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特開2016-222476酸化アルミニウム単結晶ウエハーの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-222476(P2016-222476A)
(43)【公開日】2016年12月28日
(54)【発明の名称】酸化アルミニウム単結晶ウエハーの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C30B 29/20 20060101AFI20161205BHJP
   C30B 33/00 20060101ALI20161205BHJP
   C30B 33/02 20060101ALI20161205BHJP
【FI】
   C30B29/20
   C30B33/00
   C30B33/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-108465(P2015-108465)
(22)【出願日】2015年5月28日
(71)【出願人】
【識別番号】000183303
【氏名又は名称】住友金属鉱山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】松本 博
(72)【発明者】
【氏名】阿部 広
(72)【発明者】
【氏名】山方 俊幸
【テーマコード(参考)】
4G077
【Fターム(参考)】
4G077AA02
4G077BB01
4G077FE11
4G077FE20
4G077FG12
4G077FG13
4G077HA01
4G077HA12
(57)【要約】
【課題】ウエハー内の同心円状ではない反りの反り量を制御できる酸化アルミニウム単結晶ウエハーの製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】
酸化アルミニウム単結晶ウエハーの両方の主表面をラップ加工するラップ加工工程と、
前記ラップ加工工程を実施した前記酸化アルミニウム単結晶ウエハーの一方の主表面の、一部の領域にブラスト処理を施す部分ブラスト処理工程と、
を有する酸化アルミニウム単結晶ウエハーの製造方法を提供する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化アルミニウム単結晶ウエハーの両方の主表面をラップ加工するラップ加工工程と、
前記ラップ加工工程を実施した前記酸化アルミニウム単結晶ウエハーの一方の主表面の、一部の領域にブラスト処理を施す部分ブラスト処理工程と、
を有する酸化アルミニウム単結晶ウエハーの製造方法。
【請求項2】
前記部分ブラスト処理工程において、ブラスト処理を施す領域の面積は、
前記酸化アルミニウム単結晶ウエハーの一方の主表面の面積の15%以上50%以下である請求項1に記載の酸化アルミニウム単結晶ウエハーの製造方法。
【請求項3】
前記部分ブラスト処理工程において用いるブラスト材の平均粒径が、
前記ラップ加工工程で用いるラップ材の平均粒径の80%以上120%以下である請求項1または2に記載の酸化アルミニウム単結晶ウエハーの製造方法。
【請求項4】
前記ラップ加工工程終了後、前記部分ブラスト処理工程を実施する前に、
前記酸化アルミニウム単結晶ウエハーの両方の主表面の全面にブラスト処理を行う、全面ブラスト処理工程をさらに有し、
前記部分ブラスト処理工程で用いるブラスト材の平均粒径が、前記全面ブラスト処理工程で用いるブラスト材の平均粒径の80%以上120%以下である請求項1乃至3のいずれか一項に記載の酸化アルミニウム単結晶ウエハーの製造方法。
【請求項5】
前記部分ブラスト処理工程の前に、前記酸化アルミニウム単結晶ウエハーを1400℃以上2000℃以下の温度でアニール処理するアニール工程をさらに有する請求項1乃至4のいずれか一項に記載の酸化アルミニウム単結晶ウエハーの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸化アルミニウム単結晶ウエハーの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
酸化アルミニウム単結晶ウエハーは、白色の発光ダイオード(LED)を作製する際のエピタキシャル成長用基板結晶として広く使用されている。LEDは省エネルギー性に優れるため特に照明分野においての普及が期待されている。
【0003】
また、酸化アルミニウム単結晶は可視領域から赤外領域の光の透過率が大きく、化学的特性に優れ安定である上に、ダイヤモンドに次ぐ硬さをもっている。このため、酸化アルミニウム単結晶ウエハーは光学用レンズや窓材にも広く使用されている。
【0004】
このように酸化アルミニウム単結晶ウエハーは用途が広く、需要も大幅に拡大していることから価格も安くなっている。安くなることでガラスの代替品としての需要も拡大しており、広い分野から注目されている。
【0005】
酸化アルミニウム単結晶ウエハーは、例えば窓材や光学用レンズ、LED用の基板等の各種用途に応じて、一方、または両方の主表面について鏡面に仕上げる場合がある。
【0006】
