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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-173663(P2017-173663A)
(43)【公開日】2017年9月28日
(54)【発明の名称】光変調器
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/035 20060101AFI20170901BHJP
【FI】
   G02F1/035
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-61202(P2016-61202)
(22)【出願日】2016年3月25日
(71)【出願人】
【識別番号】000183266
【氏名又は名称】住友大阪セメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116687
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 爾
(74)【代理人】
【識別番号】100098383
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 純子
(72)【発明者】
【氏名】清水 亮
(72)【発明者】
【氏名】加藤 圭
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 徳一
【テーマコード(参考)】
2K102
【Fターム(参考)】
2K102AA21
2K102BA01
2K102BA02
2K102BB01
2K102BB04
2K102BC04
2K102BD01
2K102BD09
2K102CA09
2K102DA04
2K102DB04
2K102DB05
2K102DC04
2K102DC08
2K102DD03
2K102DD04
2K102DD05
2K102DD07
2K102EA02
2K102EA07
2K102EA16
2K102EB22
(57)【要約】
【課題】
基板上で電気線の配線が交差する箇所の発生を抑制することが可能な光変調器を提供する。
【解決手段】
本発明に係る光変調器は、光導波路2を伝搬する光波を受光する受光素子3と、受光素子3の受光信号を基板1の外部に出力する出力端子5とが基板1に配置される。また、受光素子3と出力端子5とを電気的に接続する電気線4の少なくとも一部が基板1に形成される。また、光変調部Mを複数有し、少なくとも各光変調部Mに対して、受光素子3、出力端子5及び電気線4が設けられる。また、各光変調部Mに対して設けた受光素子3のうち、少なくとも1つの受光素子3を、光波進行方向の位置を他の受光素子3とは異ならせて配置した。そして、各出力端子5を、光波進行方向の並びを各受光素子3の光波進行方向の並びに対応させて配置した。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光導波路が形成された基板と、該光導波路を伝搬する光波を変調する光変調部とを有する光変調器において、
該光導波路を伝搬する光波を受光する受光素子と、該受光素子の受光信号を該基板の外部に出力する出力端子とが該基板に配置されると共に、該受光素子と該出力端子とを電気的に接続する電気線の少なくとも一部が該基板に形成され、
該光変調部を複数有し、
少なくとも各光変調部に対して、該受光素子、該出力端子及び該電気線が設けられ、
各光変調部に対して設けた受光素子のうち、少なくとも1つの受光素子は、光波進行方向の位置を他の受光素子とは異ならせて配置され、
各出力端子は、光波進行方向の並びを各受光素子の光波進行方向の並びに対応させて配置されたことを特徴とする光変調器。
【請求項2】
請求項1に記載の光変調器において、
該光導波路は、複数の光導波路部分を並列に有し、
少なくとも1つの受光素子は、隣り合う2つの光導波路部分に跨って配置されると共に、一方の光導波路部分を伝搬する光波を受光する第1の受光部と、他方の光導波路部分を伝搬する光波を受光する第2の受光部とが1つの受光素子内に設けられていることを特徴とする光変調器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光変調器に関し、特に、電気光学効果を有する基板と、該基板に形成された光導波路と、該光導波路を伝搬する光波を変調するための変調電極とを有する光変調器に関する。
