(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-170863(P2017-170863A)
(43)【公開日】2017年9月28日
(54)【発明の名称】アジテータ車ドラムの温度調整システム及びそれに用いる水運搬シート
(51)【国際特許分類】
B28C 5/42 20060101AFI20170901BHJP
B28C 5/46 20060101ALI20170901BHJP
B60P 3/16 20060101ALI20170901BHJP
【FI】
B28C5/42
B28C5/46
B60P3/16 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-62482(P2016-62482)
(22)【出願日】2016年3月25日
(71)【出願人】
【識別番号】000183266
【氏名又は名称】住友大阪セメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116687
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 爾
(74)【代理人】
【識別番号】100098383
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 純子
(72)【発明者】
【氏名】流 龍成
(72)【発明者】
【氏名】松崎 邦彦
【テーマコード(参考)】
4G056
【Fターム(参考)】
4G056AA06
4G056CD51
4G056CD64
(57)【要約】
【課題】 アジテータ車の周囲の環境温度が変化しても、ドラム本体の温度を所定の値に調整することが可能な、アジテータ車ドラムの温度調整システム及びそれに用いる水運搬シートを提供すること。
【解決手段】 アジテータ車ドラムの温度調整システムは、アジテータ車のドラム2の表面に設置されるシート状部材であり、該シート状部材の表面には複数の溝が形成されており、該溝と該ドラム表面とにより水路が形成されるよう構成された水運搬シート3と、水を蓄えたタンク10から該水路の特定の入口に、水を供給する水供給手段(タンク10から水運搬シート3までの符号Bで示した部分)と、該水路の特定の出口から排出される水を該タンクに戻す水循環手段(水運搬シート3からタンク10までの符号C及びDで示した部分)とを備えたことを特徴とする。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アジテータ車のドラム表面に設置されるシート状部材であり、該シート状部材の表面には複数の溝が形成されており、該溝と該ドラム表面とにより水路が形成されるよう構成された水運搬シートと、
水を蓄えたタンクから該水路の特定の入口に、水を供給する水供給手段と、
該水路の特定の出口から排出される水を該タンクに戻す水循環手段とを備えたことを特徴とするアジテータ車ドラムの温度調整システム。
【請求項2】
請求項1に記載のアジテータ車ドラムの温度調整システムにおいて、該水供給手段の一部に、供給する水を加熱又は冷却するための水温度調節手段が設けられていることを特徴とするアジテータ車ドラムの温度調整システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のアジテータ車ドラムの温度調整システムにおいて、前記特定の入口には、アジテータ車のドラムの回転により、該入口から該水路内の水が排出されないよう、逆流抑制機構が設けられていることを特徴とするアジテータ車ドラムの温度調整システム。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載のアジテータ車ドラムの温度調整システムにおいて、該タンクは、アジテータ車の少なくとも一部を洗浄するための洗浄水を蓄積したタンクと兼用されていることを特徴とするアジテータ車ドラムの温度調整システム。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載のアジテータ車ドラムの温度調整システムに用いる水運搬シートにおいて、該水運搬シートの該溝が形成された面と反対側の表面に遮熱処理が施されていることを特徴とする水運搬シート。
【請求項6】
