に用いたときの排泄液の隠ぺい性の観点から、不透明性、特には白化性の高い繊維を用いることができ、例えば、不透明化させる光線透過抑制剤を用いてもよい。この光線透過抑制剤としては、無機フィラーを例示できる。この無機フィラーとして、例えば、酸化チタン、炭酸カルシウム、タルク、クレー、カオリン、シリカ、珪藻土、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化カルシウム、アルミナ、マイカ、ガラス粉、シラスバルーン、ゼオライト、及び珪酸白土等を例示することができる。これらは2種類以上を組み合わせて含有させても良い。特に、一般に繊維製造段階の工程性等の面から、二酸化チタンが好ましい。
また、熱可塑性樹脂繊維については、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、中和剤、造核剤、エポキシ安定剤、滑剤、抗菌剤、難燃剤、帯電防止剤、顔料、可塑剤等の添加剤を必要に応じて添加してもよい。熱可塑性樹脂繊維は、界面活性剤、親水剤等により親水化処理されていることが好ましい。
【0048】
さらに、加工対象の不織布の坪量は、通常は10〜100g/m2であり、好ましくは15〜75g/m2であり、更に好ましくは20〜50g/m2である。加工対象の不織布の厚みは、通常は0.1〜5mmであり、好ましくは0.5〜3mmであり、更に好ましくは0.8〜2mmである。
【0049】
予熱装置61は、この実施の形態においては、上下一対の加熱ロール61a,61bを備えていて、搬送されてきた加工対象の不織布51を、回転している下方の加熱ロール61bに巻き付けて一方の面を加熱した後、回転している上方の加熱ロール61aに受け渡し、その加熱ロール61aによって加工対象の不織布51における下方の加熱ロールで加熱されていない面を加熱することが可能となっている。
また、賦形装置62は、上下一対の延伸ロール63,64を備えていて、図6に示すように、上方の延伸ロール63は、ロール幅方向に一定の間隔で配設された、この上方の延伸ロール63の外周面に沿って相互に平行に複数列設けられた突稜63aと、隣り合う突稜63a,63aの間に設けられた複数列の凹溝63bとを備えている。
一方、下方の延伸ロール64は、外周面に、上方の延伸ロール63の凹溝63bと噛み合うように設けられた複数のピン64aと、突稜63aと噛み合う凹部64bとを備えている。図6に示すように、ピン64aは、ロール幅方向に対しては、上方の延伸ロール63の突稜63aと接触しないように一定の間隔で配設されていると共に、ロールの周方向に対しては、外周面に沿って一定の間隔でほぼ直線的に配設されている。また、図7に示すように、この実施の形態における下方の延伸ロール64は、複数のピン64aが、下方の延伸ロール64の外周面に千鳥状に配設された構成となっている。
【0050】
前記構成を有する製造装置50を用いて、吸収性物品用不織布1の製造方法を実施する場合には、巻出装置52から巻き出された加工対象の不織布51に対して予熱を加える予熱工程と、予熱工程を経た加工対象の不織布51を延伸して賦形加工する賦形工程とを順次行う。
【0051】
予熱工程は、巻出装置52から巻き出され、搬送方向MDに沿って搬送されてきた加工対象の不織布51を、予熱装置61の回転している上下一対の加熱ロール61a,61bの外周面に順次接触させることにより、加工対象の不織布51のシート面の両面を加熱して予熱を加える。
予熱温度は、加工対象の不織布を構成する熱可塑性樹脂繊維の種類にもよるが、例えば、加工対象の不織布に使用されている熱可塑性樹脂繊維の軟化が始まる温度以上、融点未満の温度で加熱することが好ましい。