【背景技術】
【0002】
光通信分野や光計測分野において、マッハツェンダー型光導波路を有する強度変調器や位相変調器など各種の光変調器が用いられている。マッハツェンダー型光導波路から出力される光の強度変化は、変調電極に印加される電圧に対して例えば正弦関数的な特性を示す。光変調器の用途に応じて、最適な出力光の強度を得るため、変調電極に印加される変調信号は、適切な動作バイアス点に設定することが必要となる。
【0003】
このため、従来では、光変調器から出力される信号光の一部、あるいはマッハツェンダー型光導波路の合波部から放射される放射光を、モニタ光として、光検出器のような受光素子で検出し、光変調器の出力光の強度の状態をモニタすることが行われている。そして、受光素子の検出値(モニタ出力)に基づき、変調電極に印加される変調信号の動作バイアス点を調整(バイアス制御)している。
【0004】
このような光変調器に関し、これまでに種々の発明が提案されている。
例えば、特許文献1には、基板上に受光素子を配置した場合でも、受光素子の受光感度を高めると共に、受光素子の周波数帯域の低下を抑制するようにした光変調器が開示されている。また、特許文献2には、マッハツェンダー型光導波路の合波部からの2つの放射光を同時に受光モニタする場合でも、受光素子の周波数帯域の低下を抑制するようにした光変調器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2015−138145号公報
【特許文献2】特開2015−194517号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年の通信の大容量化に伴い、1つの基板に複数の光変調部を設け、光変調部毎に異なる変調信号を変調電極に印加して光変調を行う構造の光変調器が開発されている。また、複数の光変調部が設けられた基板を複数備えた多素子構造の光変調器も開発されている。このような光変調器では、各々の光変調部で独立に変調信号のバイアス制御を行うために、基板に多数の受光素子を配置して、光変調部毎にモニタ光を検出する構成となる。
【0007】
また、通信の高速化に伴って、受光素子の受光帯域の高周波数化も進められている。高速通信に対応した受光帯域を確保するためには、受光素子の受光信号を伝搬する電気線をなるべく短く配線する必要がある。しかしながら、基板に多数の受光素子を配置する構造で電気線を短く配線しようとすると、配線の自由度が少ないために、基板上で電気線の配線が交差(クロス)する箇所が多数発生しかねない。電気線の配線が交差する付近では、電気的クロストークが発生し易くなり、電気線を伝搬する受光信号にノイズが含まれるという問題が生じる懸念がある。
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、上述したような問題を解決し、基板上で電気線の配線が交差する箇所の発生を抑制することが可能な光変調器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明の光変調器は、以下のような技術的特徴を有する。
(1) 光導波路が形成された基板と、該光導波路を伝搬する光波を変調する光変調部とを有する光変調器において、該光導波路を伝搬する光波を受光する受光素子と、該受光素子の受光信号を該基板の外部に出力する出力端子とが該基板に配置されると共に、該受光素子と該出力端子とを電気的に接続する電気線の少なくとも一部が該基板に形成され、該光変調部を複数有し、少なくとも各光変調部に対して、該受光素子、該出力端子及び該電気線が設けられ、各光変調部に対して設けた受光素子のうち、少なくとも1つの受光素子は、光波進行方向の位置を他の受光素子とは異ならせて配置され、各出力端子は、光波進行方向の並びを各受光素子の光波進行方向の並びに対応させて配置されたことを特徴とする。
【0010】
