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特開2016-221797積層フィルム及び積層フィルムの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-221797(P2016-221797A)
(43)【公開日】2016年12月28日
(54)【発明の名称】積層フィルム及び積層フィルムの製造方法
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/30 20060101AFI20161205BHJP
   G02B 5/30 20060101ALI20161205BHJP
【FI】
   B32B27/30 102
   G02B5/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2015-109513(P2015-109513)
(22)【出願日】2015年5月29日
(71)【出願人】
【識別番号】000002093
【氏名又は名称】住友化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100113000
【弁理士】
【氏名又は名称】中山 亨
(74)【代理人】
【識別番号】100151909
【弁理士】
【氏名又は名称】坂元 徹
(72)【発明者】
【氏名】河村 真一
【テーマコード(参考)】
2H149
4F100
【Fターム(参考)】
2H149AB18
2H149AB26
2H149BA02
2H149BB05
2H149BB07
2H149BB13
2H149CA02
2H149EA12
2H149FA02X
2H149FA03W
2H149FA03Z
2H149FA04Z
2H149FA12Z
2H149FA59Z
2H149FA63
2H149FB05
2H149FD09
2H149FD47
4F100AK07
4F100AK21B
4F100AK21C
4F100AT00A
4F100BA02
4F100BA03
4F100BA10B
4F100BA10C
4F100EH46B
4F100EH46C
4F100EJ37B
4F100EJ37C
4F100EJ86B
4F100EJ86C
4F100GB41
4F100JN10B
4F100JN10C
(57)【要約】
【課題】シワや弛みに起因して幅方向で染色のムラが生じ、幅方向の両端部を偏光板に使用できないという問題があった。また染色工程後に得られる偏光性積層フィルムにシワや弛みが生じていると、保護フィルムの貼合がおこなえず安定的に偏光板を製造することができないという問題があった。
【解決手段】長尺状の基材フィルムの少なくとも一方の面に、実質的に未延伸のポリビニルアルコール系樹脂層を備える積層フィルムにおいて、前記ポリビニルアルコール系樹脂層を幅方向に9つの領域に等分したとき、最外の領域の平均膜厚D1eと中央の領域の平均膜厚D1cとが以下の式を満たす積層フィルム。 D1e−D1c≦−0.3μm
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺状の基材フィルムの少なくとも一方の面に、実質的に未延伸のポリビニルアルコール系樹脂層を備える積層フィルムであって、前記ポリビニルアルコール系樹脂層を幅方向に9つの領域に等分したとき、最外の領域の平均膜厚D1eと中央の領域の平均膜厚D1cとが以下の式を満たす積層フィルム。
D1e−D1c≦−0.3μm
なお最外の領域の平均膜厚D1eは、最外の2つの領域におけるそれぞれの平均膜厚の内、中央の領域の平均膜厚D1cとの差が大きい方の平均膜厚とする。
【請求項2】
実質的に未延伸のポリビニルアルコール系樹脂層の幅方向の厚みの平均値が10μm以下である請求項1に記載の積層フィルム。
【請求項3】
長尺状の基材フィルムの少なくとも一方の面に、延伸されたポリビニルアルコール系樹脂層を備える延伸積層フィルムであって、前記延伸されたポリビニルアルコール系樹脂層を幅方向に9つの領域に等分したとき、最外の領域の平均膜厚D2eと中央の領域の平均膜厚D2cとが以下の式を満たす延伸積層フィルム。
D2e−D2c≦0.25μm
なお最外の領域の平均膜厚D2eは、最外の2つの領域におけるそれぞれの平均膜厚の内、中央の領域の平均膜厚D2cとの差が大きい方の平均膜厚とする。
【請求項4】
延伸されたポリビニルアルコール系樹脂層の幅方向の厚みの平均値が7μm以下である請求項3に記載の延伸積層フィルム。
【請求項5】
前記基材フィルムを幅方向に9つの領域に等分したとき、最外の領域の平均膜厚D3eと中央の領域の平均膜厚D3cとが以下の式を満たす請求項3又は4に記載の延伸積層フィルム。
D3e−D3c≦1.0μm
なお最外の領域の平均膜厚D3eは、最外の2つの領域におけるそれぞれの平均膜厚の内、中央の領域の平均膜厚D3cとの差が大きい方の平均膜厚とする。
【請求項6】
延伸積層フィルムを幅方向に9つの領域に等分したとき、最外の領域の平均膜厚D4eと中央の領域の平均膜厚D4cとが以下の式を満たす請求項3〜5のいずれかに記載の延伸積層フィルム。
D4e−D4c≦1.5μm
なお最外の領域の平均膜厚D4eは、最外の2つの領域におけるそれぞれの平均膜厚の内、中央の領域の平均膜厚D4cとの差が大きい方の平均膜厚とする。
【請求項7】
長尺状の基材フィルムの少なくとも一方の面に偏光子層を備える偏光性積層フィルムであって、前記偏光子層を幅方向に9つの領域に等分したとき、最外の領域の平均膜厚D5eと中央の領域の平均膜厚D5cとが以下の式を満たす偏光性積層フィルム。
D5e−D5c≦0.25μm
なお最外の領域の平均膜厚D5eは、最外の2つの領域におけるそれぞれの平均膜厚の内、中央の領域の平均膜厚D5cとの差が大きい方の平均膜厚とする。
【請求項8】
偏光子層の幅方向の厚みの平均値が7μm以下である請求項7に記載の偏光性積層フィルム。
【請求項9】
前記基材フィルムを幅方向に9つの領域に等分したとき、最外の領域の平均膜厚D6eと中央の領域の平均膜厚D6cとが以下の式を満たす請求項7又は8に記載の偏光性積層フィルム。
D6e−D6c≦1.0μm
なお最外の領域の平均膜厚D6eは、最外の2つの領域におけるそれぞれの平均膜厚の内、中央の領域の平均膜厚D6cとの差が大きい方の平均膜厚とする。
【請求項10】
偏光性積層フィルムを幅方向に9つの領域に等分したとき、最外の領域の平均膜厚D7eと中央の領域の平均膜厚D7cとが以下の式を満たす請求項7〜9のいずれかに記載の偏光性積層フィルム。
D7e−D7c≦1.5μm
なお最外の領域の平均膜厚D7eは、最外の2つの領域におけるそれぞれの平均膜厚の内、中央の領域の平均膜厚D7cとの差が大きい方の平均膜厚とする。
【請求項11】
偏光子層の幅方向の縁から25mmの位置で測定した視感度補正単体透過率Tyeと偏光子層の幅方向の中央で測定した視感度補正単体透過率Tycとが以下の式を満たす請求項7〜10のいずれかに記載の偏光性積層フィルム。
|Tye−Tyc|≦0.40%
なお縁から25mmの位置で測定した視感度補正単体透過率Tyeは、2つの測定値の内、中央で測定した視感度補正単体透過率Tycとの差が大きい方の視感度補正単体透過率とする。
【請求項12】
長尺状の基材フィルムの少なくとも一方の面に、塗工層の幅方向において両端部よりも中央部が厚くなるようにポリビニルアルコール系樹脂を含有する水溶液を塗工して塗工層を形成する工程と、塗工層を乾燥させてポリビニルアルコール系樹脂からなる樹脂層を形成する工程とを含む積層フィルムの製造方法。
【請求項13】
請求項12に記載の積層フィルムを5倍超に一軸延伸して延伸積層フィルムを得る工程を含む延伸積層フィルムの製造方法。
【請求項14】
請求項13に記載の延伸積層フィルムをロールに巻き取り、延伸積層フィルムロールを得る工程を含む延伸積層フィルムロールの製造方法。
【請求項15】
請求項13に記載の延伸積層フィルム又は請求項14に記載の延伸積層フィルムロールから巻き出した延伸積層フィルムを染色して、偏光性積層フィルムを得る工程を含む偏光性積層フィルムの製造方法。
【請求項16】
請求項15に記載の偏光性積層フィルムの偏光子層における基材フィルム側とは反対側の面に保護フィルムを貼合して多層フィルムを得る貼合工程と、多層フィルムから前記基材フィルムを剥離する剥離工程を含む偏光板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層フィルム及び積層フィルムの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の偏光子は、ポリビニルアルコール系樹脂の原反フィルム(通常、厚み30〜75μm程度)を延伸、染色することにより製造されており、延伸後のフィルムの厚みは、通常12〜30μm程度である。薄膜化のために、ポリビニルアルコール系樹脂の原反フィルムとして30μm以下のものを使用すると、延伸時のフィルムが破断し易くなる等の生産性の問題があった。
【0003】
