【構成】夫々が映像信号に基づく輝度レベルを画素毎に表す第1〜第Nの階調電圧を増幅して得た第1〜第Nの画素駆動電圧を表示デバイスに出力する第1〜第Nの出力アンプと、第1〜第Nの出力アンプ各々の出力電流容量を個別又は複数のグループ毎に設定する出力電流容量設定部と、を有する。
前記出力電流容量設定部は、前記第1〜第Nの出力アンプに夫々対応した第1〜第Nの設定信号を生成して、夫々に対応した前記第1〜第Nの出力アンプに供給することにより前記第1〜第Nの出力アンプの各々の前記出力電流容量を設定することを特徴とする請求項1記載の表示ドライバ。
前記出力電流容量設定部は、前記第1〜第Nの出力アンプをk(kは2以上でありN/2未満の整数)個のグループに群分けした各グループに夫々対応した第1〜第kの設定信号を生成し、前記第1〜第kの設定信号を、夫々に対応した前記グループに属する前記出力アンプの各々に供給することにより前記第1〜第Nの出力アンプの各々の前記出力電流容量を設定することを特徴とする請求項1記載の表示ドライバ。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0011】
図1は、本発明に係る表示ドライバとしてのソースドライバ13を搭載した表示装置100の概略構成を示すブロック図である。
図1に示すように、かかる表示装置100は、駆動制御部11、走査ドライバ12、ソースドライバ13、及び表示デバイス20を含む。
【0012】
表示デバイス20は、例えば液晶又は有機ELパネル等からなる。表示デバイス20には、2次元画面の水平方向に伸張するm個(mは2以上の自然数)の水平走査ラインS
1〜S
mと、2次元画面の垂直方向に伸張するn個(nは2以上の自然数)のソースラインD
1〜D
nとが形成されている。水平走査ライン及びソースラインの各交差部の領域には、画素を担う表示セルが形成されている。
【0013】
駆動制御部11は、映像信号中から水平同期信号を抽出しこれを走査ドライバ12に供給する。また、駆動制御部11は、かかる映像信号に基づき、画素毎にその画素の輝度レベルを例えば8ビットで表す画素データPDの系列を生成し、これを画素データ信号PDSとしてソースドライバ13に供給する。
【0014】
走査ドライバ12は、上記した水平同期信号に同期させて水平走査パルスを生成し、これを表示デバイス20の水平走査ラインS
1〜S
mの各々に順次印加する。
【0015】
ソースドライバ13は、例えば半導体チップに形成されており、画素データ信号PDS中の画素データPDの系列を取り込む。そして、1水平走査ライン分、つまりソースラインの総数であるn個の画素データPDの取り込みが為される度に、ソースドライバ13は、取り込んだn個の画素データPDを、夫々が示す輝度レベルに対応した電圧値を有する画素駆動電圧に変換して表示デバイス20のソースラインD
1〜D
nに印加する。
【0016】
図2は、ソースドライバ13の内部構成を示すブロック図である。
図2に示すように、ソースドライバ13は、シフトレジスタ131、データラッチ部132、階調電圧変換回路133、及び出力回路134を有する。
【0017】
シフトレジスタ131は、駆動制御部11から供給された画素データ信号PDS中から画素データPDの系列を取り込み、1水平走査ライン分(n個)の画素データPDを画素データP
1〜P
nとしてデータラッチ部132に供給する。
【0018】
データラッチ部132は、画素データP
1〜P
nを取り込み、夫々を画素データE
1〜E
nとして階調電圧変換回路133に供給する。
【0019】
階調電圧変換回路133は、上記画素データE
1〜E
nを、夫々の輝度レベルに対応した電圧値を有する階調電圧V
1〜V
nに変換して出力回路134に供給する。
【0020】
出力回路134は、階調電圧V
1〜V
nを夫々個別に増幅することにより画素駆動電圧G
1〜G
nを生成し、これら画素駆動電圧G
1〜G
nを夫々に対応した外部配線U
1〜U
nを介して表示デバイス20のソースラインD
1〜D
nに夫々印加する。
【0021】
なお、
図2に示すように、表示デバイス20の横幅よりも小さなチップサイズのソースドライバ13を表示デバイス20の一辺に沿って、且つその一辺の中央に配置した場合、出力回路134とソースラインD
