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特開2017-129775光信号の周波数差を比較する方法ならびに光信号の位相を同期させる方法および装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-129775(P2017-129775A)
(43)【公開日】2017年7月27日
(54)【発明の名称】光信号の周波数差を比較する方法ならびに光信号の位相を同期させる方法および装置
(51)【国際特許分類】
   G02F 2/00 20060101AFI20170630BHJP
【FI】
   G02F2/00
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2016-9701(P2016-9701)
(22)【出願日】2016年1月21日
(11)【特許番号】特許第6130527号(P6130527)
(45)【特許公報発行日】2017年5月17日
(71)【出願人】
【識別番号】504261077
【氏名又は名称】大学共同利用機関法人自然科学研究機構
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100147500
【弁理士】
【氏名又は名称】田口 雅啓
(74)【代理人】
【識別番号】100166235
【弁理士】
【氏名又は名称】大井 一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100179914
【弁理士】
【氏名又は名称】光永 和宏
(74)【代理人】
【識別番号】100179936
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 明日香
(72)【発明者】
【氏名】木内 等
【テーマコード(参考)】
2K102
【Fターム(参考)】
2K102AA30
2K102BA01
2K102BA18
2K102BB02
2K102BB03
2K102BC04
2K102BC07
2K102BD01
2K102BD09
2K102DB04
2K102EA25
2K102EB20
2K102EB22
(57)【要約】
【課題】光信号の周波数差を比較する方法において、光・電気信号変換を行う変換器の必要数を低減することを目的とする。
【解決手段】光発振器10は、周波数差Δf1だけ隔てられた周波数をそれぞれ持つ光波W1’および光波W2’を含む光信号L1’と、周波数差Δf2だけ隔てられた周波数をそれぞれ持つ光波W3および光波W4を含む光信号L2とを合成することにより、光信号L3を生成する。光発振器10は、光信号L3を、光波W1’および光波W3を含む光信号L4と、光波W2’および光波W4を含む光信号L5とに分波する。光発振器10は、光信号L4に含まれる光波W1’および光波W3の間の周波数差Δf3と、光信号L5に含まれる光波W2’および光波W4の間の周波数差Δf4とに基づいて、Δf1とΔf2とを比較する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光信号の周波数差を比較する方法であって、
第1周波数差だけ隔てられた周波数をそれぞれ持つ第1光波および第2光波を含む第1光信号と、第2周波数差だけ隔てられた周波数をそれぞれ持つ第3光波および第4光波を含む第2光信号とを合成することにより、第3光信号を生成するステップと、
前記第3光信号を、前記第1光波および前記第3光波を含む第4光信号と、前記第2光波および前記第4光波を含む第5光信号とに分波するステップと、
前記第4光信号に含まれる前記第1光波および前記第3光波の間の第3周波数差と、前記第5光信号に含まれる前記第2光波および前記第4光波の間の第4周波数差とに基づいて、前記第1周波数差と前記第2周波数差とを比較するステップと
を備える、方法。
【請求項2】
第3光信号を生成するステップの前に、前記第1光信号または前記第2光信号の周波数をシフトさせるステップをさらに備える、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1周波数差と前記第2周波数差とを比較する前記ステップは、
前記第4光信号に基づいて、前記第3周波数差に対応する周波数を持つ第1電気信号を生成するステップと、
前記第5光信号に基づいて、前記第4周波数差に対応する周波数を持つ第2電気信号を生成するステップと、
前記第1電気信号および前記第2電気信号の差位相を検出するステップと、
を備える、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
請求項3に記載の方法を用いて光信号の位相を同期させる方法であって、
前記第1周波数差は制御対象として可変であり、
前記第2周波数差は制御の目標となる基準値であり、
前記方法は、前記差位相に基づいて前記第1周波数差を変更するステップをさらに備える、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第1周波数差を変更する前記ステップは、
前記差位相に対応する周波数間隔を持つ光コムを生成するステップと、
前記光コムから前記第1光波および前記第2光波を抽出するステップと、
