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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-225047(P2016-225047A)
(43)【公開日】2016年12月28日
(54)【発明の名称】プラズマ処理装置
(51)【国際特許分類】
   H05H 1/46 20060101AFI20161205BHJP
   H01L 21/3065 20060101ALI20161205BHJP
【FI】
   H05H1/46 B
   H01L21/302 101D
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-107849(P2015-107849)
(22)【出願日】2015年5月27日
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】会田 倫崇
(72)【発明者】
【氏名】大竹 浩人
(72)【発明者】
【氏名】小山 紘司
【テーマコード(参考)】
2G084
5F004
【Fターム(参考)】
2G084AA02
2G084AA04
2G084AA05
2G084BB05
2G084BB14
2G084CC16
2G084DD04
2G084DD18
2G084DD19
2G084DD45
2G084DD46
2G084DD47
2G084DD56
2G084DD61
2G084DD68
2G084FF32
2G084FF39
2G084HH07
2G084HH28
2G084HH29
2G084HH30
5F004AA01
5F004BA20
5F004BB14
(57)【要約】
【課題】半径の異なる同心円状に配置された複数のスロットから放射されるマイクロ波の分布を所望の分布に調整すること。
【解決手段】プラズマ処理装置は、処理容器と、処理容器の内部へプラズマ励起用のマイクロ波を放射する複数のスロットが半径の異なる同心円状に配置されて形成された複数のスロット群を有するスロット板と、スロット板上に設けられ、複数のスロット群へマイクロ波を伝播させる誘電体と、誘電体上に設けられた導電体であって、誘電体と対向する下面において、複数のスロット群のうち少なくとも1つのスロット群と、他のスロット群とで挟まれる領域に対応する領域に溝が形成された導電体と、導電体の溝に移動自在に挿入されるスタブを有し、スタブの挿入量に応じて、誘電体から少なくとも一つのスロット群及び他のスロット群へそれぞれ伝播されるマイクロ波のパワー比を変更するパワー比変更機構とを備える。
【選択図】図3A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理容器と、
前記処理容器の内部へプラズマ励起用のマイクロ波を放射する複数のスロットが半径の異なる同心円状に配置されて形成された複数のスロット群を有するスロット板と、
前記スロット板上に設けられ、前記複数のスロット群へ前記マイクロ波を伝播させる誘電体と、
前記誘電体上に設けられた導電体であって、前記誘電体と対向する下面において、前記複数のスロット群のうち少なくとも1つのスロット群と、当該少なくとも一つのスロット群に隣接する他のスロット群とで挟まれる領域に対応する領域に溝が形成された導電体と、
前記導電体の前記溝に移動自在に挿入されるスタブを有し、前記スタブの挿入量に応じて、前記誘電体から前記少なくとも一つのスロット群及び前記他のスロット群へそれぞれ伝播される前記マイクロ波のパワー比を変更するパワー比変更機構と
を備えることを特徴とするプラズマ処理装置。
【請求項2】
前記スロット板の径方向に沿った前記溝の幅は、前記マイクロ波の波長の1/2以下であることを特徴とする請求項1に記載のプラズマ処理装置。
【請求項3】
前記誘電体は、前記導電体と対向する上面の、前記導電体の前記溝に対向する領域から突出され、前記スタブの先端と対向するように前記導電体の前記溝に挿入される突起部を有することを特徴とする請求項1又は2に記載のプラズマ処理装置。
【請求項4】
前記導電体の前記溝は、前記導電体の前記誘電体と対向する下面の前記領域に形成された第1の溝部と、前記第1の溝部に連通され、前記第1の溝部よりも幅が狭い第2の溝部とを有し、
前記スタブは、前記第2の溝部に移動自在に挿入され、
