特開2016-225567(P2016-225567A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-225567(P2016-225567A)
(43)【公開日】2016年12月28日
(54)【発明の名称】クリーニング方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3065 20060101AFI20161205BHJP
【FI】
   H01L21/302 101H
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-113083(P2015-113083)
(22)【出願日】2015年6月3日
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】戸村 光宏
(72)【発明者】
【氏名】菊池 秋広
【テーマコード(参考)】
5F004
【Fターム(参考)】
5F004AA15
5F004BA08
5F004BA09
5F004BB07
5F004BB28
5F004CA02
5F004CA06
5F004CB02
5F004DA17
5F004DA22
5F004DA26
5F004EA28
(57)【要約】
【課題】処理容器に付着した反応生成物を確実に除去する。
【解決手段】クリーニング方法は、基板の第1面内位置に対応する第1領域と第1面内位置とは基板の面内位置が異なる第2面内位置に対応する第2領域とに区画された複数のガス流路を介してガスを供給し、フッ素含有ガスと酸素含有ガスとを含むガスのプラズマにより処理容器内をクリーニングする第1工程と、処理容器内の圧力を第1クリーニング工程における圧力よりも低くし、第1領域に供給する酸素含有ガスの流量が第2領域の流量より小さいガスのプラズマにより第1領域のガス流路をクリーニングする第2工程と、第1領域に供給する酸素含有ガスの流量が第2領域の流量より大きいガスのプラズマにより第2領域のガス流路をクリーニングする第3工程と、NFガスを含むガスのプラズマにより処理容器内をクリーニングする第4工程とを有する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理容器に設けられ、基板の第1の面内位置に対応する第1の領域と、前記第1の面内位置とは前記基板の面内位置が異なる第2の面内位置に対応する第2の領域と、に区画された複数のガス流路を介してガスを供給するプラズマ処理装置のクリーニング方法であって、
前記処理容器内にフッ素含有ガスと酸素含有ガスとを含む第1のガスを供給し、該第1のガスのプラズマにより前記処理容器内をクリーニングする第1のクリーニング工程と、
前記第1のクリーニング工程後、前記処理容器内の圧力を前記第1のクリーニング工程における該処理容器内の圧力よりも低く制御し、前記第1の領域に供給する酸素含有ガスの流量を、前記第2の領域に供給する酸素含有ガスの流量よりも小さくした第2のガスのプラズマにより前記第1の領域に対応するガス流路をクリーニングする第2のクリーニング工程と、
前記第2のクリーニング工程後、前記第1の領域に供給する酸素含有ガスの流量を、前記第2の領域に供給する酸素含有ガスの流量よりも大きくした第3のガスのプラズマにより前記第2の領域に対応するガス流路をクリーニングする第3のクリーニング工程と、
前記第3のクリーニング工程後、三フッ化窒素(NF)ガスを含む第4のガスを供給し、該第4のガスのプラズマにより前記処理容器内をクリーニングする第4のクリーニング工程と、
を有する、クリーニング方法。
【請求項2】
前記第4のクリーニング工程後、酸素含有ガスを含む第5のガスを供給し、該第5のガスのプラズマにより前記処理容器からフッ素系物質を除去する第5のクリーニング工程を有する、
請求項1に記載のクリーニング方法。
【請求項3】
前記第5のクリーニング工程は、
前記処理容器内の圧力を、前記第4のクリーニング工程における該処理容器内の圧力よりも高く制御する、
請求項2に記載のクリーニング方法。
【請求項4】
前記第1のガスは、三フッ化窒素(NF)ガス及び酸素(O)ガスを含むガスである、
請求項1〜3のいずれか一項に記載のクリーニング方法。
【請求項5】
前記第1の面内位置は、前記基板を中心側からセンター部及びエッジ部に区画した場合に、前記センター部及び前記エッジ部のいずれか一方であり、
前記第2の面内位置は、前記センター部及び前記エッジ部の他方である、
請求項1〜4のいずれか一項に記載のクリーニング方法。
【請求項6】
前記第1の面内位置は、前記基板を中心側からセンター部、ミドル部、エッジ部及びベリーエッジ部に区画した場合に、前記センター部、前記ミドル部、前記エッジ部及び前記ベリーエッジ部の少なくとも1又は2の領域を含み、
前記第2の面内位置は、前記センター部、前記ミドル部、前記エッジ部及び前記ベリーエッジ部の残りの領域である、
請求項1〜4のいずれか一項に記載のクリーニング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クリーニング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プラズマを使用して半導体デバイス用の基板に対して、プラズマエッチング等のプラズマ処理を施すプラズマ処理装置が広く知られている。プラズマ処理装置は、例えば、内部にプラズマが発生する処理容器、対向して設けられた上部電極及び下部電極、及び上部電極及び下部電極に挟まれた空間にガス供給孔を介してガスを供給するガス供給部等を有する。そして、上部電極及び下部電極の少なくともいずれか一方に高周波電力を印加して、その電界エネルギーによりガスを励起させてプラズマを生成し、生成された放電プラズマによって基板にプラズマ処理を施す。
