【解決手段】第1半導体層上に第2半導体層が積層された半導体積層体、前記第1半導体層及び前記第2半導体層に電気的に接続された第1電極及び第2電極ならびに前記第2半導体層の側面を被覆しかつ前記第1半導体層の側面の少なくとも一部を露出した保護膜を備える半導体素子と、第1及び第2配線パターンを備える基体と、第1及び第2接合部材とを有し、前記第1配線パターンは、前記第2配線パターン側に凸状に延伸した第1接続部を有し、前記第2配線パターンは、前記第1接続部側に凸状に延伸し、該第1接続部よりも面積の大きい第2接続部を有し、前記第1電極は、前記第1接続部と対面し、前記第1接合部材によって前記第1接続部と接続され、前記第2電極は、前記第2接続部と対面して、前記第1接合部材より最大厚みが厚い前記第2接合部材によって前記第2接続部と接続されている半導体装置。
第1半導体層上に第2半導体層が積層された半導体積層体、前記第1半導体層に電気的に接続された第1電極、前記第2半導体層に電気的に接続され、前記第1電極と同一面側に配置された第2電極及び前記第2半導体層の側面を被覆しかつ前記第1半導体層の側面の少なくとも一部を露出した保護膜を備える半導体素子と、
第1配線パターン及び第2配線パターンを備える基体と、
第1接合部材及び第2接合部材とを有し、
前記第1配線パターンは、前記第2配線パターン側に凸状に延伸した第1接続部を有し、
前記第2配線パターンは、前記第1接続部側に凸状に延伸し、該第1接続部よりも面積の大きい第2接続部を有し、
前記第1電極は、前記第1接続部と対面して、前記第1接合部材によって前記第1接続部に接続されており、
前記第2電極は、前記第2接続部と対面して、前記第1接合部材より最大厚みが厚い前記第2接合部材によって、前記第2接続部と接続されていることを特徴とする半導体装置。
第1半導体層上に第2半導体層が積層された半導体積層体、前記第1半導体層に電気的に接続された第1電極、前記第2半導体層に電気的に接続され、前記第1電極と同一面側に配置された第2電極及び前記第2半導体層の側面を被覆しかつ前記第1半導体層の側面の少なくとも一部を露出した保護膜を備える半導体素子と、
第1配線パターン及び第2配線パターンを備える基体と、
第1接合部材及び第2接合部材とを有し、
前記第1配線パターンは、前記第2配線パターン側に凸状に延伸した第1接続部を有し、
前記第2配線パターンは、前記第1接続部側に凸状に延伸し、該第1接続部よりも面積の大きい第2接続部を有し、
前記第1電極は、前記第1接続部と対面して、前期第1接合部材によって前記第1接続部に接続されており、
前記第2電極は、前記第2接続部と対面して、前記第1接合部材より最大厚みが厚い前記第2接合部材によって、前記第2接続部と接続されており、
前記保護膜より露出した前記第1半導体層の側面と前記第2接合部材との最短距離が、前記保護膜より露出した第1半導体層の側面と前記第1接合部材との最短距離よりも長いことを特徴とする半導体装置。
前記第1接合部材と前記第1電極との接合面積が、前記第2接合部材と前記第2電極との接合面積と同等の大きさである請求項1から6のいずれか1つに記載の半導体装置。
(a)第1配線パターンと第2配線パターンとを備え、前記第1配線パターンが、前記第2配線パターン側に凸状に延伸する第1接続部を有し、かつ前記第2配線パターンが、前記第1接続部側に延伸し、該第1接続部の縁よりも長い縁を有する凸状の第2接続部を有する基体を準備し、
(b)第1電極及び第2電極を同一面側に備える半導体素子を準備し、
(c)前記半導体素子を、前記第1電極が第1接合部材を介して第1配線パターンに対面し、かつ第2電極が第2接合部材を介して第2配線パターンに対面するように、前記基体上に配置し、
(d)前記第1接合部材及び第2接合部材を溶融し前記第1接続部及び前記第2接続部の縁による表面張力により、前記第1接合部材と前記第1配線パターンとの接合面積が、前記第2接合部材と前記第2配線パターンとの接合面積よりも大きくなるように接続することを含む半導体装置の製造方法。
工程(b)において、第1半導体層及び第2半導体層が積層される半導体積層体、前記第1半導体層に接続される第1電極、前記第2半導体層に接続される第2電極及び前記第2半導体層の側面を被覆しかつ前記第1半導体層の側面の少なくとも一部を露出した保護膜を備える半導体素子を準備する請求項9に記載の半導体装置の製造方法。
工程(a)において、前記第2接続部の凸状に延伸する長さが、前記第1接続部の凸状に延伸する長さよりも長い基体を準備する請求項9〜12のいずれか1つに記載の半導体装置の製造方法。
