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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-161322(P2017-161322A)
(43)【公開日】2017年9月14日
(54)【発明の名称】結像光学系のないマイクロ波カメラ
(51)【国際特許分類】
   G01S 13/89 20060101AFI20170818BHJP
   G01S 7/03 20060101ALI20170818BHJP
   G01S 13/34 20060101ALI20170818BHJP
【FI】
   G01S13/89
   G01S7/03 220
   G01S7/03 210
   G01S13/34
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2016-45194(P2016-45194)
(22)【出願日】2016年3月9日
【新規性喪失の例外の表示】申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】504261077
【氏名又は名称】大学共同利用機関法人自然科学研究機構
(71)【出願人】
【識別番号】399030060
【氏名又は名称】学校法人 関西大学
(74)【代理人】
【識別番号】100147740
【弁理士】
【氏名又は名称】保坂 俊
(72)【発明者】
【氏名】長山 好夫
(72)【発明者】
【氏名】土屋 隼人
(72)【発明者】
【氏名】山口 聡一朗
(72)【発明者】
【氏名】岩間 尚文
【テーマコード(参考)】
5J070
【Fターム(参考)】
5J070AB17
5J070AB24
5J070AC02
5J070AD08
5J070AE04
5J070AE06
5J070AE07
5J070AE09
5J070AF01
5J070AF03
5J070AF06
5J070AH31
5J070AH34
5J070AH39
5J070AK22
(57)【要約】
【課題】結像光学系のないマイクロ波カメラを実現し応用すること。
【解決手段】本発明は、アンテナから照射する強力なマイクロ波を、画素間のクロストークの非常に少ない2次元マイクロ波イメージセンサにより位相と強度を全受信画素で同時受信し、マイクロ波ホログラフィに基づくコンピュータによる計算結像を応用することで、レンズのない(結像光学系のない)マイクロ波カメラを実現する。結像光学系が無ければカメラは薄型となり、位相の同時受信により、カメラとの相対速度が大きな物体を受像可能である。マイクロ波は大気中での減衰が少なく、雨、雪、霧も透過する。したがって、濃霧や降雪、降雨中での航空機や自動車、船舶運行を助けることができる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロ波発振器、
前記マイクロ波発振器で生成したマイクロ波(周波数ω)を照射する照射器、
照射器から照射されたマイクロ波が照射された被写体からの散乱波を同時に受信する受像器、パワー検出器、位相検出器、デジタイザ、およびコンピュータを含むマイクロ波カメラであって、
前記受像器は、マイクロストリップライン(配線)と前記マイクロストリップラインに電気的に接続された受信回路とを備える誘電体基板を間に挟み込んだホーンアンテナ及び前記ホーンアンテナに連通する導波管が一次元または2次元に配列したホーンアンテナ型ヘテロダイン・イメージング受像器であり、
前記受像器において、前記散乱波(周波数:ω)と局部発振器で生成した局部発振波(周波数ωL0)とを周波数混合してヘテロダイン検波を行ない、中間周波数波(周波数ωIF=ω−ωL0)を生成し、
前記中間周波数波の振幅を前記パワー検出器で検出し、
前記位相検出器を用いて、参照波発振器で生成した参照波(周波数ωR)と中間周波数波との位相差を検出することを特徴とし、
この場合において、ωIF=ωRであり、マイクロ波(周波数ω)、局部発振波(周波数ωL0)および参照波(周波数ωR)はすべて同期しており、
前記パワー検出器で検出された振幅信号および前記位相検出器で検出された位相信号を前記デジタイザでデジタル処理し、
前記デジダイザでデジタル処理された振幅信号および位相信号に基づいてコンピュータで演算処理して被写体像を描写することを特徴とする、
結像光学系のないマイクロ波カメラ。
【請求項2】
マイクロ波(周波数ω)を照射する照射器、照射器から放射された照射波(マイクロ波)が照射された物体(被写体)からの散乱波を同時に受信する受像器、パワー検出器、位相検出器、デジタイザ、およびコンピュータを含むマイクロ波カメラであって、
前記照射器において、n個の中間周波数発振器で生成したn個の固定周波数の中間周波数波(周波数:ωj, j=1,…, n)に参照波発振器で生成した参照波(周波数:ωR)をアップコンバートし、バンドパスフィルタで差周波数を除去し取り出した和周波数波を、さらに局部発振器で発生した局部発振波とアップコンバートし、パワーコンバイナで一本にまとめることによりn個の周波数(多数波周波数)を同時に含む照射波(マイクロ波)を生成することを特徴とし、

前記受像器は、マイクロストリップライン(配線)と前記マイクロストリップラインに電気的に接続された受信回路とを備える誘電体基板を間に挟み込んだホーンアンテナ及び前記ホーンアンテナに連通する導波管が一次元または2次元に配列したホーンアンテナ型ヘテロダイン・イメージング受像器であり、
前記受像器において、受信された散乱波は前記中間周波数波と周波数混合することで、参照波(周波数:ωR)と同じ周波数の中間周波数波(散乱波中間周波数波)にし、
前記散乱波中間周波数波の振幅を前記パワー検出器で検出するとともに、
前記散乱波中間周波数波と前記参照波との位相差を、前記位相検出器を用いて、検出することを特徴とし、
前記パワー検出器で検出された振幅信号および前記位相検出器で検出された位相信号を前記デジタイザでデジタル処理し、
前記デジダイザでデジタル処理された振幅信号および位相信号に基づいてコンピュータで演算処理して物体像を描写することを特徴とする、
結像光学系のないマイクロ波カメラ。
【請求項3】
マイクロ波(周波数ω)を照射する照射器、照射器から放射された照射波(マイクロ波)が照射された被写体からの散乱波を同時に受信する受像器、パワー検出器、位相検出器、デジタイザ、およびコンピュータを含むマイクロ波カメラであって、
前記照射器において、固定周波数の基準信号発生器で生成した基準信号波を局部発振波発振器、n個のマイクロ波発振器、および参照波発振器(周波数:ωR)に入力することによって、前記全ての発振器の同期をとり、n個の固定周波数のマイクロ波をパワーコンバイナで一本にまとめることでn個の周波数(多数波周波数)を同時に含む照射波(マイクロ波)を生成することを特徴とし、
前記受像器は、マイクロストリップライン(配線)と前記マイクロストリップラインに電気的に接続された受信回路とを備える誘電体基板を間に挟み込んだホーンアンテナ及び前記ホーンアンテナに連通する導波管が一次元または2次元に配列したホーンアンテナ型ヘテロダイン・イメージング受像器であり、
