特開2017-189723(P2017-189723A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-189723(P2017-189723A)
(43)【公開日】2017年10月19日
(54)【発明の名称】超純水製造装置
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/70 20060101AFI20170922BHJP
   B01J 37/06 20060101ALI20170922BHJP
   B01J 31/08 20060101ALI20170922BHJP
【FI】
   C02F1/70 Z
   B01J37/06
   B01J31/08 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-78853(P2016-78853)
(22)【出願日】2016年4月11日
(71)【出願人】
【識別番号】000001063
【氏名又は名称】栗田工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108833
【弁理士】
【氏名又は名称】早川 裕司
(74)【代理人】
【識別番号】100162156
【弁理士】
【氏名又は名称】村雨 圭介
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 伸
(72)【発明者】
【氏名】鶴間 伸弘
(72)【発明者】
【氏名】港 康晴
【テーマコード(参考)】
4D050
4G169
【Fターム(参考)】
4D050AA05
4D050AB14
4D050AB16
4D050BA14
4D050CA03
4D050CA07
4D050CA09
4D050CA10
4G169AA01
4G169AA03
4G169AA11
4G169AA15
4G169BA23A
4G169BA23B
4G169BB02A
4G169BB02B
4G169BC69A
4G169BC72B
4G169BD01A
4G169BD01B
4G169CD10
4G169DA05
4G169EA02Y
4G169EE06
4G169FA02
4G169FA08
4G169FB27
4G169FC04
(57)【要約】
【課題】 既存の超純水製造装置の装置構成をほとんど変更することなく、揮発性有機物を極微量にまで低減することの可能な超純水製造装置を提供する。
【解決手段】 二次純水装置4は、一次純水W2を貯留するためのサブタンク11、サブタンク11に貯留した一次純水W2を送給するためのポンプ12、このポンプ12の後段に設けられた熱交換器13、低圧UV照射酸化装置14、非再生型混床式イオン交換装置15及びUF膜分離装置16を有する。非再生型混床式イオン交換装置15に超純水製造装置の運転開始前に予め所定の条件で水素吸蔵処理した白金族金属担持樹脂をアニオン交換樹脂及びカチオン交換樹脂の混合樹脂とともに充填する。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一次純水装置と白金族金属担持樹脂を用いた混床式イオン交換装置を備えた二次純水装置とを有する超純水製造装置であって、前記白金族金属担持樹脂が、水素を溶解させた超純水を白金族金属担持樹脂に対して100mg−H/L−resin以上となるように通水して該白金族金属担持樹脂の洗浄を行ったものである超純水製造装置。
【請求項2】
前記混床式イオン交換装置が、白金族金属担持樹脂とアニオン交換樹脂及びカチオン交換樹脂の混合樹脂とを1:20〜1:5(体積比)で有する請求項1に記載の超純水製造装置。
【請求項3】
前記混床式イオン交換装置が、アニオン交換樹脂及びカチオン交換樹脂の混合樹脂層間に白金族金属担持樹脂層を積層したものである請求項1又は2に記載の超純水製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一次純水装置と二次純水装置とを備えた超純水製造装置に関し、特に二次純水装置において揮発性有機物を極微量にまで低減することの可能な超純水製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体等の分野で用いられている超純水W3は、図1に示すように原水Wを処理する前処理装置2と、この前処理装置から排出される前処理水W1を処理する一次純水装置3と、この一次純水装置で製造された一次純水W2を処理する二次純水装置(サブシステム)4とで構成される超純水製造装置1により製造されている。