工程(a)において、前記第2接続部の幅が、前記第1接続部の幅と同等又はそれよりも狭い基体を準備する請求項9〜13のいずれか1つに記載の半導体装置の製造方法。
工程(d)において、前記半導体素子を、前記第2接続部側よりも第1接続部側がより基体に近づくように傾斜させる請求項9〜14のいずれか1つに記載の半導体装置の製造方法。
工程(d)において、前記保護膜より露出した前記第1半導体層の側面と前記第2接合部材との最短距離が、前記保護膜より露出した第1半導体層の側面と前記第1接合部材との最短距離よりも長くする請求項9〜16のいずれか1つに記載の半導体装置の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態に係る半導体装置及びその製造方法を、図面を参照しながら説明する。各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。また、以下の説明において、同一の名称、符号については、原則として同一、同質又は同機能の部材を示しており、詳細説明を適宜省略する。さらに、本開示を構成する各要素は、複数の要素を同一の部材で構成して一の部材で複数の要素を兼用する様態としてもよいし、逆に一の部材の機能を複数の部材で分担して実現することもできる。一部の実施例及び実施形態において説明された内容は、他の実施例及び実施形態等に利用可能なものもある。
【0009】
〔第1実施形態〕
第1実施形態の半導体装置10は、
図1A〜1Dに示すように、第1半導体層であるn型半導体層3上に、第2半導体層であるp型半導体層5が、積層された半導体積層体6、第1半導体層に電気的に接続された第1電極、第2半導体層に電気的に接続され、第1電極と同一面側に配置された第2電極及び第2半導体層の側面を被覆しかつ、第1半導体層の側面の少なくとも一部を露出した保護膜(例えば、
図1C中、8、12)を備える半導体素子である発光素子1と、第1配線パターン15及び第2配線パターン16を備える基体13と、第1接合部材17及び第2接合部材18とを有して構成される。
また、第1配線パターン15は、第2配線パターン16側に凸状に延伸した第1接続部15aを有し、第2配線パターン16は、第1接続部15a側に凸状に延伸し、第1接続部15aよりも面積の大きい第2接続部16aを有する。第1電極は、第1接続部15aと対面して、第1接合部材17によって第1接続部15aに接続されている。第2電極は、第2接続部16aと対面して、第1接合部材17より最大厚みが厚い第2接合部材18によって、第2接続部16aと接続されている。
【0010】
(基体)
基体は、上述したように、少なくとも、第1配線パターンと第2配線パターンとを備える。第1配線パターン及び第2配線パターンは、互いに離間して、対向して配置されていることが好ましい。これら第1配線パターン及び第2配線パターンは、ガラス、樹脂、セラミックス等からなる基材の表面に、任意に内部及び/又は裏面に、配置されていることが好ましい。また、基材14に可撓性を有する部材(例えば、フィルム、シート形状などの部材)を用いてもよい。可撓性を有する部材にすることで基体を製造中及び出荷時に巻き取ること、所望のサイズに切断して用いること等ができるので好ましい。可撓性を有する部材としてはPET(ポリエチレンテレフタレート)、ポリイミド、ガラスエポキシ等の材料を用いることが好ましい。第1配線パターン及び第2配線パターンは、半導体素子に電流を供給し得るものであればよく、当該分野で通常使用されている材料、厚み等で形成されていることが好ましい。
【0011】
第1配線パターンは、第2配線パターン側に凸状に延伸する部位である第1接続部を有する。第2配線パターンは、第1接続部側に凸状に延伸する部位である第2接続部を有する。これら接続部が凸状に延伸する形状とすることにより、接続部の外周の大部分が、配線パターンの縁に位置することができる。これによって、後述する接合部材の表面張力を効果的に利用することができる。その結果、接合部材を適所、適切な形態で配置することができ、意図する接合形態を確保することができる。
【0012】
第2接続部は、第1接続部よりも面積の大きいことが好ましい。このように、第2接続部の面積を大きくすることにより、第2接続部における縁の長さをより長く維持することができるために、第2接合部材の表面張力をより利用することが可能となる。それによって、第2接続部内に接合部材をより止めておくことができ、その厚みを増大させて、半導体素子を第1接続部側が低くなるように傾斜させることが容易となる。また、第2接続部の面積は特に限定されるものではないが、傾斜させるためには、第1接続部の面積の105〜150%程度であることが好ましく、105〜130%程度がより好ましい。