例えばLED用の基板の場合には一方の主表面が鏡面の基板、及び両方の主表面が鏡面の基板の両方の需要があり、窓材等の場合には両方の主表面が鏡面の基板の需要がある。さらに、酸化アルミニウム単結晶ウエハーの鏡面に仕上げる主表面の表面形状に関しても様々な要求があり、例えばLED用の基板であれば表面が同心円状の凹面、窓材であれば平坦な形状が要求される場合があり、用途によって要求は異なる。
【0007】
酸化アルミニウム単結晶ウエハーには、ここで説明した主表面の鏡面研磨以外にも用途に応じて様々な仕上がり形状が要求され、それに応じて加工方法も検討されてきた。
【0008】
ところで、酸化アルミニウム単結晶ウエハーの表面性状等によっては、酸化アルミニウム単結晶ウエハーに反りを生じる場合があるが、用途に応じて反り量を所定の範囲とすることが求められる場合がある。
【0009】
例えば、酸化アルミニウム単結晶ウエハーを基板として用い、基板上に窒化物半導体発光素子をエピタキシャル成長させる場合には、酸化アルミニウム単結晶ウエハーの反りが規定の範囲を外れると、基板表面温度のばらつきの原因となる。そして、基板表面温度のばらつきは、該基板上に成膜する窒化物半導体薄膜の組成ばらつきの原因になり、発光素子の波長や発光強度のばらつきに影響する。そこで、酸化アルミニウム単結晶ウエハーの反りを小さくすることが求められていた。
【0010】
酸化アルミニウム単結晶ウエハーの反りを制御する方法については、従来から検討がなされている。
【0011】
例えば特許文献1には、サファイア単結晶薄板を1150〜1400℃の温度下で熱処理するサファイア単結晶薄板の変形矯正方法が開示されている。
【0012】
また、特許文献2には、ウエハーの裏面を、基板完成後の凹度が8〜50μmの凹形状となるように凸形状に研磨加工する工程と、この研磨加工したウエハーを、温度1300〜1700℃で熱処理する工程と、を含むサファイア基板の製造方法が開示されている。
【0013】
特許文献1、2においては、熱処理によりウエハーに残った残留応力を緩和することでウエハーの反りを制御している。係るウエハーの反りを低減する方法はウエハーに同心円状の反りの制御を目的とするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開昭57−095899号公報
【特許文献2】特開2006−347776号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら、ウエハーは、同心円状の反り以外にも、縦方向や、横方向等の一方向に沿って形成された反りや、場所により反り量が違う反り、鞍型の反りのように、同心円状ではない形状の反りを含んでいる場合がある。そして、特許文献1、2に開示されているような熱処理を行う方法では、同心円状でない形状の反りを制御することは困難であった。
【0016】
そこで、本発明の一側面では上記従来技術が有する問題に鑑み、ウエハー内の同心円状ではない反りの反り量を制御できる酸化アルミニウム単結晶ウエハーの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記課題を解決するため本発明の一態様によれば、酸化アルミニウム単結晶ウエハーの両方の主表面をラップ加工するラップ加工工程と、
前記ラップ加工工程を実施した前記酸化アルミニウム単結晶ウエハーの一方の主表面の、一部の領域にブラスト処理を施す部分ブラスト処理工程と、
を有する酸化アルミニウム単結晶ウエハーの製造方法を提供することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の一態様によれば、ウエハー内の同心円状ではない反りの反り量を制御できる酸化アルミニウム単結晶ウエハーの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】従来の両方の主表面を鏡面仕上げにした酸化アルミニウム単結晶ウエハーの製造工程のフロー図。
図2】従来の片方の主表面を鏡面仕上げにした酸化アルミニウム単結晶ウエハーの製造工程のフロー図。
図3】本発明の実施形態における両方の主表面を鏡面仕上げにした酸化アルミニウム単結晶ウエハーの製造工程のフロー図。
図4】本発明の実施形態における片方の主表面を鏡面仕上げにした酸化アルミニウム単結晶ウエハーの製造工程のフロー図。
図5】本発明の実施例における酸化アルミニウム単結晶ウエハー内の方向の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明するが、本発明は、下記の実施形態に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、下記の実施形態に種々の変形および置換を加えることができる。
【0021】
本実施形態の単結晶の製造方法の一構成例について以下に説明する。
【0022】
本実施形態の単結晶の製造方法は、酸化アルミニウム単結晶ウエハーの両方の主表面をラップ加工するラップ加工工程と、
ラップ加工工程を実施した酸化アルミニウム単結晶ウエハーの一方の主表面の、一部の領域にブラスト処理を施す部分ブラスト処理工程と、を有することができる。
