(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-194365(P2017-194365A)
(43)【公開日】2017年10月26日
(54)【発明の名称】アナログフロントエンド回路
(51)【国際特許分類】
G01R 19/00 20060101AFI20170929BHJP
H03F 3/38 20060101ALI20170929BHJP
【FI】
G01R19/00 C
H03F3/38
G01R19/00 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-85016(P2016-85016)
(22)【出願日】2016年4月21日
(71)【出願人】
【識別番号】000191238
【氏名又は名称】新日本無線株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083194
【弁理士】
【氏名又は名称】長尾 常明
(72)【発明者】
【氏名】示野 洋一
【テーマコード(参考)】
2G035
5J500
【Fターム(参考)】
2G035AA05
2G035AA17
2G035AB01
2G035AB13
2G035AC01
2G035AC04
2G035AD10
2G035AD20
2G035AD28
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2G035AD65
5J500AA01
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5J500MV05
5J500MV08
5J500MV09
5J500MV14
(57)【要約】
【課題】チョッパ動作によりオフセット成分等を除去できるようにすることに加えて、広い入力範囲のシングルエンド信号を扱う場合に計装プリアンプの出力電圧が飽和しないようにする。
【解決手段】非反転型計装プリアンプ11Aは、チョップ信号CHOP=0のとき、入力電圧VINPから入力電圧VINNを差し引き増幅して出力電圧VOUTPを得るとともに入力電圧VINNをそのまま出力電圧VOUTNとする。また、チョップ信号CHOP=1のとき、入力電圧VINNから入力電圧VINPを差し引き増幅した信号を反転させて出力電圧VOUTPを得るとともに入力電圧VINNをそのまま出力電圧VOUTNとする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1入力電圧と第2入力電圧を入力して第1出力電圧と第2出力電圧を出力する計装プリアンプと、該計装プリアンプの前記第1出力電圧と前記第2出力電圧をチョップ信号の論理切り替えによって交互に切り替えて出力するスイッチ手段と、該スイッチ手段から出力する前記第1出力電圧と前記第2出力電圧の差分電圧をアナログ信号からデジタル信号に変換するAD変換手段と、前記チョップ信号の論理が切り替わる毎に前記AD変換手段から出力する出力データのうちの連続する2個のデータ毎の平均化処理を演算するデータ演算手段とを備えたアナログフロントエンド回路であって、
前記計装プリアンプは、前記第1入力電圧をVINP、前記第2入力電圧をVINN、前記第1出力電圧をVOUTP、前記第2出力電圧をVOUTP、ゲインをGとするとき、前記チョップ信号が第1論理のときは、
の演算を行い、前記チョップ信号が第2論理のときは、
の演算を行うことを特徴とするアナログフロントエンド回路。
【請求項2】
請求項1に記載のアナログフロントエンド回路において、
前記計装プリアンプは、第2入力端子と前記第1入力電圧が入力する第1入力端子とを有する第1スイッチ、第1入力端子と前記第1入力電圧が入力する第2入力端子とを有する第2スイッチ、前記第1スイッチの出力端子が非反転入力端子に接続され前記第2スイッチの出力端子が反転入力端子に接続された第1オペアンプ、前記第1オペアンプの出力端子が第1入力端子に接続され前記第1オペアンプの出力端子が反転回路を介して第2入力端子に接続された第3スイッチ、前記第1スイッチの第2入力端子及び前記第2スイッチの第1入力端子に一端が接続され他端に前記第2入力電圧が入力する第1抵抗、並びに、前記第1スイッチの第2入力端子及び前記第2スイッチの第1入力端子と前記第3スイッチの出力端子との間に接続された第2抵抗を備え、
前記第1乃至第3スイッチは、前記チョップ信号が第1論理のとき第1入力端子が選択され、第2論理のとき第2入力端子が選択され、