【0003】
この超純水製造装置1において、前処理装置2は、凝集(浮上)処理装置、沈殿、濾過又は膜濾過装置、活性炭(吸着)装置などから構成され、原水W中の懸濁物質やコロイド物質の除去を行う。また、この過程では高分子系有機物、疎水性有機物などの除去も可能である。
【0004】
一次純水装置3は、逆浸透(RO)膜分離装置、脱気装置、再生型イオン交換装置(混床式又は4床5塔式など)、電気脱イオン装置、紫外線(UV)照射酸化装置等の酸化装置などを備え、原水中のイオンや有機成分の除去を行う。なお、RO膜分離装置では、塩類を除去すると共に、イオン性、コロイド性のTOCを除去する。イオン交換装置又は電気脱イオン装置では、塩類を除去すると共にイオン交換樹脂によって吸着又はイオン交換されるTOC成分の除去を行う。脱気装置では無機系炭素(IC)、溶存酸素の除去を行う。酸化装置では、TOC成分の分解を行う。
【0005】
そして、二次純水装置(サブシステム)4は、低圧紫外線(UV)照射酸化装置、非再生型の混床式イオン交換装置及び限外濾過(UF)膜分離装置を備え、水の純度をより一層高め超純水にする。なお、低圧UV照射酸化装置では、低圧UVランプより出される波長185nmのUVによりTOCを有機酸、さらにはCOまで酸化分解する。分解により生成した有機酸及びCOは後段の非再生型イオン交換装置のイオン交換樹脂でイオン性物質と共に除去される。UF膜分離装置では、微粒子が除去され、イオン交換樹脂からの流出粒子も除去される。
【0006】
非再生型混床式イオン交換装置は、通常、容器内にアニオン交換樹脂とカチオン交換樹脂との混合樹脂層が形成されたものであり、系内でイオン交換樹脂の再生を行わず、脱塩能力が低下した際には、一旦、通水ラインから切り外し、再生済みのイオン交換樹脂と取替えが行われる。この際、容器内のイオン交換樹脂のみを取替える場合と、容器ごと取替える場合とがある。また、非再生型イオン交換装置には、アニオン交換樹脂のみを充填したものもあり、このものは、通常、混床式イオン交換容器の前段に配置される。
【0007】
図2は、代表的な二次純水装置4を示すフロー図である。この二次純水装置4は、一次純水W2を貯留するためのサブタンク11と、サブタンク11に貯留した一次純水W2を送給するためのポンプ12と、このポンプ12の後段に設けられた熱交換器13、低圧UV照射酸化装置14、非再生型混床式イオン交換装置15及びUF膜分離装置16を有する。そして、二次純水装置4の運転中は、ポンプ12を稼動して、サブタンク11内の一次純水W2を熱交換器13、低圧UV照射酸化装置14、非再生型イオン交換装置15及びUF膜分離装置16に順次通水し、得られた超純水W3をユースポイントUPに送る。ユースポイントUPで使用されなかった超純水W3は循環ライン17を経てサブタンク11に返送され、再度処理される。
【0008】
上述したような超純水製造装置により製造される超純水に要求される水質は次第に厳しくなってきており、溶存酸素、各種イオン、有機物などを極めて高いレベルにまで低減することが求められており、特に溶存酸素(DO)量を1ppb以下、好ましくは0.5ppb以下の極低濃度に低減する必要がある。このDOを除去する超純水製造装置として、特許文献1には、被処理水にUVを照射した後、パラジウム触媒と接触させることにより、還元剤を注入することなく被処理水中のDOを除去する装置が提案されている。また、特許文献2には、超純水製造装置の運転停止後の運転再開時において、装置の立ち上げ期間を短縮し、早期に低DO超純水の採水を行うことができる超純水製造装置として、被処理水が導入される紫外線照射酸化装置と、該紫外線照射酸化装置の流出水が通水されるパラジウム触媒充填容器とを有し、該被処理水に紫外線を照射して酸化した後、パラジウム触媒と接触させることにより溶存酸素を除去した超純水を得る超純水製造装置において、該パラジウム触媒充填容器への通水停止期間中に該充填容器内を加圧下に保持することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特許第2988290号公報
