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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-187518(P2017-187518A)
(43)【公開日】2017年10月12日
(54)【発明の名称】光変調器
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/01 20060101AFI20170919BHJP
【FI】
   G02F1/01 F
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2016-73793(P2016-73793)
(22)【出願日】2016年4月1日
(71)【出願人】
【識別番号】000183266
【氏名又は名称】住友大阪セメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116687
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 爾
(74)【代理人】
【識別番号】100098383
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 純子
(74)【代理人】
【識別番号】100155860
【弁理士】
【氏名又は名称】藤松 正雄
(72)【発明者】
【氏名】菅又 徹
【テーマコード(参考)】
2K102
【Fターム(参考)】
2K102AA17
2K102AA20
2K102AA21
2K102BA03
2K102BB01
2K102BB04
2K102BC04
2K102BC05
2K102BD01
2K102CA09
2K102CA10
2K102DA04
2K102DA05
2K102DB04
2K102DB05
2K102DC08
2K102DD03
2K102DD05
2K102EA02
2K102EA07
2K102EA09
2K102EA12
2K102EB30
(57)【要約】
【課題】
終端抵抗で発生する熱を効果的に分散、放出することができ、終端抵抗を含む終端基板の信頼性を向上させ、光導波路に対する熱の影響を低減することが可能な光変調器を提供すること。
【解決手段】
光導波路が形成された光導波路基板と、該光導波路基板に設けられ、該光導波路に電界を印加する信号電極と、該信号電極を終端する終端抵抗と、該終端抵抗を配置した終端基板とを備えた光変調器において、一つの該終端基板に対して、少なくとも複数の該終端抵抗を有し、該終端抵抗7で発生した熱が、該終端基板内の局所部分に集中すること、又は該光導波路基板に伝導することを抑制するため、該終端基板に設けられ、該終端抵抗と電気的に接続された接地電極11を、0.1μmよりも厚く形成したことを特徴とする。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光導波路が形成された光導波路基板と、
該光導波路基板に設けられ、該光導波路に電界を印加する信号電極と、
該信号電極を終端する終端抵抗と、
該終端抵抗を配置した終端基板とを備えた光変調器において、
一つの該終端基板に対して、少なくとも複数の該終端抵抗を有し、
該終端抵抗で発生した熱が、該終端基板内の局所部分に集中すること、又は該光導波路基板に伝導することを抑制するため、
該終端基板に設けられ、該終端抵抗と電気的に接続された接地電極を、0.1μmよりも厚く形成したことを特徴とする光変調器。
【請求項2】
請求項1に記載の光変調器において、該接地電極の厚さは、0.1μmから20μmの範囲に設定されていることを特徴とする光変調器。
【請求項3】
光導波路が形成された光導波路基板と、
該光導波路基板に設けられ、該光導波路に電界を印加する信号電極と、
該信号電極を終端する終端抵抗と、
該終端抵抗を配置した終端基板とを備えた光変調器において、
一つの該終端基板に対して、少なくとも複数の該終端抵抗を有し、
該終端抵抗で発生した熱が、該終端基板内の局所部分に集中すること、又は該光導波路基板に伝導することを抑制するため、
該終端基板に設けられ、該終端抵抗と電気的に接続された接地電極について、該終端抵抗の近傍における、該接地電極の該光導波路基板側の端部の位置を、該終端基板の該光導波路基板側の端部から該終端基板の内側方向に後退させて配置したことを特徴とする光変調器。
【請求項4】
請求項3に記載の光変調器において、該接地電極の該光導波路基板側の端部の位置は、該終端基板の該光導波路基板側の端部から該終端基板の内側方向に10μmから300μmの範囲で後退させて配置したことを特徴とする光変調器。
【請求項5】
光導波路が形成された光導波路基板と、
該光導波路基板に設けられ、該光導波路に電界を印加する信号電極と、
該信号電極を終端する終端抵抗と、
該終端抵抗を配置した終端基板とを備えた光変調器において、
