【解決手段】検出回路26は、一端が電池セルVの正極及び負極の一方の極に切り替えて接続することが可能なコンデンサC1、及び一端が他方の極に切り替えて接続することが可能なコンデンサC2を含む第1のコンデンサ群と、コンデンサC1を介して電池セルVに接続可能な非反転入力端子、及びコンデンサC2を介して電池セルVに接続可能な反転入力端子を備え、接続された電池セルVの電池電圧と検出閾値電圧Vn_thとを比較するコンパレータCMP0と、ノードinpと、接地電圧源GNDと基準電圧源V
一端が電池セルの正極及び負極の一方の極に切り替えて接続することが可能な第1のコンデンサ、及び一端が前記第1のコンデンサが接続された極と反対の他方の極に切り替えて接続することが可能な第2のコンデンサを含む第1のコンデンサ群と、
前記第1のコンデンサを介して前記電池セルに接続可能な第1の入力端子、及び前記第2のコンデンサを介して前記電池セルに接続可能な第2の入力端子を備え、接続された電池セルの電池電圧と所定の検出電圧とを比較する比較部と、
前記第1のコンデンサと前記比較部の前記第1の入力端子との間の第1のノードと、接地電圧を供給する基準電圧源を含む複数の基準電圧源の何れかとの接続状態を切り替える第1の切替素子との間に、前記第1の切替素子と直列に接続された第3のコンデンサ、及び前記第2のコンデンサと前記比較部の前記第2の入力端子との間の第2のノードと、前記複数の基準電圧源の何れかとの接続状態を切り替える第2の切替素子との間に、前記第2の切替素子と直列に接続された第4のコンデンサを含む第2のコンデンサ群と、
を備えた半導体装置。
前記第1のコンデンサの一端を、前記電池セルの正極及び負極の一方の極に切り替えて接続することが可能な第5の切替素子、及び前記第2のコンデンサの一端を、前記電池セルの前記第1のコンデンサが接続された極と反対の他方の極に切り替えて接続することが可能な第6の切替素子を含む切替素子群をさらに備えた、
請求項1または請求項2に記載の半導体装置。
前記第1の切替素子及び前記第2の切替素子により前記接地電圧を供給する基準電圧源と前記第3のコンデンサの他端及び前記第4のコンデンサの他端とを接続させた状態で所定時間経過した後、前記第1の切替素子及び前記第2の切替素子により前記接地電圧を供給する基準電圧源と異なる基準電圧源と前記第3のコンデンサの他端及び前記第4のコンデンサの他端とを接続させる制御を行う制御部をさらに備える、
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の半導体装置。
一端が電池セルの正極及び負極の一方の極に切り替えて接続することが可能な第1のコンデンサ、及び一端が前記第1のコンデンサが接続された極と反対の他方の極に切り替えて接続することが可能な第2のコンデンサを含む第1のコンデンサ群と、前記第1のコンデンサを介して前記電池セルに接続可能な第1の入力端子、及び前記第2のコンデンサを介して前記電池セルに接続可能な第2の入力端子を備え、接続された電池セルの電池電圧と所定の検出電圧とを比較する比較部と、前記第1のコンデンサと前記比較部の前記第1の入力端子との間の第1のノードと、接地電圧を供給する基準電圧源を含む複数の基準電圧源の何れかとの接続状態を切り替える第1の切替素子との間に、前記第1の切替素子と直列に接続された第3のコンデンサ、及び前記第2のコンデンサと前記比較部の前記第2の入力端子との間の第2のノードと、前記複数の基準電圧源の何れかとの接続状態を切り替える第2の切替素子との間に、前記第2の切替素子と直列に接続された第4のコンデンサを含む第2のコンデンサ群と、を含む半導体装置による前記電池セルの電池電圧の検出方法であって、
前記第1の切替素子及び前記第2の切替素子により、前記接地電圧を供給する基準電圧源と前記第3のコンデンサ及び前記第4のコンデンサを接続し、
所定時間経過後に、前記第1の切替素子及び前記第2の切替素子により、前記接地電圧を供給する基準電圧源と異なる基準電圧源と前記第3のコンデンサ及び前記第4のコンデンサを接続する、
処理を含む検出方法。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下では、図面を参照して、各実施形態を詳細に説明する。
[第1実施形態]
まず、本実施形態の電池監視システムについて説明する。
図1には、本実施形態の電池監視システム10の一例の概略を表す構成図を示す。
【0014】
電池監視システム10は、
図1に示すように、電池セル群12、電池監視LSI(large scale integrated circuit)14、及びマイクロコンピュータ16を備える。
【0015】
電池セル群12は、一例として
図1に示すように、直列に接続されたn個の電池セルV1〜Vnを備える。電池セルV1〜Vnは、低電位側からV1、V2、・・・、Vnの順で配置されている。なお、以下では、電池セルV1〜Vnの個々を区別せずに総称する場合は、個々を識別する符号1〜nの記載を省略して「電池セルV」という。なお、
図1では、nが3以上の場合を示しているが、電池セル群12が備える電池セルVの数nは、任意であり、限定されない。
【0016】
マイクロコンピュータ16は、電池監視LSI14による、電池セル群12に含まれる各電池セルVの電池電圧の検出に関する制御を行う。なお、本実施形態において、電池監視LSI14及びマイクロコンピュータ16は、それぞれ、別個の半導体チップとして構成されている。
【0017】