前記第3スイッチの出力端子から前記第1出力電圧が出力し、前記第1入力電圧がそのまま前記第2出力電圧として出力することを特徴とするアナログフロントエンド回路。
【請求項3】
請求項1に記載のアナログフロントエンド回路において、
前記計装プリアンプは、第2入力端子と前記第1入力電圧が入力する第1入力端子とを有する第1スイッチ、第1入力端子と前記第1入力電圧が入力する第2入力端子とを有する第2スイッチ、前記第1スイッチの出力端子が非反転入力端子に接続され前記第2スイッチの出力端子が反転入力端子に接続された第1オペアンプ、前記第1オペアンプの出力端子が第1入力端子に接続され前記第1オペアンプの出力端子が第1反転回路を介して第2入力端子に接続された第3スイッチ、第1入力端子と前記第2入力電圧が入力する第2入力端子とを有する第7スイッチ、第2入力端子と前記第2入力電圧が入力する第1入力端子とを有する第8スイッチ、前記第7スイッチの出力端子が反転入力端子に接続され前記第8スイッチの出力端子が非反転入力端子に接続された第2オペアンプ、前記第2オペアンプの出力端子が第1入力端子に接続され前記第2オペアンプの出力端子が第2反転回路を介して第2入力端子に接続された第9スイッチ、前記第1スイッチの第2入力端子及び前記第2スイッチの第1入力端子と前記第7スイッチの第1入力端子及び前記第8スイッチの第2入力端子との間に接続された第1抵抗、並びに、前記第1スイッチの第2入力端子及び前記第2スイッチの第1入力端子と前記第3スイッチの出力端子との間に接続された第2抵抗を備え、
前記第9スイッチの出力端子は前記第7スイッチの第1入力端子及び前記第8スイッチの第2入力端子に接続され、
前記第1乃至第3スイッチ及び前記第7乃至第9スイッチは前記チョップ信号が第1論理のとき第1入力端子が選択され、第2論理のとき第2入力端子が選択され、
前記第3スイッチの出力端子から前記第1出力電圧が出力し、前記第9スイッチの出力端子から前記第2出力電圧が出力することを特徴とするアナログフロントエンド回路。
【請求項4】
請求項1、2又は3のいずれか1つに記載のアナログフロントエンド回路において、
前記AD変換手段と前記データ演算手段との間に、前記AD変換手段の出力端子が第1入力端子に接続され前記AD変換手段の出力端子がデータ反転器を介して第2入力端子に接続された第6スイッチが接続され、
前記第6スイッチは、前記チョッピング信号が第1論理のとき第1入力端子が選択され、第2論理のとき第2入力端子が選択され、
前記データ演算手段は、前記平均化処理として前記第6スイッチから入力するデータの加算処理を行うことを特徴とするアナログフロントエンド回路。
【請求項5】
請求項1、2又は3のいずれか1つに記載のアナログフロントエンド回路において、
前記データ演算器は、前記平均化処理として前記AD変換手段から出力するデータの減算処理を行うことを特徴とするアナログフロントエンド回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は計装プリアンプとAD変換器を含んだアナログフロントエンド回路にかかり、特にオフセット成分、温度ドリフト、および低周波雑音等を低減させる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
アナログフロントエンド回路では、温度等を検出するセンサで得られた微小アナログ信号を増幅しAD変換してデータ化することが行われる。このとき、高い増幅率を有する計装プリアンプやAD変換器で発生するオフセット成分、温度ドリフト、低周波雑音等(以下、オフセット成分等と呼ぶ)が回路全体の性能に大きく影響する。
【0003】
そこで従来では、
図3に示すように、そのオフセット成分等を低減させる手段を備えたアナログフロントエンド回路20Aが提案されている(非特許文献1)。このアナログフロントエンド回路20Aは、センサ1から入力する入力電圧VINP,VINNをスイッチするスイッチSW11,SW12と、そのスイッチSW11,SW12を経由して入力する電圧VINP,VINNの差分を差動増幅する差動型計装プリアンプ21Aと、その計装プリアンプ21Aの差動出力信号VOUTP,VOUTNの差分をデジタル信号に変換するAD変換器22と、AD変換器22の出力データをそのまま通過させ又は極性反転して通過させるスイッチ回路23と、スイッチ回路23から連続して出力する2つのデータに基づいて平均データを演算するデータ演算器24をと備える。