【0013】
第2接続部の凸状に延伸する長さ(
図1Bの矢印L方向の長さ)は、第1接続部の凸状に延伸する長さ(
図1Bの矢印L方向の長さ)よりも長いことが好ましい。このようにすることで、第2接合部材をより第2接続部内に止めておくことができる。これは、第2接続部が第1接続部側に凸状に延伸しているためである。つまり、第2接続部が延伸している方向において、第1接続部側とは反対側には第2接続部の幅よりも大きな幅を持つ第2配線パターンの一部が形成されている。このため、第2接合部材をより第2接続部内に止めるためには第2接続部の凸状に延伸する長さが長い方が好ましい。
【0014】
第2接続部の幅(
図1Bの矢印W方向の長さ)は、第1接続部の幅と同等又はそれよりも狭い方が好ましい。これは、第2接続部が第1接続部側に凸状に延伸しているので第2接続部の幅(
図1Bの矢印W方向の長さ)方向においては両側に第2接続部の縁が形成される。このため、第2接続部の幅が狭い方が表面張力をより利用しやすくなるためである。
【0015】
凸状に延伸する第1接続部及び第2接続部の形状は、例えば、三角形、四角形等の多角形、T及びL等の変則的な形、半円及び半楕円等のような曲線を含む形状等が挙げられる。なかでも、通常、半導体素子が四角形であることから、第1接続部及び第2接続部の形状も四角形であることが好ましいが、特に、第2接続部は、先端部、つまり第1接続部側において幅が広いことがより好ましい。言い換えると、第2接続部は、T又はL状に延伸していることがより好ましい。このようにすることで、より第2接合部材をより第2接続部内に止めておくことができる。
【0016】
第1接続部である凸状に延伸する部位の長さ及び幅は、載置する半導体素子の大きさ、半導体素子の電極の大きさ等によって適宜設定することができ、例えば、電極の大きさに対して、幅(
図1BのWに垂直方向)は0.5〜2倍、長さ(
図1BのW方向)は0.5倍〜3倍程度が挙げられる。
【0017】
第1接続部は、半導体素子の第1電極と対面して第1接合部材によって接続されている。第2接続部は、半導体素子の第2電極と対面して第2接合部材によって接続されている。
ここで、第1接合部材及び第2接合部材は、錫−ビスマス系、錫−銅系、錫−銀系、金−錫系などの半田、AuとSn、AuとSi、AuとGe、AuとCu、AgとCuとをそれぞれ主成分とする合金等の共晶合金、銀、金、パラジウムなどの導電性ペースト、バンプ、異方性導電材、低融点金属のろう材等の導電性の部材が挙げられる。なかでも、半田、共晶合金が好ましく、半田がより好ましい。第1接合部材及び第2接合部材は、同じ材料によって形成されているものが好ましいが、異なる材料によるものでもよい。この時、第1接合部材に第2接合部材より濡れ広がりが良い材料を選択することが好ましい。このようにすることで、第1接合部材の第1配線パターン表面への広がりを、第2接合部材の第2配線パターン表面への広がりよりも大きくすることができる。
【0018】
第2接合部材は、第1接合部材より最大厚みが厚く、接続部と半導体素子の電極とを接続していることが好ましい。第1接合部材と第2接合部材との最大厚みの差は、半導体素子の大きさ、傾斜等を考慮すると、半導体素子の上面が10度程度又はそれより小さな傾斜となる範囲が挙げられる。具体的には、一辺が600μmの半導体素子の場合には、100μm程度以下が挙げられ、80μm程度以下が好ましく、60μm程度以下がより好ましい。
【0019】
言い換えると、上述したように、保護膜から露出した半導体積層体において、露出した第1半導体層の側面と第2接合部材との最短距離が、露出した第1半導体層の側面と第1接合部材との最短距離よりも長くなるように、第2接合部材が、第1接合部材より最大厚みが厚く設定されていることが好ましい。
このような接合部材の厚み関係及び/又は第1半導体層との距離関係を満たすことにより、保護膜から露出した第1半導体層が、第2配線パターンと短絡することを効果的に防止することができ、半導体素子の基体への実装の信頼性を確保することができる。なお、保護膜から露出した第1半導体層と、第1配線パターンとが接触しても極性が同じであるため短絡は生じない。第1配線パターンと第2配線パターンで極性が異なるため短絡が生じる。
【0020】