【0003】
堆積性のガスを用いてプラズマエッチングを行う場合、プロセス中に生じた反応生成物が、処理容器やガス供給孔の内壁に付着する。付着した反応生成物は、パーティクルとなって半導体デバイスに欠陥を生じさせたり、プラズマ処理装置の故障を引き起こしたりする。そのため、処理容器等に付着した反応生成物を除去するためのクリーニングが提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015−18836号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の方法では、クリーニング前後のプラズマエッチングにおいて、エッチングレートがシフトする場合がある。このようにクリーニング前後にてプラズマエッチングの特性に変化が生じると、半導体デバイスを安定的に製造することが妨げられ、生産性が低下する場合がある。
【0006】
上記課題に対して、一側面では、本発明は、クリーニング前後のプラズマエッチングにおいてエッチングレートのシフトを防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、一の態様によれば、処理容器に設けられ、基板の第1の面内位置に対応する第1の領域と、前記第1の面内位置とは前記基板の面内位置が異なる第2の面内位置に対応する第2の領域と、に区画された複数のガス流路を介してガスを供給するプラズマ処理装置のクリーニング方法であって、前記処理容器内にフッ素含有ガスと酸素含有ガスとを含む第1のガスを供給し、該第1のガスのプラズマにより前記処理容器内をクリーニングする第1のクリーニング工程と、前記第1のクリーニング工程後、前記処理容器内の圧力を前記第1のクリーニング工程における該処理容器内の圧力よりも低く制御し、前記第1の領域に供給する酸素含有ガスの流量を、前記第2の領域に供給する酸素含有ガスの流量よりも小さくした第2のガスのプラズマにより前記第1の領域に対応するガス流路をクリーニングする第2のクリーニング工程と、前記第2のクリーニング工程後、前記第1の領域に供給する酸素含有ガスの流量を、前記第2の領域に供給する酸素含有ガスの流量よりも大きくした第3のガスのプラズマにより前記第2の領域に対応するガス流路をクリーニングする第3のクリーニング工程と、前記第3のクリーニング工程後、三フッ化窒素(NF)ガスを含む第4のガスを供給し、該第4のガスのプラズマにより前記処理容器内をクリーニングする第4のクリーニング工程と、を有する、クリーニング方法が提供される。
【発明の効果】
【0008】
一の側面によれば、クリーニング前後のプラズマエッチングにおいてエッチングレートのシフトを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】一実施形態に係るプラズマ処理装置の縦断面の一例を示す図。
図2】一実施形態に係るガス孔の構成とクリーニングの効果の一例を説明するための図。
図3】一実施形態に係るエッチング工程とDC工程とを示す図。
図4】一実施形態に係るクリーニングの一例を示すフローチャート。
図5】一実施形態に係るDCの第1工程の終点検出とNF添加の効果を説明するための図。
図6】一実施形態に係るクリーニング前後のエッチングレートのシフトの一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の構成については、同一の符号を付することにより重複した説明を省く。
【0011】
[プラズマ処理装置の構成]
まず、本発明の一実施形態に係るプラズマ処理装置1の構成について、図1のプラズマ処理装置の縦断面の一例を参照しながら説明する。本実施形態では、プラズマ処理装置1の一例として容量結合型プラズマエッチング装置を挙げる。
【0012】
本実施形態にかかるクリーニング方法を実行するプラズマ処理装置1は、特に限定されないが、半導体ウェハW(以下、「ウェハW」とも呼ぶ。)にRIE(Reactive Ion Etching)処理やアッシング処理等のプラズマ処理を施すことができる、平行平板型(容量結合型とも言う)のプラズマ処理装置が挙げられる。
【0013】
プラズマ処理装置1は、例えばアルミニウム等の導電性材料からなる処理容器(チャンバ)10と、処理容器10内にガスを供給するガス供給源15とを有する。供給されるガスは、エッチングガスやクリーニングガスとして適したガスが適宜選択される。
【0014】
処理容器10は電気的に接地されており、処理容器10内には下部電極20と、これに対向して平行に配置された上部電極25とが設けられている。下部電極20は、ウェハWを載置する載置台としても機能する。下部電極20及び上部電極25の少なくとも一方、図1では下部電極20には、電力供給装置30が接続されている。電力供給装置30は、第1周波数の第1高周波電力(プラズマ生起用高周波電力)を供給する第1高周波電源32と、第1周波数よりも低い第2周波数の第2高周波電力(バイアス電圧発生用高周波電力)を供給する第2高周波電源34とを備える。第1高周波電源32は、第1整合器33を介して下部電極20に接続される。第2高周波電源34は、第2整合器35を介して下部電極20に接続される。第1整合器33及び第2整合器35は、各々、第1高周波電源32及び第2高周波電源34の内部(または出力)インピーダンスに負荷インピーダンスを整合させるためのものである。処理容器10内にプラズマが生成されているときには、第1高周波電源32及び第2高周波電源34の各々について、内部インピーダンスと負荷インピーダンスとが見かけ上一致するように機能する。
