【解決手段】液体を吸収する吸収体2と、吸収体2の厚さ方向の一方側から吸収体2を覆うトップシート3と、吸収体2の厚さ方向の他方側に設けられたバックシート5とを備えたナプキン1であって、トップシート3は、幅方向の両側に、折り返された折り返し部32を有し、折り返し部32の先端部320は、厚さ方向において吸収体2とバックシート5との間で幅方向に並ぶ一対の第4接合部14によりバックシート5に接合されており、前方領域1b及び後方領域1cにおける一対の第4接合部14b,14cは、中央領域1aにおける一対の第4接合部14aよりも幅方向の外側に位置している。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
【0011】
長手方向、幅方向、及び厚さ方向を有し、液体を吸収する吸収体と、前記吸収体の前記厚さ方向の一方側から前記吸収体を覆うトップシートと、前記吸収体の前記厚さ方向の他方側に設けられたバックシートとを備えた吸収性物品であって、前記トップシートは、前記幅方向の両側に、折り返された折り返し部を有し、前記折り返し部の先端部は、前記厚さ方向において前記吸収体と前記バックシートとの間で前記幅方向に並ぶ一対の接合部により前記バックシートに接合されており、前記長手方向の前方領域及び後方領域における前記一対の前記接合部は、前記長手方向の中央領域における前記一対の前記接合部よりも前記幅方向の外側に位置している吸収性物品が明らかとなる。
【0012】
これにより、両足が接触する頻度が高い中央領域では、一対の接合部が前方領域及び後方領域の一対の接合部よりも幅方向内側に位置しているため、吸収体よりも柔らかいトップシートの折り返し部に相当する部分を広い領域で確保することが可能となり、両足が受ける吸収体からの当接圧を緩和することができる。よって、股間への違和感が抑制されて吸収性物品の装着性が向上する。一方、前方領域及び後方領域では、一対の接合部が中央領域の一対の接合部よりも幅方向外側に位置しているため、液体を吸収する肌側の面の平面形状をより確保することができ、液体の漏れを抑制することが可能となる。
【0013】
かかる吸収性物品であって、前記前方領域及び前記後方領域の前記一対の前記接合部の位置と前記中央領域の前記一対の前記接合部の位置とは、少なくとも一部が前記長手方向に重なっていることが望ましい。
【0014】
これにより、両足が接触する頻度が高い中央領域側において、前方領域及び後方領域の一対の接合部の位置と中央領域の一対の接合部の位置とが長手方向に重なっているため、吸収性物品の着用時において両足から幅方向の力が加わった場合でも、トップシートとバックシートとの接合が剥がれにくくなる。
【0015】
かかる吸収性物品であって、前記吸収体は、前記幅方向の内側に括れた括れ部を少なくとも前記中央領域に有する吸収性コアを備えていることが望ましい。
【0016】
これにより、中央領域において、トップシートの折り返し部から吸収性コアまでの幅方向の距離が長くなり、両足がトップシートの折り返し部及びセカンドシートの両端部からの当接圧を受けた後すぐに吸収性コアからの当接圧を受けるといった事態を抑制することができ、両足が受ける吸収性コアからの当接圧を緩和することが可能となる。
【0017】
かかる吸収性物品であって、前記前方領域及び前記後方領域の前記一対の前記接合部のうちの少なくとも一方の内側の端は、前記長手方向において、前記括れ部の括れ開始位置、又は前記括れ開始位置よりも内側に配置されていることが望ましい。
【0018】
これにより、前方領域及び後方領域の一対の接合部のうちの少なくとも一方の内側の端が、括れ部が設けられている領域に位置するため、吸収性物品の着用時において括れ部が設けられている部分に両足から幅方向の力が加わった場合でも、トップシートとバックシートとの接合がより剥がれにくくなる。
【0019】
かかる吸収性物品であって、前記中央領域において、前記バックシートは前記トップシートの前記折り返し部よりも前記幅方向の外側に延出して形成されたサイドシートを有していることが望ましい。
【0020】