【特許文献2】特開2006−192352号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
これらパラジウム触媒を利用した従来技術の超純水製造装置により、超純水中の溶存酸素を低減することができるようになる。ところで、超純水中には微量の低分子の揮発性有機化合物も含まれているが、この揮発性有機化合物は、上述したような超純水製造装置では除去されにくいという問題点がある。揮発性有機化合物は、原水Wに含まれるだけでなく、イオン交換樹脂の溶出物にも含まれており、例えば、GCMSで分析した際のオルトキシレン相当のピーク面積で換算した値を揮発性有機化合物濃度として管理するなどされている。
【0011】
このような揮発性有機化合物は超純水製造装置のメンテナンス工事後にその濃度が上昇することが多く、場合によっては0.2ppb以上の濃度となることもある。そこで、通常イオン交換樹脂に対して行われる薬品・温水・超純水等で洗浄することが考えられるが、これらの通常の洗浄手段では十分な効果が得にくい、という問題点がある。特に既存の超純水製造装置の基本構成を大幅に変更することなく、揮発性有機化合物を除去することができるのが望ましい。
【0012】
本発明はかかる課題に鑑みてなされたものであり、既存の超純水製造装置の装置構成をほとんど変更することなく、揮発性有機物を極微量にまで低減することの可能な超純水製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的に鑑み、本発明は一次純水装置と白金族金属担持樹脂を用いた混床式イオン交換装置を備えた二次純水装置とを有する超純水製造装置であって、前記白金族金属担持樹脂が、水素を溶解させた超純水を白金族金属担持樹脂に対して100mg−H/L−resin以上となるように通水して該白金族金属担持樹脂の洗浄を行ったものである超純水製造装置を提供する(発明1)。
【0014】
かかる発明(発明1)によれば、白金族金属担持樹脂を用いた混床式イオン交換装置の白金族金属担持樹脂として、水素を吸蔵したものを用いているので、揮発性有機物が例えば0.2ppb以下の極低濃度の超純水を得ることができる。これは以下のような理由によると推測される。すなわち、白金族金属担持樹脂を用いた混床式イオン交換装置における揮発性有機物の増加は、超純水製造装置のメンテナンス後などに混床式イオン交換装置に充填した白金族金属担持樹脂からフタル酸類やケトン類などが微量溶出するためであることがわかった。そこで、水素を溶解させた純水で白金族金属担持樹脂を処理して所定量以上の水素を吸蔵させることにより、フタル酸類やケトン類などの揮発性有機物を分解除去し、運転開始直後のこれらの溶出を抑制することができると考えられる。また、水素を溶解させた超純水を白金族金属担持樹脂に対して100mg−H/L−resin以上となるように多量に接触させて水素を吸蔵させているので、運転初期において発生するこれら揮発性有機物も分解除去することができる。さらに運転開始直後の超純水中のDO濃度を低い値とすることもできる。
【0015】
上記発明(発明1)においては、前記混床式イオン交換装置が、白金族金属担持樹脂とアニオン交換樹脂及びカチオン交換樹脂の混合樹脂とを1:20〜1:5(体積比)で有するのが好ましい(発明2)。
【0016】
かかる発明(発明2)によれば、高価な白金族金属担持樹脂の使用量を抑制し、脱酸素効果を維持しつつ揮発性有機物を抑制することができる。
【0017】
上記発明(発明1,2)においては、前記混床式イオン交換装置が、アニオン交換樹脂及びカチオン交換樹脂の混合樹脂層間に白金族金属担持樹脂層を積層したものであることが好ましい(発明3)。
【0018】
かかる発明(発明3)によれば、白金族金属担持樹脂を混床式イオン交換装置の上部に設けると白金族金属担持樹脂が舞い上がり破砕されることで、揮発性有機物だけでなくTOCの溶出量が多くなることを防止することができる一方、白金族金属担持樹脂を混床式イオン交換装置の下部に設けると白金族金属担持樹脂自身からの溶出物を除去しにくくなることから、中間に配置することでこれらの弊害を防止することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、一次純水装置と白金族金属担持樹脂を用いた混床式イオン交換装置を備えた二次純水装置とを有する超純水製造装置において、前記白金族金属担持樹脂として、水素を溶解させた超純水を白金族金属担持樹脂に対して150mg−H/L−resin以上となるように通水して洗浄を行ったものを用いているので、白金族金属担持樹脂から溶出するフタル酸類やケトン類などを分解除去することができ、揮発性有機物は極めて低い超純水を得ることができる。さらに運転開始直後の超純水中のDO濃度を低い値とすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】超純水製造装置の一例を示す概略図である。
