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特開2016-225538酸化物単結晶薄膜を備えた複合ウェーハの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-225538(P2016-225538A)
(43)【公開日】2016年12月28日
(54)【発明の名称】酸化物単結晶薄膜を備えた複合ウェーハの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/02 20060101AFI20161205BHJP
   H01L 27/12 20060101ALI20161205BHJP
   H01L 41/187 20060101ALI20161205BHJP
   H01L 41/312 20130101ALI20161205BHJP
   H01L 21/265 20060101ALI20161205BHJP
   H03H 3/08 20060101ALI20161205BHJP
   H03H 9/25 20060101ALI20161205BHJP
【FI】
   H01L21/02 B
   H01L27/12 B
   H01L41/187
   H01L41/312
   H01L21/265 Q
   H03H3/08
   H03H9/25 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2015-112332(P2015-112332)
(22)【出願日】2015年6月2日
(71)【出願人】
【識別番号】000002060
【氏名又は名称】信越化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100096769
【弁理士】
【氏名又は名称】有原 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100107319
【弁理士】
【氏名又は名称】松島 鉄男
(74)【代理人】
【識別番号】100114591
【弁理士】
【氏名又は名称】河村 英文
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100170379
【弁理士】
【氏名又は名称】徳本 浩一
(72)【発明者】
【氏名】秋山 昌次
(72)【発明者】
【氏名】川合 信
【テーマコード(参考)】
5J097
【Fターム(参考)】
5J097AA32
5J097FF01
5J097HA03
5J097HA07
5J097KK01
5J097KK10
(57)【要約】
【課題】支持ウェーハと酸化物単結晶薄膜との貼り合わせ界面に割れや剥がれがなく、支持ウェーハ上の全面にタンタル酸リチウムまたはニオブ酸リチウムである酸化物単結晶の薄膜が転写された複合ウェーハを提供する。
【解決手段】表面から水素原子イオンまたは水素分子イオンを注入し、酸化物単結晶ウェーハの内部にイオン注入層を形成する工程と、酸化物単結晶ウェーハのイオン注入した表面と支持ウェーハの表面の少なくとも一方に表面活性化処理を施す工程と、酸化物単結晶ウェーハのイオン注入した表面と支持ウェーハの表面とを貼り合わせて接合体を得る工程と、接合体を90℃以上であって割れを生じない温度で熱処理する工程と、熱処理した接合体のイオン注入層に機械的衝撃を与える工程であって、イオン注入層に沿って剥離し、支持ウェーハ上に転写された酸化物単結晶薄膜を得る、工程とを少なくとも含む複合ウェーハの製造方法である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タンタル酸リチウムウェーハまたはニオブ酸リチウムウェーハである酸化物単結晶ウェーハの表面から水素原子イオンまたは水素分子イオンを注入し、前記酸化物単結晶ウェーハの内部にイオン注入層を形成する工程と、
前記酸化物単結晶ウェーハのイオン注入した表面と、前記酸化物単結晶ウェーハと貼り合わせようとする支持ウェーハの表面の少なくとも一方に、表面活性化処理を施す工程と、
前記表面活性化処理を施した後、前記酸化物単結晶ウェーハのイオン注入した表面と、前記支持ウェーハの表面とを貼り合わせて接合体を得る工程と、
前記接合体を90℃以上であって割れを生じない温度で熱処理する工程と、
前記熱処理した接合体の前記イオン注入層に機械的衝撃を与える工程であって、前記イオン注入層に沿って剥離し、前記支持ウェーハ上に転写された酸化物単結晶薄膜を得る、工程と
を少なくとも含み、
前記水素原子イオンの注入量が、5.0×1016atom/cm〜2.75×1017atom/cmであり、前記水素分子イオンの注入量が、2.5×1016atoms/cm〜1.37×1017atoms/cmである、
支持ウェーハ上に酸化物単結晶薄膜を備えた複合ウェーハの製造方法。
【請求項2】
前記支持ウェーハがサファイア、シリコン、酸化膜付きシリコン、およびガラスからなる群から選ばれるウェーハであり、
前記熱処理する工程における前記温度が、前記支持ウェーハがサファイアウェーハであるときは90〜225℃であり、前記支持ウェーハがシリコンウェーハまたは酸化膜付きシリコンウェーハであるときは90〜200℃であり、前記支持ウェーハがガラスウェーハであるときは90〜110℃である、請求項1に記載の複合ウェーハの製造方法。
【請求項3】
前記表面活性化処理が、オゾン水処理、UVオゾン処理、イオンビーム処理、およびプラズマ処理から選ばれる、請求項1または2に記載の複合ウェーハの製造方法。
【請求項4】
前記接合体を得るための前記貼り合わせ時の温度と、前記機械的衝撃を与える時の前記接合体の温度との差が、0〜40℃以内である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の複合ウェーハの製造方法。
【請求項5】
前記機械的衝撃を与える工程が、前記接合体の片側または両側の表面に補強材を固定した後に、前記イオン注入層に前記機械的衝撃を与えることを含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の複合ウェーハの製造方法。
【請求項6】
前記補強材が、真空チャック、静電チャックまたは補強板である、請求項5に記載の複合ウェーハの製造方法。
【請求項7】
前記補強板が、両面テープによって固定される、請求項6に記載の複合ウェーハの製造方法。
【請求項8】
前記機械的衝撃が、前記イオン注入層に楔状の刃を接触させることで与えられる、請求項1〜7のいずれか1項に記載の複合ウェーハの製造方法。
【請求項9】
前記機械的衝撃が、前記イオン注入層に気体もしくは液体の流体を吹き付けることで与えられる、請求項1〜7のいずれか1項に記載の複合ウェーハの製造方法。
【請求項10】
