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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-198908(P2017-198908A)
(43)【公開日】2017年11月2日
(54)【発明の名称】光送信装置及び光変調器
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/035 20060101AFI20171006BHJP
   H04B 10/50 20130101ALI20171006BHJP
【FI】
   G02F1/035
   H04B9/00 500
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-91089(P2016-91089)
(22)【出願日】2016年4月28日
(71)【出願人】
【識別番号】000183266
【氏名又は名称】住友大阪セメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116687
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 爾
(74)【代理人】
【識別番号】100098383
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 純子
(74)【代理人】
【識別番号】100155860
【弁理士】
【氏名又は名称】藤松 正雄
(72)【発明者】
【氏名】加藤 圭
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 徳一
(72)【発明者】
【氏名】清水 亮
【テーマコード(参考)】
2K102
5K102
【Fターム(参考)】
2K102AA22
2K102BA03
2K102BB01
2K102BB04
2K102BC04
2K102BD01
2K102CA20
2K102DA04
2K102DB05
2K102DC08
2K102DD04
2K102DD05
2K102EA02
2K102EA09
2K102EB30
5K102AA15
5K102PH02
5K102PH31
(57)【要約】
【課題】
制御信号を出力するドライバ素子を含めた実装面積を抑えることが可能な光変調器を提供する。
【解決手段】
光送信装置は、筐体6と、該筐体内部に配置される電気光学効果を有する2つの基板1A,1Bと、2つの基板1A,1Bにそれぞれ形成された、光導波路2及び該光導波路を伝搬する光波を制御信号により制御するための制御電極3とを有する光変調器を備える。光送信装置は、更に、該制御信号を出力するドライバ素子22を備えており、該ドライバ素子22は該筐体外部の底面側に配置され、該制御電極3と電気的に接続される。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、該筐体内部に配置される電気光学効果を有する2つの基板と、前記2つの基板にそれぞれ形成された、光導波路及び該光導波路を伝搬する光波を制御信号により制御するための制御電極とを有する光変調器と、
該制御信号を出力するドライバ素子とを備えた光送信装置において、
該ドライバ素子は該筐体外部の底面側に配置され、該制御電極と電気的に接続されることを特徴とする光送信装置。
【請求項2】
請求項1に記載の光送信装置において、
前記2つの基板の間に、該ドライバ素子と該制御電極とを電気的に接続するための中継信号線路が形成された中継基板が配置されることを特徴とする光送信装置。
【請求項3】
請求項1に記載の光送信装置において、
前記2つの基板のそれぞれにおいて、前記2つの基板の間とは反対側に、該ドライバ素子と該制御電極とを電気的に接続するための中継信号線路が形成された中継基板が配置されることを特徴とする光送信装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の光送信装置において、
該ドライバ素子は、前記2つの基板間の中心線から見て該筐体外部の底面側に配置されることを特徴とする光変調器。
【請求項5】
請求項4に記載の光送信装置において、
該ドライバ素子は、前記2つの基板を平面視する方向から見て該ドライバ素子の中心と前記2つの基板間の中心線とが合うように配置されることを特徴とする光変調器。
【請求項6】
請求項2に記載の光送信装置において、