電池監視LSI14は、電池セル群12に含まれる電池セルVの各々の電圧状態を監視する。本実施形態では、電池監視LSI14が本発明の半導体装置に対応する。電池監視LSI14は、
図1に示すように、端子21
0〜21
n、23、セル選択スイッチ24、検出回路26、及びチップ内制御部30を備える。
【0018】
端子21
0〜21
nは、電池監視LSI14が電池セル群12と接続されるための電極パッドである。端子21
0は、電池セルV1の負極に接続されると共に接地されている。端子21
1_1及び端子21
1_2は、電池セルV1の正極(電池セルV2の負極)に接続されている。端子21
2_1及び端子21
2_2は、電池セルV2の正極(図示を省略した電池セルV3の負極)に接続されている。端子21
nは、電池セルVnの正極に接続されている。なお、以下では、端子21
0〜21
nの個々を区別に総称する場合は、個々を識別する符号の記載を省略して「端子21」という。なお、本実施形態において「接続」とは、電気的な接続のことをいう。
【0019】
端子23は、電池監視LSI14がマイクロコンピュータ16と接続されるための電極パッドである。端子23からは、チップ内制御部30からマイクロコンピュータ16へ送信される信号が出力される。また、端子23には、マイクロコンピュータ16からチップ内制御部30に送信される信号が入力される。
【0020】
詳細を後述するセル選択スイッチ24は、端子21
0〜21
nに接続されており、チップ内制御部30から供給される制御信号に応じて電池セル群12のうちから選択された1つの電池セルVの正極電圧及び負極電圧を出力し、これらを検出回路26に供給する。
【0021】
詳細を後述する検出回路26は、セル選択スイッチ24から出力された電池セルVの正極電圧と負極電圧との差分である電池電圧が、検出閾値電圧Vn_th以上の場合にHレベルの検出信号OUTを出力し、検出閾値電圧Vn_th未満の場合にLレベルの検出信号OUTを出力する。なお、本実施形態において、電池セルVの電池電圧の検出とは、電池セルVの具体的な電圧値を検出することではなく、検出回路26により、所定の検出電圧である検出閾値電圧Vn_thと比較することをいう。
【0022】
チップ内制御部30は、マイクロコンピュータ16から供給される制御信号に応じてセル選択スイッチ24及び検出回路26を制御する。また、チップ内制御部30は、検出回路26から出力される電池電圧の検出信号OUT等をマイクロコンピュータ16に送信する。
【0023】
次に、本実施形態のセル選択スイッチ24及び検出回路26について詳細に説明する。
【0024】
図2には、セル選択スイッチ24及び検出回路26の回路構成の一例を示す。なお、
図2では、図示の便宜上、電池セルV及びセル選択スイッチ24について、電池セルV1、V2、Vnに関してのみ記載している。また、
図2では、端子21の記載を省略している。
【0025】
y=1〜nとした場合、電池セルVyの負極はノードVNy−1に接続され、正極はノードVNyに接続されている。例えば、
図2に示すように、電池セルV1(y=1)の負極はノードVN0に接続され、正極はノードVN1に接続されている。
【0026】
また、セル選択スイッチ24は、各電池セルVに対応する、スイッチSW1_1〜SWn_1、SW1_2〜SWn_2を備える。スイッチSW1_1〜SWn_1は、チップ内制御部30の制御により、各電池セルVの正極または負極を、信号線L1と接続する。また、スイッチSW1_2〜SWn_2は、チップ内制御部30の制御により、各電池セルVの正極または負極を信号線L2と接続する。なお、以下では、スイッチSW1_1〜SWn_1、SW1_2〜SWn_2の個々を区別せずに総称する場合は、個々を識別する符号の記載を省略して「スイッチSW」という。
【0027】
y=1〜nとした場合、スイッチSWy_1のa端子はノードVNyに、b端子はノードVNy−1に、c端子は信号線L1を介してコンデンサC1のa端子に、各々接続されている。また、スイッチSWy−2のa端子はノードVNy−1に、b端子はノードVNyに、c端子は信号線L2を介してコンデンサC2のa端子に、各々接続されている。例えば、
図2に示すように、スイッチSW1_1のa端子はノードVN1に、b端子はノードVN0に、c端子は信号線L1を介してコンデンサC1のa端子に、各々接続されている。また、スイッチSW1_2のa端子はノードVN0に、b端子はノードVN1に、c端子は信号線L2を介してコンデンサC2のa端子に、各々接続されている。
【0028】
また、検出回路26は、
図2に示すように、コンデンサC1〜C4、スイッチS1〜S4、及びコンパレータCMP0を備える。
【0029】
コンデンサC1のb端子はコンデンサC3のa端子及びスイッチS3のa端子に接続されている。スイッチS3は、チップ内制御部30の制御により、コンデンサC1のb端子を基準電圧V
COMを供給する基準電圧源V
COMまたはコンパレータCMP0の非反転入力端子に接続する。スイッチS3のb端子は基準電圧源V
COMに、c端子はコンパレータCMP0の非反転入力端子に各々接続されている。コンデンサC3のb端子は、スイッチS1のa端子に接続されている。スイッチS1は、チップ内制御部30の制御により、コンデンサC3のb端子を接地電圧GNDを供給する接地電圧源GNDまたは基準電圧V
REFを供給する基準電圧V
REFに接続する。スイッチS1のb端子は接地電圧源GNDに、c端子は基準電圧源V
