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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-131849(P2017-131849A)
(43)【公開日】2017年8月3日
(54)【発明の名称】気体分離フィルタの製造方法
(51)【国際特許分類】
   B01D 71/70 20060101AFI20170707BHJP
   B01D 69/10 20060101ALI20170707BHJP
   B01D 69/12 20060101ALI20170707BHJP
   C23C 16/513 20060101ALI20170707BHJP
   C23C 16/56 20060101ALI20170707BHJP
   H05H 1/24 20060101ALI20170707BHJP
【FI】
   B01D71/70 500
   B01D69/10
   B01D69/12
   C23C16/513
   C23C16/56
   H05H1/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-14990(P2016-14990)
(22)【出願日】2016年1月29日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 発行日:平成27年11月 2日、発行所:日本膜学会、刊行物:膜シンポジウム2015 要旨集 発行日:平成27年12月11日、発行所:(公社)化学工学会 中国四国支部 事務局、刊行物:(公社)化学工学会 中国四国支部・関西支部 合同支部大会、「大学院生発表会」講演要旨集
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成23年度、国立研究開発法人科学技術振興機構、戦略的創造研究事業「多様な水源に対応できるロバストRO/NF膜の開発」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】504136568
【氏名又は名称】国立大学法人広島大学
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100138955
【弁理士】
【氏名又は名称】末次 渉
(74)【代理人】
【識別番号】100109449
【弁理士】
【氏名又は名称】毛受 隆典
(72)【発明者】
【氏名】都留 稔了
(72)【発明者】
【氏名】長澤 寛規
(72)【発明者】
【氏名】金指 正言
【テーマコード(参考)】
2G084
4D006
4K030
【Fターム(参考)】
2G084AA05
2G084CC18
2G084CC34
2G084FF12
2G084GG18
2G084GG24
4D006GA41
4D006MA02
4D006MA09
4D006MA21
4D006MC03
4D006MC65X
4D006NA43
4D006NA62
4D006PA01
4D006PB63
4D006PB64
4D006PB66
4D006PB68
4D006PB70
4K030AA11
4K030AA16
4K030AA18
4K030BA44
4K030CA05
4K030CA16
4K030DA09
4K030EA01
4K030EA04
4K030FA01
4K030JA06
4K030JA10
(57)【要約】
【課題】気体選択性に優れた気体分離フィルタの製造方法を提供する。
【解決手段】気体分離フィルタの製造方法は、多孔質基材の上に大気圧プラズマ化学気相成長法で分離層を形成する気体分離フィルタの製造方法であって、放電ガスとして窒素及びアルゴンの混合ガスを放電部に導入して大気圧プラズマを発生させ、揮発性有機ケイ素化合物を放電部の下方に導入し、大気圧プラズマに混合させて多孔質基材の上に分離層を形成する。そして、放電ガス中の窒素が5.0体積%以下である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多孔質基材の上に大気圧プラズマ化学気相成長法で分離層を形成する気体分離フィルタの製造方法であって、
放電ガスとして窒素及びアルゴンの混合ガスを放電部に導入して大気圧プラズマを発生させ、
揮発性有機ケイ素化合物を放電部の下方に導入して前記大気圧プラズマに混合させ、前記多孔質基材の上に分離層を形成し、
前記放電ガス中の窒素が5.0体積%以下である、
ことを特徴とする気体分離フィルタの製造方法。
【請求項2】
前記混合ガス中の窒素が0.25体積%以下である、
ことを特徴とする請求項1に記載の気体分離フィルタの製造方法。
【請求項3】
前記揮発性有機ケイ素化合物がヘキサメチルジシロキサンである、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の気体分離フィルタの製造方法。
【請求項4】
前記多孔質基材上に前記多孔質基材よりも細孔径が小さい中間層を形成し、
前記中間層上に前記分離層を形成する、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の気体分離フィルタの製造方法。
【請求項5】
