で表される構造より選ばれる基であり、Yはシロキサン結合又はシリレン基を有してもよい2〜6価の炭化水素基であり、Rは独立に炭素数1〜4のアルキル基又はフェニル基であり、Xは独立に水酸基又は加水分解性基であり、nは1〜3の整数であり、mは1〜5の整数であり、αは1又は2である。)
前記式(1)において、Yが、炭素数3〜10のアルキレン基、炭素数6〜8のアリーレン基を含むアルキレン基、アルキレン基相互がシルアルキレン構造又はシルアリーレン構造を介して結合している2価の基、及びケイ素原子数2〜10個の直鎖状又はケイ素原子数3〜10個の分岐状もしくは環状の2〜4価のオルガノポリシロキサン残基の結合手に炭素数2〜10のアルキレン基が結合している2〜4価の基からなる群より選ばれる基である請求項1〜3のいずれか1項に記載のフルオロポリエーテル基含有ポリマー変性シラン。
前記式(1)において、Xが、水酸基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数2〜10のアルコキシアルコキシ基、炭素数1〜10のアシロキシ基、炭素数2〜10のアルケニルオキシ基及びハロゲン基からなる群より選ばれる請求項1〜4のいずれか1項に記載のフルオロポリエーテル基含有ポリマー変性シラン。
前記式(1)において、Eが、炭素数1〜10の非置換又は置換の1価炭化水素基、炭素数1〜6のアルコキシ基、又はフェノキシ基である請求項1〜5のいずれか1項に記載のフルオロポリエーテル基含有ポリマー変性シラン。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明のフルオロポリエーテル基含有ポリマー変性シランは、下記一般式(1)で表されるものである。
【化8】
(式中、Rfは1価のフルオロオキシアルキル基又は2価のフルオロオキシアルキレン基含有ポリマー残基であり、Aは下記式
【化9】
(Eは1価の有機基である。)
で表される構造より選ばれる基であり、Yはシロキサン結合又はシリレン基を有してもよい2〜6価の炭化水素基であり、Rは独立に炭素数1〜4のアルキル基又はフェニル基であり、Xは独立に水酸基又は加水分解性基であり、nは1〜3の整数であり、mは1〜5の整数であり、αは1又は2である。)
【0014】
本発明のフルオロポリエーテル基含有ポリマー変性シランは、1価のフルオロオキシアルキル基又は2価のフルオロオキシアルキレン基含有ポリマー残基(Rf)と、アルコキシシリル基等の加水分解性シリル基あるいは水酸基含有シリル基(−Si(R)
3-n(X)
n)が、炭化水素鎖(Y)を介して結合した構造であり、更にポリマー内の炭素原子に結合した水酸基をアシル系保護基(カルボニル基、スルホニル基又はホスホリル基)で保護することにより、ポリマー合成過程で生成する可能性のある副生成物の発生を抑制する。
【0015】
上記式(1)において、αが1の場合、Rfとしては、下記一般式(2)で表される1価のフルオロオキシアルキル基が好ましい。
【化10】
(式中、p、q、r、sはそれぞれ0〜200の整数で、p+q+r+s=3〜200であり、dは1〜3の整数であり、各繰り返し単位は直鎖状でも分岐状であってもよく、各繰り返し単位同士はランダムに結合されていてよい。)
【0016】
上記式(1)において、αが2の場合、Rfとしては、下記一般式(3)で表される2価のフルオロオキシアルキレン基が好ましい。
【化11】
(式中、p、q、r、sはそれぞれ0〜200の整数で、p+q+r+s=3〜200であり、dは1〜3の整数であり、各繰り返し単位は直鎖状でも分岐状であってもよく、各繰り返し単位同士はランダムに結合されていてよい。)
【0017】
上記式(2)、(3)において、p、q、r、sはそれぞれ0〜200の整数、好ましくは、pは5〜100の整数、qは5〜100の整数、rは0〜100の整数、sは0〜100の整数であり、p+q+r+s=3〜200、好ましくは10〜100であり、各繰り返し単位は直鎖状でも分岐状であってもよく、各繰り返し単位同士はランダムに結合されていてよい。より好ましくはp+qは10〜105、特に15〜60の整数であり、r=s=0である。p+q+r+sが上記上限値より小さければ密着性や硬化性が良好であり、上記下限値より大きければフルオロポリエーテル基の特徴を十分に発揮することができるので好ましい。
【0018】
上記式(2)、(3)において、dは1〜3の整数であり、好ましくは1又は2であり、該単位は直鎖状でも分岐状であってもよい。
【0019】
Rfとして、具体的には、下記のものを例示することができる。
【化12】
(式中、p’、q’、r’、s’はそれぞれ1以上の整数であり、その上限は上記p、q、r、sの上限と同じである。uは1〜24、vは1〜24で、u+v=rを満足する数である。各繰り返し単位はランダムに結合されていてよい。)
【0020】
上記式(1)において、Aは下記式で表される構造より選ばれる基である。
【化13】
【0021】
ここで、Eは1価の有機基であり、炭素数1〜10、特に1〜6の非置換又は置換の1価炭化水素基、炭素数1〜6のアルコキシ基、又はフェノキシ基であることが好ましい。このようなEとして、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、sec−ペンチル基、tert−ペンチル基、シアミル基、へキシル基、イソへキシル基、sec−へキシル基、tert−ヘキシル基、テキシル基などのアルキル基、ビニル基、アリル基、プロペニル基などのアルケニル基、フェニル基、トリル基、キシリル基などのアリール基、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基などのアラルキル基等や、これらの基の水素原子の一部又は全部がフッ素、臭素、塩素等のハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、炭素数1〜3のアルコキシ基などで置換されたもの、例えばクロロメチル基、クロロプロピル基、ブロモエチル基、トリフルオロメチル基、トリフルオロプロピル基、ノナフルオロブチル基、シアノエチル基、ニトロフェニル基、メトキシフェニル基等、更に、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基などのアルコキシ基、フェノキシ基等が挙げられ、好ましくは炭素数1〜4のアルキル基、フェニル基、トリル基である。
【0022】
Aとして、具体的には、下記のものを例示することができる。
【化14】
【0023】
上記式(1)において、Yはシロキサン結合又はシリレン基を有してもよい2〜6価、好ましくは2〜4価、より好ましくは2価の炭化水素基である。
Yとして、具体的には、プロピレン基(トリメチレン基、メチルエチレン基)、ブチレン基(テトラメチレン基、メチルプロピレン基)、ヘキサメチレン基等の炭素数3〜10のアルキレン基、フェニレン基等の炭素数6〜8のアリーレン基を含むアルキレン基(例えば、炭素数8〜16のアルキレン・アリーレン基等)、アルキレン基相互がシルアルキレン構造又はシルアリーレン構造を介して結合している2価の基、ケイ素原子数2〜10個、好ましくは2〜5個の直鎖状、分岐状又は環状の2〜6価のオルガノポリシロキサン残基の結合手に炭素数2〜10のアルキレン基が結合している2〜6価の基などが挙げられ、好ましくは、炭素数3〜10のアルキレン基、フェニレン基を含むアルキレン基、アルキレン基相互がシルアルキレン構造又はシルアリーレン構造を介して結合している2価の基、ケイ素原子数2〜10個の直鎖状又はケイ素原子数3〜10個の分岐状もしくは環状の2〜4価のオルガノポリシロキサン残基の結合手に炭素数2〜10のアルキレン基が結合している2〜4価の基であり、更に好ましくは、炭素数3〜6のアルキレン基である。
【0024】
ここで、シルアルキレン構造、シルアリーレン構造としては、下記に示すものが例示できる。
【化15】
(式中、R
1はメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基、フェニル基等の炭素数6〜10のアリール基であり、R
1は同一でも異なっていてもよい。R
2はメチレン基、エチレン基、プロピレン基(トリメチレン基、メチルエチレン基)等の炭素数1〜4のアルキレン基、フェニレン基等の炭素数6〜10のアリーレン基である。)
【0025】
また、ケイ素原子数2〜10個、好ましくは2〜5個の直鎖状、分岐状又は環状の2〜6価のオルガノポリシロキサン残基としては、下記に示すものが例示できる。
【化16】
【化17】
(式中、R