前記突起部は、前記第1の溝部に挿入され、かつ、前記第2の溝部よりも幅が広いことを特徴とする請求項3に記載のプラズマ処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の種々の側面及び実施形態は、プラズマ処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体の製造プロセスでは、薄膜の堆積又はエッチング等を目的としたプラズマ処理が広く行われている。高性能かつ高機能な半導体を得るためには、被処理基板の被処理面全面に対し、均一なプラズマ処理を行うことが要求される。
【0003】
近年のプラズマ処理においては、マイクロ波を利用してプラズマを生成するプラズマ処理装置が用いられている。このようなプラズマ処理装置は、複数のスロットが半径の異なる同心円状に配置されたスロット板と、スロット板上に設けられた誘電体製の遅波板と、遅波板上に設けられた導電体製の冷却ジャケットとを備える。スロット板は、複数のスロットから、プラズマ励起用のマイクロ波を処理容器の内部へ放射する。また、遅波板は、スロット板の複数のスロットへプラズマ励起用のマイクロ波を伝播させる。
【0004】
ところで、このようなプラズマ処理装置においては、均一なプラズマ処理を行うために、処理容器の内部でマイクロ波により励起されるプラズマを均一に分布させることが求められる。この点、冷却ジャケットの遅波板との対向面に設けられた溝にスタブを挿入し、スタブの下端部にマイクロ波の腹の位置を固定し、スロット板の複数のスロットにマイクロ波の節の位置を固定して、マイクロ波をスロット板の複数スロットから均一に放射する従来技術がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−103274号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した従来技術では、半径の異なる同心円状に配置された複数のスロットから放射されるマイクロ波の分布を所望の分布に調整することまでは考慮されていない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
開示するプラズマ処理装置は、1つの実施態様において、処理容器と、前記処理容器の内部へプラズマ励起用のマイクロ波を放射する複数のスロットが半径の異なる同心円状に配置されて形成された複数のスロット群を有するスロット板と、前記スロット板上に設けられ、前記複数のスロット群へ前記マイクロ波を伝播させる誘電体と、前記誘電体上に設けられた導電体であって、前記誘電体と対向する下面において、前記複数のスロット群のうち少なくとも1つのスロット群と、当該少なくとも一つのスロット群に隣接する他のスロット群とで挟まれる領域に対応する領域に溝が形成された導電体と、前記導電体の前記溝に移動自在に挿入されるスタブを有し、前記スタブの挿入量に応じて、前記誘電体から前記少なくとも一つのスロット群及び前記他のスロット群へそれぞれ伝播される前記マイクロ波のパワー比を変更するパワー比変更機構とを備える。
【発明の効果】
【0008】
開示するプラズマ処理装置の1つの態様によれば、半径の異なる同心円状に配置された複数のスロットから放射されるマイクロ波の分布を所望の分布に調整することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、一実施形態に係るプラズマ処理装置の要部を示す概略断面図である。
図2図2は、図1に示すプラズマ処理装置に備えられるスロット板を、図1中の矢印IIIの方向から見た平面図である。
図3A図3Aは、一実施形態に係る冷却ジャケット及びパワー比変更ユニットを拡大して示す断面図である。
図3B図3Bは、図3AのA−A線における断面図である。
図3C図3Cは、図3AのB−B線における断面図である。
図4図4は、スタブの挿入量と、マイクロ波のパワー比との関係を説明するための図である。
図5図5は、スタブの挿入量と、マイクロ波のパワー比との関係のシミュレーション結果の一例である。
図6A図6Aは、スタブの挿入量と、マイクロ波の分岐比と、冷却ジャケットの溝の幅との関係のシミュレーション結果の一例を示す図である。
図6B図6Bは、スタブの挿入量と、マイクロ波の分岐比と、冷却ジャケットの溝の幅との関係のシミュレーション結果の他の例を示す図である。