これにより、ウイング部を形成するサイドシートの延出部分(バックシートの一部)は、トップシートに接合されていないため、当該延出部分を厚さ方向の非肌側に折り曲げて下着に装着する際に、バックシートにつられてトップシートが引っ張られてしまうといった事態が回避されて、吸収性物品の着用時における股間への違和感を抑制することができる。
【0021】
かかる吸収性物品であって、前記厚さ方向における前記吸収体と前記トップシートとの間にセカンドシートをさらに有し、少なくとも前記長手方向の中央領域において、前記セカンドシートの前記幅方向の両端部は、前記幅方向において前記吸収体と前記トップシートとの間に位置していることが望ましい。
【0022】
これにより、両足が接触する頻度が高い長手方向の中央領域において、セカンドシートの両端部が幅方向において吸収体とトップシートとの間に位置するため、両足は、吸収体からの当接圧を受ける前に、吸収体よりも柔らかいトップシートの折り返し部及びセカンドシートの両端部からの当接圧を受けることができ、吸収体からの当接圧を直に受けずに済む。よって、両足が受ける吸収体からの当接圧を緩和することが可能となり、股間への違和感を抑制して、吸収性物品の装着性の向上につながる。
【0023】
かかる吸収性物品であって、前記吸収体は、前記幅方向の内側に括れた括れ部を少なくとも前記中央領域に有する吸収性コアを備え、前記中央領域において、前記セカンドシートの前記幅方向の端と前記吸収性コアとの間には隙間が設けられていることが望ましい。
【0024】
これにより、吸収性物品は、厚さ方向において、トップシート及びセカンドシートが存在する領域と、トップシートのみが存在する領域を有することとなる。両足から幅方向の力が加わると、トップシート及びセカンドシートが存在する領域よりも剛性が低いトップシートのみが存在する領域から変形が生じ、トップシート及びセカンドシートが存在する領域が厚さ方向に立ち上がりやすくなる。よって、当該立ち上がった面全体から当接圧を受けることができるため、両足が受けるトップシート及びセカンドシートからの当接圧が緩和されて、股間への違和感がより抑制される。
【0025】
かかる吸収性物品であって、前記セカンドシートの前記両端部は、折り返された領域を備えていることが望ましい。
【0026】
これにより、両足は、セカンドシートの両端面よりも広い面を有する折り返された領域から当接圧を受けることが可能となるため、両端面(エッジ)から当接圧を受ける場合と比べて股間への違和感がより抑制される。
【0027】
かかる吸収性物品であって、前記トップシートと前記セカンドシートとを前記厚さ方向に接合する接合部は、前記セカンドシートの前記両端部よりも前記幅方向の内側に位置していることが望ましい。
【0028】
これにより、トップシートの折り返し部及びセカンドシートの両端部では、トップシートとセカンドシートとが厚さ方向に接合されていないため、繊維の自由度が増し、吸収性物品の使用時において両足が受ける感触が良くなり、股間への違和感がより抑制される。
【0029】
かかる吸収性物品であって、前記吸収体は、前記幅方向の内側に括れた括れ部を少なくとも前記中央領域に有する吸収性コアを備え、前記トップシートと前記セカンドシートとは、前記幅方向の両側において圧搾部により前記厚さ方向に圧搾されて接合されており、前記圧搾部は、少なくとも前記括れ部の最も括れた位置において前記括れ部の前記幅方向の外側に位置していることが望ましい。
【0030】
これにより、圧搾部が設けられている位置においてトップシート及びセカンドシートの剛性が高くなるため、両足が吸収性物品に対して幅方向に力を加えた際に圧搾部を起点としてトップシートの折り返し部及びセカンドシートの両端部が厚さ方向に立ち上がり又は立ち下がり易くなる。したがって、両足は、当該厚さ方向に立ち上がった面又は立ち下がった面全体から当接圧を受けることができるため、両足が受けるトップシート及びセカンドシートからの当接圧が緩和されて、股間への違和感がより抑制される。
【0031】
===実施形態===
本発明の実施形態に係る吸収性物品の一例として、生理用ナプキン1(以下では単にナプキン1とする)について説明する。なお、当該吸収性物品には、例えばパンティライナーといった所謂おりものシート等も含まれており、生理用ナプキンに限定されるものではない。
