【解決手段】コマンドを表す複数のデータ片に後続してCRCデータ片が配置されているデータ信号の受信S2により、各データ片を1つずつ順次取り込みつつ、1つの取込データ片の取り込みが為されるS3度に、取り込み済みのデータ片に基づく巡回冗長検査演算を行ってCRC演算値を得るS4。そして、1つのデータ片が取り込まれた際に算出されたCRC演算値と、当該1つのデータ片に後続するデータ片の値とが一致した時点をデータの終端部として検出するS6。この際、取り込み済みのデータ片によって表されるコマンドが非対応コマンドである場合にはS7YES、上記のように検出したデータ終端部のタイミングでコマンドエラー信号を送信するS9。
コマンドを表す複数のデータ片の系列に後続して、前記複数のデータ片に基づく巡回冗長検査演算によって算出された値を示すCRCデータ片が配置されているデータ信号を受信して、前記コマンドに応じた送信を行う半導体通信装置であって、
受信した前記データ信号から前記複数のデータ片及び前記CRCデータ片の各々を取込データ片として1つずつ順次取り込みつつ、1つの前記取込データ片の取り込みが為される度に、現時点までに取り込まれた前記取込データ片に基づく巡回冗長検査演算を行ってCRC演算値を得るCRC演算部と、
前記1つの取込データ片に後続する取込データ片によって示される値と前記CRC演算値とが一致したときに、前記データ信号のデータ終端部を検出したことを示す終端検出信号を生成する比較部と、
前記終端検出信号に応じて、前記取込データ片の各々によって表される前記コマンドが非対応コマンドであるか否かを判定し、前記コマンドが前記非対応コマンドであると判定した場合にコマンドエラー信号を送信する通信応答部と、を有することを特徴とする半導体通信装置。
前記通信応答部は、前記データ信号を表す無線送信波をアンテナを介して受信し、前記コマンドエラー信号又は前記タグデータ信号を表す無線送信波を前記アンテナを介して送信することを特徴とする請求項3記載の半導体通信装置。
コマンドを表す複数のデータ片の系列に後続して、前記複数のデータ片に基づく巡回冗長検査演算によって算出された値を示すCRCデータ片が配置されているデータ信号を無線送信する無線リーダライタと、前記データ信号を受信して、前記コマンドに応じて前記無線リーダライタに対して無線送信を行う半導体タグと、を有する通信システムであって、
前記半導体タグは、
受信した前記データ信号から前記複数のデータ片及び前記CRCデータ片の各々を取込データ片として1つずつ順次取り込みつつ、1つの前記取込データ片の取り込みが為される度に、現時点までに取り込まれた前記取込データ片に基づく巡回冗長検査演算を行ってCRC演算値を得るCRC演算部と、
前記1つの取込データ片に後続する取込データ片によって示される値と前記CRC演算値とが一致したときに、前記データ信号のデータ終端部を検出したことを示す終端検出信号を生成する比較部と、
前記終端検出信号に応じて、前記取込データ片の各々によって表される前記コマンドが非対応コマンドであるか否かを判定し、前記コマンドが前記非対応コマンドであると判定した場合にコマンドエラー信号を送信する通信応答部と、を有することを特徴とする通信システム。
前記通信応答部は、前記データ信号を表す無線送信波をアンテナを介して受信し、前記コマンドエラー信号又は前記タグデータ信号を表す無線送信波を前記アンテナを介して送信することを特徴とする請求項7記載の通信システム。
コマンドを表す複数のデータ片の系列に後続して、前記複数のデータ片に基づく巡回冗長検査演算によって算出された値を示すCRCデータ片が配置されているデータ信号を受信して、前記コマンドに応じた送信を行う通信装置の通信方法であって、
受信した前記データ信号から前記複数のデータ片及び前記CRCデータ片の各々を取込データ片として1つずつ順次取り込むステップと、
1つの前記取込データ片の取り込みが為される度に、現時点までに取り込まれた前記取込データ片に基づく巡回冗長検査演算を行ってCRC演算値を得るステップと、
前記1つの取込データ片に後続する取込データ片を後続取込データ片として取り込むステップと、
前記後続取込データ片によって示される値と前記CRC演算値とが一致したときに、前記取込データ片の各々によって表される前記コマンドが非対応コマンドである場合にコマンドエラー信号を送信するステップと、を有することを特徴とする通信方法
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0016】