【0023】
最初に、従来の酸化アルミニウム単結晶ウエハーの製造方法について説明する。
【0024】
既述のように、酸化アルミニウム単結晶ウエハーは用途に応じて、2面ある主表面について両面を鏡面に加工することが求められる場合と、片面を鏡面に加工することが求められる場合とがある。
【0025】
ここでまず、両方の主表面、すなわち両面を鏡面仕上げにする場合の従来の工程の例を図1に示す。
【0026】
図1に示したフロー図のステップS11では、酸化アルミニウム単結晶インゴットをスライスする切断工程を実施することができる。切断工程でインゴット状の酸化アルミニウム単結晶をスライスすることで円板形状の酸化アルミニウム単結晶板状体を得ることができる。
【0027】
次いで、ステップS12でラップ加工工程を実施することができる。ラップ加工工程では、ステップS11の切断工程で得られた酸化アルミニウム単結晶板状体の両方の主表面を同時にラップ加工することで後述する両面メカノケミカルポリッシュ工程等で加工する加工代を残して研磨することができる。ラップ加工工程では、最終目的の厚さより例えば30μm程度厚くなるように、すなわち加工代として例えば30μm程度を残して研磨することができる。
【0028】
ラップ加工工程を終えた後、さらにステップS13で両面メカノケミカルポリッシュ工程を実施して例えば30μm研磨することで、両方の主表面を鏡面となるように研磨し、目的の製品に仕上げることができる。
【0029】
次に一方の主表面のみ、すなわち片面のみを鏡面仕上げする場合の従来の工程の例を図2に示す。
【0030】
図2に示すように、両面を鏡面仕上げにする場合と同様に、まずステップS21で酸化アルミニウム単結晶インゴットをスライスする切断工程を実施することができる。
【0031】
そして、ステップS22ではラップ加工工程を実施することができる。ラップ加工工程では、ステップS21の切断工程で得られた酸化アルミニウム単結晶板状体の両方の主表面を同時にラップ加工しながら後述する片面メカノケミカルポリッシュ工程等で加工する加工代を残して研磨することができる。ラップ加工工程では、最終目的の厚さより例えば20μm程度厚くなるように、すなわち加工代として例えば20μm程度を残して研磨することができる。
【0032】
ラップ加工工程を終えた後、ステップS23でアニール工程を実施することができる。一方の主表面の表面性状と、他方の主表面の表面性状とが異なる場合、ウエハーに反りが生じやすくなるため、アニール工程で熱処理を行うことで、反りを低減することができる。アニール工程ではウエハーを例えば1400℃以上2000℃以下の温度雰囲気下でアニール処理することができる。
【0033】
アニール工程を終えた後は、ステップS24で片面メカノケミカルポリッシュ工程を実施して例えば20μm研磨することで、一方の主表面を鏡面となるように研磨し、目的の製品に仕上げることができる。
【0034】
次に、本実施形態の酸化アルミニウム単結晶ウエハーの製造方法について説明する。
【0035】
既述のように、従来は同心円状の反りを低減する方法が知られているのみであった。このため、縦や横方向に沿った反りや、場所により反り量が違う反り、鞍型の反りのように、同心円状ではない形状の反りについて制御する方法は知られていなかった。
【0036】
なお、鞍型の反りとは、一方向に沿った反りと、係る一方向と略垂直な他の方向に沿った反りとを同時に含み、一方向に沿った反りと、他の方向に沿った反りとの向きが逆向きの反りを指す。
【0037】
そこで、本発明の発明者らは、同心円状ではない形状の反りを制御する方法について検討を行った。そして、酸化アルミニウム単結晶ウエハーの一方の主表面について、部分的にブラスト処理を行うことで同心円状ではない形状の反りを制御できることを見出し、本発明を完成させた。
【0038】
以下、本実施形態の酸化アルミニウム単結晶ウエハーの製造方法について、まず両方の主表面、すなわち両面を鏡面仕上げする場合を例に説明する。
【0039】
本実施形態の酸化アルミニウム単結晶ウエハーの製造方法は、酸化アルミニウム単結晶ウエハーの両方の主表面をラップ加工するラップ加工工程を有することができる。そしてさらに、ラップ加工工程を実施した酸化アルミニウム単結晶ウエハーの一方の主表面の、一部の領域にブラスト処理を施す部分ブラスト処理工程を有することができる。
【0040】
具体的には、例えば図3に示したフローチャートに従って実施することができる。
【0041】
図3に示すように、従来の酸化アルミニウム単結晶ウエハーの製造方法の場合と同様に、ステップS31では、酸化アルミニウム単結晶インゴットをスライスする切断工程を実施できる。切断工程で円板形状とした酸化アルミニウム単結晶板状体は、そのままラップ加工工程に供することもできるが、さらに加工を行って板状の中間体としてからラップ加工工程に供することもできる。
【0042】
具体的には例えば端面の面取りを行う端面面取り工程や、端面を研磨する端面研磨工程等の各種加工工程をさらに実施して板状の中間品としてからラップ加工工程に供することもできる。なお、端面面取り工程や、端面研磨工程は、ラップ加工工程の後、任意のタイミングで実施することもできる。