1〜D
nとを接続する外部配線U
1〜U
nの配線長は、表示デバイス20の一辺の中央部で最も短く、両端部に向かうにつれて長くなる。
【0022】
例えばnが偶数の場合、
図1に示す一例では、外部配線U
1〜U
nのうちの中央部に配置されている外部配線U
Q及びU
Q+1(Q:n/2)の配線長が最も短く、両端部に配置されている外部配線U
1及びU
nの配線長が最も長くなる。したがって、外部配線U
1〜U
n各々の配線抵抗の値も表示デバイス20の一辺の中央部で小さく、両端部に向かうにつれて大きくなる。これにより、外部配線U
1、U
2、・・・、U
Q、U
Q+1、・・・、U
n-1、U
nでの伝送遅延は、U
1(U
n)が最大となり、U
2(U
n-1)、U
3(U
n-2)、・・・、U
Q(U
Q+1)の順に小さくなっていく。
【0023】
また、nが奇数の場合には、外部配線U
1〜U
nのうちの中央部に配置されている外部配線U
Q(Q:[n+1]/2)の配線長が最も短く、両端部に配置されている外部配線U
1及びU
nの配線長が最も長い。したがって、外部配線U
1、U
2、・・・、U
Q-1、U
Q、U
Q+1、・・・、U
n-1、U
nでの伝送遅延は、U
1(U
n)が最大となり、U
2(U
n-1)、U
3(U
n-2)、・・・、U
Q-1(U
Q+1)、U
Qの順に小さくなっていく。
【0024】
図3は、出力回路134の内部構成の一例を示す回路図である。
図3に示すように、出力回路134は、バイアス電圧生成部30a及び30bと、バイアス電圧アンプ31a、31b、32a及び32bと、バイアス電圧供給路33a及び33bと、階調電圧V
1〜V
nに夫々対応して設けられたnチャネル分のアンプAP
1〜AP
nとを有する。
【0025】
バイアス電圧生成部30aは、高電位側のバイアス電位VB
H、及び当該バイアス電位VB
Hよりも低電位を有する低電位側のバイアス電位VB
Lを生成する。バイアス電圧アンプ31aは、バイアス電圧生成部30aで生成されたバイアス電位VB
Hを増幅して得られた電位をバイアス電圧供給路33aの一端に供給する。バイアス電圧アンプ32aは、バイアス電圧生成部30aで生成されたバイアス電位VB
Lを増幅して得られた電位をバイアス電圧供給路33aの他端に供給する。
【0026】
バイアス電圧供給路33aは、
図3に示すように抵抗R
1〜R
Qが直列に接続された分圧抵抗部を含む。この際、抵抗R
1の一端が、上記したバイアス電圧供給路33aとしての一端となり、抵抗R
Qの他端がバイアス電圧供給路33aとしての他端となる。また、バイアス電圧供給路33aでは、抵抗R
1の他端が、抵抗R
2の一端に接続されており、両者の接続点の電圧がバイアス電圧B
1としてアンプAP
1に供給される。また、バイアス電圧供給路33aでは、抵抗R
2の他端が、抵抗R
3の一端に接続されており、両者の接続点の電圧がバイアス電圧B
2としてアンプAP
2に供給される。要するに、バイアス電圧供給路33aでは、抵抗R
K(Kは1〜Qの整数)の他端が、抵抗R
K+1の一端に接続されており、両者の接続点の電圧がバイアス電圧B
KとしてアンプAP
Kに供給されるのである。
【0027】
かかる構成により、バイアス電圧供給路33aは、高電位側のバイアス電位VB
H及び低電位側のバイアス電位VB
Lに基づく電圧を抵抗R
1〜R
Qで分圧して得られた以下のような大小関係を有するバイアス電圧B
1〜B
Qを生成し、これらB
1〜B
Qを夫々に対応したアンプAP
1〜AP
Qに供給する。
【0028】
B
1>B
2>B
3>・・・・>B
Q-1>B
Q
すなわち、バイアス電圧供給路33aは、抵抗R
1〜R
Q各々の一端の電圧又は他端の電圧をバイアス電圧B
1〜B
Qとし、かかるバイアス電圧B
1〜B
Qを夫々に対応したアンプAP
1〜AP
Q各々のトランジスタQ3のゲート端(制御端)に供給するのである。尚、アンプAP
1〜AP
Qは、表示デバイス20の画面左領域の表示駆動を担当する左領域アンプ群である。
【0029】
バイアス電圧生成部30bは、バイアス電圧生成部30aと同様に高電位側のバイアス電位VB
H及び低電位側のバイアス電位VB