を備え、
前記方法は、さらに、前記光コムから、前記第1光波とも前記第2光波とも異なる光波を少なくとも1つ含む2光波を抽出するステップを備える、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
請求項4または5に記載の方法を用いて光信号の位相を同期させる装置であって、
前記第1光信号を生成する光2波発生手段と、
前記第1光信号および前記第2光信号を合成する光カプラと、
前記第3光信号を、前記第4光信号および前記第5光信号に分波する光分波器と、
を備える、装置。
【請求項7】
前記第4光信号に基づいて、前記第3周波数差に対応する周波数を持つ第1電気信号を生成する第1光検出器と、
前記第5光信号に基づいて、前記第4周波数差に対応する周波数を持つ第2電気信号を生成する第2光検出器と、
をさらに備え、
前記第1光検出器および前記第2光検出器の検出可能周波数範囲の上限は、前記第1周波数差よりも低い、請求項6に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、光信号の周波数差を比較する方法ならびに光信号の位相を同期させる方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コヒーレントなレーザ光2波を用いると、遠方に高安定高周波基準信号を送ることが可能である。これにより広大なコヒーレント系を構築することができる。この光2波のビート信号として伝送される高周波基準信号は、光・電気信号変換され、電気的な発振器と位相同期回路を用いた位相同期が行われ、新たな周波数が生成される。現在では、光2波で伝送される基準信号は低周波から100GHz以上の広い周波帯域に及んでいる。このため、光・電気信号変換に用いられるフォトミキサまたは周波数変換器も低周波用から高周波用まで各種用意する必要がある。これの良い例がALMA(Atacama Large Millimeter/submillimeter Array)である。ALMAの構成は非特許文献1に記載される。
【0003】
マイクロ波からテラヘルツ波領域での高位相安定信号の発生は、今後大いに発展が期待される分野であり、高速光通信、高周波天文学などで必要性が高まっている。
【0004】
高周波・広帯域な信号の発生には、フォトニック技術を用いるのが有利である。また、光信号はファイバ伝送により遠方にまで容易に配信できる。近年、光高周波基準信号を広域に配信し、広大なコヒーレント系を構築したシステムが実現され始めた。高い周波数の基準信号は、配信先での逓倍器等を必要とせず、コヒーレンスの維持に有利である。この良い例がALMAである。光高周波基準信号は、コヒーレントなレーザ光2波のビート信号として発生・伝送される。従来の技術では、この光高周波基準信号は、フォトミキサ等を用いた光電気変換により電気信号に変えられ周波数基準となり、制御対象の信号との周波数差の比較に用いられる。
【0005】
図5は、このような周波数差の比較を行うための従来の構成の一例を示す。この構成は、PLL(Phase Locked Loop)と呼ばれる方式のものである。光2波発生手段は2つの光波を含む光信号を発生する。この光信号は光分配器で2つに分配される。分配された光信号の一方は光電気変換を受け、光2波の周波数差に相当する周波数を持つ高周波電気信号として出力信号が出力される。他方も光電気変換を受け、同様に光電気変換を受けた基準光信号との差位相が検出される。この差位相に基づいて、光2波発生手段が発生する光信号の周波数が制御される。
【0006】
図6は、周波数差の比較を行うための従来の構成の別の例を示す。この構成は、光基準信号に同期したPLL発振器を表す。この例では光2波発生手段に代えて高周波電気信号発生手段が用いられている。高周波電気信号発生手段からの信号は分配器で2つに分配され、一方は出力信号となる。他方と、光電気変換を受けた基準光信号との差位相が検出され、この差位相に基づいて、高周波電気信号発生手段が発生する電気信号の周波数が制御される。
【0007】
このように、いずれの従来例においても、少なくとも基準光信号における光2波の周波数差を検出するための光電気変換器が必要となる。この光電気変換器は、基準光信号が取り得る周波数範囲の全域にわたって動作可能でなければならない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】J. F. Cliche, et al, 「A 100-GHz-tunable photonic millimeter wave synthesizer for the Atacama Large Millimeter Array radio telescope」、IEEE/MTT-S International Microwave Symposium, 2007, p. 349-352
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述のような従来の方法では、光2波で伝送される基準信号の周波数範囲の広さに応じて、光・電気信号変換を行う変換器の必要数が増大するという問題があった。
【0010】