そこで、昨今の偏光板の薄肉化に対応するために、基材フィルム上にポリビニルアルコール系樹脂を含有する水溶液をコーティングする方式が提案されている。この方式では、基材フィルム上にポリビニルアルコール系樹脂を含有する水溶液をコーティングすることでポリビニルアルコール系樹脂層を形成して積層フィルムを得た後、この積層フィルムに対して延伸及び染色処理を施すことによってポリビニルアルコール系樹脂層に偏光機能を付与して偏光子層を得ている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−098653号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ポリビニルアルコール系樹脂を含有する水溶液をコーティングする方式により偏光性積層フィルムを得る場合、偏光性積層フィルムは一般に長尺状の基材フィルムを使用したロール・トゥー・ロール方式で製造される。この方式では、ポリビニルアルコール系樹脂層を延伸する工程やヨウ素により染色する工程などの複数の工程を含むため、工程ごとに長尺状のフィルムをロール状に巻き取ることがある。
【0006】
特に延伸工程後に延伸積層フィルムをロール状に巻き取り延伸積層フィルムロール得て、染色工程を実施するために延伸積層フィルムロールから延伸積層フィルムを巻き出すと、巻き出した長尺状のフィルムにおける幅方向の両端部にシワや弛みが生じることがある。フィルムをロール状に巻き取った後、巻き出したフィルムの両端部に生じるシワや弛みは、積層フィルムにも同様に発生しており、これらのシワや弛みに起因して幅方向で染色のムラが生じ、幅方向の両端部を偏光板に使用できないという問題があった。また染色工程後に得られる偏光性積層フィルムにシワや弛みが生じていると、保護フィルムの貼合がおこなえず安定的に偏光板を製造することができないという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は下記のものを含む。
[1]長尺状の基材フィルムの少なくとも一方の面に、実質的に未延伸のポリビニルアルコール系樹脂層を備える積層フィルムであって、前記ポリビニルアルコール系樹脂層を幅方向に9つの領域に等分したとき、最外の領域の平均膜厚D1eと中央の領域の平均膜厚D1cとが以下の式を満たす積層フィルム。
D1e−D1c≦−0.3μm
なお最外の領域の平均膜厚D1eは、最外の2つの領域におけるそれぞれの平均膜厚の内、中央の領域の平均膜厚D1cとの差が大きい方の平均膜厚とする。
[2]実質的に未延伸のポリビニルアルコール系樹脂層の幅方向の厚みの平均値が10μm以下である[1]に記載の積層フィルム。
[3]長尺状の基材フィルムの少なくとも一方の面に、延伸されたポリビニルアルコール系樹脂層を備える延伸積層フィルムであって、前記延伸されたポリビニルアルコール系樹脂層を幅方向に9つの領域に等分したとき、最外の領域の平均膜厚D2eと中央の領域の平均膜厚D2cとが以下の式を満たす延伸積層フィルム。
D2e−D2c≦0.25μm
なお最外の領域の平均膜厚D2eは、最外の2つの領域におけるそれぞれの平均膜厚の内、中央の領域の平均膜厚D2cとの差が大きい方の平均膜厚とする。
[4]延伸されたポリビニルアルコール系樹脂層の幅方向の厚みの平均値が7μm以下である[3]に記載の延伸積層フィルム。
[5]前記基材フィルムを幅方向に9つの領域に等分したとき、最外の領域の平均膜厚D3eと中央の領域の平均膜厚D3cとが以下の式を満たす[3]又は[4]に記載の延伸積層フィルム。
D3e−D3c≦1.0μm
なお最外の領域の平均膜厚D3eは、最外の2つの領域におけるそれぞれの平均膜厚の内、中央の領域の平均膜厚D3cとの差が大きい方の平均膜厚とする。
[6]延伸積層フィルムを幅方向に9つの領域に等分したとき、最外の領域の平均膜厚D4eと中央の領域の平均膜厚D4cとが以下の式を満たす[3]〜[5]のいずれかに記載の延伸積層フィルム。
D4e−D4c≦1.5μm
なお最外の領域の平均膜厚D4eは、最外の2つの領域におけるそれぞれの平均膜厚の内、中央の領域の平均膜厚D4cとの差が大きい方の平均膜厚とする。
[7]長尺状の基材フィルムの少なくとも一方の面に偏光子層を備える偏光性積層フィルムであって、前記偏光子層を幅方向に9つの領域に等分したとき、最外の領域の平均膜厚D5eと中央の領域の平均膜厚D5cとが以下の式を満たす偏光性積層フィルム。
D5e−D5c≦0.25μm
なお最外の領域の平均膜厚D5eは、最外の2つの領域におけるそれぞれの平均膜厚の内、中央の領域の平均膜厚D5cとの差が大きい方の平均膜厚とする。
[8]偏光子層の幅方向の厚みの平均値が7μm以下である[7]に記載の偏光性積層フィルム。
[9]前記基材フィルムを幅方向に9つの領域に等分したとき、最外の領域の平均膜厚D6eと中央の領域の平均膜厚D6cとが以下の式を満たす[7]又は[8]に記載の偏光性積層フィルム。
D6e−D6c≦1.0μm
なお最外の領域の平均膜厚D6eは、最外の2つの領域におけるそれぞれの平均膜厚の内、中央の領域の平均膜厚D6cとの差が大きい方の平均膜厚とする。
[10]偏光性積層フィルムを幅方向に9つの領域に等分したとき、最外の領域の平均膜厚D7eと中央の領域の平均膜厚D7cとが以下の式を満たす[7]〜[9]のいずれかに記載の偏光性積層フィルム。
D7e−D7c≦1.5μm
なお最外の領域の平均膜厚D7eは、最外の2つの領域におけるそれぞれの平均膜厚の内、中央の領域の平均膜厚D7cとの差が大きい方の平均膜厚とする。
[11]偏光子層の幅方向の縁から25mmの位置で測定した視感度補正単体透過率Tyeと偏光子層の幅方向の中央で測定した視感度補正単体透過率Tycとが以下の式を満たす[7]〜[10]のいずれかに記載の偏光性積層フィルム。
|Tye−Tyc|≦0.40%
なお縁から25mmの位置で測定した視感度補正単体透過率Tyeは、2つの測定値の内、中央で測定した視感度補正単体透過率Tycとの差が大きい方の視感度補正単体透過率とする。
[12]長尺状の基材フィルムの少なくとも一方の面に、塗工層の幅方向において両端部よりも中央部が厚くなるようにポリビニルアルコール系樹脂を含有する水溶液を塗工して塗工層を形成する工程と、塗工層を乾燥させてポリビニルアルコール系樹脂からなる樹脂層を形成する工程とを含む積層フィルムの製造方法。
[13][12]に記載の積層フィルムを5倍超に一軸延伸して延伸積層フィルムを得る工程を含む延伸積層フィルムの製造方法。
[14][13]に記載の延伸積層フィルムをロールに巻き取り、延伸積層フィルムロールを得る工程を含む延伸積層フィルムロールの製造方法。
[15][13]に記載の延伸積層フィルム又は[14]に記載の延伸積層フィルムロールから巻きだした延伸積層フィルムを染色して、偏光性積層フィルムを得る工程を含む偏光性積層フィルムの製造方法。
[16][15]に記載の偏光性積層フィルムの偏光子層における基材フィルム側とは反対側の面に保護フィルムを貼合して多層フィルムを得る貼合工程と、多層フィルムから前記基材フィルムを剥離する剥離工程を含む偏光板の製造方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、長尺状の積層フィルムにおける幅方向の両端部にシワや弛みが生じにくく、製品にならない部分の面積を減少させることができる。また幅方向で光学特性が均一な偏光板を得ることができる。さらに保護フィルムを偏光性積層フィルムに容易に貼合することができるので、安定的に偏光板を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態に係る積層フィルムの製造方法を説明する図である。
図2】本発明の一実施形態により得られる塗工層を有する基材フィルムの一例を示す概略断面図である。
図3】本発明の一実施形態により得られる積層フィルムの一例を示す概略断面図である。
図4】本発明の一実施形態により得られる延伸積層フィルムの一例を示す概略断面図である。
図5】本発明の一実施形態により得られる偏光性積層フィルムの一例を示す概略断面図である。
図6】本発明の一実施形態により得られる塗工層における最外の領域と中央の領域の位置を示す概略断面図である。
図7】延伸されたポリビニルアルコール系樹脂層が本発明の規定を満たさない場合における延伸積層フィルムの概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
ポリビニルアルコール系樹脂を含有する水溶液をコーティングする方式により偏光子層を得る場合、通常偏光性積層フィルムは以下の工程を含む方法により製造される。
【0011】
(塗工工程)長尺状の基材フィルムの少なくとも一方の面に、ポリビニルアルコール系樹脂を含有する水溶液を塗工して、塗工層を得る工程。
(乾燥工程)塗工層を乾燥させて、ポリビニルアルコール系樹脂層(単に樹脂層ということがある。)を形成することにより積層フィルムを得る工程。
(延伸工程)積層フィルムを延伸して延伸積層フィルムを得る工程。
(染色工程)延伸積層フィルムを、ヨウ素を含有する染色溶液に浸漬し、偏光性積層フィルムを得る工程。
【0012】
発明者は、偏光性積層フィルムの幅方向の両端部にシワや弛みが生じるのを抑制するためには、偏光板を製造する各工程において、以下のような中間製品を製造すればよいことを見出した。本発明の中間製品(積層フィルム、延伸積層フィルム及び偏光性積層フィルム)の長手方向の長さは、100m以上であってもよいし、500m以上であってもよい。フィルムの長さが100m以上となると巻き径が大きくなるので、通常は巻き締まりが生じやすいが、本発明は幅方向の両端部にシワや弛みが生じるのを効果的に防ぐことができる。通常フィルムの長さは10000m以下である。
【0013】
[中間製品:積層フィルム]