(2) 上記(1)に記載の光変調器において、該光導波路は、複数の光導波路部分を並列に有し、少なくとも1つの受光素子は、隣り合う2つの光導波路部分に跨って配置されると共に、一方の光導波路部分を伝搬する光波を受光する第1の受光部と、他方の光導波路部分を伝搬する光波を受光する第2の受光部とが1つの受光素子内に設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の光変調器は、光導波路が形成された基板と、該光導波路を伝搬する光波を変調する光変調部とを有する光変調器において、該光導波路を伝搬する光波を受光する受光素子と、該受光素子の受光信号を該基板の外部に出力する出力端子とが該基板に配置されると共に、該受光素子と該出力端子とを電気的に接続する電気線の少なくとも一部が該基板に形成され、該光変調部を複数有し、少なくとも各光変調部に対して、該受光素子、該出力端子及び該電気線が設けられ、各光変調部に対して設けた受光素子のうち、少なくとも1つの受光素子は、光波進行方向の位置を他の受光素子とは異ならせて配置され、各出力端子は、光波進行方向の並びを各受光素子の光波進行方向の並びに対応させて配置されたため、基板上で電気線の配線が交差する箇所の発生を抑制することが可能な光変調器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明に係る光変調器の第1実施例を説明する平面図である。
図2】本発明に係る光変調器の第2実施例を説明する平面図である。
図3】本発明に係る光変調器に第3実施例を説明する平面図である。
図4】本発明に係る光変調器に第4実施例を説明する平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る光変調器について詳細に説明する。
本発明の光変調器は、図1図3に示すように、光導波路2が形成された基板1と、該光導波路2を伝搬する光波を変調する光変調部Mとを有する光変調器に関するものである。
該光変調器は、該光導波路2を伝搬する光波を受光する受光素子3と、該受光素子3の受光信号を該基板1の外部に出力する出力端子5とが該基板1に配置される。また、該受光素子3と該出力端子5とを電気的に接続する電気線4の少なくとも一部が該基板1に形成される。また、該光変調部Mを複数有し、少なくとも各光変調部Mに対して、該受光素子3、該出力端子5及び該電気線4が設けられる。また、各光変調部Mに対して設けた受光素子3のうち、少なくとも1つの受光素子3は、光波進行方向の位置を他の受光素子3とは異ならせて配置される。そして、各出力端子5は、光波進行方向の並びを各受光素子3の光波進行方向の並びに対応させて配置される。
【0014】
図1には、本発明に係る光変調器の第1実施例を説明する平面図を示してある。
基板1としては、石英、半導体など光導波路を形成できる基板や、電気光学効果を有する基板である、LiNbO(ニオブ酸リチウム),LiTaO(タンタル酸リチウム)又はPLZT(ジルコン酸チタン酸鉛ランタン)のいずれかの単結晶などを用いた基板がある。
【0015】
基板1に形成する光導波路2は、例えば、LiNbO基板(LN基板)上にチタン(Ti)などの高屈折率物質を熱拡散することにより形成される。また、光導波路となる部分の両側に溝を形成したリブ型光導波路や光導波路部分を凸状としたリッジ型導波路も利用可能である。また、PLC等の異なる基板に光導波路を形成し、これらの基板を貼り合せ集積した光回路にも、本発明を適用することが可能である。
【0016】
基板1には、光導波路2を伝搬する光波を変調するための変調電極(不図示)が設けられる。変調電極は、信号電極や接地電極から構成され、基板表面に、Ti・Auの電極パターンを形成し、金メッキ方法などにより形成する。さらに、必要に応じて光導波路形成後の基板表面に誘電体SiO等のバッファ層を設けることも可能である。なお、基板1(光導波路2)内を伝搬する信号光を、受光素子3側に導出する領域においては、バッファ層を形成すると、信号光を効率良く導出することが難しくなるため、当該領域にはバッファ層を形成しないことが好ましい。また、バッファ層を介して受光素子3を配置する場合には、受光感度を確保するには、受光素子3を配置する領域のバッファ層の厚みを他の領域よりも薄くする方がよい。
【0017】
受光素子3は光導波路2に直接接触させてもよいが、光導波路2から放射される光(エバネセント波)を効率よく抽出するには、光導波路2上に高屈折率膜を形成してその上に配置することが好ましい。この場合、高屈折率膜の屈折率は、光導波路2の屈折率よりも高く、受光素子基板の屈折率よりも低く設定する必要がある。また、例えば特開2013−80009号公報に開示されているように、基板1(あるいは光導波路2等)に溝又は反射部材を配置して、信号光の一部を反射により受光素子の方に導くように構成してもよい。
