(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-143802(P2017-143802A)
(43)【公開日】2017年8月24日
(54)【発明の名称】ラクトバチルス属乳酸菌の培養方法
(51)【国際特許分類】
C12N 1/20 20060101AFI20170728BHJP
C12N 1/00 20060101ALI20170728BHJP
A23L 33/135 20160101ALN20170728BHJP
【FI】
C12N1/20 A
C12N1/00 F
A23L33/135
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-29147(P2016-29147)
(22)【出願日】2016年2月18日
(71)【出願人】
【識別番号】591210622
【氏名又は名称】ヤヱガキ醗酵技研株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】504136568
【氏名又は名称】国立大学法人広島大学
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】特許業務法人 安富国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】二川 浩樹
(72)【発明者】
【氏名】石原 伸治
(72)【発明者】
【氏名】タパン クマル マズムダル
【テーマコード(参考)】
4B018
4B065
【Fターム(参考)】
4B018MD86
4B065AA30X
4B065AC20
4B065BB15
4B065BB26
4B065BB27
4B065CA41
(57)【要約】
【課題】ラクトバチルス・ラムノーサス(Lactobacillus rhamnosus)、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、または、ラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)の新たな培養方法を提供する。
【解決手段】本発明は、ラクトバチルス・ラムノーサス(Lactobacillus rhamnosus)、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、または、ラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)を、穀物を含有する培地で培養する工程を有するラクトバチルス属乳酸菌の培養方法に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラクトバチルス・ラムノーサス(Lactobacillus rhamnosus)、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、または、ラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)を、穀物を含有する培地で培養する工程を有するラクトバチルス属乳酸菌の培養方法。
【請求項2】
穀物が、大豆または米である請求項1記載のラクトバチルス属乳酸菌の培養方法。
【請求項3】
培地が、さらに糖類を含む請求項1または2に記載のラクトバチルス属乳酸菌の培養方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラクトバチルス属乳酸菌の培養方法に関し、特に、ラクトバチルス・ラムノーサス(Lactobacillus rhamnosus)、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、または、ラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)の培養方法に関する。
【背景技術】
【0002】
乳酸菌として、ラクトバチルス・ラムノーサス(Lactobacillus rhamnosus)KO3株(NITE BP−771)、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)YU3株(NITE BP−772)、ラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)YU4株(NITE BP−775)が知られている(特許文献1)。これらの乳酸菌は、う蝕菌、歯周病菌、カンジダ菌などの口内細菌に対して非常に高い抗菌力を有している。これらの乳酸菌は、果汁培地、野菜汁培地、牛乳培地、脱脂粉乳培地又は乳成分を含む培地で培養しても良いと記載されているが、実際には合成培地で培養されていた。
【0003】