図2】二次純水製造装置の一例を示す概略図である。
図3】本発明の一実施形態による白金族金属担持樹脂への水素吸蔵処理装置の一例を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の超純水製造装置の一実施形態について添付図面を参照にして詳細に説明する。
【0022】
本実施形態の超純水製造装置は図1に示す構成を有するものであり、例えば図2に示す二次純水装置において、低圧UV照射酸化装置14の後段の非再生型混床式イオン交換装置15に白金族金属担持樹脂(触媒樹脂)を混合した以外、既存の超純水製造装置にそのまま適用することができる。したがって、本実施形態においては、図1及び図2を援用して説明する。
【0023】
本実施形態において使用される白金族金属担持樹脂に用いる白金族金属としては、Hの分解、及びOとHとの再結合反応に、常温常圧で触媒作用を示すものであれば特に制限はないが、例えばルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム及び白金を挙げることができる。こられの白金族金属は、1種を単独で用いることができ、2種以上を組み合わせて用いることもでき、2種以上の合金として用いることもでき、あるいは、天然に産出される混合物の精製品を単体に分離することなく用いることもできる。これらの中で白金、パラジウム、白金/パラジウム合金の単独又はこれらの2種以上の混合物は、触媒活性が強いので特に好適に用いることができる。
【0024】
また、上述したような白金族金属を担持させる担体樹脂としては、イオン交換樹脂、特にアニオン交換樹脂を好適に用いることができる。白金系金属は、負の電荷に帯電しているので、アニオン交換樹脂に安定に担持されて剥離しにくいものとなる。アニオン交換樹脂の交換基は、OH形であることが好ましい。OH形アニオン交換樹脂は、樹脂表面がアルカリ性となり、過酸化水素の分解を促進する。
【0025】
例えばパラジウム担持触媒の場合、パラジウムの担持量は、通常、担体に対して0.1〜10重量%程度であり、特に、担体としてアニオン交換樹脂を用いた場合には、少ないパラジウム担持量で優れた効果を発揮することができ、好ましい。パラジウム以外の白金等の貴金属を用いてもよいが、パラジウムが好適である。
【0026】
なお、アニオン交換樹脂にパラジウムを担持させるには、アニオン交換樹脂をカラムに充填し、次いで塩化パラジウムの酸性溶液を通水すれば良い。金属パラジウムとして担持する場合には、これを更にヒドラジンなどを用いて還元すれば良い。
【0027】
パラジウム触媒の形状は粉末状、粒状、ペレット状、あみ状などいずれの形状でも使用できる。パラジウム触媒は、異なる種類のもの、異なる形状のものを2種以上混合して用いることもできる。本実施形態においては、特に、粒径0.1〜3mm程度の球状又はペレット状のアニオン交換樹脂にパラジウムを担持してなる触媒樹脂を用いるのが好適である。
【0028】
本実施形態においては、非再生型混床式イオン交換装置15に充填される白金族金属担持樹脂は、超純水製造装置1の運転開始前に予め水素吸蔵処理したものである。
【0029】
白金族金属担持樹脂に水素を吸蔵させるには、白金族金属担持樹脂を水素吸蔵処理用の容器(密閉容器)に収容し、該処理容器に水素溶解水を通水すればよい。
【0030】
図3は水素溶解水通水方式の処理装置のフロー図であり、処理容器21内に白金族金属担持樹脂Rが収容されている。配管22を流れる超純水WOに対し配管23から水素ガスを吹き込んで水素溶解水とし、この水素溶解水を容器21内の上部に供給する。容器21内の白金族金属担持樹脂Rと接触した処理排水は、容器21内の下部から配管24,25を介して排出される。一部の排水を配管26に分取し、DO計27によってDO濃度を測定する。そして、配管23,25には流量計23a,25aが設けられ、配管24には圧力計24aが設けられている。