前記分離層を形成した後、300℃で熱処理を行う、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の気体分離フィルタの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気体分離フィルタの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
混合ガスから特定のガスを透過させて分離する気体分離フィルタがある。気体分離フィルタとして、例えば、多孔質支持層の上に中間層が形成され、さらにその上に分離層が形成された構造が挙げられる。分離層としてシリカ系分離層が注目されており、種々の手法により形成される。
【0003】
分離層の形成手法として、ゾルゲル法を用いた製膜手法のほか、大気圧プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法による製膜手法がある(非特許文献1)。大気圧プラズマCVD法は、常温、常圧下で製膜できること、真空設備が不要なため、連続処理による大面積製膜が可能なことなどの利点がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】山本裕太、長澤寛規、金指正言、吉岡朋久、都留稔了;大気圧プラズマCVD法によるシリカ膜の作製;日本膜学会第37年会 講演要旨集;日本膜学会;2015年4月21日
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
非特許文献1では、放電ガスの流量等、具体的な膜の製造条件が開示されておらず、また、開示されている膜の気体の透過率、透過率比からみても更に優れた気体選択性を備えた気体分離フィルタを製造できる余地がある。
【0006】
本発明は上記事項に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、気体選択性に優れた気体分離フィルタの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る気体分離フィルタの製造方法は、
多孔質基材の上に大気圧プラズマ化学気相成長法で分離層を形成する気体分離フィルタの製造方法であって、
放電ガスとして窒素及びアルゴンの混合ガスを放電部に導入して大気圧プラズマを発生させ、
揮発性有機ケイ素化合物を放電部の下方に導入して前記大気圧プラズマに混合させ、前記多孔質基材の上に分離層を形成し、
前記放電ガス中の窒素が5.0体積%以下である、
ことを特徴とする。
【0008】
また、前記混合ガス中の窒素が0.25体積%以下であることが好ましい。
【0009】
また、前記揮発性有機ケイ素化合物がヘキサメチルジシロキサンであることが好ましい。
【0010】
また、前記多孔質基材上に前記多孔質支持層よりも細孔径が小さい中間層を形成し、
前記中間層上に前記分離層を形成することが好ましい。
【0011】
また、前記分離層を形成した後、300℃で熱処理を行うことが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明にかかる気体分離フィルタの製造方法では、気体選択性に優れた気体分離フィルタを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1(A)は気体分離フィルタの断面図、図1(B)は、図1(A)の部分拡大図である。
図2】気体分離フィルタの製造に用いる大気圧プラズマCVD装置の概略構成図である。
図3図2の放電部を拡大した構成図である。
図4】気体透過率の測定に用いた装置の概略構成図である。
図5】フィルタ1〜4の気体透過率を示すグラフである。
図6】フィルタ4’の気体透過率を示すグラフである。
図7】熱処理温度と気体透過率及び気体選択性の関係を示すグラフである。
図8】熱処理温度と気体透過率及び気体選択性の関係を示すグラフである。
図9】フィルタ4’の気体透過率の温度依存性を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本実施の形態に係る気体分離フィルタの製造方法は、図1(A)、(B)に示すように、支持層(support layer)となる多孔質基材と、中間層(medium layer)と、分離層(top layer)を備えた気体分離フィルタを製造する方法である。気体分離フィルタは、支持層、中間層、分離層の順に配置されており、分子径の異なる気体が混合する混合気体から、分子径の小さい気体を透過させるとともに、分子径の大きい気体の透過を阻害して分離する機能を有する。
【0015】
本実施の形態に係る気体分離フィルタの製造方法では、まず、支持層となる多孔質基材を準備する。分離層は薄く耐久性、強度が低いので、支持層は、気体分離フィルタに耐久性、強度をもたらす機能を果たす。また、支持層は、気体の透過を阻害しないよう通気性を維持する機能を果たす。これらの機能を果たし得る限り、支持層は、多孔質の無機多孔体、有機多孔体のいずれでもよい。支持層の細孔径及び空隙率は、気体の透過性を損なわないよう大きいことが好ましく、例えば、平均細孔径が0.05μm〜10μm程度、より好ましくは、0.1μm〜5μmである。
【0016】
