特開2017-159495(P2017-159495A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-159495(P2017-159495A)
(43)【公開日】2017年9月14日
(54)【発明の名称】硬化体の形成方法
(51)【国際特許分類】
   B28B 7/00 20060101AFI20170818BHJP
   B28B 23/00 20060101ALI20170818BHJP
   B29C 33/12 20060101ALI20170818BHJP
【FI】
   B28B7/00 D
   B28B23/00
   B29C33/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-44355(P2016-44355)
(22)【出願日】2016年3月8日
(71)【出願人】
【識別番号】000183266
【氏名又は名称】住友大阪セメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074332
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100114432
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 寛昭
(74)【代理人】
【識別番号】100171310
【弁理士】
【氏名又は名称】日東 伸二
(72)【発明者】
【氏名】上原 伸郎
【テーマコード(参考)】
4F202
4G053
4G058
【Fターム(参考)】
4F202AC05
4F202AD08
4F202CA30
4F202CB01
4F202CQ01
4F202CQ06
4G053BD01
4G053BD19
4G058GA01
4G058GE11
(57)【要約】
【課題】記録媒体等の取付部材が視認可能な状態で取り付けられた硬化体を形成することができる硬化体の形成方法を提供することを課題とする。
【解決手段】流動性材料が充填される充填空間を形成する内壁面を備える型枠を用い、該充填空間に流動性材料を充填して流動性材料を硬化させることで硬化体を形成する硬化体の形成方法であって、前記硬化体に取り付ける取付部材の少なくとも一部が前記充填空間に露出するように前記内壁面に取付部材を着脱可能に保持させる保持工程を備えることを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流動性材料が充填される充填空間を形成する内壁面を備える型枠を用い、該充填空間に流動性材料を充填して流動性材料を硬化させることで硬化体を形成する硬化体の形成方法であって、
前記硬化体に取り付ける取付部材の少なくとも一部が前記充填空間に露出するように前記内壁面に取付部材を着脱可能に保持させる保持工程を備えることを特徴とする硬化体の形成方法。
【請求項2】
前記保持工程では、取付部材が内壁面に磁力によって保持されることを特徴とする請求項1に記載の硬化体の形成方法。
【請求項3】
前記型枠は、内壁面を備える型壁部を有しており、
前記保持工程では、磁性体と充填空間との間に型壁部が位置するように充填空間の外側に磁性体を配置し、型壁部を介した磁性体の磁力によって内壁面に取付部材が保持されることを特徴とする請求項2に記載の硬化体の形成方法。
【請求項4】
前記取付部材は、少なくとも一部が磁性を有するように構成されており、
保持工程では、取付部材の磁力によって取付部材が内壁面に保持されることを特徴とする請求項2又は3に記載の硬化体の形成方法。
【請求項5】
前記取付部材は、保持工程で内壁面に保持される本体部と、該本体部から突出する突出部とを備え、保持工程では、該突出部が充填空間内に位置するように取付部材が内壁面に着脱可能に保持されることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の硬化体の形成方法。
【請求項6】