しかしながら、培養物を食品等に使用することを考慮すると、人工培地ではなく、天然成分からなる培地で培養することが求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2011/007584号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、ラクトバチルス・ラムノーサス(Lactobacillus rhamnosus)、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、または、ラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)の新たな培養方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、ラクトバチルス・ラムノーサス(Lactobacillus rhamnosus)、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、または、ラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)の天然成分からなる培地について、検討を進めたところ、天然培地の中でも穀物を用いて培養すると、得られた培養物は非常に高い抗菌活性を有するという新たな知見を見出し、本発明を完成した。
【0007】
すなわち、本発明は、ラクトバチルス・ラムノーサス(Lactobacillus rhamnosus)、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、または、ラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)を、穀物を含有する培地で培養する工程を有するラクトバチルス属乳酸菌の培養方法に関する。
【0008】
穀物が、大豆または米であることが好ましい。
【0009】
培地が、さらに糖類を含むことが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明の培養方法では、ラクトバチルス属の乳酸菌を、穀物を含有する培地で培養するため、培養物は非常に高い殺菌効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】ラクトバチルス・ラムノーサス(Lactobacillus rhamnosus)KO3株(NITE BP−771)を乳培地またはMRS培地で培養した培養物の培地とATP量を表す。Aは12%脱脂粉乳+0.5%酵母エキス培地での培養、BはMRS培地での培養の結果である。
【
図2】ラクトバチルス・ラムノーサス(Lactobacillus rhamnosus)KO3株(NITE BP−771)を穀物培地で培養した培養物の培地とATP量を表す。Cは大豆ペプチド10%+グルコース2%での培養、Dは大豆ペプチド10%+アラビノース2%での培養、Eは米ペプチド10%+グルコース2%での培養の結果である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明のラクトバチルス属乳酸菌の培養方法は、ラクトバチルス・ラムノーサス(Lactobacillus rhamnosus)、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、または、ラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)を、穀物を含有する培地で培養する工程を有することを特徴とする。
【0013】
ラクトバチルス・ラムノーサス(Lactobacillus rhamnosus)属の中でも、KO3株(NITE BP−771)は、国際公開第2011/007584号に記載されているように、ヒト唾液中から分離された乳酸菌の一種であって、国際寄託されているものである。16S rRNAの塩基配列がラクトバチルス・ラムノーサス(Lactobacillus rhamnosus)strain IDCC3201の塩基配列と1485/1485の間で100%の相同性を示し、グラム染色後の顕鏡下においてグラム陽性桿菌の様相を呈することから、ラクトバチルス・ラムノーサス(Lactobacillus rhamnosus)と同定さている。KO3株の主な菌学的性質を以下に示す。
1)グラム陽性乳酸桿菌
2)ホモ型乳酸発酵
3)カタラーゼ陰性
4)芽胞形成能無し
5)好気条件下でも培養可
6)菌体外多糖類を産生
【0014】
ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)属の中でも、YU3株は、国際公開第2011/007584号に記載されているように、ヒト唾液中から分離されたものであり、16S rRNAの塩基配列がラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)ATCC 334の塩基配列と1485/1485の間で100%の相同性を示し、グラム染色後の顕鏡下においてクラム陽性桿菌の様相を呈することから、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)と同定されている。YU3株の主な菌学的性質を以下に示す。
