【目的】出力特性の劣化及び装置規模の増大を招くことなく、製品出荷前のテストを実施することが可能な半導体装置、半導体チップ及びそのテスト方法を提供することを目的とする。
【構成】第1のラインと、信号処理を行って生成した第1の出力信号を第1のラインに送出する信号処理回路と、第1のラインに接続されている第1の短絡用パッドと、第1の出力パッドと、第1の出力パッドに接続されている出力ラインと、オン状態時には第1のラインと出力ラインとを接続し、オフ状態時には第1のラインと出力ラインとの接続を遮断する第1のスイッチと、が形成されている半導体チップと、第1の短絡用パッドと第1の出力パッドとを接続する第1の配線と、を有する。
第1〜第n(nは2以上の整数)のラインと、信号処理を行って生成した第1〜第nの出力信号を前記第1〜第nのラインに夫々送出する信号処理回路と、第1〜第nの出力パッドと、前記第1の出力パッドに接続されている出力ラインと、オン状態時には前記第1のラインと前記出力ラインとを接続し、オフ状態時には前記第1のラインと前記出力ラインとの接続を遮断する第1のスイッチと、前記出力ラインに接続されている共通出力ラインと、夫々の一端が前記2〜第nのラインに個別に接続されており、夫々の他端が前記共通出力ラインに共通に接続されている第2〜第nのスイッチと、前記第1のラインに接続されている第1の短絡用パッドと、が形成されている半導体チップのテスト方法であって、
前記第1〜第nのスイッチを順次択一的にオン状態に設定することにより前記第1の出力パッドから前記第1〜第nの出力信号を時分割にて取得し、テスト終了後は前記第1〜第nのスイッチを全てオフ状態に固定設定することを特徴とするテスト方法。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施例について図面を参照しつつ詳細に説明する。
【実施例1】
【0019】
図1は、製造直後の半導体チップ10に形成されている回路の一例を示す回路図である。
図1に示すように半導体チップ10には、信号処理回路MC、出力バッファB1〜Bn(nは2以上の整数)、テスト回路TC、及び出力パッドOT1〜OTnが形成されている。
【0020】
信号処理回路MCは、半導体チップ10として要求される信号処理(説明せず)を行って生成したデータ信号D1〜Dnを出力バッファB1〜Bnに供給する。
【0021】
出力バッファB1〜Bnは、データ信号D1〜Dnを夫々個別に例えば利得1で増幅することにより生成した出力データ信号DD1〜DDnを、ラインL1〜Lnを介してテスト回路TCに供給する。尚、ラインL1〜LnのうちのL2〜Lnは、半導体チップ10の出力パッドOT2〜OTnに夫々個別に接続されている。
【0022】
テスト回路TCは、バッファB1〜Bnに夫々対応して設けられたスイッチ素子SW1〜SWn、短絡用パッドP1T、出力ラインQL、共通出力ラインTL、及びテスト制御部TCUを有する。
【0023】
テスト回路TC内では、スイッチ素子SW1の一端にラインL1が接続されており、スイッチ素子SW2の一端にラインL2が接続されている。同様にして、スイッチ素子SW(k)(kは3〜nの整数)の一端には、ラインL(k)が接続されている。
【0024】
スイッチ素子SW1の他端は出力ラインQLを介して出力パッドOT1に接続されている。
【0025】
尚、ラインL1には、短絡用の配線を接続する為の短絡用パッドP1Tが形成されている。
【0026】
スイッチ素子SW2〜SWn各々の他端は、共通出力ラインTLに供給に接続されている。共通出力ラインTLの一端は出力ラインQLに接続されている。
【0027】
テスト制御部TCUは、テストモード及び通常モードのうちの一方を表すテスト信号TSTを受け、当該テスト信号TSTに応じて、スイッチ素子SW1〜SWn各々の状態(オン状態又はオフ状態)を個別に指定するスイッチ素子SW1〜SWnを生成する。
【0028】