局部発振器で生成した局部発振波と前記n個のマイクロ波をダウンコンバータにより中間周波数波(周波数:ωj, j=1,…, n)を生成し、さらにバンドパスフィルタで和周波数を除去して差周波数波を取り出すことを特徴とし、
前記受像器において、受信された散乱波は前記中間周波数波と周波数混合することで、参照波(周波数:ωR)と同じ周波数の中間周波数波(散乱波中間周波数波)にし、
前記散乱波中間周波数波の振幅を前記パワー検出器で検出するとともに、前記中間周波数波と前記参照波との位相差を、前記位相検出器を用いて検出することを特徴とし、
前記パワー検出器で検出された振幅信号および前記位相検出器で検出された位相信号を前記デジタイザでデジタル処理し、
前記デジダイザでデジタル処理された振幅信号および位相信号に基づいてコンピュータで演算処理して物体像を描写することを特徴とする、
結像光学系のないマイクロ波カメラ。
【請求項4】
前記マイクロ波カメラの照射器および受像器を自動車の前面、または自動車の側面、または自動車の後面、または自動車の屋根に設置し、請求項1〜3のいずれか1項に記載の結像光学系のないマイクロ波カメラを用いて、自動車の周囲を監視するシステム。
【請求項5】
前記マイクロ波カメラの照射器および受像器を、飛行機または宇宙船または高速移動体の前面、あるいは飛行機または宇宙船または高速移動体の腹部、あるいは飛行機または宇宙船または高速移動体の翼の下面、あるいは飛行機または宇宙船または高速移動体の後部に取り付け、請求項1〜3のいずれか1項に記載の結像光学系のないマイクロ波カメラを用いて、飛行機または宇宙船または高速移動体の周囲を監視するシステム。
【請求項6】
前記マイクロ波カメラの照射器および受像器を空港に設置し、請求項1〜3のいずれか1項に記載の結像光学系のないマイクロ波カメラを用いて、高速移動物体を監視するシステム。
【請求項7】
前記マイクロ波カメラの照射器および受像器を港湾または海上に設置して、請求項1〜3のいずれか1項に記載の結像光学系のないマイクロ波カメラを用いて、海上交通を監視するシステム。
【請求項8】
前記マイクロ波カメラの照射器および受像器を保安検査用として設置し、請求項1〜3のいずれか1項に記載の結像光学系のないマイクロ波カメラを用いて、保安監視するシステム。
【請求項9】
前記マイクロ波カメラの照射器および受像器をタンク内に設置し、請求項1〜3のいずれか1項に記載の結像光学系のないマイクロ波カメラを用いて、タンク内液面状態を監視するシステム。
【請求項10】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のマイクロ波カメラを搭載したトンネル内壁の欠陥を検査する検査装置であって、前記マイクロ波カメラの照射器および受像器をトンネル壁の構造に合わせて側面および上面に放射状に配置したトンネル内壁の欠陥を検査する検査装置。
【請求項11】
前記照射器は複数配置されており、1つの発振器からスイッチ切替えにより前記複数の照射アンテナから照射することを特徴とする、請求項10に記載の検査装置。
【請求項12】
前記照射器は複数配置されており、各照射器はそれぞれ多周波数発生の発振器を持ち、各照射器のアンテナから周波数の異なる照射波を同時に照射することを特徴とする、請求項10に記載の検査装置。
【請求項13】
請求項10〜12のいずれか1項に記載の検査装置を搭載した検査自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、結像光学系のないマイクロ波を用いたカメラおよびその応用に関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロ波(ミリ波を含む)の画像検出器は画素サイズが原理的に波長より大きいため、高分解能を目指した高画素とすると必然的に受像面積が大きくなる。しかし、レンズが無ければ薄型となり、自動車や航空機等に搭載可能となる。また、建物の壁や天井に置くことも可能となる。これにより、マイクロ波イメージングの応用範囲が格段に広がることになる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】G. Krieger, J. Mittermayer, S. Buckreuss, “Sector imaging radar for enhanced vision”, Aerospace Science and Technology Vol.7, pp.147― 158 (2003).
【非特許文献2】D. Sheen, D. McMakin, T. Hall, “Near-field three-dimensional radar imaging techniques and applications”, Applied Optics Vol.49, pp. E83― E93 (2010).
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ミリ波を含むマイクロ波は雨や雲を透過し遠方まで見ることができるので、航空機には第二次世界大戦以来、レーダーが搭載されている。近年は、地表面の撮像のために航空機に合成開口レーダー(SAR)を原理とするイメージングレーダーを搭載することもある。非特許文献1は航空機搭載型イメージングレーダーの一例である。普通は1組の送受信アンテナを用いるところ、非特許文献1の例では、一次元配置の受信アンテナを用いている。この例に限らずほとんどのイメージングレーダーでは一次元配置の受信アンテナを用いている。空間スキャンには、航空機の進行と、広い周波数成分を含むチャープパルスを用いる。このため、画像データを取得するのに時間がかかるという問題がある。
【0005】
ミリ波を含むマイクロ波は衣服を透過することから、近年、衣服に隠された武器の検出にマイクロ波ホログラフィを結像原理とするレンズの無いマイクロ波カメラが利用されている。非特許文献2は、その代表例である。一次元配置の送受信アンテナアレイを機械的にスキャンして、二次元画像データを取得する。非特許文献2には、外見上は本出願で用いるアンテナに類似するテーパースロットアンテナを二次元配置したマイクロ波カメラが記載されている。これは、照射アンテナと受信アンテナのペアを電子スイッチによるラスタースキャンにて、二次元画像データを取得するものである。二次元画像データを取得するためにスキャンを行なうので、カメラと相対的に高速で動く物体を撮像する場合、チャンネル間に位相のずれが発生し、結像の際に大きな像の歪みを引き起こすという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、アンテナから照射する強力なマイクロ波を、画素間のクロストークの非常に少ない2次元マイクロ波イメージセンサにより位相と強度を全受信画素で同時受信し、マイクロ波ホログラフィに基づくコンピュータによる計算結像を応用することで、「レンズのない(結像光学系のない)マイクロ波カメラ」を実現するものである。具体的には以下の特徴を有する。
【0007】