【0004】
差動型計装プリアンプ21Aは、オペアンプOP11,OP12とゲイン設定用の抵抗R11,R12,R13(ただし、R12=R13)で構成され、電圧VOUTP,VOUTNを出力する。スイッチ回路23はスイッチSW13とデータ反転器23aからなる。
【0005】
CHOPはチョッピング信号であり、所定の周期で0、1、0、・・・を繰り返す。そして、スイッチSW11,SW12,SW13は、チョッピング信号CHOP=0のとき入力端子0が選択され、CHOP=1のとき入力端子1が選択される。
【0006】
なお、ここでは、オフセット成分等をオペアンプOP11の非反転入力側にVos11で、オペアンプOP12の非反転入力側にVos12で、AD変換器22のデータ入力側にVos13で表している。
【0007】
このアナログフロントエンド回路20Aでは、チョッピング信号CHOP=0のときのスイッチ回路23の出力電圧VO
CHOP=0の伝達関数は、
となる。また、チョッピング信号CHOP=1のときのスイッチ回路23の出力電圧VO
CHOP=1の伝達関数は、
となる。
【0008】
したがって、データ演算器24において、スイッチ回路23の連続する両出力電圧VO
CHOP=0とVO
CHOP=1の平均をとった出力OUTの伝達関数は、
となる。この式(3)からは、オフセット成分等Vos11,Vos12,Vos13が消去されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【非特許文献1】"Chopping on the AD7190,AD7192,AD7193,AD7194,and AD7195" Mary McCarthy, AN-1131, APPLICATION NOTE, page 1 of 4, ANALOG DEVICES (検索日:2016年4月6日)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところが、
図3で説明した従来の差動型計装プリアンプ21Aを用いたアナログフロントエンド回路20Aでは、差動型計装プリアンプ21Aの出力電圧VOUTP,VOUTNは必ず逆方向(差動)に変化するため、入力電圧VINP,VINNのバイアス点がGND近くの低めの電位に設定されている場合、直ちにVOUTPとVOUTNが飽和してしまう。
【0011】
図3のアナログフロントエンド回路20Aの差動型計装プリアンプ21Aの入出力電圧を
図5(c)に示した。VINP=2V、VINN=1Vの例である。CHOP=0のときは、入力電圧VINP,VINNがスイッチSW11,SW12をそのまま通過するので、
となる。GAIN=10としたとき、式(6)から、R12/R11=4.5であるので、
VOUTP=2+4.5×1=6.5V
VOUTN=1+4.5×(−1)=−3.5V
となる。
【0012】
一方、CHOP=1のときは、入力電圧VINP,VINNがスイッチSW11,SW12で反転されるので、
である。したがって、
VOUTP=1+4.5×(−1)=−3.5V
VOUTN=2+4.5×1=6.5V
となる。
【0013】
このように、
図3のアナログフロントエンド回路20Aでは、出力電圧が理論上では負電圧なる。したがって、オペアンプOP11,OP12の電源が単電源の場合は負側が飽和して0Vとなってしまう。このため、センサ1から出力する電圧VINPのみが正側で変化し、電圧VINNが固定であるようなシングルエンド信号を扱う場合は、電圧VINP,VINNのバイアス点を予め高めに設定する必要があり、出力電圧VOUNPの信号範囲が狭くなる問題がある。
【0014】
そこで、信号範囲を広げるために、
図4に示すように、オペアンプOP11のみを使用した非反転型計装プリアンプ21Bを使うアナログフロントエンド回路20Bが考えられる。
図4のアナログフロントエンド回路20Aの差動型計装プリアンプ21の入出力電圧を
図5(d)に示した。
【0015】
CHOP=0のときは、
となる。GAIN=10のときは、式(11)からR12/R11=9であるので、
VOUTP=2+9×1=11V
VOUTN=1V
となる。
【0016】
CHOP=1のときは、
であるので、
VOUTP=1+9×(−1)=−8V
VOUTN=2V
となる。
【0017】
このように、CHOP=0のときは、出力電圧VOUTP,VOUTNが飽和することなく、広い信号範囲を実現することができる。しかし、CHOP=1のときは、出力電圧VOUTPが負になるので、
