【解決手段】研磨装置は、被研磨加工物(K)の端部(KE)の形状に沿った形状の研磨面を有する樹脂、織物、不織布、不織布の樹脂加工品、合成皮革、又はこれらの複合品で形成された研磨部材(10)と、端部(KE)の形状と同一の形状を有しており、研磨部材(10)の研磨面を端部(KE)の形状に沿った形状に加工又は修正するための工具(41)と、研磨部材(10)の研磨面に対して工具(41)を接触させる接触機構(40)とを備える。
請求項1〜4のいずれか1項に記載の研磨装置で用いられる部材であって前記被研磨部の形状と同一の形状を有しており、前記研磨面を前記被研磨部の形状に沿った形状に加工又は修正するための工具。
請求項1〜4のいずれか1項に記載の研磨装置において行われる樹脂、織物、不織布、不織布の樹脂加工品、合成皮革、又はこれらの複合品で形成された研磨部材の加工又は修正方法であって、前記研磨面に対して前記工具を接触させることを含む、研磨部材の加工又は修正方法。
請求項1〜4のいずれか1項に記載の研磨装置において行われる樹脂、織物、不織布、不織布の樹脂加工品、合成皮革、又はこれらの複合品で形成された研磨部材の製造方法であって、
前記被研磨部の形状とは異なる形状を有した研磨部材表面を前記工具に接触させることにより、前記研磨部材の研磨面を前記被研磨部の形状に沿った形状に形成することを含む、研磨部材の製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来のドレッシングは、平面状の研磨面を修正する目的で行われることが多く、被研磨加工物の被研磨部の形状に沿った様々な形状の研磨面をドレッシングすることについてはほとんど考慮されていない。
【0005】
この発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、平面状とは異なる形状を有した研磨面の形状加工や形状修正を容易に行うことのできる研磨装置、その研磨装置が備える研磨部材の加工又は修正用の工具、研磨部材の加工又は修正方法、及び研磨部材の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する研磨装置は、被研磨加工物の被研磨部の形状に沿った形状の研磨面を有する樹脂、織物、不織布、不織布の樹脂加工品、合成皮革、又はこれらの複合品で形成された研磨部材と、前記被研磨部の形状と同一の形状を有しており、前記研磨面を前記被研磨部の形状に沿った形状に加工又は修正するための工具と、前記研磨面に対して前記工具を接触させる接触機構と、を備えるようにしている。
【0007】
同構成では、研磨部材が被研磨加工物の被研磨部の形状に沿った形状の研磨面を有している。従って、被研磨加工物の被研磨部が、例えば曲面や三角形状などのような平面状とは異なる形状であっても研磨することができる。
【0008】
ここで、同構成では、被研磨部の形状と同一の形状を有しており研磨面を前記被研磨部の形状に沿った形状に加工又は修正するための工具が接触機構により研磨面に対して接触させられる。従って、前記工具が接触した研磨面は、被研磨加工物の被研磨部の形状と同一の形状を有した前記工具の形状が転写されることにより、被研磨加工物の被研磨部の形状に沿った形状に加工又は修正される。このように研磨部材の研磨面は被研磨加工物の被研磨部の形状に沿った形状になっているが、この研磨面の形状と前記工具の形状は一方が凹で他方が凸の関係になっているため、平面状とは異なる形状を有した研磨面の形状加工又は形状修正を容易に行うことができるようになる。
【0009】
なお、被研磨加工物の被研磨部の形状と前記工具の形状とが完全に同一である必要は無く、実用上問題が無い程度に互いの形状が若干異なっていてもよい。
【0010】
また、前記工具とは、研磨部材の研磨面を適切に加工することが出来るものであり、前記研磨部材の研磨面よりも硬度が高い加工部を有するものであれば特に制限は無く、具体例としては、ペレットや電着砥石などの固定砥粒付き加工工具、エンドミルやバイトなどの切削加工用工具を使用することが可能である。
【0011】
あるいは、前記工具とは、研磨部材の表面を整えたり、研磨部材の表面に付着した汚れや固着物などを取り除いたりすることができるものであり、具体例としては、前記固定砥粒付き加工工具や、硬質のブラシなどを使用することが可能である。
【0012】
また、上記研磨装置は、接触機構による研磨面に対する工具の接触を所定周期毎に行うことが好ましい。同構成によれば、所定周期毎に研磨面が加工又は修正されるため、被研磨加工物を研磨するときの研磨精度を好適に維持することができる。
【0013】
また、上記研磨装置において、研磨部材の研磨面は、前記被研磨部の形状とは異なる形状を有した研磨部材表面を前記工具に接触させることにより、前記被研磨部の形状に沿った形状に形成されていることが好ましい。
【0014】
同構成によれば、被研磨加工物の被研磨部の形状に沿った形状の研磨面の形成が、当該研磨装置上で行われる。そのため、被研磨加工物の被研磨部の形状に沿った形状の研磨面が予め形成された研磨部材を研磨装置に取り付ける場合と比較して、そうした研磨面の形状を高精度に形成することができる。