【0015】
上部電極25は、その周縁部を被覆するシールドリング40を介して処理容器10の天井部に取り付けられている。上部電極25には、ガス供給源15から導入されたガスを拡散する拡散室50が設けられている。拡散室50内には、図1に一例を示すように、Oリングから成る1つ以上の環状隔壁部材26が設けられている。1つ以上の環状隔壁部材26は、各々、上部電極25の径方向、即ち、処理されるウェハWの面内位置において、異なる位置に配置される。図1の例では、環状隔壁部材26は、上部電極25の径方向に対して中心側から、第1の環状隔壁部材26a、第2の環状隔壁部材26b、第3の環状隔壁部材26cが配置されている。これにより、拡散室50は、中心側から第1の拡散室50a、第2の拡散室50b、第3の拡散室50c及び第4の拡散室50dに分割される。この場合、例えば、処理されるウェハWのセンター部に対応して第1の拡散室50aが、ミドル部に対応して第2の拡散室50bが、エッジ部に対応して第3の拡散室50cが、ベリーエッジ部に対応して第4の拡散室50dが形成される。
【0016】
環状隔壁部材26の数は、1つ以上であれば特に制限されず、例えばN個の環状隔壁部材26を配置することにより、N+1個に分割された拡散室50を設置することができる。拡散室50a〜50dには、各々、ガス導入口45a〜45dが形成され、このガス導入口45a〜45dを介して、ガス供給源15から各種ガスを拡散室50a〜50dへと導入することができる。
【0017】
上部電極25には、この拡散室50からのガスを処理容器10内に供給するための、多数のガス流路55aが形成されている。図2にガス流路55aの近傍を拡大して示すように、上部電極25の、下部電極20側の表面には、上部電極25をプラズマや傷から保護すると共に、メタルコンタミネーションを抑制するための、石英等の絶縁性セラミックスから構成されるカバー部材27が配置される。カバー部材27にも、上部電極25のガス流路55aに対応してガス流路55bが形成されている。上部電極25のガス流路55aは、カバー部材27に近い側の孔径がカバー部材27に遠い側の孔径よりも小さくなる構成を有している。これにより、外部からの漏出ガスの混入を低減することができる。
【0018】
ガス供給源15からのガスは、先ず、図1に示すガス導入口45a〜45dを介して拡散室50a〜50dに分配供給される。そして、拡散室50に供給されたガスは、図2に示すガス流路55a、55bを経て、カバー部材27に形成されたガス供給孔28を介して、処理容器10内に供給される。以上から、かかる構成の上部電極25は、ガスを供給するガスシャワーヘッドとしても機能する。
【0019】
図1に戻り、処理容器10の底面には排気口60が形成されており、排気口60に接続された排気装置65によって処理容器10内が排気される。これによって、処理容器10内を所定の真空度に維持することができる。
【0020】
処理容器10の側壁には、ゲートバルブGが設けられている。ゲートバルブGは、処理容器10からウェハWの搬入及び搬出を行う際に搬出入口を開閉する。また、処理容器10の周囲には、環状又は同心状に延在する図示しない磁石が、例えば上下2段に配置されていてもよい。磁石を配置する場合、下部電極20と上部電極25との間の空間には、高周波電力により鉛直方向にRF電界が形成されるとともに、水平方向に磁界が形成される。これらの直交電磁界を用いるマグネトロン放電により、下部電極20の表面近傍には高密度のプラズマを形成することができる。
【0021】
プラズマ処理装置1には、装置全体の動作を制御する制御部100が設けられている。制御部100は、CPU(Central Processing Unit)105と、ROM(Read Only Memory)110及びRAM(Random Access Memory)115の記録領域とを有している。
【0022】
CPU105は、これらの記憶領域に格納された各種レシピに従って、各種プラズマ処理(クリーニング、エッチング処理、アッシング処理等)を実行する。レシピにはプロセス条件に対する装置の制御情報であるプロセス時間、圧力(ガスの排気)、高周波電力や電圧、各種プロセスガス流量、チャンバ内温度(例えば、上部電極温度、チャンバの側壁温度、ESC温度)等が記載されている。なお、これらのプログラムや処理条件を示すレシピは、ハードディスクや半導体メモリに記憶されていてもよい。また、レシピは、CD−ROM、DVD等の可搬性のコンピュータにより読み取り可能な記憶媒体に収容された状態で、記憶領域の所定位置にセットするようにしてもよい。
【0023】
プラズマ処理1には、石英窓109を通して処理容器10内のプラズマ中の各波長の光の強度を測定可能な発光センサ108が取り付けられている。発光センサ108に検出されたプラズマ中の各波長の光の強度に関する検出値は、制御部100に送られる。制御部100は、発光センサ108が検出した検出値に基づき、各波長の発光スペクトルを測定し、後述されるクリーニング工程の終点検出を行う。