【0031】
図3の装置による水素吸蔵処理作業に入る前に、通水ラインの清浄度を確認するために、水素吹き込みを行わずに超純水WOを容器21をバイパスさせて流し、流出水の抵抗率が給水−1.0MΩ・cm以内であり、より好ましくは−0.5MΩ・cm以内、TOCが給水+5.0μg/L以内、より好ましくは+2.0μg/以内であることを確認することが好ましい。清浄度の確認後、まず超純水WOの通水を開始し、その後、水素の吹き込みを開始するのが好ましい。
【0032】
この水素溶解水の通水は、水素吸蔵効率を高めるために加圧状態で行うのが好ましい。例えば、水素吹き込み部分で0.2〜1.0MPa、好ましくは0.4〜0.6MPa、充填容器内で0.1〜1.0MPa、好ましくは0.2〜0.5MPaの加圧状態で操作する。また、水素リッチな状態で水素を吸蔵させるために、通水中、DO計27の検出DO濃度が1μg/L未満であるようにすることが好ましい。この図3の装置による水素吸蔵処理時の温度は常温でよい。
【0033】
通水する水素溶解水は溶存酸素が実質的にない状態である必要がある。そのため、溶存酸素除去された超純水を用いるのが適当である。但し、微量の酸素(1〜5μg/L)が溶存している超純水に対しては溶存酸素量に対して濃度(μg/L)比で1/8超の水素を溶解させることで対応可能である。後者の場合は酸素量に対して超過した分の水素量で触媒樹脂への吸蔵量を計算する。
【0034】
白金族金属担持樹脂が貴金属担持触媒樹脂である場合、水素濃度(mg/L)×通水量(L/h)×通水時間(h)/触媒樹脂充填量(L)で算出される触媒樹脂に対する水素積算接触量が100mg−H/L−resin以上、特に150〜1000mg−H/L−resinとなるように、給水中の水素濃度及び通水時間を設定することが好ましい。水素積算接触量が100mg−H/L−resin未満では、脱酸素性能は十分であるが白金族金属担持樹脂から溶出するフタル酸類やケトン類などの揮発性有機物の分解除去を十分に行うことができない。
【0035】
この水素溶解水中の水素濃度は0.1〜10mg/L、特に0.3〜5mg/Lであることが好ましい。水素溶解水の通水速度(SV)は0.1〜50h−1、特に1〜40h−1程度が好ましい。通水速度(SV)が50h−1を超えると、水素積算接触量に対して流速が速くなり水素吸蔵効率が悪くなるだけでなく、水素溶解水通水方式の処理装置の送水機構が大きくなるため好ましくない。なお、触媒充填量は1〜10000L、特に10〜1000L程度が好ましい。通水時間は1〜200h、特に2〜100h程度が好ましい。
【0036】
この処理後に容器21内から水抜きする必要がある場合には、水素・窒素混合ガス又は窒素等の不活性ガスで容器21内を置換する。
【0037】
上記処理が終了したら直ちに容器21から白金族金属担持樹脂Rを取り出し、ポリエチレン袋等の非通気性の密閉収納体内に収容し、密封してもよい。処理後の白金族金属担持樹脂Rを容器21内で保管したり、運搬したりする場合、容器21内を大気圧以上に加圧してもよい。
【0038】
このようにして処理した白金族金属担持樹脂Rを非再生型混床式イオン交換装置15に充填する。この白金族金属担持樹脂Rの充填量は、アニオン交換樹脂及びカチオン交換樹脂の混合樹脂に対して、体積比で1:20〜1:5とするのが好ましい。白金族金属担持樹脂:混合樹脂が1:20未満では、白金族金属担持樹脂が少なすぎて超純水中の脱酸素効果が十分でない一方、1:5を超えてもそれ以上の脱酸素効果の向上が得られないばかりか経済的でない。特に1:10程度で混合するのが好ましい。なお、混合樹脂のアニオン交換樹脂とカチオン交換樹脂の比率については特に制限はないが、アニオン交換樹脂:カチオン交換樹脂を体積比で40:60〜60:40、特に45:55〜55:45とすればよい。
【0039】
