(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-199862(P2017-199862A)
(43)【公開日】2017年11月2日
(54)【発明の名称】半導体装置の製造方法、及び半導体装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/822 20060101AFI20171006BHJP
H01L 27/04 20060101ALI20171006BHJP
H01L 23/532 20060101ALI20171006BHJP
H01L 21/768 20060101ALI20171006BHJP
H01L 21/3213 20060101ALI20171006BHJP
【FI】
H01L27/04 C
H01L21/90 K
H01L21/88 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-91026(P2016-91026)
(22)【出願日】2016年4月28日
(71)【出願人】
【識別番号】308033711
【氏名又は名称】ラピスセミコンダクタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100099025
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】鳴澤 拓郎
【テーマコード(参考)】
5F033
5F038
【Fターム(参考)】
5F033HH08
5F033HH18
5F033HH33
5F033JJ19
5F033KK08
5F033KK18
5F033KK33
5F033MM08
5F033MM13
5F033PP15
5F033QQ02
5F033QQ08
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5F033QQ37
5F033RR04
5F033RR06
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5F033TT08
5F033VV10
5F033XX00
5F038AC05
5F038AC15
5F038AC17
5F038EZ15
5F038EZ20
(57)【要約】
【課題】静電容量値の低下及びばらつきが抑制されると共に、耐圧の低下が抑制された半導体装置の製造方法及び半導体装置を提供すること。
【解決手段】基板100上に第1の配線領域102B、及び第2の配線領域102Aを含む配線層を形成する工程と、第1の配線領域102Bに接続される第1のビアコンタクト104B、及び第2の配線領域102Aに接続される第2のビアコンタクト104Aを含むビアコンタクト対を形成する工程と、少なくとも第1のビアコンタクト104Bに接続される第1の下層電極105Bを形成する下層電極形成工程と、第1の下層電極105Bの側面及び上面の少なくとも一方の面に第1の絶縁膜106を形成する工程と、第1の絶縁膜106を覆うと共に第2のビアコンタクト104Aに接続される上層電極107を形成する工程と、を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に第1の配線領域、及び第2の配線領域を含む配線層を形成する工程と、
前記第1の配線領域に接続される第1のビアコンタクト、及び前記第2の配線領域に接続される第2のビアコンタクトを含むビアコンタクト対を形成する工程と、
少なくとも前記第1のビアコンタクトに接続される第1の下層電極を形成する下層電極形成工程と、
前記第1の下層電極の側面及び上面の少なくとも一方の面に第1の絶縁膜を形成する工程と、
前記第1の絶縁膜を覆うと共に前記第2のビアコンタクトに接続される上層電極を形成する工程と、
を含む半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記下層電極形成工程は、前記第2のビアコンタクトに接続される第2の下層電極を形成する工程を含み、
前記第2のビアコンタクトに接続される上層電極を形成する工程は、前記第2の下層電極を介して前記第2のビアコンタクトに接続される上層電極を形成する工程である
請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記配線層を形成する工程は、前記配線層を覆って第2の絶縁膜を形成する工程を含み、
前記ビアコンタクト対を形成する工程は、前記第2の絶縁膜上に第3の絶縁膜を形成した後、前記ビアコンタクト対を前記第3の絶縁膜中に形成する工程を含み、
前記第1の下層電極を形成する工程は、全面に下層電極膜を形成した後、前記下層電極膜をパターニングして前記第1の下層電極を形成する工程を含み、
前記第1の絶縁膜を形成する工程は、全面に第1の絶縁体を形成した後、前記第1の絶縁体をパターニングして、前記第1の絶縁膜を形成する工程を含み、