前記機械的衝撃が、前記イオン注入層に楔状の刃を接触させることと、前記イオン注入層に気体もしくは液体の流体を吹き付けることで与えられる、請求項1〜7のいずれか1項に記載の複合ウェーハの製造方法。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項に記載の複合ウェーハの製造方法によって得られる、支持ウェーハと、前記支持ウェーハ上のタンタル酸リチウム薄膜またはニオブ酸リチウム薄膜である酸化物単結晶薄膜とを備えた複合ウェーハ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合ウェーハの製造に関する。より詳しくは、支持ウェーハ上に酸化物単結晶薄膜を備えた複合ウェーハの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、スマートフォンに代表される小型通信機器の分野において、通信量の急激な増大や多機能化は進行している。通信量の増大に対応してバンド数を増加させることが行われている一方、小型通信機器は、その形状をスケールアップさせることなく多機能化することが求められている。よって、小型通信機器に用いられる各種部品は、更なる小型化、高性能化が必須となっている。
【0003】
タンタル酸リチウム(Lithium Tantalate:LT)やニオブ酸リチウム(Lithium Niobate:LN)等の酸化物単結晶は、一般的な圧電材料であり、表面弾性波(surface acoustic wave:SAW)デバイスの材料として広く用いられている。圧電材料に酸化物単結晶を用いた場合、電磁的エネルギーが力学的エネルギーに変換される効率を示す電気機械結合係数の値が大きいため広帯域化を可能とするが、温度安定性は低く、温度変化によって対応できる周波数がシフトしてしまう。温度に対する低い安定性は、酸化物単結晶の熱膨張係数に起因する。
【0004】
電圧材料に酸化物単結晶を用いた場合の温度安定性を向上させる方法として、例えば、酸化物単結晶ウェーハに、酸化物単結晶より小さい熱膨張係数を有する材料、具体的にはサファイアウェーハを貼り合わせて、酸化物単結晶ウェーハ側を研削などで数μm〜数十μmに薄化することで、酸化物単結晶の熱膨張の影響を抑えることが提案されている(非特許文献1)。しかし、この方法は、貼り合わせた後に酸化物単結晶ウェーハを削り込むため、酸化物単結晶ウェーハの大部分を捨て去ってしまうことになり、材料の使用効率が悪い。また、酸化物単結晶として用いられるタンタル酸リチウムやニオブ酸リチウムは高価な材料であるので、生産コストを抑えるためにも、製品への利用効率が高く、廃棄する量が少ない手法が望まれる。
【0005】
SOIウェーハの製造手法、例えばSmart−Cut法は、端的に言えば、水素イオン層を形成したシリコンウェーハに支持ウェーハを貼り合わせた後に、500℃前後の熱処理を加えることでイオン注入層を熱的に剥離させる方法である(特許文献1)。酸化物単結晶ウェーハの製品への利用効率を上げるために、Smart−Cut法のシリコンウェーハの代わりに酸化物単結晶ウェーハを適用して、支持ウェーハ上に酸化物単結晶の薄膜を形成することが試みられている(非特許文献2、3)。
【0006】
非特許文献2は、イオン注入層を形成したタンタル酸リチウムウェーハの表面に厚さ121nmのCrの金属層を形成し、金属層を介して厚さ数百nmのSiO基板と貼り合わせて、200〜500℃で熱処理してイオン注入層で剥離させ、金属層を介してSiO基板上にタンタル酸リチウム薄膜を転写した後に、SiO基板のタンタル酸リチウム薄膜を転写した面の反対側にタンタル酸リチウムウェーハを貼り合わせて、LTMOI(lithium−tantalate−metal−on−insulator)構造を作製することを報告している。また、非特許文献3は、イオン注入層を形成したタンタル酸リチウムウェーハにシリコンウェーハを貼り合わせて、200℃で熱処理してイオン注入層で剥離させて、シリコンウェーハ上にタンタル酸リチウム薄膜を熱的に転写したことを報告している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第3048201号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】太陽誘電株式会社、“スマートフォンのRFフロントエンドに用いられるSAW−Duplexerの温度補償技術”、[online]、2012年11月8日、電波新聞ハイテクノロジー、[平成27年3月20日検索]、インターネット(URL:http://www.yuden.co.jp/jp/product/tech/column/20121108.html)
【非特許文献2】A Tauzinら、“3−inch single−crystal LiTaO3 films onto metallic electrode using Smart CutTM technology”、Electric Letters、19th June 2008、Vol.44、No.13、p.822
【非特許文献3】Weill Liuら、“Fabrication of single−crystalline LiTaO3 film on silicon substrate using thin film transfer technology”、J. Vac. Sci. Technol. B26(1)、Jan/Feb 2008、p.206
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
タンタル酸リチウム(LT)やニオブ酸リチウム(LN)等の酸化物単結晶は、硬く且つ非常に脆いものであり、また、図6に示すように、シリコン、ガラスおよびサファイアと比べて熱膨張係数が極めて大きい。このため、酸化物単結晶は、シリコン、ガラスおよびサファイア等の異種のウェーハと貼り合わせた後に高温で熱処理すると、両ウェーハの熱膨張係数の差によって、貼り合わせたウェーハの間で剥がれや割れが発生してしまうという問題がある。例えば、タンタル酸リチウムと、一般的に支持ウェーハとして用いられる、特に熱膨張係数が大きいサファイアとの差は、図6から確認できるとおり、7×10−6/K(=7ppm/K)以上もある。
【0010】
非特許文献2は、タンタル酸リチウムのウェーハと薄膜の間に、金属層とSiO基板を挟む構造とすることで、熱処理時に熱膨張の差によるウェーハの剥がれや割れを抑制し、タンタル酸リチウム薄膜の転写を可能とする報告である。しかし、この方法では、下地の基板を薄膜と同じタンタル酸リチウムとするため、上述した圧電材料としての課題である温度安定性は解決できない。また、熱処理を200℃以上としないと、薄膜を転写することができない。さらに、金属層を挟み込む構造であるため、適用可能な用途は制限される。また、ウェーハの割れを抑制するために高価なタンタル酸リチウムを必要以上に使用しなければならなく、製造コストが高くなる。
【0011】