【0018】
本実施例の光変調器は、変調電極に変調信号を印加して光変調を行う4つの光変調部M(a)〜M(d)を並列に有している。光変調部M(a)〜M(d)は、互いに異なる変調信号を用いて光変調を行っており、各々独立に変調信号のバイアス制御を行うように構成されている。各光変調部を並列に有するとは、光波進行方向(図1における左右方向)の位置が一致することを求めるものではなく、光波進行方向の位置がずれていても構わない。
なお、互いに異なる変調信号を用いて光変調を行う光変調部としては、本実施例のように1つのマッハツェンダー型光導波路で形成したものに限定されない。すなわち、例えば、2つのマッハツェンダー型光導波路を入れ子型に配置したネスト型光導波路で形成したもの、2つのネスト型光導波路を更に入れ子型に配置したものなど、種々の形状のものを用いることができる。
【0019】
基板1には、各光変調部Mに対応させて、光導波路2を伝搬する光波を受光部31で受光する受光素子3と、受光素子3の受光信号を基板1の外部に出力する出力端子5と、受光素子3と出力端子5とを電気的に接続する電気線4の少なくとも一部が設けられる。本例では、基板1として、20μm以下の厚みの基板を用いているが、基板の厚みは任意である。
本実施例では、光変調部M(a)に対して、受光素子3(#1)、電気線4(#1)、出力端子5(#1)を有する第1の受光系統が設けられている。また、光変調部M(c)に対して、受光素子3(#2)、電気線4(#2)、出力端子5(#2)を有する第2の受光系統が設けられている。また、光変調部M(b)に対して、受光素子3(#3)、電気線4(#3)、出力端子5(#3)を有する第3の受光系統が設けられている。また、光変調部M(d)に対して、受光素子3(#4)、電気線4(#4)、出力端子5(#4)を有する第4の受光系統が設けられている。
【0020】
各受光素子3は、各光変調部Mの出力導波路21を伝搬して光変調器から出力される信号光の一部をモニタ光として検出する。なお、図2を参照して後述するように、各光変調部Mを構成する各々のマッハツェンダー型光導波路の合波部から放射される放射光を、モニタ光として検出してもよい。また、基板が或る程度の厚みを有する場合には、各受光素子3を基板に埋め込む構成とすることもできる。
【0021】
本実施例では、各光変調部Mの出力導波路21に対して、出力導波路21を伝搬する信号光の一部を抽出するモニタ用導波路22を設けてある。このモニタ用導波路22は、出力導波路21から抽出した信号光を、対応する受光素子3に導くように形成されている。
すなわち、本実施例における各受光素子3は、それぞれ、対応する光変調部Mで変調された信号光の一部をモニタ光として検出する構成となっている。なお、出力導波路21に重ねて受光素子3を配置すると共に、出力導波路21の断面の一部に溝や反射部材を設けることで、出力導波路21から信号光の一部を直接取り出して受光素子3で受光するようにしてもよい。
【0022】
各受光素子3から出力される各々の受光信号は、その受光素子3に接続された電気線4を伝搬して出力端子5に到達し、出力端子5から基板1の外部に出力される。
本実施例では、各電気線4の全区間を基板1上に形成しているが、一部の区間を基板1から離して形成するようにしてもよい。
【0023】
本発明では、光変調器の小型化を進めるにあたり、各受光素子3の受光帯域を確保するために、各電気線4の配線がなるべく短くなるように形成しつつ、電気線4同士が交差する箇所の発生を抑制するために、受光素子3と出力端子5の配置を工夫している。
すなわち、本発明に係る光変調器では、基板1の幅方向における受光素子部分の長さL1を短縮すべく、各光変調部Mに対して設けた受光素子3のうち、少なくとも1つの受光素子3を、光波進行方向の位置を他の受光素子3とは異ならせて配置する。ここで、幅方向とは、光波進行方向に直交し且つ基板1の面に平行な方向であり、図1における上下方向である。受光素子3は幅方向に或る程度の長さを有するため、各受光素子3の光波進行方向の位置を揃える場合には、受光素子3の個数をN、幅方向の長さをL2とすると、基板1の幅方向の長さL1は、L1=L2×Nとなる。