前記上層電極を形成する工程は、全面に上層電極膜を形成した後、前記上層電極膜をパターンニングして、前記上層電極を形成する工程を含む
請求項1又は請求項2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記配線層の上部及び下部の少なくとも一方に、1つ又は複数の配線層を形成する工程をさらに含む
請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
基板上に前記第1の配線領域、及び前記第2の配線領域に接続される回路素子を形成する工程をさらに含む
請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記第1の下層電極は、アルミニウム膜及び窒化チタン膜の少なくとも一方を用いて形成し、
前記ビアコンタクト対は、タングステンで形成する
請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
基板上に設けられた第1の配線領域、及び第2の配線領域を含む配線層と、
前記第1の配線領域に接続された第1のビアコンタクト、及び前記第2の配線領域に接続された第2のビアコンタクトを含むビアコンタクト対と、
少なくとも前記第1のビアコンタクトに接続された第1の下層電極と、
前記第1の下層電極の側面及び上面の少なくとも一方の面に形成された絶縁膜と、
前記絶縁膜を覆うと共に前記第2のビアコンタクトに接続された上層電極と、
を含む半導体装置。
【請求項8】
前記第2のビアコンタクトに接続された第2の下層電極をさらに含み、
前記上層電極は、前記第2の下層電極を介して前記第2のビアコンタクトに接続された 請求項7に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法、及び半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置におけるキャパシタ素子としてMIM(Metal Insulator Metal)キャパシタが知られている。従来技術に係るMIMキャパシタとして、例えば、特許文献1に開示されたものが知られている。
図7に、特許文献1に開示されたMIMキャパシタCを含む半導体装置90の構成を、
図8に、半導体装置90の製造工程を概略的に示す。
【0003】
図7に示すように、MIMキャパシタCは、絶縁膜303を誘電体(キャパシタ膜)とし、絶縁膜303の上下に配置された下層電極302と上層電極304とを、MIMキャパシタCの電極対として形成されている。
【0004】
MIMキャパシタCの形成に際しては、
図8(a)に示すように、半導体基板300上に、SiO
2膜(シリコン酸化膜)により絶縁膜301を形成した後、下層電極302を形成する。下層電極302は下層から上層に向けてTi/Al/TiN/Tiの積層構造とされており、Ti(チタン)膜、Al(アルミニウム)膜、TiN(窒化チタン)膜、及びTi膜の各膜を、スパッタ法等を用いて形成する。
図8(a)では、簡略化して、Ti膜を符号302aで、Al膜を符号302bで、TiN/Ti膜を符号302cで表わしている。
【0005】
次に、下層電極302上に、SiON膜(シリコンオキシナイトライド膜)をCVD(Chemical Vapor Deposition)法等を用いて成膜し、絶縁膜303を形成する。絶縁膜303は、MIMキャパシタCにおけるキャパシタ膜を構成し、絶縁膜303の膜厚は、MIMキャパシタCの静電容量等に応じて設定する。次に、
図8(b)に示すように、絶縁膜303上に、上層電極304としてのTiN膜を、スパッタ法を用いて形成する。
【0006】
次に、
図8(c)に示すように、リソグラフィー及びエッチングを用いて、上層電極304のパターニングを行う。このパターニングにおいては、上層電極304のうちの、MIMキャパシタCを形成したい領域(MIMキャパシタ形成領域330)以外の部分を除去するが、絶縁膜303は残留させるので、下層電極302はエッチングされない。
【0007】
ここで、絶縁膜303を残留させず下層電極302を露出させると、上記エッチングの際に発生する反応生成物が、MIMキャパシタ形成領域330の側壁部分に付着して耐圧不良等の原因となる。そのため、絶縁膜303は残留させるのが好ましい。
【0008】
次に、表面全面に、以下で述べる下層電極302を加工する際のリソグラフィー工程における反射防止膜の一部となる絶縁膜305を成膜する。本従来技術では、絶縁膜305としてSiON膜、すなわち絶縁膜303と同じ膜種を用いている。したがって、MIMキャパシタ形成領域330以外の領域では、絶縁膜が、絶縁膜303及び絶縁膜305の積層構造となる。
【0009】
次に、
図8(d)に示すように、リソグラフィー及びエッチングを用いて、下層電極302をパターニングする。上記の絶縁膜305としてのSiON膜と絶縁膜303としてのSiON膜とからなる積層構造が、本リソグラフィーの露光工程における反射防止膜として作用する。