一つの該終端基板に対して、少なくとも複数の該終端抵抗を有し、
該終端抵抗で発生した熱が、該終端基板内の局所部分に集中すること、又は該光導波路基板に伝導することを抑制するため、
該終端基板とを筐体内に実装する実装手段は、該終端基板と該筐体とを接続する熱伝導部材を有することを特徴とする光変調器。
【請求項6】
請求項5に記載の光変調器において、該熱伝導部材は、金属製リボン、金属薄板、または金属製ワイヤであることを特徴とする光変調器。
【請求項7】
光導波路が形成された光導波路基板と、
該光導波路基板に設けられ、該光導波路に電界を印加する信号電極と、
該信号電極を終端する終端抵抗と、
該終端抵抗を配置した終端基板とを備えた光変調器において、
一つの該終端基板に対して、少なくとも複数の該終端抵抗を有し、
該終端抵抗で発生した熱が、該終端基板内の局所部分に集中すること、又は該光導波路基板に伝導することを抑制するため、
該終端抵抗の配置は、該終端抵抗の間の間隔aに対し、最も端に位置する終端抵抗R1と該終端抵抗R1に近い該終端基板の横側面との距離bが前記間隔aより大きく、又は該終端抵抗と該終端基板の後側面との距離cが前記間隔aより大きくなるように設定されていることを特徴とする光変調器。
【請求項8】
光導波路が形成された光導波路基板と、
該光導波路基板に設けられ、該光導波路に電界を印加する信号電極と、
該信号電極を終端する終端抵抗と、
該終端抵抗を配置した終端基板とを備えた光変調器において、
一つの該終端基板に対して、少なくとも複数の該終端抵抗を有し、
該終端抵抗で発生した熱が、該終端基板内の局所部分に集中すること、又は該光導波路基板に伝導することを抑制するため、
該終端抵抗の配置は、隣接する終端抵抗の間の距離dが、該光導波路基板に対向する該終端基板の前側面に沿った方向での前記終端抵抗の間の間隔eよりも大きくなるように設定されていることを特徴とする光変調器。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれかに記載の光変調器において、該終端抵抗の抵抗値が50Ωより小さいことを特徴とする光変調器。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれかに記載の光変調器において、該光導波路基板は、LiNbO3,InP又はSiのいずれかで構成されていることを特徴とする光変調器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光変調器に関し、特に、終端基板を備えた光変調器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、高速/大容量光ファイバ通信システムにおいて、光導波路を形成した基板を利用する光変調器や、そのような光変調器を組み込んだ光送信装置が多用されている。中でも、電気光学効果を有するLiNbO(「LN」という。)を基板に用いた光変調器は、InPやSiやGaAsなどの半導体系材料の変調器に比べ、高速/大容量光ファイバ通信システムに広く用いられている。このLNを用いた光変調器は、光をLN基板中に閉じ込め、導波させる光導波路により構成されるマッハツェンダ型光導波路と、その変調部には電界を印加する電極が形成されている。また、電極は、光変調器の外部より入力するデータ信号に基づき光を変調するための高周波信号(「変調信号」という。)を印加する信号電極部やDCドリフトや温度ドリフトなどによる動作点変化に対応した制御をおこなうためにディザー信号とDC電圧とを印加するDC電極部などで構成されている。
【0003】
近年の伝送容量の増大化の流れを受け、高速/大容量光ファイバ通信システム用の光変調器の変調方式は、従来の強度変調(On-Off keying)などから、位相変調を用いたQPSK(Quadrature Phase Shift Keying)、やDP−QPSK(Dual Polarization - Quadrature Phase Shift Keying)等、多値変調や多値変調に偏波多重を取り入れた伝送フォーマットが主流になっている。
【0004】
DP−QPSK変調を実現する光変調器(「DP−QPSK光変調器」という。)は、図1に示すように、LN等の基板(光導波路基板)1に2つのマッハツェンダー型光導波路で構成されるネスト型光導波路を2つ配置した光導波路(不図示)構造(この構造を有する光導波路素子を「DP−QPSKチップ」という。)を有している。さらに、各マッハツェンダー型光導波路を構成する変調部に、変調信号を印加するため、光導波路基板1上には複数の信号電極2を備えている。各信号電極2には、入力用コネクタ4を介してデータ信号が入力される。また、各信号電極2の終端には、終端抵抗7が接続されている。LN等の基板(光導波路基板)1や終端抵抗を配置した終端基板3は、筐体6内に配置され、パッケージ化される。