すなわち、テスト制御部TCUは、テスト信号TSTが通常モードを表す例えば論理レベル0を有する場合には、スイッチ素子SW1〜SWnを全てオフ状態に設定するスイッチ信号S1〜Snを生成する。一方、テスト信号TSTが論理レベル0の状態から、テストモードを表す論理レベル1の状態に遷移すると、テスト制御部TCUは、スイッチ素子SW1〜SWnを順次、択一的にオン状態に設定するスイッチ信号S1〜Snを生成する。
【0029】
テスト制御部TCUは、生成したスイッチ信号S1〜Snを、夫々に対応したスイッチ素子SW1〜SWnの制御端に供給する。
【0030】
スイッチ素子SW1は、オン状態を指定するスイッチ信号S1に応じてオン状態となり、ラインL1と出力ラインQLとを接続する。これにより、出力バッファB1からラインL1を介して供給された出力データ信号DD1が、スイッチ素子SW1及び出力ラインQLを介して出力パッドOT1に供給される。一方、オフ状態を指定するスイッチ信号S1に応じて、スイッチ素子SW1はオフ状態となり、ラインL1と出力ラインQLとの接続を遮断する。
【0031】
スイッチ素子SW2は、オン状態を指定するスイッチ信号S2に応じてオン状態となり、ラインL2と共通出力ラインTLとを接続する。これにより、出力バッファB2からラインL2を介して供給された出力データ信号DD2が、スイッチ素子SW2、共通出力ラインTL及び出力ラインQLを介して出力パッドOT1に供給される。一方、オフ状態を指定するスイッチ信号S2に応じて、スイッチ素子SW2はオフ状態となり、ラインL2と共通出力ラインTLとの接続を遮断する。
【0032】
同様にして、スイッチ素子SW(k)(kは3〜nの整数)は、スイッチ信号S(k)がオン状態を指定している場合にはオン状態となり、ラインL(k)と共通出力ラインTLとを接続する。これにより、出力バッファB(k)からラインL(k)を介して供給された出力データ信号DD(k)が、スイッチ素子SW(k)、共通出力ラインTL及び出力ラインQLを介して出力パッドOT1に供給される。一方、スイッチ信号S(k)がオフ状態を指定する場合には、スイッチ素子SW(k)はオフ状態となり、ラインL(k)と共通出力ラインTLとの接続を遮断する。
【0033】
図2は、半導体チップ10の製品出荷前のテストを実施する為のシステム構成を示すブロック図である。すなわち、かかるテストを実施するにあたり、先ず、
図2に示すように、LSIテスタ20のプローブ針30をテスト対象となる半導体チップ10の出力パッドOT1〜OTnのうちのOT1のみに接触させる。ここで、LSIテスタ20は、テスト信号TSTを半導体チップ10に供給する。
【0034】
図3は、テスト信号TSTに応じて半導体チップ10のテスト回路TCで実施される動作の一例を示すタイムチャートである。
図2において、先ず、LSIテスタ20は、通常モードを表す論理レベル0のテスト信号TSTを半導体チップ10に供給する。尚、製品出荷時には、通常モードを表す論理レベル0のテスト信号TSTが常に半導体チップ10に供給されるように、当該テスト信号TSTのレベルが例えば接地電位に固定される。
【0035】
テスト信号TSTが論理レベル0の状態にある間、テスト制御部TCUは、スイッチ素子SW1〜SWnを全てオフ状態に設定するスイッチ信号S1〜Snをスイッチ素子SW1〜SWnに供給する。よって、この間、スイッチ素子SW1〜SWnが全てオフ状態となるので、出力パッドOT1は出力バッファB1〜Bnのいずれとも接続されない。従って、LSIテスタ20は、プローブ針30からの信号取得が無いと判断する。
【0036】
その後、LSIテスタ20は、テスト信号TSTを論理レベル0の状態から、テストモードを表す論理レベル1の状態に切り替える。テスト制御部TCUは、テスト信号TSTが論理レベル0から論理レベル1へ遷移すると、例えば、
図3に示すように、スイッチ素子SW1、SW2、SW3、・・・、SWnの順に、各スイッチ素子を順次択一的に所定期間Tの間だけオン状態に設定するスイッチ信号S1〜Snをスイッチ素子SW1〜SWnの制御端に供給する。
【0037】