予熱温度を融点以上とすると熱可塑性樹脂繊維が溶解し硬化するため、柔軟な肌触りが損なわれる。また、熱可塑性樹脂繊維の軟化が始まる温度未満であると、熱可塑性樹脂繊維同士の接合が維持されるため、次工程の賦形工程において加工対象の不織布を賦形しづらくなり、適切な凹凸が形成しにくくなる。例えばポリエチレンテレフタレート(PET)と高密度ポリエチレン(HDPE)との芯鞘型の複合繊維の場合、加熱ロールの外周面の温度を60〜120℃程度とすることが好ましい。
【0052】
賦形工程は、予熱工程を経て搬送されてきた加工対象の不織布51を、賦形装置62において、噛み合いながら回転している上下一対の延伸ロール63,64の間に装入し、その加工対象の不織布51を、噛み合っている上方の延伸ロール63の突稜63a及び凹溝63bと、下方の延伸ロール64の凹部64b及びピン64aとの間で延伸して賦形する。なお、賦形工程を実施するに際しては、賦形を行い易いように、延伸ロール63,64を加熱して加工対象の不織布51を加熱することが好ましい。このときの加熱温度は、予熱工程における予熱温度よりも高く、加工対象の不織布51の融点温度よりも低い温度とすることが好ましい。
【0053】
賦形工程においては、上方の延伸ロール63は、突稜63aが加工対象の不織布51と接触している部分を下方の延伸ロール64の凹部64b内に押し込み、これにより凸部4を賦形する。
一方で、下方の延伸ロール64は、周方向に一列に並んでいる複数のピン64aが、そのピン64aの先端部分に接触している加工対象の不織布51を、上方の延伸ロール63の同一の凹溝63b内に押し込む。このとき、加工対象の不織布51のうち、ピン64aと非接触状態で凹溝63b内に引っ張られた部分は溝部5となる。また、ピン64aの先端部分と接触していた部分は、凹溝63b内に強く押し込まれて賦形され、これにより、凸部4及び溝部5が延設される方向に延びる第1周壁部19、及びロール幅方向に延びる第2周壁部20、並びに第2底部18を有する第2凹部16が形成されることとなる。
なお、第2凹部16の第2底部18については、形成時において、上方の延伸ロール63と下方の延伸ロール64とが加工対象の不織布51を噛み込んだ状態で、ピン64aの先端部分がその加工対象の不織布51の当接部分を凹溝63b内に押し込むため、実質的に繊維密度が他の部分よりも高くなり、剛性が向上する。したがって、不織布1はこの第2凹部16の第2底部18の作用により、不織布1全体の剛性が向上することとなる。
【0054】
そして、加工対象の不織布51において、ピン64aの先端部分の幅方向(ロール幅方向)の両端部に接触していた部分は、突稜63aが加工対象の不織布51を下方の延伸ロール64の方向に押し込む際に発生する張力も手伝って、ピン64aが第1周壁部19を形成する熱可塑性樹脂繊維を掻き分けたり、あるいは、繊維を破断して、破断端部23aを有する破断繊維23を形成したりする。
これにより、第2凹部16に、破断繊維23の破断端部23aが含まれた周縁部22を有する孔部21が形成されることとなる。なお、一部の熱可塑性樹脂繊維は、孔部21の内部空間21aに架け渡された状態(架け渡された熱可塑性樹脂繊維24)で残り、また、一部の破断繊維23の破断端部23aは内部空間21a内に延出した状態となる。
ここで、孔部21が形成されるのは、周壁部17のうち、加工対象の不織布51の搬送方向MDに沿う方向、即ち、延伸ロール63,64の回転方向に沿う方向であって、凸部4及び溝部5が延設される方向に沿う部分であることから、孔部21は凸部4及び溝部5が延設される方向に沿う第1周壁部19に形成される。
【0055】
賦形工程が終了した不織布は、凸部4及び溝部5が形成されて吸収性物品用不織布1として完成することとなる。この不織布1は、その後、使い捨ておむつや生理用ナプキン、失禁パッド、パンティーライナー等の吸収性物品のトップシートや防漏壁等、肌に触れる部分に使用されたり、あるいは使い捨ておむつのバックシートの外表面に貼り付けられたりすることとなる。
【0056】