各信号電極の終端に終端抵抗が設けられる場合は、図1のように、終端抵抗7を同一の終端基板3内に複数設け、パッケージ化されたDP−QPSK光変調器の小型化を図る場合がある。
【0005】
DP−QPSK光変調器の信号電極に印加される変調信号の周波数は、マイクロ波帯の高周波信号であり、信号電極は、進行波型の電極構造が用いられる。変調信号の電気エネルギーは殆ど全て終端抵抗で消費され、終端基板3内の終端抵抗(抵抗膜)で熱に変換される。発生した熱により終端抵抗自身の特性が劣化し、DP−QPSK光変調器の信頼性を損なうなどの問題があった。
【0006】
DP−QPSK光変調器は、4つの変調部を持っている。本構成にてQPSK変調を行うためには、単一のマッハツェンダ型光導波路を有する光変調器(「単一変調器」という。)を用いて従来の強度変調を行う場合の電圧振幅の2倍の電圧振幅(電力は4倍)で駆動することが必要となる。このため、DP−QPSK光変調器で消費される電力は、従来の単一変調器の場合と比較して16倍以上になるため、発熱量も16倍以上になる。しかも、光変調器を小型化する場合には、終端基板3を光導波路基板1に近接して配置する必要がある。終端抵抗で発生する熱は、光導波路素子に影響し温度ドリフトを発生させる。また、終端抵抗自身の発熱は、終端抵抗自身の経時劣化や割れ・剥離等を発生させる要因となり、光変調器及びそれを用いた光送信装置の信頼性を損なうなどの問題となっている。
【0007】
さらに、このDP−QPSKチップを複数用い多素子化し、QPSK変調を行い、より伝送容量を高めることも提案されている(例えば特許文献1参照)。図2に示すように、2つのDP−QPSKチップを一つの筐体内に配置し、パッケージ化した場合、筐体内の発熱量は単一変調器構造の強度変調を行う場合に比べて、32倍以上となり、深刻な問題となっている。なお、図2では、光導波路基板1a及び1bを横に並べて配置しているが、特許文献1のように複数の光導波路基板を積層して配置する場合もある。
【0008】
従来、単一変調器での終端抵抗の発熱は、光変調器の動作開始直後のDCドリフトによる動作点変化と切り分けられることなく扱われていた。
【0009】
しかしながら、DP−QPSKチップを複数用い多素子化し、QPSK変調を行う場合の光変調器などのように、(a)変調信号の振幅が大きい、(b)終端抵抗が複数有る、(c)終端抵抗が一つの終端基板に集積される場合は、終端抵抗の発熱による影響は大きくなり、問題が深刻化してきた。しかも、光変調器が、(d)小型化すること、(e)複数素子化(多素子化)することにより、その影響が更に深刻化してきている。
【0010】
この様な終端抵抗による発熱の問題を低減する対策として、特許文献2に示すように、終端抵抗の面積を大きくしたり、熱伝導用の孔を終端基板を構成する支持体に設けたりすることが提案されている。しかしながら、これらの構成、方法では終端基板自体が、大きくなり、また製造コストも増加するため、低コストで小型の光変調器を実現することが困難となる。このため、小型化や低コスト化の要請に応えるために、従来の構成、方法ではない発熱対策により、動作点変化が抑圧され、信頼性の高い光変調器が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2015−69162号公報
【特許文献2】特開2014−199302号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明が解決しようとする課題は、上述したように、終端抵抗による発熱の影響を抑制した光変調器を提供することである。特に、DP−QPSK光変調器のように、複数の信号入力、複数の終端抵抗を有する光変調器において、より顕著となる、終端抵抗の発熱を抑制することである。さらには、効果的な放熱対策を施すことにより、終端抵抗を含む終端基板の信頼性を高め、光変調器の温度ドリフトを抑制可能な光変調器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するため、本発明の光変調器は、以下のような技術的特徴を有する。
(1) 光導波路が形成された光導波路基板と、該光導波路基板に設けられ、該光導波路に電界を印加する信号電極と、該信号電極を終端する終端抵抗と、該終端抵抗を配置した終端基板とを備えた光変調器において、一つの該終端基板に対して、少なくとも複数の該終端抵抗を有し、該終端抵抗で発生した熱が、該終端基板内の局所部分に集中すること、又は該光導波路基板に伝導することを抑制するため、該終端基板に設けられ、該終端抵抗と電気的に接続された接地電極を、0.1μmよりも厚く形成したことを特徴とする。
【0014】
(2) 上記(1)に記載の光変調器において、該接地電極の厚さは、0.1μmから20μmの範囲に設定されていることを特徴とする。
【0015】