【0024】
[エッチング処理及びクリーニング]
次に、プラズマ処理装置1を使用した、本実施形態にかかるエッチング処理及びドライクリーニング(以下、「クリーニング」ともいう。)の概要について、図3を参照しながら説明する。まず、ウェハWが処理容器10内に搬入され、下部電極20(載置台)上に載置される(ステップS1)。次に、所定のエッチングガスが供給され、印加された高周波電力によりプラズマが生成され、エッチングガスのプラズマによりウェハWがエッチングされる(ステップS2)。次に、ウェハWが処理容器10外に搬出される(ステップS3)、次に、所定のクリーニングガスが供給され、印加された高周波電力によりプラズマが生成され、クリーニングガスのプラズマにより処理容器10の内壁等がクリーニングされる(ステップS4)。クリーニング後、ステップS1に戻り次のウェハWが処理容器10内に搬入され、次のウェハWのエッチングが行われる。クリーニングが行われるタイミングは、1枚のウェハWのエッチングが行われた後に限らず、複数枚のウェハWのエッチングが行われた後でもよいし、1ロットに含まれるウェハWのエッチングが行われた後でもよい。
【0025】
なお、ステップS4のクリーニングは、クリーニング用ウェハを載置させた状態で行ってもよいし、クリーニング用ウェハを載置させない状態(ウェハレスドライクリーニング:WLDC)で行ってもよい。
【0026】
[第1〜第5のクリーニング工程]
次に、図3のステップS4に示すクリーニングの詳細について、図4のフローチャートを参酌しながら説明する。図4のクリーニングでは、第1〜第5のクリーニング工程が、第1工程から第5工程まで順に実行される。
【0027】
本実施形態にかかるクリーニング前に実行されるエッチング工程では、エッチングガスとして例えば、ハイドロフルオロカーボンガスやフルオロカーボンガスが用いられる。エッチングガスから生成されたプラズマによりウエハWをエッチングする際、エッチングガスから生じた主にポリマーの反応生成物が、上部電極25の表面、処理容器10の側壁、ガス供給孔28の内部表面等に付着する。このために、以下に述べる第1〜第5のクリーニング工程が行われる。
【0028】
<第1のクリーニング工程:処理容器のクリーニング>
本実施形態にかかるクリーニングが開始されると、まず、ステップS10において第1のクリーニング工程が実行される。第1のクリーニング工程では、処理容器10内の全体がクリーニングされる。
【0029】
第1のクリーニング工程では、処理容器10内にフッ素含有ガスと酸素含有ガスとを含む第1のガスが導入される。第1のガスは、三フッ化窒素(NF)ガス及び酸素(O)ガスを含むガスであってもよい。第1のガスは、下部電極20に印加されたプラズマ生成用の高周波電力により電離及び解離してプラズマを生成させる。第1のガスから生成されたプラズマ中には酸素ラジカル及びフッ素ラジカルが含まれる。酸素ラジカル及びフッ素ラジカルは、処理容器10の内壁及び上部電極25の表面等に付着した反応生成物と反応し、この反応生成物を分解して除去する。分解された反応生成物は、排気装置65によって排気口60から排出される。
【0030】
本実施形態にかかる第1のクリーニング工程の終点検出結果の一例を比較例とともに図5に示す。第1のクリーニング工程中、フッ素ガス及び酸素ガスを含む第1のガスのプラズマと反応生成物とが反応することにより発生する所定波長の発光強度が検出される。
【0031】
終点検出(EPD:Endpoint detection)は、プラズマ処理装置1に取り付けられた発光センサ108を用いてプラズマ中の各波長の光の強度を測定することにより行われる。制御部100は、測定した処理容器10内のプラズマ中の発光スペクトルから、エッチングにより生じた処理容器内のポリマーの反応生成物とプラズマに含まれるフッ素及び酸素成分とが反応することで発生する一酸化炭素ラジカル(483nm)の発光強度を検出する。制御部100は、この所定波長の発光強度の時間に対する傾きが0となったとき、終点検出EPD(End Point Detection)と判定する。
【0032】
図5のウェハNo.3,5に対する終点検出の時間C,Eは、本実施形態にかかる第1のクリーニング工程による終点検出の結果の一例である。すなわち、下記のプロセス条件の一例を示すように酸素含有ガスと三フッ化窒素(NF)ガスとを含むガスのプラズマによりクリーニングが行われたときの終点検出結果の一例である。
・「C」及び「E」の終点検出の際のプロセス条件(第1のクリーニング工程)
圧力 :800mT(106.7Pa)
ガス種 :O/He/NF
HF(プラズマ生成用の高周波電力) :3000W
観測している所定波長の発光強度の時間に対する傾きがほぼ0になったとき、処理容器10内の反応生成物であるポリマーはほとんどないと判定できる。このように本実施形態の制御部100は、観測している所定波長の発光強度の時間に対する傾きがほぼ0になったときを終点検出と判定することで、第1のクリーニング工程のクリーニング時間を実際にポリマーをほぼ除去した時間に最適化することができる。これにより、ポリマーをほぼ除去した後に第2のクリーニング工程に移行することができる。
【0033】
なお、第1のクリーニング工程において、HF(プラズマ生成用の高周波電力)は、3000W以上であればよい。
【0034】
