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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-222471(P2016-222471A)
(43)【公開日】2016年12月28日
(54)【発明の名称】単結晶の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C30B 29/30 20060101AFI20161205BHJP
   C30B 15/10 20060101ALI20161205BHJP
【FI】
   C30B29/30 B
   C30B29/30 A
   C30B15/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2015-107971(P2015-107971)
(22)【出願日】2015年5月27日
(71)【出願人】
【識別番号】000183303
【氏名又は名称】住友金属鉱山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】▲榊▼ 昭光
【テーマコード(参考)】
4G077
【Fターム(参考)】
4G077AA02
4G077BC32
4G077BC37
4G077CF10
4G077EG01
4G077HA12
4G077PD12
4G077PD16
(57)【要約】      (修正有)
【課題】チョクラルスキー法によるタンタル酸リチウム単結晶、ニオブ酸リチウム単結晶の製造において、繰り返し使用することで坩堝に変形が生じた場合でも、高品質の単結晶を再現性良く低コストで製造できる単結晶製造方法の提供。
【解決手段】変形が生じた坩堝41に単結晶用原料を充填し、単結晶育成炉内に設置する際に、坩堝41を設置する台43と坩堝41の底面412との間に、坩堝41と対向する面が水平面に対して角度を有するブロック状の耐火物421を配置して坩堝41の傾きを修正する単結晶の製造方法。複数個のブロック422A、422Bを並べて、或いは、複数個のブロック423A、423Bを重ねて配置することも可能である。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
チョクラルスキー法による単結晶の製造方法において、
単結晶用原料を充填した坩堝を単結晶育成炉内に設置する際に、
前記坩堝を設置する台と、前記坩堝の底面との間に、前記坩堝と対向する面が水平面に対して角度を有するブロック状の耐火物を配置する単結晶の製造方法。
【請求項2】
前記坩堝を設置する台と、前記坩堝の底面との間に、前記坩堝と対向する面が水平面に対して角度を有するブロック状の耐火物を複数個配置する請求項1に記載の単結晶の製造方法。
【請求項3】
酸化物単結晶を製造する請求項1または2に記載の単結晶の製造方法。
【請求項4】
前記酸化物単結晶がタンタル酸リチウム単結晶、またはニオブ酸リチウム単結晶である請求項3に記載の単結晶の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、単結晶の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、半導体等の各種用途において単結晶や、単結晶を加工して作製したウエハーが用いられている。
【0003】
単結晶の育成方法としては育成する結晶の種類等に応じて各種方法が用いられているが、例えばシリコン単結晶や、酸化物単結晶等を育成する場合に、チョクラルスキー法(以下、CZ法とも記載する)が広く用いられている。
【0004】
CZ法ではまず、単結晶育成炉内に単結晶用原料を充填した坩堝を配置し、加熱することで単結晶用原料を融解し、原料融液を形成する。そして、坩堝内の原料融液に種結晶を接触させ、種結晶を回転させながら引き上げることで種結晶と同一方位の単結晶を得ることができる。CZ法を行う際に用いる坩堝の材質は単結晶用原料の融点や、単結晶育成炉内の雰囲気等に応じて選定できる。例えばタンタル酸リチウム単結晶を育成する場合には貴金属のイリジウムが用いられている。
【0005】
CZ法により単結晶を育成する際に用いる坩堝は、使用回数を重ねると変形が進む。そして、坩堝の変形、特に横方向の変形が進むと対流の乱れや温度分布の不均一さが顕著になり、収率が低下するという問題があった。このため、こうした坩堝の変形に対しては種々の対策が従来から検討されてきた。
【0006】
例えば特許文献1には、側面の板厚と底面の板厚をそれぞれt及びt’とした場合、t>t’であることを特徴とするイリジウムルツボが開示されている。特許文献1に開示されたイリジウムルツボによれば、ルツボ底面側の板厚を側面方向よりも薄くして板厚の薄い底面側に変形を逃すようなルツボ構造となっているので、ルツボが横方向に変形し難くしている。
【0007】
また、特許文献2には、底部と、底部の周縁から立ち上がるとともに当該底部より遠い側から当該底部に近づく側に向けて肉厚が連続的に増加する壁部とを有するサファイア単結晶製造用るつぼが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2012−250874号公報