(3) 光導波路が形成された光導波路基板と、該光導波路基板に設けられ、該光導波路に電界を印加する信号電極と、該信号電極を終端する終端抵抗と、該終端抵抗を配置した終端基板とを備えた光変調器において、一つの該終端基板に対して、少なくとも複数の該終端抵抗を有し、該終端抵抗で発生した熱が、該終端基板内の局所部分に集中すること、又は該光導波路基板に伝導することを抑制するため、該終端基板に設けられ、該終端抵抗と電気的に接続された接地電極について、該終端抵抗の近傍における、該接地電極の該光導波路基板側の端部の位置を、該終端基板の該光導波路基板側の端部から該終端基板の内側方向に後退させて配置したことを特徴とする。
【0016】
(4) 上記(3)に記載の光変調器において、該接地電極の該光導波路基板側の端部の位置は、該終端基板の該光導波路基板側の端部から該終端基板の内側方向に10μmから300μmの範囲で後退させて配置したことを特徴とする。
【0017】
(5) 光導波路が形成された光導波路基板と、該光導波路基板に設けられ、該光導波路に電界を印加する信号電極と、該信号電極を終端する終端抵抗と、該終端抵抗を配置した終端基板とを備えた光変調器において、一つの該終端基板に対して、少なくとも複数の該終端抵抗を有し、該終端抵抗で発生した熱が、該終端基板内の局所部分に集中すること、又は該光導波路基板に伝導することを抑制するため、該終端基板とを筐体内に実装する実装手段は、該終端基板と該筐体とを接続する熱伝導部材を有することを特徴とする。
【0018】
(6) 上記(5)に記載の光変調器において、該熱伝導部材は、金属製リボン、金属薄板、または金属製ワイヤであることを特徴とする。
【0019】
(7) 光導波路が形成された光導波路基板と、該光導波路基板に設けられ、該光導波路に電界を印加する信号電極と、該信号電極を終端する終端抵抗と、該終端抵抗を配置した終端基板とを備えた光変調器において、一つの該終端基板に対して、少なくとも複数の該終端抵抗を有し、該終端抵抗で発生した熱が、該終端基板内の局所部分に集中すること、又は該光導波路基板に伝導することを抑制するため、該終端抵抗の配置は、該終端抵抗の間の間隔aに対し、最も端に位置する終端抵抗R1と該終端抵抗R1に近い該終端基板の横側面との距離bが前記間隔aより大きく、又は該終端抵抗と該終端基板の後側面との距離cが前記間隔aより大きくなるように設定されていることを特徴とする。
【0020】
(8) 光導波路が形成された光導波路基板と、該光導波路基板に設けられ、該光導波路に電界を印加する信号電極と、該信号電極を終端する終端抵抗と、該終端抵抗を配置した終端基板とを備えた光変調器において、一つの該終端基板に対して、少なくとも複数の該終端抵抗を有し、該終端抵抗で発生した熱が、該終端基板内の局所部分に集中すること、又は該光導波路基板に伝導することを抑制するため、該終端抵抗の配置は、隣接する終端抵抗の間の距離dが、該光導波路基板に対向する該終端基板の前側面に沿った方向での前記終端抵抗の間の間隔eよりも大きくなるように設定されていることを特徴とする。
【0021】
(9) 上記(1)乃至(8)のいずれかに記載の光変調器において、該終端抵抗の抵抗値が50Ωより小さいことを特徴とする。
【0022】
(10) 上記(1)乃至(9)のいずれかに記載の光変調器において、該光導波路基板は、LiNbO3,InP又はSiのいずれかで構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明により、終端抵抗で発生する熱を効果的に分散、放出することができ、終端抵抗の信頼性を向上させることができる。また光導波路に対する熱の影響を低減することができ、これにより温度ドリフトが抑圧された信頼性の高い、光変調器を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】DP−QPSK光変調器の例を示す平面図である。
図2】2個のDP−QPSK光変調器を搭載した例を示す平面図である。
図3】従来の終端基板の例を示す平面図(a)及び断面図(b,c)である。
図4】本発明の光変調器に用いられる終端基板に係る第1実施例を示す断面図(a)及び斜視図(b)である。
図5図4で示した第1実施例の終端抵抗を複数配置した例を示す斜視図である。
図6】本発明の光変調器に用いられる終端基板に係る第2実施例を示す平面図である。
図7】本発明の光変調器に用いられる終端基板の筐体実装に係る第3実施例を示す平面図である。
図8】本発明の光変調器に用いられる終端基板の筐体実装に係る第4実施例を示す平面図である。
図9】本発明の光変調器に用いられる終端基板に係る第5実施例を示す平面図である。
図10】本発明の光変調器に用いられる終端基板に係る第6実施例を示す平面図である。
図11図10で示した第6実施例の応用例を説明する平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明に係る光変調器について、詳細に説明する。