非特許文献3は、熱処理を200〜800℃で試みたと記載しているが、具体的にSmart−Cut法を用いてシリコンウェーハ上にタンタル酸リチウム薄膜を転写した例としては200℃のみであり、また、この例において、シリコンウェーハの全面にタンタル酸リチウム薄膜を転写し得たか否かについては記載されていない。本発明者らは、非特許文献3と同様の手法を用いて、200℃での熱処理による剥離についての検証実験を行ったところ、タンタル酸リチウム薄膜は、シリコンウェーハの全面には転写されず、ごく一部分においてのみ転写が認められた。特に、シリコンウェーハの外周部分においては、タンタル酸リチウム薄膜が全く転写されなかった。これは、熱処理中に両ウェーハの熱膨張の差に起因して貼り合わせウェーハの反りが生じ、シリコンウェーハの外周部分においてタンタル酸リチウムウェーハとの貼り合わせ界面から剥がれたものと思われる。また、熱処理温度を200℃以上とした場合についても、上述したように、両ウェーハの熱膨張の差に起因した貼り合わせウェーハの反りを抑制できず、シリコンウェーハの全面にタンタル酸リチウム薄膜を安定的に転写することができないと推察する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、鋭意検討を行った結果、予想に反して、熱膨張係数の近い材料を組み合わせて応力の発生を抑える従来のアプローチとは異なり、敢えて酸化物単結晶と熱膨張係数が大きく異なる(具体的には酸化物単結晶よりも7ppm/K以上熱膨張係数の小さい)材料を支持ウェーハとして選択することにより、低コスト、かつ、貼り合わせ界面で剥がれや割れが生じにくい、支持ウェーハ上に酸化物単結晶薄膜を備えた複合ウェーハの製造方法を見出した。具体的には、所定の水素イオン注入量を用いてイオン注入層を形成した酸化物単結晶ウェーハと、酸化物単結晶より熱膨張係数の小さい支持ウェーハとを、表面活性化処理などでウェーハ間に結合力を付与した状態で貼り合わせ、熱剥離を生じさせない程度の低温で熱処理を加えた後に、イオン注入層に物理的な衝撃を与えることで、イオン注入層の脆化を一気に進めて剥離させることを見出した。
【0013】
すなわち、本発明は、一態様によれば、
タンタル酸リチウムウェーハまたはニオブ酸リチウムウェーハである酸化物単結晶ウェーハの表面から水素原子イオンまたは水素分子イオンを注入し、前記酸化物単結晶ウェーハの内部にイオン注入層を形成する工程と、
前記酸化物単結晶ウェーハのイオン注入した表面と、前記酸化物単結晶ウェーハと貼り合わせようとする支持ウェーハの表面の少なくとも一方に、表面活性化処理を施す工程と、
前記表面活性化処理を施した後、前記酸化物単結晶ウェーハのイオン注入した表面と、前記支持ウェーハの表面とを貼り合わせて接合体を得る工程と、
前記接合体を90℃以上であって割れを生じない温度で熱処理する工程と、
前記熱処理した接合体の前記イオン注入層に機械的衝撃を与える工程であって、前記イオン注入層に沿って剥離し、前記支持ウェーハ上に転写された酸化物単結晶薄膜を得る、工程と
を少なくとも含み、
前記水素原子イオンの注入量が、5.0×1016atom/cm〜2.75×1017atom/cmであり、前記水素分子イオンの注入量が、2.5×1016atoms/cm〜1.37×1017atoms/cmである、
支持ウェーハ上に酸化物単結晶薄膜を備えた複合ウェーハの製造方法を提供することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の製造方法によれば、支持ウェーハと酸化物単結晶薄膜との貼り合わせ界面での密着性が高く、且つ、剥がれや割れが生じにくく、支持ウェーハ上の全面に均一の厚みの酸化物単結晶薄膜が転写された複合ウェーハを得ることができる。また、支持ウェーハ上に酸化物単結晶薄膜を転写して分離した後の酸化物単結晶ウェーハを、再度、複合ウェーハの製造に用いることができ、低コスト化することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一態様の複合ウェーハの製造方法の模式図である。
図2】本発明の機械的衝撃を与える工程において補強治具を用いた場合の一態様の配置図である。
図3】本発明の機械的衝撃を与える工程において補強治具を用いた場合の他の態様の配置図である。
図4】本発明の機械的衝撃を与える工程において補強治具を用いた場合の他の態様の配置図である。
図5】本発明の機械的衝撃を与える工程において補強治具を用いた場合の他の態様の配置図である。
図6】各種材料の熱膨張係数を比較した図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための形態を詳細に説明するが、本発明の範囲は、この形態に限定されるものではない。
【0017】
本発明は、一態様によれば、支持ウェーハ上に酸化物単結晶薄膜を備えた複合ウェーハの製造方法に関する。
【0018】
支持ウェーハは、例えば、貼り合わせる酸化物単結晶ウェーハの熱膨張係数よりも7ppm/K以上小さい材料からなるウェーハであってもよい。支持ウェーハは、サファイアウェーハ、シリコンウェーハ、酸化膜付きシリコンウェーハおよびガラスウェーハ等が挙げられる。支持ウェーハの大きさは、特に限定されるものではないが、例えば直径75〜150mm、厚さ0.2〜0.8mmのウェーハであってもよい。支持ウェーハは、市販されているものを用いてもよいが、特に限定されるものではない。例えば、酸化膜付きシリコンウェーハは、少なくとも貼り合わせる表面に酸化膜を有するシリコンウェーハであり、シリコンウェーハを大気雰囲気下700〜1200℃で熱処理することで、シリコンウェーハの表面上に酸化膜を作製してもよい。酸化膜付きシリコンウェーハの酸化膜の厚さは、特に限定されるものではないが、10〜500nmであることが好ましい。
【0019】
酸化物単結晶は、リチウムと、タンタルまたはニオブ等の金属元素と、酸素とからなる化合物であって、例えばタンタル酸リチウム(LiTaO)やニオブ酸リチウム(LiNbO)が挙げられる。酸化物単結晶は、特にレーザー素子あるいは圧電素子、表面弾性波素子等の用途において、タンタル酸リチウム単結晶またはニオブ酸リチウム単結晶であることが好ましい。酸化物単結晶は、通常、ウェーハの形状で用いられる。酸化物単結晶ウェーハの大きさは、特に限定されるものではないが、例えば直径75〜150mm、厚さ0.2〜0.8mmのウェーハであってもよい。酸化物単結晶ウェーハは、市販されているものを用いてもよいが、チョクラルスキー法等を用いた既報の製造方法(例えば特開2003−165795号、再公表2004−079061号)をそのまま用いてまたはそれらに記載される工程を組み合わせて作製してもよい。
【0020】
支持ウェーハおよび酸化物単結晶ウェーハは、貼り合わせる表面において、表面粗さRMSが1.0nm以下であることが好ましい。表面粗さRMSが1.0nmより大きいと、貼り合わせ界面に空隙が生じ、剥がれの原因となる場合がある。このため、表面粗さRMSが1.0nmより大きい場合は、化学機械研磨(Chemical Mechanical Polishing:CMP)によって所望の表面粗さとしてもよい。なお、表面粗さRMSは、例えば原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscopy:AFM)によって評価することができる。