1は上記と同じである。gは1〜9、好ましくは1〜4の整数であり、hは2〜6、好ましくは2〜4の整数、jは0〜8の整数、好ましくは0又は1で、h+jは3〜10、好ましくは3〜5の整数であり、kは1〜3の整数であり、好ましくは2又は3である。)
【0026】
Yの具体例としては、例えば、下記の基が挙げられる。
【化18】
【0027】
上記式(1)において、Xは互いに異なっていてよい水酸基又は加水分解性基である。このようなXとしては、水酸基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基などの炭素数1〜10のアルコキシ基、メトキシメトキシ基、メトキシエトキシ基などの炭素数2〜10のアルコキシアルコキシ基、アセトキシ基などの炭素数1〜10のアシロキシ基、イソプロペノキシ基などの炭素数2〜10のアルケニルオキシ基、クロル基、ブロモ基、ヨード基などのハロゲン基などが挙げられる。中でもメトキシ基、エトキシ基、イソプロペノキシ基、クロル基が好適である。
【0028】
上記式(1)において、Rは、炭素数1〜4のメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等のアルキル基、又はフェニル基であり、中でもメチル基が好適である。nは1〜3の整数、好ましくは2又は3であり、反応性、基材に対する密着性の観点から3がより好ましい。
mは1〜5の整数であり、1未満だと基材への密着性が低下し、6以上だと末端アルコキシ価が高すぎて性能に悪影響を与えるため、好ましくは1〜3の整数であり、特に1が好ましい。
【0029】
上記式(1)で表されるフルオロポリエーテル基含有ポリマー変性シランとしては、下記式で表されるものが例示できる。なお、各式において、フルオロオキシアルキル基又はフルオロオキシアルキレン基を構成する各繰り返し単位の繰り返し数(又は重合度)は、上記式(2),(3)を満足する任意の数をとり得るものである。
【0031】
【化20】
(式中、p1は5〜100の整数、q1は5〜100の整数で、p1+q1は10〜105の整数である。)
【0032】
上記式(1)で表され、αが1の場合のフルオロポリエーテル基含有ポリマー変性シランの調製方法としては、例えば、下記のような方法が挙げられる。
分子鎖片末端にオレフィン部位を2つ有するフルオロオキシアルキル基含有ポリマーを、溶剤、例えば1,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼンなどのフッ素系溶剤に溶解させ、トリメトキシシラン等の分子中にSiH基及び加水分解性末端基を有する有機ケイ素化合物を、ヒドロシリル化反応触媒、例えば塩化白金酸/ビニルシロキサン錯体のトルエン溶液存在下、40〜120℃、好ましくは60〜100℃、より好ましくは約80℃の温度で、1〜72時間、好ましくは20〜36時間、より好ましくは約24時間熟成させる。
【0033】
また、上記式(1)で表され、αが1の場合のフルオロポリエーテル基含有ポリマー変性シランの調製方法の別法としては、例えば下記のような方法が挙げられる。
分子鎖片末端にオレフィン部位を2つ有するフルオロオキシアルキル基含有ポリマーを、溶剤、例えば1,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼンなどのフッ素系溶剤に溶解させ、トリクロロシラン等の分子中にSiH基及び加水分解性末端基を有する有機ケイ素化合物を、ヒドロシリル化反応触媒、例えば塩化白金酸/ビニルシロキサン錯体のトルエン溶液存在下、40〜120℃、好ましくは60〜100℃、より好ましくは約80℃の温度で、1〜72時間、好ましくは20〜36時間、より好ましくは約24時間熟成させた後、シリル基上の置換基を例えばメトキシ基などに変換する。
【0034】
なお、上記分子中にSiH基及び加水分解性末端基を有する有機ケイ素化合物に代えて、加水分解性末端基を有さないSiH基含有有機ケイ素化合物を用いることもでき、この場合、有機ケイ素化合物として、分子中に加水分解性末端基を有さず、SiH基を2個以上有する有機ケイ素化合物を使用する。その際、上記の方法と同様にして分子鎖片末端にオレフィン部位を2つ有するフルオロオキシアルキル基含有ポリマーと分子中に加水分解性末端基を有さず、SiH基を2個以上有する有機ケイ素化合物とを反応させた後、該反応物のポリマー末端のSiH基とアリルトリメトキシシラン等の分子中にオレフィン部位と加水分解性末端基を有する有機ケイ素化合物とをヒドロシリル化反応触媒、例えば塩化白金酸/ビニルシロキサン錯体のトルエン溶液存在下、40〜120℃、好ましくは60〜100℃、より好ましくは約80℃の温度で、1〜72時間、好ましくは20〜36時間、より好ましくは約24時間熟成させる。
【0035】
ここで、分子鎖片末端にオレフィン部位を2つ有するフルオロオキシアルキル基含有ポリマーとしては、下記一般式(4)で表されるフルオロオキシアルキル基含有ポリマーが例示できる。
【化21】
(式中、Rf、Aは上記と同じである。Zは2価炭化水素基である。)
【0036】
上記式(4)において、Zは2価炭化水素基であり、炭素数1〜8、特に1〜4の2価炭化水素基であることが好ましく、具体的には、メチレン基、エチレン基、プロピレン基(トリメチレン基、メチルエチレン基)、ブチレン基(テトラメチレン基、メチルプロピレン基)、ヘキサメチレン基、オクタメチレン基等の炭素数1〜8のアルキレン基、フェニレン基等の炭素数6〜8のアリーレン基を含むアルキレン基(例えば、炭素数7〜8のアルキレン・アリーレン基等)などが挙げられる。Zとして、好ましくは炭素数1〜4の直鎖アルキレン基である。
【0037】
式(4)で表されるフルオロオキシアルキル基含有ポリマーとして、好ましくは下記に示すものが例示できる。なお、各式において、フルオロオキシアルキル基を構成する各繰り返し単位の繰り返し数(又は重合度)は、上記Rf中の式(2)を満足する任意の数をとり得るものである。
【化22】
【化23】
(式中、r1は1〜100の整数であり、p1、q1、p1+q1は上記と同じである。)
【0038】
上記式(4)で表されるフルオロオキシアルキル基含有ポリマーの調製方法としては、例えば、分子鎖片末端に水酸基を有するパーフルオロオキシアルキル基含有ポリマーと、アシル化剤、スルホニル化剤又はホスホリル化剤とを、塩基の存在下、必要により触媒や溶剤を用い、0〜100℃、好ましくは50〜70℃、より好ましくは約60℃の温度で、10〜25時間、好ましくは15〜20時間、より好ましくは約18時間熟成する。
【0039】
また、上記式(4)で表されるフルオロオキシアルキル基含有ポリマーの別の調製方法としては、例えば、分子鎖片末端に反応性基を有するパーフルオロオキシアルキル基含有ポリマーと、求核剤と、溶剤とを混合し、0〜80℃、好ましくは50〜70℃、より好ましくは約60℃の温度で、1〜6時間、好ましくは3〜5時間、より好ましくは約4時間熟成し、分子鎖片末端に反応性基を有するパーフルオロオキシアルキル基含有ポリマーと求核剤との反応物を得た後、これに、アシル化剤、スルホニル化剤又はホスホリル化剤、及び必要により触媒を混合し、0〜80℃、好ましくは50〜70℃、より好ましくは約60℃の温度で、1〜10時間、好ましくは3〜5時間、より好ましくは約4時間熟成する。
【0040】
ここで、式(4)で表されるフルオロオキシアルキル基含有ポリマーの調製に用いられる分子鎖片末端に水酸基を有するパーフルオロオキシアルキル基含有ポリマーとして、具体的には、下記に示すものが挙げられる。
【化24】
【化25】
(式中、r1、p1、q1、p1+q1は上記と同じである。)
【0041】
上記分子鎖片末端に水酸基を有するパーフルオロオキシアルキル基含有ポリマーの調製方法としては、例えば、分子鎖片末端に酸フロライド基(−C(=O)−F)を有するパーフルオロオキシアルキル基含有ポリマーと、求核剤としてグリニャール試薬、溶剤として例えば1,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、テトラヒドロフランを混合し、0〜80℃、好ましくは50〜70℃、より好ましくは約60℃で、1〜6時間、好ましくは3〜5時間、より好ましくは約4時間熟成する。
【0042】
ここで、パーフルオロオキシアルキル基含有ポリマーは、分子鎖片末端に有する基として、上述した酸フロライドの他に、酸ハライド、酸無水物、エステル、カルボン酸、アミドなども用いることができる。
分子鎖片末端にこれらの基を有するパーフルオロオキシアルキル基含有ポリマーとして、具体的には、下記に示すものが挙げられる。
【化26】
(式中、p1、q1、p1+q1は上記と同じである。)
【0043】