【0032】
<ナプキン1の構成>
ナプキン1の構成について、
図1、
図2、
図3A、及び
図3Bを参照して説明する。
【0033】
図1は、本発明の実施形態に係るナプキン1を厚さ方向の肌側から見た概略平面図である。
図2は、ナプキン1を厚さ方向の非肌側から見た概略平面図である。
図3Aは、
図1のIIIA−IIIA線断面図であり、
図3Bは、
図1のIIIB−IIIB線断面図である。
【0034】
ナプキン1は、平面視縦長形状のシート状部材であり、長手方向、幅方向、及び厚さ方向を有する。以下の説明において、「長手方向」とは、ナプキン1の製品の長手方向を示し、「厚さ方向」とは、ナプキン1の製品が有する厚みの方向を示し、「幅方向」とは、長手方向及び厚さ方向に直交する短手方向を示す。なお、長手方向において、ナプキン1の使用時における使用者の腹側の方向を「前方」とし、使用者の背側の方向を「後方」とする。また、厚さ方向は、ナプキン1の使用時において使用者の肌と接する側となる「肌側」と、その反対側となる「非肌側」とを有する。
【0035】
ナプキン1は、
図3A及び
図3Bに示すように、吸収体2と、吸収体2の厚さ方向の一方側である肌側から吸収体2を覆うトップシート3と、厚さ方向における吸収体2とトップシート3との間に設けられたセカンドシート4と、吸収体2の厚さ方向の他方側である非肌側に設けられたバックシート5とを備えている。本実施形態では、バックシート5は、メインシート51及びサイドシート52の2種類のシートを有している。
【0036】
トップシート3とセカンドシート4、吸収体2とセカンドシート4、吸収体2とトップシート3、トップシート3とバックシート5、及びバックシート5におけるメインシート51とサイドシート52とは、ホットメルト接着剤等の接着剤によってそれぞれ接合されている。接着剤の塗布パターンとしては、例えばΩパターンやスパイラルパターン、ストライプパターン等が挙げられる。
【0037】
以下の説明において、トップシート3とセカンドシート4との接合部を第1接合部11、吸収体2とセカンドシート4との接合部を第2接合部12、吸収体2とトップシート3との接合部を第3接合部13、トップシート3とバックシート5との接合部を第4接合部14、バックシート5におけるメインシート51とサイドシート52との接合部を第5接合部15とし、第1〜第4接合部11〜14の具体的な位置関係については、後述することとする。
【0038】
本実施形態では、
図1、
図2、及び
図4に示すように、ナプキン1の外縁が、複数の円弧が連なった波形状に形成されている。また、ナプキン1は、使用時において下着等に載置固定するために供されるウイング部10を長手方向の中央に有している。このウイング部10は、幅方向の外側に向かって張り出すように延出した略三角形状であり、幅方向の両側にそれぞれ設けられている。
【0039】
ナプキン1の長手方向において、ウイング部10が設けられている領域を中央領域1aとし、中央領域1aよりも前方の領域を前方領域1b、中央領域1aよりも後方の領域を後方領域1cとする。なお、ウイング部10を備えていないナプキンの場合には、長手方向において、ウイング部10が設けられる領域に相当する領域を中央領域1aとする。
【0040】
ここで、中央領域1aと前方領域1bとの境界、及び中央領域1aと後方領域1cとの境界について、
図2を参照してより具体的に説明する。
【0041】
ウイング部10において、幅方向の最も外側に位置する点を頂点10aとする。この頂点10aから前方に連なってナプキン1の外縁を形成している複数の円弧のうちナプキン1内に向かって凸となる円弧の接線の傾きを頂点10a側から順に見ていった場合に、当該接線の傾きが初めて長手方向に平行となる円弧上の点を前方側の点10bとする。この場合において、幅方向に並ぶ一対の前方側の点10bを結んだ線を中央領域1aと前方領域1bとの境界線(前方側境界線)とし、当該前方側境界線よりも前方の領域が前方領域1bとなる。
【0042】