これにより、先ず、スイッチ素子SW1〜SWnのうちのSW1だけがオン状態、他のスイッチ素子が全てオフ状態となるので、出力バッファB1が出力した出力データ信号DD1が、出力ラインQLを介して
図3に示すように出力パッドOT1から出力される。
【0038】
次に、スイッチ素子SW1〜SWnのうちのSW2だけがオン状態、他のスイッチ素子が全てオフ状態に切り替わるので、出力バッファB2が出力した出力データ信号DD2が、共通出力ラインTL及び出力ラインQLを介して、
図3に示すように出力パッドOT1に供給される。
【0039】
次に、スイッチ素子SW1〜SWnのうちのSW3だけがオン状態、他のスイッチ素子が全てオフ状態に切り替わるので、出力バッファB3が出力した出力データ信号DD3が共通出力ラインTL及び出力ラインQLを介して、
図3に示すように出力パッドOT1から出力される。
【0040】
以下同様にして、出力バッファB4〜Bnの各々が出力した出力データ信号DD4〜DDnが順次、共通出力ラインTL及び出力ラインQLを介して出力パッドOT1から出力される。
【0041】
よって、
図2に示すようにプローブ針30を出力パッドOT1〜OTnのうちのOT1に接触させておけば、LSIテスタ20は、当該プローブ針30を介して、出力バッファB1〜Bn各々の出力状態を時分割にて取得することが可能となる。
【0042】
そして、上記したテストが終了し、良品であると判定された半導体チップ10に対しては、
図4に示すように、短絡用パッドP1Tと出力パッドOT1とを、銅や金又はこれらを含む合金等の金属配線LDにて接続する配線処理を施す。これにより、半導体装置100では、スイッチ素子SW1の両端が金属配線LDによって短絡される。よって、かかる配線処理後、出力バッファB1から出力された出力データ信号DD1は、スイッチ素子SW1を通ることなく、金属配線LDを介して直接、出力パッドOT1に供給されるようになる。
【0043】
以上のように、半導体チップ10では、テスト時には、既存の出力パッド(OT1〜OTn)のうちの1の出力パッド(OT1)から、複数の出力信号(DD1〜DDn)を時分割にて取得できるようにしている。よって、半導体チップ10によれば、複数の出力信号(DD1〜DDn)を時分割にて出力させる為の専用のテストパッド、つまり、プローブ針を接触させることが出来る程度の表面積を有するテストパッドを設けた構成に比して、装置規模を縮小化することが可能となる。
【0044】
また、製品出荷後の半導体チップ10では、出力バッファ(B1)から出力された出力データ信号(DD1)は、テスト用に設けたスイッチ素子(SW1)を介さずに、金属配線(LD)を介して直接、出力パッド(OT1)に供給されるようになる。よって、出力特性の劣化を抑えることが可能となる。
【実施例2】
【0045】
図5は、製造直後の半導体チップ10に形成されている、第2の実施例としての回路を示す回路図である。尚、
図5に示す構成では、
図1に示すテスト制御部TCUに代えてテスト制御部TCUaを採用すると共に、共通出力スイッチとしてスイッチ素子SWxを新たに設け、更に接地スイッチとしてスイッチ素子SWyを新たに設けた点を除く他の構成は
図1に示されるものと同様である。
【0046】
スイッチ素子SWxは、スイッチ信号Sxに応じてオン状態又はオフ状態に設定される。スイッチ素子SWxは、オン状態に設定された場合には、出力ラインQLと共通出力ラインTLとを接続する。一方、オフ状態に設定された場合には、スイッチ素子SWxは、出力ラインQLと共通出力ラインTLとの接続を遮断する。尚、スイッチ素子SWxは、出力ラインQLの近傍位置に形成されるのが好ましい。
【0047】
スイッチ素子SWyは、スイッチ信号Syに応じてオン状態又はオフ状態に設定される。この際、スイッチ素子SWyは、オン状態に設定された場合には、共通出力ラインTLに接地電位GNDを印加する。一方、オフ状態に設定された場合には、スイッチ素子SWyは、共通出力ラインTLへの接地電位GNDの印加を停止する。
【0048】