該ドライバ素子は、前記2つの基板を平面視する方向から見て該中継基板と重なる位置に配置されることを特徴とする光送信装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の光送信装置において、
該制御信号は20Gbps以上であることを特徴とする光送信装置。
【請求項8】
外部のドライバ素子から出力される制御信号に基づいて動作する光変調器において、
筐体と、
該筐体内部に配置される電気光学効果を有する2つの基板と、
前記2つの基板にそれぞれ形成された、光導波路及び該光導波路を伝搬する光波を該制御信号により制御するための制御電極と、
該筐体外部の底面側に配置される該ドライバ素子を該制御電極と電気的に接続するための電気的接続手段とを備えたことを特徴とする光変調器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光送信装置に関し、特に、2波長集積型などの高集積型変調器を備えた光送信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光通信システムの高速化、大容量化が進む中で、それに使用される光変調器の高性能化、高密度化が進んでいる。また、光変調器の小型化の要請に伴い、光変調器を構成する基板の小型化も進められている。しかしながら、光変調器の高性能化と、高密度化及び小型化とは相反する要求であるため、これらを両立するための工夫が求められている。
【0003】
このような光変調器に関し、以下のような発明が提案されている。
例えば、特許文献1には、基板上に第1の光変調部と第2の光変調部とを幅方向に並列に設け、該基板の一方の側部に隣接させて、変調用の電気信号を中継する中継基板を配置した構造の光変調器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015−172630号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、2波長集積型などの高集積型光変調器が開発されている。図1には、従来の2波長集積型DP−QPSK(Dual Polarization - Quadrature Phase Shift Keying)変調器を備えた光送信装置の構成例を示してある。同図の光変調器は、波長λ1の光波が入力される光変調領域M1と、波長λ1とは異なる波長λ2の光波が入力される光変調領域M2とを有し、これら光変調領域M1,M2は互いに独立して動作するように構成される。
【0006】
光変調領域M1,M2の各々は、電気光学効果を有する基板1上に、光導波路2と、光導波路2を伝搬する光波を制御信号により制御するための制御電極3と、光導波路2を伝搬する光波を検出するための受光素子4とを備えている。制御電極3は、制御信号の一種であるRF信号(変調信号)が印加されるRF電極3aや、制御信号の一種であるDC信号(バイアス電圧)が印加されるDC電極3b,3cなどで構成される。
【0007】
各光変調領域M1,M2の光導波路2は、マッハツェンダー型光導波路を入れ子型に多重に配置した構造となっており、これに相応して多数の制御電極3や受光素子4が設けられている。同図では、光変調領域M1,M2のそれぞれに、4つのRF電極3aと、6つのDC電極3b,3cと、2つの受光素子4を設けてある。
光変調領域M1の下流には偏波合成部(不図示)が配置され、メインとなるマッハツェンダー型光導波路の出力側アーム部を伝搬する光波を偏波合成部で合成して、光変調器に接続された光ファイバに出力する。光変調領域M2についても同様である。偏波合成部は、空間光学系を用いて偏波合成を行う構造のものや、光導波路を用いて偏波合成を行う構造のものなどがある。
【0008】
基板1の光変調領域M2側の辺部に隣接させて、RF電極3aに対するRF信号を中継する高周波信号用の中継基板11と、DC電極3b,3cに対するDC信号や受光素子4で検出した受光信号を中継する低周波信号用の中継基板12が配置されている。また、基板1の光変調領域M1側の辺部には、光変調領域M1のRF電極3aに対するRF信号を終端する終端基板13が配置され、基板1の光変調領域M2側の辺部には、光変調領域M2のRF電極3aに対するRF信号を終端する終端基板14が配置されている。
【0009】
このような光変調器は、光送信装置を構成する部品の一つとして該光送信装置に内蔵して使用される。一般的に、光変調器は光送信装置のプリント基板21に搭載され、その搭載面と同一面上に配置されたドライバ素子22からの制御信号に基づいて動作する。すなわち、光変調器は、その外部(筐体6の外部)にあるドライバ素子22から制御信号の供給を受けて、制御信号に応じた光変調を行う。
【0010】