上記分子鎖片末端に水酸基を有するパーフルオロオキシアルキル基含有ポリマーの調製に用いられる求核剤としては、アリルマグネシウムハライド、3−ブテニルマグネシウムハライド、4−ペンテニルマグネシウムハライド、5−ヘキセニルマグネシウムハライドなどを用いることができる。また、対応するリチウム試薬を用いることも可能である。
求核剤の使用量は、上記分子鎖片末端に酸フロライド基等を有するパーフルオロオキシアルキル基含有ポリマーの反応性末端基1当量に対して、2〜5当量、より好ましくは2.5〜3.5当量、更に好ましくは約3当量用いることができる。
【0044】
また、上記分子鎖片末端に水酸基を有するパーフルオロオキシアルキル基含有ポリマーの調製に用いられる溶剤としては、フッ素系溶剤として、1,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、トリフルオロメチルベンゼン、メチルノナフルオロブチルエーテル、メチルノナフルオロイソブチルエーテル、エチルノナフルオロブチルエーテル、エチルノナフルオロイソブチルエーテル、1,1,1,2,3,4,4,5,5,5−デカフルオロ−3−メトキシ−2−(トリフルオロメチル)ペンタンなどのハイドロフルオロエーテル(HFE)系溶剤(3M社製、商品名:Novecシリーズ)、完全フッ素化された化合物で構成されているパーフルオロ系溶剤(3M社製、商品名:フロリナートシリーズ)などが挙げられる。更に、有機溶剤として、テトラヒドロフラン、モノエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、ジオキサンなどのエーテル系溶剤を用いることができる。
溶剤の使用量は、上記分子鎖片末端に酸フロライド基等を有するパーフルオロオキシアルキル基含有ポリマー100質量部に対して、10〜300質量部、好ましくは100〜200質量部、更に好ましくは約150質量部用いることができる。
【0045】
続いて、反応を停止し、分液操作により水層とフッ素溶剤層(フッ素化合物層)を分離する。得られたフッ素溶剤層を更に有機溶剤で洗浄し、溶剤を留去することで、上記分子鎖片末端に水酸基を有するパーフルオロオキシアルキル基含有ポリマーが得られる。
【0046】
また、式(4)で表されるフルオロオキシアルキル基含有ポリマーの調製に用いられる分子鎖片末端に反応性基を有するパーフルオロオキシアルキル基含有ポリマーは、分子鎖片末端に有する反応性基として、エステル基(−C(=O)−OR)、酸ハライド、酸無水物、カルボン酸、アミドなどを用いることができる。
分子鎖片末端にこれらの反応性基を有するパーフルオロオキシアルキル基含有ポリマーとして、具体的には、下記に示すものが挙げられる。
【化27】
(式中、p1、q1、p1+q1は上記と同じである。)
【0047】
式(4)で表されるフルオロオキシアルキル基含有ポリマーの調製に用いられる求核剤としては、アリルマグネシウムハライド、3−ブテニルマグネシウムハライド、4−ペンテニルマグネシウムハライド、5−ヘキセニルマグネシウムハライドなどを用いることができる。また、対応するリチウム試薬を用いることも可能である。
求核剤の使用量は、上記分子鎖片末端に反応性基を有するパーフルオロオキシアルキル基含有ポリマーの反応性末端基1当量に対して、2〜5当量、より好ましくは2.5〜3.5当量、更に好ましくは約3当量用いることができる。
【0048】
式(4)で表されるフルオロオキシアルキル基含有ポリマーの調製に用いられるアシル化剤としては、例えば、アシルハライドなどを用いることができ、具体的には、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水トリフルオロ酢酸、無水安息香酸、アセチルハライド、プロピオニルハライド、トリフルオロアセチルハライド、ベンゾイルハライド、メチルベンゾイルハライド(例えば、p−トルイル酸クロリド)などが挙げられる。
アシル化剤の使用量は、分子鎖片末端に水酸基を有するパーフルオロオキシアルキル基含有ポリマー又は分子鎖片末端に反応性基を有するパーフルオロオキシアルキル基含有ポリマーと求核剤との反応物の反応性末端基1当量に対して、1〜10当量、より好ましくは3〜6当量、更に好ましくは約5当量用いることができる。
【0049】
式(4)で表されるフルオロオキシアルキル基含有ポリマーの調製に用いられるスルホニル化剤としては、例えば、スルホニルハライドなどを用いることができ、具体的には、メタンスルホニルクロリド、トリフルオロメタンスルホン酸無水物、ノナフルオロブタンスルホニルフロリド、p−トルエンスルホニルクロリド、o−ニトロベンゼンスルホニルクロリドなどが挙げられる。
スルホニル化剤の使用量は、分子鎖片末端に水酸基を有するパーフルオロオキシアルキル基含有ポリマーの反応性末端基1当量に対して、1〜10当量、より好ましくは2〜5当量、更に好ましくは約3当量用いることができる。
また、分子鎖片末端に反応性基を有するパーフルオロオキシアルキル基含有ポリマーと求核剤との反応物の反応性末端基1当量に対して、1〜10当量、より好ましくは2〜4当量、更に好ましくは約3当量用いることができる。
【0050】
式(4)で表されるフルオロオキシアルキル基含有ポリマーの調製に用いられるホスホリル化剤としては、例えばホスホリルハライドなどを用いることができ、具体的には、ジメチルホスホリルクロリド、ジエチルホスホリルクロリド、ジフェニルホスホリルクロリドなどが挙げられる。
ホスホリル化剤の使用量は、分子鎖片末端に水酸基を有するパーフルオロオキシアルキル基含有ポリマーの反応性末端基1当量に対して、1〜10当量、より好ましくは2〜5当量、更に好ましくは約3当量用いることができる。
また、分子鎖片末端に反応性基を有するパーフルオロオキシアルキル基含有ポリマーと求核剤との反応物の反応性末端基1当量に対して、1〜10当量、より好ましくは2〜4当量、更に好ましくは約3当量用いることができる。
【0051】
式(4)で表されるフルオロオキシアルキル基含有ポリマーの調製に用いられる塩基としては、例えば、アミン類やアルカリ金属系塩基などを用いることができ、具体的には、アミン類では、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、DBU、イミダゾール、テトラゾールなどが挙げられる。アルカリ金属系塩基では、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム、アルキルリチウム、tert−ブトキシカリウム、リチウムジイソプロピルアミド、リチウムビス(トリメチルシリル)アミド、ナトリウムビス(トリメチルシリル)アミド、カリウムビス(トリメチルシリル)アミドなどが挙げられる。
塩基の使用量は、分子鎖片末端に水酸基を有するパーフルオロオキシアルキル基含有ポリマーの反応性末端基1当量に対して、1〜10当量、より好ましくは3〜7当量、更に好ましくは約5当量用いることができる。
【0052】
式(4)で表されるフルオロオキシアルキル基含有ポリマーの調製に用いられる触媒としては、ピリジン、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン、4−ピロリジノピリジンなどが挙げられる。
触媒の使用量は、分子鎖片末端に水酸基を有するパーフルオロオキシアルキル基含有ポリマー又は分子鎖片末端に反応性基を有するパーフルオロオキシアルキル基含有ポリマーと求核剤との反応物の反応性末端基1当量に対して、0.01〜0.2当量、より好ましくは0.025〜0.075当量、更に好ましくは約0.05当量用いることができる。
【0053】
また、式(4)で表されるフルオロオキシアルキル基含有ポリマーの調製に用いられる溶剤としては、フッ素系溶剤として、1,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、トリフルオロメチルベンゼンなどの含フッ素芳香族炭化水素系溶剤、メチルノナフルオロブチルエーテル、メチルノナフルオロイソブチルエーテル、エチルノナフルオロブチルエーテル、エチルノナフルオロイソブチルエーテル、1,1,1,2,3,4,4,5,5,5−デカフルオロ−3−メトキシ−2−(トリフルオロメチル)ペンタンなどのハイドロフルオロエーテル(HFE)系溶剤(3M社製、商品名:Novecシリーズ)、完全フッ素化された化合物で構成されているパーフルオロ系溶剤(3M社製、商品名:フロリナートシリーズ)などが挙げられる。更に、有機溶剤として、テトラヒドロフラン、モノエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、ジオキサンなどのエーテル系溶剤、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、アセトニトリルなどの極性溶剤を用いることができる。