これに対し、本発明に係る光変調器では、少なくとも1つの受光素子3を、光波進行方向の位置を他の受光素子3とは異ならせて配置するので、基板1の幅方向の長さL1をL2×N以下に短縮できる。
また、本発明に係る光変調器では、各出力端子5を、光波進行方向の並びを各受光素子3の光波進行方向の並びに対応させて配置する。これにより、受光素子3と出力端子5とを結ぶ電気線4の配線を短くでき、電気線4同士が交差する箇所も少なくできる。
【0024】
受光素子3、電気線4及び出力端子5の具体的な配置について、図1を参照して説明する。
図1では、基板1の光波進行方向に沿った端辺の一方(図中下側の端辺)に、各出力端子5を配置してある。また、各受光素子3は、出力端子側とは逆側の端辺(図中上側の端辺)から、受光素子3(#1),3(#3),3(#2),3(#4)の順に配置してある。
【0025】
これら受光素子3は、基板1の幅方向の長さを短縮するために、隣り合う受光素子同士で光波進行方向の位置が異なるように配置されている。また、これら受光素子3のうち、受光素子3(#1)及び受光素子3(#2)の光波進行方向の位置を、受光素子3(#3)及び受光素子3(#4)の光波進行方向の位置よりも光波進行方向の下流側にずらして配置してある。
これに対応して、出力端子5(#1)及び出力端子5(#2)の光波進行方向の位置が、出力端子5(#3)及び出力端子5(#4)の光波進行方向の位置よりも下流側となる並びで配置してある。
【0026】
また、光波進行方向の位置が同じ受光素子3が複数ある場合には、出力端子側の端辺に近い受光素子3に対する出力端子5ほど受光素子側に近い位置に配置する。例えば、受光素子3(#1)と受光素子3(#2)では、受光素子3(#2)の方が出力端子側の端辺に近いので、出力端子5(#2)の方を受光素子側に近い位置に配置する。
【0027】
このような構成によれば、各電気線4を、受光素子3から光波進行方向に延伸させた後、出力端子方向に向かって延伸させるシンプルな配線とすることができる。これにより、基板1上で電気線4の配線が交差する箇所の発生を抑制できるとともに、電気線4の配線を短くすることができる。
【0028】
図2には、本発明に係る光変調器の第2実施例を説明する平面図を示してある。
本実施例では、光変調部M(a)に対して、受光素子3(#1)、電気線4(#1)、出力端子5(#1)を有する第1の受光系統が設けられている。また、光変調部M(b)に対して、受光素子3(#2)、電気線4(#2)、出力端子5(#2)を有する第2の受光系統が設けられている。また、光変調部M(c)に対して、受光素子3(#3)、電気線4(#3)、出力端子5(#3)を有する第3の受光系統が設けられている。また、光変調部M(d)に対して、受光素子3(#4)、電気線4(#4)、出力端子5(#4)を有する第4の受光系統が設けられている。
なお、各光変調部Mは、1つのマッハツェンダー型光導波路で形成したもの、2つのマッハツェンダー型光導波路を入れ子型に配置してネスト型光導波路としたもの、2つのネスト型光導波路を更に入れ子型に配置したものなど、種々の形状とすることができる。
【0029】
また、本実施例では、各光変調部Mの出力導波路21の両側に、光変調部Mを構成するマッハツェンダー型光導波路の合波部から放射される放射光を導く放射光導波路23を設け、出力導波路21及び放射光導波路23を覆うように受光素子3が配置されている。
すなわち、本実施例における各受光素子3は、それぞれ、対応する光変調部Mを構成するマッハツェンダー型光導波路の合波部からの放射光をモニタ光として検出する構成となっている。
なお、出力導波路21と受光素子3の間には、低屈折率構造(出力導波路より低い屈折率を持つ構造)を設けてあり、出力導波路を伝搬する信号光が受光素子へ入射することを抑制している。低屈折率構造としては、SiO等の膜を配置する構造や、空気層を介在させる構造などが挙げられる。
【0030】
図2では、基板1の光波進行方向に沿った端辺の一方(図中下側の端辺)に、各出力端子5を配置してある。また、各受光素子3は、出力端子側とは逆側の端辺(図中上側の端辺)から、受光素子3(#1),3(#2),3(#3),3(#4)の順に配置してある。
【0031】