これに対して、ウェハNo.1,2,4に対する終点検出の時間A、B,Dは比較例のクリーニング工程による終点検出の結果の一例であり、下記に示すように、酸素含有ガスを含み、三フッ化窒素(NF)ガスを含まないガスのプラズマによりクリーニングが行われる。
・「A」の終点検出の際のプロセス条件
圧力 :800mT(106.7Pa)
ガス種 :O/He
HF(プラズマ生成用の高周波電力) :3000W
・「B」及び「D」の終点検出の際のプロセス条件
圧力 :800mT(106.7Pa)
ガス種 :O/He/N
HF :3000W
図5の結果によれば、比較例の三フッ化窒素(NF)ガスを添加しなかった場合と比べて、本実施形態にかかる第1のクリーニング工程では、三フッ化窒素(NF)ガスを酸素含有ガスに添加することでクリーニング時間が短縮されることがわかった。
【0035】
通常、処理容器10内の全体をクリーニングする工程では、クリーニング時間が長くなり生産性を低下させる。しかしながら、本実施形態にかかる第1のクリーニング工程では、酸素含有ガスにフッ素含有ガスを添加することでクリーニング時間を短縮させることができ、生産性を向上させることができる。
【0036】
なお、第1のクリーニング工程において供給される第1のガスは、三フッ化窒素ガス等のフッ素含有ガスと酸素ガス等の酸素含有ガスとを含むガスである。
【0037】
<第2及び第3のクリーニング工程:ガス供給孔のクリーニング>
(第2のクリーニング工程)
ステップS10の第1のクリーニング工程では、処理容器内10の全体をクリーニングできるが、ガス供給孔28の内部表面等に付着した反応生成物を除去することは難しい。例えば、プラズマ処理装置1のガス供給孔28近傍の概略を示す図2において、下方向の矢印は、クリーニングガスの移動方向を概略的に示す。上方向の矢印は、クリーニングガスから生成されたプラズマ中のラジカルの移動方向を概略的に示す。
【0038】
図2(a)に示すように、従来のクリーニング方法では、クリーニングガスである酸素ガスを、拡散室50からガス流路55a、55bを介して処理容器10へと高い流量で供給する。そのため、処理容器10内で生成したプラズマ中の酸素ラジカルは、処理容器10からガス流路55b、55aへと入り込むことが困難である。そのため、ガス流路55の壁面に付着した反応生成物Rは、第1のクリーニング工程では除去しきれずに残存する。
【0039】
そこで、本実施形態では、環状隔壁部材26により少なくとも2つ以上の領域に区画された拡散室50に関して、供給されるクリーニングガスの流量が大きい領域と、供給されるクリーニングガスの流量が小さい領域とが生じるようにクリーニングガスを供給する。つまり、環状隔壁部材26によって少なくとも2つ以上のゾーンに区画された拡散室50に関して、ウエハWの第1の面内位置に対応する第1の領域に、第1の流量でクリーニングガスを供給すると共に、第1の面内位置とはウエハWの面内位置が異なる第2の面内位置に対応する第2の領域に、第1の流量よりも流量が大きい第2の流量でクリーニングガスを供給する。別の言い方をすると、第1の流量を、第2の流量よりも小さくして、第2のクリーニング工程を実行する。
【0040】
第2の流量でクリーニングガスを導入した第2の領域に対応するガス供給孔28では、図2(a)を用いて説明したように、処理容器10内で生成したラジカルは処理容器10からガス流路55a、55bへと入り込むことが困難である。しかし、第2の流量よりも流量が小さい第1の流量でクリーニングガスを導入した第1の領域に対応するガス供給孔28では、図2(b)に示すようプラズマ中のラジカルが、処理容器10からガス流路55a、55bへと入り込むことが容易となる。入り込んだラジカルは、ガス流路55の内部表面上に付着した反応生成物Rを分解して除去する。これにより、第1の領域に対応するガス流路55は、この入り込んだラジカルによってクリーニングされる。
【0041】
図4に戻り、第1のクリーニング工程後、以上に説明した第2のクリーニング工程が実行される(ステップS11)。下記に第2のクリーニング工程におけるプロセス条件の一例を示す。
・プロセス条件(第2のクリーニング工程)
圧力 :200mT(26.7Pa)
ガス種 :O
HF :3000W
ガス流量比 センター部:ミドル部:エッジ部:ベリーエッジ部=48:2:48:2
これによれば、第2のクリーニング工程における処理容器10内の圧力は、第1のクリーニング工程における処理容器10内の圧力よりも低く制御される。第2のクリーニング工程では、処理容器10内の圧力を低くし、かつ第1の流量(ここではミドル部とベリーエッジ部のガス流路55に供給されるガス流量)を第2の流量(ここではセンター部とエッジ部のガス流路55に供給されるガス流量)よりも下げる。
【0042】
第2のクリーニング工程では、第1の流量でクリーニングガスを導入する第1の領域を、ミドル部に対応した第2の拡散室50b及びベリーエッジ部に対応した第4の拡散室50dに連通するガス流路55とする。また、第2の流量でクリーニングガスを導入する第2の領域を、センター部に対応した第1の拡散室50a及びエッジ部に対応した第3の拡散室50cに連通するガス流路55とする。
【0043】
そして、第1の領域に供給する酸素含有ガスの流量(第1の流量)を、第2の領域に供給する酸素含有ガスの流量(第2の流量)よりも小さくした第2のガスのプラズマにより第1の領域に対応するガス流路がクリーニングされる。このとき、第1の領域に対応するガス流路55に酸素ラジカルが入り込むことが可能になる。このため、第1の領域に対応するミドル部及びベリーエッジ部のガス流路55内をクリーニングすることができる。なお、ステップS11において、ミドル部及びベリーエッジ部に供給される第1の流量とセンター部及びエッジ部に供給される第2の流量との流量比は、例えば0:100〜40:60の範囲内とすることが好ましい。