【特許文献2】特開2010−173929号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1に開示されたイリジウムルツボの場合、横方向の変形は抑制されるものの、底面側に変形を逃がすため、底面の変形によりイリジウムルツボが設置当初と比較して、引上方向からの傾きが生じる。このため、引上軸中心からの坩堝の位置のズレによる温度分布の変化が生じ、多結晶化、熱歪みによるクラック発生、ねじれ、転位列の導入による結晶性の低下などにより、高品質単結晶を育成することが困難であった。
【0010】
また、特許文献2に記載されたサファイア単結晶製造用るつぼの場合、該るつぼに使用する貴金属等の材料の重量が増すため、るつぼ作製に要するコストが増加するため、実用に適していなかった。
【0011】
そこで、本発明の一側面では上記従来技術が有する問題に鑑み、繰り返し使用することで坩堝に変形が生じた場合でも、高品質の単結晶を再現性良く低コストで製造できる単結晶の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため本発明の一態様によれば、チョクラルスキー法による単結晶の製造方法において、
単結晶用原料を充填した坩堝を単結晶育成炉内に設置する際に、
前記坩堝を設置する台と、前記坩堝の底面との間に、前記坩堝と対向する面が水平面に対して角度を有するブロック状の耐火物を配置する単結晶の製造方法を提供することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の一態様によれば、繰り返し使用することで坩堝に変形が生じた場合でも、高品質の単結晶を再現性良く低コストで製造できる単結晶の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態の単結晶の製造方法において好適に用いることができる単結晶育成炉の構成例の説明図。
図2】従来の単結晶育成炉内での坩堝の設置状態を示す説明図。
図3】本発明の実施形態におけるブロック状の耐火物の説明図。
図4】本発明の実施形態において、ブロック状の耐火物を用いた場合の、単結晶育成炉内での坩堝の設置状態を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明するが、本発明は、下記の実施形態に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、下記の実施形態に種々の変形および置換を加えることができる。
【0016】
本実施形態の単結晶の製造方法の一構成例について以下に説明する。
【0017】
本実施形態の単結晶の製造方法は、チョクラルスキー法による単結晶の製造方法に関する。
そして、単結晶用原料を充填した坩堝を単結晶育成炉内に設置する際に、坩堝を設置する台と、坩堝の底面との間に、坩堝と対向する面が水平面に対して角度を有するブロック状の耐火物を配置することができる。
【0018】
ここでまず、図1を用いてCZ法において好適に用いることができる単結晶育成炉の構成例、及び単結晶の育成方法の概要を説明する。
【0019】
図1に示した単結晶育成炉10は単結晶育成炉10内に坩堝11を配置した際の坩堝11の中心軸を通る断面における断面図を模式的に示したものである。
【0020】
単結晶育成炉10は、外壁を構成するチャンバー12を有しており、チャンバー12の内壁に沿って断熱材131、断熱材132を配置できる。なお、断熱材132は図1に示すように坩堝11とチャンバー12との間に配置することができる。
【0021】
坩堝11は、坩堝11内に単結晶用原料を充填後、坩堝11を設置するための台となる平板状の耐火物14上に配置することができる。図1では、平板状の耐火物14を3枚の板状体から構成した例を示しているが、係る形態に限定されるものではない。平板状の耐火物14は、1枚の板状体から構成しても良く、2枚以上の任意の枚数の板状体により構成しても良い。
【0022】
そして、図示しない加熱手段により坩堝11を加熱し、単結晶用原料を融解させて原料融液111を形成できる。
【0023】
なお、坩堝11を加熱する方法は特に限定されるものではなく、例えば抵抗加熱方式や、高周波誘導加熱方式を用いることができる。抵抗加熱方式により加熱する場合には、ヒーターを坩堝11の周囲に設けることができ、高周波誘導加熱方式により加熱する場合には、高周波誘導コイルを坩堝11の周囲に設けることができる。
【0024】
原料融液111を形成後は、引上げ軸15の先端に取付けておいた種結晶16を原料融液111に接触させるシーディングを実施できる。そして、引上げ軸15により、種結晶16を回転させながら、徐々に引き上げることで単結晶17を育成することができる。
【0025】
育成した単結晶17を原料融液111から引き上げる際、または引き上げた後、育成した単結晶17を温度勾配の大きな環境下に置くと、育成した単結晶17にクラック等を生じる恐れがある。このため、坩堝11の上方にアフターヒーター18を配置し、適切な温度勾配を形成できるように構成することもできる。
【0026】
なお、単結晶育成炉10には上記した以外にも必要に応じて各種手段を設けることができる。例えば、原料融液111や、単結晶育成炉内の温度を検出するための温度検出手段を設けることができる。また、チャンバー12内の雰囲気を制御するための気体供給手段、排気手段、チャンバー12内の様子を目視やカメラにより観察するための観察窓等を設けることができる。