REFに、各々接続されている。
【0030】
コンデンサC2のb端子はコンデンサC4のa端子及びスイッチS4のa端子に接続されている。スイッチS4は、チップ内制御部30の制御により、コンデンサC2のb端子を基準電圧源V
COMまたはコンパレータCMP0の反転入力端子に接続する。スイッチS4のb端子は基準電圧源V
COMに、c端子はコンパレータCMP0の反転入力端子に各々接続されている。コンデンサC4のb端子は、スイッチS2のa端子に接続されている。スイッチS2は、チップ内制御部30の制御により、コンデンサC4のb端子を接地電圧源GNDまたは基準電圧源V
REFに接続する。スイッチS2のb端子は接地電圧源GNDに、c端子は基準電圧源V
REFに、各々接続されている。
【0031】
次に、本実施形態の検出回路26における電池電圧の検出動作について説明する。以下では、
図3及び
図4を参照してn番目の電池セルVnの電池電圧を検出する場合を具体例として説明する。なお、
図3及び
図4では図示の便宜上、説明に不要な各部の記載を省略している。
【0032】
n番目の電池セルVnの電池電圧の検出を行う場合、チップ内制御部30は、
図3及び
図4に示すように、セル選択スイッチ24の各スイッチSW、及び検出回路26のスイッチS1〜S4を制御する。なお、チップ内制御部30がスイッチSW及びスイッチS1〜S4の制御を行うタイミングは、誤差を無視すると、同一である。
【0033】
まず、チップ内制御部30は、
図3に示すように、セル選択スイッチ24及び検出回路26をチャージ状態にする。
【0034】
具体的には、チップ内制御部30は、セル選択スイッチ24のスイッチSWn_1にノードVNn(a端子)を選択させ、セル選択スイッチ24のスイッチSWn_2にノードVNn−1(a端子)を選択させ、他のスイッチSWを非選択状態(a端子及びb端子のいずれも選択しない状態)とさせる。
【0035】
さらに、チップ内制御部30は、検出回路26のスイッチS1に接地電圧源GND(b端子)を選択させ、スイッチS2に基準電圧源V
REF(c端子)を選択させ、スイッチS3に基準電圧源V
COM(b端子)を選択させ、スイッチS4に基準電圧源V
COM(b端子)を選択させる。
【0036】
ここで、電池セルVnの電池電圧をVn、電池セルV1〜Vn−1の電池電圧の合計をVn−1_totalとし、コンデンサC1〜C4の各容量を、Cp1〜Cp4とすると、コンデンサC1〜C4の各々に充電される電荷量Q1〜Q4は、下記(1)式〜(4)式で表される。
【0037】
Q1=Cp1×(Vn+Vn−1_total−V
COM) ・・・(1)
Q2=Cp2×V
COM ・・・(2)
Q3=Cp3×(Vn−1_total−V
COM) ・・・(3)
Q4=CP4×(V
COM−V
REF) ・・・(4)
コンデンサC1のb端子とスイッチS3のa端子との間のノードinpに充電されている電荷量をQp、コンデンサC2のb端子とスイッチS4のa端子との間のノードinnに充電されている電荷量をQnとすると、電荷量Qp、Qnは、下記(5)式及び(6)式で表される。
【0038】
Qp=Q2−Q1
=Cp2×V
COM−Cp1×(Vn+Vn−1_total−V
COM) ・・・(5)
Qn=Q4−Q3
=CP4×(V
COM−V
REF)−Cp3×(Vn−1_total−V
COM) ・・・(6)
チャージ状態において、各コンデンサCに充分に電荷が蓄えられた後、チップ内制御部30は、
図4に示すように、スイッチSW及びスイッチS1〜S4を制御して、セル選択スイッチ24及び検出回路26をチャージ状態からコンパレート状態に切り替える。
【0039】
具体的には、チップ内制御部30は、セル選択スイッチ24のスイッチSWn_1にノードVNn−1(b端子)を選択させ、スイッチSWn_2にノードVNn(b端子)を選択させ、セル選択スイッチ24の他のスイッチSWを非選択状態(a端子及びb端子のいずれも選択しない状態)とさせる。
【0040】
さらに、チップ内制御部30は、検出回路26のスイッチS1に基準電圧源V
REF(c端子)を選択させ、スイッチS2に接地電圧源GND(b端子)を選択させ、スイッチS3にコンパレータCMP0の非反転入力端子(c端子)を選択させ、スイッチS4にコンパレータCMP0の反転入力端子(c端子)を選択させる。
【0041】
ここで、ノードinpの電圧をVinp、ノードinnの電圧をVinnとすると、コンパレート状態におけるコンデンサC1〜C4の各々に充電されている電荷量Q1’〜Q4’は、下記(7)式〜(10)式で表される。
【0042】
Q1’=Cp1×(Vn−1_total−Vinp) ・・・(7)
Q2’=Cp2×Vinp−V
REF) ・・・(8)
Q3’=Cp3×(Vn+Vn−1_total−Vinn) ・・・(9)
Q4’=CP4×Vinn ・・・(10)
ノードinpに充電されている電荷量をQp’、ノードinnに充電されている電荷量をQn’とすると、コンパレート状態における電荷量Qp’、Qn’は、下記(11)式及び(12)式で表される。
【0043】
Qp’=Q2’−Q1’
=Cp2×(Vinp−V
REF)−Cp1×(Vn−1_total−Vinp) ・・・(11)
Qn’=Q4’−Q3’
=CP4×Vinn−Cp3×(Vn+Vn−1_total−Vinn) ・・・(12)