【0044】
(第3のクリーニング工程)
図4に戻り、第2のクリーニング工程後、第3のクリーニング工程が実行される(ステップS12)。第3のクリーニング工程におけるプロセス条件は、ガス流量比のみ第2のクリーニング工程と異なる。
・プロセス条件(第3のクリーニング工程)
圧力 :200mT(26.7Pa)
ガス種 :O
HF :3000W
ガス流量比 センター部:ミドル部:エッジ部:ベリーエッジ部=2:48:2:48
第3のクリーニング工程では、処理容器10内の圧力は第2のクリーニング工程における処理容器10内の圧力に維持される。つまり、第3のクリーニング工程においても、処理容器10内の圧力は第1のクリーニング工程における処理容器10内の圧力よりも低く制御される。
【0045】
第3のクリーニング工程では、第1の領域に供給する酸素含有ガスの流量(第1の流量)を、第2の領域に供給する酸素含有ガスの流量(第2の流量)よりも大きくした第3のガスのプラズマにより第2の領域に対応するガス流路がクリーニングされる。つまり、第2の領域に対応するガス流路55に酸素ラジカルが入り込むことにより、第2の領域に対応するセンター部及びエッジ部のガス流路55がクリーニングされる。なお、ステップS12において、ミドル部及びベリーエッジ部に供給される第1の流量とセンター部及びエッジ部に供給される第2の流量との流量比は、例えば100:0〜60:40の範囲内とすることが好ましい。
【0046】
なお、本実施形態では、第1の領域を、ミドル部に対応した第2の拡散室50b及びベリーエッジ部に対応した第4の拡散室50dに連通するガス流路55とし、第1の領域に同じ流量の酸素ガスを供給した。しかしながら、これに限られず、ミドル部に対応した第2の拡散室50bに連通するガス流路55と、ベリーエッジ部に対応した第4の拡散室50dに連通するガス流路55とに異なる流量の酸素ガスを供給してもよい。同様に、第2の領域を構成するセンター部に対応した第1の拡散室50aに連通するガス流路55と、エッジ部に対応した第3の拡散室50cに連通するガス流路55とに異なる流量の酸素ガスを供給してもよい。図1のプラズマ処理装置1を用いたエッチング処理のプロセス条件等によって、ガス流路55に付着する反応生成物Rは異なる。そのため、反応生成物Rの種類や付着量に応じて、前述の流量比やクリーニング時間を調整することにより、ガス流路55内の反応生成物Rを十分に除去することが重要である。
【0047】
本実施形態においては、拡散室50を環状隔壁部材26によって少なくとも2つ以上のゾーンに区画する。例えば、1つの環状隔壁部材26を使用することにより、拡散室50を、例えばウエハWのセンター部とエッジ部に対応する、2つのゾーンに区画することができる。この場合にも第1の領域と第2の領域とに供給する酸素ガスの流量比を異ならせ、最適な流量比で酸素ガスを供給する。これにより、少ない流量の酸素ガスが供給される領域に対応するガス流路55に酸素ラジカルが入り込むことによって、その領域に対応するガス流路55がクリーニングされる。
【0048】
以上から、第2及び第3のクリーニング工程によれば、2つ以上のゾーンに区画された拡散室50に繋がる複数の領域のガス流路55に、領域毎に異なる流量比の酸素ガスを供給する。これにより、流量の少ないガス流路55側に酸素ラジカルを入り込み易くすることでガス流路55の内部及びガス供給孔28をクリーニングする。
【0049】
別の形態では、2つの環状隔壁部材26を使用することにより、拡散室50を、例えばウエハWのセンター部、ミドル部、エッジ部に対応する、3つのゾーンに区画することができる。この場合、例えば、第1の領域をセンター部に対応させ、第2の領域をミドル部及びエッジ部に対応させても良いし、その逆でも良い。また、第1の領域をセンター部及びミドル部に対応させ、第2の領域をエッジ部に対応させても良いし、その逆でも良い。さらに、第1の領域をセンター部及びエッジ部に対応させ、第2の領域をミドル部に対応させても良いし、その逆でも良い。
【0050】
なお、3つの環状隔壁部材26を使用することにより、例えばウエハWのセンター部、ミドル部、エッジ部、ベリーエッジ部に対応する、4つのゾーンに区画した場合も、第1の領域及び第2の領域の割当は、如何なる組み合わせであってもよい。
【0051】
即ち、例えばN個の環状隔壁部材26を配置することにより、N+1個に分割された拡散室50を設置した場合、N+1個の拡散室を、当業者は適宜、第1の領域及び第2の領域に割り当てることができる。第1の流量が第2の流量よりも、相対的に流量が小さい場合、先ず、ステップS11で第1の領域に対応するガス流路55がクリーニングされる。その後、ステップS12で第1の流量が第2の流量よりも相対的に流量が大きくなるように制御し、第2の領域に対応するガス流路55がクリーニングされる。
【0052】
本実施形態の第2及び第3のクリーニング工程によれば、従来のクリーニング方法では除去が困難であったガス流路55内の反応生成物を残留させずに除去することができる。この結果、ガス流路55内における異常放電を抑制及びパーティクルの低減を図り、かつクリーニング時間の短縮することで生産性を高めることができる。