(1)本発明は、マイクロ波発振器、前記マイクロ波発振器で生成したマイクロ波(周波数ω)を照射する照射器、照射器から照射されたマイクロ波が照射された被写体からの散乱波を同時に受信する受像器、パワー検出器、位相検出器、デジタイザ、およびコンピュータを含むマイクロ波カメラであって、
前記受像器は、マイクロストリップライン(配線)と前記マイクロストリップラインに電気的に接続された受信回路とを備える誘電体基板を間に挟み込んだホーンアンテナ及び前記ホーンアンテナに連通する導波管が一次元または2次元に配列したホーンアンテナ型ヘテロダイン・イメージング受像器であり、
前記受像器において、前記散乱波(周波数:ω)と局部発振器で生成した局部発振波(周波数ωL0)とを周波数混合してヘテロダイン検波を行ない、中間周波数波(周波数ωIF=ω−ωL0)を生成し、
前記中間周波数波の振幅を前記パワー検出器で検出し、
前記位相検出器を用いて、参照波発振器で生成した参照波(周波数ωR)と中間周波数波との位相差を検出することを特徴とし、
この場合において、ωIF=ωRであり、マイクロ波(周波数ω)、局部発振波(周波数ωL0)および参照波(周波数ωR)はすべて同期しており、
前記パワー検出器で検出された振幅信号および前記位相検出器で検出された位相信号を前記デジタイザでデジタル処理し、
前記デジダイザでデジタル処理された振幅信号および位相信号に基づいてコンピュータで演算処理して被写体像を描写することを特徴とする、
結像光学系のないマイクロ波カメラである。
【0008】
(2)本発明は、マイクロ波(周波数ω)を照射する照射器、照射器から放射された照射波(マイクロ波)が照射された物体(被写体)からの散乱波を同時に受信する受像器、パワー検出器、位相検出器、デジタイザ、およびコンピュータを含むマイクロ波カメラであって、
前記照射器において、n個の中間周波数発振器で生成したn個の固定周波数の中間周波数波(周波数:ωj, j=1,…, n)に参照波発振器で生成した参照波(周波数:ωR)をアップコンバートし、バンドパスフィルタで差周波数を除去し取り出した和周波数波を、さらに局部発振器で発生した局部発振波とアップコンバートし、パワーコンバイナで一本にまとめることによりn個の周波数(多数波周波数)を同時に含む照射波(マイクロ波)を生成することを特徴とし、
前記受像器は、マイクロストリップライン(配線)と前記マイクロストリップラインに電気的に接続された受信回路とを備える誘電体基板を間に挟み込んだホーンアンテナ及び前記ホーンアンテナに連通する導波管が一次元または2次元に配列したホーンアンテナ型ヘテロダイン・イメージング受像器であり、
前記受像器において、受信された散乱波は前記中間周波数波と周波数混合することで、参照波(周波数:ωR)と同じ周波数の中間周波数波(散乱波中間周波数波)にし、
前記散乱波中間周波数波の振幅を前記パワー検出器で検出するとともに、
前記散乱波中間周波数波と前記参照波との位相差を、前記位相検出器を用いて、検出することを特徴とし、
前記パワー検出器で検出された振幅信号および前記位相検出器で検出された位相信号を前記デジタイザでデジタル処理し、
前記デジダイザでデジタル処理された振幅信号および位相信号に基づいてコンピュータで演算処理して物体像を描写することを特徴とする、
結像光学系のないマイクロ波カメラである。
【0009】
(3)本発明は、マイクロ波(周波数ω)を照射する照射器、照射器から放射された照射波(マイクロ波)が照射された被写体からの散乱波を同時に受信する受像器、パワー検出器、位相検出器、デジタイザ、およびコンピュータを含むマイクロ波カメラであって、
前記照射器において、固定周波数の基準信号発生器で生成した基準信号波を局部発振波発振器、n個のマイクロ波発振器、および参照波発振器(周波数:ωR)に入力することによって、前記全ての発振器の同期をとり、n個の固定周波数のマイクロ波をパワーコンバイナで一本にまとめることでn個の周波数(多数波周波数)を同時に含む照射波(マイクロ波)を生成することを特徴とし、
前記受像器は、マイクロストリップライン(配線)と前記マイクロストリップラインに電気的に接続された受信回路とを備える誘電体基板を間に挟み込んだホーンアンテナ及び前記ホーンアンテナに連通する導波管が一次元または2次元に配列したホーンアンテナ型ヘテロダイン・イメージング受像器であり、
局部発振器で生成した局部発振波と前記n個のマイクロ波をダウンコンバータにより中間周波数波(周波数:ωj, j=1,…, n)を生成し、さらにバンドパスフィルタで和周波数を除去して差周波数波を取り出すことを特徴とし、
前記受像器において、受信された散乱波は前記中間周波数波と周波数混合することで、参照波(周波数:ωR)と同じ周波数の中間周波数波(散乱波中間周波数波)にし、
前記散乱波中間周波数波の振幅を前記パワー検出器で検出するとともに、前記中間周波数波と前記参照波との位相差を、前記位相検出器を用いて検出することを特徴とし、
前記パワー検出器で検出された振幅信号および前記位相検出器で検出された位相信号を前記デジタイザでデジタル処理し、
前記デジダイザでデジタル処理された振幅信号および位相信号に基づいてコンピュータで演算処理して物体像を描写することを特徴とする、
結像光学系のないマイクロ波カメラである。
【0010】
(4)本発明の結像光学系のないマイクロ波カメラは、上記(1)〜(3)に加えて、前記マイクロ波カメラの照射器および受像器を自動車の前面、または自動車の側面、または自動車の後面、または自動車の屋根に設置し、自動車の周囲を監視することができ、また、前記マイクロ波カメラの照射器および受像器を、飛行機または宇宙船または高速移動体の前面、あるいは飛行機または宇宙船または高速移動体の腹部、あるいは飛行機または宇宙船または高速移動体の翼の下面、あるいは飛行機または宇宙船または高速移動体の後部に取り付け、飛行機または宇宙船または高速移動体の周囲を監視することができ、さらに、前記マイクロ波カメラの照射器および受像器をタンク内に設置し、タンク内液面状態を監視することができる
【0011】
(5)本発明の結像光学系のないマイクロ波カメラは、上記(1)〜(3)に加えて、前記マイクロ波カメラの照射器および受像器を、空港に設置して高速移動物体の撮像に用い、また、前記マイクロ波カメラの照射器および受像器を港湾または海上に設置して、海上交通を監視し、さらに、前記マイクロ波カメラの照射器および受像器を保安検査用として設置し、保安監視することを特徴とする。
【0012】