同様にして、頂点10aから後方に連なってナプキン1の外縁を形成している複数の円弧のうちナプキン1内に向かって凸となる円弧の接線の傾きを頂点10a側から順に見ていった場合に、当該接線の傾きが初めて長手方向に平行となる円弧上の点を後方側の点10cとする。この場合において、幅方向に並ぶ一対の後方側の点10cを結んだ線を中央領域1aと後方領域1cとの境界線(後方側境界線)とし、当該後方側境界線よりも後方の領域が後方領域1cとなる。
【0043】
したがって、長手方向における前方側境界線から後方側境界線までの領域が中央領域1aとなる。
図2では、一対の前方側の点10bにおける接線、及び一対の後方側の点10cにおける接線をそれぞれ二点鎖線で示し、前方側境界線及び後方側境界線をそれぞれ一点鎖線で示している。
【0044】
吸収体2は、経血等の液体を吸収して内部に保持する部材であり、
図3A及び
図3Bに示すように、液体吸収性繊維であるパルプ繊維等により形成された吸収性コア21と、例えばティッシュ等の柔らかい素材により形成されたカバーシート22とを備える。
【0045】
吸収性コア21は、トップシート3、セカンドシート4、及びバックシート5よりも硬く厚みを有している。
図1及び
図3Aに示すように、吸収性コア21は、幅方向の内側に括れた括れ部210を長手方向の中央に有している。本実施形態では、
図1に示すように、括れ部210は、中央領域1aよりも長手方向に長い範囲に設けられているが、これに限らず、少なくとも中央領域1aに設けられていればよい。また、吸収体2は、必ずしも括れ部210を有する吸収性コア21を備えている必要はない。
【0046】
カバーシート22は、
図3A及び
図3Bに示すように、吸収性コア21を内部に巻き込んだ状態で、厚さ方向の非肌側において幅方向の両端部が重なり合っている。本実施形態では、吸収性コア21が括れ部210を有しているため、
図3Aに示すように、少なくとも中央領域1aにおいてカバーシート22と吸収性コア21との間には空間が介在している。
【0047】
トップシート3は、経血等の液体を透過する部材であり、液透過性の不織布等により形成されている。本実施形態では、トップシート3として、例えば1.3dtex〜2.2dtex(好ましくは1.7dtex程度)の細い繊維を20kg/m
3〜40kg/m
3(好ましくは25kg/m
3〜35kg/m
3程度)の密度になるように結合させた不織布が用いられている。これにより、トップシート3は、柔軟性がよくフワフワとした肌触りになるため、肌が受ける感触が良好となる。なお、これに限らず、トップシート3は、少なくとも液透過性を有する部材であればよい。
【0048】
図3A及び
図3Bに示すように、トップシート3は、幅方向の両側に、折り返された折り返し部32を有している。折り返し部32は、トップシート3が折り返し線32bにて折り返されることにより形成されている。この折り返し線32bは、トップシート3における吸収体2の肌側の面を覆う平面部31の幅方向の両側にそれぞれ位置している。
【0049】
折り返し部32の先端320aは、厚さ方向において吸収体2とバックシート5との間に位置している。本実施形態では、先端320aを含む先端部320が、厚さ方向において吸収体2とバックシート5との間で幅方向の内側(中央側)に向かって延在している。先端部320は、厚さ方向において吸収体2とバックシート5との間で幅方向に並ぶ一対の第4接合部14によってバックシート5に接合されている。したがって、トップシート3は、先端部320においてバックシート5と接合している。
【0050】
セカンドシート4は、トップシート3と同様に経血等の液体を透過する部材であり、液透過性の合成繊維の不織布等により形成されている。
図3A及び
図3Bに示すように、セカンドシート4の幅方向の両端部は、折り返された領域400を備えており、折り返された領域400は、幅方向において吸収体2とトップシート3との間に位置している。
【0051】
本実施形態では、セカンドシート4の両端部は、中央領域1a、前方領域1b、及び後方領域1cの全体に亘って折り返された領域400を備えており、当該折り返された領域400が、幅方向において吸収体2とトップシート3との間に位置している。しかしながら、これに限らず、少なくとも中央領域1aにおいて、セカンドシート4の両端部が、幅方向において吸収体2とトップシート3との間に位置していればよい。