コンパレータCMP0の非反転入力端子及び反転入力端子の入力インピーダンスが充分高いとすると、チャージ状態からコンパレート状態へ移行しても、ノードinpに蓄えられた電荷量Qp、及びノードinnに蓄えられた電荷量Qnは変化しないため、下記(13)式及び(14)式が成り立つ。
【0044】
Qp=Qp’ ・・・(13)
Qc=Qc’ ・・・(14)
上記(5)式、(11)式、及び(13)式から、電圧Vinpについて下記(15)式が得られる。また、上記(6)式、(12)式、及び(14)式から、電圧Vinnについて下記(16)式が得られる。
【0045】
Vinp=V
COM−Cp1/(Cp1+CP2)×Vn+CP2/(Cp1+Cp2)×V
REF ・・・(15)
Vinn=V
COM+Cp3/(Cp3+CP4)×Vn−CP4/(Cp3+Cp4)×V
REF ・・・(16)
(15)式によれば、電圧Vinpは、電池電圧Vnに対して負の傾きを有しており、(16)式によれば、電圧Vinnは、電池電圧Vnに対して正の傾きを有している。(15)式及び(16)式により得られる、電圧Vinp、Vinnと、電池電圧Vnとの関係は、
図5に例示したようになる。
【0046】
図5に例示したように、電圧Vinnを表す線と電圧Vinpを表す線とは、電池電圧VnがVn_thである場合(Vn=Vn_th)において交差する。従って、コンパレータCMP0は、電圧Vinnと電圧Vinpとが等しくなる場合(Vinn=Vinp)の電圧を検出閾値電圧Vn_thとして動作する。コンパレータCMP0は、電圧Vinnが電圧Vinp以上の場合(Vinn≧Vinp)に、Hレベルの検出信号を出力し、電圧Vinnが電圧Vinpよりも小さい場合(Vinn<Vinp)に、Lレベルの検出信号を出力する。
【0047】
上記(15)式及び(16)式から、コンパレータCMP0の検出閾値電圧Vn_thは、下記(17)式で表される。
【0048】
Vn_th={Cp2/(Cp1+Cp2)+Cp4/(Cp3+Cp4)}/{Cp1/(Cp1+Cp2)+Cp3/(Cp3+Cp4)}×V
REF ・・・(17)
(17)式より、検出閾値電圧Vn_thは、コンデンサC1〜C4の容量Cp1〜Cp4、及び基準電圧V
REFに依存することがわかる。従って、本実施形態のコンパレータCMP0は、コンデンサC1〜C4の容量Cp1〜Cp4、及び基準電圧V
REFの値により、任意の検出閾値電圧Vn_thを設定することができる。
【0049】
さらに、コンデンサC1〜C4の容量Cp1〜Cp4について、任意の定数j、k、mを用いて表した下記(18)〜(19)式を用いると、上記(17)式は、下記(21)式で表すことができる。
【0050】
Cp2=j×Cp1 ・・・(18)
Cp3=k×Cp1 ・・・(19)
Cp4=m×Cp1 ・・・(20)
Vn_th={j/(1+j)+m/(k+m)}/{1/(1+j)+1/(k+m)}×V
REF ・・・(21)
(21)式より、検出閾値電圧Vn_thは、コンデンサC1〜C4の容量比(j、k、m)、及び基準電圧V
REFに依存することがわかる。従って、本実施形態のコンパレータCMP0は、コンデンサC1〜C4の容量比、及び基準電圧V
REFの値により、任意の検出閾値電圧Vn_thを設定することができる。
【0051】
従って、検出閾値電圧Vn_thが所望の大きさとなるように、コンデンサC1〜C4の容量比、及び基準電圧V
REFを選択することで、検出回路26により電池電圧Vの検出を行うことができる。
【0052】
例えば、検出閾値電圧Vn_thのレベルを過充電検出電圧に相当するレベルとすることにより、コンパレート状態においてコンパレータCMP0から出力される検出信号がHレベルの場合は、電池セルVが過充電状態であることを検出することができる。
【0053】
なお、上記では、電池セルVnの電池電圧の検出を行う場合について説明したが、他の電池セルVについても、同様に、チャージ状態からコンパレート状態に切り替えることにより、コンパレート状態において、コンパレータCMP0から出力される検出信号のレベルに基づいて電池電圧の検出を行うことができる。
【0054】
図6には、本実施形態における電池セルVの電池電圧の検出に関する、セル選択スイッチ24のスイッチSW及び検出回路26のスイッチS1〜S4の接続先(選択先)を表すタイミングチャートを示す。
【0055】
図6に示すように、電池セルVの各電池電圧の検出を行う場合、低電圧側の電池セルVから順に、チップ内制御部30がチャージ状態(
図6、「Charge」参照)及びコンパレート状態(
図6、「Comp」参照)に制御を繰り替えし行うことにより、時分割的に電池セルV毎に電池電圧の検出を行う。各状態に要する具体的な時間は、セル選択スイッチ24、スイッチS1〜S4のオン抵抗とコンデンサC1〜C4の時定数に応じて定まる。
【0056】
検出回路26のスイッチS1〜S4は、電池セルV毎に、上述したように接続先(選択先)が切り替えられることにより、チャージ状態とコンパレート状態とを繰り返す。また、セル選択スイッチ24のスイッチSWは、検出を行う電池セルVに応じたスイッチSWのみが、上述したように接続先(選択先)となる当該電池セルVの負極側のノードと正極側のノードとがチャージ状態とコンパレート状態で切り替えられる。
【0057】