前記突出部は、本体部から分離可能に構成されることを特徴とする請求項5に記載の硬化体の形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流動性材料を型枠に充填して硬化させることで硬化体を形成する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、硬化前のコンクリートや加熱された熱可塑性樹脂等の流動性を有する材料を型枠に充填して硬化させることで硬化体を形成する方法が知られている。斯かる硬化体には、製造年月日やロット番号等の製品情報が付与される場合がある。製品情報を硬化体に付与する方法としては、硬化体の表面に製品情報を印刷したり押印したりする方法が考えられる。しかしながら、このような方法では、硬化体の製造後に印刷や押印を行う工程が必要となるため、硬化体の出荷を効率的に行うことができない。
【0003】
そこで、製品情報を記録したICチップ等の記憶媒体(取付部材)を硬化体の形成に伴って硬化体に取り付ける方法が提案されている。例えば、硬化体内に記憶媒体を埋設することで取り付ける方法が提案されている。斯かる方法では、流動性材料内に記憶媒体を投入することで、記録媒体が埋設された硬化体が形成される(特許文献1〜3参照)。斯かる硬化体は、製品情報を読み取る機器を使用して記録媒体から製品情報を読み取ることができるため、硬化体の製造後に印刷等を行う工程が必要ではない。このため、硬化体の出荷を効率的に行うことが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−330729号公報
【特許文献2】特開2006−183257号公報
【特許文献3】特開2008−63900号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のように記録媒体が硬化体に埋設されると、硬化体の表面から記憶媒体を視認することができないため、記憶媒体から製品情報を読み取る際に記憶媒体の位置を特定することが困難となり、製品情報を読み取る作業が煩雑なものとなる。また、記憶媒体が埋設される深さによっては、製品情報を読み取る機器が記憶媒体から製品情報を読み取ることが困難となる場合がある。
【0006】
そこで、本発明は、記録媒体等の取付部材が視認可能な状態で取り付けられた硬化体を形成することができる硬化体の形成方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る硬化体の形成方法は、流動性材料が充填される充填空間を形成する内壁面を備える型枠を用い、該充填空間に流動性材料を充填して流動性材料を硬化させることで硬化体を形成する硬化体の形成方法であって、前記硬化体に取り付ける取付部材の少なくとも一部が前記充填空間に露出するように前記内壁面に取付部材を着脱可能に保持させる保持工程を備えることを特徴とする。
【0008】
斯かる構成によれば、保持工程では、取付部材が内壁面に保持されるため、その後、充填空間に流動性材料を充填する工程(以下、充填工程とも記す)を行った際にも、流動性材料の流れによって、取付部材が充填空間内で意図しない位置へ移動してしまうのを防止することができる。また、保持工程では、取付部材の少なくとも一部が前記充填空間に露出した状態となるように前記内壁面に取付部材が着脱可能に保持されるため、取付部材における充填空間に露出した部分と硬化体との結合によって硬化体に取付部材が取り付けられた状態となる。これにより、型枠から硬化体を離型する工程(以下、離型工程とも記す)を行うことで、取付部材を硬化体と共に内壁面から離脱させることができる。
【0009】
加えて、取付部材が内壁面に保持されるため、硬化体が形成された際には、取付部材における内壁面と接する部分が硬化体の表面に露出することになる。これにより、硬化体が形成された後においても取付部材を目視にて容易に確認することができるため、例えば、取付部材に製品情報等が記録されている場合には、記録された情報を目視や機器等によって迅速に読み取ることができる。
【0010】
前記保持工程では、取付部材が内壁面に磁力によって保持されることが好ましい。
【0011】
斯かる構成によれば、前記保持工程では、磁力によって取付部材が内壁面に保持されるため、粘着剤や粘着テープ等を用いて取付部材を内壁面に貼り付けて保持する必要がない。このため、保持工程を容易に行うことができる。
【0012】
前記型枠は、内壁面を備える型壁部を有しており、前記保持工程では、磁性体と充填空間との間に型壁部が位置するように充填空間の外側に磁性体を配置し、型壁部を介した磁性体の磁力によって内壁面に取付部材が保持されることが好ましい。
【0013】