【0021】
酸化物単結晶ウェーハは、その表面から水素イオンを注入し、酸化物単結晶ウェーハの内部にイオン注入層を形成する。イオン注入層は、酸化物単結晶ウェーハの表面から所望の深さにイオン注入層を形成できるような注入エネルギーで、所定の線量の水素原子イオン(H)または水素分子イオン(H)を注入することにより形成される。このときの条件として、例えば注入エネルギーは50〜200keVとすることができる。水素原子イオン(H)の場合、注入量は、5.0×1016atom/cm〜2.75×1017atom/cmである。5.0×1016atom/cm未満だと、後の工程でイオン注入層の脆化が起こらない。2.75×1017atom/cmを超えると、イオン注入時にイオン注入した面においてマイクロキャビティが生じ、ウェーハ表面に凹凸が形成され所望の表面粗さが得られなくなる。また、水素分子イオン(H)の場合、注入量は、2.5×1016atoms/cm〜1.37×1017atoms/cmである。2.5×1016atoms/cm未満だと、後の工程でイオン注入層の脆化が起こらない。1.37×1017atoms/cmを超えると、イオン注入時にイオン注入した面においてマイクロキャビティが生じ、ウェーハ表面に凹凸が形成され所望の表面粗さが得られなくなる。水素原子イオンの注入量は、水素分子イオンの注入量の2倍であってもよい。
【0022】
次に、酸化物単結晶ウェーハのイオン注入した表面と、酸化物単結晶ウェーハと貼り合わせようとする支持ウェーハの表面の少なくとも一方に、表面活性化処理を施す。表面活性化処理を施す表面は、酸化物単結晶ウェーハのイオン注入した表面と、酸化物単結晶ウェーハと貼り合わせようとする支持ウェーハの表面の両方であってもよく、少なくとも一方である。表面活性化処理を施すことで、貼り合わせた後に接合強度を高めるための高温での熱処理を用いなくてもよく、比較的低温でも所望の接合強度を得ることができる。とりわけ、タンタル酸リチウムやニオブ酸リチウムなどの硬くて脆い酸化物単結晶ウェーハと、酸化物単結晶ウェーハと比較して熱膨張係数が非常に小さい支持ウェーハとを用い、上述したように表面活性化処理を施して貼り合わせた場合、後の比較的低温での熱処理によって、酸化物単結晶ウェーハと支持ウェーハの熱膨張係数の差から、貼り合わせ界面と並行となる方向に発生した大きな剪断応力が、表面活性化処理によって剪断応力に対抗し得るのに十分な接合強度を付与した貼り合わせ界面ではなく、イオン注入層において剥離しない程度に破壊を促進されることができる。
【0023】
表面活性化処理の方法としては、オゾン水処理、UVオゾン処理、イオンビーム処理およびプラズマ処理等が挙げられる。オゾンで処理をする場合は、例えば、純水中にオゾンガスを導入してオゾン水とし、オゾン水中にウェーハを浸漬させることで、活性なオゾンで表面を活性化することができる。また、UVオゾン処理をする場合は、例えば、大気もしくは酸素ガスに短波長のUV光(例えば波長195nm程度)を照射して活性なオゾンを発生させた雰囲気中にウェーハを保持することで、表面を活性化することができる。イオンビーム処理をする場合は、例えば、高真空中(例えば1×10−5Pa未満)でAr等のイオンビームをウェーハ表面に当て、活性度が高いダングリングボンドを露出させることで行うことができる。プラズマで処理をする場合、例えば、真空チャンバ中にウェーハを載置し、プラズマ用ガスを減圧(例えば0.2〜1.0mTorr)下で5〜60秒程度さらし、表面をプラズマ処理する。プラズマ用ガスとしては、表面を酸化する場合には酸素ガス、酸化しない場合には水素ガス、窒素ガス、アルゴンガスまたはこれらの混合ガスを用いることができる。プラズマで処理することにより、ウェーハ表面の有機物が酸化して除去され、さらに表面のOH基が増加し活性化する。
【0024】
次に、表面活性化処理を施した後、酸化物単結晶ウェーハのイオン注入した表面と、支持ウェーハの表面とを貼り合わせて接合体を得る。酸化物単結晶ウェーハと支持ウェーハを貼り合わせる時の温度は、室温近傍(室温を含む)の温度、例えば10〜50℃で行うことが好ましい。最終製品である複合ウェーハは室温前後で用いられることが多く、貼り合わせる時もこの温度域に準拠していることが望ましい。なお、貼り合わせる時の温度は、貼り合わせを行う場所の温度、つまり周囲または装置内の雰囲気温度であってもよい。貼り合わせる時の温度は、例えば貼り合わせ装置内の雰囲気温度を設定することで制御することができる。なお、室温は、対象物に加熱も冷却も行わない周囲温度であり、特に限定されないが、例えば10〜30℃、好ましくは25℃前後である。
【0025】
次に、接合体を90℃以上であって、例えば貼り合わせ界面に割れを生じない温度で熱処理する。90℃未満だと、酸化物単結晶ウェーハと支持ウェーハとの貼り合わせ界面での接合強度が不十分となり、貼り合わせ界面で剥がれが生じる場合がある。熱処理の温度は、用いる支持ウェーハに合わせて変化させてもよい。熱処理する工程における温度は、例えば、支持ウェーハがサファイアウェーハである場合は、好ましくは90〜225℃であり、より好ましくは90〜200℃である。支持ウェーハがシリコンウェーハまたは酸化膜付きシリコンウェーハである場合は、好ましくは90〜200℃であり、より好ましくは90〜175℃である。また、支持ウェーハがガラスウェーハである場合は、好ましくは90〜110℃であり、より好ましくは90〜100℃である。接合体を90℃以上であって割れを生じない温度で熱処理することによって、支持ウェーハと酸化物単結晶ウェーハとの貼り合わせ界面での接合力を向上させるだけでなく、後の工程においてイオン注入層を脆化しやすくすることも可能となる。熱処理手段としては、例えば熱処理炉やオーブン等が挙げられるが、特に限定されない。なお、接合体の温度は、例えば熱処理装置内に付随する熱電対などを用いて、炉やオーブン内の雰囲気温度を測定した温度であってもよい。上記温度での熱処理の時間は、割れや剥離を生じなければ特に限定されず、10分から数十時間、例えば100時間までとしてもよい。例えば、熱処理温度が90℃以上110℃未満である場合、10分間〜100時間とすることが好ましく、熱処理温度が110℃以上175℃未満である場合、10分間〜60時間とすることが好ましく、熱処理温度が175℃以上200℃未満である場合、10分間〜24時間とすることが好ましく、熱処理温度が200℃以上225℃未満である場合、10分間〜12時間とすることが好ましい。本発明によれば、接合体に保護ウェーハを備えることなく、熱処理することができるため、工程をより簡易化することが可能である。
【0026】
熱処理した接合体は、室温近傍(室温を含む)の温度、例えば10〜50℃となるように冷却することが好ましい。例えば、熱処理した接合体を、25℃に調節した部屋で静置させて所望の温度としてもよい。接合体を貼り合わせ時と同様の室温近傍の温度とすることで、接合体の応力を低減でき、後の機械的衝撃を与える工程において、接合体の割れや欠陥を生じにくくさせることが可能となる。