【0027】
ところで既述のように、単結晶育成を繰り返し実施し、坩堝11を繰り返し使用した場合に、坩堝11に変形が生じる場合があった。そして、上述の様に坩堝11は、単結晶を育成する際に平板状の耐火物14上に配置することができるが、平板状の耐火物14上に変形した坩堝11を配置すると、坩堝11が引上方向からの傾きを生じる場合があった。
【0028】
図2を用いて、坩堝に変形が生じる前後での平板状の耐火物14上に設置した際の状態の変化について説明する。図2は、坩堝の中心軸を通る面での断面図を模式的に示したものであり、坩堝と、平板状の耐火物以外については記載を省略している。
【0029】
図2(a)は変形する前の円筒形状の坩堝21を平板状の耐火物14上に配置した例を示している。
【0030】
図2(a)に示すように、例えば円筒形状の坩堝21を用いると、坩堝21の底面211は平坦面となっている。このため、坩堝21の底面211と対向する面が水平な平坦面となっている平板状の耐火物14上に坩堝21を載置した場合、坩堝21は底面211が水平になるように載置できる。また、坩堝21の中心軸と引上げ軸Aとを容易に一致させることができ、坩堝21は引上げ軸Aから傾きを生じない状態とすることができる。さらには坩堝21の最大径方向、例えば図2(a)に示した坩堝21の上端部における直径方向を示す点線213を水平にすることができる。
【0031】
ところが、坩堝を繰り返し単結晶の育成に用いると、例えば図2(b)に示した坩堝22のように底面221は中心部が外周部よりも低くなり下に凸の形状となる。また、側面222についても変形し、例えば図2(b)に示すように底面側から上端部側に向かって拡がった形状となる。なお、側面の変形の態様としては図2(b)に示した例に限らず、例えば結晶引上後にるつぼ内に残った原料が固化することで、さらに側面の途中に膨らみが生じ、全体的にいびつな形状となる場合もある。このため、坩堝22と対向する面が水平な平坦面となっている平板状の耐火物14上に該変形した坩堝22を載置すると、坩堝22は引上げ軸Aから傾いた状態となる。
【0032】
図2(b)に示した状態では、坩堝22の中心軸と引上げ軸Aとが大きくずれている。さらには坩堝22の最大径方向、すなわち図2(b)に示した坩堝22の場合、坩堝22の上端部における直径方向を示す点線223が、水平面Bから傾き、水平面Bとの間の角度がa度となっている。
【0033】
図2(b)に示したように繰り返し単結晶の育成を行うことで変形した坩堝22を用いた場合、従来は単結晶育成炉内で坩堝22は、引上げ軸Aに対して傾いた状態で設置される。このため、原料融液の対流の乱れや、温度分布の不均一さが顕著になり、多結晶化、熱歪みによるクラック発生、ねじれ、転位列の導入による結晶性の低下などにより、高品質単結晶を育成することが困難となり、また育成する単結晶の収率低下の原因となっていた。
【0034】
そこで、本発明の発明者らは、繰り返し使用することで変形が進んだ坩堝であっても、高品質の単結晶を再現性良く低コストで製造できる単結晶の製造方法について鋭意検討を行った。そして、単結晶用原料を充填した坩堝を設置する際に、坩堝を設置する台と、坩堝の底面との間に、坩堝と対向する面が水平面に対して角度を有するブロック状の耐火物(以下、「ブロック状の耐火物」とも記載する)を配置することで坩堝の傾きを修正できることを見出した。このように単結晶育成炉内に設置した坩堝の傾きを修正することで、繰り返し使用することで坩堝に変形が生じた場合でも、高品質の単結晶を再現性良く低コストで製造できる。
【0035】
ここで、図3(a)、図3(b)を用いて、本実施形態の単結晶の製造方法において、好適に用いることができるブロック状の耐火物の一構成例について説明する。なお、図3(a)、図3(b)はブロック状の耐火物の底面と垂直な1つの面における断面図を模式的に示したものである。
【0036】
本実施形態の単結晶の製造方法においては、例えば図3(a)に示したブロック状の耐火物30を好適に用いることができる。図3(a)に示したブロック状の耐火物30は、底面31を水平面Bと平行になるように載置した場合に、底面31と反対側の面であって、単結晶育成炉内で坩堝の底面と対向する面32が水平面Bに対して角度321を有している。
【0037】
ブロック状の耐火物30の角度321の大きさは特に限定されるものではなく、単結晶を育成する際に用いる坩堝の形状、変形の程度等に応じて任意に選択することができる。
【0038】
しかしながら、ブロック状の耐火物の坩堝の底面と対向する面の水平面からの角度が小さすぎると、ブロック状の耐火物による坩堝の傾きを修正する効果が十分ではない場合がある。また、後述のようにブロック状の耐火物は高さ方向に複数個積み重ねて、坩堝と対向する面の、水平面からの角度を調整することもできるが、角度を調整するために多くのブロック状の耐火物を積み重ねる必要が生じ、安定性を欠く恐れがある。このため、角度321は0.5°以上とすることが好ましい。
【0039】
また、ブロック状の耐火物において坩堝の底面と対向する面の水平面からの角度が大きすぎると使用できる場合が限られ、汎用性を欠く場合がある。このため、例えば角度321は5°以下とすることが好ましい。