斯かる構成によれば、前記保持工程では、磁性体と充填空間との間に型壁部が位置するように充填空間の外側に磁性体を配置し、型壁部を介した磁性体の磁力によって内壁面に取付部材が保持されるため、磁性体の位置を変更することで、内壁面の任意の場所に取付部材を容易に保持することができると共に、保持する位置の変更も容易に行うことができる。また、既存の型枠においても内壁面に取付部材を保持させることが可能となるため、既存の型枠を改良することなく取付部材が取り付けられた硬化体を形成することができる。また、磁性体を取り除くことで、内壁面から取付部材を容易に離脱させることができる。
【0014】
前記取付部材は、少なくとも一部が磁性を有するように構成されており、保持工程では、取付部材の磁力によって取付部材が内壁面に保持されることが好ましい。
【0015】
斯かる構成によれば、前記取付部材は、少なくとも一部が磁性を有するように構成されており、保持工程では、取付部材の磁力によって取付部材が内壁面に保持されるため、粘着剤や粘着テープ等を用いて取付部材を内壁面に貼り付けて保持する必要がない。このため、保持工程を容易に行うことができる。
【0016】
前記取付部材は、保持工程で内壁面に保持される本体部と、該本体部から突出する突出部とを備え、保持工程では、該突出部が充填空間内に位置するように取付部材が内壁面に着脱可能に保持されることが好ましい。
【0017】
斯かる構成によれば、前記取付部材は、保持工程で内壁面に保持される本体部と、該本体部から突出する突出部とを備え、保持工程では、該突出部が充填空間内に位置するように取付部材が内壁面に着脱可能に保持されるため、突出部は、硬化体内に埋め込まれた状態になる。これにより、取付部材は、突出部によって(具体的には、突出部のアンカー効果によって)硬化体に確実に取り付けられた状態となるため、取付部材が硬化体から意図せずに分離してしまうのを防止することができる。
【0018】
前記突出部は、本体部から分離可能に構成されることが好ましい。
【0019】
斯かる構成によれば、前記突出部は、本体部から分離可能に構成されることで、硬化体内に突出部が埋め込まれた状態であっても、硬化体の表面に露出した本体部を突出部から分離することができる。これにより、硬化体から本体部を容易に取り除くことができる。
【発明の効果】
【0020】
以上のように、本発明によれば、記録媒体等の取付部材が視認可能な状態で取り付けられた硬化体を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明に係る硬化体の形成方法の一実施形態における取付部材を示した斜視図。
図2】(a)は、同実施形態における型枠の内壁面に取付部材が保持された状態を示す断面図、(b)は、同実施形態における型枠内に流動性材料が充填された状態を示す断面図。
図3】(a)は、同実施形態における型枠内で流動性材料が硬化した状態を示す断面図、(b)は、同実施形態における型枠から硬化体を離型させた状態を示す断面図。
図4】(a)は、他の実施形態に係る硬化体の形成方法における型枠の一部を示した断面図、(b)は、更に他の実施形態に係る硬化体の形成方法における取付部材の突出部近傍を示した断面図、(c)は、更に他の実施形態に係る硬化体の形成方法における型枠内で硬化体に取付部材が取り付けられた状態を示した断面図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について、図1〜3を参照しつつ説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照符号を付しその説明は繰り返さない。
【0023】
本発明に係る硬化体の形成方法は、流動性を有する材料(流動性材料)を型枠内に充填して硬化させることで硬化体を形成するものである。流動性材料としては、特に限定されるものではなく、例えば、水硬性材料と水とを混合した混合物(具体的には、硬化する前のコンクリート、モルタル、又は、石膏等)や、加熱されて流動性を有するようになった熱可塑性樹脂等が挙げられる。
【0024】
また、本発明に係る硬化体の形成方法では、取付部材が取り付けられた硬化体が形成される。取付部材としては、特に限定されるものではなく、例えば、製造年月日やロット番号等の製品情報が付与されたもの(具体的には、QRコード(登録商標)やバーコードなどの光学式の識別子等が付与されたもの)等が挙げられる。取付部材1の形状としては、特に限定されるものではなく、例えば、図1に示すようなシート状のものが挙げられる。
【0025】