【0052】
中央領域1aは、ナプキン1を着用している際に、使用者の両足が接触する頻度が高い領域である。また、吸収体2は、前述したように、トップシート3やセカンドシート4よりも硬く形成されており、使用者は、両足に対して、トップシート3やセカンドシート4よりも大きな当接圧を吸収体2から受けることとなる。
【0053】
本実施形態では、少なくとも中央領域1aにおいて、セカンドシート4の幅方向の両端部が、幅方向において吸収体2トップシーと3との間に位置しているため、両足は、吸収体2からの当接圧を受ける前に吸収体2よりも柔らかいトップシート3の折り返し部32及びセカンドシート4の両端部からの当接圧を受けることができ、吸収体2からの当接圧を直に受けずに済むため、両足が受ける吸収体2からの当接圧を緩和することが可能となり、股間への違和感を抑制して、ナプキン1の装着性の向上につながる。
【0054】
また、セカンドシート4の両端部が折り返された領域400を備えることにより、両足は、セカンドシート4の両端面よりも広い面を有する領域から当接圧を受けることが可能となるため、当該両端面(エッジ)から当接圧を受ける場合と比べて股間への違和感がより抑制される。
【0055】
さらに、吸収体2は、括れ部210を有することによって少なくとも中央領域1aにおいて吸収性コア21が幅方向の内側に括れているため、トップシート3の折り返し部32から吸収性コア21までの幅方向の距離が長くなり、両足がトップシート3の折り返し部32及びセカンドシート4の両端部からの当接圧を受けた後すぐに吸収性コア21からの当接圧を受けるといった事態を抑制することができ、両足が受ける吸収性コア21からの当接圧を緩和することが可能となる。
【0056】
図3A及び
図3Bに示すように、セカンドシート4の幅方向の端である折り返された領域400の先端400aと吸収性コア21との間には隙間Sが設けられている。本実施形態では、中央領域1a、前方領域1b、及び後方領域1cの長手方向全体に亘って隙間Sが設けられているが、これに限らず、少なくとも中央領域1aにおいて隙間Sが設けられていればよい。また、必ずしもセカンドシート4の先端400aと吸収性コア21との間に隙間Sが設けられている必要はないが、当該隙間Sが設けられていた方が望ましい。
【0057】
なぜなら、隙間Sを有するナプキン1は、厚さ方向において、トップシート3及びセカンドシート4が存在する領域と、トップシート3のみが存在する領域とを有することとなる。トップシート3のみが存在する領域では、トップシート3及びセカンドシート4が存在する領域よりも剛性が低いため、中央領域1aにおいて両足から幅方向の力が加わった場合、トップシート3のみが存在する領域から変形が生じる。すなわち、トップシート3のみが存在する領域は、トップシート3及びセカンドシート4が存在する領域よりも変形が生じやすい。
【0058】
したがって、トップシート3のみが存在する領域よりも厚さ方向の肌側に存在するトップシート3及びセカンドシート4が存在する領域が厚さ方向に立ち上がりやすくなり、当該立ち上がった面全体から当接圧を受けることができるため、両足が受けるトップシート3及びセカンドシート4からの当接圧が緩和されて、股間への違和感がより抑制される。
【0059】
トップシート3とセカンドシート4とは、
図1に示すように、幅方向に並んで設けられた長手方向に延びる一対のシール部6によって厚さ方向に接合されている。トップシート3とセカンドシート4との当該接合方法としては、例えば加圧圧搾による融着等が挙げられる。
図1及び
図3Aに示すように、一対のシール部6は、括れ部210が設けられた位置において括れ部210の幅方向の外側に位置している。
図3A及び
図3Bでは、一対のシール部6をそれぞれ砂地で示している。なお、一対のシール部6は、複数のドット状の圧搾部によって形成されており、本実施形態においては、当該圧搾部においてトップシート3とセカンドシート4とが融着されている。