現在では、光2波で伝送される基準信号は低周波から100GHz以上の広い周波帯域に及んでいる。このため広帯域システムでは、光・電気信号変換を行う変換器(高周波フォトミキサ、周波数変換用の高周波ミキサすなわちハーモニックミキサ等)を低周波用から高周波用まで各種用意する必要がある。この結果として、システムの構成が複雑になり、場合によっては高価なものともなる。
【0011】
この発明はこのような問題点を解消するためになされたものであり、光・電気信号変換を行う変換器の必要数を低減する周波数差比較方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
このような問題を解決するため、この発明に係る光信号の周波数差を比較する方法は、
第1周波数差だけ隔てられた周波数をそれぞれ持つ第1光波および第2光波を含む第1光信号と、第2周波数差だけ隔てられた周波数をそれぞれ持つ第3光波および第4光波を含む第2光信号とを合成することにより、第3光信号を生成するステップと、
前記第3光信号を、前記第1光波および前記第3光波を含む第4光信号と、前記第2光波および前記第4光波を含む第5光信号とに分波するステップと、
前記第4光信号に含まれる前記第1光波および前記第3光波の間の第3周波数差と、前記第5光信号に含まれる前記第2光波および前記第4光波の間の第4周波数差とに基づいて、前記第1周波数差と前記第2周波数差とを比較するステップと
を備える。
第3光信号を生成するステップの前に、前記第1光信号または前記第2光信号の周波数をシフトさせるステップをさらに備えてもよい。
前記第1周波数差と前記第2周波数差とを比較する前記ステップは、
前記第4光信号に基づいて、前記第3周波数差に対応する周波数を持つ第1電気信号を生成するステップと、
前記第5光信号に基づいて、前記第4周波数差に対応する周波数を持つ第2電気信号を生成するステップと、
前記第1電気信号および前記第2電気信号の差位相を検出するステップと、
を備えてもよい。
【0013】
また、この発明に係る光信号の位相を同期させる方法は、上述の方法を用い、
前記第1周波数差は制御対象として可変であり、
前記第2周波数差は制御の目標となる基準値であり、
前記方法は、前記差位相に基づいて前記第1周波数差を変更するステップをさらに備える。
前記第1周波数差を変更する前記ステップは、
前記差位相に対応する周波数間隔を持つ光コムを生成するステップと、
前記光コムから前記第1光波および前記第2光波を抽出するステップと、
を備え、
前記方法は、さらに、前記光コムから、前記第1光波とも前記第2光波とも異なる光波を少なくとも1つ含む2光波を抽出するステップを備えてもよい。
【0014】
また、この発明に係る光信号の位相を同期させる装置は、上述の方法を用い、
前記第1光信号を生成する光2波発生手段と、
前記第1光信号および前記第2光信号を合成する光カプラと、
前記第3光信号を、前記第4光信号および前記第5光信号に分波する光分波器と、
を備える。
前記第4光信号に基づいて、前記第3周波数差に対応する周波数を持つ第1電気信号を生成する第1光検出器と、
前記第5光信号に基づいて、前記第4周波数差に対応する周波数を持つ第2電気信号を生成する第2光検出器と、
をさらに備え、
前記第1光検出器および前記第2光検出器の検出可能周波数範囲の上限は、前記第1周波数差よりも低いものであってもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る、光信号の周波数差を比較する方法ならびに光信号の位相を同期させる方法および装置によれば、2つの光信号を合成し、対応する光波対ごとに分波してから周波数差を検出して比較するので、光・電気信号変換が必要となる周波数範囲が限定され、変換器の必要数を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施の形態1に係る光発振器の構成の例を示す図である。
図2】第3光信号のスペクトルを示す図である。
図3】本発明の実施の形態2に係る光発振器の構成の例を示す図である。
図4】本発明の実施の形態3に係る光発振器の構成の例を示す図である。
図5】周波数差の比較を行うための従来の構成の一例を示す図である。
図6】周波数差の比較を行うための従来の構成の別の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
まず、本発明の概要および動作原理を説明する。本発明は、光信号の周波数差を比較する方法、光信号の位相を同期させる方法、および、光信号の位相を同期させる装置に関する。これらの発明は、2光波で送られてくる高周波基準信号から、高周波フォトミキサを用いることなく基準信号位相を取り出し、制御対象となる光2波を発生する光信号発振器に位相同期を掛けることを可能にする。
【0018】
本発明の方式によれば、光高周波基準信号を直接光電気変換することなく、光高周波基準信号と光発振器から出力される信号との位相差を、光周波数シフタを用いたり、光2波発生手段のレーザ光源波長を僅かにずらしたりすることにより、低周波光検出器2台を用いてそれぞれ検出される位相の差として測定することができる。この方式では、低周波から高周波までの光高周波基準信号との同期が、同一種類の少数の低周波光検出器(たとえば2台)で実現可能である。
【0019】
実施の形態1.