本発明が適用される光変調器は、図1又は2に示すように、光導波路が形成された光導波路基板1(1a,1b)と、該光導波路基板に設けられ、該光導波路に電界を印加する信号電極2と、該信号電極を終端する終端抵抗7と、該終端抵抗を配置した終端基板3とを備えた光変調器であり、特に、一つの終端基板3に対して、少なくとも複数の終端抵抗を有する光変調器である。そして、終端抵抗で発生した熱が、終端基板内の局所部分に集中すること、又は該光導波路基板に伝導することを抑制するための手段を備えた光変調器である。
【0026】
光導波路基板1や終端基板3は、図1又は2に示すように、金属製の筐体6内に収容され光変調器モジュールを構成する。光導波路基板1は、LiNbOやLiTaO等の誘電体やInPやSi等の半導体を用いたものなどがある。本発明の光変調器においても、光導波路基板の材料は特に限定されないが、従来から公知の誘電体や半導体の基板を用いることできる。また、光導波路の形成に際しても、LiNbOの誘電体基板にTiを熱拡散させ光導波路を形成する方法やリッジ型光導波路など、公知の技術を用いることが可能である。
【0027】
光導波路の構成は、1つのマハツェンダー型光導波路、2つのマッハツェンダー型光導波路を入れ子型に配置した、所謂、ネスト型光導波路、さらに、特許文献1にも開示されているDP−QPSKチップなどのように、2つのマッハツェンダー型光導波路で構成されるネスト型光導波路を2つ配置したものなど、種々の光導波路の形状を用いることができる。
【0028】
また、光導波路の変調部に入力電気信号を印加する信号電極の数についても、図1に示すように、4つの信号電極を備えたDP−QPSKチップに限らず、シングル型(変調用の信号電極が1箇所)、デュアル型(変調用の信号電極が2箇所)、DQPSK構成変調器(変調用の信号電極が2箇所)など、種々のものに本発明は適用可能である。特に、信号電極の数が多い程、終端抵抗の数も増加するため、本発明はより効果的に適用可能であり、例えば、図2に示すように、DP−QPSKチップを2個組み込み、入力電気信号が8箇所ある多素子化した構成には、特に効果的に適用できる。
【0029】
終端基板3上に形成される終端抵抗の素子数は、光変調器の構成、電極設計、筐体設計に応じて適宜選択される。図1のDP−QPSK光変調器の終端基板3では、4個の終端抵抗を同一基板(支持体)上に形成した例を示しているが、終端基板を複数に分けて構成することも可能である。さらに、図1の4個の終端抵抗を2個又は1個の終端抵抗を備えた終端用電気回路で構成し、これらを同じ基板上に形成しても良い。近年では、光変調器サイズを小型化するため、複数の終端抵抗を同一基板上に形成する場合が多い。本発明は、図1又は図2のように、2個以上の終端抵抗を用いるもの、特に、複数の終端抵抗を同一の終端基板内に配置する場合に、効果的に適用することが可能である。
【0030】
図3は、従来の光変調器に用いられる終端基板を示す図である。図3(a)は終端基板の平面図であり、図3(b)は図3(a)の一点鎖線A−A’、図3(c)は図3(a)の一点鎖線B−B’における各々の断面図である。
【0031】
終端基板の基本構成は、アルミナなどのセラミックス基板10上に終端抵抗7、接地電極9、信号電極8を設ける。各電極や終端抵抗は、高周波特性や生産性などの要請から、真空蒸着やスパッターを用いた薄膜で形成される。例えば、信号電極8や接地電極9は金、終端抵抗7はニクロムなどが用いられる。
【0032】
これら薄膜は、真空蒸着やスパッターなどの製造方法から、また要請される特性やコストの観点から、およそ0.05μmから0.1μm程度の厚さで形成される。
【0033】
このようにして形成された終端基板は、光導波路基板の信号電極出力側に接続され、入力された高周波電気信号が終端抵抗で効率的に終端されるように設置する。ここで言う効率的な終端とは、入力された高周波電気信号の終端部での反射が少なく、入力された電気信号エネルギーの殆どがこの終端で消費されることを意味している。従って、終端抵抗の抵抗値は駆動する高周波信号発生源のインピーダンスである50Ωに合わせ、50Ωとなるようニクロムなどの薄膜抵抗値を合わせるように形成する。即ち、従来の終端抵抗は、入力された高周波信号の電気エネルギーをできるだけ終端抵抗で消費するように、設計、設置することを目的としている。
【0034】
なお、図3には示していないが、終端基板には終端抵抗となる抵抗体の他に、コンデンサなど他の電子部品も形成又は実装される場合もあり、適用される光変調器の構成などによって、適宜選択される。
【0035】
本発明の光変調器では、同一の終端基板に複数の終端抵抗が存在する場合に、終端抵抗で発生した熱が、終端基板内の局所部分に集中し易く、また、終端基板が加熱し光導波路基板に熱が伝導することで温度ドリフトの原因ともなる。このような不具合を防止するため、本発明では、以下のような手段を用いることで、終端抵抗で発生した熱が、終端基板内の局所部分に集中することや、光導波路基板に伝導することを抑制している。
【0036】
(1)終端抵抗の近傍の接地電極を厚膜化し、終端抵抗や終端基板の局所部分に偏在している熱を効率的に分散させる。