図1は、本発明に係る半導体通信装置を含む通信システム10を示すブロック図である。
図1において、無線リーダライタ100及び本発明に係る半導体通信装置としてのIC(integrated circuit)タグ200は、例えばNFC規格に準拠した無線通信により、両者間の通信を確立する。
【0017】
無線リーダライタ100は、ICタグ200に予め記憶されている識別コード、属性情報、通信履歴情報等の各種タグ情報の読み取り、並びに通信履歴の書き込み等のアクセスを行う。尚、ICタグ200は、そのタグの役割、或いは仕様の違いにより各種のタイプに分類される。
【0018】
無線リーダライタ100は、ICタグ200のタイプ毎に規定されている各種コマンドを表すコマンドデータ信号CMによって無線用の搬送波信号を変調することにより、このコマンドデータ信号CMを表す無線送信波をICタグ200に送信する。
【0019】
図2は、当該コマンドデータ信号CMのフォーマットの一例を示す図である。コマンドデータ信号CMは、2値のデータビットの系列からなるシリアルデータ信号であり、
図2に示すように、ヘッダ部SoS、コマンドデータ部CDT、CRC(Cyclic Redundancy Check)データ部CRT、終端部EoSを有する。
【0020】
ヘッダ部SoSは、コマンドデータ信号CMの先頭を表す特有のシリアルビットパターンを有する。コマンドデータ部CDTは、ICタグ200をアクセスする為のコマンドを表すデータd1〜d(E)(Eは2以上の整数)の系列からなる。尚、各データdは、例えば8ビット分の2値のシリアルビットの系列からなる。CRCデータ部CRTは、コマンドデータ部CDTの全ビット、つまりデータd1〜d(E)による8・Eビット分のデータに対して予め巡回冗長検査演算を施して得られた値を16ビットで表すデータからなる。尚、CRCデータ部CRTは、当該16ビットデータにおける上位8ビットを2値のシリアルビットの系列で表すCRCデータC1と、下位8ビットを2値のシリアルビットの系列で表すCRCデータC2と、からなる。終端部EoSは、コマンドデータ信号CMの終端を表す特有のビットパターンを有する終端データからなる。
【0021】
無線リーダライタ100は、ICタグ200から送信された無線送信波を受信し、これに検波及び復調処理を施すことにより、上記した識別コード、属性情報、通信履歴情報等のタグ情報を示すタグデータ信号TD、或いはコマンドエラー信号ERRを取得する。
【0022】
図3は、ICタグ200の内部構成を示すブロック図である。
図3において、アンテナ20は、無線リーダライタ100から送信された無線送信波を受信して得た高周波信号RFを送受信部21に供給する。
【0023】
送受信部21は、高周波信号RFを検波し、復調することにより
図2に示すコマンドデータ信号CMを得て、これを終端検出部22及びコマンド判定部23に供給する。
【0024】
終端検出部22は、コマンドデータ信号CMにおけるデータの終端部を検出し、当該データ終端部の検出時点以前の期間では例えば論理レベル0を有し、データ終端部の検出に応じて論理レベル0から論理レベル1に遷移する終端検出信号EDを生成する。終端検出部22は、当該終端検出信号EDを送受信部21及びコマンド判定部23に供給する。
【0025】
図4は、終端検出部22の内部構成を示す回路図である。
図4において、シリアルパラレル変換回路220は、コマンドデータ信号CMを1ビット毎に順次取り込み、取り込んだデータを、
図2に示すクロック信号CKに同期させて8ビット分毎のパラレルのデータLDTの系列に変換する。シリアルパラレル変換回路220は、当該データLDTの系列をCRC演算回路221及びアンドゲート222に供給する。つまり、シリアルパラレル変換回路220は、
図2に示すコマンドデータ信号CMに含まれるデータd1〜d(E)、CRCデータC1及びC2からなるデータ片の各々を8ビットパラレルのデータLDTとして、CRC演算回路221及びアンドゲート222に供給するのである。
【0026】
CRC演算回路221は、データLDTの系列をクロック信号CKに同期させて順次取り込み、1つのデータLDTが取り込まれる度に、取り込み済みのデータLDT各々のデータ値に基づく巡回冗長検査演算を行ってCRC演算値を得る。CRC演算回路221は、当該CRC演算値を例えば16ビットで表すCRC演算値データCVをアンドゲート223に供給する。
【0027】
例えば、CRC演算回路221は、