(6)本発明は、上記(1)〜(3)に記載のマイクロ波カメラを搭載したトンネル内壁の欠陥を検査する検査装置であって、前記マイクロ波カメラの照射器および受像器をトンネル壁の構造に合わせて側面および上面に放射状に配置したトンネル内壁の欠陥を検査する検査装置であり、前記照射器は複数配置されており、1つの発振器からスイッチ切替えにより前記複数の照射アンテナから照射することを特徴とし、あるいは、前記照射器は複数配置されており、各照射器はそれぞれ多周波数発生の発振器を持ち、各照射器のアンテナから周波数の異なる照射波を同時に照射することを特徴とする。また、本発明はこれらの検査装置を搭載した検査自動車である。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、アンテナから照射する強力なマイクロ波を、画素間のクロストークの非常に少ない2次元マイクロ波イメージセンサにより位相と強度を全受信画素で同時受信し、マイクロ波ホログラフィに基づくコンピュータによる計算結像を応用することで、「レンズのない(結像光学系のない)マイクロ波カメラ」を実現するものである。結像光学系が無ければマイクロ波カメラは薄型となり、位相の同時受信により、カメラとの相対速度が大きな物体を受像可能である。マイクロ波は大気中での減衰が少なく、雨、雪、霧も透過する。したがって、濃霧や降雪、降雨中での航空機や自動車、船舶運行を助けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、本発明のカメラの原理を説明する図である。
図2図2は本発明の構成を示す図である。
図3図3は、発振方式が和周波数方式である発振器の構成例を示す図である。
図4図4は、発振方式が差周波数方式である発振器の構成例を示す図である。
図5図5は、和周波数方式の多周波数発生器および多周波数信号処理の方法を示す図である。
図6図6は、差周波数方式の多周波数発生器および多周波数信号処理の方法を示す図である。
図7図7は、本発明のマイクロ波カメラに用いるホーンアンテナ型ヘテロダイン・イメージング受信器の全体斜視図および導波管の断面図である。
図8図8は、ホーンアンテナ型ヘテロダイン・イメージング受信器の分解斜視図である。
図9図9は、受信器の電子回路の概念図である。
図10図10は、受信器を集積回路にした場合の適用例の説明図である。
図11図11は、同軸ケーブルで局部発振波を導入するマイクロ波・イメージングデバイス回路を示す図である。
図12図12は、航空機に本発明のマイクロ波(ミリ波)カメラを設置し、飛行機の周囲を監視するシステムを示す図である。
図13図13は、自動車に本発明のマイクロ波(ミリ波)カメラを設置して、自動車の周囲を監視するシステムを示す図である。
図14図14は、本発明のミリ波カメラを用いた遠方での保安検査システムを示す図である。
図15図15は、本発明のミリ波カメラを用いてイメージング液面計や表面粗さ等の液面状態や表面状態を検査するジステムを示す図である。
図16図16は、本発明のマイクロ波カメラを用いたトンネル壁の非破壊検査を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、本発明のカメラの原理を説明する図である。図1(a)はレンズを用いた光学結像系カメラの原理を示す図である。通常のレンズカメラは、レンズの焦点距離は開口径より大きく、開口径は受像器の口径より大きい。マイクロ波を用いるマイクロ波カメラにおいては、マイクロ波の波長が長いために受像器が大きくなる。そのためレンズカメラは巨大になり、航空機や自動車等への搭載は困難である。レンズ等の結像光学系が不要になると、カメラは薄い受像器のみになり、搭載可能性が大幅に向上する。本出願では、周波数が300MHzから300GHz(波長が1mから1mm)の電波をマイクロ波と呼び、従ってミリ波もマイクロ波に含む。
【0016】
電磁波の結像を波動で考えると、図1(a)に示すように、物体上の1点から出る電磁波は球面波であり、凸レンズでは、波面がレンズ中心に近い経路を通るほど長い通過時間を要し、位相の遅延を引き起こし発散波が収束波に変換され、球面波はまた1点に集まり結像する。
【0017】
本発明では、図1(b)に示すように、レンズによる光学結像系を用いずに、コンピュータを用いた計算結像(マイクロ波ホログラフィ)を行なう。計算結像では受像器で位相および強度を測定し、計算機内でレンズが行った位相遅延を計算で実行する。波面測定のずれは、像の歪みを引き起こすので、波面を受像器の各チャンネルで同時に測定することが重要である。従来方法のように受信チャンネルをスキャンする場合、動かない物体なら良いが、動く物体では波面の同時測定ができないので、自動車や航空機に搭載はできない。
【0018】
しかし、同時受信の場合、マイクロ波などの高周波を受信すると受信アンテナに高周波電流が流れ、アンテナから高周波を二次的に放射する。受像器の各受信チャンネルは隣接しており、この二次的放射を受信する。すなわち受像器のチャンネル間のクロストークは大きいのが普通である。従来の一次元アンテナアレイではプリント基板の接地面でクロストークを減らすことは可能であるが、その一次元アンテナアレイを重ねて二次元アンテナアレイとすると、重なったアンテナ間でのクロストークが無視できなくなる。
【0019】
本発明では、本発明者が発明したクロストークがきわめて小さな受信アンテナアレイを用いた一次元あるいは二次元受像器を用いる。クロストークが小さいので、本発明は波面の同時測定を行うことができ、高速で移動する物体をも結像することが可能となる。従来のマイクロ波ホログラフィ研究では、照射アンテナと受信アンテナを対にしてスキャンすることが多い。画素数を増やすと受信アンテナは小さくなる。同じ大きさの照射アンテナでは照射波電力は大きくできない。本発明では、1個の固定アンテナとすることで照射波を大出力にできる。これにより、高速で動く物体を撮像する場合に、高感度となる。
【0020】
従来のマイクロ波ホログラフィ研究(を用いたカメラ)では、受像器は1個である。1個の照射アンテナの周囲に受像器を置くことは自然であり、その場合受像器の数は複数となる。また、自動車の前面にマイクロ波カメラを置く時は、中央部に照射器を置き左右に受像器を置くのが自然である。それゆえ、本発明では受像器(一次元または二次元)の数は単数あるいは複数を想定する。
【0021】
図2は本発明の構成を示す図である。発振器111で照射波(周波数:ω)を生成し照射器112から照射波121を放射し、被写体113を照らす。照射波121は被写体113で散乱し、散乱波122は受像器114で受信される。受像器114では、発振器111で生成した局部発振波(周波数:ωLO)と周波数混合することでヘテロダイン検波を行う。その結果得られる中間周波数波(周波数:ω IF=ω―ωLO )をIFアンプ115で増幅し、振幅をパワー検出器116で検出する。位相については、発振器111で生成した参照波(周波数:ω R)とIF波との位相差を位相検出器117で検出する。この場合、ωIF=ωR、であり、発振器111が生成する各周波数、ω、ωLO、ωRはすべて同期し、位相誤差がおきないようにする。振幅信号Aおよび位相信号φはデジタイザ118でデジタル化し、コンピュータ119で計算処理することで被写体(物体)像を求める。また、発振器111はコンピュータ119で制御され、照射波の周波数を変えながら、デジタイズする。結像アルゴリズムは他の文献と同様で、周波数スキャンを行うマイクロ波ホログラフィである。すなわち、1個のアンテナから照射する強力なマイクロ波を、画素間のクロストークの非常に少ない1次元または2次元マイクロ波イメージセンサにより位相と強度を全受信画素で同時受信し、マイクロ波ホログラフィに基づくコンピュータによる計算結像を行なう。これにより、結像光学系(結像用レンズ)がなくとも立体像を得ることができる。レンズが無ければマイクロ波カメラは薄型となる。位相の同時受信により、カメラとの相対速度が大きな物体を受像可能である。マイクロ波は大気中での減衰が少なく、雨、雪、霧も透過する。したがって、濃霧や降雪、降雨中での航空機や自動車、船舶運行を助ける。