長尺状の基材フィルム上にポリビニルアルコール系樹脂層を備えた積層フィルムにおいて、ポリビニルアルコール系樹脂層を幅方向に9つの領域に等分したとき、最外の領域の平均膜厚D1eと中央の領域の平均膜厚D1cとは以下の式(1−1)を満たすことが肝要であり、さらに式(1−2)を満たすことが好ましい。D1e−D1cは、−0.4μm以下であることが好ましく、また−1.5μm以上であることが好ましく、−1.3μm以上であることがより好ましい。なお最外の領域の平均膜厚D1eは、最外の2つの領域におけるそれぞれの平均膜厚の内、中央の領域の平均膜厚D1cとの差が大きい方の平均膜厚とする。
D1e−D1c≦−0.3μm (1−1)
D1e−D1c≧−2.0μm (1−2)
【0014】
積層フィルムが基材フィルムの両面にポリビニルアルコール系樹脂層を備える場合、基材フィルムの少なくとも一方の面上に配置されるポリビニルアルコール系樹脂層が式(1−1)を満たしていればよく、基材フィルムの面上に配置されるいずれのポリビニルアルコール系樹脂層も式(1−1)を満たすことが好ましい。
【0015】
ポリビニルアルコール系樹脂層の幅方向の膜厚分布において、D1e−D1cは、膜厚分布の均一性及び幅方向膜厚分布の概形を表しているものと考えられる。そしてポリビニルアルコール系樹脂層が式(1−1)を満たすことは、幅方向の膜厚分布が凸状であるポリビニルアルコール系樹脂層が基材フィルム上に配置されることを表す。このように幅方向の膜厚分布が凸状であることにより、巻き取り方向(MD方向)に張力を掛けながら、積層フィルムをロール状に巻き取り積層フィルムロールを得たときに、幅方向の膜厚分布が凹状である場合に比べ、積層フィルムロールの幅方向端部に加わる張力を小さくすることができる。その結果、積層フィルムロールの幅方向両端部に巻き締まりが起こりにくくなり、巻き出した積層フィルムの幅方向両端部にシワや弛みが生じるのを抑制することができるものと考えられる。
【0016】
なお積層フィルムロールから巻き出した積層フィルムの幅方向中央部にシワや弛みが生じることがあるが、幅方向中央部のシワや弛みは、後工程の延伸工程により解消することができる。一方で、幅方向両端部に生じたシワや弛みを延伸工程により解消するのは難しい。幅方向中央部のシワや弛みを容易に解消することができるという点で、ポリビニルアルコール系樹脂層は、式(1−2)を満たすことが好ましい。
【0017】
積層フィルムは延伸工程や染色工程を施す前のフィルムであるため、前記ポリビニルアルコール系樹脂層は実質的に未延伸である。実質的に未延伸であるとは、延伸方向における延伸倍率が0.99〜1.01倍であることを表す。
【0018】
本明細書において、幅方向とは、長尺状の積層フィルムの長手方向に垂直であって、積層フィルム面に平行な方向のことをいう。積層フィルムをロール・トゥー・ロール方式により製造する場合、幅方向は積層フィルムの搬送方向(MD方向)に垂直であって、積層フィルム面に平行な方向(TD方向)に一致する。当然ながら、長手方向はMD方向に一致する。また本発明の積層フィルムに対して、縦延伸工程を施し延伸積層フィルムを得た場合、及びさらに染色工程を含む工程を施し偏光性積層フィルムを得た場合、通常延伸方向は積層フィルムの長手方向に一致し、偏光性積層フィルムの吸収軸方向は、積層フィルムの長手方向に一致する。この関係は、偏光性積層フィルムに透明保護フィルムを貼合し、基材フィルムを剥離した偏光板においても同じであり、偏光板が所定の大きさに切り出された枚葉体であっても同じである。
【0019】
例えば、本発明の積層フィルムは、図3に示すような凸状の幅方向の膜厚分布を有する。
【0020】
[中間製品:延伸積層フィルム]
延伸積層フィルムは、長尺状の基材フィルムの少なくとも一方の面に、延伸されたポリビニルアルコール系樹脂層を備える。延伸積層フィルムは、上記積層フィルムを延伸することにより得ることもできるフィルムである。ポリビニルアルコール系樹脂層の延伸倍率は、例えば5〜17倍であることができ、5〜8倍であることもできる。延伸されたポリビニルアルコール系樹脂層を幅方向に9つの領域に等分したとき、最外の領域の平均膜厚D2eと中央の領域の平均膜厚D2cとが以下の式(2−1)を満たすことが肝要であり、さらに式(2−2)を満たすことが好ましい。D2e−D2cは、0.20μm以下であることが好ましく、0.15μm以下であることがより好ましく、また−1.0μm以上であることが好ましい。なお最外の領域の平均膜厚D2eは、最外の2つの領域におけるそれぞれの平均膜厚の内、中央の領域の平均膜厚D2cとの差が大きい方の平均膜厚とする。
D2e−D2c≦0.25μm (2−1)
D2e−D2c≧−1.2μm (2−2)
【0021】
基材フィルムの両面に延伸されたポリビニルアルコール系樹脂層を備える場合、基材フィルムの少なくとも一方の面上に配置されるポリビニルアルコール系樹脂層が式(2−1)を満たしていればよく、基材フィルムの面上に配置されるいずれのポリビニルアルコール系樹脂層も式(2−1)を満たすことが好ましい。
【0022】
延伸されたポリビニルアルコール系樹脂層が式(2−1)を満たすと、延伸積層フィルムが巻き取られて延伸積層フィルムロールとなったときに、上記積層フィルムと同様の理由で、幅方向両端部の巻き締まりが起こりにくくなり、幅方向両端部にシワや弛みが生じるのを抑制することができるものと考えられる。
【0023】
延伸積層フィルムロールの巻き締まりをより効果的に抑制できるという点で、延伸積層フィルムにおいて基材フィルムを幅方向に9つの領域に等分したとき、最外の領域の平均膜厚D3eと中央の領域の平均膜厚D3cとが以下の式(3−1)を満たすことが好ましく、式(3−2)を満たすことがより好ましい。D3e−D3cは、0.8μm以下であることが好ましく、また−0.8μm以上であることが好ましい。なお最外の領域の平均膜厚D3eは、最外の2つの領域におけるそれぞれの平均膜厚の内、中央の領域の平均膜厚D3cとの差が大きい方の平均膜厚とする。
D3e−D3c≦1.0μm (3−1)
D3e−D3c≧−1.0μm (3−2)
【0024】
ポリビニルアルコール系樹脂層と基材フィルムとは一体的に延伸されることが好ましい。このとき基材フィルムの幅方向の膜厚分布は、延伸されたポリビニルアルコール系樹脂層の膜厚分布の傾向を反映することがある。すなわちポリビニルアルコール系樹脂層だけではなく基材フィルムも幅方向の膜厚分布が変化しうる。したがって、延伸されたポリビニルアルコール系樹脂層の幅方向の膜厚分布が式(2−1)を満たさない場合、例えば図7に示すように延伸されたポリビニルアルコール系樹脂層が凹状の膜厚分布を有する場合(D2e−D2c>0.25μm)、基材フィルムの幅方向の膜厚分布も延伸により凹状(D3e−D3c>1.0μm)に変形することがある。一方、本発明の延伸積層フィルムにおいては、延伸されたポリビニルアルコール系樹脂層の幅方向の膜厚分布は式(2−1)を満たし、平滑に近いので、基材フィルムの変形が抑制される。
【0025】
また延伸積層フィルムは、延伸積層フィルムを幅方向に9つの領域に等分したとき、最外の領域の平均膜厚D4eと中央の領域の平均膜厚D4cとが以下の式(4−1)を満たすことが好ましく、さらに式(4−2)を満たすことがより好ましい。D4e−D4cは、−1.0μm以上であることが好ましく、0.0μm以上であることがより好ましく、0.5μm以上であってもよい。なお最外の領域の平均膜厚D4eは、最外の2つの領域におけるそれぞれの平均膜厚の内、中央の領域の平均膜厚D4cとの差が大きい方の平均膜厚とする。
D4e−D4c≦1.5μm (4−1)
D4e−D4c≧−2.0μm (4−2)
【0026】
延伸積層フィルムの厚みとは、総厚みのことを指し、延伸積層フィルムにおける基材フィルムの厚みと延伸された樹脂層の厚みとの和である。基材フィルムの片面にポリビニルアルコール系樹脂層を備える場合、総厚みは基材フィルムの厚みとポリビニルアルコール系樹脂層の厚みとの和であり、基材フィルムの両面にポリビニルアルコール系樹脂層を備える場合、総厚みは基材フィルムの厚みに一対のポリビニルアルコール系樹脂層の厚みの和を足した厚みである。したがって、基材フィルムの両面にポリビニルアルコール系樹脂層を備え、式(4−1)を満たす場合の方が、延伸積層フィルムロールにおいて、より効果的に幅方向両端部のシワや弛みを抑制することができる。
【0027】
上述のとおり積層フィルムが式(1−1)を満たすことは、幅方向の断面形状が凸状であることを表す。式(1−1)の値に比べ、式(2−1)の値の方が大きいのは、積層フィルムにおいて膜厚の薄い端部が、延伸時のネックインにより厚くなり、幅方向の断面形状が、凸状からフラットな形状へと変化するためであると考えられる。
【0028】
例えば、本発明の延伸積層フィルムは、図4に示すような幅方向の膜厚分布を有する。
【0029】
[中間製品:偏光性積層フィルム]
偏光性積層フィルムは、長尺状の基材フィルムの少なくとも一方の面に偏光子層を備える。偏光性積層フィルムは、前記延伸積層フィルムに対して染色工程を含む工程を施すことにより得ることもできるフィルムである。染色工程を含む工程によりポリビニルアルコール系樹脂層は偏光子層となる。通常偏光性積層フィルムが備える各層(偏光子層、基材フィルム)の幅方向の膜厚分布は、延伸積層フィルムが備える各層の幅方向の膜厚分布を反映する。
【0030】