ここで、半導体チップ10のテスト回路TCとして
図5に示す構成を採用した場合にも、
図1に示す構成を採用した場合と同様に、
図2に示すシステム構成でテストを行う。この際、半導体チップ10として
図5に示す構成を採用した場合に為されるテスト動作は、
図1に示す構成を採用した場合と同様である。つまり、テスト制御部TCUaは、
図1に示すテスト制御部TCUと同様に、テスト信号TSTが論理レベル0から論理レベル1に遷移すると、スイッチ素子SW1〜SWnを
図6に示すように順次、択一的にオン状態に設定するスイッチ信号S1〜Snをスイッチ素子SW1〜SWnの制御端に供給する。これにより、
図6に示すように、出力バッファB1〜Bnの各々が出力した出力データ信号DD1〜DDnが順次、共通出力ラインTL及び出力ラインQLを介して出力パッドOT1から出力される。
【0049】
ただし、テスト制御部TCUaでは、
図6に示すように、テスト信号TSTが論理レベル0を表している間、つまり通常モード時には、スイッチ素子SWxをオフ状態に設定するスイッチ信号Sxをスイッチ素子SWxの制御端に供給する。これにより、スイッチ素子SWxはオフ状態に設定され、共通出力ラインTLと出力ラインQLとの接続を遮断する。よって、出力パッドOT1〜OTnに夫々接続されている出力ラインQL及びラインL2〜Lnのうちで、出力ラインQLのみに接続されていた共通出力ラインTLが当該出力ラインQLから電気的に切り離される。つまり、通常モード時には、共通出力ラインTLの配線容量分が出力ラインQLから排除され、出力パッドOT1〜OTnの各々に対応した出力経路(L1〜Ln、QL)毎の配線容量が均一となる。これにより、出力パッドOT1〜OTn各々から出力される信号の出力特性の均一化を図ることが可能となる。
【0050】
更に、テスト信号TSTが論理レベル0を表す通常モード時には、テスト制御部TCUaは、
図6に示すように、スイッチ素子SWyをオン状態に設定するスイッチ信号Syを、スイッチ素子SWyの制御端に供給する。これにより、スイッチ素子SWyはオン状態に設定され、接地電位GNDを共通出力ラインTLに印加する。すなわち、通常モード時には、不要となる共通出力ラインTLを接地電位GNDに固定しておくことにより、共通出力ラインTLによって生じるノイズの低減を図るのである。
【0051】
そして、テスト終了後、良品であると判定された半導体チップ10に対しては、
図1に示す構成を有する半導体チップ10と同様に、短絡用パッドP1Tと出力パッドOT1とを金属配線LDにて
図4に示すように接続する配線処理を施す。
【0052】
よって、製品出荷後の半導体チップ10では、出力バッファB1から出力された出力データ信号DD1が、テスト用に設けたスイッチ素子SW1を介さずに、金属配線LDを介して直接、出力パッドOT1に供給されるようになるので、出力特性の劣化を抑えることが可能となる。
【実施例3】
【0053】
図7は、製造直後の半導体チップ10に形成されている、第3の実施例としての回路を示す回路図である。尚、
図7に示す構成では、短絡用の配線を接続する為の短絡用パッドP2T〜PnTを夫々ラインL2〜Lnに形成した点を除く他の構成は
図1に示すものと同一である。この際、出力バッファB(t)(tは2〜nの整数)の出力端から短絡用パッドP(t)TまでのラインL(t)による配線長が、出力バッファB1の出力端から短絡用パッドP1TまでのラインL1による配線長と、等しくなるような位置に短絡用パッドP2T〜PnTが夫々形成されているのが好ましい。
【0054】
ここで、テスト回路TCとして
図7に示す構成を採用した場合にも、
図1に示す構成を採用した場合と同様に、
図2に示すシステム構成で半導体チップ10のテストを行う。この際、半導体チップ10として
図7に示す構成を採用した場合に為されるテスト動作は、
図1に示す構成を採用した場合と同様である。
【0055】
そして、当該テストの終了後、良品であると判定された半導体チップ10に対しては、