上記のように基板1の片側に中継基板11,12を配置する構造だと、高周波信号用の中継基板11や低周波信号用の中継基板12に接続される入出力端子(DCピンやRFコネクタなど)を筐体6の同一な側面に配置することができるので、光変調器を取り扱いやすくなるという利点がある。しかしながら、ドライバ素子22が筐体6の側方に並列させて配置されるため、これらの実装面積が大きくなるので、光送信装置の小型化が困難であった。
【0011】
また、上記のように多数の制御電極3(3a,3b,3c)や受光素子4を基板(チップ)に配置する構造だと、それらの部品に接続する信号線路(電気線)の配線の自由度が少ない。特に中継基板11,12に近い側の光変調領域M2は、光変調領域M2に対する信号線路だけでなく、光変調領域M1に対する信号線路の一部も配設されるとともに、信号線路が局所的に集中することになるため、信号線路の複雑化が顕著になる。その結果、制御電極3(3a,3b,3c)に対する信号線路の長さにバラツキが生じやすい。例えば、RF電極3aに対する信号線路5a,5bの各々で長さにバラツキが生じることで、各RF電極3aに対するRF信号にスキュー(時間遅延)が発生したり、各々の信号線路で伝搬損失差が生じる懸念がある。また、信号線路の長さが長くなると伝搬損失が増加したり、信号線路間でクロストークが発生する可能性があるという問題もある。
【0012】
本発明が解決しようとする課題は、上記のような問題を解決し、光変調器及びドライバ素子の実装面積を抑えた光送信装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するため、本発明の光送信装置及び光変調器は、以下のような技術的特徴を有する。
(1) 筐体と、該筐体内部に配置される電気光学効果を有する2つの基板と、前記2つの基板にそれぞれ形成された、光導波路及び該光導波路を伝搬する光波を制御信号により制御するための制御電極とを有する光変調器と、該制御信号を出力するドライバ素子とを備えた光送信装置において、該ドライバ素子は該筐体外部の底面側に配置され、該制御電極と電気的に接続されることを特徴とする。
【0014】
(2) 上記(1)に記載の光送信装置において、前記2つの基板の間に、該ドライバ素子と該制御電極とを電気的に接続するための中継信号線路が形成された中継基板が配置されることを特徴とする。
【0015】
(3) 上記(1)に記載の光送信装置において、前記2つの基板のそれぞれにおいて、前記2つの基板の間とは反対側に、該ドライバ素子と該制御電極とを電気的に接続するための中継信号線路が形成された中継基板が配置されることを特徴とする。
【0016】
(4) 上記(1)乃至(3)のいずれかに記載の光送信装置において、該ドライバ素子は、前記2つの基板間の中心線から見て該筐体外部の底面側に配置されることを特徴とする。
【0017】
(5) 上記(4)に記載の光送信装置において、該ドライバ素子は、前記2つの基板を平面視する方向から見て該ドライバ素子の中心と前記2つの基板間の中心線とが合うように配置されることを特徴とする。
【0018】
(6) 上記(2)に記載の光送信装置において、該ドライバ素子は、前記2つの基板を平面視する方向から見て該中継基板と重なる位置に配置されることを特徴とする。
【0019】
(7) 上記(1)乃至(6)のいずれかに記載の光送信装置において、該制御信号は20Gbps以上であることを特徴とする。
【0020】
(8) 外部のドライバ素子から出力される制御信号に基づいて動作する光変調器において、筐体と、該筐体内部に配置される電気光学効果を有する2つの基板と、前記2つの基板にそれぞれ形成された、光導波路及び該光導波路を伝搬する光波を該制御信号により制御するための制御電極と、該筐体外部の底面側に配置される該ドライバ素子を該制御電極と電気的に接続するための電気的接続手段とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明の光変調器は、筐体と、該筐体内部に配置される電気光学効果を有する2つの基板と、前記2つの基板にそれぞれ形成された、光導波路及び該光導波路を伝搬する光波を制御信号により制御するための制御電極とを有する光変調器と、該制御信号を出力するドライバ素子とを備えた光送信装置において、該ドライバ素子は該筐体外部の底面側に配置され、該制御電極と電気的に接続されるため、光変調器及びドライバ素子の実装面積を抑えた光送信装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】従来の2波長集積型DP−QPSK変調器を備えた光送信装置の構成例を示す平面図である。