以下、本発明の実施の形態1について説明する。
図1に、本発明の実施の形態1に係る光発振器10の構成の例を示す。光発振器10は、光2波発生手段11と、光分配器12と、光電気変換器13と、光周波数シフタ14と、光カプラ15と、光分波器16と、光検出器17および18と、差位相検出器19とを備える。これらの構成要素のうち、光電気変換器13を除くものが、位相同期ループを構成する。この光発振器10は、以下に記載する方法を用いて光信号の周波数差を比較し、または、光信号の位相を同期させる。
【0020】
なお、周波数と位相は、微分または積分演算を介して相互に変換可能であるので、本明細書では、周波数と位相を等価なものとして扱う場合がある。以下では、「周波数差」、「位相差」および「差位相」という用語は、互いに交換可能である。
【0021】
光2波発生手段11は、たとえば図示しないレーザ光を光源として動作する。光2波発生手段11は光信号L1(第1光信号)を生成する。光信号L1は、光波W1(第1光波)および光波W2(第2光波)を含む。図1の例では、光波W1の周波数は光波W2の周波数よりも低いものとする。光波W1および光波W2は、互いに周波数差Δf1(第1周波数差)だけ隔てられた周波数を持つ。光波W1および光波W2(ならびに後述の各光波)は、それぞれ単一の周波数成分からなる。
【0022】
なお、本明細書において「周波数成分」とは、理想的には単一の周波数のみを含む成分を意味するが、実質的には、本明細書に記載される光発振器10の機能を実現可能な程度の広がりを有するものであってもよい。
【0023】
また、本明細書では、説明の便宜上、単一の周波数成分のみからなる光を「光波」と呼び、複数の周波数成分を含む光を「光信号」と呼んで区別する。とくに、「光信号」とは、2つの光波の周波数差が表す信号を意味する場合がある。しかしながら、これらの用語はそれぞれそのような意味には限定されず、たとえば光波が複数の周波数成分を含んでもよい。
【0024】
Δf1は可変であり、制御対象となる。たとえば、光2波発生手段11は、外部から入力される所定の制御信号(たとえば後述の制御信号S2であるが、これに加えて図示しない他の制御信号を用いてもよい)に応じ、Δf1を変更することができる。このような光2波発生手段11は、たとえばシンセサイザで駆動されるマッハツェンダ型光変調器を用いた光2波発生器を用いて実現可能である。マッハツェンダ型の光変調器の構成の具体例は、たとえば、Kiuchi, H.、Kawanishi, T.、Yamada, M.、Sakamoto, T.、Tsuchiya, M.、Amagai, J.、Izutsu, M.による、「High Extinction Ratio Mach-Zehnder Modulator Applied to a Highly Stable Optical Signal Generator」(IEEE Trans. Microwave Theory and Techniques, vol.55, no.9, pp.1964-1972, 2007)に開示される。
【0025】
別の例として、光2波発生手段11は、PLL型のものを用いて構成することもできる。PLL型では光カプラを用いて、高安定レーザと、波長可変レーザとを合成することにより、光信号L1を生成する。光信号L1は2経路に分配され、一方は出力となり、他方は波長可変レーザの波長を制御するためにフィードバックされる。フィードバックは、たとえば、まず光信号L1をフォトミキサによりマイクロ波信号に変換し、次に、このマイクロ波信号と、外部制御信号に応じて変化する制御用マイクロ波信号とをマイクロ波ハーモニックミキサ等で合成し、合成されたマイクロ波信号にフィルタを作用させて必要な周波数を抽出し、抽出された信号を波長可変レーザの生成装置に入力するという構成により行われる。
【0026】
さらに別の例として、光2波発生手段11は、SSB(シングルサイドバンド)変調器型のものを用いて構成することもできる。この例では、SSB変調器が、入力レーザ(高安定レーザである必要はない)を、変調信号(sin信号およびcos信号)に基づいて変調することにより、光信号L1を生成する。この変調信号(sin信号およびcos信号)は、たとえば90度ハイブリッド回路を用い、外部制御信号に応じて変化する制御用マイクロ波信号に基づいて生成することができる。
【0027】
さらに別の例として、光2波発生手段11は、AO(音響光学素子)変調器型のものを用いて構成することもできる。この例では、AO変調器が、入力レーザ(高安定レーザである必要はない)を、外部制御信号に応じて変化する制御用マイクロ波信号に基づいて変調することにより、光信号L1を生成する。
【0028】
光分配器12は、入力された光信号L1を2つの出力に分配する。分配された出力のうち一方は光電気変換器13に入力され、他方は光周波数シフタ14に入力される。