【0015】
また、上記研磨装置は、前記研磨部材を下方から回転させるモータを備えたり、研磨部材を上面に載置した状態で前記研磨部材と一体回転する定盤を備えたりすることが好ましい。これらの構成によれば、軸ぶれなどの少ない安定した研磨部材の回転が得られるようになるため、より高精度な加工を行うことができる。
【0016】
また、被研磨部の形状と同一の形状を有しており、研磨面を被研磨部の形状に沿った形状に加工又は修正するための工具を上記の研磨装置で用いることにより、平面状とは異なる形状を有した研磨面の形状加工又は修正を容易に行うことができる。
【0017】
また、上記課題を解決する研磨部材の加工又は修正方法では、被研磨加工物の被研磨部の形状に沿った形状の研磨面を有する樹脂、織物、不織布、不織布の樹脂加工品、合成皮革、又はこれらの複合品で形成された研磨部材の前記研磨面に対して、被研磨部の形状と同一の形状を有しており研磨面を被研磨部の形状に沿った形状に加工又は修正するための工具を接触させるようにしている。
【0018】
同方法では、被研磨加工物の被研磨部の形状に沿った形状の研磨面を有する研磨部材を用意している。従って、被研磨加工物の被研磨部が、例えば曲面や三角形状などのような平面状とは異なる形状であっても研磨することができる。
【0019】
ここで、同方法では、被研磨部の形状と同一の形状を有しており研磨面を前記被研磨部の形状に沿った形状に加工又は修正するための工具を研磨面に対して接触させるようにしている。従って、前記工具が接触した研磨面は、被研磨加工物の被研磨部の形状と同一の形状を有した前記工具の形状が転写されることにより、被研磨加工物の被研磨部の形状に沿った形状に修正される。このように研磨部材の研磨面は被研磨加工物の被研磨部の形状に沿った形状になっているが、この研磨面の形状と前記工具の形状は一方が凹で他方が凸の関係になっているため、平面状とは異なる形状を有した研磨面の形状修正を容易に行うことができるようになる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、平面状とは異なる形状を有した研磨面の形状加工又は形状修正を容易に行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の研磨装置、研磨部材の修正方法、形状加工用切削工具及び表面修正用工具を具体化した一実施形態について、
図1〜
図4を参照して説明する。
図1に示すように、この研磨装置は、円盤状の研磨部材10を備えている。この研磨部材10の径方向の外周面を使って、被研磨加工物Kの被研磨部である端部KEが研磨される。この端部KEは、予めの加工によって曲面形状にされている。被研磨加工物Kの形状は、その用途等に応じて任意の形状とすることができる。
【0023】
研磨部材10の材質は、端部KEを研磨する上で最適なものを任意に使用できる。例えば、研磨部材10の材質として樹脂を使用する場合には、任意の合成樹脂を使用することができる。その例としては、熱硬化性樹脂(フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリイミドなど)や、熱可塑性樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレン、アクリル樹脂、ポリアミド、ポリカーボネートなど)が挙げられる。また、織物、不織布、不織布の樹脂加工品、合成皮革、あるいはこれらの複合品であってもよく、研磨部材10の研磨面の硬度は、ショアA硬度で5以上であることが好ましい。ショアA硬度が5以上であるとは、硬度を測定される検体であって研磨面を有する研磨部材10を、湿度20〜60%の乾燥状態で室温に60分以上置いた後、JIS K6253に準拠したゴム硬度計(A型)にて測定される研磨面の硬度が5以上であることをいう。ショアA硬度が5以上であれば、被研磨加工物Kの表面を好適に加工することができ、また、研磨部材10の研磨面が短時間の研磨で変形することを抑えることが出来る。
【0024】
なお、研磨部材10の研磨面のショアA硬度は、より好ましくは40以上であり、更に好ましくは70〜95、特に好ましくは70〜85である。
また、研磨部材10の材質として金属を使用する場合には、材質として、マグネシウム、アルミニウム、チタン、鉄、ニッケル、コバルト銅、亜鉛、マンガン或いはそれを主成分とする合金を使用することができる。
【0025】
なお、研磨部材10の材質として、樹脂又は金属を使用する場合には、研磨部材10は砥粒を有していても良い。使用する砥粒の種類は特に限定されないが、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化チタニウム、酸化マンガン、酸化鉄、酸化クロムなどの金属酸化物粒子や、炭化ケイ素などの炭化物、その他窒化物、硼化物、ダイヤモンド等を使用することが出来る。
【0026】