【0040】
なお、図3(a)では底面と垂直な面における断面が台形形状となっている例を示したが、本実施形態のブロック状の耐火物30の形状は係る形態に限定されるものではない。既述のように、本実施形態の単結晶の製造方法において用いるブロック状の耐火物は、坩堝の底面と対向する面が水平面に対して角度を有していればよい。このため、例えば、図3(b)に示したブロック状の耐火物30´のように底面31´と垂直な1つの面における断面が、三角形形状を有する形態であっても良い。図3(b)に示したブロック状の耐火物30´は、底面31´と反対側の面であって、単結晶育成炉内で坩堝の底面と対向する面32´が、水平面に対して角度321´を有している。
【0041】
ブロック状の耐火物の材料は特に限定されるものではなく、単結晶を育成する際の原料融液の温度や、ヒーターの温度等に応じて任意に選択することができる。ブロック状の耐火物の材料としては、例えばアルミナ(酸化アルミニウム)や、ジルコニア(酸化ジルコニウム)、マグネシア、ムライト、炭化ケイ素、カーボン等から選択された1種類以上の材料を用いることができる。
【0042】
次に、図4を用いて単結晶用原料を充填した坩堝を単結晶育成炉内に設置する際に、上述のブロック状の耐火物を配置した例について以下に説明する。図4(a)〜図4(c)はいずれも坩堝の中心軸を通る面における断面図を模式的に示している。また、図4(a)〜図4(c)はいずれも繰り返し使用することで変形した坩堝を用いた例を示している。
【0043】
既述のように、単結晶育成を繰り返し実施し、坩堝を繰り返し使用した場合、例えば坩堝の底面は中心部が外周部よりも低くなり下に凸の形状となる。また、側面についても変形し、例えば上端部側に向かって拡がった形状となる。なお、図4(a)〜図4(c)に示した場合よりも坩堝41がさらに変形し、例えば側面の途中に膨らみが生じ、全体的にいびつな形状となる場合もある。
【0044】
そこで、図4(a)に示したように、坩堝41を設置する台である平板状の耐火物43と、坩堝41の底面412との間にブロック状の耐火物421を配置することができる。
【0045】
ブロック状の耐火物421は既述のように、坩堝41と対向する面が水平面に対して角度を有することから、坩堝41の底面412が平坦ではない場合であっても、坩堝41の引上げ軸方向からの傾きを抑制できる。
【0046】
坩堝41の底面412と、平板状の耐火物43との間にブロック状の耐火物421を配置する際に、その位置等については特に限定されるものではなく、坩堝41が引上げ軸Aから傾かないように配置することが好ましい。すなわち、経時変化がもたらす坩堝の変形による結晶引上げ軸からのズレを補正するように配置することが好ましい。
【0047】
具体的には、坩堝41の中心軸と、引上げ軸Aとが平行になるように配置することが好ましい。ただし、坩堝41を設置する際に、坩堝の中心軸の位置を把握することは困難であるから、坩堝41の直径方向、すなわち図4(a)の場合上端面413が水平となるように、ブロック状の耐火物421を配置することが好ましい。具体的には、例えば単結晶用原料を充填した坩堝41の上端面413に平行に水準器を配置しておき、水準器が示す水平方向からの傾きが0°となるようにブロック状の耐火物421を配置することが好ましい。坩堝41の側面は、水平面内で略対称な形状に変形することから、坩堝41の上端面が水平となるように坩堝41を配置することで、坩堝の中心軸と、引上げ軸Aとを平行にすることができる。特に、坩堝41の側面と図示していないヒーターとの間の距離を均等にすることにより、坩堝41の中心軸と引上げ軸Aとが重なるように配置することができる。
【0048】
なお、図4(a)では1枚のブロック状の耐火物を配置した例を示したが、係る形態に限定されるものではない。例えば坩堝を設置する台と、坩堝の底面との間に、坩堝と対向する面が水平面に対して角度を有するブロック状の耐火物を複数個配置することもできる。
【0049】
具体的には例えば、図4(b)に示したように、平板状の耐火物43と、坩堝41の底面412との間にブロック状の耐火物422A、422Bを配置することもできる。すなわち、坩堝を設置する台である平板状の耐火物と、坩堝の底面との間に複数個のブロック状の耐火物を並べて配置することができる。
【0050】
坩堝41の底面の形状にあわせて、複数個のブロック状の耐火物を平板状の耐火物上に並べて配置することで、坩堝41を特に安定して設置することができ、坩堝41が引上げ軸方向から傾くことをより確実に防止することができる。
【0051】
なお、図4(b)においては、2つのブロック状の耐火物422Aと、ブロック状の耐火物422Bとを離して配置した例を示しているが、係る形態に限定されるものではなく、坩堝41、及びブロック状の耐火物の形状にあわせて配置できる。このため、例えば、2つのブロック状の耐火物422A、422Bは両者が接するように並べて配置することもできる。
【0052】
また、他の具体例として例えば、図4(c)に示したように、平板状の耐火物43と、坩堝41の底面412との間にブロック状の耐火物423A、423Bを重ねて配置することもできる。すなわち、坩堝を設置する台である平板状の耐火物と、坩堝の底面との間に複数個のブロック状の耐火物を重ねて配置することもできる。