【0027】
次に、熱処理後の接合体のイオン注入層に機械的衝撃を与えてイオン注入層に沿って剥離し、支持ウェーハ上に酸化物単結晶薄膜を転写する。機械的衝撃を与える手段は、特に限定されるものではないが、鋭角な道具や楔状の鋭角な刃などの剥離器具を用いてもよいし、気体もしくは液体等の流体のジェットを用いてもよい。鋭角な道具や楔状の鋭角な刃などの剥離器具は、特に限定されないが、プラスチック(例えばポリエーテルエーテルケトン)や金属、ジルコニア、シリコン、ダイヤモンド等から作製してもよい。また、鋭角な道具としては、楔やハサミ等の刃を用いてもよい。気体もしくは液体等の流体のジェットとしては、特に限定されないが、例えば流速10〜1000L/min程度の高圧エアや高圧水のジェットを用いてもよい。流体のジェットは、例えば、接合体のイオン注入層の端部から連続的または断続的に吹き付けてもよい。
【0028】
機械的衝撃を、例えば、接合体の側面、例えばイオン注入層の端部に楔状の刃を接触させるまたは挿入することで与え、イオン注入層に沿って剥離してもよい。また、機械的衝撃を、例えば、接合体のイオン注入層の端部から気体もしくは液体の流体、例えば高圧エアや高圧水のジェットを連続的または断続的に吹き付けることで与え、イオン注入層に沿って剥離してもよい。さらに、例えば、接合体のイオン注入層の端部に楔状の刃を接触させた状態で、刃を接触させた同じ側面から気体もしくは液体の流体、例えば高圧エアや高圧水のジェットを連続的または断続的に吹き付けることで、イオン注入層に沿って剥離してもよい。剥離は、一端部から他端部に向かうへき開によるものが好ましい。
【0029】
接合体のイオン注入層に機械的衝撃を与える前に、場合によって、接合体の片側または両側の表面に補強材を固定することが好ましい。例えば、補強材を、接合体の支持ウェーハ側の側面、または、接合体の酸化物単結晶ウェーハ側の側面、若しくは、接合体の支持ウェーハ側と酸化物単結晶ウェーハ側の両方の側面の表面に取り付けてもよい。補強材としては、好ましくは、真空チャック、静電チャック、補強板、または保護テープである。真空チャックは、特に限定されるものではなく、多孔質ポリエチレン、アルミナ等の真空チャックが挙げられる。静電チャックは、特に限定されるものではなく、炭化ケイ素や窒化アルミニウム等のセラミクス製の静電チャックが挙げられる。真空チャックおよび静電チャックの形状は、特に限定されるものではないが、接合体の直径よりも大きいことが好ましい。補強板は、特に限定されるものではないが、プラスチックや金属、セラミクス等から作製してもよい。補強板の形状は、特に限定されるものではないが、接合体の直径よりも大きいことが好ましい。補強板は、例えば両面テープによって接合体に固定されてもよい。保護テープは、特に材質、厚さ等に限定されず、半導体製造工程で用いられるダイシングテープやBGテープ等が使用できる。補強材を用いることで、接合体に機械的衝撃を与えた際にイオン注入層以外での剥離や接合体の割れをより防止し、確実に剥離を行うことができる。
【0030】
機械的衝撃を与える工程において接合体のイオン注入層に機械的衝撃を与える際の具体的な態様を図2〜5に示す。図2に示すように、接合体26の支持ウェーハ24側の表面24sを真空チャック30aで固定ステージ31上に固定した状態で、接合体26のイオン注入層23の端部に楔状の刃29を接触させることで、イオン注入層23に沿って剥離してもよい。また、楔状の刃29の代わりに高圧エアまたは高圧水を用い、接合体の側面、例えばイオン注入層の端部から吹き付けることで剥離してもよい。機械的衝撃を与えるものとして高圧エアまたは高圧水を用いる場合、先に、接合体のイオン注入層の端部に楔状の刃を接触させてイオン注入層の端部に隙間を確保してから行ってもよい。
【0031】
図3に示すように、接合体26の支持ウェーハ24側の表面24sを真空チャック30aで固定ステージ31上に固定し、接合体26の酸化物単結晶ウェーハ21側の表面21sに両面テープ32を用いて補強板30bを設置した状態で、接合体26のイオン注入層23の端部に楔状の刃29を接触させることで、イオン注入層23に沿って剥離してもよい。なお、接合体の酸化物単結晶ウェーハ側の表面に取り付けた補強板は、真空チャックのタイプであってもよい。
【0032】
図4に示すように、接合体26の支持ウェーハ24側の表面24sを真空チャック30aで固定ステージ31上に固定し、接合体26の酸化物単結晶ウェーハ21側の表面21sに真空パッド30cを取り付けて上方に例えば2〜10kgの力で引っ張った状態で、接合体26のイオン注入層23の端部に楔状の刃29を接触させることで、イオン注入層23に沿って剥離してもよい。また、図5に示すように、接合体26の支持ウェーハ24側の表面24sを真空チャック30aで固定ステージ31上に固定し、接合体26の酸化物単結晶ウェーハ21側の表面21sに両面テープ32を用いて補強板30bを設置し、更に、補強板30bの表面に真空パッド30cを取り付けて上方に例えば2〜10kgの力で引っ張った状態で、接合体26のイオン注入層23の端部に楔状の刃29を接触させることで、イオン注入層23に沿って剥離してもよい。なお、図4および5において用いた真空パッドは、ウェーハ表面に吸盤で取り付けられる治具であれば特に限定されることなく、代用してもよい。図2〜5においては、接合体の支持ウェーハ側を固定した態様を示しているが、接合体の上下を逆に置き、酸化物単結晶ウェーハ側を固定する態様としても同様の効果が得られる。
【0033】
機械的衝撃を与える工程において、接合体に機械的衝撃を与える時の接合体の温度は、加熱や冷却を行うことなく、あるいは、加熱や冷却を行って、室温近傍(室温を含む)の温度、例えば10〜50℃とすることが好ましく、25〜30℃とすることがより好ましい。機械的衝撃を与える時の接合体の温度は、周囲の雰囲気温度、例えば熱処理装置内に付随する熱電対などを用いて、炉やオーブン内の雰囲気温度を測定した温度であってもよいし、作業場の室内の温度であってもよい。接合体に機械的衝撃を与える時の接合体の温度は、上述した接合体を得る工程における貼り合わせる時の温度との間に所定の好ましい温度範囲を有している。例えば、接合体を得るための貼り合わせ時の温度と、機械的衝撃を与える時の接合体の温度との差は、好ましくは0〜40℃以内であり、差が0℃に近いほど望ましい。所定の好ましい温度範囲を超えると、接合体の貼り合わせ界面に剥がれや割れが生じる場合がある。貼り合わせる時と機械的衝撃を与える時の接合体の温度の差を所定の範囲とすることで、機械的衝撃を与える工程において熱膨張に起因する反りの応力を最小限とすることができ、欠陥等の発生が極力抑制され得る。なお、接合体を得る工程は、クリーンルーム等の環境下(25〜30℃)で行うことが一般的であり、この場合、機械的衝撃を与える工程についても同様の雰囲気温度、つまり25〜30℃程度で行うことが望ましい。
【0034】