図8に示すように、短絡用パッドP1Tと出力パッドOT1とを金属配線LDにて接続し、更に、短絡用パッドP(t)(tは2〜nの整数)と出力パッドOT(t)とを金属配線LDにて接続する配線処理を施す。これにより、出力バッファB(t)から出力パッドOT(t)までの出力経路中にも、出力バッファB1から出力パッドOT1までの出力経路と同様に金属配線LDが介在することになる。
【0056】
よって、
図8に示す構成によれば、各出力経路の配線材料(ラインL、金属配線LD)を同一にしたので、出力パッドOT1〜OTn各々から出力される信号の信号強度を均一にすることが可能となる。
【実施例4】
【0057】
図9は、製造直後の半導体チップ10に形成されている、第4の実施例としての回路を示す回路図である。尚、
図9に示す構成は、テスト制御部TCUaに代えてテスト制御部TCUbを採用し、新たに抵抗R0、及び出力スイッチとしてのスイッチ素子SWpを追加した点を除く他の構成は、
図5に示されるものと同一である。
【0058】
図9に示す構成は、出力パッドOT1〜OTn各々の近傍に形成されているESD(Electro Static Discharge)保護回路ES1〜ESn(
図1、
図4、
図5、
図7、
図8では記載を省略)を考慮して為されたものである。
【0059】
ESD保護回路ES1〜ESnは同一の回路構成からなり、夫々が出力抵抗RZ0、ダイオードD1及びD2からなる。例えば、ESD保護回路ES1では、ダイオードD1のアノード端及びダイオードD2のカソード端が出力パッドOT1に接続されている。ダイオードD1のカソード端は電源ラインDLに接続されており、ダイオードD2のアノード端は接地ラインGLに接続されている。更に、ESD保護回路ES1では、出力抵抗RZ0の一端が出力パッドOT1に接続されており、その他端が出力ラインQLに接続されている。尚、ESD保護回路ES1〜ESnの各々に設けられている出力抵抗RZ0は、静電放電に伴い出力パッド(OT1〜OTn)を介して出力バッファ(B1〜Bn)に流れ込む電流量を低下させるという役目を担う。更に、出力抵抗RZ0は、出力パッド(OT1〜OTn)に接続される外部機器とのインピーダンスの整合を図る役目も兼ねている。
【0060】
ところで、半導体チップ10の製造後に、短絡用パッドPIT及び出力パッドOT1間を金属配線LDで短絡すると出力抵抗RZ0には電流が流れなくなり、この出力抵抗RZ0による上記した効果が発揮されなくなる。
【0061】
そこで、
図9に示すテスト回路TCでは、出力抵抗RZ0と同一の抵抗値を有する抵抗R0を設けている。抵抗R0の一端はラインL1に接続されておりその他端に短絡用パッドP1Tが接続されている。更に、
図9に示すテスト回路TCでは、スイッチ素子SW1の他端とスイッチ素子SWxの一端が互いに接続されているノードと、出力ラインQLとの間にスイッチ素子SWpを設けている。スイッチ素子SWpは、スイッチ信号Spに応じてオン状態又はオフ状態に設定される。スイッチ素子SWpは、オン状態に設定された場合には、かかるノードと、出力ラインQLとを電気的に接続する一方、オフ状態に設定された場合には、その接続を遮断する。
【0062】
ここで、半導体チップ10のテスト回路TCとして
図9に示す構成を採用した場合にも、
図5に示す構成を採用した場合と同様に、
図2に示す形態でテストを行う。この際、
図9に示す構成を採用した場合に為されるテスト動作は、
図5に示す構成を採用した場合と同様である。つまり、テスト制御部TCUbは、テスト制御部TCUaと同様に、テスト信号TSTが論理レベル0から論理レベル1に遷移すると、スイッチ素子SW1〜SWnを
図10に示すように順次、択一的にオン状態に設定するスイッチ信号S1〜Snをスイッチ素子SW1〜SWnの制御端に供給する。
【0063】
また、テスト信号TSTが論理レベル1を表している間、テスト制御部TCUbは、
図10に示すようにスイッチ素子SWx及びSWpを共にオン状態に設定させるスイッチ信号Sx及びSpを、スイッチ素子SWx及びSWp各々の制御端に供給する。更に、テスト信号TSTが論理レベル1を表している間、テスト制御部TCUbは、