請求項1乃至4のいずれかに記載のアジテータ車ドラムの温度調整システムに用いる水運搬シートにおいて、該水運搬シートが複数のシート状部材を互いに連結して構成されることを特徴とする水運搬シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設分野における生コンクリートの輸送手段のひとつであるアジテータ車のドラムの温度調整システムと、それに用いる水運搬シートに関するものである。
【背景技術】
【0002】
アジテータ車は、コンクリート構造物等の建設現場に生コンクリート製造プラントから生コンクリートを輸送するために使用されており、車載のドラムに収容した生コンクリートを、ドラム回転によって混練し、凝固を抑制しながら、運搬している。
【0003】
しかし、輸送の際、直射日光及び高外気温により、ドラム本体が加熱されてドラム内の生コンクリートも高温となり、内部温度の上昇により、生コンクリートの凝結の進行が促進され、流動性が低下する等の品質劣化が発生し易い。また、外気温が低い場合は、ドラム本体も冷やされ、生コンクリートが低温となるため、生コンクリートの性状が変化し、品質劣化を生ずる。
これは、一般的に使用されているドラムの材質は鉄板であり、断熱性をほとんど有さないためである。
【0004】
特許文献1では、ドラムの外壁に保水部材を配置し、該保水部材に水を供給することで、ドラム本体を冷却する技術が開示されている。また、保水部材が乾燥した状態では、断熱機能を有し、ドラム内の熱が外に逃げず、保温効果を発揮させることが開示されている。
【0005】
しかしながら、気温が高い環境では、保水部材で水をドラムの外壁に供給しても、水が毛細管現象で拡散していく際に蒸発し、ドラム外壁の全体に水が十分に行きわたらない。このため、ドラム本体の温度ムラを生じることとなる。
【0006】
また、余剰の水は、ドラムから滴り落ちたり、飛び散ったりするため、周辺道路に水が飛散し、後続車や歩行者に水が降りかかるなどの迷惑をかける。さらに、水が蒸発したり、飛散したりすると、大量の水が消費され、大容量の冷却水用のタンクが必要となる。
【0007】
他方、気温が低い環境では、生コンクリートの水和反応に係る熱により、内部を加温することが期待できるが、ドラム内の生コンクリートの量により発熱量が異なる。このため、常にドラム本体の温度を一定に保持することが難しい。
【0008】
さらに、雨が降ると保水部材が水を吸収し、ドラム本体を冷やし、保温効果も期待できない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2009−269391号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、上記の問題を解消し、アジテータ車の周囲の環境温度が変化しても、ドラム本体の温度を所定の値に調整することが可能な、アジテータ車ドラムの温度調整システム及びそれに用いる水運搬シートを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、本発明のアジテータ車ドラムの温度調整システム及びそれに用いる水運搬シートは、以下のような技術的特徴を有する。
(1) アジテータ車のドラム表面に設置されるシート状部材であり、該シート状部材の表面には複数の溝が形成されており、該溝と該ドラム表面とにより水路が形成されるよう構成された水運搬シートと、水を蓄えたタンクから該水路の特定の入口に、水を供給する水供給手段と、該水路の特定の出口から排出される水を該タンクに戻す水循環手段とを備えたことを特徴とするアジテータ車ドラムの温度調整システムである。
【0012】
(2) 上記(1)に記載のアジテータ車ドラムの温度調整システムにおいて、該水供給手段の一部に、供給する水を加熱又は冷却するための水温度調節手段が設けられていることを特徴とする
【0013】
。
(3) 上記(1)又は(2)に記載のアジテータ車ドラムの温度調整システムにおいて、前記特定の入口には、アジテータ車のドラムの回転により、該入口から該水路内の水が排出されないよう、逆流抑制機構が設けられていることを特徴とする。
【0014】
(4) 上記(1)乃至(3)のいずれかに記載のアジテータ車ドラムの温度調整システムにおいて、該タンクは、アジテータ車の少なくとも一部を洗浄するための洗浄水を蓄積したタンクと兼用されていることを特徴とする。