図3のアナログフロントエンド回路20Aと同様の問題がある。
【0018】
本発明の目的は、上記問題点を解消し、チョッパ動作によりオフセット成分等を除去できることに加えて、広い入力範囲のシングルエンド信号を扱う場合に計装プリアンプの出力電圧が飽和しないようにしたアナログシングルエンド回路を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記目的を達成するために、請求項1にかかる発明は、第1入力電圧と第2入力電圧を入力して第1出力電圧と第2出力電圧を出力する計装プリアンプと、該計装プリアンプの前記第1出力電圧と前記第2出力電圧をチョップ信号の論理切り替えによって交互に切り替えて出力するスイッチ手段と、該スイッチ手段から出力する前記第1出力電圧と前記第2出力電圧の差分電圧をアナログ信号からデジタル信号に変換するAD変換手段と、前記チョップ信号の論理が切り替わる毎に前記AD変換手段から出力する出力データのうちの連続する2個のデータ毎の平均化処理を演算するデータ演算手段とを備えたアナログフロントエンド回路であって、前記計装プリアンプは、前記第1入力電圧をVINP、前記第2入力電圧をVINN、前記第1出力電圧をVOUTP、前記第2出力電圧をVOUTP、ゲインをGとするとき、前記チョップ信号が第1論理のときは、
の演算を行い、前記チョップ信号が第2論理のときは、
の演算を行うことを特徴とする。
【0020】
請求項2にかかる発明は、請求項1に記載のアナログフロントエンド回路において、前記計装プリアンプは、第2入力端子と前記第1入力電圧が入力する第1入力端子とを有する第1スイッチ、第1入力端子と前記第1入力電圧が入力する第2入力端子とを有する第2スイッチ、前記第1スイッチの出力端子が非反転入力端子に接続され前記第2スイッチの出力端子が反転入力端子に接続された第1オペアンプ、前記第1オペアンプの出力端子が第1入力端子に接続され前記第1オペアンプの出力端子が反転回路を介して第2入力端子に接続された第3スイッチ、前記第1スイッチの第2入力端子及び前記第2スイッチの第1入力端子に一端が接続され他端に前記第2入力電圧が入力する第1抵抗、並びに、前記第1スイッチの第2入力端子及び前記第2スイッチの第1入力端子と前記第3スイッチの出力端子との間に接続された第2抵抗を備え、前記第1乃至第3スイッチは、前記チョップ信号が第1論理のとき第1入力端子が選択され、第2論理のとき第2入力端子が選択され、前記第3スイッチの出力端子から前記第1出力電圧が出力し、前記第1入力電圧がそのまま前記第2出力電圧として出力することを特徴とする。
【0021】
請求項3にかかる発明は、請求項1に記載のアナログフロントエンド回路において、前記計装プリアンプは、第2入力端子と前記第1入力電圧が入力する第1入力端子とを有する第1スイッチ、第1入力端子と前記第1入力電圧が入力する第2入力端子とを有する第2スイッチ、前記第1スイッチの出力端子が非反転入力端子に接続され前記第2スイッチの出力端子が反転入力端子に接続された第1オペアンプ、前記第1オペアンプの出力端子が第1入力端子に接続され前記第1オペアンプの出力端子が第1反転回路を介して第2入力端子に接続された第3スイッチ、第1入力端子と前記第2入力電圧が入力する第2入力端子とを有する第7スイッチ、第2入力端子と前記第2入力電圧が入力する第1入力端子とを有する第8スイッチ、前記第7スイッチの出力端子が反転入力端子に接続され前記第8スイッチの出力端子が非反転入力端子に接続された第2オペアンプ、前記第2オペアンプの出力端子が第1入力端子に接続され前記第2オペアンプの出力端子が第2反転回路を介して第2入力端子に接続された第9スイッチ、前記第1スイッチの第2入力端子及び前記第2スイッチの第1入力端子と前記第7スイッチの第1入力端子及び前記第8スイッチの第2入力端子との間に接続された第1抵抗、並びに、前記第1スイッチの第2入力端子及び前記第2スイッチの第1入力端子と前記第3スイッチの出力端子との間に接続された第2抵抗を備え、前記第9スイッチの出力端子は前記第7スイッチの第1入力端子及び前記第8スイッチの第2入力端子に接続され、前記第1乃至第3スイッチ及び前記第7乃至第9スイッチは前記チョップ信号が第1論理のとき第1入力端子が選択され、第2論理のとき第2入力端子が選択され、前記第3スイッチの出力端子から前記第1出力電圧が出力し、前記第9スイッチの出力端子から前記第2出力電圧が出力することを特徴とする。