溶剤の使用量は、分子鎖片末端に水酸基又は反応性基を有するパーフルオロオキシアルキル基含有ポリマー100質量部に対して、10〜300質量部、好ましくは50〜150質量部、更に好ましくは約100質量部用いることができる。
【0054】
続いて、反応を停止し、分液操作により有機層又は水層とフッ素溶剤層(フッ素化合物層)とを分離する。得られたフッ素溶剤層を更に有機溶剤で洗浄し、溶剤を留去することで、式(4)で表されるフルオロオキシアルキル基含有ポリマーが得られる。
【0055】
上記式(1)で表され、αが1の場合のフルオロポリエーテル基含有ポリマー変性シランの調製において、用いられる溶剤としてはフッ素系溶剤が好ましく、フッ素系溶剤としては、1,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、トリフルオロメチルベンゼンなどの含フッ素芳香族炭化水素系溶剤、メチルノナフルオロブチルエーテル、メチルノナフルオロイソブチルエーテル、エチルノナフルオロブチルエーテル、エチルノナフルオロイソブチルエーテル、1,1,1,2,3,4,4,5,5,5−デカフルオロ−3−メトキシ−2−(トリフルオロメチル)ペンタンなどのハイドロフルオロエーテル(HFE)系溶剤(3M社製、商品名:Novecシリーズ)、完全フッ素化された化合物で構成されているパーフルオロ系溶剤(3M社製、商品名:フロリナートシリーズ)などが挙げられる。
溶剤の使用量は、分子鎖片末端にオレフィン部位を2つ有するフルオロオキシアルキル基含有ポリマー100質量部に対して、10〜300質量部、好ましくは50〜150質量部、更に好ましくは約100質量部用いることができる。
【0056】
また、式(1)で表され、αが1の場合のフルオロポリエーテル基含有ポリマー変性シランの調製において、分子中にSiH基及び加水分解性末端基を有する有機ケイ素化合物としては、下記一般式(5)〜(8)で表される化合物が好ましい。
【化28】
(式中、R、X、n、R
1、R
2、g、jは上記と同じである。R
3は炭素数2〜8の2価炭化水素基である。iは2〜9、好ましくは2〜4の整数であり、i+jは2〜9の整数である。)
【0057】
ここで、R
3の炭素数2〜8、好ましくは2〜3の2価炭化水素基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基(トリメチレン基、メチルエチレン基)、ブチレン基(テトラメチレン基、メチルプロピレン基)、ヘキサメチレン基、オクタメチレン基等のアルキレン基、フェニレン基等のアリーレン基、又はこれらの基の2種以上の組み合わせ(アルキレン・アリーレン基等)などが挙げられ、これらの中でもエチレン基、トリメチレン基が好ましい。
【0058】
このような分子中にSiH基及び加水分解性末端基を有する有機ケイ素化合物としては、例えば、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、トリプロポキシシラン、トリイソプロポキシシラン、トリブトキシシラン、トリイソプロペノキシシラン、トリアセトキシシラン、トリクロロシラン、トリブロモシラン、トリヨードシラン、また以下のような有機ケイ素化合物が挙げられる。
【化29】
【0059】
式(1)で表され、αが1の場合のフルオロポリエーテル基含有ポリマー変性シランの調製において、分子鎖片末端にオレフィン部位を2つ有するフルオロオキシアルキル基含有ポリマーと分子中にSiH基及び加水分解性末端基を有する有機ケイ素化合物とを反応させる際の分子中にSiH基及び加水分解性末端基を有する有機ケイ素化合物の使用量は、分子鎖片末端にオレフィン部位を2つ有するフルオロオキシアルキル基含有ポリマーの反応性末端基1当量に対して、3〜9当量、より好ましくは5〜7当量、更に好ましくは約6当量用いることができる。
【0060】
また、式(1)で表され、αが1の場合のフルオロポリエーテル基含有ポリマー変性シランの調製において、分子中に加水分解性末端基を有さず、SiH基を2個以上有する有機ケイ素化合物としては、下記一般式(9)〜(11)で表される化合物が好ましい。
【化30】
(式中、R
1、R
2、g、i、jは上記と同じである。)
【0061】
このような分子中に加水分解性末端基を有さず、SiH基を2個以上有する有機ケイ素化合物としては、例えば、下記に示すものなどが挙げられる。
【化31】
【0062】
式(1)で表され、αが1の場合のフルオロポリエーテル基含有ポリマー変性シランの調製において、分子鎖片末端にオレフィン部位を2つ有するフルオロオキシアルキル基含有ポリマーと分子中に加水分解性末端基を有さず、SiH基を2個以上有する有機ケイ素化合物とを反応させる際の分子中に加水分解性末端基を有さず、SiH基を2個以上有する有機ケイ素化合物の使用量は、分子鎖片末端にオレフィン部位を2つ有するフルオロオキシアルキル基含有ポリマーの反応性末端基1当量に対して、5〜20当量、より好ましくは7.5〜12.5当量、更に好ましくは約10当量用いることができる。
【0063】
また、式(1)で表され、αが1の場合のフルオロポリエーテル基含有ポリマー変性シランの調製において、分子中にオレフィン部位と加水分解性末端基を有する有機ケイ素化合物としては、下記一般式(12)で表される化合物が好ましい。
【化32】
(式中、R、X、nは上記と同じである。Vは単結合、又は炭素数1〜6の2価炭化水素基である。)
【0064】
上記式(12)中、Vは単結合、又は炭素数1〜6の2価炭化水素基であり、炭素数1〜6の2価炭化水素基として、具体的には、メチレン基、エチレン基、プロピレン基(トリメチレン基、メチルエチレン基)、ブチレン基(テトラメチレン基、メチルプロピレン基)、ヘキサメチレン基等のアルキレン基、フェニレン基などが挙げられる。Vとして、好ましくは単結合、メチレン基である。
【0065】
式(1)で表され、αが1の場合のフルオロポリエーテル基含有ポリマー変性シランの調製において、分子鎖片末端にオレフィン部位を2つ有するフルオロオキシアルキル基含有ポリマーと分子中に加水分解性末端基を有さず、SiH基を2個以上有する有機ケイ素化合物との反応物と、分子中にオレフィン部位と加水分解性末端基を有する有機ケイ素化合物とを反応させる際の分子中にオレフィン部位と加水分解性末端基を有する有機ケイ素化合物の使用量は、分子鎖片末端にオレフィン部位を2つ有するフルオロオキシアルキル基含有ポリマーと分子中に加水分解性末端基を有さず、SiH基を2個以上有する有機ケイ素化合物との反応物の反応性末端基1当量に対して、2〜6当量、より好ましくは2.2〜3.5当量、更に好ましくは約3当量用いることができる。
【0066】
式(1)で表され、αが1の場合のフルオロポリエーテル基含有ポリマー変性シランの調製において、ヒドロシリル化反応触媒としては、白金黒、塩化白金酸、塩化白金酸のアルコール変性物、塩化白金酸とオレフィン、アルデヒド、ビニルシロキサン、アセチレンアルコール類等との錯体等、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、クロロトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム等の白金族金属系触媒が挙げられる。好ましくは、ビニルシロキサン配位化合物等の白金系化合物である。
ヒドロシリル化反応触媒の使用量は、分子鎖片末端にオレフィン部位を2つ有するフルオロオキシアルキル基含有ポリマー、又はこのポリマーと分子中に加水分解性末端基を有さず、SiH基を2個以上有する有機ケイ素化合物との反応物質量に対して、遷移金属換算(質量)で0.1〜100ppm、より好ましくは1〜50ppmとなる量で使用する。
【0067】
その後、溶剤及び未反応物を減圧留去することで目的の化合物を得ることができる。
例えば、分子鎖片末端にオレフィン部位を2つ有するフルオロオキシアルキル基含有ポリマーとして、下記式で表される化合物
【化33】
を使用し、分子中にSiH基及び加水分解性末端基を有する有機ケイ素化合物として、トリメトキシシランを使用した場合には、下記式で表される化合物が得られる。
【化34】
【0068】
上記式(1)で表され、αが2の場合のフルオロポリエーテル基含有ポリマー変性シランの調製方法としては、例えば、下記のような方法が挙げられる。