したがって延伸積層フィルムと同様に、偏光子層を幅方向に9つの領域に等分したとき、最外の領域の平均膜厚D5eと中央の領域の平均膜厚D5cとが以下の式(5−1)を満たすことが肝要であり、さらに式(5−2)を満たすことが好ましい。D5e−D5cは、0.20μm以下であることが好ましく、0.15μm以下であることがより好ましく、0.1μm以下であることがさらに好ましく、また−0.15μm以上であることが好ましく、−0.1μm以上であることがより好ましい。なお最外の領域の平均膜厚D5eは、最外の2つの領域におけるそれぞれの平均膜厚の内、中央の領域の平均膜厚D5cとの差が大きい方の平均膜厚とする。
D5e−D5c≦0.25μm (5−1)
D5e−D5c≧−0.2μm (5−2)
【0031】
偏光性積層フィルムが基材フィルムの両面に偏光子層を備える場合、基材フィルムの少なくとも一方の面上に配置される偏光子層が式(5−1)を満たしていればよく、基材フィルムの面上に配置されるいずれの偏光子層も式(5−1)を満たすことが好ましい。
【0032】
幅方向において偏光子層が式(5−1)を満たすと、偏光性積層フィルムが巻き取られて偏光性積層フィルムロールとなったときに、幅方向両端部の巻き締まりが起こりにくくなり、幅方向両端部にシワや弛みが生じるのを抑制することができるものと考えられる。
【0033】
偏光性積層フィルムロールの巻き締まりをより効果的に抑制できるという点で、偏光性積層フィルムにおいて基材フィルムを幅方向に9つの領域に等分したとき、最外の領域の平均膜厚D6eと中央の領域の平均膜厚D6cとが以下の式(6−1)を満たすことが好ましく、さらに式(6−2)を満たすことがより好ましい。D6e−D6cは、0.9μm以下であることがより好ましく、また−1.0μm以上であることが好ましく、−0.8μm以上であることがより好ましい。なお最外の領域の平均膜厚D6eは、最外の2つの領域におけるそれぞれの平均膜厚の内、中央の領域の平均膜厚D6cとの差が大きい方の平均膜厚とする。
D6e−D6c≦1.0μm (6−1)
D6e−D6c≧−1.5μm (6−2)
【0034】
また偏光性積層フィルムは、偏光性積層フィルムを幅方向に9つの領域に等分したとき、最外の領域の平均膜厚D7eと中央の領域の平均膜厚D7cとが以下の式(7−1)を満たすことが好ましく、さらに式(7−2)を満たすことがより好ましい。D7e−D7cは、1.3μm以下であることが好ましく、また−1.0μm以上であることが好ましく、0μm以上であることがより好ましい。なお最外の領域の平均膜厚D7eは、最外の2つの領域におけるそれぞれの平均膜厚の内、中央の領域の平均膜厚D7cとの差が大きい方の平均膜厚とする。
D7e−D7c≦1.5μm (7−1)
D7e−D7c≧−2.0μm (7−2)
【0035】
偏光性積層フィルムの厚みとは、総厚みのことを指し、偏光性積層フィルムにおける基材フィルムの厚みと偏光子層の厚みとの和である。基材フィルムの片面に偏光子層を備える場合、総厚みは基材フィルムの厚みと偏光子層の厚みとの和であり、基材フィルムの両面に偏光子層を備える場合、総厚みは基材フィルムの厚みに一対の偏光子層の厚みの和を足した厚みである。したがって、基材フィルムの両面に偏光子層を備え、式(7−1)を満たす場合の方が、偏光性積層フィルムロールにおいて、より効果的に幅方向両端部のシワや弛みを抑制することができる。
【0036】
また、より均一な偏光性能の偏光板が得られるという点で、偏光子層の幅方向の縁から25mmの位置で測定した視感度補正単体透過率Tyeと幅方向の中央で測定した視感度補正単体透過率Tycとは、以下の式(8−1)を満たすことが好ましい。|Tye−Tyc|は、0.3%以下であることが好ましく、0.2%以下であることがより好ましい。|Tye−Tyc|は通常0.00%以上となる。なお縁から25mmの位置で測定した視感度補正単体透過率Tyeは、2つの測定値の内、中央で測定した視感度補正単体透過率Tycとの差が大きい方の視感度補正単体透過率とする。
|Tye−Tyc|≦0.40% (8−1)
【0037】
視感度補正単体透過率(Ty)は、波長380nm〜780nmにおいて、偏光性積層フィルムMD方向の透過率(TMD)とTD方向の透過率(TTD)とを求め、以下に表す式(9)に基づいて各波長における単体透過率を算出し、さらにJIS Z 8701の2度視野(C光源)により視感度補正を行うことにより求めることができる。
単体透過率(%)=(TMD+TTD)/2 (9)
【0038】
例えば、本発明の偏光性積層フィルムは、図5に示すような幅方向の膜厚分布を有する。
【0039】
以下、本発明の積層フィルムの製造方法、偏光性積層フィルムの製造方法、及び偏光板の製造方法について、図面を参照して一実施形態を説明する。
【0040】
(積層フィルムの製造方法)
図1は、本発明の実施形態に係る積層フィルムの製造方法を示すフロー図である。
【0041】
(基材フィルム)
まず、長尺な基材フィルム1を用意する。基材フィルム1は、熱可塑性樹脂からなることができる。熱可塑性樹脂の例は、鎖状ポリオレフィン樹脂及び環状ポリオレフィン樹脂(ノルボルネン系樹脂等)等のポリオフェフィン系樹脂;ポリエチレンテレフタラートなどのポリエステル系樹脂;(メタ)アクリル系樹脂;セルローストリアセテート、セルロースジアセテート等のセルロースエステル系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;ポリビニルアルコール系樹脂;ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリアリレート系樹脂;ポリスチレン系樹脂;ポリエーテルスルホン系樹脂;ポリスルホン系樹脂;ポリアミド樹脂;ポリイミド系樹脂である。
【0042】
基材フィルムは、1種又は2種以上の熱可塑性樹脂からなる1つの樹脂層からなる単層構造であってもよいし、1種又は2種以上の熱可塑性樹脂からなる樹脂層を複数積層した多層構造であってもよい。
【0043】
また、基材フィルムは、延伸品であってもよく、未延伸であってもよい。延伸品の場合、一軸延伸でも二軸延伸でもよい。
【0044】
鎖状ポリオレフィン系樹脂としては、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂などの鎖状オレフィンの単独重合体の他、2種以上の鎖状オレフィンからなる共重合体を挙げることができる。鎖状ポリオレフィン系樹脂からなる基材フィルムは、安定的に高倍率に延伸しやすい点で好ましい。中でも基材フィルムは、ポリプロピレン系樹脂(プロピレンの単独重合体であるポリプロピレン樹脂や、プロピレンを主体とする共重合体等)、ポリエチレン系樹脂(エチレンの単独重合体であるポリエチレン樹脂や、エチレンを主体とする共重合体等)などからなることがより好ましい。
【0045】
プロピレンを主体とする共重合体は、プロピレンとこれに共重合可能な他のモノマーとの共重合体である。プロピレンに共重合可能な他のモノマーとしては、例えば、エチレン、α−オレフィンを挙げることができる。α−オレフィンとしては、炭素数4以上のα−オレフィンが好ましく、より好ましくは炭素数4−10のα−オレフィンである。炭素数4−10のα−オレフィンの具体例は、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−へプテン、1−オクテン、1−デセン等の直鎖状モノオレフィン類;3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン等の分岐状モノオレフィン類;ビニルシクロヘキサンなどを含む。プロピレンとこれに共重合可能な他のモノマーとの共重合体は、ランダム共重合体であってもよいし、ブロック共重合体であってもよい。上記他のモノマーの含有量は、共重合体中、例えば0.1〜20重量%であり、好ましくは0.5〜10重量%である。
【0046】
上記の中でも、ポリプロピレン系樹脂としては、プロピレンの単独重合体、プロピレンーエチレンランダム共重合体、プロピレン−1−ブテンランダム共重合体又はプロピレン−エチレン−1−ブテンランダム共重合体が好ましく用いられる。
【0047】
環状ポリオレフィン系樹脂は、環状オレフィンを重合単位として重合される樹脂の総称であり、環状オレフィンの開環(共)重合体、環状オレフィンの付加重合体、環状オレフィンとエチレン、プロピレン等の鎖状オレフィンとの共重合体(代表的にはランダム共重合体)、及びこれらを不飽和カルボン酸やその誘導体で変性したグラフ卜重合体、並びにそれらの水素化物などがある。中でも、環状オレフィンとしてノルボルネンや多環ノルボルネン系モノマー等のノルボルネン系モノマーを用いたノルボルネン系樹脂が好ましく用いられる。
【0048】
基材フィルムは、1種の環状ポリオレフィン系樹脂から構成されていてもよいし、2種以上の環状ポリオレフィン系樹脂の混合物から構成されていてもよいし、2種以上の環状ポリオレフィン系樹脂の共重合物から構成されていてもよい。
【0049】
ポリエステル系樹脂は、エステル結合を有する樹脂であり、多価カルボン酸又はその誘導体と多価アルコールとの重縮合体からなるものが一般的である。多価カルボン酸又はその誘導体としては2価のジカルボン酸又はその誘導体を用いることができ、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、ジメチルテレフタレート、ナフタレンジカルボン酸ジメチルなどが挙げられる。多価アルコールとしては2価のジオールを用いることができ、例えばエチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノールなどが挙げられる。