図10に示すようにスイッチ素子SWyをオフ状態に設定させるスイッチ信号Syをスイッチ素子SWyの制御端に供給する。
【0064】
これにより、テスト信号TSTが論理レベル1を表している間に亘り、
図10に示すように、出力バッファB1〜Bnの各々が出力した出力データ信号DD1〜DDnが、共通出力ラインTL、スイッチ素子SWx、スイッチ素子SWp及び出力ラインQLを介して出力パッドOT1から出力される。
【0065】
一方、テスト信号TSTが論理レベル0を表している間、つまり通常モード時には、テスト制御部TCUbは、
図10に示すように、スイッチ素子SWx及びSWpを共にオフ状態に設定することを示すスイッチ信号Sx及びSpを、スイッチ素子SWx及びSWpの制御端に供給する。更に、テスト制御部TCUbは、スイッチ素子SWyをオン状態に設定することを示すスイッチ信号Syを、スイッチ素子SWyの制御端に供給する。
【0066】
これにより、スイッチ素子SWxによって共通出力ラインTLと出力ラインQLとの接続が遮断される。よって、出力パッドOT1〜OTnに夫々接続されている出力ラインQL及びラインL2〜Lnのうちで、出力ラインQLのみに接続されていた共通出力ラインTLが、当該出力ラインQLから電気的に切り離される。つまり、通常モード時には、共通出力ラインTLの配線容量分が出力ラインQLから排除されるので、出力パッドOT1〜OTnの各々に対応した出力経路(L1〜Ln、QL)毎の配線容量が均一となる。これにより、出力パッドOT1〜OTn各々から出力される信号の出力特性の均一化を図ることが可能となる。
【0067】
更に、テスト信号TSTが論理レベル0を表す通常モード時には、不要となる共通出力ラインTLが接地電位GNDに固定されるので、ノイズ低減が図られるようになる。
【0068】
そして、テスト終了後、良品であると判定された半導体チップ10に対して、
図11に示すように、短絡用パッドP1Tと出力パッドOT1とを金属配線LDにて接続する配線処理を施す。
【0069】
よって、当該配線処理が施された半導体チップ10では、出力バッファB1から出力された出力データ信号DD1は、ラインL1、抵抗R0、及び金属配線LDを介して出力パッドOT1に供給される。よって、当該配線処理が施された半導体チップ10では、ESD保護回路ES1に設けられている出力抵抗RZ0に代えて抵抗R0が、出力パッドOT1を介して流れ込んでしまう、静電放電に伴う電流の抑制、並びに外部機器とのインピーダンス整合を為す抵抗となる。尚、抵抗R0として、その抵抗値を変更可能な構成を採用しておけば、テスト時において抵抗R0の抵抗値を調整することにより、レイアウトに起因する負荷バラツキを抑えるように調整することが可能となる。また、テスト時において抵抗R0の抵抗値を、そのテスト動作に最適な値に調整することができるので、デバッグの容易化、及びテスト時間の短縮を図ることが可能となる。
【0070】
尚、上記した
図1、
図4、
図5、
図9及び
図11に示す回路図では、短絡用パッドP1Tと、出力パッドOT1とがスイッチ素子SW1を挟んで互いに離間した位置に記載されている。また、
図7及び
図8に示す回路図では、短絡用パッドP1T〜PnTと、夫々に対応した出力パッドOT1〜OTnとがスイッチ素子SW1〜SWnを挟んで互いに離間した位置に記載されている。
【0071】
しかしながら、実際の半導体チップ10のレイアウト上では、短絡用パッドP1Tと出力パッドOT1、並びに短絡用パッドP1T〜PnT及び出力パッドOT1〜OTnのうちで互いに接続関係にあるもの同士は、同一のバンプ搭載領域に形成されている。
【0072】
例えば、
図1、
図4、
図5、
図9及び
図11に示す構成の半導体チップ10では、