また、研磨部材10の材質としてセラミックスを使用する場合には、材質として、陶磁器やガラスの他、ケイ素、アルミニウム、ジルコニウム、カルシウム、バリウムなどの酸化物、窒化物、ホウ化物、炭化物などや、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化ケイ素、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化ホウ素などを使用することができる。
【0027】
被研磨加工物Kの材質も任意のものを使用することができる。例えば、被研磨加工物Kの材質として樹脂を使用する場合には、任意の合成樹脂を使用することができる。その例としては、熱硬化性樹脂(フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリイミドなど)や、熱可塑性樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレン、アクリル樹脂、ポリアミド、ポリカーボネートなど)が挙げられる。
【0028】
また、被研磨加工物Kの材質としてセラミックスを使用する場合には、陶磁器、ガラス、ファインセラミックスの他、ケイ素、アルミニウム、ジルコニウム、カルシウム、バリウムなどの酸化物、炭化物、窒化物、ホウ化物などを使用することができる。
【0029】
また、被研磨加工物Kの材質として金属を使用する場合には、マグネシウム、アルミニウム、チタン、鉄、ニッケル、コバルト、銅、亜鉛、マンガン或いはそれを主成分とする合金等を使用することができる。
【0030】
また、被研磨加工物Kの具体的な用途についても任意である。例えばホイール、シャフト、容器、筐体(ケース、ハウジングなど)、枠(フレームなど)、ボール、ワイヤ、装飾品などをその用途とすることができる。
【0031】
図2に示すように、研磨部材10は、円盤状の定盤20の上面に取り外し可能に固定されている。定盤20の中心部下面には、第1モータ21の回転軸が固定されている。第1モータ21が回転駆動されると、定盤20及び研磨部材10はともに回転する。研磨部材10及び定盤20の下に第1モータ21を設けており、定盤20の上面に配置された研磨部材10を同定盤20とともに下から回転させることにより、軸ぶれなどの少ない安定した研磨部材10の回転が得られるために、より高精度な加工を行うことができる。
【0032】
研磨部材10の径方向の外周面には、周方向に延びる溝状の曲面形状を有した研磨面11が設けられている。この研磨面11の曲面は、被研磨加工物Kの端部KEの形状(被研磨部の形状)に沿った形にされている。つまり研磨面11の曲率は、端部KEの曲率と同じにされている。
【0033】
被研磨加工物Kは、固定台32に取り外し可能に保持されている。固定台32は、第2モータ30の回転軸31に固定されている。第2モータ30は、当該第2モータ30を研磨部材10の回転軸と直交する方向(
図1及び
図2に示す矢印X方向)に往復移動させるモータ移動機構33に取り付けられている。このモータ移動機構33によって第2モータ30が移動されると、第2モータ30及び回転軸31及び固定台32及び被研磨加工物Kは、一体となって研磨部材10の回転軸と直交する方向に移動する。こうしたモータ移動機構33による第2モータ30の移動によって、被研磨加工物Kの端部KEは、研磨面11に押し付けられる。そして、端部KEと研磨面11との接触部に、適宜の態様で加工液等が供給されるとともに、第1モータ21及び第2モータ30が所定の回転速度で駆動されることにより、曲面形状を有した端部KEの研磨加工が行われる。なお、被研磨加工物Kの端部KEを研磨面11に押し付ける際には、予め定められた規定の圧力が付与されるように押し付け力は調整される。
【0034】
加工液の供給は、端部KEと研磨面11との接触部に対して外部から直接供給することができる。または、研磨部材10と第1モータ21との接続部にロータリジョイントなどの加工液供給機構を介在させる。そしてこの加工液供給機構から研磨部材10の内部に加工液を供給し、研磨部材10の内部に供給された加工液を、研磨部材10の内部に形成された供給路を介して上記接触部に供給することもできる。このように研磨部材10の内部から接触部に向けて加工液を供給することで、加工液をより効率的に供給することができる。また、加工液を効率よく使用するために、研磨部材10の周囲にカバーを設けて加工液の回収効率を上げる回収装置を備えていると更によい。
【0035】
上述した加工液の種類は、被研磨加工物Kや研磨部材10の材質に応じて適切なものを使用出来る。具体的には切削用、研削用加工液やラッピング材、ポリシング剤、化学機械研磨用研磨液などを使用することが出来る。加工液は砥粒を含有していても良い。使用する砥粒の種類は特に限定されないが、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化チタニウム、酸化マンガン、酸化鉄、酸化クロムなどの金属酸化物粒子や、炭化ケイ素などの炭化物、窒化物、硼化物、ダイヤモンド等を使用することが出来る。
【0036】