Lを生成する。バイアス電圧アンプ31bは、バイアス電圧生成部30bで生成されたバイアス電位VB
Hを増幅して得られた電位をバイアス電圧供給路33bの一端に供給する。バイアス電圧アンプ32bは、バイアス電圧生成部30bで生成されたバイアス電位VB
Lを増幅して得られた電位をバイアス電圧供給路33bの他端に供給する。
【0030】
バイアス電圧供給路33bは、
図3に示すように抵抗R
Q+1〜R
nが直列に接続された分圧抵抗部を含む。この際、抵抗R
nの一端が、上記したバイアス電圧供給路33bとしての一端となり、抵抗R
Q+1の他端がバイアス電圧供給路33bとしての他端となる。また、バイアス電圧供給路33bでは、抵抗R
nの他端が、抵抗R
n-1の一端に接続されており、両者の接続点の電圧がバイアス電圧B
nとしてアンプAP
nに供給される。また、バイアス電圧供給路33bでは、抵抗R
n-1の他端が、抵抗R
n-2の一端に接続されており、両者の接続点の電圧がバイアス電圧B
n-1としてアンプAP
n-1に供給される。要するに、バイアス電圧供給路33bでは、抵抗R
M(Mはn〜Q+1の整数)の他端が、抵抗R
M-1の一端に接続されており、両者の接続点の電圧がバイアス電圧B
MとしてアンプAP
Mに供給されるのである。
【0031】
かかる構成により、バイアス電圧供給路33bは、高電位側のバイアス電位VB
H及び低電位側のバイアス電位VB
Lに基づく電圧を抵抗R
Q+1〜R
nで分圧して得られた以下のような電圧値の大小関係を有するバイアス電圧B
Q+1〜B
nを生成し、これらB
Q+1〜B
nを夫々に対応したアンプAP
Q+1〜AP
nに供給する。
【0032】
B
n>B
n-1>B
n-2>・・・・>B
Q+2>B
Q+1
すなわち、バイアス電圧供給路33bは、抵抗R
Q+1〜R
n各々の一端の電圧又は他端の電圧をバイアス電圧B
Q+1〜B
nとし、かかるバイアス電圧B
Q+1〜B
nを夫々に対応したアンプAP
Q+1〜AP
n各々のトランジスタQ3のゲート端(制御端)に供給するのである。尚、アンプAP
Q+1〜AP
nは、表示デバイス20の画面右領域の表示駆動を担当する右領域アンプ群である。
【0033】
アンプAP
1〜AP
nは、夫々が独立した出力アンプであり、互いに同一構成のオペアンプを有する。アンプAP
1〜AP
nは、半導体チップ内において、そのチップの一辺に沿って一列に配置されている。アンプAP
1〜AP
nは、階調電圧変換回路133から供給された階調電圧V
1〜V
nを夫々個別に利得1で増幅して得た画素駆動電圧G
1〜G
nを、外部配線U
1〜U
nを夫々介して表示デバイス20のソースラインD
1〜D
nに印加する。
【0034】
尚、アンプAP
1〜AP
nの各々は、オペアンプの差動段に流す電流、つまり内部動作電流を制御するバイアス電圧を入力する為のバイアス電圧入力端子が設けられている。よって、アンプAP
1〜AP
nは、バイアス電圧供給路33a及び33bを介して夫々に供給されたバイアス電圧B
1〜B
nにより、個別に内部動作電流が設定される。この際、バイアス電圧入力端子に供給されたバイアス電圧が高いほど内部動作電流が大となり、それに伴いアンプAPの出力電流容量が増大する。よって、このような出力電流容量の増大に伴い、アンプAPが高速に動作し、その出力遅延時間が小さくなる。
【0035】
図4は、アンプAP
1〜AP
n各々の内部構成を示す回路図である。
図4に示すように、アンプAP
X(Xは1〜nの整数)は、nチャネルMOS(Metal-Oxide-Semiconductor)型のトランジスタQ1〜Q3、pチャネルMOS型のトランジスタQ4及びQ5を含む差動段と、pチャネルMOS型のトランジスタQPを含む出力段と、を有するオペアンプである。
【0036】
差動対を為すトランジスタQ1及びQ2のうちのQ1のゲート端には、階調電圧変換回路133から供給された階調電圧V
Xが入力ラインLINを介して印加されており、トランジスタQ2のゲート端には出力ラインLOTが接続されている。トランジスタQ1及びQ2各々のソース端は、バイアストランジスタとしてのトランジスタQ3のドレイン端に接続されている。トランジスタQ3のゲート端にはバイアス電圧供給路33aから供給されたバイアス電圧B