分子鎖両末端にオレフィン部位をそれぞれ2つ有するフルオロオキシアルキレン基含有ポリマーを、溶剤、例えば1,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼンなどのフッ素系溶剤に溶解させ、トリメトキシシラン等の分子中にSiH基及び加水分解性末端基を有する有機ケイ素化合物を、ヒドロシリル化反応触媒、例えば塩化白金酸/ビニルシロキサン錯体のトルエン溶液存在下、40〜120℃、好ましくは60〜100℃、より好ましくは約80℃の温度で、1〜72時間、好ましくは20〜36時間、より好ましくは約24時間熟成させる。
【0069】
また、上記分子中にSiH基及び加水分解性末端基を有する有機ケイ素化合物に代えて、加水分解性末端基を有さないSiH基含有有機ケイ素化合物を用いることもでき、この場合、有機ケイ素化合物として、分子中に加水分解性末端基を有さず、SiH基を2個以上有する有機ケイ素化合物を使用する。その際、上記の方法と同様にして分子鎖両末端にオレフィン部位をそれぞれ2つ有するフルオロオキシアルキレン基含有ポリマーと分子中に加水分解性末端基を有さず、SiH基を2個以上有する有機ケイ素化合物とを反応させた後、該反応物のポリマー末端のSiH基とアリルトリメトキシシラン等の分子中にオレフィン部位と加水分解性末端基を有する有機ケイ素化合物とをヒドロシリル化反応触媒、例えば塩化白金酸/ビニルシロキサン錯体のトルエン溶液存在下、40〜120℃、好ましくは60〜100℃、より好ましくは約80℃の温度で、1〜72時間、好ましくは20〜36時間、より好ましくは約24時間熟成させる。
【0070】
ここで、分子鎖両末端にオレフィン部位をそれぞれ2つ有するフルオロオキシアルキレン基含有ポリマーとしては、下記一般式(13)で表されるフルオロオキシアルキレン基含有ポリマーが例示できる。
【化35】
(式中、Rf、A、Zは上記と同じである。)
【0071】
式(13)で表されるフルオロオキシアルキレン基含有ポリマーとして、好ましくは下記に示すものが例示できる。なお、各式において、フルオロオキシアルキレン基を構成する各繰り返し単位の繰り返し数(又は重合度)は、上記Rf中の式(3)を満足する任意の数をとり得るものである。
【化36】
(式中、p1、q1、p1+q1は上記と同じである。)
【0072】
上記式(13)で表されるフルオロオキシアルキレン基含有ポリマーの調製方法としては、例えば、分子鎖両末端に水酸基を有するパーフルオロオキシアルキレン基含有ポリマーと、アシル化剤、スルホニル化剤又はホスホリル化剤とを、塩基の存在下、必要により触媒や溶剤を用い、0〜100℃、好ましくは50〜70℃、より好ましくは約60℃の温度で、10〜25時間、好ましくは15〜20時間、より好ましくは約18時間熟成する。
【0073】
また、上記式(13)で表されるフルオロオキシアルキレン基含有ポリマーの別の調製方法としては、例えば分子鎖両末端に反応性基を有するパーフルオロオキシアルキレン基含有ポリマーと、求核剤と、溶剤とを混合し、0〜80℃、好ましくは50〜70℃、より好ましくは約60℃の温度で、1〜6時間、好ましくは3〜5時間、より好ましくは約4時間熟成し、分子鎖両末端に反応性基を有するパーフルオロオキシアルキレン基含有ポリマーと求核剤との反応物を得た後、これに、アシル化剤、スルホニル化剤又はホスホリル化剤、及び必要により触媒を混合し、0〜80℃、好ましくは50〜70℃、より好ましくは約60℃の温度で、1〜10時間、好ましくは3〜5時間、より好ましくは約4時間熟成する。
【0074】
ここで、式(13)で表されるフルオロオキシアルキレン基含有ポリマーの調製に用いられる分子鎖両末端に水酸基を有するパーフルオロオキシアルキレン基含有ポリマーとして、具体的には、下記に示すものが挙げられる。
【化37】
(式中、p1、q1、p1+q1は上記と同じである。)
【0075】
上記分子鎖両末端に水酸基を有するパーフルオロオキシアルキレン基含有ポリマーの調製方法としては、例えば、分子鎖両末端に酸フロライド基(−C(=O)−F)を有するパーフルオロオキシアルキレン基含有ポリマーと、求核剤としてグリニャール試薬、溶剤として例えば1,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、テトラヒドロフランを混合し、0〜80℃、好ましくは50〜70℃、より好ましくは約60℃で、1〜6時間、好ましくは3〜5時間、より好ましくは約4時間熟成する。
【0076】
ここで、パーフルオロオキシアルキレン基含有ポリマーは、分子鎖両末端に有する基として、上述した酸フロライドの他に、酸ハライド、酸無水物、エステル、カルボン酸、アミドなども用いることができる。
分子鎖両末端にこれらの基を有するパーフルオロオキシアルキレン基含有ポリマーとして、具体的には、下記に示すものが挙げられる。
【化38】
(式中、p1、q1、p1+q1は上記と同じである。)
【0077】
上記分子鎖両末端に水酸基を有するパーフルオロオキシアルキレン基含有ポリマーの調製に用いられる求核剤としては、アリルマグネシウムハライド、3−ブテニルマグネシウムハライド、4−ペンテニルマグネシウムハライド、5−ヘキセニルマグネシウムハライドなどを用いることができる。また、対応するリチウム試薬を用いることも可能である。
求核剤の使用量は、上記分子鎖両末端に酸フロライド基等を有するパーフルオロオキシアルキレン基含有ポリマーの反応性末端基1当量に対して、4〜10当量、より好ましくは5〜7当量、更に好ましくは約6当量用いることができる。
【0078】
また、上記分子鎖両末端に水酸基を有するパーフルオロオキシアルキレン基含有ポリマーの調製に用いられる溶剤としては、フッ素系溶剤として、1,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、トリフルオロメチルベンゼン、メチルノナフルオロブチルエーテル、メチルノナフルオロイソブチルエーテル、エチルノナフルオロブチルエーテル、エチルノナフルオロイソブチルエーテル、1,1,1,2,3,4,4,5,5,5−デカフルオロ−3−メトキシ−2−(トリフルオロメチル)ペンタンなどのハイドロフルオロエーテル(HFE)系溶剤(3M社製、商品名:Novecシリーズ)、完全フッ素化された化合物で構成されているパーフルオロ系溶剤(3M社製、商品名:フロリナートシリーズ)などが挙げられる。更に、有機溶剤として、テトラヒドロフラン、モノエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、ジオキサンなどのエーテル系溶剤を用いることができる。
溶剤の使用量は、上記分子鎖両末端に酸フロライド基等を有するパーフルオロオキシアルキレン基含有ポリマー100質量部に対して、10〜300質量部、好ましくは100〜200質量部、更に好ましくは約150質量部用いることができる。
【0079】
続いて、反応を停止し、分液操作により水層とフッ素溶剤層(フッ素化合物層)を分離する。得られたフッ素溶剤層を更に有機溶剤で洗浄し、溶剤を留去することで、上記分子鎖両末端に水酸基を有するパーフルオロオキシアルキレン基含有ポリマーが得られる。
【0080】
また、式(13)で表されるフルオロオキシアルキレン基含有ポリマーの調製に用いられる分子鎖両末端に反応性基を有するパーフルオロオキシアルキレン基含有ポリマーは、分子鎖両末端に有する反応性基として、エステル基(−C(=O)−OR)、酸ハライド、酸無水物、カルボン酸、アミドなどを用いることができる。
分子鎖両末端にこれらの反応性基を有するパーフルオロオキシアルキレン基含有ポリマーとして、具体的には、下記に示すものが挙げられる。
【化39】
(式中、p1、q1、p1+q1は上記と同じである。)
【0081】
式(13)で表されるフルオロオキシアルキレン基含有ポリマーの調製に用いられる求核剤としては、アリルマグネシウムハライド、3−ブテニルマグネシウムハライド、4−ペンテニルマグネシウムハライド、5−ヘキセニルマグネシウムハライドなどを用いることができる。また、対応するリチウム試薬を用いることも可能である。
求核剤の使用量は、上記分子鎖両末端に反応性基を有するパーフルオロオキシアルキレン基含有ポリマーの反応性末端基1当量に対して、2〜5当量、より好ましくは2.5〜3.5当量、更に好ましくは約3当量用いることができる。
【0082】
式(13)で表されるフルオロオキシアルキレン基含有ポリマーの調製に用いられるアシル化剤としては、例えば、アシルハライドなどを用いることができ、具体的には、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水トリフルオロ酢酸、無水安息香酸、アセチルハライド、プロピオニルハライド、トリフルオロアセチルハライド、ベンゾイルハライドなどが挙げられる。