【0022】
請求項4にかかる発明は、請求項1、2又は3のいずれか1つに記載のアナログフロントエンド回路において、前記AD変換手段と前記データ演算手段との間に、前記AD変換手段の出力端子が第1入力端子に接続され前記AD変換手段の出力端子がデータ反転器を介して第2入力端子に接続された第6スイッチが接続され、前記第6スイッチは、前記チョッピング信号が第1論理のとき第1入力端子が選択され、第2論理のとき第2入力端子が選択され、前記データ演算手段は、前記平均化処理として前記第6スイッチから入力するデータの加算処理を行うことを特徴とする。
【0023】
請求項5にかかる発明は、請求項1、2又は3のいずれか1つに記載のアナログフロントエンド回路において、前記データ演算器は、前記平均化処理として前記AD変換手段から出力するデータの減算処理を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
請求項1乃至5にかかる発明によれば、チョッパ動作によりオフセット成分等を除去でき、且つ広い入力範囲のシングルエンド信号を扱う場合に計装プリアンプの出力電圧が飽和しない利点がある。また、請求項3にかかる発明によれば、AD変換手段のバイアス電圧が入力電圧のインピーダンスによる影響を受けないようにすることができる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の第1実施例のアナログフロントエンド回路の回路図である。
【
図2】本発明の第2実施例のアナログフロントエンド回路の回路図である。
【
図3】第1従来例のアナログフロントエンド回路の回路図である。
【
図4】第2従来例のアナログフロントエンド回路の回路図である。
【
図5】(a)は
図1のアナログフロントエンド回路の計装プリアンプの入出力状態の説明図、(b)は
図2のアナログフロントエンド回路の計装プリアンプの入出力状態の説明図、(c)は
図3のアナログフロントエンド回路の計装プリアンプの入出力状態の説明図、(d)は
図4のアナログフロントエンド回路の計装プリアンプの入出力状態の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
<第1実施例>
図1に本発明の第1実施例のアナログフロントエンド回路10Aを示す。このアナログフロントエンド回路10Aは、センサ1から入力する入力電圧VINP,VINNの差分を増幅して出力電圧VOUTP,VOUTNを出力する非反転型計装プリアンプ11Aと、出力電圧VOUTP,VOUTNをそのまま通過させ又は切り替えるスイッチ手段としてのスイッチSW4,SW5と、スイッチSW4,SW5から出力する出力電圧VOUTP,VOUTNの差分をデジタル信号に変換するAD変換手段としてのAD変換器12と、AD変換器12の出力データをそのまま通過させ又は極性反転して通過させるスイッチ回路13と、スイッチ回路13から連続して出力する2つのデータに基づいて平均データを演算するデータ演算手段としてのデータ演算器14をと備える。
【0027】
非反転型計装プリアンプ11Aは、入力電圧VINP,VINNを切り替えるスイッチSW1,SW2と、スイッチSW1,SW2を通過した入力電圧VINP,VINNの差分を増幅するオペアンプOP1と、ゲイン設定用の抵抗R1,R2と、オペアンプOP1の出力電圧VOUTPをそのまま通過させ又は極性反転して通過させる反転回路11a1及びスイッチSW3を有するスイッチ回路11aと、で構成されている。
【0028】
スイッチ回路13は、入力データをそのまま通過させて出力し又はデータ反転器13aで極性反転して出力するスイッチSW6を有する。
【0029】
チョッピング信号CHOPは所定の周期で0、1、0、・・・を繰り返す。そして、スイッチSW1〜SW6は、チョッピング信号CHOPがCHOP=0のとき入力端子0が選択され、CHOP=1のとき入力端子1が選択される。
【0030】
なお、ここでは、オフセット成分等をオペアンプOP1の非反転入力側にVos1で、AD変換器12のデータ入力側にVos3で表している。
【0031】
このアナログフロントエンド回路10Aでは、チョッピング信号CHOP=0のときのスイッチ回路13の出力電圧VO
CHOP=0の伝達関数は、
となり、チョッピング信号CHOP=1のときのスイッチ回路13の出力電圧VO
CHOP=1の伝達関数は、
となる。