白金族金属担持樹脂は、上述したような比率で混合樹脂と均一に混合してもよいが、白金族金属担持樹脂はアニオン交換樹脂やカチオン交換樹脂と比べて破砕しやすいので、混床式イオン交換装置の上部に存在すると白金族金属担持樹脂が舞い上がった際に破砕しやすく、これにより超純水W3のTOCの増加を招く虞がある。一方、混床式イオン交換装置の下部に白金族金属担持樹脂を設けると白金族金属担持樹脂自身からの溶出物が除去できないことから、混合樹脂/白金族金属担持樹脂/混合樹脂のように混合樹脂層の間に白金族金属担持樹脂層を形成するのが好ましい。例えば、混合樹脂層:金族金属担持樹脂層/混合樹脂層を50:10:50の体積比で積層すればよい。
【0040】
この水素吸蔵白金族金属担持樹脂を非再生型混床式イオン交換装置15に充填したら、なるべく早く(例えば7日以内好ましくは1日以内)に超純水製造装置1の運転を開始することが好ましい。
【0041】
上述したような非再生型混床式イオン交換装置15を用いて、図1及び図2に示すような超純水製造装置1を運転して超純水W3を製造することにより、得られる超純水W3の揮発性有機物濃度を例えば0.2ppb以下の低濃度とすることができる。
【0042】
なお、本実施形態における超純水W3とは、抵抗率:18.1MΩ・cm以上、微粒子:粒径50nm以上で1000個/L以下、生菌:1個/L以下、TOC(Total Organic Carbon):1μg/L以下、全シリコン:0.1μg/L以下、金属類:1ng/L以下、イオン類:10ng/L以下、過酸化水素;30μg/L以下、水温:25±2℃のものが好適である。
【0043】
以上、本発明の一実施形態について添付図面を参照して説明してきたが、本発明は前記実施形態に限らず種々の変更実施が可能である。例えば、原水Wの水質によっては前処理装置2を必ずしも設けなくてもよい。また、一次純水装置3は逆浸透膜装置や電気脱イオン装置をそれぞれ単段でもしくはいずれかを2段直列に配置してもよい。さらに二次純水装置4に脱気膜などを設けてもよい。
【実施例】
【0044】
以下の具体的実施例により本発明をさらに詳細に説明する。
【0045】
[実施例1]
図3に示す装置の容器21内に触媒樹脂(ランクセス社製 K3433)を充填した。この容器21に水素濃度0.67mg/Lの水素溶解水を170L/hの流量及び40h−1の通水速度で通水し、水素積算接触量が150mg−H/5L−resinとなるように水素溶解水洗浄を行った。
【0046】
洗浄後の触媒樹脂を図2に示す二次純水装置4において、混合樹脂層/触媒樹脂層/混合樹脂層が250L/50L/250Lとなるように積層充填して非再生型混床式イオン交換装置15を構成した。なお、混合樹脂としては、アニオン交換樹脂とカチオン交換樹脂を体積比1:1で混合したものを用いた。
【0047】
この二次純水装置4を用いて図1に示す超純水製造装置1を構成した。なお、前処理装置2は、凝集(浮上)・濾過装置及び活性炭装置により構成し、一次純水装置3は、RO膜分離装置、脱気装置、電気脱イオン装置及び紫外線(UV)照射酸化装置により構成した。
【0048】
このような超純水製造装置1を48時間運転した後の揮発性有機物濃度及びDO濃度をそれぞれ測定したところ、揮発性有機物濃度は0.1ppb以下でDO濃度は0.5ppbであり、いずれも十分に低いものであった。なお、揮発性有機物濃度は、GCMSで分析した際のオルトキシレン相当のピーク面積で換算した値である。
【0049】
[比較例1]
触媒樹脂に対し、水素濃度0.67mg/Lの水素溶解水を170L/hの流量及び40h−1の通水速度で通水し、水素積算接触量が60mg−H/5L−resinとなるように水素溶解水洗浄を行った以外は実施例1と同様にして超純水製造装置1を構成し、48時間運転した後の揮発性有機物濃度及びDO濃度をそれぞれ測定したところ、揮発性有機物濃度は0.5ppbでDO濃度は0.5ppbであり、実施例1と比較して揮発性有機物濃度が高かった。
【0050】
[比較例2]
触媒樹脂に対して、水素溶解水洗浄による洗浄を行なわずにそのまま用いた以外は実施例1と同様にして超純水製造装置を構成し、48時間運転した後の揮発性有機物濃度及びDO濃度をそれぞれ測定したところ、揮発性有機物濃度は0.7ppbでDO濃度は3ppbであり、実施例1と比較していずれも高かった。
【符号の説明】
【0051】
1…超純水製造装置
2…前処理装置
3…一次純水装置
4…二次純水装置(サブシステム)
11…サブタンク
12…ポンプ
13…熱交換器
14…低圧UV照射酸化装置
15…非再生型混床式イオン交換装置
16…UF膜分離装置
W2…一次純水
W3…超純水
UP…ユースポイント
図1
図2
図3