【0050】
ポリエステル系樹脂の具体例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリ卜リメチレンテレフタレート、ポリ卜リメチレンナフタレート、ポリシクロヘキサンジメチルテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメチルナフタレートなどが挙げられる。ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂フィルムの場合、弾性率を上げるために予め延伸しておくことができる。延伸は、一軸延伸でも二軸延伸でもよい。
【0051】
基材フィルムは、1種のポリエステル系樹脂から構成されていてもよいし、2種以上のポリエステル系樹脂の混合物から構成されていてもよいし、2種以上のポリエステル系樹脂の共重合物から構成されていてもよい。
【0052】
(メタ)アクリル系樹脂の例は、ポリメタクリル酸メチルなどのポリ(メタ)アクリル酸エステル、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸共重合体、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、メタクリル酸メチル−アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体、(メタ)アクリル酸メチル−スチレン共重合体(MS樹脂など)、脂環族炭化水素基を有する重合体(例えば、メタクリル酸メチルメタクリル酸シクロヘキシル共重合体、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸ノルボルニル共重合体など)を含む。好ましくは、ポリ(メタ)アクリル酸メチルなどのポリ(メタ)アクリル酸Cl−6アルキルが用いられ、より好ましくは、メタクリル酸メチルを主成分(50〜100重量%、好ましくは70〜100重量%)とするメタクリル酸メチル系樹脂が用いられる。
【0053】
基材フィルムは、1種の(メタ)アクリル系樹脂から構成されていてもよいし、2種以上の(メタ)アクリル系樹脂の混合物から構成されていてもよいし、2種以上の(メタ)アクリル系樹脂の共重合物から構成されていてもよい。
【0054】
セルロースエステル系樹脂は、セルロースと脂肪酸とのエステルである。セルロースエステル系樹脂の具体例は、セルローストリアセテー卜、セルロースジアセテート、セルローストリプロピオネート、セルロースジプロピオネートなどを含む。これらの中でも、セルローストリアセテート(トリアセチルセルロース)が特に好ましい。
【0055】
基材フィルムは、1種のセルロースエステル系樹脂から構成されていてもよいし、2種以上のセルロースエステル系樹脂の混合物から構成されていてもよいし、2種以上のセルロースエステル系樹脂の共重合物から構成されていてもよい。
【0056】
ポリカーボネート系樹脂は、カルボナート基を介してモノマー単位が結合されたポリマーからなる。ポリカーボネート系樹脂は、光弾性係数を下げるためにポリマー骨格を修飾したような変性ポリカーボネートと呼ばれる樹脂や、波長依存性を改よした共重合ポリカーボネートなどであってもよい。
【0057】
基材フィルムは、1種のポリカーボネート系樹脂から構成されていてもよいし、2種以上のポリカーボネート系樹脂の混合物から構成されていてもよいし、2種以上のポリカーボネート系樹脂の共重合物から構成されていてもよい。
【0058】
基材フィルムには、上記の熱可塑性樹脂の他に、任意の適切な添加剤が添加されていてもよい。このような添加剤としては、例えば、紫外線吸収剤、酸化防止剤、滑剤、可塑剤、離型剤、着色防止剤、難燃剤、核剤、帯電防止剤、顔料、及び着色剤などが挙げられる。基材フィルム中の熱可塑性樹脂の含有量は、好ましくは50〜100重量%、より好ましくは50〜99重量%、さらに好ましくは60〜98重量%、特に好ましくは70〜97重量%である。基材フィルム中の熱可塑性樹脂の含有量が50重量%未満の場合、熱可塑性樹脂が本来有する高透明性等が十分に発現されないおそれがある。
【0059】
基材フィルム1の厚みは、適宜に決定し得るが、一般には強度や取扱性等の作業性の点から1〜500μmが好ましく、1〜300μmがより好ましく、さらには5〜200μmが好ましく、5〜150μmが最も好ましい。
【0060】
基材フィルム1の幅は適宜に決定し得るが、500mm以上であることができ、1000mm以上であることもできる。本発明の積層フィルムにおいては、幅が500mm以上であっても効果的に幅方向両端部のシワや弛みを抑制することができる。また、基材フィルム1の長さは、幅よりも長ければよいが、100m以上とすることができ、500m以上とすることが好適である。
【0061】
基材フィルムは、乾燥工程におけるシワ又は折れ込み等の欠陥や、塗工層の乾燥不良を抑制する観点から、80℃における引張弾性率が140MPa以上であることができ、180MPa以上であることがより好ましく、200Pa以上であることがより好ましい。また通常基材フィルムの80℃における引張弾性率は1000MPa以下であり、800MP以下であることが好ましく、600MPa以下であることがより好ましい。基材フィルムの80℃における引張弾性率が1000MPaを超えると、延伸工程において大きな力が必要となるので、装置が巨大になってしまうことがある。
【0062】
(基材フィルムの前処理)
ポリビニルアルコール系樹脂層との密着性を向上させるために、必要に応じて前処理手段によって基材フィルム1の表面に前処理を行うことができる。
(表面活性化)
例えば、図1の(a)に示すように、巻出部30から供給される基材フィルム1の表面に、コロナ処理、プラズマ処理又は火炎処理等の表面活性化手段42により基材フィルム1の表面の活性化処理を行うことができる。
【0063】
(プライマー層形成)
また、ポリビニルアルコール系樹脂層との密着性を向上させるために、基材フィルム1の表面、好ましくは、上記表面活性化処理がなされた表面に、プライマー層形成手段によってプライマー層を形成することもできる。
【0064】
例えば、図1の(b)に示すように、塗工手段44によってプライマー層形成用塗工液を巻出部32から供給される基材フィルム1の表面に塗工した後、乾燥手段46により塗工層を乾燥させてプライマー層を有する基材フィルムを得ることができ、この基材フィルム1をその後、巻取部33により巻き取ることができる。プライマー層形成用塗工液は樹脂成分と溶剤とを含有することができる。樹脂成分としては、好ましくは透明性、熱安定性、延伸性などに優れる熱可塑樹脂が用いられ、例えば、(メタ)アクリル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂などが挙げられる。溶剤としては通常、上記樹脂成分を溶解できる一般的な有機溶剤や、水などの水系溶剤が用いられる。
【0065】
プライマー層の強度を上げるためにプライマー層形成用塗工液に架橋剤を添加してもよい。架橋剤は、使用する熱可塑性樹脂の種類に応じて、有機系、無機系など公知のものの中から適切なものを適宜選択する。架橋剤として、WO2013/146644号公報に記載された架橋剤を使用出来る。プライマー塗工液は、その固形分濃度が1〜25重量%程度となるようにするのが好ましい。
【0066】
プライマー層の厚みは、0.05〜1μmであることが好ましく、0.1〜0.4μmであることがより好ましい。
【0067】
プライマー層形成用塗工液を基材フィルム1に塗工する塗工手段44の例は、後述するポリビニルアルコール系樹脂層形成用の塗工手段48と同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0068】
(ポリビニルアルコール系樹脂溶液の塗工)
前処理の後、例えば、図1の(c)に示すように、巻出部34から供給される基材フィルム1の表面に、塗工手段48によりポリビニルアルコール系樹脂の溶液を塗工して塗工層2を形成する。ポリビニルアルコール系樹脂の溶液は、ポリビニルアルコール系樹脂の粉末を水等の水系溶媒に溶解させて得ることができる。
【0069】
ポリビニルアルコール系樹脂の例は、ポリビニルアルコール樹脂及びその誘導体である。ポリビニルアルコール樹脂の誘導体の例は、ポリビニルホルマール;ポリビニルアセタール;ポリビニルアルコール樹脂をエチレン、プロピレン等のオレフィン、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等の不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸のアルキルエステル、アクリルアミドなどで変性したものである。
【0070】
ポリビニルアルコール系樹脂の平均重合度は、100〜10000が好ましく、1000〜10000がより好ましい。特に、1500〜8000がより好ましく、さらには2000〜5000であることが最も好ましい。平均重合度は、JIS K 6726(1994)によって定められた方法によって求められる数値である。平均重合度が100未満では好ましい光学特性を得るのが困難である。10000超では水への溶解性が悪化して樹脂層の形成が困難になってしまう。
【0071】