斯かる取付部材1は、本体部1aと、該本体部1aから突出する(具体的には、本体部1aに対して交差する方向に突出する)突出部1bとを備える。具体的には、取付部材1は、シート状の本体部1aの一方の面(以下では、内側面とも記す)側に向かって本体部1aから突出する突出部1bを備える。取付部材1は、一枚のシート材が折り曲げられることで、本体部1aと突出部1bとが形成される。具体的には、四角形状のシート材の四つ角部分がシート材の一方の面(即ち、本体部1aの内面)側へ折り曲げられることで、4つの三角形状の突出部1bが形成されると共に4つの突出部1bの内側の領域に一つの本体部1aが形成される。
【0026】
また、取付部材1は、本体部1aと突出部1bとが分離可能に構成される。具体的には、取付部材1は、本体部1aと突出部1bとの間に切断補助線(例えば、ミシン目やハーフカット等)を備えており、該切断補助線の位置で切断可能に構成される。これにより、取付部材1は、本体部1aと突出部1bとが分離可能になっている。
【0027】
三角形状の突出部1bの一辺の長さとしては、本体部1aに製品情報等を表示可能な領域が確保できるのであれば、特に限定されるものではなく、例えば、10mm以上であることが好ましい。また、本体部1aに対する突出部1bの角度としては、特に限定されるものではなく、例えば、90°であってもよいが、45°以上90°未満であることが好ましく、又は,90°を超え135°以下であることが好ましい。
【0028】
取付部材1を形成するシート材としては、特に限定されるものではないが、本実施形態では、磁性体に引き寄せられる性質を有するものが用いられる。例えば、鉄成分を含有するシート材を用いることができる。具体的には、スーパー耐熱ラベル・タグ(サトー社製)等をシート材として用いることができる。なお、シート状の本体部1aの他方の面(突出部1bが突出しない側の面)(以下では、外側面とも記す)には、製品情報等がQRコード等を用いて表示される。
【0029】
次に、上記のような取付部材1が取り付けられた硬化体の形成方法について説明する。本実施形態では、図2(a)に示すように、流動性材料を充填する充填空間Rを形成する型枠2が用いられる。該型枠2は、雄型2aと雌型2bとから構成され、雄型2aと雌型2bとが合わさることで、充填空間Rが形成される。また、該型枠2(具体的には、雄型2a及び雌型2b)は、充填空間Rを形成する内壁面2cを有する型壁部2dを備える。
【0030】
そして、硬化体を形成する際には、まず初めに、取付部材1の少なくとも一部が充填空間Rに露出するように取付部材1を内壁面2cに対して着脱可能に保持させる(保持工程)。本実施形態では、取付部材1における本体部1aの外側面(突出部1bが突出していない側の面)が内壁面2cに接するように取付部材1を内壁面2cに対して着脱可能に保持させる。これにより、本体部1aの内側面(突出部1bが突出する側の面)側及び突出部1bが充填空間Rに露出する。
【0031】
取付部材1を内壁面2cに着脱可能に保持させる方法としては、特に限定されるものではないが、本実施形態では、磁力によって取付部材1が内壁面2cに保持される。具体的には、型枠2の外側に磁性体(具体的には、磁石)3を配置し、型壁部2dを介して該磁石3の磁力によって内壁面2cに取付部材1が保持される。これにより、磁石3を取り除くことで、内壁面2cから取付部材1が離脱可能となる。
【0032】
次に、図2(b)に示すように、充填空間Rに流動性材料L(例えば、硬化前のコンクリート等)を充填する(充填工程)。これにより、取付部材1は、本体部1aの外側面以外の部分と突出部1bとが流動性材料L内に埋め込まれた状態となる。そして、斯かる状態で、所定時間放置して流動性材料Lを硬化させる。これにより、図3(a)に示すように、取付部材1の本体部1aの外側面が表面に位置し、且つ、突出部1bが埋め込まれた硬化体Hが形成される。
【0033】
斯かる硬化体Hを型枠2から離型する際には(離型工程)、磁石3を型枠2から取り除く。これにより、取付部材1が内壁面2cに保持された状態が解消され、内壁面2cから取付部材1が離脱可能になる。そして、図3(b)に示すように、雄型2aと雌型2bとを離間させることで、取付部材1が取り付けられた状態で硬化体Hが型枠2内から取り出される。斯かる硬化体Hは、取付部材1の本体部1aの外側面が表面に位置するため、外側面に表示されたQRコード等を読み取ることが可能となる。
【0034】