図2に示すように、データLDTとしての最初のデータd1を取り込むと、このデータd1に基づく巡回冗長検査演算により、16ビットのCRC演算値データCVを得る。そして、次のデータd2を取り込むと、CRC演算回路221は、データd1及びd2に基づく巡回冗長検査演算により、16ビットのCRC演算値データCVを得る。引き続き、次のデータd3を取り込むと、CRC演算回路221は、データd1〜d3に基づく巡回冗長検査演算により、16ビットのCRC演算値データCVを得るのである。よって、データLDTとして、コマンドデータ部CDTの全データ、つまり先頭のデータd1から最後尾のデータd(E)までの取り込みが終了すると、CRC演算回路221は、全てのデータd1〜d(E)に基づく巡回冗長検査演算の結果を示す16ビットのCRC演算値データCVを得る。この際、データd1〜d(E)に誤りが生じていなければ、当該CRC演算値データCVは、CRCデータ部CRTに含まれるCRCデータC1及びC2を連結させた16ビットのCRCデータ(C1、C2)と同一となる。
【0028】
アンドゲート222は、終端検出部22をイネーブル状態に設定させる論理レベル1の動作信号FLGが供給されている場合にだけ、シリアルパラレル変換回路220から供給されたデータLDTを、8ビットラッチ224に供給する。8ビットラッチ224は、アンドゲート222を介して供給された8ビットのデータLDTをクロック信号CKに応じて取り込み、これをデータDT1としてアンドゲート225及び比較器226に供給する。アンドゲート225は、論理レベル1の動作信号FLGが供給されている場合にだけ、8ビットラッチ224から供給されたデータDT1を8ビットラッチ227に供給する。8ビットラッチ227は、アンドゲート225を介して供給されたデータDT1をクロック信号CKに応じて取り込み、これをデータDT2として比較器226に供給する。
【0029】
アンドゲート223は、論理レベル1の動作信号FLGが供給されている場合にだけ、CRC演算回路221から供給された16ビットのCRC演算値データCVを16ビットラッチ228に供給する。16ビットラッチ228は、アンドゲート223を介して供給された16ビットのCRC演算値データCVをクロック信号CKに応じて取り込み、これをCRC演算値データCV1としてアンドゲート229に供給する。アンドゲート229は、論理レベル1の動作信号FLGが供給されている場合にだけ、16ビットラッチ228から供給されたCRC演算値データCV1を16ビットラッチ230に供給する。16ビットラッチ230は、アンドゲート229を介して供給されたCRC演算値データCV1をクロック信号CKに応じて取り込み、これをCRC演算値データCV2として比較器226に供給する。
【0030】
比較器226は、上記したデータDT1にて示される8ビットを上位ビット群、データDT2にて示される8ビットを下位ビット群として両者を連結させた16ビットのデータ(DT1、DT2)と、16ビットのCRC演算値データCV2とを比較する。比較器226は、当該データ(DT1、DT2)と、CRC演算値データCV2とが互いに同一である場合には論理レベル1、異なる場合には論理レベル0を有する信号を、上記した終端検出信号EDとして出力する。
【0031】
図4に示す構成により、終端検出部22は、コマンドデータ信号CM中のデータd1〜d(E)、CRCデータC1及びC2からなる、夫々が8ビットのデータ片(LDT)の各々を順次取り込みつつ、1つのデータ片を取り込む度に、以下のCRCチェックを行う。
【0032】
すなわち、終端検出部22は、先ず、現時点において取り込み済みの全てのデータ片に基づく巡回冗長検査演算により、16ビットのCRC演算値データ(CV2)を得る。次に、終端検出部22は、この1つのデータ片の直後に取り込まれる8ビットのデータ片(DT1)と、当該データ片(DT1)の直後に取り込まれる8ビットのデータ片(DT2)とを連結した16ビットのデータ片を取得する。そして、終端検出部22は、当該16ビットのデータ片と、上記CRC演算値データCV2とが一致しているか否かの判定を行う。
【0033】
終端検出部22は、上記したCRCチェックにより、1つのデータ片を取り込んだ際に算出されたCRC演算値データ(CV2)と、この1つのデータ片の直後に取り込んだ16ビット分のデータ片(DT1、DT2)とが一致していると判定されたときに、データ終端部を検出したことを示す論理レベル1の終端検出信号EDを生成する。
【0034】