ポリビニルアルコール系樹脂は、ケン化品であることが好ましい。ケン化度の範囲は、80.0〜100.0モル%であることが好ましく、90.0〜99.5モル%であることがより好ましく、93.0〜99.5モル%であることがさらに好ましい。例えば、ケン化度98.0〜99.5モル%のポリビニルアルコール系樹脂を用いることができる。ケン化度が80.0モル%未満では、好ましい光学特性を得ることが困難である。ケン化度とは、ポリビニルアルコール系樹脂の原料であるポリ酢酸ビニル系樹脂に含まれる酢酸基がケン化工程により水酸基に変化した割合をユニット比(モル%)で表したものであり、
ケン化度(モル%)=(水酸基の数)/(水酸基の数+酢酸基の数)×100
で定義される数値であり、JIS K 6726(1994)で規定されている方法で求めることができる。
【0072】
溶液中の固形分濃度は、5重量%以上が好ましく、5〜15重量%がより好ましく、5〜10重量%が更に好ましい。5重量%未満であると、水分が多くなり乾燥効率が悪くなる。15重量%超であると、粘度が高くなり取り扱いが困難となる傾向がある。
【0073】
塗工時の溶液の粘度は、500〜10000cpsが好ましく、1000〜7000cpsがより好ましく、1000〜5000cpsがさらに好ましい。粘度が500cps未満では、膜厚のコントロールが困難となる傾向があり、10000cps超であると送液が困難となる傾向がある。なお、溶液の粘度は、溶液の組成以外に、溶液の加温又は冷却をすることによりにより調節することもできる。
【0074】
水系溶媒の例は、水、メタノール等のアルコールである。
【0075】
溶液は必要に応じて、可塑剤、界面活性剤等の添加剤を含有していてもよい。可塑剤としては、ポリオール又はその縮合物などを用いることができ、例えばグリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなどが例示される。添加剤の配合量は、ポリビニルアルコール系樹脂の20重量%以下とするのが好適である。
【0076】
塗工手段48の例は、ワイヤーバーコーティング法、リバースコーティング、グラビアコーティング等のロールコーティング法;ダイコーティング法;カンマコーティング法;リップコーティング法;スピンコーティング法;ナイフコーティング法;スクリーンコーティング法;ファウンテンコーティング法;ディッピング法;スプレー法などの公知の方法から適宜選択することができる。ポリビニルアルコール系樹脂溶液の塗工工程では、基材フィルム1をその長手方向に搬送しながら溶液を連続的に塗工する。長手方向は必ずしも水平方向でなくてもよい。塗工は、基材フィルム1の上面に行うことが好ましい。
【0077】
塗工するポリビニルアルコール系樹脂の溶液の平均膜厚(WET膜厚)は、例えば、50〜200μmとすることができる。溶液の塗工幅は、基材フィルム1の全幅と一致させることができるが、基材フィルム1の全幅より狭くてもよい。
【0078】
図2(a)に示すように本発明においては、塗工層2の幅方向において両端部よりも中央部が厚くなるように、ポリビニルアルコール系樹脂溶液を塗工して、塗工層2を形成する。このような塗工方法としては、例えば、グラビアコーティング法においては、刃先形状が湾曲したドクターブレードを使用して、かきとる溶液の量を中央部において少なく、両端部において多くなるようにする方法;ダイコーティング法においては、フロントエッジとドクターエッジとの間に形成された塗工液を吐出するためのスリットと液溜め部との間隔が中央部において広く、両端部において狭くなるようにする方法;ナイフコーティング法においては、刃先形状が湾曲したナイフを使用して、基材フィルムと刃先との間隔が中央部において広く、両端部において狭くなるようにする方法;カンマコーティング法においては、バックアップロールの両端部に薄膜のフィルムを巻き付けて、カンマロールと基材フィルムとの間隔が中央部において広く、両端部において狭くなるようにする方法が挙げられる。
【0079】
塗工層2(乾燥してポリビニルアルコール系樹脂層を得る前の層)において、幅方向の中央で測定した膜厚が、塗工層の幅方向の縁から50mmの位置で測定した膜厚に比べ、2.5%以上厚く塗工することが好ましく、3.0%以上厚く塗工することが好ましい。通常5.0%程度厚く塗工すれば十分である。なお縁から50mmの位置で測定した膜厚は、2つの測定値の内、中央で測定した膜厚との差が大きい方の膜厚とする。
【0080】
このようにポリビニルアルコール系樹脂溶液を塗工して塗工層2を得て、該塗工層2を乾燥させることにより、上述の式(1−1)を満たすポリビニルアルコール系樹脂層3を形成することができる。
【0081】
(乾燥工程)
続いて、溶液が塗工された基材フィルム1をその長手方向に搬送しながら塗工された溶液を乾燥手段50により乾燥して、図3の(a)に示すように、基材フィルム1上にポリビニルアルコール系樹脂層3を有する本発明の積層フィルム10を得る。
【0082】
乾燥工程においては、基材フィルム1の搬送方向は水平方向であることが好ましいが、水平に対して45°程度であれば水平に対して傾斜する方向に搬送されてもよい。
【0083】
乾燥手段50の例は、熱風を基材フィルムの両面から供給して基材フィルム1を非接触で空中に支持しながら乾燥させるフローティング乾燥機、空中を搬送される基材フィルム1に赤外線を照射する赤外線乾燥機、マイクロウエーブ乾燥機である。
【0084】
乾燥温度、例えば、乾燥時の樹脂層の温度、又は、基材フィルム1に熱風を与える場合の熱風の温度は、例えば、50〜200℃とすることができ、60〜150℃とすることが好ましく、80℃以上であることがより好ましい。溶液が水を含む場合には、これらの温度を80℃以上とすることが好ましい。乾燥時間、すなわち、乾燥手段内を搬送フィルムが走行する時間は2〜20分とすることができる。また、乾燥工程では、基材フィルム1の上面に溶液が塗工されていることが好ましい。
【0085】
この乾燥工程により、図3の(a)に示すように、基材フィルム1の一方面上にポリビニルアルコール系樹脂層3を有する積層フィルム10が形成される。良好な偏光性能及び耐久性を付与できるという点で、乾燥後のポリビニルアルコール系樹脂層3の厚みの平均値は、通常20μm以下であり、好ましくは10μm以下である。またポリビニルアルコール系樹脂層3の厚みの平均値は、通常2μm以上である。
【0086】
また、上記の、必要に応じた基材フィルム1の表面の前処理、溶液の塗工、及び、乾燥工程を基材フィルムの反対面に再度行って、図3の(b)に示すように、基材フィルム1の両面にポリビニルアルコール系樹脂層3を有する積層フィルム10を形成してもよい。さらに、基材フィルム1の両面に前処理、及び溶液の塗工を行い、基材フィルム1の両面に設けられた塗工層を同時に乾燥させてもよい。
【0087】
なお、上記実施形態では、前処理、プライマー層形成、及び樹脂層の形成(塗工及び乾燥)の各工程を、それぞれバッチ式で行う方式、すなわち各工程後にフィルムのロールを得て、次工程でそのロールからフィルムを巻き出して処理する方式を示したが、これらの工程の内の任意の2以上の工程を連続的に、すなわちロールに巻き取ることなく2以上の工程を続けて行ってもよい。
【0088】
(延伸積層フィルムの製造方法)
次に得られた積層フィルム10(基材フィルム1の一方面のみにポリビニルアルコール系樹脂層3を有していてもよく、基材フィルム1の両面にポリビニルアルコール系樹脂層3を有していてもよい)をロールから巻きだして、延伸し、本発明の延伸積層フィルムを得る。なお延伸工程の前に染色工程をおこなってもよいし、延伸工程と染色工程を同時に行ってもよい。また延伸は空中でおこなってもよいし、水中で行ってもよい。延伸積層フィルムをロールに巻き取り、延伸積層フィルムロールを得ることが好ましい。延伸積層フィルムロールの保管期間は2年以内が好ましく、1年以内がより好ましい。延伸工程から次の工程までのロールの搬送時間も保管期間であると見なすと、通常、保管期間は30分間以上である。水分の移動によるカール、表面状態の悪化を防止するため延伸積層フィルムロールをアルミレトルトフィルムで覆うなどの防湿対策を講じて保管することが好ましい。
【0089】
このように各工程終了後、フィルムを一旦ロールにすることで、いずれかの工程でトラブルが生じたときや工程を立ち上げるときの損失が、各工程を連続に実施する場合に比べて小さくなる。延伸積層フィルムロール以外のロールの保管も、上記と同様であることができる。
【0090】
延伸には公知の種々の方法を使用できる。例えば、積層フィルム10の長手方向に延伸する縦延伸でもよく、積層フィルム10の幅方向に延伸する横延伸でもよく、斜め延伸でもよい。なかでも、積層フィルム10を、長手方向に搬送しながら縦延伸(一軸)延伸することが好ましい。延伸倍率は、要求される偏光特性に応じて適宜調節でき、例えば、5〜17倍とすることができ、5〜8倍とすることができる。
【0091】
延伸は、一段で行ってもよく、多段で行ってもよい。
【0092】
延伸工程では、ポリビニルアルコール系樹脂層の延伸に伴って基材フィルムも一体的に延伸されることが好ましい。すなわちポリビニルアルコール系樹脂層の延伸倍率と基材フィルムの延伸倍率とは実質的に同じであることが好ましい。延伸倍率が実質的に同じであるとは、ポリビニルアルコール系樹脂層の延伸倍率と基材フィルムの延伸倍率との差の大きさが0であることをいい、差の大きさは0.0であることが好ましい。また、ポリビニルアルコール系樹脂層の延伸方向と基材フィルムの延伸方向とは実質的に同じであることが好ましい。延伸方向が実質的に同じであるとは、ポリビニルアルコール系樹脂層の延伸方向と基材フィルムの延伸方向とのなす角度の大きさが5°未満であることをいい、なす角度の大きさは1°未満であることが好ましい。