1)グラム陽性乳酸球菌
2)ホモ型乳酸発酵
3)カタラーゼ陰性
4)芽胞形成能 無し
5)好気条件下でも培養可
6)菌体外多糖類を産生
【0015】
ラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)の中でも、YU4株は、国際公開第2011/007584号に記載されているように、ヒト唾液中から分離されたものであり、16S rRNAの塩基配列がラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)strain DJ1 16S ribosomal RNA geneのPartial Sequenceと1477/1477(100%)の相同性を示し、グラム染色後の顕鏡下においてグラム陽性桿菌の様相を呈することから、ラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)と同定されている。YU4株の主な菌学的性質を以下に示す。
1)グラム陽性乳酸球菌
2)ホモ型乳酸発酵
3)カタラーゼ陰性
4)芽胞形成能 無し
5)好気条件下でも培養可
6)菌体外多糖類を産生
【0016】
培養の方法は、培地として穀物を含有する培地を使用する限り、特に限定されず、当業者に周知の乳酸菌の培養方法をそのまま適用することができる。穀物培地としては、例えば米、豆類、麦類、トウモロコシなどが挙げられる。穀物そのものだけでなく、米等の加工品を使用することもできる。豆類としては、大豆、小豆、エンドウ豆、ソラ豆などが挙げられ、麦類としては、小麦、大麦、ライ麦などが挙げられる。穀物を含む培地では、合成培地、たとえば乳培地と異なり、透明な培養物が得られる。培地中の穀物の含有量は0.1〜10重量%が好ましく、2〜10重量%がより好ましい。
【0017】
培養方法としては、培地が穀物を有していれば、特に限定されず、静置培養、pHを一定にした中和培養や、回分培養、連続培養などが挙げられる。
【0018】
培地は穀物を有していれば、果汁培地、野菜汁培地、牛乳培地、脱脂粉乳培地又は乳成分を配合しても良い。このような培地としては、脱脂乳を還元して加熱殺菌した還元脱脂乳培地、酵母エキスを添加した脱脂粉乳培地、MRS培地、GAM培地等を例示することができる。培養方法は、静置培養又はpHを一定にした中和培養や、回分培養及び連続培養等、菌体が良好に生育する条件であれば、特に制限はない。必要に応じて発酵促進物質、例えば糖類、澱粉、デキストリン、などの炭素源、酵母エキス、ペプトンなどの窒素源、ビタミン類、ミネラル類などを加えることができる。糖類としては、グルコース、アラビノース、ショ糖、乳糖、ソルビトール、フラクトースなどが挙げられる。なかでもグルコース、アラビノースなどを含有することが好ましい。糖類を使用する場合、使用量は培地中に0.1〜10重量%が好ましく、0.2〜5重量%がより好ましい。
【0019】
培養温度は特に限定されないが、20〜42℃が好ましく、25〜37℃がより好ましい。42℃を超えると、培養できなくなる傾向があり、20℃未満では、培養時間が長くなる傾向がある。
【0020】
培養時間も特に限定されないが、24〜500時間が好ましく、24〜240時間がより好ましく、72〜240時間がさらに好ましい。ヨーグルトなどの培養時間と比較して、長い時間の培養が必要である。
【0021】
培養時の雰囲気も限定されないが、好気条件下であることが好ましい。
【0022】
本発明の培養方法によって得られた培養物は、そのまま使用することも、菌体または菌体培養物を、溶媒抽出することにより得られる各種溶剤抽出液、その希釈液、その濃縮液又はその乾燥末として使用することもできる。
【0023】
抽出物を得るために用いられる抽出溶剤としては、極性溶剤、非極性溶剤のいずれをも使用することができ、これらを混合して用いることもできる。例えば、水;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類;プロピレングリコール、ブチレングリコール等の多価アルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル等の鎖状及び環状エーテル類;ポリエチレングリコール等のポリエーテル類;ヘキサン、シクロヘキサン、石油エーテル等の炭化水素類;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素類;ピリジン類等が挙げられ、このうち、酢酸エチル等のエステル類、エタノール等のアルコール類が好ましい。
【0024】