【0022】
結像光学系がない(レンズの無い)マイクロ波カメラでは、照射波の位相と比較することで受信波の位相を測定する。周波数が低ければ、受像器の信号を照射波の周波数と同じ受信波とし、直接照射波の位相と比較することも可能である。周波数が高ければ、受像器ではヘテロダイン検波を行い、出力信号は中間周波数波となる。この場合、位相を中間周波数波と参照周波数波との比較で得る。そのため、照射波、局部発振波、参照周波数の位相が合っていることが重要である。位相は、差周波数との位相差を検出するため、照射波の位相のゆらぎは測定精度を大きく損なうので、それらの生成を行う発振器が重要である。具体的には以下の図3および図4に示す二つの方式がある。
【0023】
図3は、発振方式が和周波数方式である発振器の構成例を示す図である。図3に示すような固定周波数の参照波発振器132と可変周波数の局部発振器131を組み合わせて、照射波(周波数ω)を生成する方式である。水晶発振器などの周波数固定発振器で差周波数を発生することで、位相ゆらぎを無くすことができるなどの特徴がある。和周波数生成器133内では局部発振波と参照波をアップコンバータ(ミキサ)134で和周波数を生成する。アップコンバータ134では差周波数成分も当然発生し、それが誤差となる。そこで、周波数フィルタの中心周波数を周波数フィルタ135で取り除く。固定周波数であれば周波数スキャン範囲は限られる。周波数を広範囲にスキャンする場合は、周波数フィルタ135の中心周波数を局部発振周波数と連動させるなどの照射波(周波数ω)の周波数の純度を上げる工夫が必要となる。局部発振器131を周波数掃引することで照射波(周波数ω)の周波数掃引を行い、カメラと被写体間の距離を測定する。
【0024】
図4は、発振方式が差周波数方式である発振器の構成例を示す図である。図4に示すような両方可変周波数の局部発振器142と照射波発振器141とを組み合わせて、参照波(周波数:ωR)を生成する方式である。カメラと被写体間の距離を測定するために周波数掃引する時には、照射波発振器141と局部発振器142とを同時に周波数掃引する。位相を固定するために、局部発振器142と照射波発振器141のベース周波数を共通にし、帰還制御で位相と周波数とを安定化する。
【0025】
マイクロ波カメラでは多周波数を用いることでカメラと被写体間の距離を測定する。前述したように周波数掃引する方法もあるが、多周波数を同時に送受信することも可能である。これにより高速で移動する被写体との距離を正確に測定することが可能となる。多周波数発生器および多周波数信号処理については、具体的には以下の図5および図6に示す二つの方式がある。
【0026】
図5は、和周波数方式の多周波数発生器および多周波数信号処理の方法を示す図である。和周波数方式の多周波数発生器151ではn個の固定周波数の中間波(周波数:ωj, j=1,…, n)に参照波(周波数:ωR)をアップコンバートする。アップコンバータ内ではバンドパスフィルタ153で差周波数を除去し和周波数のみを取り出す。それをさらにLO波とアップコンバートする。最後に、パワーコンバイナで一本にまとめることでn個の周波数を同時に含む照射波(周波数:ωRF)を生成する。照射波は照射アンテナに送る。被写体からの散乱波は受像器で同時に受信する。受信信号は周波数分離器152内で中間波と周波数混合することで、参照波(周波数:ωR)と同じ周波数の中間周波数波(散乱波中間周波数波)にして、位相検出器を用いて参照波との位相比較により位相検出を行う。また、散乱波中間周波数波の振幅を前記パワー検出器で検出する。
【0027】
図6は、差周波数方式の多周波数発生器および多周波数信号処理の方法を示す図である。固定周波数の基準信号発生器161で基準信号を生成する。これをLO波発振器162、n個のRF(マイクロ)波発振器163、参照波発振器(周波数:ωR)164に入力し、全ての発振器の同期をとる。n個の固定周波数のRF波をパワーコンバイナで一本にまとめることで照射波(周波数:ωRF)を生成し、照射アンテナに送る。LO波と各RF波をダウンコンバータにより中間波(周波数:ωj, j=1,…, n)を生成する。バンドパスフィルタ166で和周波数を除去し差周波数のみを取り出す。被写体からの散乱波は同時受信する。受信信号は周波数分離器165内で中間波と周波数混合することで、参照波(周波数:ωR)と同じ周波数の中間周波数にして、参照波との位相比較により位相検出を行う。
【0028】
一般に受像器として受信画素間のクロストークが画像の歪みやずれを引き起こす。しかし、本発明者が発明した、ホーンアンテナアレイを用いたマイクロ波・イメージングデバイス(HMID)はクロストークがきわめて小さいのが特徴である。図7は、本発明に使用されるホーンアンテナアレイを用いたHMIDを示す。このHMIDは一次元あるいは二次元受像器として用いることができる。尚、本発明に用いられるHMIDは本発明者らが特願2014−112475で発明したものと構成が殆ど同じである。
【0029】
以下、本発明を具体化した実施形態のホーンアンテナ型ヘテロダイン・イメージング受信器及び1次元ホーンアンテナ型ヘテロダイン・イメージング受信器を図7図8図9を参照して説明する。説明の便宜上、ホーンアンテナ型ヘテロダイン・イメージング受信器を、単に受信器といい、1次元ホーンアンテナ型ヘテロダイン・イメージング受信器を、単に1次元アンテナアレイという。
【0030】
図7及び図8に示すように、1次元アンテナアレイ10は、半割状の上部フレーム20A,半割状の下部フレーム20Bと、誘電体からなるプリント基板としての誘電体基板30を有する。なお、図7図8に示すように、図面に示す左右方向をそれぞれ左右といい、図面に示す上下方向をそれぞれ上下といい、図面に示す前後方向を前後という。
【0031】
上部フレーム20A及び下部フレーム20Bは、表面が導電性を有するように金属フレームから構成されていてもよく、或いは、全体が合成樹脂などの絶縁材で形成されている場合であっても、後述する導波管となる溝42及びホーン形成凹部44の表面全体が金属層で覆われていればよい。前記金属層の形成は、例えば、メッキがあるが、メッキに限定されるものではなく、蒸着等の他の方法でもよい。さらに、金属層の表面はマイクロ波を透過する薄い絶縁膜で覆われていてもよい。
【0032】
なお、本明細書において、マイクロ波はミリ波を含む趣旨である。上部フレーム20A及び下部フレーム20Bは、略平板状の板部40を有している。上部フレーム20A及び下部フレーム20Bは互いに重ね合わされて、上部フレーム20A、誘電体基板30及び下部フレーム20Bに設けられている図示しないネジ挿通孔に挿通されて、螺合により互いに締付けられている。そして、前記誘電体基板30は上部フレーム20Aと下部フレーム20B間に挟み込みされている。また、図示しないノックピンが、上部フレーム20A、下部フレーム20B及び誘電体基板30にそれぞれ設けられている図示しない貫通孔を貫通することにより、上部フレーム20A、誘電体基板30及び下部フレーム20Bの位置整合が図られている。