【0043】
次いで、ステップS32でラップ加工工程を実施することができる。ラップ加工工程では、ステップS31の切断工程で得られた円板形状の酸化アルミニウム単結晶板状体、または板状の中間品の両面を同時にラップ加工することで後述する両面メカノケミカルポリッシュ工程等、ラップ加工工程よりも後の工程での加工代を残して研磨できる。
【0044】
ラップ加工工程における研磨条件は特に限定されるものではない。例えば、研磨粒子径の大きい研磨材を用いた粗い研磨から開始し、研磨粒子径の小さい研磨材に研磨材を変更しながら研磨を行うことで、表面の平坦度を上げていくことができる。このようにラップ加工工程の中で研磨粒子径の異なる研磨材に変更する場合、例えば主表面の表面粗さRaが0.6μm以上1.5μm以下程度の範囲で、一定のばらつきの範囲内に仕上げるためには、#180から#250の番手の研磨材でラップ加工工程を終了させることが好ましい。
【0045】
なお、ラップ加工工程においては、研磨材を変更せずに同じ研磨粒子径の研磨材を継続して用いることもできる。
【0046】
酸化アルミニウム単結晶ウエハーの主表面を研磨する方法としては、研磨する面に着目した場合、大きく分けて2種類あり、片面のみ研磨する方法(以下、「片面研磨」と記載する)と、両面を同時に研磨する方法(以下、「両面研磨」と記載する)とがある。
【0047】
片面研磨と、両面研磨とをどのように組み合わせるのかは研磨するウエハーの硬さや仕上がり形状の精度、仕上がり表面と裏面の表面粗さにより変わってくる。このため、ラップ加工工程や、後述する両面メカノケミカルポリッシュ工程で主表面の研磨を行う際、両面研磨と、片面研磨とのどちらを用いるかは特に限定されるものではない。例えば、ラップ加工工程や、両面メカノケミカルポリッシュ工程において、両面研磨を用い、2つの主表面について同時に仕上げることもできる。また、ラップ加工工程や、両面メカノケミカルポリッシュ工程において、2つの主表面についてそれぞれ研磨を行う片面研磨を用い、2つの主表面について別々に研磨することもできる。
【0048】
なお、酸化アルミニウム単結晶ウエハーの面積が大きくなるほど、ラップ加工工程後の、主表面の中心部分の表面粗さが小さくなる傾向がある。このため、主表面の表面粗さの制御が必要な場合には、ラップ加工工程終了後、後述する部分ブラスト処理工程を実施する前に、酸化アルミニウム単結晶ウエハーの両方の主表面の全面にブラスト処理を行う全面ブラスト処理工程をさらに有することもできる。
【0049】
全面ブラスト処理工程を実施することで、酸化アルミニウム単結晶ウエハーの両方の主表面の表面粗さを調整することができる。
【0050】
全面ブラスト処理工程のブラスト材の番手は特に限定されないが、例えばラップ加工工程時と同様の#180から#250の番手のブラスト材を用いることが好ましい。
【0051】
ブラスト加工の特徴として、粗い面を平坦な面へ加工することは困難なため、表面粗さが大きいラップ加工工程の前や、ラップ加工工程の最初の段階で全面ブラスト処理工程を実施するのは好ましくない。このため、例えばラップ加工工程後や、ラップ加工工程をある程度実施した後に、表面粗さを微調整するために実施することが好ましい。
【0052】
そして、本実施形態の酸化アルミニウム単結晶ウエハーの製造方法においては、ステップS33で酸化アルミニウム単結晶ウエハーの一方の主表面の、一部の領域にブラスト処理を施す部分ブラスト処理工程を実施できる。
【0053】
部分ブラスト処理工程では、酸化アルミニウム単結晶ウエハーに含まれる同心円状ではない反りを低減するため、変形させたい方向に応じて部分的なブラスト処理を行うことができる。
【0054】
部分ブラスト処理工程におけるブラスト処理条件(位置、幅、圧、時間、粒径)は、結晶の寸法、厚さ、反らせる大きさ等に応じて任意に選択できる。例えば反りの形状、大きさにあわせて、帯状等各種形状、サイズの領域にブラスト処理を施し加工歪層を形成することで、所望の方向にウエハーに反りを生じさせることができる。このため、ウエハーに生じていた同心円状ではない反りを低減したり、ウエハー内に所望の同心円状ではない反りを形成することができる。すなわち、ウエハー内の同心円状ではない反りの反り量を制御できる。
【0055】
例えば、円盤状の酸化アルミニウム単結晶ウエハーにおいて、直径の一方向を縦方向、直径の一方向で上記縦方向と垂直な方向を横方向とする。係る酸化アルミニウム単結晶ウエハーにおいて、縦方向の反りを変化させずに横方法のみ形状を変化させる場合には、ウエハーに対して縦に帯状のブラスト処理をすることで実現できる。横方向の反りを変化させずに縦方向だけ変化させる場合には、横方向に帯状にブラスト処理を実施することで実現できる。
【0056】
このため、例えば同心円状ではない反りとして、横方向に沿って反りが発生していた場合、縦方向に帯状のブラスト処理を実施することで、横方向の反り量を変化させ、反り量を低減、または増大することができる。また、横方向の反りの向きを変化させることもできる。
【0057】
なお、部分ブラスト処理工程の後に、後述する両面メカノケミカルポリッシュ工程を実施できるが、この際に、部分ブラスト処理工程で形成した加工歪層が除去され、ウエハーに反りが再び生じないように、部分ブラスト処理工程の条件を選択することが好ましい。