【0060】
これにより、両足は、吸収性コア21からの当接圧を受ける前にトップシート3の折り返し部32及びセカンドシート4の両端部からの当接圧に加えて一対のシール部6からの当接圧を受けることができ、吸収性コア21からの当接圧を直に受けずに済むため、両足が受ける吸収性コア21からの当接圧をより緩和することが可能となる。
【0061】
また、一対のシール部6が設けられている位置においてトップシート3及びセカンドシート4の剛性が高くなるため、両足がナプキン1に対して幅方向に力を加えた際に一対のシール部6を起点としてトップシート3の折り返し部32及びセカンドシート4の両端部が厚さ方向に立ち上がり又は立ち下がり易くなる。これにより、両足は、当該厚さ方向に立ち上がった面又は立ち下がった面全体から当接圧を受けることができるため、両足が受けるトップシート3及びセカンドシート4からの当接圧が緩和されて、股間への違和感がより抑制される。
【0062】
なお、一対のシール部6は、必ずしも括れ部210が設けられた位置全体に亘って括れ部210の幅方向の外側に位置している必要はなく、少なくとも括れ部210の最も括れた位置において括れ部210の幅方向の外側に位置していればよい。
【0063】
図3A及び
図3Bに示すように、吸収体2、トップシート3、及びセカンドシート4は、第1圧搾部71及び第2圧搾部72により厚さ方向に圧搾されて接合されている。吸収体2、トップシート3、及びセカンドシート4の当該圧搾方法としては、例えばヒートエンボス加工が挙げられる。本実施形態では、第1圧搾部71及び第2圧搾部72は、複数の凹部が一定の間隔で並んで形成されているが、これに限らず、例えば複数の凹部が連続して並ぶことにより溝形状に形成されていてもよい。
【0064】
図1に示すように、括れ部210が設けられた位置に、長手方向に延びるように形成された一対の第1圧搾部71が幅方向に並んで設けられており、括れ部210よりも前方又は後方の位置にそれぞれ、ハート形状に形成された第2圧搾部72が設けられている。
【0065】
図3A及び
図3Bに示すように、セカンドシート4の両端部は、第1圧搾部71及び第2圧搾部72よりも幅方向の外側に位置している。したがって、セカンドシート4の両端部は第1圧搾部71及び第2圧搾部72により吸収体2やトップシート3と接合されていないため、セカンドシート4は、両端部において繊維の自由度が増し、両足が受ける感触が良くなることで股間への違和感がより抑制される。
図3A及び
図3Bでは、第1圧搾部71及び第2圧搾部72を網掛けで示している。
【0066】
本実施形態では、
図1に示すように、括れ部210の最も括れた位置において、吸収性コア21の幅方向の外縁からトップシート3の折り返し線32bまでの距離L1が、吸収性コア21の幅方向の外縁から第1圧搾部71の幅方向の外縁までの距離L2よりも長い。これにより、トップシート3及びセカンドシート4における第1圧搾部71によって接合されていない部分、すなわち繊維の自由度が大きい部分が、吸収性コア21よりも幅方向の外側において増えるため、両足が受ける感触が良くなり、股間への違和感がより抑制される。
【0067】
バックシート5は、
図3A及び
図3Bに示すように、メインシート51と一対のサイドシート52とが第5接合部15によって厚さ方向に接合されて形成されている。メインシート51は、液不透過性の合成フィルム等により形成され、厚さ方向の最も非肌側に設けられている。一対のサイドシート52は、柔らかい不織布等により形成され、メインシート51よりも厚さ方向の肌側に設けられている。より具体的には、一対のサイドシート52は、厚さ方向において、トップシート3の折り返し部32の先端部320とメインシート51との間に配置されている。
【0068】
一対のサイドシート52は、一対の第4接合部14によってトップシート3の折り返し部32の先端部320に接合されている。一対の第4接合部14は、トップシート3における折り返し線32bよりも幅方向の内側に位置している。
【0069】
図3Aに示すように、メインシート51及びサイドシート52は、中央領域1aにおいて、トップシート3の折り返し部32よりも幅方向の外側に延出した部分を有し、当該延出部分によってウイング部10が形成されている。