【0053】
複数個のブロック状の耐火物を重ねることで、複数個のブロック状の耐火物全体において、坩堝の底面と対向する面の水平面からの角度を、構成する個々のブロック状の耐火物よりも大きくすることができる。このため、坩堝の底面の形状に対して、各ブロック状の耐火物の坩堝の底面と対向する面の水平面からの角度が十分ではない場合でも、坩堝の引上げ軸方向からの傾きを抑制できる。
【0054】
なお、図4(c)においては、平板状の耐火物43上に重ねた状態のブロック状の耐火物を1組配置した例を示したが、係る形態に限定されるものではない。例えば平板状の耐火物43上に、重ねた状態のブロック状の耐火物を複数組並べて配置することもできる。また、重ねた状態のブロック状の耐火物を1組または2組以上と、該重ねた状態のブロック状の耐火物とは別に重ねていないブロック状の耐火物と、を並べて配置することもできる。
【0055】
図4(b)、図4(c)に示したように、坩堝を載置する台と、坩堝の底面との間に、複数のブロック状の耐火物を配置する場合、複数のブロック状の耐火物は同じ形状であってもよいが、異なる形状のブロック状の耐火物を含んでいてもよい。
【0056】
以上のように平板状の耐火物と、坩堝の底面との間に坩堝と対向する面が水平面に対して角度を有するブロック状の耐火物を配置することで、坩堝が変形し、坩堝の底面が平坦ではない場合でも、坩堝を設置した際に坩堝が引上げ軸方向から傾くことを防止できる。
【0057】
本実施形態で説明したようにして、単結晶用原料を充填した坩堝を単結晶育成炉内に設置した後は、育成する単結晶に応じた条件に基づいて、CZ法により単結晶を育成することができる。
【0058】
図1に示した単結晶育成炉10を用いた場合を例に坩堝を設置した後の工程について簡単に説明すると、単結晶育成炉10内に坩堝を設置した後、必要に応じてチャンバー12内の雰囲気を制御することができる。そして、図示しないヒーターにより加熱し、坩堝11内の単結晶用原料を融解し、原料融液とする原料融液形成工程を実施できる。
【0059】
次いで、引上げ軸15の先端に取りつけた種結晶16を原料融液111に接触させるシーディング工程を実施できる。そして、引上げ軸15により、引上げ軸15の先端に取付けておいた種結晶16を回転させながら徐々に引き上げることで単結晶を育成する単結晶育成工程を実施できる。
【0060】
単結晶引き上げ工程終了後、育成した単結晶17と原料融液111とを切り離す液切り工程を実施できる。そして、室温、またはその近傍まで単結晶育成炉10内を冷却する冷却工程を実施した後、育成した単結晶17を取出すことができる。
【0061】
得られた単結晶については用途等に応じて所望の形状、特性となるように加工等を行うことができる。
【0062】
本実施形態の単結晶の製造方法により製造する単結晶の種類は特に限定されるものではなく、各種単結晶を育成する際に好適に用いることができる。ただし、融点が高い単結晶を育成する場合、高温までの耐熱性を有する貴金属製の坩堝等を用いる必要があり、特に坩堝を繰り返し使用する要求が高い。
【0063】
そこで、本実施形態の単結晶の製造方法は、融点が高い単結晶の育成に特に好適に用いることができる。融点が高い単結晶としては、例えば酸化物単結晶を挙げることができ、酸化物単結晶としては例えば、タンタル酸リチウム、ニオブ酸リチウム等を挙げることができる。
【0064】
このため、本実施形態の単結晶の製造方法では、酸化物単結晶を製造することが効果を特に発揮する観点から好ましい。そして、係る酸化物単結晶がタンタル酸リチウム単結晶、またはニオブ酸リチウム単結晶であることがより好ましい。
【0065】
以上に説明した本実施形態の単結晶の製造方法によれば、繰り返し使用することで坩堝に変形が生じた場合でも、ブロック状の耐火物により坩堝の傾きを修正することができる。このため、引上軸中心からの坩堝の位置のズレによる原料融液の対流の乱れや、温度分布の不均一さの発生を抑制することができ、引上げ軸を中心とした温度分布を一定に保つことができる。そして、高品質の単結晶を再現性良く製造できる。
【0066】
また、本実施形態の単結晶の製造方法によれば、ブロック状の耐火物を用いることで、特殊な装置等を要することなく、変形した坩堝を単結晶育成装置に設置する際に、該坩堝の傾きを修正することができる。このため、コストを低く抑えることができる。
【実施例】
【0067】
以下に具体的な実施例、比較例を挙げて説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
以下の手順によりCZ法によりタンタル酸リチウム単結晶(LT)の製造を行った。
【0068】
坩堝としてはイリジウム製の坩堝であって、繰り返し単結晶の育成を行うことで変形した坩堝を使用した。なお、坩堝は単結晶の育成に供する前、図2(a)に示した坩堝21と同様に円筒形状を有しており、外径160mm、外高160mm、肉厚3mmの寸法であった。しかし、本実施例の単結晶育成を行う際には、坩堝の側面が底面側から上端部側に向かって拡がった形状を有し、さらに底面から全高の1/3の高さにおいて膨らみが生じていた。なお、該膨らみ部分において坩堝は最大径をとっており、最大径は175mmまで変形していた。また、坩堝の底面についても坩堝底の中心部が外周部よりも低く、外周部から中心部にかけて勾配が生じていた。