【0058】
部分ブラスト処理工程において、ブラスト処理を施す領域の面積は上述の様に特に限定されるものではなく、ウエハーに形成された反りの大きさや、ウエハー厚さ等に応じて選択することができる。ただし、ウエハーに形成された反りを十分に低減できるように、部分ブラスト処理工程において、ブラスト処理を施す領域の面積は、酸化アルミニウム単結晶ウエハーの一方の主表面の面積の15%以上50%以下であることが好ましく、25%以上45%以下であることがより好ましい。
【0059】
また、部分ブラスト処理工程において用いるブラスト材の平均粒径についても特に限定されるものではなく、任意に選択することができる。ただし、例えば部分ブラスト処理を実施した部分と、その他の部分とで表面粗さの差を小さくすることが要求される場合、部分ブラスト処理で用いるブラスト材の平均粒径は、ラップ加工工程で用いたラップ材の平均粒径と同等であることが好ましい。具体的には、部分ブラスト処理工程において用いるブラスト材の平均粒径は例えば、ラップ加工工程で用いるラップ材の平均粒径の80%以上120%以下であることが好ましく、90%以上110%以下であることがより好ましい。
【0060】
なお、ラップ加工工程においては既述のようにラップ材、すなわち研磨材について、研磨粒子径の大きい研磨材から研磨粒子径の小さい研磨材へ徐々に変更させてラップ加工を行うことができる。この様にラップ加工工程において、ラップ材を変化させる場合には、部分ブラスト処理工程で用いるブラスト材の平均粒径は、ラップ加工工程の最後に用いたラップ材の平均粒径と同等であることが好ましい。すなわち、部分ブラスト処理工程において用いるブラスト材の平均粒径は、ラップ加工工程の最後に用いたラップ材の平均粒径の80%以上120%以下であることが好ましい。
【0061】
また、平均粒径とは、レーザー回折・散乱法によって求めた粒度分布における積算値50%での粒径を意味し、本明細書において平均粒径とは他の部分でも同様の意味を有する。
【0062】
また、既述の全面ブラスト処理工程をさらに有し、部分ブラスト処理を実施した部分と、その他の部分とで表面粗さの差を小さくすることが要求される場合、部分ブラスト処理工程で用いるブラスト材の平均粒径は、全面ブラスト処理工程で用いたブラスト材の平均粒径と同等であることが好ましい。具体的には部分ブラスト処理工程で用いるブラスト材の平均粒径が、全面ブラスト処理工程で用いるブラスト材の平均粒径の80%以上120%以下であることが好ましく、90%以上110%以下であることがより好ましい。
【0063】
なお、全面ブラスト処理工程においてブラスト材の平均粒径を変化させる場合には、部分ブラスト処理工程で用いるブラスト材の平均粒径は、全面ブラスト処理工程の最後に用いたブラスト材の平均粒径と同等であることが好ましい。すなわち、部分ブラスト処理工程において用いるブラスト材の平均粒径は、全面ブラスト処理工程の最後に用いたブラスト材の平均粒径の80%以上120%以下であることが好ましい。
【0064】
部分ブラスト処理工程を終えた後、さらにステップS34で両面メカノケミカルポリッシュ工程を実施し、酸化アルミニウム単結晶ウエハーの両方の主表面について鏡面研磨することができる。
【0065】
両面メカノケミカルポリッシュ工程における具体的な条件は特に限定されるものではなく、酸化アルミニウム単結晶ウエハーについて、目標とする製品厚さ、また表面粗さとなるように実施することができる。
【0066】
また、本実施形態の酸化アルミニウム単結晶ウエハーの製造方法は、さらに任意の工程を有することもできる。
【0067】
具体的には例えばアニール工程を有することができる。アニール工程を実施するタイミングは特に限定されるものではないが、例えば部分ブラスト処理工程の前に実施することができ、特にラップ加工工程後、部分ブラスト処理工程の前に実施できる。また、全面ブラスト処理工程を実施する場合には、全面ブラスト処理工程の後、部分ブラスト処理工程の前に実施することが好ましい。
【0068】
アニール工程では、酸化アルミニウム単結晶ウエハーを1400℃以上2000℃以下の温度でアニール処理することが好ましく、1400℃以上1600℃以下の温度でアニール処理を実施することがより好ましい。
【0069】
アニール工程における雰囲気は特に限定されるものではなく、例えば大気雰囲気で実施することもできる。また、真空雰囲気下で実施することもできる。
【0070】
切断工程や、ラップ加工工程等を実施することで、酸化アルミニウム単結晶ウエハーの主表面には加工歪層が形成されており、同心円状の反りも生じる場合がある。このため、アニール工程を実施することにより、ウエハー内の歪みを一旦緩和し、緩和された状態の結晶形状に対して部分ブラスト処理工程を実施することが好ましい。
【0071】
ここまで、両方の主表面、すなわち両面を鏡面仕上げする場合を例に説明したが、本実施形態の酸化アルミニウム単結晶ウエハーの製造方法は一方の主表面、すなわち片面を鏡面仕上げする場合にも適用することができる。
【0072】