(2)発熱により温度上昇する、終端抵抗やその近傍の接地電極を、光導波路基板から遠避け、光導波路基板に及ぼす熱影響を低減する。
(3)終端抵抗で発生した熱を効率的に筐体側に逃がすため、終端基板内の接地電極と筐体とを、金属製リボン、金属薄板、金属製ワイヤなどの熱伝導部材で接続する。
(4)終端抵抗の間の間隔に対し終端抵抗を取り囲む接地電極の領域を広く確保することにより、局所部分に偏在する熱の分散を促進し、放熱効果を高める。
(5)終端抵抗の間の間隔(終端基板の光導波路基板に対向する面に沿った間隔)よりも、隣接する終端抵抗の間の距離を大きくし、局所的に発熱が集中することを抑制する。
(6)終端抵抗のインピーダンスを50Ωより小さい値に設定し、終端抵抗における発熱を抑制する。
【0037】
以下、各実施例についてより詳細に説明する。
図4は本発明の光変調器に係る第1実施例である。
本発明の特徴は、終端抵抗7に接続される接地電極11を厚膜化し、終端抵抗で発生する熱を効率的に分散させ、終端抵抗やその付近に集中する熱偏在を緩和させることにある。特に、終端抵抗での発熱は、終端基板の上面で偏在発生するため、終端基板底面からの放熱より、終端基板上面からの放熱させる手段が非常に有効である。
本実施例は、従来の終端抵抗の設計を殆ど変更すること無く、簡便な方法で、終端基板で偏在する熱の問題を解消することができる。具体的には、効率的に熱を分散し、または、熱が集中することを抑制することで、熱の問題を効果的に解消する。
【0038】
終端基板内の接地電極などの電極膜は、例えばAuのメッキにて製造することができる。接地電極などの電極膜の厚さは厚いほど発生する熱を効率的に伝導させ分散させることができるが、製造工数やコストなどの兼ね合いから、0.1μmより厚く、より好ましくは0.1μmより厚く20μmより薄くするのが好適である。また、光変調器の構成上の制限などから、入力される電気信号が大きい場合や、終端抵抗が同一基板内に複数形成され発熱量が多い場合などは、この電極膜の厚さを20μmよりもさらに厚くしても良い。
【0039】
特に、本実施例の発明は、DP−QPSK光変調器のように、入力信号振幅が大きく、複数の終端抵抗(この場合は4個)が必要な光変調器には、第1実施例による効果が高く、また容易に適応できるなど、顕著な効果を奏する。
【0040】
なお、本実施例では接地電極11のみを厚膜化した例を示したが、終端抵抗7や終端抵抗に繋がる信号電極8を厚膜化しても、ある程度の熱分散の効果が得られる。よって終端抵抗に接続される接地電極の厚膜化に連動して、終端抵抗等を厚膜化しても良い。さらに、終端抵抗等を単独で厚膜化しても良い。
【0041】
図5は、図4に示した厚膜化した接地電極11の構成を、複数の終端抵抗7を同一の支持体10上に配置した終端基板の例を示す。接地電極11の厚みは、図5に示すように均一に設定しても良いし、終端抵抗7の近傍のみ厚く、近傍から離れた場所では、近傍の接地電極よりも薄く構成するなどの構成を付加しても良い。
【0042】
図6は、本発明の光変調器に係る第2実施例である。
本発明の特徴は、終端抵抗に接続される接地電極の一部を終端基板の支持体10の端部から後退させることを特徴としている。つまり、終端基板の支持体10の端部から接地電極9までの間に接地電極が形成されない領域12を設けることである。
【0043】
この実施例では、終端抵抗で発生した熱が接地電極を通して光導波路基板に影響することを、接地電極を光導波路基板から離すことで抑制している。接地電極の後退量は、高周波信号の反射特性などを劣化させないよう、10μmから300μmの範囲から選択することが好適である。
【0044】
図6では、接地電極9を、終端基板の支持体10の光導波路基板側の対向面から均等に後退させているが、必ずしも均等に後退させる必要はない。少なくとも終端抵抗の近傍にある接地電極9を部分的に後退すれば良く、後退量も部分部分で異なっても良い。
また、図6では、終端抵抗に繋がる信号電極8も接地電極9と同調させて後退させているが、後退量を同じにする必要はなく、信号電極8を後退させないよう設定することも可能である。
【0045】
図7は、本発明の光変調器に係る第3実施例である。
本発明は、終端基板内での発熱を、熱伝導部材を設置することで効果的に終端基板の外へ放出、伝導させることを特徴としている。具体的には、終端基板を実装する筐体13に熱を放出している。
【0046】
この熱伝導部材は各種金属板や高熱伝導セラミック等でも形成できるが、熱膨張などに起因する信頼性等を考慮すると、金などの金属製のリボンや、銅、真鍮、アルミ等の金属薄板などで形成することが好適である。
金リボンの場合は超音波ボンディングで、銅、真鍮、アルミ等の金属薄板などの場合は熱伝導性接着剤などで、熱伝導部材を終端基板(接地電極)や筐体に接続する。
【0047】
本発明の構成においても、終端基板内で偏在する熱を、終端基板の上面に設置される熱伝導部材によって、熱伝導作用を大きくし効果的に熱対策を行うことができる。