例えば、加工液中の砥粒の含有量は、1質量%以上であることが好ましく、より好ましくは2質量%以上である。また、加工液中の砥粒の含有量は、50質量%以下であることが好ましく、より好ましくは40質量%以下である。
【0037】
加工液中の砥粒の平均二次粒子径は0.1μm以上であることが好ましく、より好ましくは0.3μm以上である。砥粒の平均二次粒子径が大きくなるにつれて、加工液による加工速度が向上するようになる。
【0038】
一方、加工液中の砥粒の平均二次粒子径は、20μm以下であることが好ましく、より好ましくは5μm以下である。加工液中の砥粒の平均二次粒子径が小さくなるにつれて、被研磨加工物Kの表面をより均一に研磨することができるようになる。ちなみに、砥粒の平均二次粒子径とは、例えば、堀場製作所社製の“LA−950”などのレーザ回折/散乱式粒子径分布測定装置を用いて測定した体積平均粒子径などのことである。
【0039】
上記加工液には、必要に応じて、pH調整剤、エッチング剤、酸化剤、水溶性重合体、共重合体やその塩、誘導体、防食剤、キレート剤、分散助剤、防腐剤、防黴剤等の他の成分を更に含んでも良い。
【0040】
上記pH調整剤の例としては、公知の酸、塩基、またはそれらの塩を使用することができる。pH調整剤として使用できる酸の例としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、フッ酸、ホウ酸、炭酸、次亜リン酸、亜リン酸、およびリン酸等の無機酸や、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、2−メチル酪酸、n−ヘキサン酸、3,3−ジメチル酪酸、2−エチル酪酸、4−メチルペンタン酸、n−ヘプタン酸、2−メチルヘキサン酸、n−オクタン酸、2−エチルヘキサン酸、安息香酸、グリコール酸、サリチル酸、グリセリン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、マレイン酸、フタル酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、乳酸、ジグリコール酸、2−フランカルボン酸、2,5−フランジカルボン酸、3−フランカルボン酸、2−テトラヒドロフランカルボン酸、メトキシ酢酸、メトキシフェニル酢酸、およびフェノキシ酢酸等の有機酸が挙げられる。
【0041】
pH調整剤として使用できる塩基の例としては、脂肪族アミン、芳香族アミン等のアミン、水酸化第四アンモニウムなどの有機塩基、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物、アルカリ土類金属の水酸化物、およびアンモニア等が挙げられる。
【0042】
また、上述した酸の代わりに、または上述した酸と組み合わせて、上記酸のアンモニウム塩やアルカリ金属塩等の塩をpH調整剤として用いてもよい。なお、こうしたpH調整剤は、加工液のpH値を、被研磨加工物Kの種類によって異なる最適値に調整するために用いられる。
【0043】
上記エッチング剤の例としては、硝酸、硫酸、リン酸などの無機酸、酢酸、クエン酸、酒石酸やメタンスルホン酸などの有機酸、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなどの無機アルカリ、アンモニア、アミン、第四級アンモニウム水酸化物などの有機アルカリ等が挙げられる。
【0044】
上記酸化剤の例としては、過酸化水素、過酢酸、過炭酸塩、過酸化尿素、過塩素酸塩、過硫酸塩等の他、硫酸、硝酸、リン酸及びその塩などのオキソ酸やその塩等が挙げられる。
【0045】
上記水溶性重合体、共重合体やその塩、誘導体の例としては、ポリアクリル酸塩などのポリカルボン酸、ポリホスホン酸、ポリスチレンスルホン酸などのポリスルホン酸、キタンサンガム、アルギン酸ナトリウムなどの多糖類、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースなどのセルロース誘導体、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ソルビタンモノオレエート、単一種または複数種のオキシアルキレン単位を有するオキシアルキレン系重合体、ノニオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤等が挙げられる。ノニオン性界面活性剤の例としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ソルビタンモノオレエート、単一種又は複数種のオキシアルキレン単位を有するオキシアルキレン系重合体等が挙げられる。アニオン性界面活性剤の例としては、アルキルスルホン酸系化合物、アルキルベンゼンスルホン酸系化合物、アルキルナフタレンスルホン酸系化合物、メチルタウリン酸系化合物、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸系化合物、α−オレフィンスルホン酸系化合物、ナフタレンスルホン酸縮合物、スルホコハク酸ジエステル系化合物等が挙げられる。
【0046】