さらに言い換えると、上述した接合部材の厚み関係を確保するために、第1接合部材の第1配線パターン表面への広がりが、第2接合部材の第2配線パターン表面への広がりよりも大きくすることが好ましい。つまり、第1接合部材と第1配線パターンとの接合面積が、第2接合部材と第2配線パターンとの接合面積よりも大きくすることが好ましい。
ただし、1つの半導体素子を接続する第1接合部材及び第2接合部材は同量で配置されていてもよいが、両者の差が一方又は他方の50〜200重量%以内であればよい。なかでも、第2接合部材の量が第1接合部材の量よりも少ないことが好ましい。ここで、同量とは、第1接合部材及び第2接合部材の差が一方又は他方の±10重量%以内であることを意味する。
【0021】
また、第1接合部材と第1電極との接合面積が、第2接合部材と第2電極との接合面積と同等の大きさにすることが好ましい。これは、接合部材の厚みが、接合部材と電極との接合面積によっても変わるためである。しかし、第1接合部材と第1電極との接合面積と、第2接合部材と第2電極との接合面積と、を同等にすると、第1接合部材と第2接合部材の厚みの差に、接合部材と電極との接合面積がほとんど影響しなくなる。つまり、第1接合部材と第1配線パターンとの接合面積と、第2接合部材と第2配線パターンとの接合面積と、を制御することで第1接合部材の厚みと第2接合部材の厚みを制御することができる。ここで、同等の大きさとは、第1接合部材と第1電極との接合面積及び第2接合部材と第2電極との接合面積の差が一方又は他方の±20%以内であることを意味する。
【0022】
半導体素子を、第2接続部側よりも第1接続部側に近づくように傾斜させることが好ましい。また、別の観点から、半導体素子は、電極を備える面の反対面が、基体表面に対して傾斜して配置されていることが好ましい。言い換えると、半導体素子は、第1電極を備える面の反対面が、第2電極を備える面の反対面よりも基体表面に近いことが好ましい。さらに言い換えると、半導体素子は、第2配線パターン側から第1配線パターン側にむかってその上面(反対面)が基体表面により近づくように、第1接合部材及び第2接合部材によって接続されていることが好ましい。傾斜の程度は、特に限定されないが、実装の安定性を考慮すると、2〜10°程度が好ましい。このような傾斜により、上述した接合部材の厚み、接合面積等と相まって、配線パターンと接続され、配線パターンと同じ電荷が印加される接合部材を、反対の電荷が印加される半導体層から遠ざけすることができ、短絡を効果的に防止することができる。
【0023】
(半導体素子)
半導体素子は、レーザ素子、発光ダイオード等の発光素子であることが好ましいが、トランジスタ、集積回路、抵抗、メモリ等であってもよい。なかでも、発光素子が好ましい。
半導体素子は、1つの基体に1つのみ有していてもよいし、複数有していてもよい。
半導体素子は、少なくとも、半導体積層体と、第1電極及び第2電極と、保護膜とを含む。
【0024】
(半導体積層体)
半導体積層体は、複数の半導体層が積層されたものであればよい。具体的には、第1半導体層(例えば、n型半導体層)、発光層及び第2半導体層(例えば、p型半導体層)が、例えば、サファイア基板等の半導体成長用の基板上にこの順に積層されたものが挙げられる。ただし、半導体素子においては、半導体成長用の基板は、除去されていてもよい。
【0025】
このような半導体層、例えば、第1半導体層、発光層及び第2半導体層は、その種類、材料など、特に限定されるものではなく、III-V族化合物半導体、II-VI族化合物半導体等、種々の半導体によって形成することができる。具体的には、In
XAl
YGa
1-X-YN(0≦X、0≦Y、X+Y≦1)等の窒化物系の半導体材料が挙げられ、InN、AlN、GaN、InGaN、AlGaN、InGaAlN等を用いることができる。各層の膜厚及び層構造は、当該分野で公知のものを利用することができる。
また、基板はその表面に凹凸を有していてもよいし、10°程度以下のオフ角を有していてもよい。
【0026】
半導体積層体の平面形状は、特に限定されるものではなく、四角形、六角形等の多角形、円、楕円及びこれらに近似する形状等が挙げられる。なかでも、四角形であることが好ましい。半導体積層体は、一部の領域において、厚み方向に除去されていることが好ましい。具体的には、所定の領域において、第2半導体層及び発光層、任意にn型半導体層の一部が除去され、n型半導体層が、第2半導体層側において露出していることが好ましい。ここでの一部の領域は、半導体積層体の一端側であってもよいし、他端側であってもよいし、内側であってもよいし、1つの領域でもよいし、複数の領域でもよい。例えば、半導体積層体の内側において、1つ又は複数の領域であることが好ましい。