【0069】
係る変形したイリジウム製の坩堝内に、タンタル酸リチウム単結晶の原料粉を充填し、図1に示した単結晶育成炉10にセットして直胴部直径が115mm、育成方位が36゜RY(Rotated Y Axis)のタンタル酸リチウム単結晶の育成を実施した。
【0070】
なお、単結晶育成炉10には、内径150mm、高さ80mm、肉厚1mmのイリジウム製アフターヒーター18が設置されている。また、坩堝11内の原料を加熱する加熱手段として、高周波誘導加熱方式を用いた。
【0071】
上述の様に、用いたイリジウム製の坩堝は底面の形状が変形していることから、平板状の耐火物上に坩堝を設置した際に不安定な状態となっている。そして、坩堝を平板状の耐火物上に載置した場合、図2(b)に示した場合と同様に坩堝は傾いており、坩堝の上端部における直径方向を示す点線223の、水平面Bからの傾きaは2°であることが確認できた。
【0072】
そこで、単結晶育成炉の平板状の耐火物14上に坩堝を配置する際、図4(c)に示した場合と同様に、平板状の耐火物43と、坩堝41の底面412との間に、坩堝41と対向する面が水平面に対して角度を有するブロック状の耐火物423A、423Bを2個重ねて配置した。
【0073】
なお、用いたブロック状の耐火物は共に、底面と垂直な面での断面が、図3(a)に示したように台形形状を有しており、坩堝の底面と対向する面32と水平面との間の角度321が1°のものを用いた。そして、係るブロック状の耐火物を図4(c)に示した場合と同様に2枚重ねて、坩堝の傾きを解消するように配置することで、坩堝を平板状の耐火物上に設置した場合の傾き2°を打消し、坩堝の上端部における直径方向(最大径方向)の、水平面からの傾きを0とした。
【0074】
なお、坩堝の上端部での傾きとは、図4(c)に示した坩堝41の上端面に平行に水準器を置いた場合に、水平面からの傾きが0になっていることを意味する。
【0075】
以上のようにして、単結晶育成炉10に、タンタル酸リチウム単結晶の原料粉を充填した坩堝を設置した後、高周波誘導加熱方式により加熱を行い、タンタル酸リチウム単結晶の原料粉を融解し、原料融液を形成する原料融液形成工程を実施した。
【0076】
原料融液を形成後に、引上げ軸15の先端に予め配置しておいた種結晶16を原料融液111に接触させるシーディング工程を実施した後、種結晶16を回転させながら引き上げ、単結晶の育成を行う単結晶育成工程を実施した。
【0077】
なお、単結晶育成工程において、種結晶の引上速度は育成開始から終了まで1.8mm/hrで一定とした。それに対して、種結晶の回転速度は、育成開始時は20rpmとし、育成している単結晶の結晶径が115mmに到達した時に5rpmとなるように育成している単結晶の結晶径の増大に伴って徐々に降下させた。
【0078】
単結晶育成工程終了後、育成結晶と原料融液とを切り離す液切り工程を実施した後、室温まで単結晶育成炉内を冷却する冷却工程を実施した。そして、単結晶育成炉内の温度が室温になった後に単結晶育成炉から育成結晶を取出した。
【0079】
取り出した結晶は、残留歪み除去のためアニール処理、単一分極とするためポーリング処理に供した。そして、所望の結晶方位を得るため結晶の上下端部を切断し、ウェハ加工時に同一の外径を得るため結晶外周部を円筒研削した後に、スライスし、単結晶基板(ウェハ)とした。
【0080】
ここまで説明したのと同一条件でタンタル酸リチウムの単結晶育成を10回繰り返したところ、9本の単結晶を得ることができた。なお、1本については割れが生じていた。
【0081】
また、得られた結晶は種結晶の引上げ方位からの傾きが2°程度と小さく、結晶のねじれ等の無い良好な形状であった。
【0082】
得られた結晶は傾きが小さく、かつ、ねじれが無いことから、育成された結晶のうち、外径が115mm以上の直胴部分のうち、90%をウェハ加工に用いることができた。
【0083】
結果を表1にもあわせて示す。
[実施例2]
坩堝と、アフターヒーターと、育成した単結晶のサイズと、ブロック状の耐火物の構成とが異なる点以外は実施例1と同様にしてCZ法によりタンタル酸リチウム単結晶の製造を行った。
【0084】
坩堝としてはイリジウム製の坩堝であって、繰り返し単結晶の育成を行うことで変形した坩堝を使用した。なお、坩堝は単結晶の育成に供する前、図2(a)に示した坩堝21と同様に円筒形状を有しており、外径220mm、外高220mm、肉厚3mmの寸法であった。しかし、本実施例の単結晶育成を行う際には、坩堝の側面が底面側から上端部側に向かって拡がった形状を有し、さらに底面から全高の1/3の高さにおいて膨らみが生じていた。なお、該膨らみ部分において坩堝は最大径をとっており、最大径は240mmまで変形していた。また、坩堝の底面についても坩堝底の中心部が外周部よりも低く、外周部から中心部にかけて勾配が生じていた。
【0085】
係る変形したイリジウム製の坩堝内に、タンタル酸リチウム単結晶の原料粉を充填し、図1に示した単結晶育成炉10にセットして直胴部直径が165mm、育成方位が36゜RY(Rotated Y Axis)のタンタル酸リチウム単結晶の育成を実施した。
【0086】