上記防食剤の例としては、アミン類、ピリジン類、テトラフェニルホスホニウム塩、ベンゾトリアゾール類、トリアゾール類、テトラゾール類、安息香酸等、単環化合物、縮合環を有する多環化合物、複素環式化合物等が挙げられる。
【0047】
上記キレート剤の例としては、グルコン酸等のカルボン酸系キレート剤、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリメチルテトラアミンなどのアミン系キレート剤、エチレンジアミン四酢酸、ニトリロ三酢酸、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸、トリエチレンテトラミン六酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸などのポリアミノポリカルボン系キレート剤、2−アミノエチルホスホン酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、アミノトリ(メチレンホスホン酸)、エチレンジアミンテトラキス(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)、エタン−1,1−ジホスホン酸、エタン−1,1,2−トリホスホン酸、メタンヒドロキシホスホン酸、1−ホスホノブタン−2,3,4−トリカルボン酸などの有機ホスホン酸系キレート剤、フェノール誘導体、1,3−ジケトン等が挙げられる。
【0048】
上記分散助剤の例としては、ピロリン酸塩やヘキサメタリン酸塩などの縮合リン酸塩等が挙げられる。
上記防腐剤の例としては、次亜塩素酸ナトリウム等が挙げられる。
【0049】
上記防黴剤の例としては、オキサゾリジン−2,5−ジオンなどのオキサゾリン等が挙げられる。
ちなみに、研磨精度を好適に維持できる範囲内で研磨部材10の直径をできる限り大きくすれば、研磨部材10の外周面において同時に複数の被研磨加工物Kの端部KEを研磨することができるため、生産性を向上させることができる。また、研磨部材10の直径をできる限り大きくすれば、研磨部材10の回転速度が同じであっても、外周では大きな線速度が得られるようになるため、研磨加工に際して研磨部材10の回転速度を比較的低くしても十分な線速度が得られるようになる。そのため、例えば加工液の飛散等を抑えることができる。
【0050】
先の
図1に示すように、研磨部材10の径方向の外周面近傍であって研磨面11に対向する位置には、接触機構40が設けられている。
この接触機構40には、工具41が設けられている。この工具41は、棒状をなしておりその先端の加工部が端部KEの形状と同一の形状、より詳細には端部KEの曲率と同じ曲率を有している。そして工具41は、研磨面11を端部KEの形状に沿った形状に加工する形状加工用切削工具、又は研磨面11を端部KEの形状に沿った形状に修正する表面修正用工具として機能する。なお、工具41の材質は、研磨面11を加工又は修正する上で最適なものが選択されている。また、被研磨加工物Kの端部KEの形状と工具41の形状とは完全に同一である必要は無く、実用上問題が無い程度に互いの形状が若干異なっていてもよい。
【0051】
上記接触機構40には、工具41が取り外し可能に固定される保持部42や、保持部42を研磨部材10の回転軸と直交する方向(
図1に示す矢印M方向)に往復移動させる移動機構43も設けられている。なお、移動機構43の動力源としては、電力や油圧等を使用することができる。また、接触機構40の駆動は、CPU、RAM、及びROM等を備えた制御装置による自動駆動や、研磨装置を操作する操作者のスイッチ操作等によって行われる。
【0052】
図3及び
図4に、接触機構40の動作態様を示す。
図3に示すように、接触機構40によって、保持部42が研磨部材10の回転中心に向かって(矢印M1の向きに)移動すると、工具41が研磨面11に接触する。より詳細には、工具41が研磨面11に対して押圧される。
【0053】
工具41を研磨面11に押圧するに際しては、定圧加工を行うことも可能ではあるが、定寸加工(定寸切り込み加工)にて行う方がより好ましい。定圧加工とは、主に表面粗さを向上させるために用いられる加工方法であり、研磨面11に対して工具41を一定の押圧力で押し付けて研磨する加工方法である。一方、定寸加工とは、主に形状を仕上げるために用いられる加工方法であり、研磨面11に対して工具41を一定の寸法だけ切り込んで研削する加工方法である。このように定寸加工は、形状を仕上げる加工に適しているため、工具41を使って研磨面11の形状を修正又は加工する際の加工方法に適しており、定圧加工を行う場合と比較してより精度良く形状の修正や加工を行うことができる。
【0054】
なお、工具41を使って研磨面11の形状を修正又は加工する際の加工方法として、上述した定圧加工を行うことも可能であり、この場合には例えば被研磨加工物Kの表面粗さの精度向上を目的とした加工を行うことができ、主に工具41が表面修正用工具であって研磨面11を修正する際に好適な加工を行うことができる。
【0055】