一方の主表面を鏡面仕上げする場合、図3に示した両方の主表面を鏡面仕上げにする場合のステップS34の両面メカノケミカルポリッシュ工程にかえて、図4に示すようにステップS44として片面メカノケミカルポリッシュ工程を実施する点以外は、同様にして実施できる。
【0073】
片面メカノケミカルポリッシュ工程では、酸化アルミニウム単結晶ウエハーの鏡面仕上げにする面についてのみメカノケミカルポリッシュを実施する点以外は、両面メカノケミカルポリッシュ工程と同様の条件で実施できる。すなわち、図4のS41からS43については、既述のS31からS33と同様にして実施することができる。
【0074】
なお、一方の主表面を鏡面仕上げにする場合、2つの主表面の表面性状が異なることとなるので、ウエハーに反りが生じやすくなる。このため、両方の主表面を鏡面仕上げにする場合で説明したアニール工程を部分ブラスト処理工程を実施する前に実施し、反りを低減しておくことが好ましい。
【0075】
アニール工程は既述のように、切断工程等で主表面に形成された加工歪層による歪みを一旦緩和することができるが、同時に、後の工程で2つの主表面の表面性状が異なることにより生じる反りの程度を抑制することもできる。
【0076】
以上に説明した本実施形態の酸化アルミニウム単結晶ウエハーの製造方法によれば、ウエハー内の同心円状ではない反りの反り量を制御できる。このため、従来、制御することが困難であった縦や横方向の反りや、場所により反り量が違う反り、鞍型の反りのような、同心円状ではない反りについて、反りを低減、除去することができる。また、反りの向きを変えることもできる。
【0077】
さらに、所望の形状にあわせて同心円状ではない反りをウエハー内に形成したり、その反り量を所望の量とすることもできる。
【0078】
本実施形態の酸化アルミニウム単結晶ウエハーの製造方法により得られた酸化アルミニウム単結晶ウエハーの用途は特に限定されるものではなく、酸化アルミニウム単結晶ウエハーが要求される各種用途に用いることができる。例えばエピタキシャル成長用基板結晶や光学部品として好ましく用いることができる。また部分的に湾曲させた窓材などの製造にも応用が可能である。
【実施例】
【0079】
以下に具体的な実施例、比較例を挙げて説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
直径6インチφの円柱形状の酸化アルミニウム単結晶インゴットをワイヤーソーによりスライスして、厚さ1450μmで主面がc面である酸化アルミニウム単結晶ウエハーを準備した(切断工程)。
【0080】
次いで、このウエハーを両面ラップ加工にて厚さが1040μmになるまで研磨した。ラップ加工には材質がSiC、番手180#(平均粒径92μm)の研磨材を用いた(ラップ加工工程)。
【0081】
次にラップ加工工程等で形成された歪を緩和するために、1400℃で12時間、大気雰囲気下でアニール処理を行った(アニール工程)。
【0082】
次いで、部分ブラスト処理工程を実施した。
【0083】
以下の説明で用いるX方向、Y方向について、図5を用いて説明する。図5は酸化アルミニウム単結晶ウエハーの部分ブラスト処理を行う主表面を主表面の法線方向上方から見た図である。そして、直径方向の一方向であるa軸方向をX方向51とした場合、該X方向51と垂直な直径方向であるm軸方向をY方向52とする。
【0084】
アニール工程後のウエハーを確認したところ、Y方向52に沿った反りと、X方向51に沿った反りとの向きが異なることが確認できた。すなわちY方向52の反りを凹形状とした場合に、X方向51の反りが凸形状であることが確認できた。このため、X方向51の反りをY方向52と同じ方向の反りとなるように部分ブラスト処理工程を実施した。
【0085】
まず、アニール工程後のウエハーの一方の主表面をブラスト処理する部分だけ露出するように、テープでマスキングを行った。部分的にマスクされた状態で平均粒径が87μmのブラスト材を用いてブラスト処理を行い、Y方向52に沿って、ウエハーの両端から伸びる幅4cmの帯状の領域のみブラスト処理を行った。なお、係る帯状の領域の中心線が、ウエハーの主表面の中心を通るようにブラスト処理を行っており、ブラスト処理を施した領域の面積はウエハーの一方の主表面の面積の33%に当たる(部分ブラスト処理工程)。
【0086】
その後、ウエハーの両面をメカノケミカルポリッシュすることで、厚さが1010μmの酸化アルミニウム単結晶ウエハーを得た(両面メカノケミカルポリッシュ工程)。なお、メカノケミカルポリッシュは、研磨液として主粒子径が60〜100nmのコロイダルシリカを用いて実施した。
【0087】
得られた酸化アルミニウム単結晶ウエハーの部分ブラスト処理を行った面について、レーザー干渉を用いた平坦度測定機にて反り形状を測定した結果、X方向(a軸方向)は凹形状の−2.05μm、Y方向(m軸方向)は凹形状の−7.56μmであった。従って、X方向51の反りの向きとY方向52の反りの向きとが同じになっていることを確認できた。
[実施例2]
直径6インチφの円柱形状の酸化アルミニウム単結晶インゴットをワイヤーソーによりスライスして、厚さ1450μmで主面がc面である酸化アルミニウム単結晶ウエハーを準備した(切断工程)。