【0033】
図8に示すように上部フレーム20Aの板部40の下面側及び下部フレーム20Bの上面側には、複数の溝42が断面コ字状をなすように凹設されるとともに左右方向へ並ぶように配置されている。
【0034】
前記溝42の後端は閉塞端である。また、溝42において、閉塞端とは反対の前端は開口され、その開口端からは、前方へ行くほど上下長さが長く、かつ幅広(図8において左右長さが長く)になるようにホーン形成凹部44が形成されている。なお、本実施形態では、先端へ行くほど上下長さが長くなるようにしたが、左右方向へ幅広にするだけでもよい。
【0035】
図7(b)に示すように上部フレーム20A及び下部フレーム20Bが重合状態では、互いに相対した一対の溝42により導波管43が形成されている。この結果、図7(b)、図8に示すように、高さa、幅b、奥行cの複数の方形の導波管43が形成されている。
【0036】
また、図7(a)に示すように互いに相対したホーン形成凹部44同士により前記導波管43に連通するホーンアンテナ45が形成されている。このようにして、本実施形態の1次元アンテナアレイは、ホーンアンテナアレイとして構成されている。前記ホーンアンテナ45は、マイクロ波信号を集めて、導波管43に導く。
【0037】
誘電体基板30は、前記上部フレーム20Aの下面及び下部フレーム20Bの上面により挟着されている。誘電体基板30において、各導波管43内に位置する部分には、フィンライン変換器50が設けられている。フィンライン変換器50は、図7(b)に示すように誘電体基板30の上面においてメタライズされたパターン52と、誘電体基板30の下面においてメタライズされたパターン54を有する。誘電体基板30の下面においてメタライズされたパターン54は、該下面にメタライズされた図示しないグランドパターンに接続されている。メタライズするための金属は、例えば金であるが、限定されるものではない。誘電体基板30は、冷却手段で冷却されるものではなく、1次元アンテナアレイ10が配置される室温と同じ温度に曝されるものである。
【0038】
図7(b)に示すようにフィンライン変換器50は、導波管43内をTE10モードで伝搬してくるマイクロ波信号(電磁波)に対して、その磁界Hとフィンライン変換器50の面が直交し、電界Eと平行に配置されている。また、フィンライン変換器50は、ポインテイングベクトルから計算して電力密度が最大になる導波管43の横断面長辺の中央に位置するように配置されている。前記フィンライン変換器50により、導波管43の前記マイクロ波信号は後述する誘電体基板30のマイクロストリップライン31に導かれる。
【0039】
誘電体基板30の上面において、導波管43に相対する領域よりも後半部には、各導波管43毎に電子回路56が設けられている。電子回路56は、受信回路に相当する。ホーンアンテナ45、導波管43、フィンライン変換器50、マイクロストリップライン31及び電子回路56で構成された1チャンネルの受信器は同一平面上において、複数並列に並べられて、複数チャンネルからなる1次元アンテナアレイ10とされている。
【0040】
図8に示すように誘電体基板30上面には、各チャンネルの電子回路56を囲むようにグランドパターン58が設けられている。前記誘電体基板30の上面のグランドパターン58は、前記上部フレーム20Aと直接接触し、下面のグランドパターンは前記下部フレームと直接接触することにより、放熱が図られるとともに接地されている。
【0041】
また、前記上部フレーム20A及び下部フレーム20Bの各電子回路56に相対する領域は、回路室22、24がそれぞれに設けられている。上部フレーム20Aの回路室22間及び下部フレーム20Bの各回路室24間には、隔壁26、28がそれぞれ設けられている。前記隔壁26、28が誘電体基板30の上面のグランドパターン58及び誘電体基板30下面の図示しないグランドパターンに対してそれぞれ接触することにより、相互に隣接する各チャンネルの電子回路56同士は3次元的に分離されて電磁的にシールドされている。
【0042】
また、図8に示すように上部フレーム20A、下部フレーム20Bの各隔壁26、28には、横断線用溝27、29が設けられている。前記横断線用溝27、29は、各チャンネルの電子回路56の渡り線が前記上部フレーム20A、下部フレーム20Bにそれぞれ接触しないように設けられている。前記渡り線としては、例えば、電源線、及びLO用マイクロストリップラインがある。前記電源線は、フレームの後端壁に設けられた電源端子を介して接続されている。また、前記LO用マイクロストリップラインは、1つの回路室22内に配置された電子回路56に設けられた局部発振器70に対して接続される。
【0043】
図8に示すように、各回路室22を仕切る前記上部フレーム20Aの後端壁に溝25が貫通されている。前記溝25には、電子回路56にてヘテロダイン検波された信号を出力する出力端子66が装着されている。なお、前記溝25は上部フレーム20A及び下部フレーム20Bが重ね合わされた状態では、貫通孔となる。なお、図8では、便宜上、回路室22は上方に開かれているが、蓋がされていても良い。また、フレームは軽量プラスチックに金属メッキしたものでも良い。
【0044】
ここで、1チャンネルの電子回路56の概略を図9を参照して説明する。図9に示すように、電子回路56、前記電子回路56用のホーンアンテナ45、フィンライン変換器50、及びマイクロストリップライン31が、1チャンネル分の受信器となる。
【0045】
図9に示すように電子回路56を構成する各パーツは、誘電体基板30上に設けられたマイクロストリップライン31にて電気的に接続されている。具体的には、前記パーツとして、フィンライン変換器50に接続された高周波増幅器60と、ミキサ62と、中間周波数増幅器64がある。
【0046】
なお、誘電体基板30上に形成するマイクロストリップライン31、パターン52、54、グランドパターン58等のパターン形成は、金属薄膜を化学的に除去するエッチング、金属薄膜を機械的に除去するミーリング、絶縁基板上に導電性インクで印刷する方法、或いは絶縁基板上に金属薄膜を気相或いは液相で成長させるなどの方法で行ってもよい。
【0047】
前記マイクロストリップライン31の長さは制限する必要がなく、回路室22、24内に配置される誘電体基板30の部分において、各マイクロストリップライン31に、増幅器60、64、ミキサ62などの電子回路56に必要なパーツが接続される。これらのパーツはディスクリートのものでも、マイクロストリップラインだけで構成してもよい。又、必要に応じて半導体チップも使用することができる。
【0048】
高周波増幅器60は、フィンライン変換器50でマイクロストリップライン31に乗せたマイクロ波信号を増幅する。ミキサ62は、例えば、ダブルバランスドミキサを挙げることができる。
【0049】