図4に示すように、接触機構40によって、保持部42が研磨部材10の回転中心から離れる方向(矢印M2の向きに)移動すると、工具41が研磨面11から離れる。
基本的に、工具41は研磨面11から離れた
図4の位置に配置されている。そして、所定周期毎、例えば研磨時間の累積値が予め定められた値を超えた場合や、操作者がスイッチ操作を行った場合に、研磨部材10が回転駆動されている状態で、工具41は研磨面11に接触した
図3の位置に移動される。
【0056】
なお、工具41が研磨面11に接触した状態にあるとき、工具41と研磨面11との接触部に対して水や加工液の供給を行うとよい。この場合には、工具41による研磨面11の加工又は修正を補助したり、接触部を冷却したりすることができる。
【0057】
使用する加工液の種類は、形状加工用切削工具又は表面修正用工具の種類に応じて、または、研磨部材の材質に応じて、任意に適切なものを選択することができる。例えば切削加工用工具を使用する場合は、切削加工用の加工液を用いることが出来る。固定砥粒付き加工工具を使用する場合は、研削加工用加工液を用いることが出来る。硬質のブラシを使用する場合は、洗浄液などを使用することが出来る。
【0058】
以上説明した本実施形態によれば、以下の作用効果を得ることができる。
(1)研磨装置は、被研磨加工物Kの端部KEの形状に沿った形状の研磨面11を有する研磨部材10を備えている。従って、被研磨加工物Kの端部KEが平面状とは異なる形状、つまり曲面形状であっても、その端部KEを研磨することができる。
【0059】
(2)研磨装置は、端部KEの形状と同一の形状を有しており研磨面11を端部KEの形状に沿った形状に修正または加工する工具41と、研磨面11に対して工具41を接触させる接触機構40とを備えている。従って、先の
図3に示したように、工具41が接触した研磨面11は、被研磨加工物Kの端部KEの形状と同一の曲率を有した工具41の形状が転写されることにより、被研磨加工物Kの端部KEの形状に沿った形状に修正又は加工される。
【0060】
このように研磨部材10の研磨面11は被研磨加工物Kの端部KEの形状に沿った形状になっているが、この研磨面11の形状と工具41の形状は一方が凹で他方が凸の関係になっている。そのため、平面状とは異なる形状、つまり曲面形状の研磨面11の形状加工又は形状修正を容易に行うことができるようになる。
【0061】
(3)接触機構40による研磨面11に対する工具41の接触は、所定周期毎に行われる。従って、所定周期毎に研磨面11が修正されるようになるため、被研磨加工物Kの端部KEを研磨するときの研磨精度を長期にわたって維持することができるようになる。
【0062】
なお、上記実施形態は以下のように変更して実施することもできる。
・上記工具41による研磨面11の修正を、被研磨加工物Kを研磨する合間に行ったり、被研磨加工物Kの研磨中の一部の時間又は全部の時間を用いて研磨と同時に行ったりしてもよい。
【0063】
・上述した形状加工用切削工具とは、研磨部材の研磨面を適切に加工することが出来るものであり、前記研磨部材の研磨面よりも硬度が高い加工部を有するものであれば特に制限は無く、具体例としては、ペレットや電着砥石などの固定砥粒付き加工工具、エンドミルやバイトなどの切削加工用工具を使用することが可能である。
【0064】
なお、上述した電着砥石を用いる場合には、研磨部材10の研磨面11を切削する際に砥粒が脱落し、被研磨加工物Kの表面に傷が付く場合がある。こうした傷は、研磨部材10による被研磨加工物Kの研磨中において、電着砥石による研磨面11の研削を併せて行う場合には特に注意が必要である。そこで、電着砥石の表面を硬質層でコーティングする処理、例えばDLC(ダイヤモンドライクカーボン)によるコーティングなどを行うことにより、上述した砥粒の脱落が抑えられるようになり、これにより上述したような傷の発生を抑えることができる。
【0065】
・上述した表面修正用工具とは、研磨部材の表面を整えたり、表面に付着した汚れや固着物などを取り除いたりすることができるものであり、具体例としては、前記固定砥粒付き加工工具や、硬質のブラシなどを使用することが可能である。
【0066】
・
図5に示すように、形状加工用切削工具又は表面修正用工具として機能する工具41として、被研磨加工物Kの端部KEの形状と同一の形状を有しており、研磨面11を端部KEの形状に沿った形状に修正する刃を外周に備える回転式のカッタを使用するようにしてもよい。
【0067】
図5にこの変形例における研磨装置の概略構成を示す。この
図5に示すように、研磨部材10の径方向における外周面近傍であって研磨面11に対向する位置に接触機構60を設ける。この接触機構60には、上述したようなカッタ50と、カッタ50の回転軸を研磨部材10の回転軸と直交する方向(
図5に示す矢印M方向)に往復移動させる移動機構とを設ける。そして接触機構60によって、カッタ50が研磨部材10の回転中心に向かって(矢印M1の向きに)移動されると、