【0027】
(第1電極及び第2電極)
第1半導体層には第1電極が電気的に接続されており、第2半導体層には第2電極が電気的に接続されている。これらの第1電極及び第2電極は、半導体積層体の上面側(つまり、半導体成長用の基板とは反対側)に配置されている。第1電極及び第2電極は、第1半導体層及び第2半導体層と接触して配置しているオーミック層のみならず、このオーミック層に電気的に接続されて、反射層、パッド層等の他の機能を有する1以上の層を含み、半導体装置の表面に露出して配置されている。第1電極と第2電極とは、異なる導電層の積層構造であってもよい。
【0028】
例えば、オーミック層は、半導体積層体からの光を効率的に取り出すために、透光性導電膜によって形成されていることが好ましい。ここで透光性とは、発光層から出射される光を、50%以上、60%以上、70%以上、80%以上透過させる性質を意味する。例えば、オーミック層としては、特に限定されず、半導体層とオーミックコンタクトを取り得る電極材料のいずれをも用いることができる。例えば、ニッケル、チタン、タングステン、白金、ロジウム、パラジウム、バナジウム、クロム、ニオブ、亜鉛、タンタル、モリブデン、ハフニウム、アルミニウム、銀、銅等の金属又はこれらの合金、亜鉛、インジウム、スズ、ガリウム及びマグネシウムからなる群から選択される少なくとも1種の元素を含む導電性酸化物等が挙げられる。導電性酸化物としては、ITO、ZnO、IZO、GZO、In
2O
3及びSnO
2等が挙げられる。オーミック層は、当該分野で公知の方法により形成することができる。また、オーミック層の厚みは特に限定されるものではなく、意図する特性等によって適宜調整することができる。
【0029】
オーミック層は、通常、電流をそれぞれ半導体層の面内全体に均一に供給するために、半導体積層体の上面と同じ又はそれよりも若干小さい大きさ、半導体積層体の上面と同様の形状又は相似形状とすることが好ましい。
【0030】
反射層は、銀又は銀合金などを有する層が挙げられる。銀合金としては、当該分野で公知の材料のいずれを用いてもよい。反射層の厚みは、特に限定されるものではなく、発光素子から出射される光を効果的に反射することができる厚み、例えば、20nm〜1μm程度が挙げられる。反射層の第1半導体層又は第2半導体層との接触面積は大きいほど好ましく、例えば、半導体積層体の平面積の50%以上、60%以上、70%以上が挙げられる。
【0031】
導電層として反射層を用いる場合には、銀のマイグレーションを防止するために、アルミニウム、銅、ニッケル等の金属を含有する単層又は積層等により、その上面(好ましくは、上面及び側面)を被覆する被覆電極を形成することが好ましい。被覆電極の厚みは、例えば、数百nm〜数μm程度が挙げられる。
【0032】
パッド層は、例えば、Au、Pt、Pd、Rh、Ni、W、Mo、Cr、Ti、Al、Cu等の金属又はこれらの合金、オーミック層で例示した導電層の単層膜又は積層膜によって形成することができる。具体的には、これら電極は、半導体層側からTi/Rh/Au、Ti/Pt/Au、W/Pt/Au、Rh/Pt/Au、Ni/Pt/Au、Al-Cu合金/Ti/Pt/Au、Al-Si-Cu合金/Ti/Pt/Au、Ti/Rhなどの積層膜によって形成することができる。膜厚は、当該分野で用いられる膜の膜厚のいずれでもよい。その大きさは、半導体素子に求められる特性によって、適宜設定することができる。
【0033】
第1電極及び第2電極の形状は特に限定されるものではなく、半導体積層体の形状に対応して、例えば、四角形であることが好ましい。
第1電極及び第2電極は、平面視、半導体積層体において、一端側と他端側にそれぞれ配置されていることが好ましい。
【0034】
(保護膜)
半導体素子は、半導体積層体の側面の少なくとも一部を被覆した保護膜を備えることが好ましい。保護膜は、半導体積層体の側面の少なくとも一部を露出していることが好ましい。特に、保護膜は、第2半導体層の側面を被覆し、かつ第1半導体層の側面の一部を露出したものがより好ましい。保護膜は、上述した絶縁膜のうちの1層が、半導体積層体の側面に延長するものであってもよい。これにより、半導体積層体の側面を保護することができ、絶縁性をも確保することができる。
【0035】