そして、本実施形態の電池監視LSI14では、例えば、上述したように、コンパレータCMP0の検出閾値電圧Vn_thのレベルが過充電検出電圧に相当するレベルである場合、コンパレート状態において検出回路26のコンパレータCMP0から出力された検出信号OUTのレベルに基づいて、チップ内制御部30が各電池セルVが過充電状態であるか否かを検出する。なお、チップ内制御部30からマイクロコンピュータ16へ検出信号OUTを出力し、マイクロコンピュータ16が検出信号OUTのレベルに基づいて電池セルVが過充電状態であるか否かを検出してもよい。
【0058】
[第2実施形態]
上記第1実施形態の検出回路26では、コンパレータCMP0に設定することが可能な検出閾値電圧V_thが1つであったため、第1実施形態の検出回路26によれば、電池セルの電池電圧の状態について特定の状態であるか否かについて検出可能であった。
【0059】
これに対して、本実施形態の検出回路26は、複数の検出閾値電圧V_thをコンパレータCMP0に設定することができる。
【0060】
電池監視システム10全体の構成は第1実施形態と略同様であるため説明を省略し、本実施形態の検出回路26について説明する。
【0061】
図7には、本実施形態のセル選択スイッチ24及び検出回路26の回路構成の一例を示す。なお、
図7では、図示の便宜上、電池セルV及びセル選択スイッチ24について、電池セルV1、V2、Vnに関してのみ記載している。また、
図7では、端子21の記載を省略している。
【0062】
図7に示すように、本実施形態のセル選択スイッチ24は、第1実施形態のセル選択スイッチ24と同様であるため説明を省略する。
【0063】
図7に示すように本実施形態の検出回路26は、スイッチS1、S2の構成が第1実施形態のスイッチS1、S2の構成と異なっている。第1実施形態のスイッチS1、S2は、a端子〜c端子を備えていたが、本実施形態のスイッチS1、S2は、a端子〜x端子を備えており、備える端子の数が第1実施形態のスイッチS1、S2よりも多い。
【0064】
スイッチS1、S2のb端子は、接地電圧源GNDに接続されている。一方、c端子〜x端子は、各々異なる基準電圧V
REF(V
REFc〜V
REFx)を供給する基準電圧源V
REFc〜V
REFxに接続されている。スイッチS1は、チップ内制御部30の制御により、コンデンサC3のb端子を接地電圧源GNDまたは基準電圧源V
REFc〜V
REFxのいずれかに接続する。また、スイッチS2は、チップ内制御部30の制御により、コンデンサC4のb端子を接地電圧源GNDまたは基準電圧源V
REFc〜V
REFxのいずれかに接続する。
【0065】
すなわち、本実施形態の検出回路26では、コンデンサC3、C4のb端子と接続する基準電圧源を基準電圧源V
REFc〜V
REFxのいずれかに切り替えることができる。
【0066】
なお、基準電圧源V
REFc〜V
REFxの数、及び備えられている場所は特に限定されず、本実施形態では図示を省略したが一例として電池監視LSI14内部の検出回路26外に備えられている。
【0067】
本実施形態の検出回路26における電池電圧の検出動作について説明する。以下では、
図8及び
図9を参照して、基準電圧V
REF1、V
REF2を有しており、n番目の電池セルVnの電池電圧を検出する場合を具体例として説明する。なお、
図8及び
図9では図示の便宜上、説明に不要な各部の記載を省略している。
【0068】
第1実施形態の検出回路26における電池電圧の検出動作と同様に、本実施形態の検出回路26における電池電圧の検出動作においても、チャージ状態からコンパレート状態に切り替えることにより、コンパレート状態において、コンパレータCMP0から出力される検出信号のレベルに基づいて電池電圧の検出を行うことができる。
【0069】
n番目の電池セルVnの電池電圧の検出を行う場合、チップ内制御部30は、
図8及び
図9に示すように、セル選択スイッチ24の各スイッチSW、及び検出回路26のスイッチS1〜S4を制御する。なお、チップ内制御部30がスイッチSW及びスイッチS1〜S4の制御を行うタイミングは、誤差を無視すると、同一である。
【0070】
まず、基準電圧V
REF1を用いて、チップ内制御部30は、
図8に示すように、セル選択スイッチ24及び検出回路26をチャージ状態にする。
【0071】
具体的には、チップ内制御部30は、第1実施形態と同様に、セル選択スイッチ24のスイッチSWn_1にノードVNn(a端子)を選択させ、スイッチSWn_2にノードVNn−1(a端子)を選択させ、他のスイッチSWを非選択状態(a端子及びb端子のいずれも選択しない状態)とさせる。
【0072】
さらに、チップ内制御部30は、検出回路26のスイッチS1に接地電圧源GND(b端子)を選択させ、スイッチS2に基準電圧源V
REF1(c端子)を選択させ(
図8、スイッチS2の実線参照)、スイッチS3に基準電圧源V
COM(b端子)を選択させ、スイッチS4に基準電圧源V
COM(b端子)を選択させる。
【0073】
チャージ状態において、各コンデンサCに充分に電荷が蓄えられた後、チップ内制御部30は、
図9に示すように、スイッチSW及びスイッチS1〜S4を制御して、セル選択スイッチ24及び検出回路26をチャージ状態からコンパレート状態に切り替える。
【0074】
具体的には、第1実施形態と同様に、チップ内制御部30は、セル選択スイッチ24のスイッチSWn_1にノードVNn−1(b端子)を選択させ、スイッチSWn_2にノードVNn(b端子)を選択させ、セル選択スイッチ24の他のスイッチSWを非選択状態(a端子及びb端子のいずれも選択しない状態)とさせる。
【0075】