図5中に二点鎖線で示すようにカッタ50の刃が研磨面11に接触する。一方、接触機構60によって、カッタ50が研磨部材10の回転中心から離れる方向(矢印M2の向きに)移動されると、カッタ50の刃が研磨面11から離れる。こうした変形例でも、研磨面11の形状とカッタ50の刃の形状は一方が凹で他方が凸の関係になっているため、平面状とは異なる形状、つまり曲面形状となっている研磨面11の形状修正を容易に行うことができる。
【0068】
・形状加工用切削工具又は表面修正用工具として機能する工具として、上述した工具41とは異なる工具を使ってもよい。そうした変形例のいくつかを以下に説明する。
図6に示す円筒状の形状加工用切削工具200は、その軸方向に延びる切れ刃210が周方向に間隔をおいて複数設けられている。形状加工用切削工具200の先端部210aにおける切れ刃210の外形形状は、端部KEの曲率と同じ曲率を有している。こうした形状加工用切削工具200を工具41の代わりに用いた場合には、形状加工用切削工具200を回転させながら先端部210aを研磨面11に接触させることにより、研磨部材10の研磨面11を端部KEの形状に沿った形状に加工することができる。
【0069】
図7(A)及び
図7(B)に示す別の形状加工用切削工具300は平板状をなしており、その先端部310は、端部KEの曲率と同じ曲率を有する円形状の切れ刃になっている。また、
図7(B)に示すように、形状加工用切削工具300の厚みは、先端部310に向かって薄くなっている。こうした形状加工用切削工具300を工具41の代わりに用いた場合にも、形状加工用切削工具300を回転させながら先端部310を研磨面11に接触させることにより、研磨部材10の研磨面11を端部KEの形状に沿った形状に加工することができる。なお、こうした平板状の形状加工用切削工具300を複数組み合わせて用いてもよく、例えば複数の形状加工用切削工具300が60°や90°といった一定の角度で互いに交差するように組み合わせるようにしてもよい。
【0070】
図8に示す別の円筒状の表面修正用工具400は、その先端部に硬質のブラシ410を備えている。このブラシ410の先端形状は全体として半球形状をなしており、その半球形状の曲率は端部KEの曲率とほぼ同じ曲率を有している。こうした表面修正用工具400を工具41の代わりに用いた場合には、表面修正用工具400を回転させながらブラシ410を研磨面11に接触させることにより、研磨部材10の研磨面11を端部KEの形状に沿った形状に修正することができる。
【0071】
・上記実施形態では、曲面状の研磨面11が予め設けられた研磨部材10を定盤20に固定するようにした。しかしながら、研磨面11の形状形成は、形状加工用切削工具を使用して行うことができるため、例えば被研磨部の形状に沿った形状の面を有していない研磨部材を準備し、形状加工用切削工具を用いて被研磨加工物の被研磨部の形状に沿った形状の研磨面を形成してもよい。この一例として、
図9〜
図11に示すように、被研磨加工物Kの端部KEの形状とは異なる形状を有した研磨部材10Aの外周面を工具41と接触させることにより、端部KEの形状に沿った形状の研磨面11を形成するようにしてもよい。
【0072】
より詳細には、
図9に示すように、径方向の外周面が平面状になっている研磨部材10Aを定盤20に固定する。そして、
図10に示すように、接触機構40によって、保持部42を、研磨部材10Aの回転中心に向かって(矢印M1の向きに)移動させることにより、工具41を、研磨部材10Aの径方向における外周面に接触させる。より詳細には、研磨部材10Aの径方向における外周面に対して工具41を押圧する。この工具41の押圧により、平面状であった研磨部材10Aの外周面には、上記研磨面11が形成される。なお、こうした研磨面11の形成に際しても、上述した加工液を供給することが望ましい。そして、研磨面11が形成された後、
図11に示すように、接触機構40によって、保持部42を、研磨部材10Aの回転中心から離れる方向(矢印M2の向きに)移動させることにより、工具41を研磨面11から離間させる。
【0073】
この変形例によれば、被研磨加工物Kの端部KEの形状に沿った形状の研磨面11の形成が、研磨装置上で行われる。そのため、被研磨加工物Kの端部KEの形状に沿った形状の研磨面11が予め形成された研磨部材10を研磨装置に取り付ける場合と比較して、研磨面11の形状を高精度に形成することができるようになる。また、事前に研磨面11が形成された研磨部材10を準備する手間を省くことができる。
【0074】
・
図12に示すように、直線状の棒材70の長手方向の一側面に上記研磨面11と同様な形状を有した研磨面71を設ける。なお、棒材70の材質としては、任意の材質を選択することができる。例えば曲げ加工が容易な材質、例えば合成樹脂や黄銅などを使用することが好ましい。
【0075】
そして、
図13に示すように、円盤80の周囲に、研磨面71が外側を向くように棒材70を巻き付け、巻き付けた棒材70を適宜の方法で円盤80に固定することにより、棒材70及び円盤80で構成された研磨部材を作る。こうした態様でも、上記研磨部材10と同様な研磨部材を形成することができる。なお、円盤80の材質も任意に選択できる。例えば、金属やセラミックなどを使用することができるが、できる限り軽量な材質が好ましい。