【0070】
前述したように、トップシート3とバックシート5とは、トップシート3における折り返し線32bよりも幅方向の内側に位置する一対の第4接合部14によって接合されているため、当該一対の第4接合部14よりも幅方向の外側においては、トップシート3とバックシート5とは厚さ方向に接合されていない。したがって、ウイング部10を形成するバックシート5の延出部分は、トップシート3に接合されていない。これにより、ウイング部10、すなわちバックシート5の延出部分を厚さ方向の非肌側に折り曲げて下着に装着する際に、バックシート5につられてトップシート3が引っ張られてしまうといった事態が回避されて、ナプキン1の着用時における股間への違和感を抑制することができる。
【0071】
なお、ウイング部10は、必ずしもメインシート51及びサイドシート52によって形成されている必要はなく、少なくとも中央領域1aにおいて、サイドシート52がトップシート3の折り返し部32よりも幅方向の外側に延出して形成されることによりウイング部10が形成されていればよい。
【0072】
図2に示すように、メインシート51の非肌側面には、長手方向に延びる帯状の本体粘着部16aがトップシート3の平面部31(
図1参照)にあたる部分に設けられていると共に、一対のウイング粘着部16bが一対のウイング部10にあたる部分に設けられている。ナプキン1を使用する際は、本体粘着部16aを下着の股下部の内側に貼り付けると共に、一対のウイング部10を非肌側に折り曲げて一対のウイング粘着部16bを股下部の外側に貼り付けて、ナプキン1を下着に固定する。
【0073】
<第1〜第4接合部11〜14の位置関係について>
次に、第1〜第4接合部11〜14の位置関係について、
図3A、
図3B、及び
図4を参照して説明する。
【0074】
図4は、一対の第4中央接合部14a、一対の第4前方接合部14b、及び一対の第4後方接合部14cの位置関係を示す概略平面図である。
【0075】
図3A及び
図3Bに示すように、吸収体2、トップシート3、セカンドシート4、及びバックシート5のうちいずれか2つの部材を互いに接合する接合部、すなわち第1〜第4接合部11〜14は、トップシート3における折り返し線32bよりも幅方向の内側に位置している。これにより、トップシート3の折り返し部32において繊維の自由度が増すため、ナプキン1の使用時において両足が受ける感触が良くなり、股間への違和感が抑制される。なお、必ずしも第1〜第4接合部11〜14は、トップシート3における折り返し線32bよりも幅方向の内側に位置している必要はない。
【0076】
また、トップシート3とセカンドシート4とを厚さ方向に接合する第1接合部11は、セカンドシート4の両端部よりも幅方向の内側に位置している。したがって、トップシート3の折り返し部32及びセカンドシート4の両端部では、トップシート3とセカンドシート4とが厚さ方向に接合されていないため、繊維の自由度が増し、ナプキン1の使用時において両足が受ける感触が良くなり、股間への違和感がより抑制される。
【0077】
図3A、
図3B、及び
図4に示すように、トップシート3とバックシート5とを厚さ方向に接合する一対の第4接合部14は、中央領域1a、前方領域1b、及び後方領域1cの3つの領域にそれぞれ設けられている。以下の説明において、中央領域1aにおける一対の第4接合部14を一対の第4中央接合部14aとし、前方領域1bにおける一対の第4接合部14を一対の第4前方接合部14bとし、後方領域1cにおける一対の第4接合部14を一対の第4後方接合部14cとする。
【0078】
一対の第4中央接合部14aは、中央領域1aにおいて、長手方向に延伸して設けられており、長手方向の一端部は前方領域1bまで、他端部は後方領域1cまで延伸している。一対の第4前方接合部14bは、前方領域1bにおいて、前側の端から中央領域1a側に向かって長手方向に延伸して設けられている。一対の第4後方接合部14cは、後方領域1cにおいて、後側の端から中央領域1a側に向かって長手方向に延伸して設けられている。