アシル化剤の使用量は、分子鎖両末端に水酸基を有するパーフルオロオキシアルキレン基含有ポリマーの反応性末端基1当量に対して、1〜10当量、より好ましくは3〜6当量、更に好ましくは約5当量用いることができる。
また、分子鎖両末端に反応性基を有するパーフルオロオキシアルキレン基含有ポリマーと求核剤との反応物の反応性末端基1当量に対して、1〜10当量、より好ましくは4.5〜5.5当量、更に好ましくは約5当量用いることができる。
【0083】
式(13)で表されるフルオロオキシアルキレン基含有ポリマーの調製に用いられるスルホニル化剤としては、例えば、スルホニルハライドなどを用いることができ、具体的には、メタンスルホニルクロリド、トリフルオロメタンスルホン酸無水物、ノナフルオロブタンスルホニルフロリド、p−トルエンスルホニルクロリド、o−ニトロベンゼンスルホニルクロリドなどが挙げられる。
スルホニル化剤の使用量は、分子鎖両末端に水酸基を有するパーフルオロオキシアルキレン基含有ポリマーの反応性末端基1当量に対して、1〜10当量、より好ましくは2〜5当量、更に好ましくは約3当量用いることができる。
また、分子鎖両末端に反応性基を有するパーフルオロオキシアルキレン基含有ポリマーと求核剤との反応物の反応性末端基1当量に対して、1〜10当量、より好ましくは2〜4当量、更に好ましくは約3当量用いることができる。
【0084】
式(13)で表されるフルオロオキシアルキレン基含有ポリマーの調製に用いられるホスホリル化剤としては、例えば、ホスホリルハライドなどを用いることができ、具体的には、ジメチルホスホリルクロリド、ジエチルホスホリルクロリド、ジフェニルホスホリルクロリドなどが挙げられる。
ホスホリル化剤の使用量は、分子鎖両末端に水酸基を有するパーフルオロオキシアルキレン基含有ポリマーの反応性末端基1当量に対して、1〜10当量、より好ましくは2〜5当量、更に好ましくは約3当量用いることができる。
また、分子鎖両末端に反応性基を有するパーフルオロオキシアルキレン基含有ポリマーと求核剤との反応物の反応性末端基1当量に対して、1〜10当量、より好ましくは2〜4当量、更に好ましくは約3当量用いることができる。
【0085】
式(13)で表されるフルオロオキシアルキレン基含有ポリマーの調製に用いられる塩基としては、例えば、アミン類やアルカリ金属系塩基などを用いることができ、具体的には、アミン類では、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、DBU、イミダゾール、テトラゾールなどが挙げられる。アルカリ金属系塩基では、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム、アルキルリチウム、tert−ブトキシカリウム、リチウムジイソプロピルアミド、リチウムビス(トリメチルシリル)アミド、ナトリウムビス(トリメチルシリル)アミド、カリウムビス(トリメチルシリル)アミドなどが挙げられる。
塩基の使用量は、分子鎖両末端に水酸基を有するパーフルオロオキシアルキレン基含有ポリマーの反応性末端基1当量に対して、1〜10当量、より好ましくは3〜6当量、更に好ましくは約5当量用いることができる。
【0086】
式(13)で表されるフルオロオキシアルキレン基含有ポリマーの調製に用いられる触媒としては、ピリジン、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン、4−ピロリジノピリジンなどが挙げられる。
触媒の使用量は、分子鎖両末端に水酸基を有するパーフルオロオキシアルキレン基含有ポリマー又は分子鎖両末端に反応性基を有するパーフルオロオキシアルキレン基含有ポリマーと求核剤との反応物の反応性末端基1当量に対して、0.01〜0.2当量、より好ましくは0.025〜0.075当量、更に好ましくは約0.05当量用いることができる。
【0087】
また、式(13)で表されるフルオロオキシアルキレン基含有ポリマーの調製に用いられる溶剤としては、フッ素系溶剤として、1,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、トリフルオロメチルベンゼンなどの含フッ素芳香族炭化水素系溶剤、メチルノナフルオロブチルエーテル、メチルノナフルオロイソブチルエーテル、エチルノナフルオロブチルエーテル、エチルノナフルオロイソブチルエーテル、1,1,1,2,3,4,4,5,5,5−デカフルオロ−3−メトキシ−2−(トリフルオロメチル)ペンタンなどのハイドロフルオロエーテル(HFE)系溶剤(3M社製、商品名:Novecシリーズ)、完全フッ素化された化合物で構成されているパーフルオロ系溶剤(3M社製、商品名:フロリナートシリーズ)などが挙げられる。更に、有機溶剤として、テトラヒドロフラン、モノエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、ジオキサンなどのエーテル系溶剤、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、アセトニトリルなどの極性溶剤を用いることができる。
溶剤の使用量は、分子鎖両末端に水酸基又は反応性基を有するパーフルオロオキシアルキレン基含有ポリマー100質量部に対して、10〜300質量部、好ましくは50〜150質量部、更に好ましくは約100質量部用いることができる。
【0088】
続いて、反応を停止し、分液操作により有機層又は水層とフッ素溶剤層(フッ素化合物層)とを分離する。得られたフッ素溶剤層を更に有機溶剤で洗浄し、溶剤を留去することで、式(13)で表されるフルオロオキシアルキレン基含有ポリマーが得られる。
【0089】
上記式(1)で表され、αが2の場合のフルオロポリエーテル基含有ポリマー変性シランの調製において、用いられる溶剤としてはフッ素系溶剤が好ましく、フッ素系溶剤としては、1,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、トリフルオロメチルベンゼンなどの含フッ素芳香族炭化水素系溶剤、メチルノナフルオロブチルエーテル、メチルノナフルオロイソブチルエーテル、エチルノナフルオロブチルエーテル、エチルノナフルオロイソブチルエーテル、1,1,1,2,3,4,4,5,5,5−デカフルオロ−3−メトキシ−2−(トリフルオロメチル)ペンタンなどのハイドロフルオロエーテル(HFE)系溶剤(3M社製、商品名:Novecシリーズ)、完全フッ素化された化合物で構成されているパーフルオロ系溶剤(3M社製、商品名:フロリナートシリーズ)などが挙げられる。
溶剤の使用量は、分子鎖両末端にオレフィン部位をそれぞれ2つ有するフルオロオキシアルキレン基含有ポリマー100質量部に対して、10〜300質量部、好ましくは50〜150質量部、更に好ましくは約100質量部用いることができる。
【0090】
また、式(1)で表され、αが2の場合のフルオロポリエーテル基含有ポリマー変性シランの調製において、分子中にSiH基及び加水分解性末端基を有する有機ケイ素化合物としては、下記一般式(5)〜(8)で表される化合物が好ましい。
【化40】
(式中、R、X、n、R
1、R
2、R
3、g、i、jは上記と同じである。)
【0091】
このような分子中にSiH基及び加水分解性末端基を有する有機ケイ素化合物としては、例えば、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、トリプロポキシシラン、トリイソプロポキシシラン、トリブトキシシラン、トリイソプロペノキシシラン、トリアセトキシシラン、トリクロロシラン、トリブロモシラン、トリヨードシラン、また以下のような有機ケイ素化合物が挙げられる。
【化41】
【0092】
式(1)で表され、αが2の場合のフルオロポリエーテル基含有ポリマー変性シランの調製において、分子鎖両末端にオレフィン部位をそれぞれ2つ有するフルオロオキシアルキレン基含有ポリマーと分子中にSiH基及び加水分解性末端基を有する有機ケイ素化合物とを反応させる際の分子中にSiH基及び加水分解性末端基を有する有機ケイ素化合物の使用量は、分子鎖両末端にオレフィン部位をそれぞれ2つ有するフルオロオキシアルキレン基含有ポリマーの反応性末端基1当量に対して、4〜12当量、より好ましくは4.4〜7当量、更に好ましくは約6当量用いることができる。
【0093】
また、式(1)で表され、αが2の場合のフルオロポリエーテル基含有ポリマー変性シランの調製において、分子中に加水分解性末端基を有さず、SiH基を2個以上有する有機ケイ素化合物としては、下記一般式(9)〜(11)で表される化合物が好ましい。
【化42】
(式中、R
1、R