図2】本発明の第1実施例に係る光送信装置を説明する平面図である。
図3】本発明の第1実施例に係る光送信装置を説明する断面図である。
図4】本発明の第1実施例におけるドライバ素子の配置を説明する平面図である。
図5】本発明の第2実施例に係る光送信装置を説明する平面図である。
図6】本発明の第2実施例に係る光送信装置を説明する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明に係る光送信装置について詳細に説明する。
本発明に係る光送信装置は、例えば図2図3に示すように、筐体6と、該筐体内部に配置される電気光学効果を有する2つの基板1A,1Bと、2つの基板1A,1Bにそれぞれ形成された、光導波路2及び該光導波路を伝搬する光波を制御信号により制御するための制御電極3とを有する光変調器を備える。光送信装置は、更に、該制御信号を出力するドライバ素子22を備えており、該ドライバ素子22は該筐体外部の底面側に配置され、該制御電極3と電気的に接続される。
【0024】
基板1A,1Bとしては、石英、半導体など光導波路を形成できる基板であれば良く、特に、電気光学効果を有する基板である、LiNbO(ニオブ酸リチウム),LiTaO(タンタル酸リチウム)又はPLZT(ジルコン酸チタン酸鉛ランタン)のいずれかの単結晶などを用いた基板が好適に利用可能である。
【0025】
基板1A,1Bに形成する光導波路2は、例えば、LiNbO基板(LN基板)上にチタン(Ti)などの高屈折率物質を熱拡散することにより形成される。また、光導波路となる部分の両側に溝を形成したリブ型光導波路や光導波路部分を凸状としたリッジ型導波路も利用可能である。また、PLC等の異なる導波路基板に光導波路を形成し、これらの導波路基板を貼り合せ集積した光回路にも、本発明を適用することが可能である。
【0026】
基板1A,1Bには、光導波路2を伝搬する光波を制御信号により制御するための制御電極3が設けられる。制御電極3としては、変調電極を構成するRF電極3aやこれを取り巻く接地電極(不図示)、DC信号を印加するDC電極3b、3cなどがある。これら制御電極3は、基板表面に、Ti・Auの電極パターンを形成し、金メッキ方法などにより形成することが可能である。さらに、必要に応じて光導波路形成後の基板表面に誘電体SiO等のバッファ層を設けることも可能である。
【0027】
基板1A,1Bの各々の光変調領域を構成する光導波路2は、マッハツェンダー型導波路を入れ子型に多重に配置した構造となっており、これに相応して多数の制御電極3や受光素子4が設けられている。同図では、基板1A,1Bのそれぞれに、4つのRF電極31と、6つのDC電極3b,3cと、2つの受光素子4を設けてある。
【0028】
本発明に係る光送信装置の主な特徴は、制御電極3に対する制御信号を出力するドライバ素子22を、光変調器の筐体外部の底面側に配置したことである。本明細書では、基板の長さ方向を「X方向」とし、基板の幅方向を「Y方向」とし、基板の厚さ方向を「Z方向」とする。X方向は光波の進行方向(図中の矢印Xの方向)に対応し、これに基板平面で直交する方向(図中の矢印Yの方向)がY方向となり、基板を平面視する方向(図中の×印Zの方向)がZ方向となる。以下、実施例を参照して詳細に説明する。なお、光送信装置及び光変調器の概略的な構成は、図1を参照して説明した従来のものと同様である。
【実施例1】
【0029】
図2は、本発明の第1実施例に係る光送信装置を説明する平面図であり、図3は、これをX方向に見た断面図である。また、図4は、ドライバ素子22の配置を説明する平面図である。なお、図3において、(a)は、光送信装置のプリント基板に光変調器を搭載する前の様子を示す図であり、図3は、光送信装置のプリント基板に光変調器を搭載した後の様子を示す図である。
【0030】
本例の光送信装置における光変調器は、筐体6の内部底面(筐体外部の底面に対向する筐体内部の面)に、2つの基板1A,1BをY方向に並列に配置してある。基板1Aと基板1Bの間には、RF電極3aに対するRF信号を中継する高周波信号用の中継基板11と、DC電極3b,3cに対するDC信号を中継する低周波信号用の中継基板12が配置される。中継基板12は、受光素子4で検出した受光信号を外部に出力する際の中継に用いることもできる。
【0031】
本例の光変調器は、光送信装置を構成する部品の一つとして該光送信装置に内蔵して使用される。具体的には、本例の光変調器は、光送信装置のプリント基板21上に搭載され、その搭載面(上面)とは反対側の面(下面)に配置されたドライバ素子22からの制御信号に基づいて動作する。すなわち、制御信号を出力するドライバ素子22を、光変調器の筐体外部の底面側に配置する構造となっている。