【0053】
第2及び第3のクリーニング工程においてガス流路55内のクリーニングを行った後、上部電極25及びカバー部材27に形成されたガス流路55及びガス供給孔28を、目視により確認したところ、反応生成物Rの付着は確認されなかった。一方、第1のクリーニング工程後、第2及び第3のクリーニング工程を行わなかった場合のガス流路には反応生成物Rが残留していた。このことから、本実施形態にかかる第2及び第3のクリーニング工程により、ガス流路55及びガス供給孔28を確実にクリーニングできることがわかる。
【0054】
<第4のクリーニング工程:エッチングシフトの改善>
図4に戻り、第3のクリーニング工程後、第4のクリーニング工程では、ステップS13に示すように、三フッ化窒素(NF)ガスを含む第4のガスを供給し、生成されたプラズマにより処理容器10内の残留物を除去する(ステップS13)。第4のクリーニング工程におけるプロセス条件を以下に示す。
・プロセス条件(第4のクリーニング工程)
圧力 :200mT(26.7Pa)
ガス種 :NF/O
HF :1500W
第4のクリーニング工程では、三フッ化窒素ガス及び酸素ガスから生成されたプラズマにより、第2及び第3のクリーニング工程後に処理容器10内に残存する主にカーボン(C)を含む残留物を分解して除去する。第4のガスとしては、三フッ化窒素ガス及びアルゴンガスよりも三フッ化窒素ガス及び酸素ガスを含むガスが好ましい。第4のクリーニング工程において三フッ化窒素ガス及び酸素ガスを供給することで、パーティクルの低減も同時に図ることができる。
【0055】
(第4のクリーニング工程の効果)
第4のクリーニング工程では、処理容器10から残留物を除去することで、次に実行されるエッチングにおけるエッチングレートのシフトを改善することができる。図6(a)は、比較例のクリーニングとして、クリーニングガスに四フッ化炭素(CF)ガス及び酸素ガスを供給した場合のレジスト膜(PR)のエッチングレートを示す。図6(b)は、本実施形態にかかる第4のクリーニング工程において、三フッ化窒素ガス及びアルゴンガスを供給した場合のレジスト膜のエッチングレートを示す。いずれの場合にも、処理容器10内の圧力は200mTである。また、レジスト膜は、有機膜又はアモルファスカーボン膜である。
【0056】
図6(a)及び(b)の横軸は、ウェハWの径方向の位置を示し、縦軸は、レジスト膜のエッチングレートを示す。ウェハWの径方向のうちのX軸方向及びX軸と垂直方向のY軸方向のエッチングレートがプロットされている。
【0057】
図6(a)に示す比較例の場合、フッ素含有ガスに四フッ化炭素(CF)ガスが使用されている。この場合、エッチングとクリーニングとの累積時間が1.5hの場合、エッチングのみでクリーニングを行っていない場合(0h)と比べて、ウェハWのエッジ側のエッチングレートが高くなっている。これにより、累積時間が1.5hの場合のエッチングレートの平均値「35.6nm/min」は、クリーニング時間が0hの場合のエッチングレートの平均値「26.1nm/min」よりも高くなっている。つまり、第4のクリーニング工程において、フッ素含有ガスに四フッ化炭素(CF)ガスが使用された場合、エッチングレートのシフトが生じることがわかる。エッチングレートのシフトにより、例えば、マスクの穴径が大きくなったり、エッチング形状が悪くなったりする。このため、ウェハWのエッジ側のエッチングレートが高くなる現象をなくし、エッチングレートのシフトを改善することが好ましい。
【0058】
そこで、図6(b)に示す本実施形態にかかる第4のクリーニング工程では、エッチングレートのシフトを改善するために、フッ素含有ガスに三フッ化窒素ガスを使用する。図6(b)の結果では、累積時間が4.5hの場合のそれぞれのエッチングレートの平均値は「32.8nm/min」であり、このエッチングレートの平均値は、クリーニング時間が0hの場合のエッチングレート「32.6nm/min」とほぼ同一である。また、累積時間が4.5hの場合のエッチングレートの平均値「32.8nm/min」からのバラツキは「±45.7%」であり、クリーニング時間が0hの場合のエッチングレートの平均値「32.6nm/min」からのバラツキは「±43.0%」とほぼ同一である。この結果から、本実施形態にかかる第4のクリーニング工程によれば、ウェハWのエッジ側のエッチングレートが高くなる現象をなくすことができる。
【0059】
これにより、本実施形態にかかる第4のクリーニング工程によれば、次のエッチング工程においてエッチングレートのシフトを改善することがわかる。つまり、第2及び第3のクリーニング工程後、四フッ化炭素ガスを使用したクリーニング工程を実行すると、処理容器10内はクリーニングされるものの、次のエッチング工程においてエッチングレートのシフトが生じてしまう。これに対して、本実施形態にかかるクリーニング方法では、第2及び第3のクリーニング工程後、三フッ化窒素ガスを使用した第4のクリーニング工程の実行により残留物が除去され、処理容器10内の雰囲気を安定化させることができる。この結果、次のエッチング工程においてエッチングレートのシフトを改善することができ、半導体デバイスを安定的に製造でき、生産性を向上させることができる。なお、第4のクリーニング工程で使用する第4のガスには、三フッ化窒素ガスが含まれ、酸素ガス等の他のガスは含まれなくてもエッチングレートのシフトを改善することができる。
【0060】
<第5のクリーニング工程:フッ素系物質の除去>