保護膜は、Ti、Zr、Nb、Ta、Alからなる群より選択された一以上の元素を含む酸化物又は窒化物によって、単層又は多層構造で形成することができる。
【0036】
(絶縁膜等)
上述したような第1電極及び第2電極の配置を実現するために、オーミック層とパッド層との間、パッド層の上等、任意の位置に、所望の導電性及び/又は絶縁性を確保するために、1層以上の絶縁膜が形成されていることが好ましい。なかでも、オーミック層とパッド層との間、パッド層の上にそれぞれ絶縁膜が形成されていることがより好ましい。このように絶縁膜を配置することにより、第1半導体層の露出した位置にかかわらず、これら絶縁膜を介して、第1電極を第2半導体層上にも引き回すことができる。また、第2半導体層の位置にかかわらず、これら絶縁膜を介して、第2電極を第1半導体層及び/又は第2半導体層上にも引き回すことができる。その結果、第1電極及び第2電極の上面での、半導体層の高低差に起因する高低差を回避することができ、言い換えると、第1電極及び第2電極は、第2半導体層の表面に対して同等の高さに配置することができ、後述するように、半導体素子を基体にフリップチップ実装する場合において、確実かつ高い信頼性を確保することができる。ここで第1電極及び第2電極が同等の高さとは、0.5μm程度以内の高低差は許容されることを意味する。
【0037】
絶縁膜は、保護膜と同様に、Ti、Zr、Nb、Ta、Alからなる群より選択された一以上の元素を含む酸化物又は窒化物によって、単層又は多層構造で形成することができる。上述した反射層は、この絶縁膜中に絶縁性を確保した形状、位置、大きさで形成されていてもよい。
【0038】
第1電極と第2電極との間、及び、第1半導体層と第2半導体層との間の、それぞれの間に両者の電気的な接続を阻害しない範囲で、分布ブラッグ反射器(以下「DBR」とも言う)を配置してもよい。
DBRは、例えば、酸化膜等からなる下地層の上に、低屈折率層と高屈折率層とからなる1組の誘電体を複数組積層させた多層構造であり、所定の波長光を選択的に反射する。具体的には屈折率の異なる膜を1/4波長の厚みで交互に積層することにより、所定の波長を高効率に反射させることができる。材料として、Si、Ti、Zr、Nb、Ta、Alからなる群より選択された1種以上の酸化物又は窒化物を含んで形成することができる。DBRを酸化膜で形成する場合、低屈折率層を例えばSiO
2、高屈折率層を例えばNb
2O
5、TiO
2、ZrO
2、Ta
2O
5等とすることができる。具体的には、下地層側から順番に(Nb
2O
5/SiO
2)n、nは2〜5が挙げられる。DBRの総膜厚は0.2〜1μm程度が好ましい。
【0039】
このような構成により、接合部材のリフロー時に、第1接続部及び第2接続部の面積の差異によって、第1接合部材より第2接合部材の方が表面張力が働く。これにより、第1接合部材と第1配線パターンとの接合面積より第2接合部材と第2配線パターンとの接合面積が小さくなり、第2接合部材の厚みを厚くすることができる。これによって、露出したn型半導体層3の側面と第2接合部材18との最短距離sを、露出したn型半導体層3の側面と第1接合部材17との最短距離qよりも長く配置することができる。その結果、p型半導体層5と電気的に接続された第2配線パターン16と、n型半導体層3との短絡を効果的に防止することができ、信頼性の高い半導体装置を得ることができる。
【0040】
〔半導体装置の製造方法〕
本開示の半導体装置の製造方法は、
(a)第1配線パターンと第2配線パターンとを備え、第1配線パターンが、第2配線パターン側に凸状に延伸する第1接続部を有し、かつ第2配線パターンが、第1接続部側に延伸し、該第1接続部の縁よりも長い縁を有する第2接続部を有する基体を準備し、
(b)第1電極及び第2電極を同一面側に備える半導体素子を準備し、
(c)半導体素子を、第1電極が第1接合部材を介して第1配線パターンに対面し、且つ第2電極が第2接合部材を介して第2配線パターンに対面するように、基体上に配置し、
(d)第1接合部材及び第2接合部材を溶融し、第1接続部及び第2接続部の縁による表面張力により、第1接合部材と第1配線パターンとの接合面積が、第2接合部材と第2配線パターンとの接合面積よりも大きくなるように接続することを含む半導体装置の製造方法。
【0041】
工程(a)及び(b)では、上述した基体及び半導体素子をそれぞれ準備する。
【0042】
工程(c)では、半導体素子を、半導体素子の第1電極が第1接合部材を介して第1配線パターンに対面するように、かつ第2電極が第2接合部材を介して第2配線パターンに対面するように、基体上に配置する。