【0015】
(5) 上記(1)乃至(4)のいずれかに記載のアジテータ車ドラムの温度調整システムに用いる水運搬シートにおいて、該水運搬シートの該溝が形成された面と反対側の表面に遮熱処理が施されていることを特徴とする。
【0016】
(6) 上記(1)乃至(4)のいずれかに記載のアジテータ車ドラムの温度調整システムに用いる水運搬シートにおいて、該水運搬シートが複数のシート状部材を互いに連結して構成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明のように、アジテータ車のドラム表面に設置されるシート状部材であり、該シート状部材の表面には複数の溝が形成されており、該溝と該ドラム表面とにより水路が形成されるよう構成された水運搬シートと、水を蓄えたタンクから該水路の特定の入口に、水を供給する水供給手段と、該水路の特定の出口から排出される水を該タンクに戻す水循環手段とを備えたことを特徴とするアジテータ車ドラムの温度調整システムであるため、水が蒸発したり、タンク本体から飛散することが抑制され、水をドラム本体の全体に行き渡らせることが可能となる。
また、温度調整に使用した水は、循環して利用することができるため、周辺道路に水が飛散することもない。
【0018】
さらに、水供給手段の一部に、供給する水を加熱又は冷却するための水温度調節手段が設けられているため、アジテータ車の周囲の環境温度の影響されることなく、ドラム本体の温度を所定温度に保つことも可能となる。
【0019】
また、上述した水路の特定の入口には、アジテータ車のドラムの回転により、該入口から該水路内の水が排出されないよう、逆流抑制機構が設けられているため、ドラムの回転により該特定の入口が下を向いても、水が周辺道路に飛散することも抑制される。
【0020】
タンクは、アジテータ車の少なくとも一部を洗浄するための洗浄水を蓄積したタンクと兼用されているため、別途、温度調節用に水タンクを用意する必要が無く、アジテータ車のコストや重量の増加を抑制することも可能である。
【0021】
アジテータ車ドラムの温度調整システムに用いる水運搬シートにおいて、該水運搬シートの該溝が形成された面と反対側の表面に遮熱処理が施されているため、アジテータ車の周囲の温度の影響を抑制することが可能となる。
【0022】
また、アジテータ車ドラムの温度調整システムに用いる水運搬シートにおいて、該水運搬シートが複数のシート状部材を互いに連結して構成されるため、タンクの外表面に水運搬シートを取付け又は取外しする作業を、容易に行うことが可能となる。さらに、分解したシート状部材は、重ねて保管することもでき、保管スペースを少なくすることも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明を適用するアジテータ車の外観を示す図である。
【
図2】本発明に係るアジテータ車タンクの温度調整システムの概略を示すブロック図である。
【
図3】本発明に係る水運搬シートの一例を示す図である。
【
図6】水運搬シートが形成する水路の入口に設置された逆流抑制機構の様子を示す図である。
【
図7】
図6に示す逆流抑制機構の応用例を示す図である。
【
図8】水運搬シートを構成する複数のシート状部材の連結機構の一例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明について図面を参照しながら、好適例により説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
図1は、本発明が適用されるアジテータ車1の概略図である。アジテータ車1のドラム1の外壁には、後述する水運搬シート3が配置されている。
【0025】
図2は、本発明のアジテータ車ドラムの温度調整システムの概略を示すブロック図である。
本発明のアジテータ車ドラムの温度調整システムは、アジテータ車のドラム2の表面に設置されるシート状部材であり、該シート状部材の表面には複数の溝が形成されており、該溝と該ドラム表面とにより水路が形成されるよう構成された水運搬シート3と、水を蓄えたタンク10から該水路の特定の入口に、水を供給する水供給手段(タンク10から水運搬シート3までの符号Bで示した部分)と、該水路の特定の出口から排出される水を該タンクに戻す水循環手段(水運搬シート3からタンク10までの符号C及びDで示した部分)とを備えたことを特徴とする。