【0010】
次に、SiO
2膜による絶縁膜306を形成し、その後ビア322、ビア322内を埋めるプラグ307、及びプラグ307に電気的に接続された上層配線308を形成する。
プラグ307は、例えばW(タングステン)で形成する。以上の製造工程により、キャパシタ膜である絶縁膜303(SiON膜)を、2つの電極である下層電極302及び上層電極304で挟んだ構造のMIMキャパシタCを含む、半導体装置90が製造される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2013−191764号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、上記特許文献1に開示された半導体装置の製造方法では、上層電極304、ビア322、上層配線308をエッチングして加工する際のプラズマ誘起ダメージ(Plasma Induced Damage:PID)が絶縁膜303にかかる場合がある。PIDとは、プラズマによってフォトレジスト等の絶縁膜内にホットキャリアが蓄積され、半導体層に損傷が発生する現象であり、このPIDの影響を受けるとMIMキャパシタCの容量のばらつきが大きくなる。
【0013】
また、上記特許文献1に開示された半導体装置の製造工程では、キャパシタ膜である絶縁膜303と反射防止膜である絶縁膜305とは、どちらもSiON膜で形成されている。
【0014】
SiON膜は比誘電率が比較的小さいので、キャパシタ膜(絶縁膜303)として用いた場合、MIMキャパシタCの静電容量を大きくするためには膜厚を薄くする必要がある。しかしながら、絶縁膜303を薄くすると耐圧不良の問題が発生しやすくなる。
【0015】
一方、SiON膜を反射防止膜(絶縁膜305)として用いた場合、SiON膜は反射率が膜厚に強く依存するので、膜厚を所定の値に管理する必要がある。さらに、上述したように、MIMキャパシタ形成領域330以外の領域では、反射防止膜が絶縁膜305と絶縁膜303との積層構造となるので、静電容量と反射率の双方を勘案する必要が生じ、膜厚の管理は更に困難となる。
【0016】
以上のように、キャパシタ膜及び反射防止膜としてSiON膜を用いた従来技術では、MIMキャパシタCの静電容量と耐圧とがトレードオフとなるので、両方の機能を満たすことが困難となり、また、両絶縁膜の膜厚の管理も困難となる。
【0017】
他方、MIMキャパシタCの静電容量を増加させる観点から、SiON膜よりも比誘電率の高いSiN膜(シリコン窒化膜)をキャパシタ膜として使用すると、MIMキャパシタCの静電容量と耐圧とを両立させることがより容易となる。
【0018】
しかしながら、この場合には、SiN膜が露光工程で用いる光を透過するので、反射防止膜としてのSiON膜を別途SiN膜上に形成する必要が生ずる。そのため、反射防止膜がSiN膜とその上に積層されたSiON膜の2層構造となり、パターニングする膜が増えると共に反射防止膜としての機能が落ちるため、下層電極302のパターニングが困難になってしまう。
【0019】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、静電容量値の低下及びばらつきが抑制されると共に、耐圧の低下が抑制された半導体装置の製造方法及び半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明に係る半導体装置の製造方法は、基板上に第1の配線領域、及び第2の配線領域を含む配線層を形成する工程と、前記第1の配線領域に接続される第1のビアコンタクト、及び前記第2の配線領域に接続される第2のビアコンタクトを含むビアコンタクト対を形成する工程と、少なくとも前記第1のビアコンタクトに接続される第1の下層電極を形成する下層電極形成工程と、前記第1の下層電極の側面及び上面の少なくとも一方の面に第1の絶縁膜を形成する工程と、前記第1の絶縁膜を覆うと共に前記第2のビアコンタクトに接続される上層電極を形成する工程と、を含むものである。
【0021】
一方、本発明に係る半導体装置は、基板上に設けられた第1の配線領域、及び第2の配線領域を含む配線層と、前記第1の配線領域に接続された第1のビアコンタクト、及び前記第2の配線領域に接続された第2のビアコンタクトを含むビアコンタクト対と、少なくとも前記第1のビアコンタクトに接続された第1の下層電極と、前記第1の下層電極の側面及び上面の少なくとも一方の面に形成された絶縁膜と、前記絶縁膜を覆うと共に前記第2のビアコンタクトに接続された上層電極と、を含むものである。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、静電容量値の低下及びばらつきが抑制されると共に、耐圧の低下が抑制された半導体装置の製造方法及び半導体装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】第1の実施の形態に係る半導体装置の概略構成の一例を示す縦断面図である。