つまり、コマンドデータ信号CM中には、コマンドを表すデータd1〜d(E)の系列の直後に、当該データd1〜d(E)に基づく巡回冗長検査演算によって予め算出しておいたCRC値を表すCRCデータC1及びC2が配置されている。
【0035】
よって、受信したコマンドデータ信号CM中にビット誤りが生じていなければ、データd1〜d(E)のうちでデータd(E)の取り込みに応じて算出された16ビットのCRC演算値データCV2のみが、このデータd(E)の直後に配置されているCRCデータC1及びC2を連結させた16ビットのデータとその値が一致することになる。この際、両者が一致した時点において、コマンドデータ部CDTの全てのデータd1〜d(E)が取り込み済みとなる。
【0036】
そこで、終端検出部22では、上記したCRCチェックによって一致の判定が為された時点を、データ終端部の検出時点として表す終端検出信号EDを生成し、これを通信応答部を為す送受信部21及びコマンド判定部23に供給するのである。
【0037】
コマンド判定部23は、コマンドデータ信号CM中のデータd1〜d(E)を順次取り込み、データ終端部を表す論理レベル1の終端検出信号EDに応じて、データd1〜d(E)によって表されるコマンドが、このICタグ200に対応した対応コマンドであるのか、或いは非対応コマンドであるのかを判定する。この際、非対応コマンドであると判定された場合、コマンド判定部23は、
図2に示すように、受信したコマンドが非対応であることを示すコマンドエラー信号ERRを送受信部21に供給する。一方、受信したコマンドが対応コマンドであると判定された場合には、コマンド判定部23は、その受信したコマンドで示される読出信号又は書込信号を終端検出信号EDに応じてタグメモリ24に供給する。
【0038】
タグメモリ24には、予め識別コード、属性情報、通信履歴情報等の各種タグ情報が記憶されている。タグメモリ24は、コマンド判定部23から供給された書込信号に応じて、例えば通信履歴情報を書き換える。また、タグメモリ24は、コマンド判定部23から供給された読出信号に応じて、例えば識別コードを読み出し、当該識別コードをタグ情報として表すタグデータ信号TDを送受信部21に供給する。
【0039】
この際、送受信部21は、当該タグデータ信号TD、又は上記したコマンドエラー信号ERRが供給された場合には、論理レベル1の終端検出信号EDに応じて、これらTD又はERRによって無線用搬送波信号を変調して得られた高周波信号RFをアンテナ20を介して無線リーダライタ100に無線送信する。
【0040】
以下に、上記した構成によるICタグ200及び無線リーダライタ100において為される動作について、
図5に示す通信フローを参照しつつ説明する。
【0041】
図5において、先ず、無線リーダライタ100が、
図2に示すコマンドデータ信号CMを表す無線送信波を送信する(ステップS1)。無線リーダライタ100の近接位置にICタグ200が存在すると、ICタグ200はこの無線送信波を受信してコマンドデータ信号CMを復調する(ステップS2)。次に、ICタグ200は、当該コマンドデータ信号CMに含まれるデータd1〜d(E)、CRCデータC1及びC2からなるデータ片の系列を先頭から順に1つ取り込む(ステップS3)。
【0042】
ステップS3の実行後、ICタグ200は、以下のステップS4〜S6によるCRCチェックを行う。つまり、ICタグ200は、現時点で取り込み済みの全てのデータ片に基づく巡回冗長検査演算によりCRC演算値を算出し、このCRC演算値を16ビットで表すCRC演算値データ(CV2)を得る(ステップS4)。次に、ICタグ200は、ステップS3で取り込んだ1つのデータ片の直後に後続するデータ片(DT1)と、この後続データ片の直後に後続するデータ片(DT2)とを順次取り込み、両者を連結することにより16ビットのデータ片(DT1、DT2)を得る(ステップS5)。次に、ICタグ200は、ステップS4で算出した16ビットのCRC演算値データと、ステップS5で取得した16ビットのデータ片(DT1、DT2)とが一致するか否かを判定する(ステップS6)。ステップS6において一致していないと判定された場合には、ICタグ200は、上記ステップS3の実行に戻り、前述したステップS3〜S6の動作を再び実行する。
【0043】
ここで、CRC演算値データ(CV2)と、データ片(DT1、DT2)とが一致した時点で、ICタグ200には、コマンドデータ信号CMに含まれるデータd1〜d(E)、CRCデータC1及びC2の全てが取り込まれたと判断することができる。よって、ICタグ200の終端検出部22は、この時点を、コマンドデータ信号CMのデータ終端部として検出するのである。