【0088】
次いで、このウエハーを両面ラップ加工にて厚さが1355μmになるまで研磨した。ラップ加工には材質がSiC、番手180#(平均粒径92μm)の研磨材を用いた(ラップ加工工程)。
【0089】
次にラップ加工工程等で形成された歪を緩和するために、1400℃で12時間、大気雰囲気下でアニール処理を行った(アニール工程)。
【0090】
次いで、部分ブラスト処理工程を実施した。
【0091】
アニール工程後のウエハーを確認したところ、Y方向52に沿った反りと、X方向51に沿った反りとの向きが異なることが確認できた。すなわちY方向52の反りを凹形状とした場合に、X方向51の反りが凸形状であることが確認できた。このため、X方向51の反りをY方向52と同じ方向の反りとなるように部分ブラスト処理工程を実施した。
【0092】
まず、アニール工程後のウエハーの一方の主表面をブラスト処理する部分だけ露出するように、テープでマスキングを行った。部分的にマスクされた状態で平均粒径が87μmのブラスト材を用いてブラスト処理を行い、Y方向52に沿って、ウエハーの両端から伸びる幅2cmの帯状の領域のみブラスト処理を行った。なお、係る帯状の領域の中心線が、ウエハーの主表面の中心を通るようにブラスト処理を行っており、ブラスト処理を行った領域の面積はウエハーの一方の主表面のうち17%に当たる(部分ブラスト処理工程)。
【0093】
その後、ウエハーの片面をメカノケミカルポリッシュすることで、厚さが1300μmの酸化アルミニウム単結晶ウエハーを得た(片面メカノケミカルポリッシュ工程)。なお、メカノケミカルポリッシュは、研磨液として主粒子径が60〜100nmのコロイダルシリカを用いて実施し、部分ブラスト処理を実施した面とは反対側の主表面について実施した。
【0094】
得られた酸化アルミニウム単結晶ウエハーの部分ブラスト処理を行った面について、レーザー干渉を用いた平坦度測定機にて反り形状を測定した結果、X方向(a軸方向)は凹形状の−0.26μm、Y方向(m軸方向)は凹形状の−6.12μmであった。従って、X方向51の反りの向きとY方向52の反りの向きとが同じになっていることを確認できた。
[実施例3]
直径6インチφの円柱形状の酸化アルミニウム単結晶インゴットをワイヤーソーによりスライスして、厚さ1450μmで主面がc面である酸化アルミニウム単結晶ウエハーを準備した(切断工程)。
【0095】
次いで、このウエハーを両面ラップ加工にて厚さが1355μmになるまで研磨した。ラップ加工には材質がSiC、番手180#(平均粒径92μm)の研磨材を用いた(ラップ加工工程)。
【0096】
次にラップ加工工程等で形成された歪を緩和するために、1400℃で12時間、大気雰囲気下でアニール処理を行った(アニール工程)。
【0097】
次いで、部分ブラスト処理工程を実施した。
【0098】
アニール工程後のウエハーを確認したところ、Y方向52に沿った反りと、X方向51に沿った反りとの向きが異なることが確認できた。すなわちY方向52の反りを凹形状とした場合に、X方向51の反りが凸形状であることが確認できた。このため、X方向51の反りをY方向52と同じ方向の反りとなるように部分ブラスト処理工程を実施した。
【0099】
まず、アニール工程後のウエハーの一方の主表面をブラスト処理する部分だけ露出するように、テープでマスキングを行った。部分的にマスクされた状態で平均粒径が87μmのブラスト材を用いてブラスト処理を行い、Y方向52に沿って、ウエハーの両端から伸びる幅4cmの帯状の領域のみブラスト処理を行った。なお、係る帯状の領域の中心線が、ウエハーの主表面の中心を通るようにブラスト処理を行っており、ブラスト処理を行った領域の面積はウエハーの一方の主表面のうち33%に当たる(部分ブラスト処理工程)。
【0100】
その後、ウエハーの片面をメカノケミカルポリッシュすることで、厚さが1300μmの酸化アルミニウム単結晶ウエハーを得た(片面メカノケミカルポリッシュ工程)。なお、メカノケミカルポリッシュは、研磨液として主粒子径が60〜100nmのコロイダルシリカを用いて実施し、部分ブラスト処理を実施した面とは反対側の主表面について実施した。
得られた酸化アルミニウム単結晶ウエハーの部分ブラスト処理を行った面について、レーザー干渉を用いた平坦度測定機にて反り形状を測定した結果、X方向(a軸方向)は凹形状の−1.50μm、Y方向(m軸方向)は凹形状の−4.88μmであった。従って、X方向51の反りの向きとY方向52の反りの向きとが同じになっていることを確認できた。
[実施例4]
直径6インチφの円柱形状の酸化アルミニウム単結晶インゴットをワイヤーソーによりスライスして、厚さ1450μmで主面がc面である酸化アルミニウム単結晶ウエハーを準備した(切断工程)。
【0101】
次いで、このウエハーを両面ラップ加工にて厚さが1355μmになるまで研磨した。ラップ加工には材質がSiC、番手180#(平均粒径92μm)の研磨材を用いた(ラップ加工工程)。
【0102】
次にラップ加工工程等で形成された歪を緩和するために、1400℃で12時間、大気雰囲気下でアニール処理を行った(アニール工程)。
【0103】
次いで、部分ブラスト処理工程を実施した。