図12に示すように、同一の大きさを有するパッド領域PAA2〜PAAnの各々に、出力パッドOT2〜OTnの各々が形成されている。ただし、パッド領域PAA1には、短絡用パッドP1Tと、出力パッドOT1とが形成されている。つまり、1つの出力パッドが2つに分割され、その一方が短絡用パッドP1T、他方が出力パッドOT1として同一のパッド領域PAA1内に形成されているのである。この際、半導体チップ10の出荷時には、
図12に示すように、短絡用パッドP1Tと出力パッドOT1とが金属配線LDにて接続される。
【0073】
また、例えば
図7及び
図8に示す構成の半導体チップ10では、
図13に示すように、パッド領域PAA1〜PAAnの各々内において、互いに接続関係にある一対の出力パッド及び短絡用パッドが形成されている。この際、半導体チップ10の出荷時には、
図13に示すように、パッド領域PAA1〜PAAnの各々内において、短絡用パッドと出力パッドとが金属配線LDにて接続される。
【0074】
以上のように、
図1、
図5又は
図7に示す半導体チップ10では、以下のような第1のライン、信号処理回路、第1の出力パッド、出力ライン、第1のスイッチ及び第1の短絡用パッドを有し、第1の出力パッド及び第1の短絡用パッドを同一のバンプ領域(PAA1)内に形成している。尚、信号処理回路(MC)は、信号処理を行って生成した第1の出力信号(DD1)を第1のライン(L1)に送出する。第1のラインには第1の短絡用パッド(P1T)が接続されており、第1の出力パッド(OT1)には出力ライン(QL)が接続されている。第1のスイッチ(SW1)は、オン状態時には第1のラインと出力ラインとを接続し、オフ状態時には第1のラインと出力ラインとの接続を遮断する。
【0075】
また、
図9に示す半導体チップ10では、上記した第1のライン、信号処理回路、短絡用パッド、第1のスイッチ、第1の出力パッド及び出力ラインの他に、第1の出力抵抗、出力スイッチ及び第1の抵抗を含み、第1の出力パッド及び短絡用パッドを同一のバンプ領域(PAA1)内に形成している。信号処理回路(MC)は、信号処理を行って生成した第1の出力信号(DD1)を第1のライン(L1)に送出する。第1のラインには第1の抵抗(R0)の一端が接続されており、この第1の抵抗の他端には短絡用パッド(P1T)が接続されている。また、第1のラインには第1のスイッチ(SW1)の一端が接続されている。第1の出力パッド(OT1)には第1の出力抵抗(RZ0)の一端が接続されており、当該第1の出力抵抗の他端には出力ライン(QL)が接続されている。更に、この出力ラインには、出力スイッチ(SWp)の一端が接続されており、当該出力スイッチの他端には第1のスイッチの他端が接続されている。
【0076】
そして、半導体チップ10の製造後に、当該半導体チップ10に形成されている短絡用パッドと出力パッドとを金属配線LDによって接続することにより、出荷用の半導体装置を製造するのである。
【0077】
ここで、半導体チップ10が、例えばフィルム状回路基板に実装される、いわゆるCOF(Chip On Film)実装の形態で出荷される場合には、このフィルム状回路基板に形成される配線を金属配線LDとして、短絡用パッドと出力パッドとの接続を行うようにしても良い。例えば、
図14に示すように、半導体チップ10をフィルム状回路基板40に実装した半導体装置100では、半導体チップ10の出力パッドOT1〜OTnの各々には、フィルム状回路基板40の表面に形成されている配線40aの一端が夫々個別に接続されており、各配線40aの他端がフィルム状回路基板40の端部に配置されている。ここで、出力パッドOT1に接続されている配線40aの一端は、出力パッドOT1のみならず短絡用パッドP1Tにも接続されている。
【0078】
また、短絡用パッドP1Tと出力パッドOT1とを接続するにあたり、半導体チップ10製造後のワイヤボンディング処理により、短絡用パッドP1Tと出力パッドOT1とを、ボンディングワイヤとしての金属配線LDで接続するようにしても良い。
【0079】
図15は、上記したワイヤボンディング処理によって製造された半導体装置100における、
図12に示すW−W線での断面を示す断面図である。