なお、単結晶育成炉10には、内径190mm、高さ90mm、肉厚1mmのイリジウム製アフターヒーター18が設置されている。また、坩堝11内の原料を加熱する加熱手段として、高周波誘導加熱方式を用いた。
【0087】
上述の様に、用いたイリジウム製の坩堝は底面の形状が変形していることから、平板状の耐火物上に坩堝を設置した際に不安定な状態となっている。そして、坩堝を平板状の耐火物上に載置した場合、図2(b)に示した場合と同様に坩堝は傾いており、坩堝の上端部における直径方向を示す点線223の、水平面Bからの傾きaは0.5°であることが確認できた。
【0088】
そこで、単結晶育成炉の平板状の耐火物14上に坩堝を配置する際、図4(a)に示した場合と同様に、坩堝41の底面412と、平板状の耐火物43との間に、坩堝41と対向する面が水平面に対して角度を有するブロック状の耐火物421を配置した。
【0089】
なお、用いたブロック状の耐火物は、底面と垂直な面での断面が、図3(a)に示したように台形形状を有しており、坩堝41と対向する面32と水平面との間の角度321が0.5°のものを1個用いた。そして、係るブロック状の耐火物を図4(a)に示した場合と同様に坩堝の傾きを解消するように配置することで、坩堝を平板状の耐火物上に載置した場合の傾き0.5°を打消し、坩堝の上端部における直径方向(最大径方向)の、水平面からの傾きを0とした。
【0090】
以上のようにして、単結晶育成炉10に、タンタル酸リチウム単結晶の原料粉を充填した坩堝を配置した後、高周波誘導加熱方式により加熱を行い、タンタル酸リチウム単結晶の原料粉を融解し、原料融液を形成する原料融液形成工程を実施した。
【0091】
原料融液を形成後に、引上げ軸15の先端に予め配置しておいた種結晶16を原料融液111に接触させるシーディング工程を実施した後、種結晶16を回転させながら引き上げ、単結晶の育成を行う単結晶育成工程を実施した。
【0092】
なお、単結晶育成工程において、種結晶の引上速度は育成時は1.8mm/hrとし、育成している単結晶の結晶径が165mmに到達したときに0.7mm/hrとなるように、育成している単結晶の結晶径の増大に伴って徐々に低下させた。また、結晶の回転速度は、育成開始時は20rpmとし、育成している単結晶の結晶径が165mmに到達した時に5rpmとなるように育成している結晶径の増大に伴って徐々に降下させた。
【0093】
単結晶育成工程終了、育成結晶と原料融液とを切り離す液切り工程を実施した後、室温、まで単結晶育成炉内を冷却する冷却工程を実施した。そして、単結晶育成炉内の温度が室温になった後に単結晶育成炉から育成結晶を取出した。
【0094】
取り出した結晶は、残留歪み除去のためアニール処理、単一分極とするためポーリング処理に供した。そして、所望の結晶方位を得るため結晶の上下端部を切断し、ウェハ加工時に同一の外径を得るため結晶外周部を円筒研削した後に、スライスし、単結晶基板とした。
【0095】
ここまで説明したのと同一条件でタンタル酸リチウムの単結晶育成を10回繰り返したところ、8本の単結晶を得ることができた。なお、2本については割れが生じていた。
【0096】
また、得られた結晶は種結晶の引上げ方位からの傾きが2°程度と小さく、結晶のねじれ等の無い良好な形状であった。
【0097】
得られた結晶は傾きが小さく、かつ、ねじれが無いことから、育成された結晶のうち、外径が165mm以上の直胴部分のうち、90%をウェハ加工に用いることができた。
【0098】
結果を表1にもあわせて示す。
[実施例3]
坩堝と、アフターヒーターと、育成した単結晶の種類と、ブロック状の耐火物の構成とが異なる点以外は実施例1と同様にしてCZ法によりニオブ酸リチウム単結晶(LN)の製造を行った。
【0099】
坩堝としては白金製の坩堝であって、繰り返し単結晶の育成を行うことで変形した坩堝を使用した。なお、坩堝は単結晶の育成に供する前、図2(a)に示した坩堝21と同様に円筒形状を有しており、外径160mm、外高160mm、肉厚3mmの寸法であった。しかし、本実施例の単結晶育成を行う際には、坩堝の側面が底面側から上端部側に向かって拡がった形状を有し、さらに底面から全高の1/3の高さにおいて膨らみが生じていた。なお、該膨らみ部分において坩堝は最大径をとっており、最大径は175mmまで変形していた。また、坩堝の底面についても坩堝底の中心部が外周部よりも低く、外周部から中心部にかけて勾配が生じていた。
【0100】
係る変形した白金製の坩堝内に、ニオブ酸リチウム単結晶の原料粉を充填し、図1に示した単結晶育成炉10にセットして直胴部直径が115mm、育成方位が36゜RY(Rotated Y Axis)のニオブ酸リチウム単結晶の育成を実施した。
【0101】
なお、単結晶育成炉10には、内径150mm、高さ80mm、肉厚1mmの白金製アフターヒーター18が設置されている。また、坩堝11内の原料を加熱する加熱手段として、高周波誘導加熱方式を用いた。
【0102】
上述の様に、用いた白金製の坩堝は底面の形状が変形していることから、平板状の耐火物上に坩堝を設置した際に不安定な状態となっている。そして、坩堝を平板状の耐火物上に載置した場合、図2(b)に示した場合と同様に坩堝は傾いており、坩堝の上端部における直径方向を示す点線223の、水平面Bからの傾きaは1°であることが確認できた。
【0103】