2、g、i、jは上記と同じである。)
【0094】
このような分子中に加水分解性末端基を有さず、SiH基を2個以上有する有機ケイ素化合物としては、例えば、下記に示すものなどが挙げられる。
【化43】
【0095】
式(1)で表され、αが2の場合のフルオロポリエーテル基含有ポリマー変性シランの調製において、分子鎖両末端にオレフィン部位をそれぞれ2つ有するフルオロオキシアルキレン基含有ポリマーと分子中に加水分解性末端基を有さず、SiH基を2個以上有する有機ケイ素化合物とを反応させる際の分子中に加水分解性末端基を有さず、SiH基を2個以上有する有機ケイ素化合物の使用量は、分子鎖両末端にオレフィン部位をそれぞれ2つ有するフルオロオキシアルキレン基含有ポリマーの反応性末端基1当量に対して、5〜20当量、より好ましくは7.5〜12.5当量、更に好ましくは約10当量用いることができる。
【0096】
また、式(1)で表され、αが2の場合のフルオロポリエーテル基含有ポリマー変性シランの調製において、分子中にオレフィン部位と加水分解性末端基を有する有機ケイ素化合物としては、下記一般式(12)で表される化合物が好ましい。
【化44】
(式中、R、X、V、nは上記と同じである。)
【0097】
式(1)で表され、αが2の場合のフルオロポリエーテル基含有ポリマー変性シランの調製において、分子鎖両末端にオレフィン部位をそれぞれ2つ有するフルオロオキシアルキレン基含有ポリマーと分子中に加水分解性末端基を有さず、SiH基を2個以上有する有機ケイ素化合物との反応物と、分子中にオレフィン部位と加水分解性末端基を有する有機ケイ素化合物とを反応させる際の分子中にオレフィン部位と加水分解性末端基を有する有機ケイ素化合物の使用量は、分子鎖両末端にオレフィン部位をそれぞれ2つ有するフルオロオキシアルキレン基含有ポリマーと分子中に加水分解性末端基を有さず、SiH基を2個以上有する有機ケイ素化合物との反応物の反応性末端基1当量に対して、2〜6当量、より好ましくは2.2〜3.5当量、更に好ましくは約3当量用いることができる。
【0098】
式(1)で表され、αが2の場合のフルオロポリエーテル基含有ポリマー変性シランの調製において、ヒドロシリル化反応触媒としては、白金黒、塩化白金酸、塩化白金酸のアルコール変性物、塩化白金酸とオレフィン、アルデヒド、ビニルシロキサン、アセチレンアルコール類等との錯体等、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、クロロトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム等の白金族金属系触媒が挙げられる。好ましくは、ビニルシロキサン配位化合物等の白金系化合物である。
ヒドロシリル化反応触媒の使用量は、分子鎖両末端にオレフィン部位をそれぞれ2つ有するフルオロオキシアルキレン基含有ポリマー、又はこのポリマーと分子中に加水分解性末端基を有さず、SiH基を2個以上有する有機ケイ素化合物との反応物質量に対して、遷移金属換算(質量)で0.1〜100ppm、より好ましくは1〜50ppmとなる量で使用する。
【0099】
その後、溶剤及び未反応物を減圧留去することで目的の化合物を得ることができる。
例えば、分子鎖両末端にオレフィン部位をそれぞれ2つ有するフルオロオキシアルキレン基含有ポリマーとして、下記式で表される化合物
【化45】
を使用し、分子中にSiH基及び加水分解性末端基を有する有機ケイ素化合物として、トリメトキシシランを使用した場合には、下記式で表される化合物が得られる。
【化46】
【0100】
本発明においては、上記フルオロポリエーテル基含有ポリマー変性シランの末端加水分解性基を予め公知の方法により部分的に加水分解して水酸基としたもの、即ち上記式(1)で表されるフルオロポリエーテル基含有ポリマー変性シラン中のXの加水分解性基の一部を加水分解して水酸基としたものも用いることができる。
【0101】
本発明のフルオロポリエーテル基含有ポリマー変性シランは、合成過程での副生成物の生成を抑制することができる。
【実施例】
【0102】
以下、合成例、実施例及び比較例を示し、本発明をより詳細に説明するが、本発明は下記実施例によって限定されるものではない。
【0103】
[合成例1]
反応容器に、テトラヒドロフラン150g、1,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン300gを混合し、0.7Mのアリルマグネシウムブロミド160mlを滴下した。続いて、下記式(a)
【化47】
で表される化合物300g(4.8×10
-2mol)をゆっくりと滴下した後、60℃で4時間加熱した。加熱終了後、室温まで冷却し、1.2M塩酸水溶液300g中へ溶液を滴下し、反応を停止させた。分液操作により、下層であるフッ素化合物層を回収後、アセトンで洗浄した。洗浄後の下層であるフッ素化合物層を再び回収し、減圧下、残存溶剤を留去することで、下記式(A)
【化48】
で表されるフルオロポリエーテル基含有ポリマー292gを得た。
【0104】
[実施例1]
反応容器に、1,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン300g、無水酢酸41.9g(0.41mol)、トリエチルアミン41.5g(4.1×10
-1mol)、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン0.49g(4.1×10
-3mol)を混合した。続いて、下記式(A)
【化49】
で表される化合物300g(8.1×10
-2mol)をゆっくりと滴下した後、60℃で18時間加熱した。加熱終了後、室温まで冷却し、水を滴下した。分液操作により、下層であるフッ素化合物層を回収後、メタノールで洗浄した。洗浄後の下層であるフッ素化合物層を再び回収し、減圧下、残存溶剤を留去することで、下記式(B)
【化50】
で表されるフルオロポリエーテル基含有ポリマー292gを得た。
【0105】
1H−NMR
δ1.8−1.9(−OCOC
H3)3H
δ2.7−2.8,2.9−3.0(−C
H2CH=CH
2)4H
δ5.0−5.1(−CH
2CH=C
H2)4H
δ5.7−5.8(−CH
2C
H=CH
2)2H
【0106】
反応容器に、上記で得られた下記式(B)
【化51】
で表される化合物200g(5.4×10
-2mol)、1,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン200g、トリメトキシシラン19.8g(1.6×10
-1mol)、及び塩化白金酸/ビニルシロキサン錯体のトルエン溶液0.20g(Pt単体として5.3×10
-6molを含有)を混合し、80℃で24時間熟成させた。その後、溶剤及び未反応物を減圧留去し、液状の生成物205gを得た。
【0107】
得られた化合物は、NMRにより下記式(C)で表される構造であることが確認された。
【化52】
【0108】
1H−NMR
δ0.4−0.5(−CH
2CH
2C
H2−Si)4H
δ1.3−1.5(−CH
2C
H2CH
2−Si)4H
δ1.8−1.9(−OCOC
H3)3H
δ2.0−2.2(−C
H2CH
2CH
2−Si)4H
δ3.4−3.5(−Si(OC
H3)
3)18H
【0109】
[合成例2]
反応容器に、テトラヒドロフラン150g、1,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン300gを混合し、1Mのアリルマグネシウムクロリド250ml(2.5×10
-1mol)を滴下した。続いて、下記式(b)
【化53】
で表される化合物300g(8.4×10
-2mol)をゆっくりと滴下した後、60℃で4時間加熱した。その後、室温まで冷却した後、無水酢酸43g(4.2×10
-1mol)、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン0.51g(4.2×10
-3mol)を混合し、更に60℃で4時間加熱した。加熱終了後、室温まで冷却し、1.2M塩酸水溶液中へ溶液を滴下し、反応を停止させた。分液操作により、下層であるフッ素化合物層を回収後、アセトンで洗浄した。洗浄後の下層であるフッ素化合物層を再び回収し、減圧下、残存溶剤を留去することで、下記式(B)
【化54】
で表されるフルオロポリエーテル基含有ポリマー290gを得た。
【0110】
[実施例2]
反応容器に、テトラヒドロフラン75g、水素化ナトリウム(60質量%品)2.7g(6.8×10
-2mol)を混合し、下記式(A)
【化55】
で表される化合物50g(1.4×10