図15に示す半導体装置100では、ワイヤボンディング処理により、半導体チップ10の短絡用パッドP1Tと出力パッドOT1とが、ボンディングワイヤとしての金属配線LDで接続されており、出力パッドOT1とインナーリードLFとが、ボンディングワイヤとしての金属配線LLDで接続されている。更に、
図15に示す半導体装置100では、インナーリードLFの一部、つまり金属配線LLDが接続されている接続部を含む端部領域と、半導体チップ10と、金属配線LD及びLLDとが、例えばエポキシ樹脂等からなるモールド樹脂50で封止されている。
【0080】
また、例えば半導体チップ10のパッケージとしてWLCSP(Wafer Level Chip Size Package)を採用する場合には、WLCSPを製造する上で実施される再配線工程において、短絡用パッドと出力パッドとの接続を行うようにしても良い。
【0081】
図16は、半導体チップ10をWLCSPでパッケージ化して製造された半導体装置100における、
図12に示すW−W線での断面を示す断面図である。
【0082】
すなわち、WLCSPでは、テスト終了後の半導体チップ10の各パッド(P1T〜PnT、OT1〜OTn等)を除く表面にパッシベーション層60が形成される。そして、例えばアルミニウム等からなる再配線層70が、パッシベーション層60の表面の一部と、短絡用パッドP1T及び出力パッドOT1各々の表面とを覆うように形成される。かかる再配線層70が金属配線LSとして、短絡用パッドP1Tと出力パッドOT1とを電気的に接続する。再配線層70の表面には、出力パッドOT1に供給された出力データ信号DD1をパッケージ外部に導出する半球状のはんだバンプ80が形成されている。更に、バンプ80の一部の表面領域を除き、パッシベーション層60及び再配線層70各々の表面がモールド樹脂90で封止されている。
【0083】
要するに、
図4及び
図8に示される半導体装置100は、以下のような構成を有する半導体チップ(10)と、第1の配線(LD)と、を有するものである。つまり、半導体チップは、第1のライン、信号処理回路、第1の出力パッド、出力ライン、第1のスイッチ及び第1の短絡用パッドを有する。信号処理回路(MC)は、信号処理を行って生成した第1の出力信号(DD1)を第1のライン(L1)に送出する。また、第1の出力パッド(OT1)には出力ライン(QL)が接続されており、第1のスイッチ(SW1)は、オン状態時には第1のラインと出力ラインとを接続し、オフ状態時には第1のラインと出力ラインとの接続を遮断する。第1のラインには、第1の短絡用パッド(P1T)が接続されている。更に、
図4及び
図8に示される半導体装置には、半導体チップに形成されている上記第1の短絡用パッド(P1T)と第1の出力パッド(OT1)とを接続する第1の配線(LD)が設けられている。
【0084】
また、
図11に示される半導体装置100は、上記した第1のライン、信号処理回路、短絡用パッド、第1のスイッチ、第1の出力パッド及び出力ラインの他に、第1の出力抵抗、出力スイッチ及び第1の抵抗を含む半導体チップ(10)と、第1の配線(LD)と、を有する。つまり、信号処理回路(MC)は、信号処理を行って生成した第1の出力信号(DD1)を第1のライン(L1)に送出する。第1のラインには第1の抵抗(R0)の一端が接続されており、この第1の抵抗の他端には短絡用パッド(P1T)が接続されている。また、第1のラインには第1のスイッチ(SW1)の一端が接続されている。第1の出力パッド(OT1)には第1の出力抵抗(RZ0)の一端が接続されており、当該第1の出力抵抗の他端には出力ライン(QL)が接続されている。更に、この出力ラインには、出力スイッチ(SWp)の一端が接続されており、当該出力スイッチの他端には第1のスイッチの他端が接続されている。更に、
図11に示される半導体装置には、半導体チップに形成されている上記した短絡用パッド(P1T)と第1の出力パッド(OT1)とを接続する第1の配線(LD)が設けられている。