前記構成を有する吸収性物品用の不織布1は、凸部4を形成する繊維4bの平均繊維径が、手の指30の指紋における隣り合う突起部31の間の距離よりも小さいため、凸部4を形成する繊維4bを、指紋の隣り合う突起部31,31間に入り込ませることができる。また、不織布1の凸部4の頂部4aとその凸部4と隣り合う他の凸部4の頂部4aとの間の距離、及び凸部4を形成する繊維4bの平均繊維間距離を予め定めた範囲とすることにより、凸部4全体を指30、さらにはその指30の指紋の凹凸に沿わせ易くなるため、凸部4を形成する繊維4bを、手の指30の指紋における隣り合う突起部31,31に一層入り込ませ易くなる。さらに、第2凹部16の存在により、第1凹部11の第1底部12が肌に接する面積が抑えられるため、柔軟な肌触りを得ることができる。
これにより、不織布1全体として柔軟な肌触りが得られる上、凸部4を形成する繊維4bが手の指30の指紋の突起部31,31間の平坦部分32や、突起部31の側面部分31aにある触覚器官を刺激するため、繊細で柔らかい感触及び滑らかな感触を得ることができる。
【0057】
特に、凸部4は、周壁部17の第1周壁部19の孔部21が、隣り合う凸部4を形成する繊維の張力を解放し、凸部4の全体あるいは凸部4を形成する繊維4bが移動する自由度を向上させているため、凸部4の柔軟性が向上している。したがって、凸部4に手の指30が触れた際には、凸部4がその外力により柔軟に変形して指30にフィットし、その上、凸部4を形成する繊維4bの自由度の高さに起因して、凸部4を形成する繊維4bが指30の指紋の凹凸に追従し易い。これにより、繊細で柔らかな、且つ滑らかな肌触りをより安定的に得ることができる。
【0058】
前記実施形態においては、第2凹部16の第1周壁部19は、第1面2と第2面3との間を貫通させる孔部21を備えているが、この孔部は必ずしも設けなくてもよい。
前記実施形態においては、孔部21が第1周壁部19に設けられているが、孔部は第2方向に沿うように形成された一対の第2周壁部に設けられていてもよく、また、いずれか1つの周壁部に設けられている構成であってもよい。
さらに、前記実施形態では、孔部21が第1周壁部19における第2底部18寄りの位置に配設されているが、周壁部における孔部の位置については、必ずしも底部寄りである必要はなく、不織布の柔軟性や剛性を損なわない範囲で任意に設定することができる。
【0059】
また、前記実施形態においては、孔部21の内部空間21a内に、架け渡された熱可塑性樹脂繊維24が存在するが、このように孔部の内部空間には架け渡された熱可塑性樹脂繊維が存在していなくてもよい。また、前記実施形態のように、破断繊維の破断端部が孔部の内部空間内に延出していなくてもよい。
【0060】
前記実施形態においては、第2凹部16は略直方体状に形成されているが、第2凹部の形状については、円柱状や角柱状等、任意の形状とすることができる。
【0061】
さらに、前記実施形態においては、凸部4が不織布1の第1方向Xに連続的に延びている。しかしながら、凸部については、必ずしも不織布の第1方向に連続的に延びていなくてもよく、間欠的であってもよい。ただし、このとき、第2凹部については、隣り合う凸部が相互に連続している部分によって挟まれた第1凹部の第1底部に設けることが好ましく、これにより、凸部が先に肌に触れ易く、逆に第2凹部には接触しづらくなるため、第2凹部により異物感や違和感をより感じにくくなる。
【0062】
前記実施形態においては、不織布1の凸部4を形成する繊維4bが、平均繊維径を10〜30μm、平均繊維間距離を50〜150μmとしているが、不織布における溝部等の他の部分を形成する繊維についても、凸部を形成する繊維と同等の平均繊維径や平均繊維間距離の範囲を有するものとすることができる。
【実施例】
【0063】
本願発明に係る吸収性物品用の不織布の性能を確認するため、本発明に係る不織布(実施例)と、本発明の構成を有しない不織布(比較例)とで比較実験を行った。