Xが供給されており、そのソース端には接地電圧Vss(例えば0ボルト)が印加されている。トランジスタQ1のドレイン端は、ラインLp1を介してトランジスタQ4のドレイン端、及びトランジスタQPのゲート端に接続されている。トランジスタQ2のドレイン端はラインLp2を介してトランジスタQ4及びQ5各々のゲート端と、トランジスタQ5のドレイン端とに夫々接続されている。トランジスタQ4及びQ5各々のソース端には電源電圧Vddが印加されている。トランジスタQPのソース端には電源電圧Vddが印加されており、そのドレイン端は出力ラインLOTに接続されている。
【0037】
図4に示す構成において、トランジスタQ1は、階調電圧V
Xの電圧値に対応した第1の電流をラインLp1に流す。トランジスタQ2は、出力ラインLOTを介して供給された画素駆動電圧G
Xに対応した第2の電流をラインLp2に流す。これにより、ラインLp1には、階調電圧V
Xと、出力ラインLOTの電圧との差分に対応した電圧値を有する出力電圧駆動信号PGが生成され、当該出力電圧駆動信号PGがトランジスタQPのゲート端に供給される。トランジスタQPは、出力電圧駆動信号PGに応じた出力電流を出力ラインLOTに送出することにより、階調電圧V
Xに対応した電圧値を有する画素駆動電圧G
Xを出力ラインLOTに生成する。
【0038】
ところで、アンプAP
XのラインLp1及びLp2に夫々流れる第1及び第2の電流の電流量は、このアンプAP
XのトランジスタQ3のドレイン・ソース電流によって決定する。つまり、アンプAP
XのバイアストランジスタとしてのトランジスタQ3は、自身のゲート端(制御端)に供給されたバイアス電圧B
Xに応じて、アンプAP
XのラインLp1及びLp2に夫々流れる第1及び第2の電流の電流量を調整するのである。この際、トランジスタQ3のゲート端に供給されるバイアス電圧B
Xが高いほどラインLp1及びLp2に流れる第1及び第2の電流、つまり内部動作電流が増加し、それに伴い、アンプAP
Xの出力電流容量が増加する。アンプAP
Xの出力電流容量が増加すると、アンプAP
Xによって生成される画素駆動電圧G
Xの電圧立ち上がり期間が短縮される。すなわち、アンプAP
Xに供給されるバイアス電圧B
Xが高いほど出力電流容量が増加し、それに伴いアンプAP
Xの出力遅延時間が短くなるのである。
【0039】
要するに、
図3に示す構成では、画素駆動電圧G
1〜G
Q(G
Q+1〜G
n)を表示デバイス20に出力するアンプAP
1〜AP
Q(AP
Q+1〜AP
n)各々の出力電流容量を、バイアス電圧生成部30a(30b)及びバイアス電圧供給路33a(33b)を含む出力電流容量設定部により、個別に設定するようにしたのである。
【0040】
この際、左領域アンプ群に属するアンプAP
1〜AP
Qには、例えば
図5に示すような大小関係を有するバイアス電圧B
1〜B
Qがバイアス電圧供給路33aから供給される。また、右領域アンプ群に属するアンプAP
Q+1〜AP
nには、例えば
図5に示すような大小関係を有するバイアス電圧B
Q+1〜B
nがバイアス電圧供給路33bから供給される。
【0041】
よって、画面端の表示駆動を担うアンプAP
1及びAP
nの出力遅延時間が最短となり、画面中央に近づくにつれ、その領域の表示駆動を担うアンプAPの出力遅延時間が長くなる。つまり、左領域アンプ群に属するアンプAP
1〜AP
Q各々の出力遅延は、AP
1が最小となり、AP
2、AP
3、・・・、AP
Q-1、AP
Qの順に大きくなっていく。また、右領域アンプ群に属するアンプAP
Q+1〜AP
n各々の出力遅延は、AP
nが最小となり、AP
n-1、AP
n-2、・・・、AP
Q+2、AP
Q+1の順に大きくなっていく。
【0042】
ところで、アンプAP
1〜AP
Qの各々に接続されている外部配線U
1〜U
Q各々での伝達遅延は、前述したように、外部配線U
1で最大となり、U
1、U
2、・・・、U
Q-1、U
Qの順に小さくなっていく。また、アンプAP
Q+1〜AP
n各々に接続されている外部配線U
Q+1〜U
n各々での伝達遅延は、前述したように、外部配線U
nで最大となり、U
n、U