【0029】
光電気変換器13は、光信号L1に対して光電気変換を実施し、出力信号S1としての電気信号を発生する。光信号L1に含まれる光波W1および光波W2の差周波数に基づいて、この差周波数に対応する周波数を持つ電気信号を出力する。このようにして、実施の形態1に係る光発振器10は、任意の周波数を持つ電気信号を出力することができる。
【0030】
光周波数シフタ14は、光信号L1の周波数をシフトさせる。すなわち、光波W1および光波W2の周波数を、それぞれ同じ値だけシフトさせる。図1の例では、光信号L1の周波数が低い方にシフトされ、光波W1’および光波W2’を含む光信号L1’が生成されている。光波W1’および光波W2’の周波数差はΔf1に等しい。
【0031】
このシフトの量(シフト周波数)は、光2波発生手段11の不安定性よりも大きな周波数である。言い換えると、シフト周波数は、光波W1と光波W2との周波数差が誤差等により変動する範囲の幅よりも大きい値である。また、シフト周波数は、Δf1よりも小さく、好ましくははるかに小さい。このシフト周波数は、たとえば後述の光検出器17および18の動作周波数範囲に含まれる値となるよう設計される。
【0032】
ここで、光信号L1および光信号L1’は、互いに異なる周波数成分を含むものであるが、いずれも周波数成分間の周波数差はΔf1であって互いに等しいので、光発振器10においては本質的に等価な光信号とみなすことができる。したがって、本発明に関して、光信号L1と光信号L1’とは、いずれも第1光信号として解釈することが可能である。また、同様に、光波W1と光波W1’とは、いずれも第1光波として解釈することが可能であり、光波W2と光波W2’とは、いずれも第2光波として解釈することが可能である。
【0033】
光カプラ15は、光信号L1’と、光信号L2(第2光信号)とを合成する。光信号L2は外部から入力される所定の基準光信号である。光信号L2は、光波W3(第3光波)および光波W4(第4光波)を含む。図1の例では、光波W3の周波数は光波W4の周波数よりも低いものとする。光波W3および光波W4は、互いに周波数差Δf2(第2周波数差)だけ隔てられた周波数を持つ。Δf2は、制御の目標(たとえば光発振器10が生成すべき出力信号の周波数基準)として入力されるものである。
【0034】
光カプラ15は、このように光信号L1’と、光信号L2とを合成することにより、光信号L3(第3光信号)を生成して出力する。光信号L3は、光波W1’,W2’,W3,W4を含む。
【0035】
図2に、光信号L3のスペクトルを示す。上述のように、光波W1’と光波W2’との周波数差はΔf1であり、光波W3と光波W4との周波数差はΔf2である。ここで、光波W1’と光波W3との周波数差をΔf3(第3周波数差)とし、光波W2’と光波W4との周波数差をΔf4(第4周波数差)とすると、Δf1−Δf2=Δf3−Δf4となることが図2より明らかである。
【0036】
光2波発生手段11の光源であるレーザの波長と、基準光信号(光信号L2)の光源であるレーザの波長とは、互いに異なる位相不安定性(ふらつき)を持つ。しかしながら、上式により計算される値には、これらの位相不安定性により発生する誤差は相殺されるため入り込まない。図2を参照して説明すると、光波W1’と光波W2’とが互いに同一のふらつきを有して一体としてふらつき、光波W3と光波W4とが互いに同一のふらつきを有して一体としてふらつくため、上式のように差をとるとふらつきを相殺することができる。当業者であれば、図2に基づいてこのような原理を容易に理解する。
【0037】
光発振器10は、Δf3とΔf4とに基づき、Δf1とΔf2とを比較する。この比較はどのように実行されてもよいが、図1の例では以下に説明する方法で実行される。
【0038】
光分波器16は、光信号L3を、光信号L4(第4光信号)および光信号L5(第5光信号)に分離する。ここで、光信号L4は光波W1’および光波W3を含み、光信号L5は光波W2’および光波W4を含む。このような動作はたとえば、光信号L3から、所定の閾値周波数未満の周波数成分と、閾値周波数を超える周波数成分とをそれぞれ抽出することにより実現可能である。図2の例では、光波W3の周波数と光波W2’の周波数との中点の周波数を閾値周波数として選択することができる。
【0039】
光分波器16によって分離された出力のうち一方は光検出器17に入力され、他方は光検出器18に入力される。光検出器17は、光信号L4に基づき、Δf3に対応する周波数を持つ電気信号E1(第1電気信号)を生成する。たとえば、光検出器17は、光信号L4に対して光電気変換を行い、Δf3に等しい周波数を持つ電気信号として、電気信号E1を生成する。同様に、光検出器18は、光信号L5に基づき、Δf4に対応する周波数を持つ電気信号E2(第2電気信号)を生成する。たとえば、光検出器18は、光信号L5に対して光電気変換を行い、Δf4に等しい周波数を持つ電気信号として、電気信号E2を生成する。