図7図7は、変形例1に係る遅波板、冷却ジャケット及びパワー比変更ユニットを拡大して示す断面図である。
図8図8は、変形例2に係る遅波板、冷却ジャケット及びパワー比変更ユニットを拡大して示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本願の開示するプラズマ処理装置の実施形態について詳細に説明する。なお、各図面において同一又は相当の部分に対しては同一の符号を付すこととする。
【0011】
図1は、一実施形態に係るプラズマ処理装置の要部を示す概略断面図である。なお、図1においては、紙面上下方向を装置の上下方向とする。
【0012】
図1に示すプラズマ処理装置11は、処理容器12、ガス供給部13、保持台14、マイクロ波発生器15、マイクロ波透過窓16、スロット板18、遅波板19、冷却ジャケット43、マイクロ波供給手段20及び制御部(図示せず)を備える。制御部は、ガス供給部13におけるガス流量、処理容器12内の圧力等、被処理基板Wをプラズマ処理するためのプロセス条件を制御する。なお、マイクロ波発生器15については、図1中の一点鎖線で示している。
【0013】
処理容器12は、上部側が開口しており、その内部で被処理基板Wにプラズマ処理を行う。処理容器12は、保持台14の下方側に位置する底部21と、底部21の外周部から上方向に延びる側壁22とを含む。側壁22は、円筒状である。処理容器12の底部21の径方向中央側には、排気用の排気孔23が設けられている。処理容器12の上部側は開口しており、処理容器12の上部側に配置されるマイクロ波透過窓16、及びマイクロ波透過窓16と処理容器12との間に介在するシール部材としてのOリング24によって、処理容器12は密封可能に構成されている。なお、上記したガス供給部13の一部は、側壁22に埋め込まれるようにして設けられており、処理容器12の外部から処理容器12内へガスを供給する。
【0014】
保持台14は、処理容器12内に配置され、その上に被処理基板Wを保持する。
【0015】
マイクロ波発生器15は、処理容器12の外部に配置され、プラズマ励起用のマイクロ波を発生させる。
【0016】
マイクロ波透過窓16は、処理容器12の開口を覆うように配置されて処理容器12を密封すると共に、マイクロ波を処理容器12内へ透過させる。マイクロ波透過窓16の下方側の面25は、平らである。マイクロ波透過窓16の材質は、誘電体である。マイクロ波透過窓16の具体的な材質としては、石英やアルミナ等が挙げられる。
【0017】
スロット板18は、複数のスロット17が設けられており、マイクロ波透過窓16の上方側に配置され、マイクロ波透過窓16を介して、処理容器12の内部へマイクロ波を放射する。スロット板18は、円板状に形成される。スロット板18の板厚方向の両面は、それぞれ平らである。スロット板18には、板厚方向に貫通する複数のスロット17が設けられている。
【0018】
図2は、図1に示すプラズマ処理装置に備えられるスロット板を、図1中の矢印IIIの方向から見た平面図である。図2に示すように、スロット板18は、ラジアルラインスロットアンテナを構成するスロット板である。スロット板18には、処理容器12の内部へプラズマ励起用のマイクロ波を放射する複数のスロット17が形成される。各スロット17は、2つの長孔が一対となって、略T字状となるように配置されて構成されている。また、複数のスロット17は、径方向に所定の間隔で配置されており、また、周方向に所定の間隔で配置されている。
【0019】
言い換えれば、スロット板18は、複数のスロット17が半径の異なる同心円状に配置されて形成された内側スロット群17−1及び外側スロット群17−2を有する。内側スロット群17−1は、互いに交差する方向に延びるスロット17の対が、スロット板18の円周方向に複数配置されて形成される。外側スロット群17−2は、内側スロット群17−1よりもスロット板18の径方向の外側において、互いに交差する方向に延びるスロット17の対が、スロット板18の円周方向に沿って複数配置されて形成される。外側スロット群17−2は、スロット板18の径方向に沿って、内側スロット群17−1に隣接している。
【0020】