この比較実験として、実施例と比較例とについて、被験者が手の指で不織布のサンプルの上面(凸部が突出している面)に触れ、そのサンプルの長さ方向及び幅方向になぞった際に、「しっとり」、「すべすべ」、「さらさら」、あるいは「その他」のうちのいずれの感触を感じるかを評価をしてもらい、その結果を比較した。
なお、この比較実験での官能評価にあたっては、「しっとり」とは肌になじみ、実際には湿っていないが、あたかも軽い湿り気があるように感じる肌触り、「すべすべ」とは手触りが滑らかでざらつきが少ない肌触り、「さらさら」とは湿り気がなく、乾いた感じの肌触りとして、それぞれの肌触りを区別することとした。また、「しっとり」の肌触りと「さらさら」の肌触りは相反する感触であり、「すべすべ」はこれらの「しっとり」と「さらさら」との中間の感触とした。
【0064】
この比較実験においては、本発明に係る不織布からなるサンプル2種類(以下、実施例1、実施例2という。)、本発明に係る不織布ではないサンプル3種類(以下、比較例1、比較例2、比較例3という。)を用意した。なお、前記サンプルは、実験対象となる不織布を100mm×100mmに切り出したものを用いた。
また、本発明に係る不織布は、前記実施の形態において説明したものと基本的に同じ構成を有し、同じ製造方法で製造した。また、実施例1と実施例2とは、凸部の頂部とその凸部と隣り合う他の凸部の頂部との間の距離(ピッチ。以下「凸部間の距離」という。)、及び凸部を形成する繊維の平均繊維径が相互に異なっている。
一方、比較例1に係る不織布については、前記実施形態において、本発明に係る不織布の製造の際に用いられる加工対象の不織布に相当するもので、賦形されておらず、全体としてほぼ平坦な態様となっている。この比較例1に係る不織布は、全体の平均繊維径が、実施例1において凸部を形成する繊維の平均繊維径と同じとなっている。
また、比較例2に係る不織布については、前記実施形態において、突稜と凹溝を有する相互に噛み合った一対の賦形ロールによって賦形したもので、断面略波型の凹凸状の態様となっている。なお、この比較例2に係る不織布の製造方法については、賦形の形以外の要素については、基本的に実施例1及び実施例2とほぼ同じである。また、この比較例2に係る不織布は、凸部を形成する繊維の平均繊維径は実施例1と同じであるが、不織布の構造及び凸部間の距離は実施例1と異なっている。
さらに、比較例3に係る不織布は、前記実施の形態において説明したものと基本的に同じ構成を有し、同じ製造方法で製造したが、凸部を形成する繊維の平均繊維径が、本発明の範囲に含まれていない態様となっていて、また不織布を構成する繊維も実施例1及び実施例2とは異なっている。なお、この比較例3の凸部間の距離は実施例1と同じである。
実施例1、実施例2、比較例1、比較例2については、不織布がPET/PE芯鞘型複合繊維(坪量30g/m)により形成されたものを用い、比較例3については、不織布がPET/PP芯鞘型複合繊維(坪量30g/m)により形成されたものを用いている。なお、実施例1,2、比較例1〜3は、いずれもスルーエアー不織布であり、実施例1,2、比較例2,3については、予熱工程及び賦形工程においては加熱温度を100℃とし、搬送速度250m/minで賦形を行った。
また、凸部間の距離及び凸部を形成する繊維の平均繊維径は、前記実施の形態で述べた計測方法でそれぞれ計測した。
比較実験の結果を次表に示す。なお、表中の官能評価の欄中の1は「しっとり」、2は「すべすべ」、3は「さらさら」の評価を意味する。
【0065】
【表1】
【0066】
表1からわかるように、実施例1については、被験者の全員が「しっとり」とした肌触りを感じ、実施例2についても「しっとり」とした肌触りを感じた者が多く、「さらさら」とした肌触りを感じた者はいなかった。ただし、実施例1と実施例2との比較では、実施例1の方が「しっとり」とした肌触りを感じる者が多かったが、これは実施例2の凸部間の距離が本発明の範囲の上限値であったことから、凸部間の距離が本発明の範囲の上限値及び下限値から離れている実施例1の方が「しっとり」とした肌触りを感じ易かったものと考えられる。