以上のように、本発明に係る硬化体の形成方法によれば、記録媒体等の取付部材が視認可能な状態で取り付けた硬化体を形成することができる。
【0035】
即ち、保持工程では、取付部材1が内壁面2cに保持されるため、その後、充填空間Rに流動性材料Lを充填する工程(以下、充填工程とも記す)を行った際にも、流動性材料Lの流れによって、取付部材1が充填空間R内で意図しない位置へ移動してしまうのを防止することができる。また、保持工程では、取付部材1の少なくとも一部が前記充填空間Rに露出した状態となるように前記内壁面2cに取付部材1が着脱可能に保持されるため、取付部材1における充填空間Rに露出した部分と硬化体Hとの結合によって硬化体Hに取付部材1が取り付けられた状態となる。これにより、型枠2から硬化体Hを離型する工程(以下、離型工程とも記す)を行うことで、取付部材1を硬化体Hと共に内壁面2cから離脱させることができる。
【0036】
加えて、取付部材1が内壁面2cに保持されるため、硬化体Hが形成された際には、取付部材1における内壁面2cと接する部分が硬化体Hの表面に露出することになる。これにより、硬化体Hが形成された後においても取付部材1を目視にて容易に確認することができるため、例えば、取付部材1に製品情報等が記録されている場合には、記録された情報を目視や機器等によって迅速に読み取ることができる。
【0037】
また、前記保持工程では、磁力によって取付部材1が内壁面2cに保持されるため、粘着剤や粘着テープ等を用いて取付部材1を内壁面2cに貼り付けて保持する必要がない。このため、保持工程を容易に行うことができる。
【0038】
また、前記保持工程では、磁性体3と充填空間Rとの間に型壁部2dが位置するように磁性体3を配置し、型壁部2dを介した磁性体3の磁力によって内壁面2cに取付部材1が保持されるため、磁性体3の位置を変更することで、内壁面2cの任意の場所に取付部材1を容易に保持することができると共に、保持する位置の変更も容易に行うことができる。また、既存の型枠2においても内壁面2cに取付部材1を保持させることが可能となるため、既存の型枠2を改良することなく取付部材1が取り付けられた硬化体Hを形成することができる。また、磁性体3を取り除くことで、内壁面2cから取付部材1を容易に離脱させることができる。
【0039】
また、前記取付部材1は、保持工程で内壁面2cに保持される本体部1aと、該本体部1aから突出する突出部1bとを備え、保持工程では、該突出部1bが充填空間R内に位置するように取付部材1が内壁面2cに着脱可能に保持されるため、突出部1bは、硬化体H内に埋め込まれた状態になる。これにより、取付部材1は、突出部1bによって(具体的には、突出部1bのアンカー効果によって)硬化体Hに確実に取り付けられた状態となるため、取付部材1が硬化体Hから意図せずに分離してしまうのを防止することができる。
【0040】
また、前記突出部1bは、本体部1aから分離可能に構成されることで、硬化体H内に突出部1bが埋め込まれた状態であっても、硬化体Hの表面に露出した本体部1aを突出部1bから分離することができる。これにより、硬化体Hから本体部1aを容易に取り除くことができる。
【0041】
なお、本発明に係る硬化体の形成方法は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。また、上記した複数の実施形態の構成や方法等を任意に採用して組み合わせてもよく(1つの実施形態に係る構成や方法等を他の実施形態に係る構成や方法等に適用してもよく)、さらに、下記する各種の変更例に係る構成や方法等を任意に選択して、上記した実施形態に係る構成や方法等に採用してもよいことは勿論である。
【0042】
上記実施形態では、型枠2の外側に配置された磁石3によって型壁部2dを介して内壁面2cに取付部材1が保持されるように構成されているが、これに限定されるものではなく、例えば、図4(a)に示すように、磁性を有する磁性部2eを内壁面2cの少なくとも一部に備え、該磁性部2eに取付部材1が保持されるように構成されてもよい。斯かる構成によれば、磁性部2eの磁力を取付部材1に直接作用させることができるため、内壁面2cへの取付部材1の保持をより確実に行うことができる。なお、磁性部2eを形成する方法としては、特に限定されるものではなく、例えば、磁性体3の一部が充填空間Rに露出するように、型壁部2dの内壁面2c側に磁性体3を埋め込むことで、磁性部2eを形成することができる。
【0043】