以上の手法を用いることで、支持ウェーハと、支持ウェーハ上のタンタル酸リチウム薄膜またはニオブ酸リチウム薄膜である酸化物単結晶薄膜とを備えた複合ウェーハが得られる。得られた複合ウェーハの酸化物単結晶薄膜の厚さは、水素イオン注入時の水素イオンの注入深さに対応し、100〜1000nmであることが好ましい。
【0035】
本発明にかかる複合ウェーハの製造工程は、特に限定されるものではないが、その一態様を図1に示す。酸化物単結晶ウェーハ11の表面から水素イオン12を注入し、酸化物単結晶ウェーハ11の内部にイオン注入層13を形成する(工程a)。酸化物単結晶ウェーハ11のイオン注入した表面11sと、酸化物単結晶ウェーハと貼り合わせる支持ウェーハ14の表面14sの両方に、イオンビーム15を照射して表面活性化処理を施す(工程b)。表面活性化処理を施した後、酸化物単結晶ウェーハのイオン注入した表面11sと、酸化物単結晶ウェーハと貼り合わせる支持ウェーハの表面14sとを貼り合わせて接合体16を得る(工程c)。得られた接合体16を90℃以上の温度で熱処理する(工程d)。熱処理した接合体16の側面、つまり、イオン注入層13の端部に楔状の刃19を接触させてイオン注入層13に沿って酸化物単結晶ウェーハの一部11bを剥離し、支持ウェーハ14上に酸化物単結晶薄膜11aを転写することによって、複合ウェーハ18を得ることができる(工程e)。
【実施例】
【0036】
<実験1>
支持ウェーハとして、直径100mm、厚さ0.35mmのサファイアウェーハを用いた。酸化物単結晶ウェーハとして、直径100mm、厚さ0.35mmのタンタル酸リチウムウェーハを用いた。サファイアウェーハおよびタンタル酸リチウムウェーハの互いに貼り合わせに用いる面の表面粗さRMSを原子間力顕微鏡で評価したところ、1.0nm以下であった。
まず、サファイアウェーハおよびタンタル酸リチウムウェーハの互いに貼り合わせに用いる面に、窒素雰囲気下でプラズマ活性化装置を用いてプラズマ処理を施し、表面活性化を行った。次に、表面活性化したサファイアウェーハおよびタンタル酸リチウムウェーハの表面を室温(25℃)で貼り合わせて接合体を得た。次に、接合体が70、80、90、100、110、125、150、175、200、225、250、または275℃となるように各々加熱し、各温度において24時間加熱処理を行った。加熱手段には、熱処理オーブンを用い、熱電対でオーブン内の雰囲気温度を測定して接合体の温度とした。得られた接合体の外観検査の結果を表1に示す。なお、外観検査は目視で行い、割れや欠けがないものを○、微小なクラックが有るものを△、ウェーハが破損したものを×とした。支持ウェーハをサファイアとすると、熱処理温度を70〜225℃としたサンプルについては、割れや欠けが発生せず、接合していることが確認できた。
【0037】
<実験2>
支持ウェーハとして、直径100mm、厚さ0.35mmのシリコンウェーハを用いて、接合体が70、80、90、100、110、125、150、175、200、または225℃となるように各々加熱し、各温度において24時間加熱処理を行った以外は実験1と同様に行った。なお、シリコンウェーハおよびタンタル酸リチウムウェーハの互いに貼り合わせに用いる面の表面粗さRMSは、1.0nm以下であった。得られた接合体の外観検査の結果を表1に示す。支持ウェーハをシリコンとすると、熱処理温度を70〜200℃としたサンプルについては、割れや欠けが発生せず、接合していることが確認できた。
【0038】
<実験3>
支持ウェーハとして、直径100mm、厚さ0.35mmのシリコンウェーハ上に100nmの酸化膜を付したシリコンウェーハを用いて、接合体が70、80、90、100、110、125、150、175、200、または225℃となるように各々加熱し、各温度において24時間加熱処理を行った以外は実験1と同様に行った。なお、酸化膜付きシリコンウェーハおよびタンタル酸リチウムウェーハの互いに貼り合わせに用いる面の表面粗さRMSは、1.0nm以下であった。得られた接合体の外観検査の結果を表1に示す。なお、酸化膜付きシリコンウェーハは、予めシリコンウェーハを1100℃で1時間程度加熱することにより、シリコンウェーハ上に100nmの熱酸化膜を成長させたシリコンウェーハとした。支持ウェーハを酸化膜付きシリコンとすると、熱処理温度を70〜200℃としたサンプルについては、割れや欠けが発生せず、接合していることが確認できた。
【0039】
<実験4>
支持ウェーハとして、直径100mm、厚さ0.35mmのガラスウェーハを用いて、接合体が70、80、90、100、110、または125℃となるように各々加熱し、各温度において24時間加熱処理を行った以外は実験1と同様に行った。なお、ガラスウェーハおよびタンタル酸リチウムウェーハの互いに貼り合わせに用いる面の表面粗さRMSは、1.0nm以下であった。得られた接合体の外観検査の結果を表1に示す。支持ウェーハをガラスとすると、熱処理温度を70〜110℃としたサンプルについては、割れや欠けが発生せず、接合していることが確認できた。
【0040】
【表1】
【0041】
実験1〜4はタンタル酸リチウムウェーハを用いたが、酸化物単結晶ウェーハとしてニオブ酸リチウムウェーハを用いて実験1〜4と同様の実験を行っても、表1と同じ結果を得た。また、表面活性化処理をプラズマ処理の代わりに、オゾン水処理、UVオゾン処理、真空イオンビーム処理とした場合でも、全く同一の結果が得られた。これらの結果から上記の活性化方法いずれの場合も有効であり、且つ、タンタル酸リチウムとニオブ酸リチウムとの間に差異は無いことが判明した。
【0042】
<実施例1>
支持ウェーハとして、直径100mm、厚さ0.35mmのサファイアウェーハを用いた。酸化物単結晶ウェーハとして、直径100mm、厚さ0.35mmのタンタル酸リチウムウェーハを用いた。サファイアウェーハおよびタンタル酸リチウムウェーハの互いに貼り合わせに用いる面の表面粗さRMSは、1.0nm以下であった。
まず、タンタル酸リチウムウェーハの表面から、水素原子イオンを用いて注入量7.0×1016atom/cm、加速電圧100KeVの条件でイオン注入を行い、タンタル酸リチウムウェーハの内部にイオン注入層を形成した。次に、イオン注入したタンタル酸リチウムウェーハの表面と、タンタル酸リチウムウェーハと貼り合わせようとするサファイアウェーハの表面に、7×10−6Pa下で真空イオンビーム装置を用いてArをイオン源とし、真空イオンビーム処理を施し、表面活性化を行った。次に、表面活性化したサファイアウェーハおよびタンタル酸リチウムウェーハの表面を室温(25℃)で貼り合わせて接合体を得た。次に、接合体が90、100、110、125、150、175、200、または225℃となるように各々加熱し、各温度において24時間加熱処理を行った。なお、加熱手段として、熱処理オーブンを用い、熱電対でオーブン内の雰囲気温度を測定して接合体の温度とした。熱処理した接合体を室温に下がるまで静置し、その後、室温(25℃)で、接合体のイオン注入層に楔状の刃を接触させてイオン注入層に沿って剥離し、サファイアウェーハ上にタンタル酸リチウム薄膜を転写した複合ウェーハを得た。得られた複合ウェーハの外観検査の結果を表2に示す。なお、外観検査は、目視で行い、薄膜の転写がウェーハ全面において出来ているものを○、薄膜の転写が一部不良であるものを△、薄膜の転写ができなかったものを×とした。