逆に、比較例1〜3については、被験者の全員が「しっとり」とした肌触りを感じなかった。比較例1については、平均繊維径が本発明の範囲内ではあるが、本発明の不織布の基本構造(この実施例においては、不織布の基本的な形状に係る要素(凸部間の距離及び凸部を形成する繊維の平均繊維径以外の要素)、即ち凸部、溝部における第1凹部及び第2凹部を有する不織布の構造を意味する。)を有していないことから、「しっとり」とした肌触りが得られなかったものと考えられる。
比較例2については、本発明の不織布の基本構造を備えていない上、凸部間の距離が本発明の範囲外であることから、例え凹凸構造を有する不織布であって、且つ凸部を形成する平均繊維径が本発明の範囲であったとしても、本願発明の不織布の基本構造を有しておらず、凸部間の距離が本発明の範囲内にないものからは「しっとり」とした肌触りが得られないと考えられる。
比較例3については、本願発明と同じの基本構成を有しているが、凸部を形成する繊維の平均繊維径が本発明の範囲外であることから、「しっとり」とした肌触りが得られなかったものと考えられる。
以上のように、本発明の吸収性物品用不織布によれば、「しっとり」とした肌触りを得ることができることが実証された。
【符号の説明】
【0067】
1 吸収性物品用不織布
2 不織布の第1面
3 不織布の第2面
4 凸部
4a 凸部の頂部
5 溝部
11 第1凹部
12 第1底部
16 第2凹部
17 周壁部
18 第2底部
19 第1周壁部
20 第2周壁部
21 孔部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2015年8月14日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
(5)前記孔部は、前記熱可塑性樹脂繊維を溶融することなく形成された周縁部を有していて、前記周縁部には、前記熱可塑性樹脂繊維のうち、破断により形成された破断端部を備えた破断繊維の前記破断端部が含まれている、前記(4)に記載の吸収性物品用不織布。
これにより、肌が前記孔部の周縁部に触れたとしても、この周縁部には溶融により硬化した熱可塑性樹脂繊維が存在しないため、ごわつきや繊維の引っ掛かりによる違和感が抑えられ、不織布に対して硬さや粗さを感じることが抑止される。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0012】
(6)前記孔部は、その孔部の内部空間内に、前記熱可塑性樹脂繊維の一部が架け渡されている前記(4)又は前記(5)に記載の吸収性物品用不織布。
これにより、仮に肌が孔部に触れた場合であっても、内部空間内の熱可塑性樹脂繊維が、第2凹部の第1周壁部や第2底部と孔部との間の境目や段差を小さくすることができる。これにより、孔部が存在していても、滑らかな肌触りが維持することができるため、この孔部の存在に起因する触れた際の違和感を少なくすることができる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0030
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0030】
また、周壁部17は、第1方向Xに沿うように形成された一対の第1周壁部19,19と、第2方向Yに沿うように形成された一対の第2周壁部20,20とを有している。一対の第1周壁部19,19同士は、相互に向かい合う位置に配設されていると共に、一対の第2周壁部20,20同士についても、相互に向かい合う位置に配設されている。
そして、図1及び図3に示すように、一対の第1周壁部19,19には、第凹部16の内部空間から第2面3に通じる孔部21がそれぞれ形成されている。