そこで、単結晶育成炉の平板状の耐火物14上に坩堝を配置する際、図4(a)に示した場合と同様に、坩堝41の底面412と、平板状の耐火物43との間に、坩堝41と対向する面が水平面に対して角度を有するブロック状の耐火物421を配置した。
【0104】
なお、用いたブロック状の耐火物は、底面と垂直な面での断面が、図3(a)に示したように台形形状を有しており、坩堝41と対向する面32と水平面との間の角度321が1°のものを1個用いた。そして、係るブロック状の耐火物を図4(a)に示した場合と同様に坩堝の傾きを解消するように配置することで、坩堝を平板状の耐火物上に載置した場合の傾き1°を打消し、坩堝の上端部における直径方向(最大径方向)の、水平面からの傾きを0とした。
【0105】
以上のようにして、単結晶育成炉10に、ニオブ酸リチウム単結晶の原料粉を充填した坩堝を配置した後、実施例1と同様の手順により単結晶の育成を行った。また、得られた結晶は、残留歪み除去のためアニール処理、単一分極とするためポーリング処理に供した。そして、所望の結晶方位を得るため結晶の上下端部を切断し、ウェハ加工時に同一の外径を得るため結晶外周部を円筒研削した後に、スライスし、単結晶基板とした。
【0106】
ここまで説明したのと同一条件でニオブ酸リチウムの単結晶育成を10回繰り返したところ、9本の単結晶を得ることができた。なお、1本については割れが生じていた。
【0107】
また、得られた結晶は種結晶の引上げ方位からの傾きが2°程度と小さく、結晶のねじれ等の無い良好な形状であった。
【0108】
得られた結晶は傾きが小さく、かつ、ねじれが無いことから、育成された結晶のうち、外径が115mm以上の直胴部分のうち、90%をウェハ加工に用いることができた。
【0109】
結果を表1にもあわせて示す。
[比較例1]
単結晶育成炉に坩堝を設置する際に、ブロック状の耐火物を用いずに、平板状の耐火物上に坩堝を直接設置した点以外は実施例1と同様にしてタンタル酸リチウム単結晶の育成を行った。また、得られた単結晶はスライスして、単結晶基板とした。
【0110】
単結晶の育成を同一条件で10回繰り返したところ、7本の単結晶を得ることができた。なお、3本については割れが生じていた。
【0111】
得られた単結晶は、種結晶の引上げ方位からの傾きが5°と大きく、結晶の下部にねじれが見られた。また、ねじれ部分には転位が集合したリネージが形成されたおり、結晶性の悪化が確認された。
【0112】
得られた単結晶は傾きが大きく、かつ、ねじれが有ることから、育成された結晶のうち、外径が115mm以上の直胴部分のうち、76%のみしかウェハ加工に用いることができなかった。
【0113】
結果を表1にもあわせて示す。
[比較例2]
単結晶育成炉に坩堝を設置する際に、ブロック状の耐火物を用いずに、平板状の耐火物上に坩堝を直接設置した点以外は実施例2と同様にしてタンタル酸リチウム単結晶の育成を行った。また、得られた単結晶はスライスして、単結晶基板とした。
【0114】
単結晶の育成を同一条件で10回繰り返したところ、7本の単結晶を得ることができた。なお、3本については割れが生じていた。
【0115】
得られた単結晶は、種結晶の引上げ方位からの傾きが4°と大きく、結晶の下部に比較例1と同様のねじれが見られた。
【0116】
得られた結晶は傾きが大きく、かつ、ねじれが有ることから、育成された結晶のうち、外径が165mm以上の直胴部分のうち、77%のみしかウェハ加工に用いることができなかった。
【0117】
結果を表1にもあわせて示す。
[比較例3]
単結晶育成炉に坩堝を設置する際に、ブロック状の耐火物を用いずに、平板状の耐火物上に坩堝を直接設置した点以外は実施例3と同様にしてニオブ酸リチウム単結晶の育成を行った。また、得られた単結晶はスライスして、単結晶基板とした。
【0118】
単結晶の育成を同一条件で10回繰り返したところ、8本の単結晶を得ることができた。なお、2本については割れが生じていた。
【0119】
得られた単結晶は、種結晶の引上げ方位からの傾きが5°と大きく、結晶の下部にねじれが見られた。
【0120】
得られた結晶は傾きが大きく、かつ、ねじれが有ることから、育成された結晶のうち、外径が115mm以上の直胴部分のうち、80%のみしかウェハ加工に用いることができなかった。
【0121】
結果を表1にもあわせて示す。
【0122】
【表1】
以上の結果から、実施例1〜実施例3では変形した坩堝を用いたにも関わらず、坩堝を設置する台と坩堝の底面との間に、ブロック状の耐火物を配置するのみで、得られた単結晶の種結晶の引上げ方位からの傾きを抑制できることが確認できた。また、実施例1〜実施例3においては、種結晶の引上げ方位からの傾きを抑制し、ねじれを含まない高品質な単結晶を高い確率で、すなわち再現性良く、低コストで製造できることも確認できた。
【0123】
これに対して、比較例1〜比較例3においては、種結晶の引上げ方位からの傾きが大きく、ねじれを含んでおり、実施例1〜実施例3と比較して品質の低い単結晶が育成された。また、単結晶の育成の成功確率も実施例1〜実施例3と比較して低くなることが確認された。
【符号の説明】
【0124】
10 単結晶育成炉
11、21、22、41 坩堝
211、221、412 坩堝の底面
30、30´、421、422A、422B、423A、423B ブロック状の耐火物
図1
図2
図3
図4