また、上記実施形態では、取付部材1は、シート材の端部が一回折り曲げられて三角形状の突出部1bが形成されているが、これに限定されるものではなく、例えば、図4(b)に示すように、シート材の端部が2カ所で折り曲げられて、コの字状の突出部1bが形成されてもよい。
【0044】
また、上記実施形態では、取付部材1は、シート材が折り曲げられることで形成されているが、これに限定されるものではなく、例えば、樹脂材料を成形型で成形することで取付部材1が形成されてもよい。また、上記実施形態では、取付部材1は、シート材を用いて形成されているが、これに限定されるものではなく、例えば、金属製(鉄製)のプレートを用いて形成されてもよい。
【0045】
上記実施形態では、取付部材1は、突出部1bを備えるように構成されているが、これに限定されるものではなく、例えば、本体部1aのみから取付部材1が構成されてもよい。また、上記実施形態では、取付部材1は、複数の突出部1bを備えるように構成されているが、これに限定されるものではなく、例えば、本体部1aから一つの突出部1bが突出するように構成されてもよい。また、上記実施形態では、本体部1aと突出部1bとが一枚のシート材から形成されているが、これに限定されるものではなく、例えば、本体部1aと突出部1bとが別体であってもよい。
【0046】
また、取付部材1は、本体部1aの内側面(充填空間Rに露出する面)が起毛を有するように構成されてもよい。具体的には、本体部1aの内側面が不織布等の起毛素材を用いて構成されることで、起毛の面が充填空間Rに露出することになる。これにより、起毛内に流動性材料Lが含浸した状態で硬化体Hが形成されるため、起毛部分のアンカー硬化によって硬化体Hと取付部材1との結合がより強固なものとなる。
【0047】
また、上記実施形態では、本体部1aの端部から突出部1bが突出するように構成されているが、これに限定されるものではなく、例えば、本体部1aの外周部よりも内側の位置から突出部1bが突出するように構成されてもよい。
【0048】
また、上記実施形態では、突出部1bが平面状に形成されているが、これに限定されるものではなく、例えば、凹凸に形成され(波形加工やエンボス加工され)てもよい。
【0049】
また、取付部材1の本体部1aの内側面に接着剤や粘着剤が塗布されてもよい。接着剤や粘着剤としては、特に限定されるものではなく、例えば、流動性材料Lと化学的に反応して接着力や粘着力が生じるように構成されたものを用いることができる。
【0050】
また、上記実施形態では、取付部材1における本体部1aの外側面以外が硬化体内に埋め込まれるように構成されているが、これに限定されるものではなく、例えば、図4(c)に示すように、突出部1bのみが硬化体Hに埋め込まれるように構成されてもよい。斯かる場合には、型枠2(型壁部2d)の内壁面2cの一部に取付部材1の本体部1aに対応する形状の凹状部2fを形成する。そして、取付部材1を内壁面2cに保持させる際には(保持工程)、突出部1bのみが充填空間R内に位置するように該凹状部2f内に本体部1aを配置する。その後、充填工程及び離型工程を行うことで、突出部1bのみが埋め込まれた硬化体Hが形成される。
【0051】
また、上記実施形態では、取付部材1が磁性体3に引き寄せられるように構成されているが、これに限定されるものではなく、例えば、取付部材1の少なくとも一部(好ましくは、全体)が磁性を有するように(磁性体から)構成されてもよい。斯かる構成によれば、前記取付部材1の少なくとも一部が磁性を有するように構成されており、保持工程では、取付部材1の磁力によって取付部材1が内壁面2cに保持されるように構成されてもよい。斯かる場合には、粘着剤や粘着テープ等を用いて取付部材1を内壁面2cに貼り付けて保持する必要がないため、保持工程を容易に行うことができる。具体的には、型壁部2dが鉄製である場合、取付部材1自身の磁力によって取付部材1が内壁面2cに保持されることになる。また、斯かる構成において、型壁部2dが前記磁性部2eを備えるように構成されてもよい。斯かる場合には、取付部材1の磁力と磁性部2eの磁力によって取付部材1が内壁面2c(より詳しくは、磁性部2e)に保持されることになる。
【符号の説明】
【0052】
1…取付部材、1a…本体部、1b…突出部、2…型枠、2a…雄型、2b…雌型、2c…内壁面、2d…型壁部、2e…磁性部、2f…凹状部、3…磁性体、H…硬化体、L…流動性材料、R…充填空間
図1
図2
図3
図4