この実施の形態においては、孔部21は、一対の第1周壁部19,19のそれぞれに1つずつ設けられていて、それらの孔部21は、第1周壁部19における第2底部18寄りの位置に形成されたものとなっている(したがって、1つの第凹部16には2つの孔部21が存在している。)。一方で、一対の第2周壁部20,20は、孔部21に相当するものは存在せず、第2周壁部20は第2底部28と直接的に連結されている。
【手続補正4】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項5
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項5】
前記孔部は、前記熱可塑性樹脂繊維を溶融することなく形成された周縁部を有していて、前記周縁部には、前記熱可塑性樹脂繊維のうち、破断により形成された破断端部を備えた破断繊維の前記破断端部が含まれている、請求項4に記載の吸収性物品用不織布。
【手続補正書】
【提出日】2015年9月17日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面と該第1面とは反対側の第2面とを有し、前記第2面から前記第1面の方向に向けて突出する複数の凸部と、前記第1面から前記第2面の方向に向けて窪んだ複数の溝部とを備えた、熱可塑性樹脂繊維を含む吸収性物品用不織布であって、
前記凸部は、前記不織布の平面方向における第1方向に向けて延設されていると共に、前記不織布の平面方向において前記第1方向と直交する第2方向に予め定めた間隔で設けられ、
前記溝部は、前記第2方向に対して相互に隣り合う前記凸部の間の空間に、前記第1方向に向けて延設されていて、前記凸部の頂部における前記第1面の位置よりも第2面の方向に位置する第1底部を備えた第1凹部と、前記第1凹部内において前記第1方向に不連続に設けられ、前記第1底部に開口する窪み状に形成された、前記第1底部よりも前記第2面の方向に位置する第2底部を備えた複数の第2凹部とを有し、
前記凸部の頂部とその凸部と隣り合う他の前記凸部の頂部との間の距離が0.5〜2mmであり、
前記不織布において少なくとも前記凸部を形成する繊維の平均繊維径が10〜30μmである、吸収性物品用不織布。
【請求項2】
前記凸部を形成する繊維の平均繊維間距離が50〜150μmである、請求項1に記載の吸収性物品用不織布。
【請求項3】
前記第2凹部は、前記第1底部から前記凸部の突出する方向と反対の方向に延出した周壁部と、前記周壁部における前記第1底部とは反対の方向の端部に、その端部を塞ぐように設けられた第2底部とを備えている、請求項1又は2に記載の吸収性物品用不織布。
【請求項4】
前記第2凹部の前記周壁部は、前記第1方向に沿うように形成された一対の第1周壁部と、前記第2方向に沿うように形成された一対の第2周壁部とを有し、前記第1周壁部は、前記第1面と前記第2面との間を貫通させる孔部を備えている、請求項3に記載の吸収性物品用不織布。
【請求項5】
前記孔部は、前記熱可塑性樹脂繊維のうち、先細りの端部を備えた繊維の前記端部が含まれている周縁部を有する、請求項4に記載の吸収性物品用不織布。
【請求項6】
前記孔部は、その孔部の内部空間内に、前記熱可塑性樹脂繊維の一部が架け渡されている請求項4又は5に記載の吸収性物品用不織布。
【請求項7】
前記孔部は、前記内部空間の開孔率が1〜50%である、請求項4〜6のいずれか1項に記載の吸収性物品用不織布。
【請求項8】
前記孔部が前記第1周壁部の前記第2底部寄りの位置にのみ設けられている、請求項4〜7のいずれか1項に記載の吸収性物品用不織布。
【請求項9】
前記第2凹部は、前記第1凹部における前記第1底部の前記第1面から、第2底部の第1面までの距離が0.05〜2mmである、請求項1〜8のいずれか1項に記載の吸収性物品用不織布。