【0040】
ここで、光検出器17および18は、元の光信号L1における周波数差Δf1に関わらず、それぞれ光信号L4およびL5における周波数差Δf3およびΔf4を検出できればよい。このため、光検出器17および18の動作周波数範囲は、Δf1の変動範囲(低周波から100GHz以上の広範囲に及び得る)に関わらず、Δf3またはΔf4の変動範囲(たとえば数MHzから数百MHz程度)に合わせて設計すればよく、より少数の光検出器(たとえば単一のもの)によってカバーすることができる。言い換えると、光検出器17および18の検出可能周波数範囲の上限を、Δf1よりも低い値(好ましくははるかに低い値)に設計することにより、光検出器の必要数を低減することができる。
【0041】
差位相検出器19は、電気信号E1およびE2に基づき、Δf3とΔf4とを比較する。比較の動作はどのように行われてもよいが、本実施形態では電気信号E1と電気信号E2との差位相を検出することによって行われる。
【0042】
このように、実施の形態1では、光検出器17および18と差位相検出器19とが、Δf3とΔf4とに基づいてΔf1とΔf2とを比較するための比較装置(比較手段)として機能する。
【0043】
Δf3とΔf4との比較の結果は、どのように出力または利用されてもよいが、図1の例では、制御信号S2として出力され、光2波発生手段11の動作を制御するために用いられる。たとえば光2波発生手段11は、制御信号S2によって表される電気信号E1およびE2の差位相に基づき、光信号L1におけるΔf1を変更する。たとえば、Δf1がΔf2に一致するように、またはΔf1がΔf2に近づくように変更する。このような制御によって、光発振器10は、光信号L1の位相を光信号L2の位相と同期させることができる。
【0044】
なお、光周波数シフタ14によるシフトは、光波W1および光波W2に対して同一の作用を及ぼすので、差位相検出器19における検出動作において除去され、制御信号S2には(少なくとも直接的には)影響を与えない。
【0045】
以上説明されるように、本発明の実施の形態1に係る光発振器10によれば、光検出器17および18の動作周波数範囲を、Δf1の変動範囲に関わらず、Δf3またはΔf4の変動範囲に合わせて設計すればよいので、光検出器の必要数を低減することができる。
【0046】
また、光発振器10によれば、以下の特徴が実現される。
光発振器10は、光高周波基準信号(光信号L2)を直接的に光電気変換することなく、光信号L2の位相と、光発振器10によって出力される信号(光信号L1)の位相との差を得る。これを実現するために、光発振器10は、光周波数シフタ14を用いて、光2波発生手段11の光源となるレーザの波長を僅かにずらすことにより、低周波の光検出器2台がそれぞれ検出する周波数の差を測定する。
【0047】
光発振器10は、光高周波基準信号を高周波数のまま直接的に電気信号に変換するのではなく、光信号として直接的に入力する。
【0048】
光発振器10は、低周波から高周波まで(たとえばマイクロ波領域からテラヘルツ波領域まで)の光高周波基準信号に対して、同一の低周波光検出器2台で対応可能である。
【0049】
光発振器10は、位相比較を低い周波数で行うことができ、位相同期ループ内に高周波フォトミキサや高周波ミキサなどの高周波部品が不要である。
【0050】
実施の形態2.
実施の形態1では、差位相検出器19の出力が光2波発生手段11に直接入力される。実施の形態2では、これらの間に、信号を操作する構成要素が追加される。以下、実施の形態1との相違点を説明する。
【0051】
図3に、実施の形態2に係る光発振器110の構成の例を示す。光発振器110は、実施の形態1に係る光発振器10の構成に加えて、位相差検出器122を備える。位相差検出器122には、差位相検出器19の出力としての差位相信号S102と、所定のずれに対応する周波数のオフセット周波数信号S103とが入力される。オフセット周波数信号S103は、たとえばマイクロ波周波数の電気信号である。位相差検出器122は、これら2つの信号の位相差を検出して出力する。この出力は、たとえば制御信号S104として光2波発生手段11に入力される。光2波発生手段11は、この制御信号S104に応じ、Δf1を変更する。
【0052】
このような構成によれば、Δf1の制御がより柔軟に行える。たとえばオフセット周波数信号S103の周波数を制御することにより、Δf2を固定したままでΔf1を動的に変更することができる。
【0053】
また、実施の形態1に係る光発振器10と同様に、光検出器17および18の動作周波数範囲を、Δf1の変動範囲に関わらず、Δf3またはΔf4の変動範囲に合わせて設計すればよいので、光検出器の必要数を低減することができる。
【0054】
実施の形態3.