n-1、・・・、U
Q+2、U
Q+1の順に小さくなっていく。
【0043】
これにより、外部配線U
X(Xは1〜nの整数)による伝達遅延時間と、アンプAP
X自体の出力遅延時間との合計時間を一定にすることが可能となる。つまり、ソースドライバ13から送出された画素駆動電圧G
1〜G
nが、夫々に対応した外部配線U
1〜U
nを介して表示デバイス20に到達するまでに掛かる各遅延時間を均一にすることが可能となるのである。
【0044】
よって、
図3に示す構成によれば、ソースドライバ13から送出された画素駆動電圧G
1〜G
nの各々が表示デバイス20のソースラインD
1〜D
nに印加されるタイミングのズレが抑制されるので、表示デバイス20において表示ムラを抑制した画像表示が為されるようになる。
【0045】
尚、上記実施例では、アンプAP
1〜AP
Q(AP
Q+1〜AP
n)各々の内部動作電流を個別に設定することによりアンプAP
1〜AP
Q(AP
Q+1〜AP
n)各々の出力遅延時間を個別に設定するようにしているが、他の方法によってアンプAP
1〜AP
Q(AP
Q+1〜AP
n)の出力遅延時間を設定するようにしても良い。
【0046】
図6は、かかる点に鑑みて為された出力回路134の内部構成の他の一例を示すブロック図である。
【0047】
尚、
図6に示す出力回路134では、
図3に示される構成に、夫々が出力電流調整トランジスタとしてのnチャネルMOS型のトランジスタY
1〜Y
nを新たに設けたものであり、その他の構成については
図3に示されるものと同一である。ただし、
図6に示す構成を採用する場合、アンプAP
1〜AP
n各々のトランジスタQ3のゲート端には、所定電圧値を有する固定のバイアス電圧が供給される。
【0048】
図6において、アンプAP
1〜AP
n各々の出力端には、夫々に対応したトランジスタY
1〜Y
nのソース端が接続されている。バイアス電圧供給路33aは、
図5に示す大小関係を有するバイアス電圧B
1〜B
Qを、夫々に対応したトランジスタY
1〜Y
Qのゲート端(制御端)に供給する。更に、バイアス電圧供給路33bが、
図5に示す大小関係を有するバイアス電圧B
Q+1〜B
nを、夫々に対応したトランジスタY
Q+1〜Y
nのゲート端に供給する。
【0049】
出力電流調整トランジスタとしてのトランジスタY1〜Ynは、夫々のゲート端に印加されたバイアス電圧に対応したオン抵抗の状態に設定される。よって、トランジスタY
X(Xは1〜nの整数)は、アンプAP
Xから供給された出力電流を、バイアス電圧B
Xに対応した電流量に調整した電流を自身のドレイン端を介して外部配線U
Xに送出する。これにより、トランジスタY
Xは、外部配線U
X上に画素駆動電圧G
Xを生成する。
【0050】
この際、トランジスタY
X(Xは1〜nの整数)から送出された電流が大なるほど画素駆動電圧G
Xの立ち上がり期間が短くなり、その出力遅延時間が短縮する。
【0051】
ここで、対となるアンプAP
X及びトランジスタY
Xを1つの出力アンプとした場合、第1〜第nの出力アンプ(AP
1〜AP
n、Y
1〜Y
n)各々の出力電流容量が、出力電流容量設定部(30a、30b、33a、33b)から供給されたバイアス電圧B
1〜B
nによって、個別に設定されることになる。
【0052】
従って、
図5に示す大小関係のバイアス電圧B
1〜B
nによれば、画面端の表示駆動を担うアンプAP
1(AP)に接続されているトランジスタY
1(Y
n)の出力遅延時間が最短となり、画面中央に近づくにつれ、その領域の表示駆動を担うアンプAPに接続されているトランジスタYの出力遅延時間が長くなる。
【0053】
よって、
図6に示す構成を採用した場合にも
図3に示す構成を採用した場合と同様に、ソースドライバ13から送出された画素駆動電圧G
1〜G
nの各々が、夫々に対応した外部配線U
1〜U
nを介して表示デバイス20に到達するまでに掛かる各遅延時間を均一にすることが可能となる。従って、表示デバイス20において表示ムラを抑制した画像表示が為されるようになる。
【0054】
また、
図3に示す実施例では、バイアス電圧供給路33a(33b)によって、夫々異なる電圧値を有するバイアス電圧B