【0032】
中継基板11,12には中継信号線路(不図示)が形成されている。中継信号線路の一方の端部は、基板1A,1Bの制御電極3に対する信号線路と電気的に接続され、他方の端部は、電気的接続手段の一例であるピン7a,7bと電気的に接続される。ピン7a,7bは、中継基板11,12から筐体6の底面を貫通するように形成されている。また、ピン7a,7bは、筐体6の底面から突出する部分の長さが、少なくともプリント基板21の厚さ以上になるようにしてある。
【0033】
プリント基板21には、光変調器を搭載した際にピン7a,7bが位置することになる箇所に、ピン7a,7bを挿し通せる貫通孔23a,23bを形成してある。また、プリント基板21の下面には、ドライバ素子22から貫通孔23a,23bに向かって延びる出力端子24a,24bを設けてある。プリント基板21に光変調器を搭載すると、プリント基板21の貫通孔23a,23bからピン7a,7bの一部が突出する。この突出した部分と出力端子24a,24bとを半田等により接続することで、中継基板11,12の中継信号線路とプリント基板21の出力端子24a,24bとを電気的に接続することができる。なお、出力端子24a,24bと貫通孔23a,23bとの間隔を広げ、出力端子24a,24bと貫通孔23a,23bの間に信号線路を形成し、この信号線路を介してピン7a,7bと出力端子24a,24bとを電気的に接続する構成にしてもよい。
【0034】
出力端子24aは、ドライバ素子22から基板1A側に供給する制御信号を出力するための端子である。出力端子24bは、ドライバ素子22から基板1B側に供給する制御信号を出力するための端子である。すなわち、例えば基板1Aに対するRF信号が、ドライバ素子22から出力端子24a、ピン7a、信号線路5a等を通じて、基板1A側のRF電極3aに伝送される。また、例えば基板1Bに対するRF信号が、ドライバ素子22から出力端子24b、ピン7b、信号線路5b等を通じて、基板1B側のRF電極3bに伝送される。なお、図2では、基板1AのRF電極3aに対する信号線路5aと、基板1BのRF電極3aに対する信号線路5bを示しているが、他の信号線路は省略している。
【0035】
このように、本例の光送信装置では、ドライバ素子22を光変調器の筐体外部の底面側に配置したので、従来構成と比較してプリント基板21のサイズを小さくすることができる。また、これにより、光変調器及びドライバ素子22の実装面積を抑えた光送信装置を提供することができる。
【0036】
また、本例の光送信装置では、基板1Aと基板1Bの間に配置した中継基板11,12に、ドライバ素子22と制御電極3とを電気的に接続するための中継信号線路を形成したので、従来技術のように信号線路が局所的に集中することを抑制できる。すなわち、一方の光変調領域(M2)に、他方の光変調領域(M1)に対する信号線路の一部を配設させずに済むようになる。また、信号線路の長さは、中継基板11,12上の中継信号線路の配設の仕方により調整できる。このため、信号線路の長さを揃えやすくなり、信号線路の長さのバラツキによる制御信号のスキュー(時間遅延)を抑制できる。
【0037】
また、信号線路の長さの調整は中継基板11,12上の中継信号線路やプリント基板21上の信号線路で行えるので、伝搬損失が大きい基板1A,1B上の信号線路をなるべく短くすることで、信号線路全体での伝搬損失を抑え、また信号線路間でクロストークの発生を抑制することが可能となる。更に、1枚の基板(チップ)に多数の光変調領域を形成するのではなく、本例のようにチップを分離した構造にすることで、1チップに搭載する導波路や電極の微細パターンが少なくなるため、パターの欠陥等によるチップ製造の歩留りを改善する効果も得られる。
【0038】
また、本例の光送信装置では、基板1Aと基板1Bの間の中心線(図中の一点鎖線C)から見て筐体外部の底面側に配置されたドライバ素子22と接続できる位置に、ピン7a,7bを設けている。このため、ドライバ素子22から制御電極3に至る信号線路の長さを効率的に短縮できる。このため、制御信号の伝搬損失の更なる低減を実現することができる。基板1A,1Bの各制御電極3に対する信号線路の配線を最適化するには、図3図4(a)のようにZ方向に見たときドライバ素子22の中心と中心線Cとが合う位置にドライバ素子22が配置されるように構成することが望ましい。
【0039】