【0079】
したがって、
図4に示すように、一対の第4前方接合部14bの位置及び一対の第4後方接合部14cの位置と一対の第4中央接合部14aの位置とは、少なくとも一部が長手方向に重なっている。両足が接触する頻度が高い中央領域1a側において、一対の第4前方接合部14bの位置及び一対の第4後方接合部14cの位置と一対の第4中央接合部14aの位置とが長手方向に重なっていることにより、ナプキン1の着用時において両足から幅方向の力が加わった場合でも、トップシート3とバックシート5との接合が剥がれにくくなる。
【0080】
なお、一対の第4前方接合部14bの位置及び一対の第4後方接合部14cの位置と一対の第4中央接合部14aの位置とは、本実施形態のように一部が重なっていてもよいし、例えば一対の第4中央接合部14aがナプキン1の長手方向全体に亘って設けられており、一対の第4前方接合部14b全体の位置及び一対の第4後方接合部14c全体の位置が一対の第4中央接合部14aの位置と重なっていてもよい。
【0081】
また、
図4に示すように、一対の第4前方接合部14bは、長手方向の内側の端である中央領域1a側の端140bが、長手方向において、吸収性コア21の括れ部210における前方側の括れ開始位置210bに配置されている。同様にして、一対の第4後方接合部14cは、長手方向の内側の端である中央領域1a側の端140cが、長手方向において、括れ部210における後方側の括れ開始位置210cに配置されている。
【0082】
本実施形態では、一対の第4前方接合部14bの端140bは前方側の括れ開始位置210bに、一対の第4後方接合部14cの端140cは後方側の括れ開始位置210cに、それぞれ配置されているが、これに限らず、一対の第4前方接合部14bの端140bが前方側の括れ開始位置210bよりも内側(中央側)に、一対の第4後方接合部14cの端140cが後方側の括れ開始位置210cよりも内側(中央側)に、それぞれ配置されていてもよい。
【0083】
これにより、一対の第4前方接合部14bの端140b及び一対の第4後方接合部14cの端140cが括れ部210が設けられている領域に位置するため、ナプキン1の着用時において括れ部210が設けられている部分に両足から幅方向の力が加わった場合でも、トップシート3とバックシート5との接合がより剥がれにくくなる。
【0084】
なお、一対の第4前方接合部14b及び一対の第4後方接合部14cのそれぞれにおいて、一対のうちの少なくとも一方の接合部の端140b,140cが括れ開始位置210b,210c、又は括れ開始位置210b,210cよりも内側に配置されていればよい。
【0085】
図3A、
図3B、及び
図4に示すように、一対の第4前方接合部14b及び一対の第4後方接合部14cは、一対の第4中央接合部14aよりも幅方向の外側に位置している。換言すれば、一対の第4中央接合部14aは、一対の第4前方接合部14b及び一対の第4後方接合部14cよりも幅方向の内側に位置している。
【0086】
したがって、両足が接触する頻度が高い中央領域1aでは、一対の第4中央接合部14aが一対の第4前方接合部14b及び第4後方接合部14cよりも幅方向の内側に位置していることにより、トップシート3における折り返し部32に相当する部分を広い領域で確保することが可能となる。よって、両足は、吸収体2からの当接圧を受ける前に、吸収体2よりも柔らかいトップシート3におけるより広い面から当接圧を受けることとなり、両足が受ける吸収体2からの当接圧が緩和されて、股間への違和感の抑制につながる。
【0087】
一方、前方領域1b及び後方領域1cでは、一対の第4前方接合部14b及び一対の第4後方接合部14cが一対の第4中央接合部14aよりも幅方向の外側に位置していることにより、経血等の液体を吸収する肌側の面であるトップシート3の平面部31(
図1、
図3A、及び
図3B参照)の平面形状を確保して液体の吸収面積をより確保することができ、液体の漏れの抑制につながる。
【0088】
===その他===
上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは言うまでもない。