図1を再び参照する。遅波板19は、スロット板18上に設けられる。遅波板19の材質は、誘電体である。誘電体としては、例えば石英やアルミナ等が挙げられる。遅波板19は、スロット板18の内側スロット群17−1及び外側スロット群17−2へマイクロ波を伝播させる。遅波板19は、平板状である。遅波板19の中央には、後述する同軸導波管31に備えられる内導体32を配置させるための孔が設けられている。遅波板19は、「誘電体」の一例である。
【0021】
冷却ジャケット43は、遅波板19上に設けられる。冷却ジャケット43は、導電性を有する。冷却ジャケット43は、遅波板19等を冷却すると共に、マイクロ波のラジアル方向の導波路となる。冷却ジャケット43の上部表面には、後述する同軸導波管31の外導体33の下端が電気的に接続されている。また、後述する同軸導波管31の内導体32の下端は、冷却ジャケット43及び遅波板19の中央部分に形成された孔を通って、スロット板18に電気的に接続されている。
【0022】
また、冷却ジャケット43には、パワー比変更ユニット44が設けられる。パワー比変更ユニット44は、遅波板19からスロット板18の内側スロット群17−1及び外側スロット群17−2へそれぞれ伝播されるマイクロ波のパワー比を変更するユニットである。なお、冷却ジャケット43及びパワー比変更ユニット44の詳細については、後述する。
【0023】
マイクロ波供給手段20は、マイクロ波発生器15により発生させたマイクロ波を処理容器12内に供給する。マイクロ波供給手段20は、一方端部35がスロット板18の中心28に接続される略丸棒状の内導体32、及び内導体32と径方向のすき間34を空けて内導体32の外径側に設けられる略円筒状の外導体33を含む同軸導波管31を備える。すなわち、内導体32の外周面36と外導体33の内周面37とが対向するように内導体32と外導体33とを組み合わせて、同軸導波管31が構成されている。同軸導波管31は、図1中の紙面上下方向に延びるように設けられている。内導体32及び外導体33はそれぞれ、別体で製造される。そして、内導体32の径方向の中心と外導体33の径方向の中心とを一致させるようにして組み合わされる。
【0024】
また、マイクロ波供給手段20は、マイクロ波発生器15に一方端部38が接続される導波管39と、マイクロ波のモードを変換するモード変換器40とを含む。導波管39は、横方向、具体的には、図1中の紙面左右方向に延びるように設けられている。なお、導波管39としては、断面が円形状のものや断面が矩形状のものが使用される。
【0025】
マイクロ波発生器15において発生させたマイクロ波は、導波管39、同軸導波管31を介して、遅波板19へ導入され、遅波板19内を伝播し、スロット板18のスロット17からマイクロ波透過窓16を介して、処理容器12内に伝播される。マイクロ波発生器15において発生させるマイクロ波の周波数としては、例えば、2.45GHzが選択される。
【0026】
例えば、マイクロ波発生器15で発生させたTEモードのマイクロ波は、導波管39内を図1中の矢印Aで示す紙面左方向に伝播し、モード変換器40によりTEMモードへ変換される。そして、TEMモードへ変換されたマイクロ波は、同軸導波管31内を図1中の矢印Aで示す紙面下方向へ伝播する。具体的には、すき間34が形成される内導体32と外導体33との間、及び内導体32と冷却ジャケット43の内径側端部との間において、マイクロ波は伝播する。同軸導波管31を伝播したマイクロ波は、遅波板19内を径方向に伝播し、スロット板18に設けられた複数のスロット17からマイクロ波透過窓16に放射される。マイクロ波透過窓16を透過したマイクロ波は、マイクロ波透過窓16の直下に電界を生じさせ、処理容器12内にプラズマを生成させる。
【0027】
さらにプラズマ処理装置11は、側壁22の開口側の上方端部の上方側に配置され、マイクロ波透過窓16を上方側から押さえるマイクロ波透過窓押さえリング41と、マイクロ波透過窓押さえリング41の上方側に配置され、スロット板18等を上方側から押さえるアンテナ押さえ42と、アンテナ押さえ42と冷却ジャケット43との間に介在するように配置され、処理容器12内外で電磁界を遮蔽する電磁遮蔽弾力体45と、スロット板18の外周部を固定する外周固定リング46と、スロット板18の中心を固定する中心固定板47とを備える。
【0028】