支持層として、アルミナ(α−Al(α−アルミナ)、γ−Al(γ−アルミナ))、ムライト、ジルコニア、チタニア、或いはこれらの複合物からなるセラミックスなどが挙げられる。
【0017】
支持層の表面を均質化して、中間層を形成することが好ましい。均質化に用いる素材には、支持層と同素材の微粒子を用いるとよく、支持層としてアルミナを用いる場合、これと同素材のアルミナ微粒子を支持層表面に担持させて均質化を行えばよい。支持層上へのアルミナ微粒子の担持は、バインダーにアルミナ微粒子を分散させ、これを支持層表面に塗布、乾燥、焼成することにより行える。バインダーとしては、後述する中間層形成用のゾルなどを用いればよい。
【0018】
均質化された支持層の上に、中間層を形成する。中間層の平均細孔径は、支持層よりも小さく、分離層よりも大きく、例えば、1〜6nmである。中間層の形成は、例えば、支持層の上にシリカゾルを塗布し、焼成することで形成できる。シリカゾルの塗布は、スピンコート法や、ホットコーティング法など、種々の方法により行えばよい。なお、中間層を複数層形成してもよい。例えば、TiOゾルを塗布、焼成してTiO層(平均細孔径4〜6nm)を形成し、その上にSiO−ZrOゾルを塗布、焼成してSiO−ZrO層(平均細孔径1〜2nm)を形成することで、2層の中間層を形成できる。
【0019】
中間層を形成した後、中間層の上に分離層を形成する。分離層は、中間層の細孔径よりも小さい細孔径(例えば、平均細孔径0.2〜0.5nm)を有する多孔体である。分離層は、分子径の異なる気体が混合する混合気体から、分子径の小さい気体を透過させるとともに、分子径の大きい気体の透過を阻害して分離する機能を有する層である。
【0020】
分離層の形成は、大気圧プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法により形成する。例えば、図2図3に示す分離層製膜装置1を用いて、分離層を形成することができる。
【0021】
ガスボンベ10、Arガスボンベ11には、それぞれNガス、Arガスが充填されており、Nガス、Arガスはガス混合装置20を介し、所定の割合に調整された混合ガス(放電ガス)となり、プラズマ発生装置50へと供給される。また、Arガスは、シールガス、キャリヤガスとしても用いられる。シールガスは、Arガスボンベ11から流量計30、ストップバルブ31を介して、所定の流量でプラズマ発生装置50へと供給される。また、キャリヤガスは、Arガスボンベ11から圧力調整バルブ40、圧力計41、流量計42、ストップバルブ43、バブラー44、トラップ45、ストップバルブ46を介して、バブラー44内の分離層の原料である揮発性有機ケイ素化合物をプラズマ発生装置50へと供給する。
【0022】
放電ガスが放電部に導入され、電源51によりプラズマヘッド52が印加されると、放電ガスの分子が電離し、大気圧プラズマが発生する。
【0023】
また、放電部の下方にて、原料供給ヘッド53から揮発性有機ケイ素化合物が導入される。揮発性有機ケイ素化合物の導入は、液体状の揮発性有機ケイ素化合物の入れられたバブラー44にキャリヤガスとしてArガスを通じることで、蒸気或いはミスト状の揮発性有機ケイ素化合物が原料供給ヘッド53から放電部の下方に導入される。
【0024】
これにより、放電部で発生した大気圧プラズマに揮発性有機ケイ素化合物が混合される。そして、揮発性有機ケイ素化合物が分解され、多孔質基材に化学気相蒸着により分離層が形成される。本実施の形態のように円筒状の多孔質基材を用いる場合、多孔質基材を回転(例えば、200rpm)させながら行うと厚みの均質な分離層が得られる。以上のようにして、支持層、中間層、分離層の3層構造である気体分離フィルタが得られる。
【0025】
原料の揮発性有機ケイ素化合物として、大気圧プラズマにより化学気相蒸着可能であればいずれを用いてもよく、例えば、ヘキサメチルジシロキサン、トリメチルエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン等が挙げられる。また、キャリヤガス(Arガス)に対する揮発性有機ケイ素化合物の割合は任意の割合(例えば、Arガスに対して揮発性有機ケイ素化合物を1vol%)とすることができる。
【0026】
放電ガス中におけるNガスの割合は、Arガスに対して5.0vol%以下であることが好ましく、より好ましくは0.25vol%以下である。後述の実施例に示すように、上記Nの割合であれば、混合ガスから特定ガスの分離能が優れた気体分離フィルタを製造することができる。また、放電ガスの流量についても任意の流量(例えば、5.0L/min)とすることができる。
【0027】
更に、分離層を形成した後、熱処理(アニーリング)することが好ましい。たとえば、減圧条件で300℃、1時間程度の熱処理を行う。熱処理により、更に気体透過率が向上した気体分離フィルタが得られる。
【0028】
上記では、円筒状の気体分離フィルタの製造例について説明したが、平板状等の多孔質基材を用いて製造してもよい。また、上記では支持層の上に中間層を形成して分離層を形成する例について説明したが、中間層の形成を行わず、分離層を形成する形態であってもよい。
【実施例】
【0029】
種々の条件で気体分離フィルタを作製し、気体選択性について評価した。
