【実施例】
【0023】
本発明の生体音取得装置に係る実施例を図面に基づいて説明する。以下の実施例では、生体音取得装置の一例として電子聴診器に係る実施例について説明する。
【0024】
<第1実施例>
電子聴診器に係る第1実施例について、
図1乃至
図3を参照して説明する。
図1は、第1実施例に係る電子聴診器の構成を示すブロック図である。
図2は、聴診器の周波数特性の一例を示す図である。
図3は、第1実施例に係る周波数特性記憶部に記憶されている周波数特性情報の一例である。
【0025】
図1において、電子聴診器1は、生体音取得部11、イコライザ(EQ)付与部12、出力部13、記憶制御部14、生体情報記憶部15、周波数特性記憶部16及び設定部17を備えて構成されている。
【0026】
生体音取得部11は、例えばマイク、振動素子等を含んでおり、電子聴診器1のチェストピースの一部を構成している。生体音取得部11は、被験者の生体音を取得して電気信号に変換する。生体音取得部11から出力された電気信号は、イコライザ付与部12を介して、例えばイヤホン、スピーカ等を含む出力部13に入力される。
【0027】
尚、生体音取得部11及び出力部13には、既存の技術を適用可能であるので、その詳細についての説明は割愛する。
【0028】
周波数特性記憶部16には、複数の周波数特性情報が予め記憶されている(
図3参照)。設定部17は、周波数特性記憶部16に記憶されている複数の周波数特性情報のうち、ユーザインターフェイス(図示せず)を介してユーザにより選択された一の周波数特性情報を示す信号を、イコライザ付与部12に送信する。尚、周波数特性記憶部16に記憶されている周波数特性情報は、例えば外部の装置と通信等することで、適宜追加、更新されるような構成としてもよい。
【0029】
イコライザ付与部12は、周波数特性記憶部16から該一の周波数特性情報に対応するイコライザ設定値を取得し、該一の周波数特性情報により示される周波数特性となるように、生体音取得部11から出力された電気信号の周波数特性を変更して、出力信号を生成する。
【0030】
ここで、電子聴診器、アナログ聴診器を問わず聴診器の周波数特性は、聴診器によって又は聴診器メーカによって異なる(
図2参照)。このため、例えば
図2(a)に示す周波数特性を有する聴診器を使用しているユーザが、
図2(b)に示す周波数特性を有する聴診器を使用すると違和感を覚えることが多い。
【0031】
特に、聴診は、医師等のユーザの経験に負うところが大きいので、ユーザが普段使用している聴診器とは異なる他の聴診器を用いて聴診すると、聴診知見に影響が出る可能性がある。
【0032】
当該電子聴診器1では、ユーザにより選択された一の周波数特性情報に基づいて、イコライザ付与部12により、生体音取得部11から出力された電気信号の周波数特性が変更されるので、ユーザの違和感を低減することができる。この結果、聴診器に起因する聴診知見への影響を低減する又はなくすことができる。
【0033】
周波数特性記憶部16に記憶されている複数の周波数特性情報は、例えば
図3に示すように、聴診器メーカ毎に(ここでは、A社、B社、C社、…)、グループ化されていることが望ましい。また、当該電子聴診器1が、ユーザインターフェイスとして表示画面を備えている場合には、周波数特性記憶部16に記憶されている複数の周波数特性情報に基づいて、聴診器メーカと機種名とが、該表示画面に表示されてよい。
【0034】
再び
図1に戻り、記憶制御部14は、生体音取得部11から出力された電気信号を、例えば不揮発性メモリ等である生体情報記憶部15に記憶する(つまり、録音する)。このように構成すれば、生体情報記憶部15に記憶された電気信号を随時再生することができ、特に、ユーザが、診断支援ソフト等を用いて被験者の生体音を解析する場合に有用である。
【0035】
尚、被験者の生体音の解析には、生体音取得部11から出力された電気信号(所謂生信号)が望ましいことが、本願発明者の研究により判明している。
【0036】
本実施例に係る「生体音取得部11」、「イコライザ付与部12」及び「生体情報記憶部15」は、夫々、本発明に係る「変換部」、「信号処理部」及び「記憶装置」の一例である。
【0037】
<第2実施例>
電子聴診器の第2実施例について、
図4を参照して説明する。第2実施例では、周波数特性記憶部及び生体情報記憶部が、電子聴診器とは異なる外部装置に設けられている以外は、上述した第1実施例と同様である。よって、第2実施例について、第1実施例と重複する説明を省略すると共に、図面上における共通箇所には同一符号を付して示し、基本的に異なる点についてのみ、
図4を参照して説明する。
図4は、
図1と同趣旨の、第2実施例に係る電子聴診器の構成を示すブロック図である。
【0038】
図4において、電子聴診器2は、生体音取得部11、イコライザ付与部12、出力部13、記憶制御部14、設定部17、通信部21及びRAM22を備えて構成されている。
【0039】
設定部17は、通信部21を介して、サーバ30の周波数特性記憶部31に記憶されている複数の周波数特性情報のうち、ユーザインターフェイス(図示せず)を介してユーザにより選択された一の周波数特性情報を示す信号を、イコライザ付与部12に送信する。
【0040】
イコライザ付与部12は、通信部21を介して、周波数特性記憶部31から該一の周波数特性情報に対応するイコライザ設定値を取得し、該一の周波数特性情報により示される周波数特性となるように、生体音取得部11から出力された電気信号の周波数特性を変更して、出力信号を生成する。
【0041】
記憶制御部14は、生体音取得部11から出力された電気信号を、通信部21を介して、パーソナルコンピュータ(PC)40の生体情報記憶部41に記憶する。
【0042】
尚、周波数特性記憶部及び生体情報記憶部のうち一方が電子聴診器に内蔵されており、周波数特性記憶部及び生体情報記憶部の他方が、外部装置に設けられていてもよい。
【0043】
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う生体音取得装置もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。