【0043】
<比較例1>
接合体を70℃で24時間加熱処理した以外は実施例1と同様にして実施した。得られた複合ウェーハの外観検査の結果を表2に示す。
【0044】
<比較例2>
接合体を80℃で24時間加熱処理した以外は実施例1と同様にして実施した。得られた複合ウェーハの外観検査の結果を表2に示す。
【0045】
<実施例2>
支持ウェーハとして、直径100mm、厚さ0.35mmのシリコンウェーハを用いて、接合体が90、100、110、125、150、175、または200℃となるように各々加熱し、各温度において24時間加熱処理を行った以外は実施例1と同様に行った。なお、シリコンウェーハおよびタンタル酸リチウムウェーハの互いに貼り合わせに用いる面の表面粗さRMSは、1.0nm以下であった。得られた複合ウェーハの外観検査の結果を表2に示す。
【0046】
<比較例3>
接合体を70℃で24時間加熱処理した以外は実施例2と同様にして実施した。得られた複合ウェーハの外観検査の結果を表2に示す。
【0047】
<比較例4>
接合体を80℃で24時間加熱処理した以外は実施例2と同様にして実施した。得られた複合ウェーハの外観検査の結果を表2に示す。
【0048】
<実施例3>
支持ウェーハとして、直径100mm、厚さ0.35mmのシリコンウェーハ上に100nmの酸化膜を付したシリコンウェーハを用いて、接合体が90、100、110、125、150、175、または200℃となるように各々加熱し、各温度において24時間加熱処理を行った以外は実施例1と同様に行った。なお、酸化膜付きシリコンウェーハおよびタンタル酸リチウムウェーハの互いに貼り合わせに用いる面の表面粗さRMSは、1.0nm以下であった。得られた複合ウェーハの外観検査の結果を表2に示す。なお、酸化膜付きシリコンウェーハは、予めシリコンウェーハを1100℃で1時間加熱することにより、シリコンウェーハ上に100nmの熱酸化膜を成長させたシリコンウェーハとした。
【0049】
<比較例5>
接合体を70℃で24時間加熱処理した以外は実施例3と同様にして実施した。得られた複合ウェーハの外観検査の結果を表2に示す。
【0050】
<比較例6>
接合体を80℃で24時間加熱処理した以外は実施例3と同様にして実施した。得られた複合ウェーハの外観検査の結果を表2に示す。
【0051】
<実施例4>
支持ウェーハとして、直径100mm、厚さ0.35mmのガラスウェーハを用いて、接合体が90、100、または110℃となるように各々加熱し、各温度において24時間加熱処理を行った以外は実施例1と同様に行った。なお、ガラスウェーハおよびタンタル酸リチウムウェーハの互いに貼り合わせに用いる面の表面粗さRMSは、1.0nm以下であった。得られた複合ウェーハの外観検査の結果を表2に示す。
【0052】
<比較例7>
接合体を70℃で24時間加熱処理した以外は実施例4と同様にして実施した。得られた複合ウェーハの外観検査の結果を表2に示す。
【0053】
<比較例8>
接合体を80℃で24時間加熱処理した以外は実施例4と同様にして実施した。得られた複合ウェーハの外観検査の結果を表2に示す。
【0054】
【表2】
【0055】
表2に示すように、支持ウェーハをサファイアとし、熱処理温度を90〜225℃としたサンプル、支持ウェーハをシリコンとし、熱処理温度を90〜200℃としたサンプル、支持ウェーハを酸化膜付きシリコンとし、熱処理温度を90〜200℃としたサンプル、および、支持ウェーハをガラスとし、熱処理温度を90〜110℃としたサンプルについては、支持ウェーハ上の全面にタンタル酸リチウム薄膜が転写されたことを確認した。
いずれの支持ウェーハにおいても、熱処理温度を70℃とした場合に、イオン注入層での剥離は生じず、貼り合わせた両ウェーハの界面で剥がれが生じた。また、熱処理温度を80℃とした場合には、支持ウェーハ上にタンタル酸リチウム薄膜が転写できた部分と一部未転写の部分が発生した。70℃および80℃ではイオン注入界面での脆化が十分でなく、また、両ウェーハの貼り合わせの接合力が不足し、全面転写に至らなかったものと思われる。
【0056】
また、酸化物単結晶ウェーハとしてニオブ酸リチウムウェーハを用いて実施例1〜4と同様の実験についても行ったが、表2と同じ結果を得た。また、表面活性化処理を真空イオンビーム処理の代わりに、オゾン水処理、UVオゾン処理、プラズマ処理とした場合でも結果は全く同一であった。
【0057】
<実施例5>
タンタル酸リチウムウェーハの表面から、水素原子イオンを用いて注入量を5.0×1016、7.5×1016、10×1016、12.5×1016、15×1016、17.5×1016、20×1016、22.5×1016、25×1016、または27.5×1016atom/cm、加速電圧100KeVの条件で各々イオン注入を行い、タンタル酸リチウムウェーハの内部にイオン注入層を形成したことと、接合体を90℃で24時間加熱処理を行った以外は実施例1と同様に実施した。
【0058】
<比較例9>
タンタル酸リチウムウェーハの表面から、水素原子イオンを用いて注入量を4.0×1016atom/cm、加速電圧100KeVの条件でイオン注入を行い、タンタル酸リチウムウェーハの内部にイオン注入層を形成した以外は実施例5と同様に実施した。
【0059】
<参考例1>
酸化物単結晶ウェーハとして、直径100mm、厚さ0.35mmのタンタル酸リチウムウェーハを用いた。タンタル酸リチウムウェーハの互いに貼り合わせに用いる面の表面粗さRMSは、1.0nm以下であった。タンタル酸リチウムウェーハの表面から、水素原子イオンを用いて注入量30×1016atom/cm、加速電圧100KeVの条件でイオン注入を行い、タンタル酸リチウムウェーハの内部にイオン注入層を形成した。結果、貼り合わせる前のタンタル酸リチウムウェーハの表面上に凹凸が観察され、貼り合わせ時の所望の表面粗さとならないため貼り合わせを行わなかった。タンタル酸リチウムウェーハの表面上の凹凸は、注入した水素が固溶しきれずに内部で発泡したため生じたと思われる。
【0060】
<実施例6>
タンタル酸リチウムウェーハの表面から、水素原子イオンを用いて注入量を5.0×1016、7.5×1016、10×1016、12.5×1016、15×1016、17.5×1016、20×1016、22.5×1016、25×1016、または27.5×1016atom/cm、加速電圧100KeVの条件で各々イオン注入を行い、タンタル酸リチウムウェーハの内部にイオン注入層を形成したことと、接合体を90℃で24時間加熱処理を行った以外は実施例2と同様に実施した。
【0061】
<比較例10>