【0048】
また、本発明は図7の実施例でも示すように、同一基板上に複数の終端抵抗7が形成された終端基板に対して、特に有効である。なお、本実施例では同一基板上に4個の終端抵抗7が形成された終端基板を例示したが、終端抵抗はこの4個だけに限定されるものではない。
当然、本発明の構成は、従来の終端基板に適応しても効果があるが、第1又は第2実施例と組み合わせることで、より効果を高めることができる。
【0049】
図8は、本発明の光変調器に係る第4実施例である。
本発明の実施例では、図7の第3実施例で示した熱伝導部材として、金などの金属製ワイヤ15を用いている。光変調器の製造に係る生産性を考慮し、熱伝導部材として役割を、ボンディングワイヤーで代用するものである。
【0050】
この構成の場合、光変調器の製造に係る生産性を高めることができる一方、終端抵抗7で発生する熱を終端基板外に放出、伝導させる効率は、第3実施例よりも低くなる。このため、本発明を実施する場合は、第1又は第2実施例と組み合わせることで、製造生産性と熱の放熱性、伝導性をバランスよく両立することができる。
【0051】
特に、接地電極を厚膜化し、かつ熱伝導部材としてワイヤボンディングを併用する実施例は、放熱性を高く取れるとともに高い生産性の両方を実現することができ、最も好適な実施例となる。
また、厚膜化を併用する事で放熱性と熱伝導性を高めることができるため、ワイヤボンディングの数を減らすことも可能となる。例えば、図8(b)に示すように、発熱する終端抵抗の脇近くだけに、数本のワイヤボンディングを設置するだけで有効な効果を得ることができる。このように、発熱の影響が大きい終端抵抗の近傍にワイヤボンディングすることで、放熱に必要な最小限の機能を付与すると共に、ボンディング本数を少なくし、生産性を一層高める有効な手段となる。
【0052】
ところで、上述したワイヤボンディングは、信号電極を含む高周波線路など、高周波基板の電気的接続をするワイヤボンディングとは異なるものである。高周波の電気接続は、高周波特性を劣化させないよう、信号電極に近接し高周波信号の伝搬方向に沿って、終端基板と光導波路基板などの基板間を接続するものである。
【0053】
本発明で実施するワイヤボンディングは熱伝導手段として設置するものであって、信号電極に近接する必要はなく、むしろ終端抵抗の近傍に設けられ、終端基板と筐体との間を接続するものである。このように、高周波電気接続のワイヤボンディングとは異なる構成を有している。
【0054】
図9は、本発明の光変調器に係る第5実施例である。
本実施例は、複数の終端抵抗を同一の基板上の形成する場合の有効な設計方法を例示するものである。
【0055】
図9に示すように、終端抵抗7の配置は、終端抵抗の間の間隔a(これらは通常複数ある光導波路基板上に形成された高周波信号電極の出力側電極パッドの間隔に略等しい)に対し、最も端に位置する終端抵抗R1と該終端抵抗R1に近い終端基板の支持体10の横側面S2との距離bが前記間隔aより大きく、又は該終端抵抗(7,R1)と該終端基板の支持体10の後側面S3との距離cが前記間隔aより大きくなるように設定されている。
【0056】
そもそも、複数の終端抵抗を同一基板上に形成する目的は、DP−QPSK変調器など複数高周波信号の入力が必要な光変調器では、従来の光変調器より大型化し高コスト化することから、これらを少しでも改善するためより小型化及び、より低コスト化する意図に基づくものである。その結果、終端基板に対する設計思想には、(1)出来るだけ小さくなるよう設計すること、(2)出来るだけ低コストになるよう設計することが求められる。
【0057】
その結果、使用する終端基板の大きさを小さくし、単位製造バッチに対する終端基板の収量を多く、使用材料コストも少なくなるようにする。そのような終端基板では、複数ある終端抵抗の間隔aより、同じ終端基板の端から終端抵抗までの距離b又はcが、略同じかそれより小さくなるのが普通である。このような設計思想は、光変調器の小型化・低コスト化を意図する場合には、高周波終端基板の設計者などの一定の技術水準にある開発者であれば容易に到達する設計である。
【0058】
しかしながら、このような従来の設計思想には、終端抵抗からの発熱が終端抵抗自体を含む終端基板の信頼性を損なう原因となることや、光変調器の温度ドリフトを発生させる原因となることの発想は無い。また、上述した発熱問題が、入力電気信号の振幅が大きいもの、終端抵抗が複数有るもの、終端抵抗が同一基板内に有るものなどの光変調器に、特に影響が大きくなり問題が深刻化するという問題意識もなかった。さらに、これら光変調器が小型化すること、複数素子化(多素子化)することで、その影響が更に深刻化する等の発想は全く無かった。
【0059】
図9の実施例は、このような問題に対し、容易で簡便に実現でき、効果的で量産運用に適した技術を提供するものである。