なお、従来技術1では、導波管に入るように、ミキサとしては小さなダイオードミキサを用いている。本実施形態では、マイクロ(波)ストリップライン31上に余裕があるため、ミキサ入力前段に前述の高周波増幅器60(マイクロ波増幅器)が導入できる。そして、本実施形態のミキサとして特性の良いダブルバランスドミキサなどを使用すると、前記高周波増幅器60によるマイクロ波の増幅においてミキサの変換損失を補うので信号雑音比(SN比)向上に大きく寄与する。
【0050】
ミキサ62は、局部発振器70から図9に示すように局部発振波入力用マイクロストリップライン31aを通して入力される局部発振波と、前記増幅されたマイクロ波信号を混合して、ヘテロダイン検波して中間周波数信号を生成する。前記中間周波数信号は前記中間周波数増幅器64で増幅して、電子回路56の出力端子66に出力する。電子回路56は、前記高周波増幅器60は、なくても動作するが、あった方が、ミキサ62での変換損失を補うことで、より高感度化が可能となる。また、ミキサ62への局部発振波の入力パワーは、最適値に合わせることにより、より高感度化ができるものとなる。なお、感度に問題がない場合は、高周波増幅器60を省略してもよい。
【0051】
図10に示すように、本実施形態では、1次元アンテナアレイ10の各チャンネルの電子回路を1つの集積回路ICで構成したものである。なお、図10に示すホーンアンテナ45と導波管43は、上部フレーム20A及び下部フレーム20Bにおけるレイアウトが示されているものと理解されたい。また、図10では、上部フレーム20A及び下部フレーム20Bにおいて、マイクロストリップライン31、フィンライン変換器50及び集積回路ICのレイアウトが示されているものと理解されたい。なお、マイクロストリップライン31、フィンライン変換器50及び集積回路ICは誘電体基板30に設けられているが、図10では、誘電体基板30は説明の便宜上、図示していない。
【0052】
マイクロ波の減衰は、通常、導波管43よりもマイクロストリップライン31で大きいため、図10に示すように、各ホーンアンテナ45に連通した導波管43は、後端(閉塞端)側に向かうほど相互に収束するように集められて配置されている。そして、本実施形態では各導波管43の集束した領域において、フィンライン変換器50が設けられている。そして、導波管43で集められたマイクロ波(電磁波)をフィンライン変換器50によりマイクロストリップライン31へ変換する。マイクロストリップライン31で変換されたマイクロ波は、マイクロストリップライン31を介して集積回路ICに集められる。上記の1次元アンテナアレイ10を複数積み重ねることにより、2次元アンテナアレイとして構成することも可能である。
【0053】
マイクロ波を受信する場合ヘテロダイン検波を用いることが普通である。ヘテロダイン検波では局部発振(LO)波の導入が必要である。ケーブルでマイクロ波を伝送するのは困難であるから、次の二方式がある。
(方式1)空間からLO波を導入する。すなわちHMIDのホーンアンテナ前面にLO波を照射する。
(方式2)同軸ケーブルでLO波を導入する。LO波の照射光学系が不要となるため設置性が向上するが、適用周波数は方式1より低い。
【0054】
図11は、同軸ケーブルでLO波を導入するマイクロ波・イメージングデバイス回路を示す図である。同軸ケーブルやマイクロストリップライン回路を伝送できる周波数で分配し、周波数ミキサの直前で周波数逓倍することでLO波を作る。これらの回路は集積回路化することによって、画素数の増加、マイクロ波周波数の増加、設置性の向上等をはかることができる。
【0055】
本発明のレンズの無いカメラは種々の用途、場所に使用できる。図12は、航空機に本発明のマイクロ波(ミリ波)カメラを設置し、飛行機の周囲を監視するシステムを示す図である。航空機の前方、たとえば、操縦席前の窓の上方または下方または左右に照射器および受像器を設置して、それらを前方に向けることで前方監視ができる。航空機の下方、たとえば腹部に照射器および受像器を設置して、それらを下方に向けることで地上の観測ができる。航空機の腹部は広いので、受像機を配置する場所はたくさんあり、翼の裏面にも設置できるので、広い面積で受像できるから分解能を高めることもできる。従って、地上の細部まで観察でき精密測量や詳細な地図作成に有用である。ドローンやヘリコプターなど各種の飛行物体にも本発明のレンズの無いカメラを搭載できる。本発明のレンズの無いカメラは半導体プロセスを用いて小型化も容易にできるので、小型化したドローン等に搭載して精細な画像を撮影できる。宇宙船や高速移動体についても同様のシステムを用いてこれらの周囲を監視することができる。
【0056】
スペースプレーンや宇宙航空ロケット等の超高速の宇宙輸送旅客機(宇宙船)の民生利用が実用されて今後広い普及が見込まれる。宇宙輸送旅客機・人工衛星・スーペースデブリ等の間の相対速度が極めて速いため, 自律航行や衝突自動回避機能が有効になるためには、空間走査方式の受像器では検出が間に合わず,全画素同時受信が必須となる。宇宙船等への設置方法は図12に示す状態に準ずる。また、図5図6に示す多周波数同時受信を併用することでさらに高速性が増すので、超高速の宇宙船でも本発明のレンズのないカメラが必須となる。
【0057】
図13は、自動車に本発明のマイクロ波(ミリ波)カメラを設置して、自動車の周囲を監視するシステムを示す図である。図13(a)は自動車の前方に照射波アンテナ(照射器)201および受像器202を取り付けた状態を示す。バンパー裏に取り付けることを考えると、金属である官給品のナンバープレートを避けるため、ナンバープレートの両側または上下に取り付ける。また、横長にすることで、路上で重要な左右方向の空間分解能の向上が期待できる。図13(b)は自動車の後方に照射器201および受像器202を取り付けた状態を示す。図13(b)は自動車の側面に照射器201および受像器202を取り付けた状態を示す。自動車の後方および側面は搭載可能な領域が広いので、照射器および受像器の面積を大きく取れるので感度が良くなる。さらに自動車の屋根に照射波アンテナや受像器を取り付けることもできる。このように、本発明のレンズの無いカメラは、薄く軽く作製でき、高速走行でも精度良く観測できるので、自動車の車体各所に搭載して、自動車の周囲を監視できる。従って、自動車の安全性を飛躍的に向上することができ、自動運転のセンサーとしても使用できる。
【0058】
飛行機やミサイルなどの高速移動物体の撮像にも本発明のレンズの無いカメラを地上設置して適用できる。空港などで視界不良時に離着陸を助けるために、滑走路脇や管制塔に航空機監視のために本発明のマイクロ波カメラを設置する。高速で移動する航空機を撮像するには、同時受信を行う本発明のマイクロ波カメラが有効である。港湾や海上交通路で視界不良時に海上交通を監視するために、本発明のマイクロ波カメラが有効である。ミサイルなどの高速移動物体を監視するために、同時受信を行う本発明のマイクロ波カメラが有効である。大きさが判別できるため、ステルス機のような反射率が鳥並に小さな物体でも、認識可能である。
【0059】