タンタル酸リチウムウェーハの表面から、水素原子イオンを用いて注入量を4.0×1016atom/cm、加速電圧100KeVの条件でイオン注入を行い、タンタル酸リチウムウェーハの内部にイオン注入層を形成した以外は実施例6と同様に実施した。
【0062】
<実施例7>
タンタル酸リチウムウェーハの表面から、水素原子イオンを用いて注入量を5.0×1016、7.5×1016、10×1016、12.5×1016、15×1016、17.5×1016、20×1016、22.5×1016、25×1016、または27.5×1016atom/cm、加速電圧100KeVの条件で各々イオン注入を行い、タンタル酸リチウムウェーハの内部にイオン注入層を形成したことと、接合体を90℃で24時間加熱処理を行った以外は実施例3と同様に実施した。
【0063】
<比較例11>
タンタル酸リチウムウェーハの表面から、水素原子イオンを用いて注入量を4.0×1016atom/cm、加速電圧100KeVの条件でイオン注入を行い、タンタル酸リチウムウェーハの内部にイオン注入層を形成した以外は実施例7と同様に実施した。
【0064】
<実施例8>
タンタル酸リチウムウェーハの表面から、水素原子イオンを用いて注入量を5.0×1016、7.5×1016、10×1016、12.5×1016、15×1016、17.5×1016、20×1016、22.5×1016、25×1016、または27.5×1016atom/cm、加速電圧100KeVの条件で各々イオン注入を行い、タンタル酸リチウムウェーハの内部にイオン注入層を形成したことと、接合体を90℃で24時間加熱処理を行った以外は実施例4と同様に実施した。
【0065】
<比較例12>
タンタル酸リチウムウェーハの表面から、水素原子イオンを用いて注入量を4.0×1016atom/cm、加速電圧100KeVの条件でイオン注入を行い、タンタル酸リチウムウェーハの内部にイオン注入層を形成した以外は実施例8と同様に実施した。
【0066】
水素原子イオン注入量を5.0×1016〜27.5×1016atom/cmとした実施例5〜8の場合、いずれの支持ウェーハを用いた場合でも、支持ウェーハ上の全面にタンタル酸リチウム薄膜が転写されたことを確認した。一方、水素原子イオン注入量を4.0×1016atom/cmとした比較例9〜12の場合、いずれの支持ウェーハを用いた場合でも、タンタル酸リチウムウェーハのイオン注入層で剥離は生じなかった。これはイオン注入量が十分ではなく、後の工程で脆化に至らなかったためと思われる。
なお、実施例5〜8では水素原子イオンを用いたが、水素分子イオンを用いてその注入量を水素原子イオンの注入量の半分とすることでも、同様の結果を得ることができた。また、酸化物単結晶ウェーハとしてニオブ酸リチウムウェーハを用いても実施例5〜8と同じ結果を得ることができた。
【0067】
<実施例9〜12>
接合体を110℃で24時間加熱処理を行い、熱処理した後に室温(25℃)まで冷却した接合体の支持ウェーハ側の表面を真空チャックで固定ステージ上に固定した状態で、接合体のイオン注入層に楔状の刃を接触させてイオン注入層に沿って剥離した以外は、実施例1〜4と同様にして行った。いずれの支持ウェーハを用いた場合でも、支持ウェーハ上の全面にタンタル酸リチウム薄膜が転写されたことを確認した。
【0068】
<実施例13〜16>
接合体を110℃で24時間加熱処理を行い、熱処理した後に室温(25℃)まで冷却した接合体の支持ウェーハ側の表面を真空チャックで固定ステージ上に固定し、接合体のタンタル酸リチウムウェーハ側の表面に両面テープを用いて直径100mm、厚さ0.35mmのガラス製の補強板を設置した状態で、接合体のイオン注入層に楔状の刃を接触させてイオン注入層に沿って剥離した以外は、実施例1〜4と同様にして行った。いずれの支持ウェーハを用いた場合でも、支持ウェーハ上の全面にタンタル酸リチウム薄膜が転写されたことを確認した。
【0069】
<実施例17〜20>
接合体を110℃で24時間加熱処理を行い、熱処理した後に室温(25℃)まで冷却した接合体の支持ウェーハ側の表面を真空チャックで固定ステージ上に固定し、接合体のタンタル酸リチウムウェーハ側の表面の端部から10mmの位置に直径10mmの真空パッドを取り付け、真空パッドを上方に5kgの力で引っ張った状態で、接合体のイオン注入層に楔状の刃を接触させてイオン注入層に沿って剥離した以外は、実施例1〜4と同様にして行った。いずれの支持ウェーハを用いた場合でも、支持ウェーハ上の全面にタンタル酸リチウム薄膜が転写されたことを確認した。
【0070】
<実施例21〜24>
接合体を110℃で24時間加熱処理を行い、熱処理した後に室温(25℃)まで冷却した接合体の支持ウェーハ側の表面を真空チャックで固定ステージ上に固定し、接合体のタンタル酸リチウムウェーハ側の表面に両面テープを用いて直径100mm、厚さ0.35mmのガラス製の補強板を設置し、更に、補強板の表面の端部から10mmの位置に直径10mmの真空パッドを取り付け、真空パッドを上方に5kgの力で引っ張った状態で、接合体のイオン注入層に楔状の刃を接触させてイオン注入層に沿って剥離した以外は、実施例1〜4と同様にして行った。いずれの支持ウェーハを用いた場合でも、支持ウェーハ上の全面にタンタル酸リチウム薄膜が転写されたことを確認した。
【0071】
<実施例25〜28>
接合体を110℃で24時間加熱処理を行い、熱処理した後に室温(25℃)まで冷却した接合体の支持ウェーハ側の表面を真空チャックで固定ステージ上に固定した状態で、接合体のイオン注入層に高圧エアを流速50L/minで吹き付けながらイオン注入層に沿って剥離した以外は、実施例1〜4と同様にして行った。いずれの支持ウェーハを用いた場合でも、支持ウェーハ上の全面にタンタル酸リチウム薄膜が転写されたことを確認した。
【0072】
<実施例29〜32>
接合体を110℃で24時間加熱処理を行い、熱処理した後に室温(25℃)まで冷却した接合体の支持ウェーハ側の表面を真空チャックで固定ステージ上に固定した状態で、接合体のイオン注入層に高圧水を流速30L/minで吹き付けながらイオン注入層に沿って剥離した以外は、実施例1〜4と同様にして行った。いずれの支持ウェーハを用いた場合でも、支持ウェーハ上の全面にタンタル酸リチウム薄膜が転写されたことを確認した。
【符号の説明】
【0073】
11 :酸化物単結晶ウェーハ
11s :酸化物単結晶ウェーハの表面
11a :酸化物単結晶ウェーハ薄膜
11b :剥離した後の酸化物単結晶ウェーハ
12 :水素イオン
13 :イオン注入層
14 :支持ウェーハ
14s :支持ウェーハの表面
15 :イオンビーム照射
16 :接合体
18 :複合ウェーハ
19 :楔状の刃
21 :接合体の酸化物単結晶ウェーハ
21s :接合体の酸化物単結晶ウェーハ側の表面
23 :接合体のイオン注入層
24 :接合体の支持ウェーハ
24s :接合体の支持ウェーハ側の表面
26 :接合体
29 :楔状の刃
30a :真空チャック
30b :補強板
30c :真空パッド
31 :固定ステージ
32 :両面テープ
図1
図2
図3
図4
図5
図6