【0076】
ちなみに、先の
図12及び
図13に示した変形例では、棒材70に研磨面71を設けた後、同棒材70を円盤80に巻き付けるようにしたが、代わりに、例えば直線状の棒材70を円盤80に巻き付けた後、同棒材70に研磨面71を設けるようにしてもよい。
【0077】
こうした変形例によれば、例えば研磨面71が摩耗した場合等に、同研磨面71が設けられた棒材70のみを交換することが可能になるため、上述したような研磨部材10と比べて交換コスト等を抑えることができる。また、被研磨部の形状が種々異なる被研磨加工物Kを研磨する場合には、棒材70を交換することにより、そうした被研磨部の形状の違いに対して容易に対応することができるようになる。
【0078】
・
図14に示すように、円盤状の研磨部材90の径方向の外周面に、周方向に延びる上記研磨面11と同様な曲面91を設け、その曲面91上に別部材を貼り付けたりコーティングを形成したりして研磨面を設けてもよい。例えば
図15及び
図16に示すように、研磨部材90の径方向の外周面に形成された曲面91に、研磨面となるテープ状の不織布100を貼り付けるようにしてもよい。この場合には、不織布100を交換することで、研磨面を新品の状態に戻すことができる。そのため、例えば研磨部材90の材質には、比較的耐久性の高い材質、例えばステンレス鋼などの金属を採用することが好ましい。ただし、研磨部材90の材質は任意に選択することができる。例えば、研磨部材90を金属で作り、曲面91には、研磨面となる樹脂コーティングを施してもよい。また、研磨部材90をセラミックで作り、曲面91には、研磨面となる樹脂コーティングを施してもよい。
【0079】
・定盤20の上面に研磨部材10を設けるようにしたが、定盤20を省略して、研磨部材10の中心に第1モータ21の回転軸を直接固定してもよい。
・モータ移動機構33を駆動させることにより端部KEを研磨面11に押し付けるようにしたが、端部KEを研磨面11に押し付ける機構を別途設けてもよい。
【0080】
・研磨部材10を回転させるようにしたが、直線状に往復移動させるようにしてもよい。
・被研磨加工物Kの端部KEを研磨するようにしたが、被研磨部はそうした端部に限定されるものではなく、他の部位でもよい。
【0081】
・被研磨加工物Kの端部KEの形状は、曲面以外の非平面状であってもよく、例えば
図17に示す三角形状や、
図18に示すように略三角形状であって頂部が丸みを帯びた形状でもよい。また、被研磨加工物Kの端部KEの形状は、
図19に示す階段形状や、
図20に示すように略階段形状であって角部が丸みを帯びた形状であってもよい。また、
図21に示すように、端部KEが、被研磨加工物Kの内側に向けて窪んだ曲面形状であってもよい。また、複数の曲率で構成される曲面や、一部に直線部を備える曲面でもよい。これらの変形例においても、研磨部材10の研磨面11を、被研磨加工物Kの端部KEの形状(被研磨部の形状)に沿った形にすることで、端部KEを研磨することができる。
【0082】
・先の
図2等に示したように、上述した実施形態では、研磨面11に対して被研磨加工物Kを、研磨部材10の回転軸と直交する方向(
図2等に示す矢印X方向)に押し付けることにより、被研磨加工物Kの端部KEを研磨するようにした。この場合、そうして押し付けられた端部KEについては研磨することができるものの、被研磨加工物Kの上面及び下面、つまり研磨部材10の回転軸が直交する平面に対して平行になる被研磨加工物Kの両面については、研磨に際して圧力が余りかからないため、十分に研磨加工することができないおそれがある。
【0083】
そこで、まず、樹脂等のようにある程度の弾性を有しており弾性変形する材質にて研磨部材10を形成する。そして、
図22に示すように、研磨部材10の回転軸に平行な方向(
図22に示す矢印Y方向)における研磨面11の幅H1は、加工前の被研磨加工物Kの厚さT1(つまり被研磨加工物Kの上面KU及び下面KD間の長さ)よりも所定量αだけ小さくする。このように、研磨部材10を弾性体で形成して、研磨面11の形状を被研磨加工物Kの形状よりも小さくした変形例では、次の効果が得られる。
【0084】
図23に示すように、この変形例によれば、研磨部材10に被研磨加工物Kを押し付けて研磨する際、被研磨加工物Kの上面KU及び下面KDには、上記所定量αの分だけ弾性変形した研磨部材10からの押し付け力Fが付与される。従って、被研磨加工物Kの研磨時には、端部KEだけではなく、上面KU及び下面KDも同時に研磨することができるという効果が得られる。なお、上記所定量αを大きくするほど、被研磨加工物Kを研磨する際の研磨部材10の弾性変形量は大きくなるため、同所定量αを最適化することにより、被研磨加工物Kの上面KU及び下面KDに付与される押し付け力Fを最適化することができる。
【0085】
また、被研磨加工物Kの端部KEを研磨面11に押し付ける力と、被研磨加工物Kの上面KU及び下面KDに付与される押し付け力Fとを、必要に応じて調整することにより、被研磨加工物Kを適切に加工することができる。