【0043】
工程(d)では、第1接合部材及び第2接合部材を溶融する。ここでの溶融方法は、基体自体を加熱する方法、高温雰囲気下に基体及び半導体素子を載置する方法など、当該分野でも公知の方法を利用することができる。温度は、溶融するための温度は、用いる接合部材によって適宜調整することができるが、例えば、150〜300℃程度が好ましく、220〜260℃程度がより好ましい。溶融に要する時間は特に限定されないが、熱による他の部材の損傷/劣化を防止するために、10〜90秒間程度が好ましく、20〜60秒間程度がより好ましい。
【0044】
接合部材を溶融させた後、基体及び半導体素子を常温に晒すことが好ましい。これにより、例えば、第2接合部材を、第1接合部材よりも、最大厚みが厚くなるように又は配線パターンとの接合面積が大きくなるように、これら接合部材を固化させることができる。これにより、保護膜より露出した第1半導体層の側面と第2接合部材との最短距離が、保護膜より露出した第1半導体層の側面と第1接合部材との最短距離よりも長くすることができる。つまり、半導体積層体が保護膜によって被覆されずに露出した場合においても、半導体積層体におけるn又はp型の半導体層を、逆導電型の配線パターンに接触させることなく半導体素子を基体に電気的に接続することができ、短絡が生じない信頼性の高い半導体装置を得ることができる。
【0045】
これにより、半導体積層体が保護膜によって被覆されずに露出し、例えば、
図1BのLの方向に半導体素子が傾斜するなどして、露出した半導体積層体の一部が配線パターンに近づくような場合においても、半導体積層体におけるn又はp型の半導体層を、逆導電型の配線パターンに接触させることなく半導体素子を基体に電気的に接続することができ、短絡が生じない信頼性の高い半導体装置を製造することができる。
【0046】
この第1実施形態の半導体装置及びその製造方法を図面に基づいて、以下に具体的に説明する。
この実施形態の半導体装置10は、
図1A及び1Bに示すように、半導体素子として発光素子1が、基体13上に実装されて構成されている。
図1A及び1Bにおいては、発光素子1を基体13上に接続するための接合部材は省略している。
【0047】
発光素子1は、
図1Cに示したように、n型半導体層3と、発光層4と、p型半導体層5とが順に積層される半導体積層体6と、半導体積層体6の上面、つまりp型半導体層5の上面で、p型半導体層5に接続されたp電極と、半導体積層体6の上面のp型半導体層5の一部が、半導体積層体6の内側において溝状に除去されて、n型半導体層3が露出し、その露出したn型半導体層3の上面で、n型半導体層3に接続されるn電極とを有する。発光素子1の平面形状は、例えば、一辺600μmの略正方形とする。
【0048】
n電極は、n型半導体層3の上面にオーミックコンタクトしたn側オーミック電極層7aと、n側オーミック電極層7aの一部を被覆した絶縁性の多層構造膜8を介してn側オーミック電極層7aと電気的に接続されるn側内部電極層9aと、n側外部電極層11aとからなる。
p電極は、p型半導体層5の上面にオーミックコンタクトしたp側オーミック電極層7bと、p側オーミック電極層7bの一部を被覆した絶縁性の多層構造膜8を介してp側オーミック電極層7bと電気的に接続されるp側内部電極層9bと、p側外部電極層11bからなる。
【0049】
絶縁性の多層構造膜8には貫通孔が複数形成されており、その貫通孔を通じて、n側オーミック電極層7aとn側内部電極層9aとが電気的に接続されており、p側オーミック電極層7bとp側内部電極層9bとが電気的に接続されている。また、多層構造膜8は、半導体積層体6の側面の一部を被覆し、一部を露出した保護膜として機能する。
【0050】
n側内部電極層9a及びp側内部電極層9bの上には、それぞれn側内部電極層9a及びn側内部電極層9bの上に開口12aを有する第2絶縁層12(SiO
2、厚み:約1μm)が形成されている。この第2絶縁層12の上には、n側内部電極層9a上に配置する開口12aを介して、n側内部電極層9aに接続されたn側外部電極層11aが形成されている。p側内部電極層9b上に配置する開口12aを介して、p側内部電極層9bに接続されたp側外部電極層11bが形成されている。
【0051】
n側外部電極層11aは、n側内部電極層9a上から、p型半導体層5の上に配置するp側内部電極層9bの上にわたって配置している。p側外部電極層11bは、p側内部電極層9b上から、n型半導体層3の上に配置するn側内部電極層9aの上にわたって配置している。