実施の形態1および2では、光電気変換器13に入力される光信号と、光周波数シフタ14に入力される光信号とは、いずれも同一の光信号L1であった。実施の形態3では、光コムを用い、光電気変換器13および光周波数シフタ14にそれぞれ異なる対の光波が抽出され入力される。以下、実施の形態2との相違点を説明する。
【0055】
図4に、実施の形態3に係る光発振器210の構成の例を示す。光発振器210は、実施の形態2に係る光発振器110の構成における光2波発生手段11および光分配器12に代えて、光コム発生手段202と、光分配器212と、第1の光2波選択手段211aと、第2の光2波選択手段211bとを備える。
【0056】
光コム発生手段202は、位相差検出器122から入力される制御信号S104に基づいて、光コムL6を生成する。光コムL6は、少なくとも3つの光波を含む。各光波は、制御信号S104の周波数に応じた周波数差fcomだけ隔てられている。ここで、制御信号S104の周波数は、電気信号E1およびE2の差位相に基づいて決定されるので、光コムL6は、この差位相に対応する周波数間隔を持つということができる。
【0057】
光分配器212は、入力された光コムL6を2つの出力に分配する。分配された出力のうち一方は第1の光2波選択手段211aに入力され、他方は第2の光2波選択手段211bに入力される。
【0058】
第1の光2波選択手段211aは、光コムL6から隣接する2光波(実施の形態1における光波W1および光波W2に対応するもの)を選択して抽出し、その2光波を含む光信号を、光信号L1として出力する。すなわち、光信号L1における周波数差(図1におけるΔf1)はfcomに等しくなる。光信号L1は、実施の形態1および2と同様に光周波数シフタ14に入力される。
【0059】
第2の光2波選択手段211bは、光コムL6から所定の2光波を選択して抽出し、その2光波を含む光信号L7を出力する。光信号L7における周波数差は、第2の2波選択手段211bの作用に応じ、fcom×n(ただしnは2以上の整数)のうちから任意に選択可能となる。図4の例ではn=3である。nは動的に変更可能であってもよい。
【0060】
nを2以上とすることにより、各光2波選択手段によって抽出される光波の対は異なるものとなる。言い換えると、第2の光2波選択手段211bによって抽出される2光波のうち少なくとも一方は、第1の光2波選択手段211aによって抽出される2光波(実施の形態1における光波W1および光波W2に対応するもの)のいずれとも異なるものとなる。
【0061】
光信号L7は光電気変換器13に入力される。光電気変換器13は、光信号L7に対して、実施の形態1および2と同様の光電気変換を実施し、出力信号S1としての電気信号を発生する。
【0062】
このような構成によれば、周波数逓倍機能を備えた光発振器210を実現することができる。すなわち、光信号L7における周波数差は、光信号L2における周波数差Δf2のn倍となる。
【0063】
また、実施の形態1に係る光発振器10と同様に、光検出器17および18の動作周波数範囲を、Δf1の変動範囲に関わらず、Δf3またはΔf4の変動範囲に合わせて設計すればよいので、光検出器の必要数を低減することができる。
【0064】
上述の実施の形態3では、n≧2であるが、n=1の場合を許容してもよい。また、実施の形態3では、第1の光2波選択手段211aは光コムL6から隣接する2光波を抽出するが、隣接しない2光波を抽出可能なように構成してもよく、たとえば周波数差をfcom×m(ただしmは1以上の整数)のうちから任意に選択可能としてもよい。この場合には、m>nまたはm=nとしてもよい。とくにm=nとすると、実質的に実施の形態2と同等の光発振器が実現される。
【0065】
上述の実施の形態1〜3では、周波数のシフトは、光周波数シフタ14により光信号L1に対して行われる。変形例として、周波数のシフトは、光信号L3が生成されるより前であれば、他の態様で行われてもよい。たとえば、光2波発生手段11または光コム発生手段202の光源となるレーザ光の波長を僅かにずらすことによって行われてもよい(この場合には光周波数シフタ14は不要となる)し、光周波数シフタにより光信号L2に対して行われてもよい。なお、光信号L2(光波W3および光波W4)の周波数をシフトさせる構成では、光信号L2と、光信号L2がシフトされたものとは、いずれも第2光信号として解釈することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明は、たとえば、高周波天文学および超高速通信分野への応用が可能である。また、マイクロ波からテラヘルツ波を使用する分野への応用が可能である。
【符号の説明】
【0067】
10,110,210 光発振器(光信号の位相を同期させる装置)、11 光2波発生手段、12,212 光分配器、13 光電気変換器、14 光周波数シフタ、15 光カプラ、16 光分波器、17,18 光検出器、19 差位相検出器、122 位相差検出器、202 光コム発生手段、211a,211b 光2波選択手段、E1,E2 電気信号(第1電気信号,第2電気信号)、L1,L1’ 光信号(第1光信号)、L2〜L5 光信号(第2光信号〜第5光信号)、L6 光コム、L7 光信号、W1,W1’ 光波(第1光波)、W2,W2’ 光波(第2光波)、W3,W4 光波(第3光波,第4光波)、Δf1〜Δf4 周波数差(第1周波数差〜第4周波数差)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2017年1月5日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0012】
このような問題を解決するため、この発明に係る光信号の位相を同期させる方法は、
第1周波数差だけ隔てられた周波数をそれぞれ持つ第1光波および第2光波を含む第1光信号と、第2周波数差だけ隔てられた周波数をそれぞれ持つ第3光波および第4光波を含む第2光信号とを合成することにより、第3光信号を生成するステップと、
前記第3光信号を、前記第1光波および前記第3光波を含む第4光信号と、前記第2光波および前記第4光波を含む第5光信号とに分波するステップと、
前記第4光信号に基づいて、前記第3周波数差に対応する周波数を持つ第1電気信号を生成するステップと、