なお、マイクロ波透過窓16の上方側の面のうち、径方向の中央には、中心固定板47を受け入れるように、マイクロ波透過窓16の上方側の面から板厚を減ずるように凹んだ中心固定板受け入れ凹部49が設けられている。
【0029】
次に、図1に示した冷却ジャケット43及びパワー比変更ユニット44の詳細について説明する。図3Aは、一実施形態に係る冷却ジャケット及びパワー比変更ユニットを拡大して示す断面図である。図3Bは、図3AのA−A線における断面図である。図3Cは、図3AのB−B線における断面図である。
【0030】
図3A図3Bに示すように、冷却ジャケット43の遅波板19と対向する下面において、スロット板18の内側スロット群17−1及び外側スロット群17−2で挟まれる領域に対応する領域には、溝431が環状に形成される。また、冷却ジャケット43には、溝431に連通され、パワー比変更ユニット44のスタブ441を収容するためのスタブ収容空間432と、スタブ収容空間432に連通される複数の貫通孔433が形成される。冷却ジャケット43は、「導電体」の一例である。
【0031】
パワー比変更ユニット44は、スタブ441と、スタブ支持部材442とを有する。スタブ441は、導電体により形成され、冷却ジャケット43の溝431に移動自在に挿入される。スタブ441は、溝431に対応する環状に形成された第1本体部441aと、第1本体部441aよりも幅が広い第2本体部441bと、第2本体部441bから延出され、複数の貫通孔433にそれぞれ挿通される複数の棒状部441cとを有する。第2本体部441bは、スタブ441が冷却ジャケット43の溝431を移動する場合に、スタブ収容空間432の一部の平面と係合されることによって、スタブ441の移動範囲を規制する。複数の棒状部441cの外周面には、ねじ山が形成されている。
【0032】
スタブ支持部材442は、内面にねじ溝が形成された環状部材であり、スタブ441の棒状部441cの表面に形成されたネジ部に螺合されることによって、スタブ441を移動自在に支持する。スタブ支持部材442を回転させることにより、その回転量に応じて、冷却ジャケット43の溝431において、第1本体部441aを含むスタブ441全体を移動させることができる。これにより、冷却ジャケット43の溝431に対するスタブ441の挿入量が調整される。
【0033】
パワー比変更ユニット44は、スタブ441の挿入量に応じて、遅波板19からスロット板18の内側スロット群17−1及び外側スロット群17−2へそれぞれ伝播されるマイクロ波のパワー比を変更する。具体的には、パワー比変更ユニット44は、スタブ441の第1本体部441aの先端と、遅波板19の冷却ジャケット43と対向する上面との間の距離であるスタブギャップの調整によって、内側スロット群17−1及び外側スロット群17−2へそれぞれ伝播されるマイクロ波のパワー比を変更する。パワー比変更ユニット44は、「パワー比変更機構」の一例である。
【0034】
図4は、スタブの挿入量と、マイクロ波のパワー比との関係を説明するための図である。図4に示す例では、遅波板19の内部を伝播するマイクロ波として、進行波W1と、反射波RW1とが存在するものとする。進行波W1は、冷却ジャケット43の溝431に進入することなく遅波板19の内部を伝播するマイクロ波である。反射波RW1は、冷却ジャケット43の溝431に進入し、スタブ441の第1本体部441aの先端で反射されるマイクロ波である。また、図4に示す例では、遅波板19の内部を伝播するマイクロ波の波長がλであるものとする。また、図4では、スタブ441の第1本体部441aの先端と、遅波板19の冷却ジャケット43と対向する上面との間の距離であるスタブギャップLが示されている。
【0035】
図4に示すように、スタブギャップLがλ/4である場合、進行波W1の位相に対して、反射波RW1の位相は、λ/2、すなわち、180°だけずれる。すると、進行波W1と、反射波RW1とは、互いに打ち消し合う。すると、遅波板19から外側スロット群17−2へ伝播されるマイクロ波のパワーが相対的に減少し、一方で、遅波板19から内側スロット群17−1へ伝播されるマイクロ波のパワーが相対的に増加する。
【0036】