【0044】
上記ステップS6において、CRC演算値データと、データ片(DT1、DT2)とが一致していると判定された場合、ICタグ200は、取り込み済みのデータd1〜d(E)によって表されるコマンドが、自身に対応していない非対応コマンドであるか否かを判定する(ステップS7)。ステップS7において、非対応コマンドではないと判定された場合、ICタグ200は、データd1〜d(E)によって表されるコマンドで指定されたタグ情報をタグメモリ24から読み出し、そのタグ情報を示すタグデータ信号TDを、無線リーダライタ100に無線送信する(ステップS8)。
【0045】
一方、ステップS7において、非対応コマンドであると判定された場合、ICタグ200は、受信したコマンドが非対応であることを示すコマンドエラー信号ERRを無線リーダライタ100に無線送信する(ステップS9)。
【0046】
このように、ICタグ200は、コマンドを表すデータd1〜d(E)の系列中の各データ片を1つずつ取り込みつつ、データ片を1つ取り込む度にCRC演算値(CV2)を算出する。そして、ICタグ200では、取り込まれた1つのデータ片の直後に後続するデータ片(DT1、DT2)にて示される値と、上記のように算出したCRC演算値とが一致する時点、例えば
図2に示す時点t0を、データ終端部の検出時点とする。
【0047】
この際、取り込まれたデータd1〜d(E)にて表されるコマンドが自身に非対応のコマンドである場合には、ICタグ200は、その旨を示すコマンドエラー信号ERRを、データ終端部として検出した時点t0のタイミングで、無線リーダライタ100側に無線送信するのである。
【0048】
よって、ICタグ200では、
図2に示すコマンドデータ信号CMの終端部EoSを検出することなく、且つ当該終端部EoSを検出可能な時点、つまり
図2の時点t1よりも後方の時点、よりも前の時点t0のタイミングでコマンドエラー信号ERRを送信することが可能となる。
【0049】
従って、ICタグ200によれば、終端部EoSの検出回路が不要となる分だけ装置規模を小型化することができる。更に、ICタグ200によれば、終端部EoSの検出タイミングでコマンドエラーを送信する場合に比して、早いタイミングでコマンドエラーを送信することができるので、通信効率を高めることが可能となる。
【0050】
尚、上記実施例では、ICタグ200は、コマンドを表すデータd1〜d(E)の系列の直後にCRCデータC1及びC2が配置されているコマンドデータ信号CMを受信対象としている。しかしながら、CRCデータC1及びC2としては、データd1〜d(E)の系列に後続して配置されていれば良く、必ずしもデータd1〜d(E)の直後に配置されていなくても良い。
【0051】
また、上記実施例では、コマンドデータ信号CMでは、データd1〜d(E)に基づくCRC演算値を、2つのCRCデータC1及びC2にて表すようにしている。しかしながら、当該CRC演算値をデータd1〜d(E)の各々と同一ビット長で表すことができる場合には、1つのCRCデータC1だけをデータd1〜d(E)の系列に後続して配置させるようにしても良い。
【0052】
要するに、ICタグ200としては、コマンドを表す複数のデータ片の系列に後続して当該複数のデータ片に基づく巡回冗長検査演算によって算出された値を示すCRCデータ片が配置されているデータ信号を受信し、当該コマンドに応じた送信を行うにあたり、以下の構成を備えたものであれば良いのである。すなわち、先ず、CRC演算部(221)は、受信したデータ信号(CM)から複数のデータ片(d1〜d(E))及びCRCデータ片(C1、C2)の各々を取込データ片(LDT)として1つずつ順次取り込む。この際、1つの取込データ片の取り込みが為される度に、CRC演算部は、現時点までに取り込まれた取込データ片に基づく巡回冗長検査演算を行ってCRC演算値(CV2)を得る。ここで、比較部(226)は、上記した1つの取込データ片に後続する取込データ片(DT2)によって示される値と上記したCRC演算値とが一致したときに、データ信号のデータ終端部を検出したことを示す終端検出信号(ED)を生成する。この際、通信応答部(21、23)は、終端検出信号に応じて、取込データ片の各々によって表されるコマンドが非対応コマンドであるか否かを判定し、非対応コマンドであると判定されたときにコマンドエラー信号(ERR)を送信するのである。