1〜B
Q(B
Q+1〜B
n)をアンプAP
1〜AP
Q(AP
Q+1〜AP
n)に供給しているが、夫々が複数のアンプAPを含むグループ毎に、互いに異なる電圧値のバイアス電圧を供給するようにしても良い。
【0055】
図7は、かかる点に鑑みて為された出力回路134の内部構成の他の一例を示すブロック図である。尚、
図7では、アンプAP
1〜AP
nのうちから、左領域アンプ群に属するアンプAP
1〜AP
Qを抜粋して、その構成を示している。
【0056】
図7に示す構成は、
図3に示される構成からバイアス電圧供給路33a、バイアス電圧アンプ31a及び32aを省き、
図3に示されるバイアス電圧生成部30aに代えてバイアス電圧生成部300aを採用したものである。
【0057】
バイアス電圧生成部300aは、以下のような電圧値の大小関係を有するバイアス電圧Ba〜Bcを生成する。
【0058】
Ba>Bb>Bc
バイアス電圧生成部300aは、左領域アンプ群に属するアンプAP
1〜AP
Qのうちの第1のグループに属するアンプAP
1〜AP
W(WはQ未満の整数)の各々に、バイアス電圧Baを供給する。また、バイアス電圧生成部300aは、第1のグループよりも画面中央に近い領域の表示駆動を担う第2のグループに属するアンプAP
W+1〜AP
J(JはWより大であり且つQ未満の整数)の各々に、バイアス電圧Bbを供給する。また、バイアス電圧生成部300aは、第2のグループよりも画面中央に近い領域の表示駆動を担う第3のグループに属するアンプAP
J+1〜AP
Qの各々に、バイアス電圧Bcを供給する。
【0059】
要するに、
図7に示す構成では、アンプAP
1〜AP
Q各々の出力電流容量を、出力電流容量設定部としてのバイアス電圧生成部300aにより、複数のグループ毎に設定するようにしたのである。
【0060】
よって、
図7に示される構成を採用した場合にも、各外部配線Uの伝達遅延に対応させて、各アンプAPの出力遅延時間をグループ単位で設定することにより、画素駆動電圧G
1〜G
nの各々が表示デバイス20のソースラインD
1〜D
nに夫々到達するタイミングのずれを抑制することが可能となる。従って、表示デバイス20において表示ムラを抑制した画像表示が為されるようになる。
【0061】
また、上記した実施例では、アンプAP
1〜AP
n各々の内部構成の一例として、オペアンプの出力段がシングルアンプ構成となっているものを採用しているが、出力段がプッシュプルアンプ構成となっているものを採用しても良い。
【0062】
また、上記した実施例では、アンプAP
1〜AP
nに夫々供給するバイアス電圧によって各アンプの出力遅延時間を設定しているが、アンプAP自体に、夫々が所望とする出力遅延時間が得られるような処置を施すようにしても良い。
【0063】
図8は、かかる点に鑑みて為された出力回路134の内部構成の他の一例を示すブロック図である。
図8に示す構成では、出力回路134は、階調電圧V
1〜V
nを夫々個別に増幅して画素駆動電圧G
1〜G
nを生成するアンプAM
1〜AM
nと、当該アンプAM
1〜AM
n各々の出力電流容量を設定する出力電流容量設定部としての静電容量設定部310とを有する。
【0064】
静電容量設定部310は、アンプAM
1〜AM
n各々に設けられている位相補償用のコンデンサの静電容量を変更するか否かを指定する静電容量変更信号CSを生成し、アンプAM
1〜AM
nの各々に供給する。例えば、静電容量設定部310は、位相補償用のコンデンサの静電容量を変更する場合には論理レベル0、変更しない場合には論理レベル1を有する2値の静電容量変更信号CSを、アンプAM
1〜AM
nの各々に供給する。
【0065】
図9は、アンプAM
1〜AM
n各々の基本回路構成を示す回路図である。
【0066】
図9に示すように、アンプAM
X(Xは、1〜nの整数)は、pチャネルMOS型の出力トランジスタQP及びnチャネルMOS型の出力トランジスタQNを含むプッシュプル出力段と、出力トランジスタQPを駆動する第1の差動段DF1と、出力トランジスタQNを駆動する第2の差動段DF2と、位相補償用のコンデンサC1及びC21と、を有するオペアンプである。更に、アンプAM