【0030】
基材としてα−アルミナ多孔質管(外径3mm、内径2mm、細孔径150nm)を用いた。この基材表面に、以下のようにして中間層を形成した。TiOゾルを基材表面にスピンコーティング法により塗布して550℃で焼成し、細孔径4〜6nmのTiO層を形成した。更に、SiO−ZrOゾルをTiO層上にホットコーティング法(200℃)により塗布して550℃で焼成し、細孔径1〜2nmのSiO−ZrO層を形成し、2層構造の中間層を形成した。
【0031】
図2に示した装置を用い、中間層を形成した基材上に、大気圧プラズマCVD法により分離層を形成し、気体分離フィルタ(フィルタ1、フィルタ2、フィルタ3、フィルタ4)を作製した。
【0032】
原料の揮発性有機ケイ素化合物として、ヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)を用いた。また、放電ガスとして、Ar、O/Ar(O及びArの混合ガス)、N/Ar(N及びArの混合ガス)を用いた。また、シールガスとして、Arを用いた。
【0033】
表1に、作製した各気体分離フィルタ(フィルタ1〜フィルタ4)の前駆体、放電ガス、シールガスの条件をまとめた。
【0034】
【表1】
【0035】
得られた4種の気体分離フィルタ(フィルタ1〜フィルタ4)を用いて、気体透過特性の評価を行った。気体透過特性の評価は、以下のようにして行った。図4に示す装置を用い、各気体(He、H、CO、N、CH、SF)の気体透過率をドライ条件にて測定した。即ち、図4に示す装置の水に通じるバルブを閉鎖して行った。測定ガスはHe、H、CO、N、CH、SFの6種類(市販の高純度ガス)を用いた。なお、スイープガスとしてNを用いた。なお、測定は50℃で行った。
【0036】
その結果を図5に示す。フィルタ1、フィルタ2に比べ、N及びArの混合ガスを放電ガスに用いたフィルタ3、フィルタ4の気体選択性が良好(CO/N透過比率が良好)であることがわかる。すなわち、CO及びNを含有する混合ガスから、COを選択的に透過させて分離させ得ることがわかる。
【0037】
続いて、最も良好な気体選択性を示したフィルタ4を減圧条件にて1時間、300℃で熱処理し、フィルタ4’を作製した。そして、上記と同様に気体透過特性の評価を行った。
【0038】
その結果を図6に示す。熱処理前(フィルタ4)に比べ、熱処理後(フィルタ4’)では、CO/N透過比率が46、CO/CH透過比率が160と、気体選択性に優れていることがわかる。
【0039】
続いて、熱処理温度による気体透過特性への影響について検証した。上記のフィルタ4について、減圧条件にて、100℃、200℃、300℃、400℃のそれぞれの温度で1時間熱処理を行った。そして、それぞれについて、上記と同様に気体透過特性の評価を行った。その結果を図7に示す。
【0040】
熱処理温度が高くなるにつれ、CO透過率が高くなっている。一方、CO/N透過比率については、300℃までは高くなっているが、400℃では低下する結果となった。
【0041】
また、放電ガスをN/Ar:1.0vol%とした以外、上記フィルタ4の作製手法と同様にして、フィルタ5を作製した。そして、得られたフィルタ5を減圧条件にて100℃、200℃、300℃、400℃、500℃のそれぞれの温度で1時間熱処理した。そして、それぞれについて、上記と同様に気体透過特性の評価を行った。その結果を図8に示す。
【0042】
図8を見ると、CO透過率は300℃までは高くなる一方、300℃を超えると低くなっている。また、CO/CH透過比率及びCO/N透過比率についても、300℃を超えると低下する傾向が見られる。
【0043】
これらのことから、分離層を形成後、気体分離フィルタを300℃で熱処理することが好ましいと言える。
【0044】
また、フィルタ4’について、気体透過率の温度依存性について検証した。He、CO、N、SFについて、透過温度を50℃、100℃、200℃、250℃とし、上記と同様にして気体透過率を測定した。
【0045】
その結果を図9に示す。なお、非特許文献1では、He、N及びSFの透過率の温度依存性が示されているが、フィルタ4’の気体透過率は、これらの透過率と比べて10倍程度良好であることがわかる。非特許文献1ではプラズマ生成条件等が開示されていないが、本実施例の条件と異なっており、本実施例の条件により、非特許文献1よりも良好な透過特性を備えた気体分離フィルタを製造できることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明に係る分離フィルタの製造方法では、上述したように、気体選択性に優れた気体分離フィルタを製造することができる。
【符号の説明】
【0047】
1 分離層製膜装置
10 Nガスボンベ
11 Arガスボンベ
20 ガス混合装置
30 流量計
31 ストップバルブ
40 圧力調整バルブ
41 圧力計
42 流量計
43 ストップバルブ
44 バブラー
45 トラップ
46 ストップバルブ
50 プラズマ発生装置
51 電源
52 プラズマヘッド
53 原料供給ヘッド
54 カバー
B 多孔質基材
F 気体分離フィルタ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9