前記第5光信号に基づいて、前記第4周波数差に対応する周波数を持つ第2電気信号を生成するステップと、
前記第1電気信号および前記第2電気信号の差位相を検出することにより、前記第1周波数差と前記第2周波数差とを比較するステップと、
前記差位相に基づいて前記第1周波数差を変更するステップと
を備え
前記第1周波数差は制御対象として可変であり、
前記第2周波数差は制御の目標となる基準値である
第3光信号を生成するステップの前に、前記第1光信号または前記第2光信号の周波数をシフトさせるステップをさらに備えてもよい
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0013】
記第1周波数差を変更する前記ステップは、
前記差位相に対応する周波数間隔を持つ光コムを生成するステップと、
前記光コムから前記第1光波および前記第2光波を抽出するステップと、
を備え、
前記方法は、さらに、前記光コムから、前記第1光波とも前記第2光波とも異なる光波を少なくとも1つ含む2光波を抽出するステップを備えてもよい。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0056
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0056】
光コム発生手段202は、位相差検出器122から入力される制御信号S104に基づいて、光コムL6を生成する。光コムL6は、少なくとも3つの光波を含む。各光波は、制御信号S104の周波数に応じた周波数差fcomだけ隔てられている。ここで、制御信号S104の周波数は、電気信号E1およびE2の差位相に基づいて決定されるので、光コムL6は、この差位相に対応する周波数間隔を持つということができる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0058
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0058】
第1の光2波選択手段211aは、光コムL6から隣接する2光波(実施の形態1における光波W1および光波W2に対応するもの)を選択して抽出し、その2光波を含む光信号を、光信号L1として出力する。すなわち、光信号L1における周波数差(図1におけるΔf1)はfcomに等しくなる。光信号L1は、実施の形態1および2と同様に光周波数シフタ14に入力される。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0059
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0059】
第2の光2波選択手段211bは、光コムL6から所定の2光波を選択して抽出し、その2光波を含む光信号L7を出力する。光信号L7における周波数差は、第2の2波選択手段211bの作用に応じ、fcom×n(ただしnは2以上の整数)のうちから任意に選択可能となる。図4の例ではn=3である。nは動的に変更可能であってもよい。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0064
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0064】
上述の実施の形態3では、n≧2であるが、n=1の場合を許容してもよい。また、実施の形態3では、第1の光2波選択手段211aは光コムL6から隣接する2光波を抽出するが、隣接しない2光波を抽出可能なように構成してもよく、たとえば周波数差をfcom×m(ただしmは1以上の整数)のうちから任意に選択可能としてもよい。この場合には、m>nまたはm=nとしてもよい。とくにm=nとすると、実質的に実施の形態2と同等の光発振器が実現される。
【手続補正7】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光信号の位相を同期させる方法であって、
第1周波数差だけ隔てられた周波数をそれぞれ持つ第1光波および第2光波を含む第1光信号と、第2周波数差だけ隔てられた周波数をそれぞれ持つ第3光波および第4光波を含む第2光信号とを合成することにより、第3光信号を生成するステップと、
前記第3光信号を、前記第1光波および前記第3光波を含む第4光信号と、前記第2光波および前記第4光波を含む第5光信号とに分波するステップと、
前記第4光信号に基づいて、前記第3周波数差に対応する周波数を持つ第1電気信号を生成するステップと、
前記第5光信号に基づいて、前記第4周波数差に対応する周波数を持つ第2電気信号を生成するステップと、
前記第1電気信号および前記第2電気信号の差位相を検出することにより、前記第1周波数差と前記第2周波数差とを比較するステップと、
前記差位相に基づいて前記第1周波数差を変更するステップと
を備え
前記第1周波数差は制御対象として可変であり、
前記第2周波数差は制御の目標となる基準値である、
方法。
【請求項2】
第3光信号を生成するステップの前に、前記第1光信号または前記第2光信号の周波数をシフトさせるステップをさらに備える、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1周波数差を変更する前記ステップは、
前記差位相に対応する周波数間隔を持つ光コムを生成するステップと、
前記光コムから前記第1光波および前記第2光波を抽出するステップと、
を備え、
前記方法は、さらに、前記光コムから、前記第1光波とも前記第2光波とも異なる光波を少なくとも1つ含む2光波を抽出するステップを備える、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法を用いて光信号の位相を同期させる装置であって、
前記第1光信号を生成する光2波発生手段と、
前記第1光信号および前記第2光信号を合成する光カプラと、
前記第3光信号を、前記第4光信号および前記第5光信号に分波する光分波器と、
を備える、装置。
【請求項5】
前記第4光信号に基づいて、前記第3周波数差に対応する周波数を持つ第1電気信号を生成する第1光検出器と、
前記第5光信号に基づいて、前記第4周波数差に対応する周波数を持つ第2電気信号を生成する第2光検出器と、
をさらに備え、
前記第1光検出器および前記第2光検出器の検出可能周波数範囲の上限は、前記第1周波数差よりも低い、請求項に記載の装置。