【0026】
図2の矢印A〜Dは、水の移動ルートを示している。タンク10に蓄積された、水は、ポンプ11により水搬送シート3に供給される。その間に、水を加温又は冷却する機能を備えた水温度調整手段12を通過するよう設定されている。水温度調整手段は、公知のヒーターやクーラーなどの技術を適用して構成することが可能である。水温度調整手段としては、
図2に示すように、ポンプ11と水搬送シート3との間に配置するだけでなく、タンク10とポンプ11との間に配置しても良い。また、タンク10にヒーター等を設け、タンク10内の水を直接加温又は冷却することも可能である。
【0027】
水運搬シートから排出された水は、回収され、一旦、回収タンク13に蓄えられてから、ポンプ14によりタンク10まで戻される。このように、ドラム2の温度調整に使用した水は、循環して利用することができるため、周辺道路に水が飛散することもない。
【0028】
また、循環して使用する際に、水の蒸発や水の一部が飛散し、タンク10内の水の蓄積が少なくなった場合には、矢印Aのルートで示すように、必要に応じて、水を補給することができる。
さらに、タンク10を、アジテータ車の少なくとも一部を洗浄するための洗浄水を蓄積したタンクと兼用させることも可能である。この構成により、別途、温度調節専用の水タンクを用意する必要が無く、アジテータ車のコスト上昇や重量の増加を抑制することが可能となる。
【0029】
図3は、ドラムの外壁に巻きつけられる水運搬シートの概略図である。実施の水運搬シートは、ドラム本体に密着して配置することが必要である。ドラム本体の部位によってドラムの回転軸を中心とした直径が異なるため、巻きつけるドラムの部位によって水運搬シートの横の長さは変化している。
【0030】
水運搬シートは、シート状部材の表面に複数の溝(X1〜X4,Y1〜Y3)が形成されている。この溝は、溝が形成された面をドラム本体に密着させることで、溝とドラム表面とにより水路が形成される。溝のパターンは、
図3に示したものに限定されないが、一例として、回転しているドラムの回転方向に沿って水が移動するための溝(X1〜X4)と、ドラムの回転軸方向に沿って水が移動するための溝(Y1〜Y3)が形成されている。
【0031】
図3では、溝(X1〜X4)と溝(Y1〜Y3)とが、略直角に接続される例を示したが、本発明はこれに限定されない。ドラムが回転した際に水が円滑に運ばれるよう、ドラムの回転軸の傾きや、該回転軸に対するドラム表面の配置を考慮して、直角からずらして、溝(X1〜X4)と溝(Y1〜Y3)とを接続することも可能である。
当然、溝の本数も
図3のものに限定されるものではない。
【0032】
水運搬シートの一部を拡大して示した斜視図を、
図4及び
図5に示す。
図4は、
図3の点線31又は33で囲む領域部分を示したものである。
図5は、
図3の点線32で囲む部分を示したものである。
図4及び5は、ドラム表面に密着する面を上側にして描かれている。
【0033】
図4で示すシート状部材31(33)は、溝X1(X4)に相当する部分が符号311(331)で示され、溝Y1(Y3)に相当する部分が符号312(332)で示されている。溝311(331)や312(332)は水路を構成し、ドラムの回転に対応して、当該水路内を所定方向に水が移動することとなる。
【0034】
図5で示すシート状部材32は、溝X2及びX3に相当する部分が符号321及び323で示され、溝Y2に相当する部分が符号322で示されている。溝321〜323は水路を構成し、ドラムの回転に対応して、当該水路内を所定方向に水が移動することとなる。
【0035】
水運搬シートの素材は、軟質性クロロプレンゴムなどのように、弾性を有し、ドラム表面との密着性が良く、ドラムに巻きつけた際にも溝が潰れない程度の強度を有する素材が好ましい。また、熱伝導性が低い素材がなお好ましい。
【0036】