Xには、インバータIVと、位相補償用の静電容量を変更する為の付加コンデンサCP及びCNと、制御トランジスタとしてのpチャネルMOS型のトランジスタQZP及びnチャネルMOS型のトランジスタQZNと、を含んでいる。
【0067】
尚、第1の差動段DF1は、
図4に示されるトランジスタQ1〜Q5と同一回路構成からなり、出力トランジスタQPについても
図4に示されるものと同一である。ただし、トランジスタQ3のゲート端には、所定電圧値を有する固定のバイアス電圧Vb1が印加されている。
【0068】
第2の差動段DF2は、pチャネルMOS型のトランジスタM1〜M3、nチャネルMOS型のトランジスタM4及びM5を含む。差動対を為すトランジスタM1及びM2のうちのM1のゲート端には、階調電圧変換回路133から供給された階調電圧V
X(Xは1〜nの整数)が入力ラインLINを介して印加されており、トランジスタM2のゲート端には出力ラインLOTが接続されている。トランジスタM1及びM2各々のソース端は、トランジスタM3のドレイン端に接続されている。トランジスタM3のゲート端には所定電圧値を有する固定のバイアス電圧Vb2が印加されており、そのソース端には電源電圧Vddが印加されている。トランジスタM1のドレイン端は、ラインLn1を介してトランジスタM4のドレイン端、及び出力トランジスタQNのゲート端(制御端)に接続されている。トランジスタM2のドレイン端はラインLn2を介してトランジスタM4及びM5各々のゲート端と、トランジスタM5のドレイン端とに夫々接続されている。トランジスタM4及びM5各々のソース端には接地電圧Vssが印加されている。尚、出力トランジスタQNのソース端には接地電圧Vssが印加されており、そのドレイン端は出力ラインLOTに接続されている。
【0069】
ここで、トランジスタM1は、階調電圧V
Xの電圧値に対応した電流をラインLn1に流す。トランジスタM2は、出力ラインLOTを介して供給された画素駆動電圧G
Xに対応した電流をラインLn2に流す。これにより、ラインLn1には、階調電圧V
Xと出力ラインLOTの電圧との差分に対応した電圧値を有する出力電圧駆動信号NGが生成され、当該出力電圧駆動信号NGが出力トランジスタQNのゲート端に供給される。よって、出力トランジスタQNは、出力電圧駆動信号NGに応じた出力電流を出力ラインLOTから引き抜くことにより、階調電圧V
Xに対応した電圧値を有する画素駆動電圧G
Xを出力ラインLOTに生成する。
【0070】
また、
図9に示す構成によるアンプAMでは、位相補償用のコンデンサC1の一端が出力トランジスタQPのゲート端(制御端)に接続されており、このコンデンサC1の他端が出力ラインLOTに接続されている。また、位相補償用のコンデンサC2の一端が出力トランジスタQNのゲート端に接続されており、このコンデンサC2の他端が出力ラインLOTに接続されている。
【0071】
更に、
図9に示す構成によるアンプAMでは、トランジスタQZPのソース端が出力トランジスタQPのゲート端に接続されており、当該トランジスタQZPのドレイン端が付加コンデンサCPの一端に接続されている。付加コンデンサCPの他端は出力ラインLOTに接続されている。また、トランジスタQZNのソース端が出力トランジスタQNのゲート端に接続されており、当該トランジスタQZNのドレイン端が付加コンデンサCNの一端に接続されている。付加コンデンサCNの他端は出力ラインLOTに接続されている。
【0072】
トランジスタQZPのゲート端には、静電容量変更信号CSが供給されている。トランジスタQZNのゲート端には、インバータIVによって当該静電容量変更信号CSの論理レベルを反転させた信号が供給されている。
【0073】
以下に、
図9に示すアンプAM内での静電容量の設定動作について説明する。
【0074】
先ず、静電容量設定部310から論理レベル0の静電容量変更信号CSが供給された場合には、トランジスタQZP及びQZNが共にオン状態となる。これにより、付加コンデンサCPがコンデンサC1と並列に接続された状態となり、且つ付加コンデンサCNがコンデンサC2と並列に接続された状態となる。つまり、この際、位相補償用の静電容量は、コンデンサC1(C2)の静電容量に付加コンデンサCP(CN)の静電容量を加算した静電容量となる。