図4に戻り、第4のクリーニング工程後、第5のクリーニング工程では、酸素含有ガスを含む第5のガスを供給し、生成されたプラズマにより処理容器10内のフッ素系物質を除去する(ステップS14)。第5のクリーニング工程におけるプロセス条件を以下に示す。
・プロセス条件(第5のクリーニング工程)
圧力 :800mT(106.7Pa)
ガス種 :O/He
HF :3000W
プロセス条件に示すように、第5のクリーニング工程では、処理容器10内の圧力が、第4のクリーニング工程における処理容器10内の圧力よりも高く制御される。
【0061】
また、第5のクリーニング工程では、酸素ガス及びヘリウムガスを含む第5のガスから生成されたプラズマにより、処理容器10内のフッ素系物質(F)を除去することができる。そして、本実施形態のクリーニング方法を終了する。なお、第5のガスには、酸素含有ガスが含まれ、ヘリウムガスは含まれなくてもよい。
【0062】
(第5のクリーニング工程の効果)
第5のクリーニング工程では、第4のクリーニング工程において処理容器10内に残留したフッ素系物質を除去することができる。第4のクリーニング工程において四フッ化炭素ガスと酸素ガスとを供給した場合、反応生成物が残った状態で本クリーニングが終了する。このため、第5のクリーニング工程では、酸素ガスから生成したOプラズマでカーボン(C)を含む残留物を完全に除去する必要があった。これに対して、本実施形態では、第4のクリーニング工程において四フッ化炭素ガスに替えて三フッ化窒素ガスが供給された。よって、本実施形態にかかる第5のクリーニング工程では、カーボン(C)を含む残留物を除去するためではなく、処理容器10内のフッ素(F)系物質を除去するために実行される。これにより、処理容器10内にフッ素(F)が残存していることで次のエッチングに影響を及ぼすことを回避できる。
【0063】
第1のクリーニング工程〜第4のクリーニング工程後のエッチング工程において、下部電極20に印加されているプラズマ励起用高周波電力の電圧値HF Vpp及びバイアス用高周波電力の電圧値LF Vppには揺れが生じた。これは、処理容器10内にフッ素(F)系物質が残っていることを示す。
【0064】
これに対して、本実施形態にかかる第4のクリーニング工程後に第5のクリーニング工程を行い、その後のエッチング工程において、下部電極20に印加されているプラズマ励起用高周波電力の電圧値HF Vpp及びバイアス用高周波電力の電圧値LF Vppには揺れが生じない。
【0065】
前述したように、第4のクリーニング工程において三フッ化窒素ガス及び酸素ガスが供給され、それらのガスから生成されたプラズマによりクリーニングが実行される。第5のクリーニング工程では、酸素ガスとヘリウムガスとから生成されたプラズマによりクリーニングが実行される。そして、第5のクリーニング工程では、処理容器10内のフッ素(F)を除去するためのクリーニングが実行される。
【0066】
第5のクリーニング工程後におけるエッチングにて高周波電力の電圧値HF Vpp、LF Vppに揺れが生じていないという結果は、エッチング中のインピーダンスが安定し、プラズマが安定して生成されていることを示す。つまり、本実施形態の第4及び第5のクリーニング工程によれば、処理容器10内のフッ素(F)除去後にエッチングを実行することで、次のエッチングにおいて安定して良好なプラズマ処理を行うことができる。
【0067】
以上、クリーニング方法を及びプラズマ処理方法を上記実施形態により説明したが、本発明にかかるクリーニング方法は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々の変形及び改良が可能である。上記複数の実施形態に記載された事項は、矛盾しない範囲で組み合わせることができる。
【0068】
例えば、本発明に係るクリーニング方法を及びプラズマ処理方法は、容量結合型プラズマ(CCP:Capacitively Coupled Plasma)装置だけでなく、その他のプラズマ処理に適用可能である。その他のプラズマ処理装置としては、誘導結合型プラズマ(ICP:Inductively Coupled Plasma)、ラジアルラインスロットアンテナを用いたプラズマ処理装置、ヘリコン波励起型プラズマ(HWP:Helicon Wave Plasma)装置、電子サイクロトロン共鳴プラズマ(ECR:Electron Cyclotron Resonance Plasma)装置等であってもよい。
【0069】
本明細書では、エッチング対象として半導体ウェハWについて説明したが、LCD(Liquid Crystal Display)、FPD(Flat Panel Display)等に用いられる各種基板や、フォトマスク、CD基板、プリント基板等であっても良い。
【符号の説明】
【0070】
1:プラズマ処理装置
10:処理容器
15:ガス供給源
20:下部電極
25:上部電極
26:環状隔壁部材
26a:第1の環状隔壁部材
26b:第2の環状隔壁部材
27:カバー部材
26c:第3の環状隔壁部材
30:電力供給装置
32:第1高周波電源
34:第2高周波電源
45a〜45d:ガス導入口
50:拡散室
50a:第1の拡散室
50b:第2の拡散室
50c:第3の拡散室
50d:第4の拡散室
55、55a、55b:ガス流路
100:制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6