さらに、チップ内制御部30は、検出回路26のスイッチS1に基準電圧源V
REF1(c端子)を選択させ(
図9、スイッチS1の実線参照)、スイッチS2に接地電圧源GND(b端子)を選択させ、スイッチS3にコンパレータCMP0の非反転入力端子(c端子)を選択させ、スイッチS4にコンパレータCMP0の反転入力端子(c端子)を選択させる。
【0076】
この場合の検出閾値電圧は、第1実施形態で上述した(21)式に基づき、下記(22)式で表すことができる。
【0077】
Vn_th1={j/(1+j)+m/(k+m)}/{1/(1+j)+1/(k+m)}×V
REF1 ・・・(22)
次に、基準電圧V
REF2を用いて、チップ内制御部30は、
図8に示すように、セル選択スイッチ24及び検出回路26を再びチャージ状態にする。チップ内制御部30によるセル選択スイッチ24の制御は、チャージ状態の場合、及び後述コンパレートの状態ともに、上述した基準電圧V
REF1を用いた場合と同様であるため、説明を省略する。
【0078】
一方、チップ内制御部30は、検出回路26のスイッチS1に接地電圧源GND(b端子)を選択させ、スイッチS2に基準電圧源V
REF2(c端子)を選択させ(
図8、スイッチS2の点線参照)、スイッチS3に基準電圧源V
COM(b端子)を選択させ、スイッチS4に基準電圧源V
COM(b端子)を選択させる。
【0079】
チャージ状態において、各コンデンサCに充分に電荷が蓄えられた後、チップ内制御部30は、
図9に示すように、スイッチSW及びスイッチS1〜S4を制御して、セル選択スイッチ24及び検出回路26をチャージ状態からコンパレート状態に切り替える。
【0080】
チップ内制御部30は、検出回路26のスイッチS1に基準電圧源V
REF2(c端子)を選択させ(
図9、スイッチS1の点線参照)、スイッチS2に接地電圧源GND(b端子)を選択させ、スイッチS3にコンパレータCMP0の非反転入力端子(c端子)を選択させ、スイッチS4にコンパレータCMP0の反転入力端子(c端子)を選択させる。
【0081】
この場合の検出閾値電圧は、第1実施形態で上述した(21)式に基づき、下記(23)式で表すことができる。
【0082】
Vn_th2={j/(1+j)+m/(k+m)}/{1/(1+j)+1/(k+m)}×V
REF2 ・・・(23)
上記(21)式及び(22)式より、本実施形態の検出回路26によれば、基準電圧V
REF1、V
REF1により、任意の検出閾値電圧Vn_th1、Vn_th2を設定することができる。従って、基準電圧V
REF1、V
REF2を切り替えて、検出動作を行うことにより、2つの検出閾値電圧Vn_th1、Vn_th2各々を用いて、電池電圧Vの検出を行うことができる。
【0083】
例えば、検出閾値電圧Vn_th1のレベルを過充電検出電圧に相当するレベルとすることにより、コンパレート状態においてコンパレータCMP0から出力される検出信号がHレベルの場合は、電池セルVが過充電状態であることを検出することができる。また、検出閾値電圧Vn_th2のレベルを過放電検出電圧に相当するレベルとすることにより、コンパレート状態においてコンパレータCMP0から出力される検出信号がLレベルの場合は、電池セルVが過放電状態であることを検出することができる。
【0084】
なお、上記では、電池セルVnの電池電圧の検出を行う場合について説明したが、他の電池セルVについても、同様に、チャージ状態からコンパレート状態に切り替えることにより、コンパレート状態において、コンパレータCMP0から出力される検出信号のレベルに基づいて電池電圧の検出を行うことができる。
【0085】
図10には、本実施形態における電池セルVの電池電圧の検出に関する、セル選択スイッチ24のスイッチSW及び検出回路26のスイッチS1〜S4の接続先(選択先)を表すタイミングチャートを示す。
【0086】
図10に示すように、電池セルVの各電池電圧の検出を行う場合、低電圧側の電池セルVから順に、チップ内制御部30が、チャージ状態(
図10、「Charge」参照)及びコンパレート状態(
図10、「Comp」参照)に制御を繰り返し行うと共に、基準電圧V
REF1を用いた「検出1」及び、基準電圧V
REF2を用いた「検出2」を繰り返し行うことにより、時分割的に電池セルV毎に電池電圧の検出を行う。
【0087】
このようにチップ内制御部30が制御を行うことにより、本実施形態の電池監視LSI14では、例えば、上述したように、コンパレータCMP0の検出閾値電圧Vn_th1のレベルが過充電検出電圧に相当するレベルであり、検出閾値電圧Vn_th2のレベルが過放電検出電圧に相当するレベルである場合、検出1及び検出2各々のコンパレート状態において検出回路26のコンパレータCMP0から出力された検出信号OUTのレベルに基づいて、チップ内制御部30が各電池セルVが過充電状態であるか否かを検出し、また、過放電状態であるか否かを検出する。
【0088】
なお、
図10に示したタイミングチャートでは、低電圧側の電池セルVから順に、検出1及び検出2を繰り返し行う場合を示したが、検出1及び検出2を行うタイミングはこれに限らない。例えば、低電圧側の電池セルVから順に検出1を行い、全ての電池セルVについて検出1を終了した後に、低電圧側の電池セルVから順に検出2を行うようにしてもよい。
【0089】
[第3実施形態]
上記第2実施形態の検出回路26では、スイッチS1及びスイッチS2が、コンデンサC3、C4のb端子と接続する基準電圧源を基準電圧源V