これに対して、スタブギャップLがλ/4から変化する場合、進行波W1の位相と、反射波RW1の位相とのずれは、180°から離れる。すると、進行波W1と、反射波RW1とは、互いに打ち消し合わなくなる。すると、遅波板19から外側スロット群17−2へ伝播されるマイクロ波のパワーが相対的に増加し、一方で、遅波板19から内側スロット群17−1へ伝播されるマイクロ波のパワーが相対的に減少する。すなわち、スタブ441の挿入量を制御することで、遅波板19からスロット板18の内側スロット群17−1及び外側スロット群17−2へそれぞれ伝播されるマイクロ波のパワー比を変更することができる。
【0037】
図5は、スタブの挿入量と、マイクロ波のパワー比との関係のシミュレーション結果の一例である。図5において、横軸は、スタブ441の第1本体部441aの先端と、遅波板19の冷却ジャケット43と対向する上面との間の距離であるスタブギャップ[mm]を示し、縦軸は、マイクロ波透過窓16の下面の各エリアにおいて測定されたマイクロ波のパワーの総和[W]を示す。なお、図5に示したシミュレーションでは、マイクロ波のパワーの測定点として、マイクロ波透過窓16の径方向に沿って中心側から、エリア(Area)1〜6が設定されたものとする。
【0038】
図5のシミュレーション結果から明らかなように、スタブギャップを変化させることで、マイクロ波透過窓16の下面の各エリアから放射されるマイクロ波の分布が変化する。すなわち、スタブ441の挿入量を制御することで、遅波板19からスロット板18の内側スロット群17−1及び外側スロット群17−2へそれぞれ伝播されるマイクロ波のパワー比を変更することができることが分かった。
【0039】
図6Aは、スタブの挿入量と、マイクロ波の分岐比と、冷却ジャケットの溝の幅との関係のシミュレーション結果の一例である。図6Aにおいて、横軸は、スタブ441の第1本体部441aの先端と、遅波板19の冷却ジャケット43と対向する上面との間の距離であるスタブギャップ[mm]を示す。また、図6Aにおいて、縦軸は、遅波板19へ導入されるマイクロ波の全パワーに対する、遅波板19からスロット板18の内側スロット群17−1へ伝播されるマイクロ波のパワーの比である分岐比を示す。
【0040】
また、図6Aにおいて、「5mm」は、スロット板18の径方向に沿った冷却ジャケット43の溝431の幅W1が5mmである場合の分岐比の推移を示すグラフである。また、「10mm」は、スロット板18の径方向に沿った冷却ジャケット43の溝431の幅W1が10mmである場合の分岐比の推移を示すグラフである。また、「20mm」は、スロット板18の径方向に沿った冷却ジャケット43の溝431の幅W1が20mmである場合の分岐比の推移を示すグラフである。また、「30mm」は、スロット板18の径方向に沿った冷却ジャケット43の溝431の幅W1が30mmである場合の分岐比の推移を示すグラフである。また、「40mm」は、スロット板18の径方向に沿った冷却ジャケット43の溝431の幅W1が40mmである場合の分岐比の推移を示すグラフである。また、「50mm」は、スロット板18の径方向に沿った冷却ジャケット43の溝431の幅W1が50mmである場合の分岐比の推移を示すグラフである。また、「60mm」は、スロット板18の径方向に沿った冷却ジャケット43の溝431の幅W1が60mmである場合の分岐比の推移を示すグラフである。また、「70mm」は、スロット板18の径方向に沿った冷却ジャケット43の溝431の幅W1が70mmである場合の分岐比の推移を示すグラフである。
【0041】
また、図6Aに示したシミュレーションにおける遅波板19の材質は、石英である。
【0042】
図6Aのシミュレーション結果から明らかなように、溝431の幅W1が60mm以下である場合、スタブギャップを変化させることで、分岐比が0〜1の範囲で変化する。ここで、空間中を伝播するマイクロ波の波長が120mmであるので、マイクロ波の波長の1/2が60mmに相当する。すなわち、溝431の幅W1がマイクロ波の波長の1/2以下である場合、スタブ441の挿入量を制御することで、遅波板19からスロット板18の内側スロット群17−1及び外側スロット群17−2へそれぞれ伝播されるマイクロ波のパワー比を変更することができることが分かった。
【0043】
これに対して、溝431の幅W1が60mmを超える場合、スタブギャップを変化させたとしても、分岐比が1に到達しなかった。すなわち、溝431の幅W1がマイクロ波の波長の1/2を超える場合、スタブ441の挿入量を制御したとしても、遅波板19からスロット板18の内側スロット群17−1及び外側スロット群17−2へそれぞれ伝播されるマイクロ波のパワー比の変更の幅が縮減されることが分かった。