抽出条件は、使用する溶剤によっても異なるが、例えば、培養液1質量部に対して1〜10質量部の溶剤を用い、0〜50℃、好ましくは25〜37℃の温度で、0.5時間〜3時間抽出するのが好ましい。
【0025】
抽出物をそのまま用いることもできるが、当該抽出物を希釈、濃縮若しくは凍結乾燥した後、必要に応じて粉末又はペースト状に調製して用いることもできる。また、液々分配等の技術により、適宜精製して用いることもできる。
【0026】
培養物は、様々な用途に使用することができる。たとえば、口腔内疾患、デオドラントなどの化粧品などの用途が挙げられる。
【0027】
口腔内疾患とは、口腔内疾患の予防、改善又は治療剤におけるものであって、う蝕菌、歯周病菌及びカンジダ菌によって引き起こされる口腔内疾患をいい、例えば、う蝕症;歯肉炎、歯周炎等の歯周病、舌炎、鵞口瘡、口角炎等の口腔カンジダ症等が挙げられる。また、う蝕菌としては、ストレプトコッカス・ミュータンス(Streptococcus mutans)、ストレプトコッカス・ソブリナス(Streptococcus sobrinus)、歯周病菌としてはポルフィロモナス・ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)、プレボテラ・インターメディア(Prevotella intermedia)、トレポネーマ・デンティコーラ(Treponema denticola)、タンネレラ・フォーサイセンシス(Tannerella forsythensis)、アクチノバチルス・アクチノミセテムコミタンス(Actinobacillus actinomycetemcomitans)、フソバクテリウム・ヌクレアタム(Fusobacterium nucleatum)等が挙げられ、カンジダ菌としては、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、カンジダ・グラブラータ(Candida glabrata)、カンジダ・トロピカリス(Candida tropicalis)等が挙げられる。
【0028】
本発明の培養方法によって得られた乳酸菌は、う蝕菌であるストレプトコッカス・ミュータンス(Streptococcus mutans)及びストレプトコッカス・ソブリナス(Streptococcus sobrinus)、歯周病菌であるポルフィロモナス・ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)及びカンジダ菌であるカンジダ・アルビカンス(Candida albicans)の何れに対しても増殖抑制効果を有する。また、口腔内の歯肉縁下プラークフォーマーとして知られるFusobacterium. nucleatum等のFusobacterium属細菌の増殖を抑制する作用を有する。
【0029】
したがって、当該乳酸菌の菌体若しくは菌体培養物又はこれらの抽出物は、口腔内疾患の予防、改善又は治療剤として、或いはう蝕菌、歯周病菌及びカンジダ菌の増殖抑制剤となり得る。斯かる口腔内疾患の予防、改善又は治療剤、う蝕菌、歯周病菌及びカンジダ菌の増殖抑制剤は、それ自体で、当該口腔内の病原微生物により引き起こされる、う蝕症、歯周病、口腔カンジダ症等の口腔内疾患の予防、改善又は治療のための、或いはう蝕菌、歯周病菌及びカンジダ菌の増殖抑制のための食品、医薬品、口腔用組成物等として使用でき、或いは食品、医薬品、口腔用組成物に配合するための素材として使用可能である。また、食品は、虫歯、歯周病、その他の口腔内感染症の予防・改善等をコンセプトとし、必要に応じてその旨を表示した健康食品、サプリメント若しくは特定保健用食品等の機能性食品とすることも可能である。
【0030】
医薬品として用いる場合の形態としては経口投与の形態が好ましく、その剤型は、例えば、液剤;錠剤、顆粒剤、細粒剤、粉剤、タブレット等の固形剤;或いは当該液剤又は固形剤を封入したカプセル剤、口腔用スプレー、トローチ等の様々な形態が挙げられる。このような種々の剤型の医薬製剤やサプリメントを調製するには、本発明の菌体や培養物の作用を妨げない範囲で、他の薬学的に許容される賦形剤、結合剤、増量剤、崩壊剤、界面活性剤、滑沢剤、分散剤、緩衝剤、保存剤、嬌味剤、香料、被膜剤、担体、希釈剤等を適宜組み合わせて用いることができる。斯かる経口投与用製剤として用いる場合の該製剤中の本発明の乳酸菌の菌体若しくは菌体培養物又はこれらの抽出物の含有量は、全組成中の1質量%〜50質量%、好ましくは10質量%〜20質量%である。
【0031】
食品として用いる場合の形態としては、果汁又は野菜汁飲料、炭酸飲料、茶系飲料、乳飲料、発酵乳、発酵果汁、発酵野菜汁、アルコール飲料、清涼飲料等の飲料や、ゼリー状食品や各種スナック類、焼き菓子、ケーキ類、チョコレート、ジャム、パン、ガム、飴、スープ類、漬物、佃煮等の各種食品の他、上述した経口投与製剤と同様の形態(錠剤、カプセル剤、シロップ等)のサプリメント等が挙げられる。
【0032】