n電極及びp電極の上面、つまり、n側外部電極層11a及びp側外部電極層11bの上面は、p型半導体層5の表面に対して同等の高さに配置されている。
【0052】
図1A、1B及び1Dに示すように、基体13は、基材14の表面に形成された第1配線パターン15及び第2配線パターン16を有する。第1配線パターン15及び第2配線パターン16には、一対の外部配線19が接続され、電力が供給される。一対の外部配線19は、基体13上に設けられた公知のコネクタ等に接続されていてもよい。また、
図1E及び1Fに
図1Dの点線枠の拡大図を示す。
【0053】
第1配線パターン15は、第2配線パターン16側に凸状に延伸する第1接続部15aを有し、第2配線パターン16は、第1接続部15a側に凸状に延伸し、第1接続部15aよりも面積の大きい第2接続部16aを有する。第1接続部15a及び第2接続部16aは、いずれも、平面視が四角形である。
【0054】
第1接続部15aの第1配線パターン15からの延伸する部位の近傍には、第1接続部15aの対向する二辺に沿って、凹パターン15bが形成されている。凹パターン15bとは第1配線パターン15が凹状に形成される部分である。第2接続部16aの第2配線パターン16からの延伸する部位の近傍には、第2接続部16aの対向する二辺に沿って、凹パターン16bが形成されている。凹パターン16bとは第2配線パターン16が凹状に形成される部分である。
第1接続部15aと第2接続部16aとの面積の差は、第2接続部16aの凸状に延伸する延伸長さが第1接続部15aよりも長いことにより設定されている。言い換えると、凹パターン15bの長さ(
図1Bの矢印L方向の長さ)が、凹パターン16bの長さ(
図1Bの矢印L方向の長さ)よりも長いことにより設定されている。
【0055】
図1Dに示すように、発光素子1の第1電極は、第1接続部15aと対面して第1接合部材17によって接続されており、第2電極は、第2接続部16aと対面して、第1接合部材17より最大厚みが厚い第2接合部材18によって接続されている。言い換えると、発光素子1は第2接続部側よりも第1接続部側に近づくように傾斜している。更に、言い換えると、第1接合部材17と第1配線パターン15との接合面積が、第2接合部材18と第2配線パターン16との接合面積よりも大きい。このような構成により、露出したn型半導体層3の側面と第2接合部材18との最短距離sを、露出したn型半導体層3の側面と第1接合部材17との最短距離qよりも長く配置することができる(
図1E、1F)。第1接合部材17及び第2接合部材18は、SnCu半田からなり、同量で配置されている。また、第1接合部材17の最大厚みは、40μmであり、第2接合部材18の最大厚みは60μmである。
【0056】
第1接合部材17及び第2接合部材18のこのような配置により、発光素子1は、n電極及びp電極を備える面の反対面、つまり、基板2の上面が、基体13表面に対して9.3°傾斜して配置されている。言い換えると、発光素子1は、n電極及びp電極を備える面の反対面のn電極側が、p電極側よりも基体13表面に近い。
【0057】
このような半導体装置10は、以下の製造方法によって形成することができる。
まず、上述した基体13及び発光素子1をそれぞれ準備する。
次いで、発光素子1を、発光素子1のn電極が第1接合部材17を介して第1配線パターン15に対面するように、かつp電極が第2接合部材18を介して第2配線パターン16に対面するように、基体13上に配置する。
【0058】
その後、第1接合部材17及び第2接合部材18をリフローにより溶融する。そのために、240℃に加熱したリフロー炉に基体13上に配置した発光素子1を挿入し、30秒間維持する。その後、リフロー炉から基体13を取り出すことにより、第1接合部材17を、第2接合部材18よりも、最大厚みが厚くなるように、また、第2配線パターン16表面への広がり面積(つまり、接合面積)が、第1配線パターン15よりも大きくなるように、これら第1接合部材17及び第2接合部材18を固化させることができる。
【0059】
〔第2実施形態〕
この第2実施形態の半導体装置20は、
図2に示すように、第1配線パターン25及び第2配線パターン26において、四角形状に突出させるのみのシンプルな形状で、第1接続部25a及び第2接続部26aを形成した以外、実施形態1の半導体装置10と同様の構成を有する。
この半導体装置20においても、半導体装置10と同様の効果を有する。