【0044】
図6Bは、スタブの挿入量と、マイクロ波の分岐比と、冷却ジャケットの溝の幅との関係のシミュレーション結果の他の例である。図6Bにおいて、横軸は、スタブ441の第1本体部441aの先端と、遅波板19の冷却ジャケット43と対向する上面との間の距離であるスタブギャップ[mm]を示す。また、図6Bにおいて、縦軸は、遅波板19へ導入されるマイクロ波の全パワーに対する、遅波板19からスロット板18の内側スロット群17−1へ伝播されるマイクロ波のパワーの比である分岐比を示す。
【0045】
また、図6Bにおいて、「5mm」は、スロット板18の径方向に沿った冷却ジャケット43の溝431の幅W1が5mmである場合の分岐比の推移を示すグラフである。また、「10mm」は、スロット板18の径方向に沿った冷却ジャケット43の溝431の幅W1が10mmである場合の分岐比の推移を示すグラフである。また、「20mm」は、スロット板18の径方向に沿った冷却ジャケット43の溝431の幅W1が20mmである場合の分岐比の推移を示すグラフである。また、「30mm」は、スロット板18の径方向に沿った冷却ジャケット43の溝431の幅W1が30mmである場合の分岐比の推移を示すグラフである。また、「40mm」は、スロット板18の径方向に沿った冷却ジャケット43の溝431の幅W1が40mmである場合の分岐比の推移を示すグラフである。また、「50mm」は、スロット板18の径方向に沿った冷却ジャケット43の溝431の幅W1が50mmである場合の分岐比の推移を示すグラフである。また、「60mm」は、スロット板18の径方向に沿った冷却ジャケット43の溝431の幅W1が60mmである場合の分岐比の推移を示すグラフである。また、「70mm」は、スロット板18の径方向に沿った冷却ジャケット43の溝431の幅W1が70mmである場合の分岐比の推移を示すグラフである。
【0046】
また、図6Bに示したシミュレーションにおける遅波板19の材質は、アルミナである。
【0047】
図6Bのシミュレーション結果から明らかなように、溝431の幅W1が60mm以下である場合、スタブギャップを変化させることで、分岐比が0〜1の範囲で変化する。ここで、空間中を伝播するマイクロ波の波長が120mmであるので、マイクロ波の波長の1/2が60mmに相当する。すなわち、溝431の幅W1がマイクロ波の波長の1/2以下である場合、スタブ441の挿入量を制御することで、遅波板19からスロット板18の内側スロット群17−1及び外側スロット群17−2へそれぞれ伝播されるマイクロ波のパワー比を変更することができることが分かった。
【0048】
これに対して、溝431の幅W1が60mmを超える場合、スタブギャップを変化させたとしても、分岐比が1に到達しなかった。すなわち、溝431の幅W1がマイクロ波の波長の1/2を超える場合、スタブ441の挿入量を制御したとしても、遅波板19からスロット板18の内側スロット群17−1及び外側スロット群17−2へそれぞれ伝播されるマイクロ波のパワー比の変更の幅が縮減されることが分かった。
【0049】
図6A及び図6Bのシミュレーション結果から、スロット板18の径方向に沿った冷却ジャケット43の溝431の幅W1は、マイクロ波の波長の1/2以下であることが好ましい。
【0050】
以上、一実施形態のプラズマ処理装置11によれば、冷却ジャケット43の溝431に移動自在にスタブ441を挿入し、スタブ441の挿入量に応じて、スロット板18の内側スロット群17−1及び外側スロット群17−2へそれぞれ伝播されるマイクロ波のパワー比を変更する。その結果、一実施形態によれば、内側スロット群17−1及び外側スロット群17−2から放射されるマイクロ波のパワーを変更することができるので、複数のスロット17から放射されるマイクロ波の分布を所望の分布に調整することができる。
【0051】
(変形例1)
次に、変形例1について説明する。変形例1に係るプラズマ処理装置は、遅波板19が突起部を有する点を除き、上記一実施形態に係るプラズマ処理装置11と同様の構成を有する。したがって、変形例1では、上記一実施形態と共通する構成要素には、同一の参照符号を用いるとともに、その詳細な説明は省略する。