本発明の培養方法によって得られた培養物は、そのままヨーグルト、チーズ、味噌、醤油、漬物等の発酵食品となり、斯かる発酵乳やチーズを素材として使用し、虫歯や歯周病予防、改善用のパンやスナック菓子、ケーキ等にすることもできる。
【0033】
本発明の培養方法によって得られた乳酸菌の接種量は、一般には発酵用原料物質含有液1mL中に菌体が約1×10
6cells以上、好ましくは1×10
7cells前後含まれるものとなる量から選ばれるのが適当である。培養条件は、一般に、発酵温度20〜42℃程度、好ましくは25〜37℃程度、発酵時間5〜72時間程度から選ばれる。斯くして得られる乳酸発酵物は、カード状形態(ヨーグルト様形態)を有しており、このものはそのまま固形食品となり得る。該カード状形態の乳酸発酵物は、これを更に均質化することにより、所望の飲料形態とすることができる。
【0034】
本発明の培養方法によって得られた乳酸菌を、口腔内疾患の予防、改善又は治療剤等を口腔用組成物として用いる場合の具体的な形態としては、洗口剤、マウスウオッシュ、練歯磨、粉歯磨、水歯磨、口腔用軟膏剤、ゲル剤、錠剤、顆粒剤、細粒剤、グミゼリー、トローチ、タブレット、カプセル、キャンディー、チューインガム等が挙げられ、好ましくは、練歯磨、洗口剤、グミゼリー、トローチが挙げられる。
【0035】
上記医薬品や食品への本発明の培養方法によって得られた乳酸菌の含有量は、特に限定されないが、一日投与量等に合わせて適宜調節すれば良いが、例えば剤型が液体の場合には、乳酸菌体濃度を1×10
6cells/ml〜1×10
8cells/mlとすることが好ましく、固体の場合には、1×10
7cells/g〜1×10
10cells/gとすることが好ましい。
【0036】
本発明の培養方法によって得られた乳酸菌を生菌として投与する場合は、成人一人当たり、1×10
8〜5×10
10cfu/日投与することが好ましい。
【実施例】
【0037】
以下、実施例に基づき本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0038】
実施例1
米タンパク「製品名プロファイン、ヤヱガキ醗酵技研(株)製」を2〜10%含み、必要に応じて炭素源としてグルコースまたはアラビノースを0.2〜5%付加したもの(残部は水)を加熱殺菌した培地にラクトバチルス・ラムノーサス(Lactobacillus rhamnosus)KO3株(NITE BP−771)を接種し、30〜45℃で24〜240時間培養後、デキストリン等の賦形剤を液中に加え乾燥、粉砕したものを乳酸菌発酵粉末として得た。
【0039】
実施例2〜3
大豆タンパク「製品名ハイニュート、不二製油(株)製」を2〜10%含み、必要に応じて炭素源としてグルコースまたはアラビノースを0.2〜5%付加したもの(残部は水)を加熱殺菌した培地にラクトバチルス・ラムノーサス(Lactobacillus rhamnosus)KO3株(NITE BP−771)を接種し、30〜45℃で24〜240時間培養後、デキストリン等の賦形剤を液中に加え乾燥、粉砕したものを乳酸菌発酵粉末として得た。
【0040】
比較例1〜2
培地として、10%脱脂粉乳、0.5%酵母エキスを加熱殺菌した培地、または、MRS培地にラクトバチルス・ラムノーサス(Lactobacillus rhamnosus)KO3株(NITE BP−771)を接種し、30〜45℃で24〜240時間培養後、デキストリン等の賦形剤を液中に加え乾燥、粉砕したものを乳酸菌発酵粉末として得た。
【0041】
<抗菌活性の評価方法>
抗菌活性の指標として、ATP量を用い、以下の方法で評価した。各粉末の25%溶液100μlに対し,900μlのATP抽出試薬を入れ,室温で30分静置してATPを抽出した。各試料のATP量をATPアナライザー(TOA Electronics Ltd,Tokyo,Japan)を用いて計測した。なお,各条件につき同様の試料を各々8つずつ作製し,平均値±SDを算出した。
【0042】
図1に、比較例1および2で得た培養物のATP量をプロットしたが、MRS培地での培養物であっても、コントロールの値1100000に対して約1/10程度であった。
図2に、実施例1〜3で得た培養物のATP量をプロットしたが、いずれもATP量が検出できないほど低減した。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明の培養方法は、ラクトバチルス・ラムノーサス(Lactobacillus rhamnosus)、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、または、ラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)の培養に適しており、得られた培養物は抗菌活性が高く、天然由来の培地を使用して培養しているため、得られた培養物は飲食物を含む様々な用途に適用することができる。