これら受光素子3は、基板1の幅方向の長さを短縮するために、光波進行方向の位置が全て異なるように配置されている。具体的には、光進行方向の上流から下流に向かって、受光素子3(#4),3(#3),3(#2),3(#1)の順にずらして配置してある。
これに対応して、光進行方向の上流から下流に向かって、出力端子5(#4),5(#3),5(#2),5(#1)となる並びで配置してある。
【0032】
このような構成でも、各電気線4を、受光素子3から光波進行方向に延伸させた後、出力端子方向に向かって延伸させるシンプルな配線とすることができる。これにより、基板1上で電気線4の配線が交差する箇所の発生を抑制できるとともに、電気線4の配線を短くすることができる。この配置により懸念される電気的クロストークは、並行する電気線4(#1)〜4(#4)の間にクロストーク抑制手段を配設することで抑制できる。クロストーク抑制手段としては、光変調器の筐体に接続して接地された金属などを用いることができる。
【0033】
図3には、本発明に係る光変調器の第3実施例を説明する平面図を示してある。
本実施例では、光変調部M(a)に対して、受光素子3(#1)、電気線4(#1)、出力端子5(#1)を有する第1の受光系統が設けられている。また、光変調部M(b)に対して、受光素子3(#2)、電気線4(#2)、出力端子5(#2)を有する第2の受光系統が設けられている。また、光変調部M(c)に対して、受光素子3(#2)、電気線4(#3)、出力端子5(#3)を有する第3の受光系統が設けられている。また、光変調部M(d)に対して、受光素子3(#3)、電気線4(#4)、出力端子5(#4)を有する第1の受光系統が設けられている。
なお、各光変調部Mは、1つのマッハツェンダー型光導波路で形成したもの、2つのマッハツェンダー型光導波路を入れ子型に配置してネスト型光導波路としたもの、2つのネスト型光導波路を更に入れ子型に配置したものなど、種々の形状とすることができる。
【0034】
また、本実施例では、第1実施例(図1)と同様に、各光変調部Mの出力導波路21に対して、出力導波路21を伝搬する信号光の一部を抽出するモニタ用導波路22を設けてある。このモニタ用導波路22は、出力導波路21から抽出した信号光を、対応する受光素子3に導くように形成されている。
すなわち、本実施例における各受光素子3は、それぞれ、対応する光変調部Mで変調された信号光の一部をモニタ光として検出する構成となっている。なお、出力導波路21に重ねて受光素子3を配置すると共に、出力導波路21の断面の一部に溝や反射部材を設けることで、出力導波路21から信号光の一部を直接取り出して受光素子3で受光するようにしてもよい。
【0035】
また、本実施例では、光変調部M(b)と光変調部M(c)とで1つの受光素子3(#2)を共用する構成となっている。具体的には、光変調部M(b)に対するモニタ用導波路22と光変調部M(c)に対するモニタ用導波路22とが並列に形成され、これら導波路部分を跨ぐように受光素子3(#2)を配置してある。受光素子3(#2)は、光変調部M(b)に対するモニタ用導波路22を伝搬する光波を受光する第1の受光部31aと、光変調部M(c)に対するモニタ用導波路22を伝搬する光波を受光する第2の受光部31bとが、1つの受光素子内に設けられている。なお、各モニタ用導波路22が並列に形成されるとは、光波進行方向(図3における左右方向)の位置が一致することを求めるものではなく、光波進行方向がずれていても構わないが、1つの受光素子3を共用できる程度に重複する区間を有することが好ましい。
このように、1つの受光素子3で複数の光波を受光する構成にすることで、基板上の受光素子数を削減することができるので、基板の小型化を図る際に有効である。
【0036】
図3では、基板1の光波進行方向に沿った端辺の一方(図中下側の端辺)に、各出力端子5を配置してある。また、各受光素子3は、出力端子側とは逆側の端辺(図中上側の端辺)から、受光素子3(#1),3(#2),3(#3)の順に配置してある。
【0037】
これら受光素子3は、基板1の幅方向の長さを短縮するために、光波進行方向の位置が全て異なるように配置されている。具体的には、光進行方向の上流から下流に向かって、受光素子3(#3),3(#2),3(#1)の順にずらして配置してある。
これに対応して、光進行方向の上流から下流に向かって、出力端子5(#4),5(#3),5(#2),5(#1)となる並びで配置してある。