【0075】
一方、静電容量設定部310から論理レベル1の静電容量変更信号CSが供給された場合には、トランジスタQZP及びQZNが共にオフ状態となるので、付加コンデンサCP及びCNは共に接続が遮断され、位相補償用の静電容量は、コンデンサC1(C2)の静電容量だけとなる。
【0076】
ここで、アンプAM
1〜AM
nの各々に含まれる位相補償用のコンデンサC1(C2)の静電容量は全て同一である。
【0077】
ただし、アンプAM
1〜AM
nの各々に含まれる付加コンデンサCP(CN)は、アンプAM毎に異なる静電容量を有する。例えば、画面端の表示駆動を担うアンプAM
1及びAM
nに含まれる付加コンデンサCP(CN)の静電容量が最小であり、画面中央に近づくにつれ、その領域の表示駆動を担うアンプAMに含まれる付加コンデンサCP(CN)の静電容量が大となっている。この際、位相補償用の静電容量が大きくなるほど、アンプAMの出力電流容量が低下し、それに伴い出力遅延時間が長くなる。
【0078】
よって、位相補償用の静電容量を変更することを表す論理レベル0の静電容量変更信号CSがアンプAM
1〜AM
nの各々に供給されている間は、左領域アンプ群に属するアンプAM
1〜AM
Q各々の出力遅延は、AM
1が最小となり、AM
2、AM
3、・・・、AM
Q-1、AM
Qの順に大きくなっていく。また、右領域アンプ群に属するアンプAM
Q+1〜AM
n各々の出力遅延は、AM
nが最小となり、AM
n-1、AM
n-2、・・・、AM
Q+2、AM
Q+1の順に大きくなっていく。
【0079】
これにより、出力回路134として
図8及び
図9に示す構成を採用した場合にも、ソースドライバ13から送出された画素駆動電圧G
1〜G
nの各々が、夫々に対応した外部配線U
1〜U
nを介して表示デバイス20に到達するまでに掛かる各遅延時間を均一にすることが可能となる。従って、表示デバイス20において表示ムラを抑制した画像表示が為されるようになる。
【0080】
要するに、ソースドライバ13としては、以下の第1〜第N(Nは2以上の整数)の出力アンプ、及び出力電流容量設定部を含むものを採用すれば良いのである。つまり、第1〜第Nの出力アンプ(AP
1〜AP
Q、AP
Q+1〜AP
n、AM
1〜AM
Q、AM
Q+1〜AM
n)は、夫々が映像信号に基づく輝度レベルを画素毎に表す第1〜第Nの階調電圧(V
1〜V
Q、V
Q+1〜V
n)を増幅して得られた第1〜第Nの画素駆動電圧(G
1〜G
Q、G
Q+1〜G
n)を表示デバイス20に出力する。出力電流容量設定部(30a、30b、33a、33b、300a、310)は、第1〜第Nの出力アンプ各々の出力電流容量を個別又は複数のグループ毎に設定する。
【0081】
この際、
図3又は
図6に示す実施例における出力電流容量設定部(30a、30b、33a、33b)では、バイアス電圧B
1〜B
Q(B
Q+1〜B
n)を、夫々に対応した出力アンプにAP
1〜AP
Q(AP
Q+1〜AP
n)に供給することにより出力アンプ各々の出力電流容量を設定しているが、かかる構成に限定されない。
【0082】
要するに、出力電流容量設定部としては、第1〜第Nの出力アンプに夫々対応した第1〜第Nの設定信号を生成して、夫々に対応した第1〜第Nの出力アンプに供給することにより、第1〜第Nの出力アンプの各々の出力電流容量を設定するものであれば良いのである。
【0083】
また、
図7に示す実施例における出力電流容量設定部(300a)では、出力アンプにAP
1〜AP
Qを3つのグループに群分けした各グループに夫々対応したバイアス電圧Ba〜Bcを生成し、夫々に対応したグループに属する出力アンプAPに供給することにより出力アンプ各々の出力電流容量を設定しているが、かかる構成に限定されない。
【0084】
すなわち、出力電流容量設定部としては、第1〜第Nの出力アンプをk(kは2以上でありN/2未満の整数)個のグループに群分けした各グループに夫々対応した第1〜第kの設定信号を生成し、これら第1〜第kの設定信号を、夫々に対応したグループに属する出力アンプの各々に供給することにより第1〜第Nの出力アンプ各々の出力電流容量を設定するものであれば良いのである。