【0052】
図7は、変形例1に係る遅波板、冷却ジャケット及びパワー比変更ユニットを拡大して示す断面図である。
【0053】
図7に示すように、遅波板19は、突起部19aを有する。突起部19aは、遅波板19の冷却ジャケット43と対向する上面の、冷却ジャケット43の溝431に対向する領域から突出される。突起部19aは、スタブ441の第1本体部441aの先端と対向するように、冷却ジャケット43の溝431に挿入される。
【0054】
遅波板19の突起部19aが冷却ジャケット43の溝431に挿入される場合、スタブ441の第1本体部441aの先端と、遅波板19の冷却ジャケット43と対向する上端との間の距離であるスタブギャップが短縮される。これにより、スタブ441の挿入量の調整幅が抑制される。
【0055】
以上、変形例1のプラズマ処理装置11によれば、スタブ441の第1本体部441aの先端と対向するように、冷却ジャケット43の溝431に突起部19aを挿入することによって、スタブ441の挿入量の調整幅を抑制することができる。その結果、変形例1によれば、冷却ジャケット43の厚みが比較的に薄い場合であっても、スタブ441の挿入量に応じて、複数のスロット17から放射されるマイクロ波の分布を所望の分布に調整することができる。
【0056】
(変形例2)
次に、変形例2について説明する。変形例2に係るプラズマ処理装置は、冷却ジャケット43の溝431の形状と、遅波板19の突起部19aの形状とを除き、上記変形例1に係るプラズマ処理装置11と同様の構成を有する。したがって、変形例2では、上記変形例1と共通する構成要素には、同一の参照符号を用いるとともに、その詳細な説明は省略する。
【0057】
図8は、変形例2に係る遅波板、冷却ジャケット及びパワー比変更ユニットを拡大して示す断面図である。
【0058】
図8に示すように、冷却ジャケット43の溝431は、第1の溝部431aと、第2の溝部431bとを有する。第1の溝部431aは、冷却ジャケット43の遅波板19と対向する下面のうち、スロット板18の内側スロット群17−1及び外側スロット群17−2で挟まれる領域に対応する領域に形成される。第2の溝部431bは、第1の溝部431aに連通され、第1の溝部431aよりも幅が狭い。スタブ441の第1本体部441aは、第2の溝部431bに移動自在に挿入される。
【0059】
遅波板19の突起部19aは、第1の溝部431aに挿入される。また、遅波板19の突起部19aは、第2の溝部431bよりも幅が広い。
【0060】
変形例2のプラズマ処理装置11によれば、冷却ジャケット43の第2の溝部431bよりも幅が広い突起部19aを遅波板19に設けることによって、マイクロ波を突起部19aを介してスロット板18の外側スロット群17−2へ効率良く導くことができる。
【0061】
なお、上述した説明では、スロット板18が、2つのスロット群(内側スロット群17−1及び外側スロット群17−2)を有する例を示したが、スロット板は、3つ以上のスロット群を有してもよい。この場合、冷却ジャケット43の遅波板19と対向する下面において、スロット板の3つ以上のスロット群のうち少なくとも一つのスロット群と、当該少なくとも一つのスロット群に隣接する他のスロット群とで挟まれる領域に対応する領域には、溝が環状に形成される。そして、パワー比変更ユニット44は、冷却ジャケット43の溝に移動自在に挿入されるスタブを有する。そして、パワー比変更ユニット44は、スタブの挿入量に応じて、スロット板の少なくとも一つのスロット群及び他のスロット群へそれぞれ伝播されるマイクロ波のパワー比を変更する。
【符号の説明】
【0062】
11 プラズマ処理装置
12 処理容器
13 ガス供給部
14 保持台
15 マイクロ波発生器
16 マイクロ波透過窓
17 スロット
17−1 内側スロット群
17−2 外側スロット群
18 スロット板
19 遅波板
19a 突起部
20 マイクロ波供給手段
43 冷却ジャケット
44 パワー比変更ユニット
431 溝
431a 第1の溝部
431b 第2の溝部
432 スタブ収容空間
433 貫通孔
441 スタブ
441a 第1本体部
441b 第2本体部
441c 棒状部
442 スタブ支持部材
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8