また、出力端子側の端辺に最も近い受光素子3(#3)に対する電気線4(#4)は、他の受光素子3(#1),3(#2)に対する電気線4(#1)〜(#3)とは光波進行方向の異なる位置から受光素子3に接続されている。すなわち、電気線4(#1)〜(#3)は、受光素子3に対して光進行方向の下流側に接続されているのに対し、電気線4(#4)は、受光素子3に対して光進行方向の上流側に接続されている。
【0038】
このような構成でも、各電気線4を、受光素子3から光波進行方向に延伸させた後、出力端子方向に向かって延伸させるシンプルな配線とすることができる。これにより、基板1上で電気線4の配線が交差する箇所の発生を抑制できるとともに、電気線4の配線を短くすることができる。
【0039】
これまでの説明では、1枚の基板に複数の光変調部を設けた光変調器を例にしたが、本発明は、複数の光変調部が設けられた基板を複数備えた多素子構造の光変調器にも適用することができる。
図4には、本発明に係る光変調器に第4実施例を説明する平面図を示してある。
同図の光変調器は、波長λ1の光波が入力される第1の基板1(A)と、波長λ2の光波が入力される第2の基板1(B)を備えている。基板1(A)は、2つの主変調部を有し、これら主変調部はそれぞれ2つの副変調部を有している。また、副変調部の各々に対して受光素子61(A)が設けられると共に、主変調部の各々に対しても受光素子62(A)が設けられている。主変調部に対する受光素子62(A)は必須である一方で、副変調部に対する受光素子61(A)は省略可能であるが、より正確な変調制御を行うには、受光素子61(A)を設けることが好ましい。基板2(A)も、基板1(A)と同様な光変調部や受光素子を有している。
【0040】
基板1(B)には、受光素子61(B),62(B)による受光信号を外部に出力するための出力端子81(B),82(B)が設けられる。また、基板1(B)には、基板1(A)側の受光素子61(A),62(A)による受光信号を外部に出力するための出力端子81(A),82(A)も設けられる。すなわち、基板1(A)で検出した受光信号は、基板1(B)を介して外部へ出力されるように構成されている。
受光素子61(A)と出力端子81(A)、受光素子62(A)と出力端子82(A)、受光素子61(B)と出力端子81(B)、受光素子62(B)と出力端子82(B)は、それぞれ電気線により接続されている。
【0041】
このような多素子構造の光変調器でも、受光素子を光波進行方向の位置を異ならせて配置する場合に、その配置に対応する並びで出力端子を配置することで、受光素子と出力端子とを電気的に接続する電気線の配線をシンプルにすることができる。これにより、基板上で電気線の配線が交差する箇所の発生を抑制できるとともに、電気線の配線を短くすることができる。
【0042】
なお、図4では、受光素子61(A),61(B)は放射光導波路を伝搬する放射光を受光し、受光素子62(A),62(B)はモニタ用導波路を伝搬するモニタ光を受光する構成となっているが、このような構成に限定されないことはいうまでもない。すなわち、受光素子61(A),61(B)で、出力導波路を伝搬する信号光の一部またはモニタ用導波路を伝搬するモニタ光を受光する構成にしてもよい。また、受光素子62(A),62(B)で、出力導波路を伝搬する信号光の一部または放射光導波路を伝搬する放射光を受光するようにしてもよい。
【0043】
以上、実施例に基づいて本発明を説明したが、本発明は上述した内容に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜設計変更可能であることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0044】
以上、説明したように、本発明によれば、基板上で電気線の配線が交差する箇所の発生を抑制することが可能な光変調器を提供することができる。
【符号の説明】
【0045】
1,1A,1B 基板
2 光導波路
3(#1)〜3(#4),61(A),61(B),62(A),62(B) 受光素子
4(#1)〜4(#4) 電気線
5(#1)〜5(#4),81(A),81(B),82(A),82(B) 出力端子
21 出力導波路
22 モニタ用導波路
23 放射光導波路
31,31a,31b 受光部
M(a)〜M(d) 光変調部
図1
図2
図3
図4