図14は、本発明のミリ波カメラを用いた遠方での保安検査システムを示す図である。ミリ波は衣服を透過することから、衣服に隠れた武器や爆発物保持を調べる保安検査に用いられている。従来のミリ波保安検査装置は、1次元のミリ波受信器を用いたスキャナーであり、空港で一人ずつの保安検査に用いられている。しかし、軍事施設や重要施設の門前での保安検査では、自爆テロにより保安検査官ごと爆発される危険性がある。据え置き型なら、本発明のマイクロ波カメラを高画素数の大型受像器にして精細な観測ができるので、図14に示すように、離れた場所での保安検査が可能となる。すなわち、自爆テロ犯検出や新幹線の改札口での保安検査にも有用である。
【0060】
図15は、本発明のミリ波カメラを用いてイメージング液面計や表面粗さ等の液面状態や表面状態を検査するジステムを示す図である。すなわち、本発明のミリ波カメラを用いて、タンク内の液面の高さを測定することができる。図15のように、チャープ波あるいは周波数変調連続波を照射しその反射波を受像器で受信することで、受像器と液面までの距離の絶対値を測定できる。液面が波打っていても、液面高さの2次元的分布が無接触で測定できる。本発明のミリ波カメラはレンズが無いため、蒸気やスパッターで曇ることがないという利点がある。図15のように、本発明のミリ波カメラを用いて、物体の表面粗さやゆらぎの2次元的分布を無接触で測定できる。レンズが無いため、蒸気やスパッターで曇ることがないし、粉塵で汚れることもない。すべて金属製なので、高温環境でも低温環境でも使用可能である。表面粗さは、位相変動で測定するので、波長の1/100(0.1mm以下)でも測定可能である。また、表面にゆらぎあるいは粗さがあるものなら、水平方向の速度も測定できる。
【0061】
図16は、本発明のマイクロ波カメラを用いたトンネル壁の非破壊検査を示す図である。図16(a)は、照射波をスイッチ切り替え方式で行なう例であり、図16(b)は、多周波数同時照射方式である。コンクリートの電気抵抗率は、十分時間がたつと含水率が4〜5%となり、電気抵抗率が100〜200 Ω/m程度となる。これは関東ローム層の電気抵抗率と同程度である。剥離が問題となる深さ10cmが表皮深さ(1/e)となる電磁波の周波数は、2.5〜5 GHzである。ゆえに、プローブ電磁波の波長は10 cm程度、導波管サイズは5 cm程度となる。レンズの無いマイクロ波カメラを装備したトラックをトンネル内に走らせることでトンネル壁の非破壊検査を行うことができる。走行方向にスキャンすることになるので、一次元イメージングデバイスを受像器として良い。当然、二次元イメージングデバイスを用いることでより早い測定が可能となる。トンネル壁は丸いので、多数の照射アンテナおよび受像器を自動車(検査車)の側面および上面に放射状に並べる。この場合、照射の方法に以下の二つの方法がある。1つの方式は、図16(a)で示すように、照射波は一度に1つのアンテナから放射するように、一つの発振器からスイッチ切り替えで照射アンテナに接続する方法がある。他の方式は、図5あるいは図6に示すような多周波数発生器を用いて、図16(b)で示すように、各照射アンテナから周波数が異なる照射波を同時に放射する方法がある。これらの方法によって、本発明のマイクロ波カメラを搭載した自動車を高速で走らせても、トンネル内のコンクリートの状態を検査できる。今後老朽化したトンネルが急速に増大するので、トンネル内コンクリート検査は喫緊の課題であるが、本発明のマイクロ波カメラの価値も増大する。
【0062】
図12図16で示したように、交通機関上(航空機、自動車、船舶など)に設置、あるいはそれらを観測対象物として本発明のマイクロ波(ミリ波)カメラを使用できる。また、本発明では波面の同時計測を行うことにより高速撮像が可能であるため、被写体との相対的速度が速くても撮像が可能となる。
交通機関等に本発明のマイクロ波(ミリ波)カメラを設置することで、以下の効果が期待できる。
(A)可視光が透過しない雲、霧、スモッグ、雨、雪などの悪天候でもミリ波は透過するので、悪天候時の前方監視ができる。
(B)可視光では届かない遠方を監視できる。
(C)ミリ波はテラヘルツ波と異なり、空中での減衰が少ないので遠方を見ることができる。
(D)チャープ状ミリ波のあるいは周波数変調CWミリ波を用いることで、距離測定、対象物の速度測定ができる。
(E)従来の1アンテナレーダーでは対象物の大きさを反射強度で推定していたが、それではステルス飛行機と鳥との区別がつかない。しかし、ミリ波カメラを用いることで対象物の大きさが分かるので、ステルス飛行機と鳥との区別ができる。
(F)路上のトラック、バイク、自転車、歩行者の区別とそれらの速度がわかるので、自動車の安全運行モニターに使用できる。
(G)海上の大型船、小型船、浮遊物の区別を付ける船舶用イメージングレーダーとして使用できる。対象物を効率的に照射するよう照射波アンテナの指向性を設定する。
【0063】
以上詳細に説明した様に、本発明は、アンテナから照射する強力なマイクロ波を、画素間のクロストークの非常に少ない2次元マイクロ波イメージセンサにより位相と強度を全受信画素で同時受信し、マイクロ波ホログラフィに基づくコンピュータによる計算結像を応用することで、レンズのない(結像光学系のない)マイクロ波カメラを実現する。結像光学系が無ければカメラは薄型となり、位相の同時受信により、カメラとの相対速度が大きな物体を受像可能である。マイクロ波は大気中での減衰が少なく、雨、雪、霧も透過する。したがって、濃霧や降雪、降雨中での航空機や自動車、船舶運行を助けることができる。
尚、本明細書において、明細書のある部分に記載し説明した内容について記載しなかった他の部分においても矛盾なく適用できることに関しては、当該他の部分に当該内容を適用できることは言うまでもない。さらに、前記実施形態は一例であり、要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施でき、本発明の権利範囲が前記実施形態に限定されないことも言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明の結像光学系のないマイクロ波カメラは、従来のレンズカメラを用いている分野でも適用可能である。また、レンズを使えない高温雰囲気中や腐食環境下などレンズカメラには過酷な状況下でも使用できる。
【符号の説明】
【0065】
10・・・1次元アンテナアレイ、20A・・・部フレーム、20B・・・下部フレーム、22・・・回路室、24・・・回路室、25・・・溝、26・・・隔壁、27・・・横断線用溝、28・・・隔壁、29・・・横断線用溝、30・・・誘電体基板、31・・・マイクロストリップライン、40・・・板部、42・・・溝、43・・・導波管、44・・・ホーン形成凹部、45・・・ホーンアンテナ、
50・・・フィンライン変換器、52・・・パターン、54・・・パターン、
56・・・電子回路、58・・・グランドパターン、60・・・高周波増幅器、62・・・ミキサ、64・・・中間周波数増幅器、66・・・出力端子、
70・・・局部発振器、111・・・発振器、112照射器、
113・・・被写体、114・・・受像器、115・・・IFアンプ、
116・・・パワー検出器、117・・・位相検出器、
118・・・デジタイザ、119・・・コンピュータ、
121・・・照射波、122・・・散乱波、
図1
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