水運搬シートに形成する溝の幅は、10〜20mm程度であり、溝の深さは10〜15mm程度であることが好ましい。溝の幅が狭すぎると、溝が形成する水路を流れる水がドラム表面と接触する面積が少なくなり、水とドラム本体との熱交換の効率が低下する。他方、幅が広すぎると、水が溝の幅全体に広がらず、ドラム表面の広い面積に水を接触させることが難しくなる。また、溝の深さが深くなると、水路の断面積が大きくなり、水が早く流れやすくなり、熱交換に必要な十分な時間を確保することができない。さらに、溝の底面とドラム表面との間隔が広がり、水がドラム表面に接触する機会が少なくなる。溝の深さが浅い場合には、水路の断面積も狭くなり、水が水路内を円滑に流れるのを妨げられることとなる。
【0037】
このように、水が通過する水路(溝)の断面を所定サイズの形状とすることで、水の流れを円滑に維持しながら、ドラムの回転に影響されずに常にドラム表面に水が接している状況を実現することも可能となる。
【0038】
水運搬シートの断熱特性を向上させるには、水運搬シート自体を断熱性の高い素材で構成するだけでなく、水運搬シートの溝が形成されている面と反対側の表面に、遮熱塗料を塗布したり、断熱シートを貼ったりすることで、遮熱処理を施すことが、好ましい。
【0039】
さらに、水運搬シートは一枚のシート状部材で構成するだけなく、複数のシート状部材を互いに連結して構成することも可能である。分割の方法としては、
図3に示すように、ドラムの回転軸方向に沿って分離し、a1〜a4の領域に分けたり、該回転軸に垂直な方向に分離し、b1〜b3の領域、c1〜c2の領域、またはd1〜d3の領域などに分割することも可能である。
【0040】
このように、複数のシート状部材に分割することで、タンクの外表面に水運搬シートを取付け又は取外しする作業を、容易に行うことが可能となる。さらに、分解したシート状部材は、重ねて保管することもでき、保管スペースを少なくすることも可能となる。
【0041】
複数のシート状部材の連結方法は、例えば、
図8(シート状部材31,32の断面図)に示すように、両者が互いに係合する部分(31e、32e)を設けるなど、公知の連結技術を採用することが可能である。
【0042】
次に、
図6及び7を用いて、逆流抑制機構について説明する。水路の入口には、アジテータ車のドラムの回転により、該入口から水路内の水が排出されないよう、逆流抑制機構が設けられている。シート状部材31には溝311と312が形成されている。溝311が水路の入口側の溝であり、これに水の導入流路40が形成されている。導入流路40の水の導入口41は、ドラム表面を一周するように連続的形成しても、離散的に形成しても良い。離散的に形成した場合には、水供給手段から導入口41に水を注入するタイミングも、ドラムの回転に合わせて断続的に行う必要がある。図中の矢印Eは水の供給方向である。
【0043】
導入流路の導出口42は、ドラム表面に近い位置に配置される。また、溝311の深さも他の溝よりも若干深く形成することも可能である。これらの構成により、タンクの回転により、導入流路40が最下点に来た際にも、水が溝311内に止まり、導出口42から逆流することを阻止することができる。
【0044】
さらに導入流路40の内部に仕切り又は突起43を設け、ドラムの円周方向に沿って水が移動するのを抑制することが可能となる。
【0045】
以上のように、水運搬シートの構成により、水が蒸発したり飛散することが抑制され、水をドラム本体の全体に効率よく行き渡らせることが可能となる。
【0046】
水運搬シートに水を導入する箇所は、生コンクリートの導入排出口付近であっても、ドラム回転軸の付け根付近であっても良い。当然、ドラム本体の回転軸方向の途中から導入することも可能である。そして、水を導入する位置に対応して、導入する位置から遠い場所に水を排出する箇所を設けることができる。
【0047】
水運搬シートが構成する水路には、冷却水や加温水を導入することができるが、それ以外に、空気を導入し、水運搬シートを断熱シートとして機能させることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0048】
以上のように、本発明により、アジテータ車の周囲の環境温度が変化しても、ドラム本体の温度を所定の値に調整することが可能な、アジテータ車ドラムの温度調整システム及びそれに用いる水運搬シートを提供することが可能となる。
は、コンクリートの打設現場とバッチャープラントとの間を
【符号の説明】
【0049】
1 アジテータ車
2 ドラム
3 水運搬シート
10 タンク
11,14 ポンプ
12 水温度調整手段
13 回収タンク