【0032】
したがって、データ演算器14において、連続する両出力電圧VO
CHOP=0とVO
CHOP=1の平均をとった出力OUTの伝達関数は、
となる。この式(14)からは、オフセット成分Vos1,Vos3が消去されている。
【0033】
図1のアナログフロントエンド回路10Aの非反転型計装プリアンプ11Aの入出力電圧を
図5(a)に示した。VINP=2V、VINN=1Vの例である。CHOP=0のときは、入力電圧VINP,VINNがスイッチSW1,SW2をそのまま通過するので、
となる。GAIN=10とすれば、式(17)からR2/R1=9であるので、
VOUTP=2+9×1=11V
VOUTN=1V
となる。
【0034】
CHOP=1のときは、
であるので、
VOUTP=2+9×(−1)×(−1)=11V
VOUTN=1V
となる。
【0035】
このように、
図1のアナログフロントエンド回路10Aでは、出力電圧VOUTP,VOUTNが負になることはない。つまり、入力電圧VINNを固定して,入力電圧VINNを変化させるシングルエンド信号を入力しても、出力電圧VOUTP,VOUTNが飽和することはなく、しかもその出力電圧の信号範囲が大幅に拡大される。
【0036】
<第2実施例>
図2に本発明の第2実施例のアナログフロントエンド回路10Bを示す。このアナログフロントエンド回路10Bが
図1のアナログフロントエンド回路10Aと異なるところは、非反転型計装プリアンプ11Bである。この非反転型計装プリアンプ11Bは、
図1の非反転型計装プリアンプ11Aに対して、オペアンプOP2と、スイッチSW7,SW8と、オペアンプOP2の出力電圧をそのまま通過させ又は極性反転して通過させる反転回路11b1及びスイッチSW9を有するスイッチ回路11bとを、ボルテージフォロア回路として追加したものである。
【0037】
スイッチSW1,SW2はオペアンプOP1の入力電圧を切り替え、スイッチSW7,SW8はオペアンプOP2の入力電圧を切り替える。
【0038】
そして、スイッチSW1〜SW6は、チョッピング信号CHOPがCHOP=0のとき入力端子0が選択され、CHOP=1のとき入力端子1が選択される。なお、ここでは、オフセット成分等をオペアンプOP1の非反転入力側にVos1で、オペアンプOP2の非反転入力側にVos2で、AD変換器12の入力側にVos3で表している。
【0039】
このアナログフロントエンド回路10Bでは、チョッピング信号CHOP=0のときのスイッチ回路13の出力電圧VO
CHOP=0の伝達関数は、
となり、チョッピング信号CHOP=1のときのスイッチ回路13の出力電圧VO
CHOP=1の伝達関数は、
となる。
【0040】
したがって、データ演算器14において、両出力電圧VO
CHOP=0とVO
CHOP=1の平均をとった出力OUTの伝達関数は、
となる。この式(21)からは、オフセット成分Vos1,Voc2,Vos3が消去されている。
【0041】
図2のアナログフロントエンド回路10Bの非反転型計装プリアンプ11Bの入出力電圧を
図5(b)に示した。スイッチSW7〜SW9、オペアンプOP2はボルテージホロアとして働くので、非反転型計装プリアンプ11Bの入出力電圧は
図1の非反転型計装プリアンプ11Bの入出力電圧と同じになる。
【0042】
図2のアナログフロントエンド回路10Bでは、ボルテージホロワ回路によって出力電圧VOUTNのインピーダンスが入力電圧VINNのインピーダンスから分離されるので、AD変換器12のバイアス電圧が入力側のインピーダンスに影響を受けることを防ぐことができる。
【0043】
<その他の実施例>
なお、
図1及び
図2で説明したアナログフロントエンド回路10A,10Bにおいて、データ演算器14は、スイッチ回路13から出力する連続する2個のデータを加算することで平均化の処理を行うようにした。しかし、そのデータ演算器14が、連続して入力する2個のデータの差分を演算するようにすれば、スイッチ回路13は不要となる。
【符号の説明】
【0044】
10A,10B:アナログフロントエンド回路
11A,11B:非反転型計装プリアンプ、11a:スイッチ回路、11a1:反転回路
12:AD変換器
13:スイッチ回路、13a:データ反転器
14:データ演算器
20A,20B:アナログフロントエンド回路
21A:差動型計装プリアンプ
21B:非反転型計装プリアンプ
22:AD変換器
23:スイッチ回路、23a:データ反転器
24:データ演算器