【0104】
アニール工程後のウエハーを確認したところ、Y方向52に沿った反りと、X方向51に沿った反りとの向きが異なることが確認できた。すなわちY方向52の反りを凹形状とした場合に、X方向51の反りが凸形状であることが確認できた。このため、X方向51の反りをY方向52と同じ方向の反りとなるように部分ブラスト処理工程を実施した。
【0105】
まず、アニール工程後のウエハーの一方の主表面をブラスト処理する部分だけ露出するように、テープでマスキングを行った。部分的にマスクされた状態で平均粒径が87μmのブラスト材を用いてブラスト処理を行い、Y方向52に沿って、ウエハーの両端から伸びる幅6cmの帯状の領域のみブラスト処理を行った。なお、係る帯状の領域の中心線が、ウエハーの主表面の中心を通るようにブラスト処理を行っており、ブラスト処理を行った領域の面積はウエハーの一方の主表面のうち49%に当たる(部分ブラスト処理工程)。
【0106】
その後、ウエハーの片面をメカノケミカルポリッシュすることで、厚さが1300μmの酸化アルミニウム単結晶ウエハーを得た(片面メカノケミカルポリッシュ工程)。なお、メカノケミカルポリッシュは、研磨液として主粒子径が60〜100nmのコロイダルシリカを用いて実施し、部分ブラスト処理を実施した面とは反対側の面について実施した。
【0107】
得られた酸化アルミニウム単結晶ウエハーの部分ブラスト処理を行った面について、レーザー干渉を用いた平坦度測定機にて反り形状を測定した結果、X方向(a軸方向)は凹形状の−9.36μm、Y方向(m軸方向)は凹形状の−0.37μmであった。従って、X方向51の反りの向きとY方向52の反りの向きとが同じになっていることを確認できた。
[比較例1]
直径6インチφの円柱形状の酸化アルミニウム単結晶インゴットをワイヤーソーによりスライスして、厚さ1450μmで主面がc面である酸化アルミニウム単結晶ウエハーを準備した(切断工程)。
【0108】
次いで、このウエハーを両面ラップ加工にて厚さが1040μmになるまで研磨した。ラップ加工には材質がSiC、番手180#(平均粒径92μm)の研磨材を用いた(ラップ加工工程)。
【0109】
その後、ウエハーの両面をメカノケミカルポリッシュすることで、厚さが1010μmの酸化アルミニウム単結晶ウエハーを得た(両面メカノケミカルポリッシュ工程)。なお、メカノケミカルポリッシュは、研磨液として主粒子径が60〜100nmのコロイダルシリカを用いて実施した。
【0110】
同様の条件で3枚の酸化アルミニウム単結晶ウエハーを製造した。
【0111】
得られた3枚の酸化アルミニウム単結晶ウエハーの一方の主表面について、レーザー干渉を用いた平坦度測定機にて反り形状を測定した。得られた結果の平均値は、X方向(a軸方向)は凸形状の+3.94μm、Y方向(m軸方向)は凹形状の−13.64μmであった。
【0112】
以上の結果から、得られた酸化アルミニウム単結晶ウエハーは、凹面、凸面という単純な形状ではなく、鞍型のような縦横で凹凸が逆転する形状となっていることが確認できた。
[比較例2]
直径6インチφの円柱形状の酸化アルミニウム単結晶インゴットをワイヤーソーによりスライスして、厚さ1450μmで主面がc面である酸化アルミニウム単結晶ウエハーを準備した(切断工程)。
【0113】
次いで、このウエハーを両面ラップ加工にて厚さが1355μmになるまで研磨した。ラップ加工には材質がSiC、番手180#(平均粒径92μm)の研磨材を用いた(ラップ加工工程)。
【0114】
次にラップ加工工程等で形成された歪を緩和するために、1400℃で12時間、大気雰囲気下でアニール処理を行った(アニール工程)。
【0115】
その後、ウエハーの片面をメカノケミカルポリッシュすることで、厚さが1300μmの酸化アルミニウム単結晶ウエハーを得た(片面メカノケミカルポリッシュ工程)。なお、メカノケミカルポリッシュは、研磨液として主粒子径が60〜100nmのコロイダルシリカを用いて実施した。
【0116】
同様の条件で3枚の酸化アルミニウム単結晶ウエハーを製造した。
【0117】
得られた3枚の酸化アルミニウム単結晶ウエハーのメカノケミカルポリッシュを行った面について、レーザー干渉を用いた平坦度測定機にて反り形状を測定した。得られた結果の平均値は、X方向(a軸方向)は凸形状の+2.94μm、Y方向(m軸方向)は凹形状の−9.15μmであった。
【0118】
以上の結果から、得られた酸化アルミニウム単結晶ウエハーは、凹面、凸面という単純な形状ではなく、鞍型のような縦横で凹凸が逆転する形状となっていることが確認できた。
【0119】
以上の結果を表1にまとめて示す。
【0120】
【表1】
実施例1〜実施例4では縦方向に延びる帯状の部分ブラスト処理工程を行っており、X方向の形状のみを凸面から凹面へ形状を変化させることができたことを確認できた。従って一方向に沿った、同心円状ではない反りについて、反りを制御できることが確認できた。
【0121】
また、一方の主表面を鏡面とする場合と、両方の主表面を鏡面とする場合との、いずれの場合においても同心円状ではない反りについて反りを制御できることを確認できた。
図1
図2
図3
図4
図5