【0053】
尚、上記実施例は、受信したコマンドデータ信号CM中にビット誤りが生じないことを前提として為されたものであるが、通信状態の悪化、或いは環境ノイズの影響により、ビット誤りが生じると、終端検出信号EDによるデータ終端部の検出が為されなくなる。これにより、無線リーダライタ100への応答(S8、S9)が為されなくなるので、無線リーダライタ100がタイムアウト判定を下すまでの待機期間の間、ICタグ200では、
図5に示すステップS3〜S6が繰り返し実施されることになる。よって、特に、ステップS4による巡回冗長検査演算が繰り返し実施されることになり、電力消費量が大となる。
【0054】
そこで、ICタグ200の終端検出部22の内部構成としては、
図4に示す構成に代えて
図6に示す構成を採用しても良い。尚、
図6に示す構成では、新たにEoS検出回路231及びアンドゲート232を設けた点を除く他の構成は
図4に示されるものと同一である。
【0055】
図6において、EoS検出回路231は、コマンドデータ信号CM中から、
図2に示す終端部EoSとしての特有のビットパターンを有する終端データを検出した際に論理レベル0から論理レベル1に遷移するEoS検出信号EODを生成し、これをアンドゲート232に供給する。
【0056】
アンドゲート232は、EoS検出信号EODが論理レベル1であり且つ終端検出信号EDが論理レベル0である場合にリセット信号RSをCRC演算回路221に供給する。
【0057】
CRC演算回路221は、当該リセット信号RSに応じて、上記した巡回冗長検査演算処理を停止させると共に、現時点までに取り込まれている各データ片の値、並びに巡回冗長検査演算途中の値を全てゼロに初期化する。
【0058】
図7は、終端検出部22として
図6に示す構成を採用した場合に、ICタグ200及び無線リーダライタ100において為される通信動作を示す通信フロー図である。
【0059】
尚、
図7に示す動作では、新たなステップS11及びS12を付加すると共に、
図5に示されるステップS6に代えてステップS61を採用した点を除く他の構成、つまりステップS1〜S5、及びS7〜S9については、
図5に示すものと同一である。
【0060】
図7に示されるステップS61において、ICタグ200は、ステップS4で算出した16ビットのCRC演算値データと、ステップS5で取得した16ビットのデータ片(DT1、DT2)とが一致するか否かを判定する。この際、ステップS61において一致していると判定された場合には、ICタグ200は、
図5に示される動作と同様にステップS7及びS8、或いはS7及びS9を実行する。
【0061】
一方、ステップS61において、ステップS4で算出したCRC演算値データと、ステップS5で取得したデータ片(DT1、DT2)とが一致していないと判定された場合、ICタグ200は、コマンドデータ信号CM中から終端部EoSが検出されたか否かを判定する(ステップS11)。当該ステップS11において終端部EoSが検出されていないと判定された場合、ICタグ200は、ステップS3の実行に戻り、ステップS3〜S5及びS61の動作を再び実行する。一方、ステップS11において、コマンドデータ信号CM中から終端部EoSが検出されたと判定された場合、ICタグ200は、CRC演算回路221をリセットして、その動作を強制的に停止させる(ステップS12)。よって、ステップS12の実行後は、ICタグ200から無線リーダライタ100への応答が為されないので、無線リーダライタ100は所定期間だけ待機した後、タイムアウトの状態となり、次の処理(説明せず)の実行に移行する。
【0062】
従って、例えコマンドデータ信号CMのデータd1〜d(E)の系列中に誤りビットが生じ、それ故、終端検出信号EDによるデータ終端部の検出が為されなくなっても、この際、コマンドデータ信号CM中の終端部EoSの検出に応じて、CRC演算回路221が直ちにリセットされ、動作停止状態となる。
【0063】
よって、ICタグ200が無線リーダライタ100への応答を行わないので、無線リーダライタ100はタイムアウト状態に到る。この間、ICタグ200のCRC演算回路221はリセットされ、その動作が停止しているので、無効な電力消費が削減される。更に、CRC演算回路221がリセットされることから、タイムアウト期間の経過後、ICタグ200は直ちに、次のコマンドデータ信号CMに対してCRC演算回路221を用いたデータ終端部の検出処理に移行できるので、通信効率を高めることが可能となる。