【0093】
延伸されたポリビニルアルコール系樹脂層の幅方向の厚みの平均値は、10μm以下であることが好ましく、7μm以下であることがより好ましく、5.5μm以下であることがさらに好ましい。また良好な耐久性を付与できるという点で、延伸されたポリビニルアルコール系樹脂層の幅方向の厚みの平均値は、通常1μm以上であり、好ましくは2μm以上である。
【0094】
(偏光性積層フィルムの製造方法)
染色工程には染色槽に積層フィルム又は延伸積層フィルムを浸漬させるなどの公知の種々の方法を利用できる。例えば、染料として二色性色素を使用できる。二色性色素の例は、ヨウ素や有機染料である。染色において、樹脂槽におけるポリビニルアルコールの架橋処理を行ってもよい。染色後には、積層フィルムを、水洗し、乾燥することが好ましい。
【0095】
偏光子層の厚みの平均値は10μm以下であることが好ましく、7μm以下であることがより好ましく、5.5μm以下であることがさらに好ましい。また、通常偏光子層の厚みの平均値は1μm以上であり、好ましくは2μm以上である。
【0096】
(偏光板の製造方法)
続いて、偏光板の製造方法を説明する。まず、偏光性積層フィルム12の偏光子層5上に接着剤を介して保護フィルムを貼りつけて、多層フィルムを得る。偏光子層5が基材フィルム1の両面に設けられている場合には、保護フィルムを各偏光子層5の上に貼りつける。続いて、多層フィルムから基材フィルム1を剥離し、保護フィルムが接着剤を介して偏光子層5と貼り合わされた2枚の偏光板を得る。偏光性積層フィルム12が、片面のみに偏光子層5を有す得る場合には、1枚の偏光板が得られる。
【0097】
本発明においては、偏光性積層フィルムの幅方向両端部の弛みやシワが抑制されているので、保護フィルムを偏光子層に貼合するときに、歩留まりが少なく安定的に偏光板を製造することができる。
【0098】
保護フィルム3としては、公知の種々のフィルムを使用できる。例えば、基材フィルム1として例示したフィルムを使用できる。
【0099】
接着剤としては、公知の種々の接着剤を使用できる。例えば、紫外線硬化型エポキシ樹脂等の活性エネルギー線硬化型接着剤などを使用できる。
【0100】
得られた偏光板は、必要に応じて、軸に巻き付けて偏光板ロールとして保管できる。本実施形態に係る偏光板は、偏光子層5の幅方向の幅方向端部の厚みが偏光子層5の幅方向中央部の厚みに比べてあまり厚くならないので、偏光板をロールとして保管する時にも、前述と同様の弛み防止の効果を発揮することができる。保管後のロールから必要に応じて偏光板を巻きだして、所望の大きさにカットすることができる。得られた偏光板は、薄型化が可能であり、液晶表示素子等の偏光材料として好適に使用でき、液晶表示装置に組み込むことができる。
【実施例】
【0101】
以下、実施例をあげて本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。例中、使用量ないし含有量を表す部及び%は、特に断りのない限り重量基準である。
【0102】
〔塗工層の膜厚測定〕
株式会社キーエンス製の膜厚測定機(SI−80T)により、塗工層の幅方向の縁から50mmの位置と中央の位置とで塗工層の膜厚を測定した。インライン中で、MD方向に7mm間隔で塗工層の膜厚の測定をし、10m分の膜厚データを平均した。
【0103】
〔その他の膜厚測定〕
フィルメトリクス社製の干渉膜厚計(F20)により、幅方向の全幅にわたって膜厚の測定をした。膜厚データの取得間隔が2mm以下となるように、自動ステージによりサンプルを動かしながら測定をした。
【0104】
[実施例1]
<積層フィルムの作製>
(1)基材フィルム
基材フィルムとして厚み90μmの未延伸のポリプロピレン(PP)フィルム(融点:163℃)を用意した。この基材フィルムの80℃での引っ張り弾性率は205Mpaであった。
【0105】
(2)塗工液の調製
ポリビニルアルコール樹脂粉末(日本合成化学工業株式会社製「Z−200」、平均重合度1100、平均ケン化度99.5モル%)を95℃の熱水に溶解し、濃度3重量%のポリビニルアルコール水溶液を調製した。得られた水溶液に架橋剤(住友化学株式会社製「スミレーズレジン(登録商標)650」)をポリビニルアルコール樹脂粉末2重量部に対して1重量部混合してプライマー層形成用塗工液を得た。
【0106】
またポリビニルアルコール樹脂粉末(株式会社クラレ製「PVA124」、平均重合度2400、平均ケン化度98.0〜99.0モル%)を95℃の熱水に溶解し、濃度8重量%のポリビニルアルコール水溶液である樹脂層形成用塗工液を調製した。
【0107】
(3)塗布、乾燥
・片面積層品
基材フィルムを連続的に搬送しながら、その片面にコロナ処理を施した。基材フィルムのコロナ処理された面にマイクログラビアコーターにより上記プライマー層形成用塗工液を連続的に塗工し、60℃で3分間乾燥させることにより、厚みが0.2μmのプライマー層を形成した。引き続き、基材フィルムを搬送しながら、カンマコーティング法によりプライマー層上に上記樹脂層形成用塗工液を連続的に塗工して塗工層を得た。バックアップロールの両端部に厚さ20μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを巻き付けることにより、カンマロールと基材フィルムとの間隔が中央部において広く、両端部において狭くなるようにした。塗工層を乾燥炉において80℃で10分間乾燥させることにより、プライマー層上に幅方向の平均厚みが9.7μmであるポリビニルアルコール(PVA)系樹脂層を形成した。
【0108】
このとき塗工層の幅方向の厚み分布(WET膜厚)において、中央は両端部(縁から50mmの位置)よりも約3.5%厚かった。また樹脂層の幅方向の膜厚分布においてD1e−D1c=−0.54μmであった。
【0109】
・両面積層品
さらに基材フィルムにおける上記樹脂層を形成した面(第一塗工面)とは反対側の面(第二塗工面)に対して、上記片面積層品を製造したのと同様の処理を施して、厚みが0.2μmのプライマー層及び幅方向の平均厚みが9.6μmのポリビニルアルコール系樹脂層を形成し、両面積層品を作製した。そして積層フィルム(両面積層品)をロール状に巻き取り、積層フィルムロールを得た。
【0110】
このとき第二塗工面上の塗工層の幅方向の厚み分布(WET膜厚)において、中央部は両端部(縁から50mmの位置)よりも約3.0%厚かった。また樹脂層の幅方向の膜厚分布においてD1e−D1c=−0.40μmであった。
【0111】
<延伸積層フィルムの作製>
(4)延伸
上記(3)で得られた積層フィルムロールから積層フィルム(両面積層品)を巻き出して連続的に搬送しながら、ニップロール間において、延伸温度140℃のもと2.5倍まで縦方向(MD方向)に延伸し、ついで延伸温度160℃のもと縦方向に総延伸倍率が5.8倍となるように延伸し、延伸積層フィルムを作製した。さらに延伸積層フィルムをロール状に巻き取り、延伸積層フィルムロールを得た。積層フィルムの巻き出し時には、積層フィルムの幅方向両端部にシワや弛みは確認されず、幅方向中央部に弛みが確認された。しかしながら延伸積層フィルムでは幅方向の端部・中央部ともにシワや弛みは確認されなかった。
【0112】
延伸積層フィルムにおける第一塗工面上及び第二塗工面上の樹脂層の幅方向の平均厚みは、それぞれ4.9μm及び4.9μmであった。このとき第一塗工面上及び第二塗工面上の延伸されたポリビニルアルコール系樹脂層の幅方向の膜厚分布において、それぞれD2e−D2c=0.07μm及び0.11μmであった。延伸積層フィルムが備える2つの樹脂層を剥離し基材フィルムを取り出したところ、基材フィルムの幅方向の膜厚分布において、D3e−D3c=0.73μmであった。延伸積層フィルムの幅方向における総厚みの膜厚分布において、D4e−D4c=1.48μmであった。
【0113】
<偏光性積層フィルムの作製>
(5)染色・架橋
上記(4)で得られた延伸積層フィルムロールから延伸積層フィルムを巻き出し、ヨウ素とヨウ化カリウムとを含む30℃の染色溶液に滞留時間が150秒間程度となるように延伸積層フィルムを浸漬して樹脂層を染色処理し、次いで10℃の純水で余分な染色溶液を洗い流した。引き続き延伸積層フィルムを、ホウ酸とヨウ化カリウムとを含む76℃の架橋溶液に滞留時間が600秒間となるように浸漬して、架橋処理をおこない、偏光性積層フィルムを得た。その後、偏光性積層フィルムを10℃の純水で4秒間洗浄し、80℃で300秒間乾燥させた。さらに偏光性積層フィルムを巻き取り、偏光性積層フィルムロールを作製した。なお延伸積層フィルムの巻き出し時に、シワや弛みは両端部にも中央部にも確認されなかった。
【0114】
偏光性積層フィルムにおける第一塗工面上及び第二塗工面上の偏光子層の幅方向の平均厚みは、それぞれ5.8μm及び5.8μmであった。このとき第一塗工面上及び第二塗工面上の偏光子層の幅方向の膜厚分布において、それぞれD5e−D5c=−0.12μm及び−0.09μmであった。偏光性積層フィルムが備える2つの偏光子層を剥離し基材フィルムを取り出したところ、基材フィルムの幅方向の膜厚分布において、D6e−D6c=0.91μmであった。偏光性積層フィルムの幅方向における総厚みの膜厚分布において、D7e−D7c=1.21μmであった。
【0115】