本発明は、複数の終端抵抗で発生する熱について、該終端抵抗の形成された間隔より広い熱伝導エリアを周囲に形成することで、偏在した熱を分散伝導させ、偏在した熱の影響を低減させるという技術思想に基づくものである。
本発明は、小型化、低コスト化に対するネガティブな影響を最小限に抑制しつつ、複数の終端抵抗から発生する熱やこれらの偏在した熱により、終端基板の信頼性や光変調器の温度ドリフトなどの問題が発生するのを抑制することができる。本発明は、従来の設計思想に無い、新たな技術思想、新たな発想に基づくものである。
【0060】
図10は、本発明の光変調器の第6実施例である。
図10に示すように、終端抵抗7の配置は、隣接する終端抵抗の間の距離dが、光導波路基板に対向する終端基板の支持体10の前側面S1に沿った方向での前記終端抵抗の間の間隔eよりも大きくなるように設定されている。
【0061】
このように構成することで、従来の終端抵抗を横一列に配置した場合と比較し、終端抵抗の間の間隔を広くすることができ、終端抵抗による発熱の偏在を緩和することが可能となる。この場合も、図9の第5実施例と同様に、終端基板の大きさが大きくなり、従来の小型化や低コスト化の設計思想からは外れたものとなる。しかしながら、本発明では、複数の終端抵抗で発生する熱を分散伝導させ、偏在する熱の影響を低減させることが、容易に実現できる。
【0062】
終端抵抗の配置については、図11(a)に示すように、基板上に規則性を持って配置しても良いし、図11(b)に示すように、全体的にばらけるようランダムに配置しても良い。
【0063】
図10及び11に示す終端基板の実施例のように、高周波信号入力端から終端抵抗までの信号電極の長さが異なると、各高周波電極間で高周波特性、例えば高周波反射特性(S11特性)が厳密には異なってくる。このため従来の設計ではこの長さを同じ値に設計し、各高周波電極間の特性を同等化させようとするが、本発明の実施例では敢えて前記間隔を異なるよう設定している。
【0064】
具体的には、長さの差異は終端基板を搭載する筐体の設計に依存するが、数mm内程度の差異である。この差異は通常のLiNbOを用いた光変調器の信号電極が数cm程度あることと比較した場合、その長さの差異の大きさいは極めて小さい。また、終端基板内で信号電極の長さを長くすることは、S11特性はむしろ良化する方向に働くため、第6実施例の構成を採用しても、光変調器の特性上の問題は生じない。
【0065】
本発明の光変調器に係る第7実施例は、終端抵抗の抵抗値が50Ωより小さくすることである。
通常、終端抵抗の抵抗値は、高周波信号源のインピーダンス50Ωに合わせ、50Ωに設定される。これに対し、本発明の目的を実現するため、終端抵抗の抵抗値を50Ωより小さい値に設定することも可能である。
【0066】
終端抵抗の抵抗値を下げることで、終端抵抗での発熱量はより小さくなる。よってS11特性などの高周波特性の要求値が許容する範囲において、この終端抵抗の値を50Ωより小さな値を選択することができる。例えば、終端抵抗での発熱量を低減させ、高周波特性を許容される範囲内とするため、30Ωから50Ωの中から終端抵抗値を選択することが好適である。より好ましくは、40Ωから50Ωの中から終端抵抗値を選択するのが好ましい。
【0067】
上述した説明では、LiNbO基板を用いたDP−QPSK変調器の構成を中心に説明したが、終端抵抗を有する光変調器であって、終端抵抗が発熱する構成のものであれば、変調方式に依らず本発明を適用できる。また、光導波路基板はInPやSi等半導体系材料のものであっても良い。またLiNbO基板を用いた場合でも、XcutやZcutなど結晶方位に依らず、本発明が適用できることは言うまでもない。
【0068】
また、上述した説明では、終端抵抗として抵抗素子だけが同一基板に形成された終端基板を例示したが、コンデンサやその他の電子部品、貫通導体や多層化含めた電子回路が同じ終端基板内に形成されていても良い。また、少なくとも複数の終端抵抗が同一基板に設置されているものであれば、終端基板が複数ある場合に対しても、本発明が適用できることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0069】
以上、説明したように、本発明によれば、終端抵抗で発生する熱を効果的に分散、放出することができ、終端抵抗やそれを含む終端基板の信頼性を向上させることができる。また光導波路に対する熱の影響を低減することができ、これにより温度ドリフトが抑圧された信頼性の高い、光変調器を提供することが可能となる。
【符号の説明】
【0070】
1 光導波路基板
2 信号電極
3 終端基板
4 入力用コネクタ
6,13 筐体
7 終端抵抗
8 終端基板内の信号電極
9,11 終端基板内の接地電極
10 終端基板の支持体
12 終端基板上の電極が後退した領域
14,15 熱伝導部材
100 偏波合成部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11