REFc〜V
REFxのいずれかに切り替えることにより、複数の検出閾値電圧V_thをコンパレータCMP0に設定することができた。
【0090】
これに対して、本実施形態の検出回路26では、容量が異なる複数のコンデンサC3、C4を備えることにより、複数の検出閾値電圧V_thをコンパレータCMP0に設定することができる。
【0091】
電池監視システム10全体の構成は第1実施形態と略同様であるため説明を省略し、本実施形態の検出回路26について説明する。
【0092】
図11には、本実施形態のセル選択スイッチ24及び検出回路26の回路構成の一例を示す。なお、
図11では、図示の便宜上、電池セルV及びセル選択スイッチ24について、電池セルV1、V2、Vnに関してのみ記載している。また、
図7では、端子21の記載を省略している。
【0093】
図11に示すように、本実施形態のセル選択スイッチ24は、第1実施形態のセル選択スイッチ24と同様であるため説明を省略する。
【0094】
図11に示すように本実施形態の検出回路26は、コンデンサC3が、並列に接続されたコンデンサC3’、C3’’を含む。また、本実施形態の検出回路26は、コンデンサC4が、並列に接続されたコンデンサC4’、C4’’を備える。
【0095】
さらに、本実施形態の検出回路26は、スイッチS5、S6を備える。スイッチS5は、チップ内制御部30の制御により、コンデンサC3’のb端子またはコンデンサC3’’のb端子と、ノードinpとを接続する。具体的には、スイッチS5のa端子はノードinpに接続され、b端子はコンデンサC3’のa端子に接続され、c端子はコンデンサC3’’のa端子に接続されている。
【0096】
コンデンサC3’、C3’’各々のb端子は、スイッチS1のa端子に接続されている。
【0097】
また、スイッチS6は、チップ内制御部30の制御により、コンデンサC4’のb端子またはコンデンサC4’’のb端子と、ノードinnとを接続する。具体的には、スイッチS6のa端子はノードinnに接続され、b端子はコンデンサC4’のa端子に接続され、c端子はコンデンサC4’’のa端子に接続されている。
【0098】
コンデンサC4’、C4’’各々のb端子は、スイッチS2のa端子に接続されている。
【0099】
第1実施形態の(21)式を用いて上述したように、コンパレータCMP0の、検出閾値電圧Vn_thは、コンデンサC1〜C4の容量比(j、k、m)、及び基準電圧V
REFに依存することがわかる。
【0100】
例えば、コンデンサC3’と容量が異なるコンデンサC3’’とノードinpとを接続させて検出動作を行うことにより、コンデンサC1、C2、C3’、C4’における容量比と、コンデンサC1、C2、C3’’、C4における容量比とが異なるため、異なる任意の検出閾値電圧Vn_thを設定することができる。
【0101】
従って、本実施形態の検出回路26によれば、所望の検出閾値電圧Vn_thに応じて、容量比が異なるコンデンサC3’、C3’’や容量比が異なるコンデンサC4’C4’’を備えることで、複数の検出閾値電圧V_thに応じた電池セルVの検出を行うことができる。例えば、コンデンサC1、C2、C3’、C4’における容量比に基づいて上記(21)式より、過充電検出電圧に応じた検出閾値電圧Vn_th1を設定し、コンデンサC1、C2、C3’’、C4’’ における容量比に基づいて上記(21)式より、過放電検出電圧に応じた検出閾値電圧Vn_th2を設定することができる。
【0102】
図12には、本実施形態における電池セルVの電池電圧の検出に関する、セル選択スイッチ24のスイッチSW及び検出回路26のスイッチS1〜S4の接続先(選択先)を表すタイミングチャートを示す。
【0103】
図12に示すように、電池セルVの各電池電圧の検出を行う場合、低電圧側の電池セルVから順に、チップ内制御部30が、チャージ状態(
図10、「Charge」参照)及びコンパレート状態(
図10、「Comp」参照)に制御を繰り返し行うと共に、コンデンサC3’、C4’を用いた「検出1」及び、コンデンサC3’’、C4’’を用いた「検出2」を繰り返し行うことにより、時分割的に電池セルV毎に電池電圧の検出を行う。
【0104】
このようにチップ内制御部30が制御を行うことにより、本実施形態の電池監視LSI14では、例えば、上述したように、コンパレータCMP0の検出閾値電圧Vn_th1のレベルが過充電検出電圧に相当するレベルであり、検出閾値電圧Vn_th2のレベルが過放電検出電圧に相当するレベルである場合、検出1及び検出2各々のコンパレート状態において検出回路26のコンパレータCMP0から出力された検出信号OUTのレベルに基づいて、チップ内制御部30が各電池セルVが過充電状態であるか否かを検出し、また、過放電状態であるか否かを検出する。
【0105】
なお、
図12に示したタイミングチャートでは、低電圧側の電池セルVから順に、検出1及び検出2を繰り返し行う場合を示したが、検出1及び検出2を行うタイミングはこれに限らない。例えば、低電圧側の電池セルVから順に検出1を行い、全ての電池セルVについて検出1を終了した後に、低電圧側の電池セルVから順に検出2を行うようにしてもよい。
【0106】
なお、