ここで、制御信号の伝搬損失の低減を図る上では、上記のようにドライバ素子22の中心と中心線CとがZ方向で合っていることが好ましいが、実用上問題ない範囲であれば、ドライバ素子22が中心線Cから基板1A側または基板1B側にずれた位置に配置する構成にしても構わない。但し、信号線路の長さのバラツキを抑えるという観点から、Z方向に見たとき、プリント基板7の一方の面側にある中継基板11,12とプリント基板7の他方の面側にあるドライバ素子22とが重なる位置に配置されるずらし量とすることが望ましい。
【0040】
図4(a)におけるドライバ素子22では、制御信号の出力端子24a,24bが左右に配置されており、基板1A側の貫通孔23aに延びる出力端子24aと基板1B側の貫通孔23bに延びる出力端子24bとが中心線Cに対して線対称に配置されている。また、図4(b)のようにドライバ素子22の片側にのみ出力端子24a,24bが配置されている場合も同様に、基板1A側の貫通孔23aに延びる出力端子24aと基板1B側の貫通孔23bに延びる出力端子24bとが中心線Cに対して線対称に配置されるようにしてもよい。
ドライバ素子22に関するこれらの配置については、後述の第2実施例においても同様に採用できることはいうまでもない。
なお、筐体外部の底面側にドライバ素子22を配置する構造は、制御信号が20Gbps以上である場合に適用することが好ましい。
【実施例2】
【0041】
図5は、本発明の第2実施例に係る光送信装置を説明する断面図であり、図6は、これをX方向に見た断面図である。
本例の光送信装置における光変調器は、筐体6の内部底面(筐体外部の底面に対向する筐体内部の面)に、2つの基板1A,1BをY方向に並列に配置してある。基板1Aの基板1Bとは反対側の側辺には、基板1Aに対する高周波信号用の中継基板11Aが基板1Aに隣接させて配置される。また、基板1Bの基板1Aとは反対側の側辺には、基板1Bに対する高周波信号用の中継基板11Bが基板1Bに隣接させて配置される。
【0042】
本例の光変調器も第1実施例と同様に、光送信装置を構成する部品の一つとして該光送信装置に内蔵して使用される。具体的には、本例の光変調器は、光送信装置のプリント基板21上に搭載され、その搭載面(上面)とは反対側の面(下面)に配置されたドライバ素子22からの制御信号に基づいて動作する。すなわち、制御信号を出力するドライバ素子2を光変調器の筐体外部の底面側に配置する構造となっている。
なお、低周波信号用の中継基板は図示を省略しているが、高周波信号用の中継基板と同様に、基板1Aの基板1Bとは反対側の側辺、及び、基板1Bの基板1Aとは反対側の側辺の両方に個別に設けてもよく、その一方の側辺だけに共用の中継基板を設けてもよい。
【0043】
このような構成によっても、ドライバ素子22を光変調器の筐体外部の底面側に配置できるので、光変調器及びドライバ素子22の実装面積を抑えた光送信装置を提供することができる。また、第1実施例と同様に、信号線路の局所的な集中の回避、信号線路の長さのバラツキによる制御信号のスキュー(位相ずれ)の抑制、信号線路全体での伝搬損失の改善などの効果も得ることができる。
【0044】
以上、実施例に基づいて本発明を説明したが、本発明は上述した内容に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜設計変更可能であることはいうまでもない。
例えば、上記の説明では、プリント基板21の上側に光変調器を搭載し、下側にドライバ素子22を搭載する例について説明したが、これら全体を逆さにしても構わない。
また、上記の説明では、ドライバ素子22を事後的に接続可能に構成された光変調器について説明したが、ドライバ素子22を光変調器に予め接続しておく構成とすることもできる。この場合には、プリント基板21に、光変調器を配置した際にドライバ素子22が位置することになる領域部分に開口部を設けておけばよい。これにより、光変調器をプリント基板21に配置すると開口部からドライバ素子22が現れるので、開口部にあるドライバ素子22にプリント基板21の他の回路素子を電気的に接続することができる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
以上、説明したように、本発明によれば、光変調器及びドライバ素子の実装面積を抑えた光送信装置を提供することができる。
【符号の説明】
【0046】
1 基板
2 光導波路
3 制御電極
3a RF電極
3b,3c DC電極
4 受光素子
5a,5b 信号線路
6 筐体
7a,7b ピン
11,11A,11B,12 中継基板
13,14 終端基板
21 プリント基板
22 ドライバ素子
23a,23b 貫通孔
24a,24b 出力端子
図1
図2
図3
図4
図5
図6