第二塗工面側の偏光子層を剥離して取り除き、基材/第一塗工面側の偏光子層の2層からなる偏光性積層フィルムを作製した。かかる偏光性積層フィルムの両端部と中央部とをそれぞれ切り出しサンプルとした。
【0116】
積分球付き分光光度計(日本分光株式会社製、V7100)により、第一塗工面側の偏光子層を有するサンプルの視感度補正単体透過率Tyを測定した。入射光は、偏光子層側から入射させた。第一塗工面側の偏光子層において両端部のTyの内、中央部の視感度補正単体透過率Tycに比べて差が大きい方の視感度補正単体透過率Tyeは42.51%であり、このとき偏光度Pyは99.983%であった。中央部のTycは42.34%であり、偏光度Pyは99.978%であった。
【0117】
また取り除いた第二塗工面側の偏光子層に対しても同様にTyを測定した。第二塗工面側の偏光子層において両端部のTyの内、中央部の視感度補正単体透過率Tycに比べて差が大きい方の視感度補正単体透過率Tyeは42.59%であり、このとき偏光度Pyは99.980%であった。中央部のTycは42.52%であり、偏光度Pyは99.981%であった。
【0118】
したがって|Tye−Tyc|の値は、第一塗工面側の偏光子層において0.17%であり、第二塗工面側の偏光子層において0.07%であった。
【0119】
<偏光板の作製>
(6)接着剤溶液の調整
ポリビニルアルコール樹脂粉末(株式会社クラレ製「KL−318」、平均重合度1800)を95℃の熱水に溶解し、濃度3重量%のポリビニルアルコール水溶液を調製した。得られた水溶液に架橋剤(住友化学株式会社製「スミレーズレジン(登録商標)650」)をポリビニルアルコール樹脂粉末2重量部に対して1重量部混合し、接着剤溶液を作製した。
【0120】
上記(5)で得られた偏光性積層フィルムロールから偏光性積層フィルムを巻き出し、両方の偏光子層上に上記接着剤溶液を塗工した後、貼合面にケン化処理を施した保護フィルム〔トリアセチルセルロース(TAC)からなる透明保護フィルム(コニカミノルタ株式会社製「KC4UY」)、厚み40μm〕をそれぞれの偏光子層に貼合した。一対の貼合ロール間の通過を経て偏光子層とTACフィルムとを圧着し、TACフィルム/偏光子層/プライマー層/基材フィルム/プライマー層/偏光子層/TACフィルムをこの順に有する貼合フィルムを得た。偏光性積層フィルムの巻き出し時に、シワや弛みは両端部・中央部においてともに確認されなかった。
【0121】
貼合フィルムにおける基材フィルムとプライマー層間で剥離し、TACフィルム/偏光子層/プライマー層/基材フィルムをこの順に有するフィルム及びプライマー層/偏光子層/TACフィルムをこの順に有するフィルムの2つのフィルムに貼合フィルムを分割した。次いで、基材フィルムを剥離して取り除き、TACフィルム/偏光子層/プライマー層をこの順に有する偏光板を得た。前記剥離工程でフィルムの破断などの不具合は生じなかった。
【0122】
[実施例2]
実施例1において、基材フィルムを厚さ38μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムに変えたこと、及び基材フィルム上にプライマー層を形成しなかったこと以外は同様にして片面積層品を作製した。ポリビニルアルコール系樹脂層の幅方向の平均厚みは9.5μmであった。このとき塗工層の幅方向の厚み分布(WET膜厚)において、中央部は両端部(縁から50mmの位置)よりも約3.3%厚かった。また樹脂層の幅方向の膜厚分布においてD1e−D1c=−0.32μmであった。
【0123】
積層フィルムを巻き取って積層フィルムロールを得て、その後積層フィルムロールから積層フィルムを巻き出した。このとき積層フィルムの幅方向両端部にシワや弛みは確認されず、幅方向中央部に弛みが確認された。
【0124】
[比較例1]
・片面積層品
実施例1において、特に塗工層の膜厚分布(WET膜厚)の制御を実施しなかったこと以外は同様にして片面積層品を作製した。このとき、塗工層の膜厚は幅方向でほぼフラットになった。ポリビニルアルコール系樹脂層の幅方向の平均厚みは9.7μmであった。このとき樹脂層の幅方向の膜厚分布においてD1e−D1c=0.68μmであった。
【0125】
・両面積層品
さらに基材フィルムにおける上記樹脂層を形成した面(第一塗工面)とは反対側の面(第二塗工面)に対して、特に塗工層の膜厚分布(WET膜厚)の制御を実施しなかったこと以外は実施例1と同様にして樹脂層を形成し、積層フィルム(両面積層品)を製造した。そして積層フィルムを巻き取り、積層フィルムロールを得た。このとき第二塗工面上の ポリビニルアルコール系樹脂層の幅方向の平均厚みは9.8μmであった。また樹脂層の幅方向の膜厚分布においてD1e−D1c=0.64μmであった。
【0126】
実施例1と同様にして、積層フィルムを延伸し延伸積層フィルムを製造した。さらに延伸積層フィルムを巻き取り、延伸積層フィルムロールを得た。なお積層フィルムの巻き出し時に、積層フィルムの両端部のみに弛みが確認された。
【0127】
延伸積層フィルムにおける第一塗工面上及び第二塗工面上の樹脂層の幅方向の平均厚みは、それぞれ4.8μm及び4.8μmであった。このとき第一塗工面上及び第二塗工面上の樹脂層の幅方向の膜厚分布において、それぞれD2e−D2c=0.28μm及び0.37μmであった。延伸積層フィルムが備える2つの樹脂層を剥離し基材フィルムを取り出したところ、基材フィルムの幅方向の膜厚分布において、D3e−D3c=1.47μmであった。延伸積層フィルムの幅方向における総厚みの膜厚分布において、D4e−D4c=2.28μmであった。
【0128】
続いて実施例1において延伸積層フィルムの染色溶液への滞留時間を170秒間程度としたこと以外は同様にして、延伸積層フィルムロールから延伸積層フィルムを巻き出し、染色工程及び架橋工程を実施して偏光性積層フィルムを製造した。そして偏光性積層フィルムを巻き取り、偏光性積層フィルムロールを得た。なお延伸積層フィルムの巻き出し時に、延伸積層フィルムの両端部のみに弛みが確認された。偏光性積層フィルムにおける第一塗工面上及び第二塗工面上の偏光子層の幅方向の平均厚みは、それぞれ5.9μm及び5.9μmであった。
【0129】
このとき第一塗工面上及び第二塗工面上の偏光子層の幅方向の膜厚分布において、それぞれD5e−D5c=0.27μm及び0.28μmであった。偏光性延伸積層フィルムが備える2つの偏光子層を剥離し基材フィルムを取り出したところ、基材フィルムの幅方向の膜厚分布において、D6e−D6c=1.3μmであった。偏光性積層フィルムの幅方向における総厚みの膜厚分布において、D7e−D7c=2.11μmであった。
【0130】
第二塗工面側の偏光子層を剥離して取り除き、基材/第一塗工面側の偏光子層の2層からなる偏光性積層フィルムを作製した。かかる偏光性積層フィルムの両端部と中央部とをそれぞれ切り出しサンプルとした。
【0131】
実施例1と同様にして、第一塗工面側の偏光子層を有するサンプルのTyを測定した。第一塗工面側の偏光子層において両端部のTyの内、中央部のTycに比べて差が大きい方のTyeは41.52%であり、このとき偏光度Pyは99.997%であった。中央部のTycは41.10%であり、偏光度Pyは99.998%であった。
【0132】
また取り除いた第二塗工面側の偏光子層に対しても実施例1と同様にTyを測定した。第二塗工面側の偏光子層において両端部のTyの内、中央部のTycに比べて差が大きい方のTyeは41.42%であり、このとき偏光度Pyは99.998%であった。中央部のTycは40.94%であり、偏光度Pyは99.998%であった。
【0133】
したがって|Tye−Tyc|の値は、第一塗工面側の偏光子層において0.42%であり、第二塗工面側の偏光子層において0.48%であった。
【0134】
偏光性積層フィルムロールから偏光性積層フィルムを巻き出したところ、幅方向両端部に弛みが確認された。偏光性積層フィルムにおける2つの偏光子層上に接着剤溶液を塗布し、保護フィルムを貼合しようとしたが、弛み部分がシワとなり保護フィルムの貼合ができなかった。
【0135】
実施例1及び2並びに比較例1の結果を表1〜3に示す。なお表中の数値の単位は、特に断りのない限りμmである。このとおり、本発明においては延伸工程及び染色工程で幅方向の両端部に弛みが抑制されており、安定的に偏光板が製造でき、かつ幅方向で光学特性が均一である。
【0136】
【表1】
【0137】
【表2】
【0138】
【表3】
【産業上の利用可能性】
【0139】
本発明によれば、長尺状の積層フィルムにおける幅方向の両端部にシワや弛みが生じにくく、製品にならない部分の面積を減少させることができる。また幅方向で光学特性が均一な偏光板を得ることができる。さらに保護フィルムを偏光性積層フィルムに容易に貼合することができ、安定的に偏光板を製造することができる。
【符号の説明】
【0140】
1 基材フィルム、2 塗工層、3 ポリビニルアルコール系樹脂層、4 延伸されたポリビニルアルコール系樹脂層、5 偏光子層、9 塗工層を有する基材フィルム、10 積層フィルム、11 延伸積層フィルム、12 偏光性積層フィルム、30、32、34 巻出部、42 表面活性化手段、44 塗工手段、46 乾燥手段、48 塗工手段、50 乾燥手段、52 駆動ロール、31、33、35 巻取部、100 最外の領域、101 中央の領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7