図11に示した検出回路26では、ノードinpと接続可能な2つのコンデンサC3(C3’、C3’’)、ノードinnと接続可能な2つのコンデンサC4(C4’、C4’’)について示したが、検出回路26が備えるコンデンサの数はこれに限らない。例えば、ノードinpと接続可能なコンデンサ及びノードinnと接続可能なコンデンサのいずれかのみを複数備えてもよい。また例えば、例えば、ノードinpと接続可能なコンデンサ及びノードinnと接続可能なコンデンサの数を3つ以上とすることにより、さらに多くの検出閾値電圧Vn_thをコンパレータCMP0に設定することができる。
【0107】
以上説明したように、本実施形態の電池監視LSI14の検出回路26は、一端が電池セルVの正極及び負極の一方の極に切り替えて接続することが可能なコンデンサC1、及び一端がコンデンサC1が接続された極と反対の他方の極に切り替えて接続することが可能なコンデンサC2を含む第1のコンデンサ群と、コンデンサC1を介して電池セルVに接続可能な非反転入力端子、及びコンデンサC2を介して電池セルVに接続可能な反転入力端子を備え、接続された電池セルVの電池電圧と検出閾値電圧Vn_thとを比較するコンパレータCMP0と、を備える。また、検出回路26は、コンデンサC1とコンパレータCMP0の非反転入力端子との間のノードinpと、接地電圧源GNDと基準電圧源V
REFの何れかとの接続状態を切り替えるスイッチS1との間に、スイッチS1と直列に接続されたコンデンサC3、及びコンデンサC2とコンパレータCMP0の反転入力端子との間のノードinnと、接地電圧源GNDと基準電圧源V
REFの何れかとの接続状態を切り替えるスイッチS2との間に、スイッチS2と直列に接続されたコンデンサC4を含む第2のコンデンサ群を備える。
【0108】
図13に示した従来の電池監視LSIでは、セル選択スイッチ124がオン状態になり、電池セルVの正極電圧と負極電圧とが、差動アンプ126Aに供給されている状態では、常に、抵抗R1〜R4に電流が流れるため、電池電圧が消費される。抵抗R1〜R4による消費電流を抑制するためには、抵抗R1〜R4の抵抗値を大きくする必要があるが、抵抗値を大きくすると、抵抗R1〜R4の設置に要する面積が大きくなるという問題があった。
【0109】
これに対して、上記各実施形態の検出回路26は、コンデンサC1〜C4と、スイッチS1〜S4と、により構成されており、従来の検出回路126のように抵抗R1〜R4を備えていない。そのため、セル選択スイッチ124がオン状態になり、電池セルVの正極電圧と負極電圧とが、差動アンプ126Aに供給されている状態において、消費される電池電圧を抑制することができる。
【0110】
従って、上記各実施形態の検出回路26によれば、低消費電流かつ小型化が可能となる。
【0111】
また、上記各実施形態の検出回路26によれば、従来の検出回路126と比べて、2つのコンパレータ(A0、C0)に代わり、コンパレータCMP01つのみで実現できるため、より、小型化が可能となる。
【0112】
また、上記各実施形態の検出回路26によれば、コンデンサC1〜C4の容量比により検出閾値電圧Vn_thをコンパレータCMP0に設定することができるため、各コンデンサC1〜C4の容量そのものは小さくすることができる。そのため、上記各実施形態の検出回路26によれば、より小型化が可能となる。
【0113】
また、従来の検出回路126では、検出回路126で検出動作を行う場合、オン状態のセル選択スイッチ124のスイッチSWに電流が流れるため、セル選択スイッチ124のオン抵抗を小さくするために、サイズを大きくする必要があった。一方、上記各実施形態の検出回路26によれば、チャージ状態においてコンデンサC1〜C4に電荷をチャージした後にコンパレート状態で電池電圧の検出を行うため、セル選択スイッチ24のオン抵抗を考慮しなくてよい。従って、上記各実施形態の検出回路26によれば、セル選択スイッチ24のサイズを小さくすることができる。
【0114】
なお、上記各実施形態の検出回路26に限らず、例えば、各実施形態の検出回路26の構成を組み合わせて用いてもよい。例えば、第2実施形態と第3実施形態とを組み合わせて、複数の基準電圧VREFに切替可能、かつ容量比が異なるコンデンサ(C3、C3’及びC4、C4’)に切替可能な検出回路26としてもよい。
【0115】
また、上記各実施形態で上述したマイクロコンピュータ16の機能をチップ内制御部30が有していてもよい。例えば、チップ内制御部30がセル選択スイッチ24及び検出回路26を直接制御してもよい。この場合、電池監視システム10は、マイクロコンピュータ16を備えなくてもよい。
【0116】
また、上各実施形態では、電池監視システム10における電池監視LSI14に適用する検出回路26について説明したが、検出回路26が適用される装置は本実施形態に限定されるものではなく、2端子間の電圧を検出装置であれば適用可能である。
【0117】
また、上記各実施形態では、検出回路26がコンデンサC1〜C4を備えている場合について説明したが、コンデンサC1〜C4の一部または全部が備えられている場所は検出回路26内に限定されない。例えば、電池監視LSI14内の検出回路26外の領域に備えられていてもよいし、また例えば、電池監視LSI14外に備えられており、端子等を介して検出回路26と接続されていてもよい。
【0118】
また、その他の上記各実施の形態で説明した電池監視システム10、電池監視LSI14、及びADC38の構成及び動作は一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において状況に応じて変更可能であることはいうまでもない。