-2mol)をゆっくりと滴下した後、40℃で1時間加熱した。続いて、p−トルイル酸クロリド10.5g(6.8×10
-2mol)、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン8.6×10
-2g(7.0×10
-4mol)を添加し、60℃で18時間加熱した。加熱終了後、室温まで冷却し、1.2M塩酸水溶液に滴下した。分液操作により、下層であるフッ素化合物層を回収後、アセトンで洗浄した。洗浄後の下層であるフッ素化合物層を再び回収し、減圧下、残存溶剤を留去することで、下記式(D)
【化56】
で表されるフルオロポリエーテル基含有ポリマー40gを得た。
【0111】
1H−NMR
δ2.2−2.3(−OCOC
6H
4C
H3)3H
δ2.8−2.9,3.1−3.2(−C
H2CH=CH
2)4H
δ4.9−5.2(−CH
2CH=C
H2)4H
δ5.7−5.9(−CH
2C
H=CH
2)2H
δ7.0−7.1,7.8−7.9(−OCOC
6H4CH
3)4H
【0112】
反応容器に、上記で得られた下記式(D)
【化57】
で表される化合物40g(1.1×10
-2mol)、1,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン40g、トリメトキシシラン4.0g(3.3×10
-2mol)、及び塩化白金酸/ビニルシロキサン錯体のトルエン溶液4.1×10
-2g(Pt単体として1.1×10
-6molを含有)を混合し、80℃で24時間熟成させた。その後、溶剤及び未反応物を減圧留去した。続いて、分子蒸留装置により残存する低沸点成分、高沸点成分を取り除いたところ、液状の生成物42gを得た。
【0113】
得られた化合物は、NMRにより下記式(E)で表される構造であることが確認された。
【化58】
【0114】
1H−NMR
δ0.3−0.4(−CH
2CH
2C
H2−Si)4H
δ1.2−1.5(−CH
2C
H2CH
2−Si)4H
δ2.1−2.3(−OCOC
6H
4C
H3)3H
δ2.4−2.5(−C
H2CH
2CH
2−Si)4H
δ3.4−3.6(−Si(OC
H3)
3)18H
δ7.0−7.1,7.8−7.9(−OCOC
6H4CH
3)4H
【0115】
[実施例3]
反応容器に、メチルノナフルオロブチルエーテル100g、トリエチルアミン13.6g(1.3×10
-1mol)、下記式(A)
【化59】
で表される化合物100g(2.7×10
-2mol)を混合し、5℃に冷却した。続いて、メタンスルホニルクロリド6.2g(5.4×10
-2mol)をゆっくりと滴下した後、25℃で20時間熟成させた。その後、1.2M塩酸水溶液に滴下した。分液操作により、下層であるフッ素化合物層を回収後、アセトン、メタノールで洗浄した。洗浄後の下層であるフッ素化合物層を再び回収し、減圧下、残存溶剤を留去することで、下記式(F)
【化60】
で表されるフルオロポリエーテル基含有ポリマー95gを得た。
【0116】
1H−NMR
δ2.7−3.2(−C
H2CH=CH
2、−OSO
2C
H3)7H
δ5.0−5.2(−CH
2CH=C
H2)4H
δ5.7−5.9(−CH
2C
H=CH
2)2H
【0117】
反応容器に、上記で得られた下記式(F)
【化61】
で表される化合物200g(5.4×10
-2mol)、1,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン200g、トリメトキシシラン19.8g(1.6×10
-1mol)、及び塩化白金酸/ビニルシロキサン錯体のトルエン溶液0.20g(Pt単体として5.3×10
-6molを含有)を混合し、80℃で24時間熟成させた。その後、溶剤及び未反応物を減圧留去し、液状の生成物201gを得た。
【0118】
得られた化合物は、NMRにより下記式(G)で表される構造であることが確認された。
【化62】
【0119】
1H−NMR
δ0.4−0.6(−CH
2CH
2C
H2−Si)4H
δ1.2−1.4(−CH
2C
H2CH
2−Si)4H
δ2.0−2.3(−C
H2CH
2CH
2−Si)4H
δ2.7−3.1(−OSO
2C
H3)3H
δ3.5−3.7(−Si(OC
H3)
3)18H
【0120】
[合成例3]
反応容器に、テトラヒドロフラン150g、1,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン300gを混合し、0.7Mのアリルマグネシウムブロミド320mlを滴下した。続いて、下記式(h)
【化63】
で表される化合物300g(9.6×10
-2mol)をゆっくりと滴下した後、60℃で4時間加熱した。加熱終了後、室温まで冷却し、1.2M塩酸水溶液300g中へ溶液を滴下し、反応を停止させた。分液操作により、下層であるフッ素化合物層を回収後、アセトンで洗浄した。洗浄後の下層であるフッ素化合物層を再び回収し、減圧下、残存溶剤を留去することで、下記式(H)
【化64】
で表されるフルオロポリエーテル基含有ポリマー286gを得た。
【0121】
[実施例4]
反応容器に、1,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン100g、無水酢酸13.3g(0.13mol)、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン0.16g(1.3×10
-3mol)を混合した。続いて、下記式(H)
【化65】
で表される化合物100g(2.6×10
-2mol)をゆっくりと滴下した後、60℃で18時間加熱した。加熱終了後、室温まで冷却し、水を滴下した。分液操作により、下層であるフッ素化合物層を回収後、メタノールで洗浄した。洗浄後の下層であるフッ素化合物層を再び回収し、減圧下、残存溶剤を留去することで、下記式(I)
【化66】
で表されるフルオロポリエーテル基含有ポリマー97gを得た。
【0122】
1H−NMR
δ1.8−2.0(−OCOC
H3)6H
δ2.7−2.8,2.9−3.0(−C
H2CH=CH
2)8H
δ5.1−5.2(−CH
2CH=C
H2)8H
δ5.7−5.9(−CH
2C
H=CH
2)4H
【0123】
反応容器に、下記式(I)
【化67】
で表される化合物90g(2.3×10
-2mol)、1,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン90g、トリメトキシシラン8.4g(6.9×10
-2mol)、及び塩化白金酸/ビニルシロキサン錯体のトルエン溶液8.5×10
-2g(Pt単体として2.3×10
-6molを含有)を混合し、80℃で24時間熟成させた。その後、溶剤及び未反応物を減圧留去し、液状の生成物94gを得た。
【0124】
得られた化合物は、NMRにより下記式(J)で表される構造であることが確認された。
【化68】
【0125】
1H−NMR
δ0.4−0.6(−CH
2CH
2C
H2−Si)8H
δ1.3−1.6(−CH
2C
H2CH
2−Si)8H
δ1.7−1.9(−OCOC
H3)6H
δ2.0−2.3(−C
H2CH
2CH
2−Si)8H
δ3.3−3.5(−Si(OC
H3)
3)36H
【0126】
[比較例1]
反応容器に、下記式(A)
【化69】
で表される化合物200g(2.6×10
-2mol)、1,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン200g、トリメトキシシラン12.7g(1.1×10
-1mol)、及び塩化白金酸/ビニルシロキサン錯体のトルエン溶液6.0×10
-1g(Pt単体として1.6×10
-5molを含有)を混合し、80℃で40時間熟成させた。その後、溶剤及び未反応物を減圧留去し、液状の生成物203gを得た。
【0127】
得られた化合物は、NMRにより下記式(K)で表される構造であることが確認された。
【化70】
【0128】
1H−NMR
δ0.2−2.2(−C
H2C
H2C
H2−)12H
δ3.0−3.5(−Si(OC
H3)
3)18H
【0129】
実施例1〜4で得られたフルオロポリエーテル基含有ポリマー変性シラン及び比較例1のポリマーの
1H−NMR測定時の副生成物の含有割合を表1に示す。比較例1では水酸基による副生成物が5質量%確認されるが、実施例1〜4では水酸基をアシル基で保護することにより副生成物の生成を抑制できた。この際、比較例1における副生成物は、水酸基上にトリメトキシシランが付加したポリマーであると推測される。
【0130】
【表1】