【
図2】第1の実施の形態に係る半導体装置の製造工程の一例を示す縦断面図の一部である。
【
図3】第1の実施の形態に係る半導体装置の製造工程の一例を示す縦断面図の一部である。
【
図4】第2の実施の形態に係る半導体装置の概略構成の一例を示す縦断面図である。
【
図5】第2の実施の形態に係る半導体装置の製造工程の一例を示す縦断面図の一部である。
【
図6】第2の実施の形態に係る半導体装置の製造工程の一例を示す縦断面図の一部である。
【
図7】従来技術に係る半導体装置の構成を示す縦断面図である。
【
図8】従来技術に係る半導体装置の製造工程を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照し、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。
【0025】
[第1の実施の形態]
図1ないし
図3を参照して、本実施の形態に係る半導体装置の製造方法及び半導体装置について説明する。
【0026】
図1は、本実施の形態に係るMIMキャパシタC1を含む半導体装置10の概略構成を示しており、
図2及び
図3は、本実施の形態に係る半導体装置10の製造方法における主要な工程を概略的に示している。なお、本実施の形態に係る半導体装置10では、MIMキャパシタと共にトランジスタ等の能動素子、抵抗等の受動素子等の他の素子も形成される場合があるが、以下の図では、他の素子の図示を省略しMIMキャパシタの周辺部のみを図示している。また、本実施の形態においてある層が「他の層上」あるいは「基板上」に形成されるとは、ある層が他の層上、又は基板上に直接形成される場合に限らず、第3の層を介して形成される場合を含む。
【0027】
図1に示すように、半導体装置10は、基板100、絶縁膜101、配線102A、102B(以下、総称する場合は「配線102」)、絶縁膜103、ビアコンタクト104A、104B(ビアとプラグの構造体。以下、総称する場合は「ビアコンタクト104」)、下層電極105A、105B(以下、総称する場合は「下層電極105」)、絶縁膜106、及び上層電極107を含んで構成されている。
【0028】
なお、
図1における符号Bは、主として本実施の形態に係るMIMキャパシタC1が形成されると共に、下層電極側の配線が形成される領域Bを示し、符号Aは、MIMキャパシタC1の上層電極107の配線が形成される領域Aを示している。以下、半導体装置10における各構成のうち、領域Aに属する構成については符号の末尾にAを付し、領域Bに属する構成については符号の末尾にBを付して区別する場合がある。
【0029】
配線102は、半導体装置10内において、MIMキャパシタC1を他の素子、あるいは配線系と接続するための配線層の一部である。
【0030】
下層電極105B、絶縁膜106、上層電極107を主要部として本実施の形態に係るMIMキャパシタC1が構成されている。すなわち、下層電極105B及び上層電極107を電極対とし、絶縁膜106をキャパシタ膜(キャパシタの誘電体層)として、MIMキャパシタC1が構成されている。
【0031】
MIMキャパシタC1の下層電極105Bは、ビアコンタクト104Bを介して配線102Bに接続され、配線102Bによって半導体装置10内の他の構成と接続される。一方、上層電極107は領域A及び領域Bに跨って形成されており、下層電極105A、ビアコンタクト104Aを介して配線102Aに接続されている。上層電極107は配線102Aによって半導体装置10内の他の構成と接続される。以上の接続について各構成を示す符号と共に等価回路で表わすと、
図1(b)のようになる。
【0032】
次に、
図2及び
図3を参照して、MIMキャパシタC1を含む半導体装置10の製造方法の一例について説明する。
【0033】
まず、基板100上に、回路素子(トランジスタ等の能動素子、抵抗等の受動素子等)を形成し、回路素子上に絶縁膜を形成した後、配線用のビアコンタクトを形成する。次に、上記絶縁膜上に配線層となる金属膜を成膜した後、フォトリソグラフィー及びエッチングによって該金属膜を加工し、上記ビアコンタクトと接続される配線102A(第2の配線領域)、102B(第1の配線領域)を形成する。
【0034】
図2(a)に示すように、さらに、配線102A、及び102Bを絶縁膜101で埋める。以上の形成工程は公知の工程によって行うことができるので、
図2(a)では図示を省略している(例えば、特開2004−165559号公報)。本実施の形態では、一例として、基板100をSi(シリコン)基板、絶縁膜101をSiO
2膜としている。また、配線102A及び102Bの各々は、下層から上層に向けて、Ti/Al/TiN/Tiの積層構造とされている。
図2(a)では、符号10aがTi膜を、10bがAl膜を、10cがTiN/Ti膜を、各々表わしている。
【0035】
次に、全面に絶縁膜103を成膜させた後、
図2(a)に示すように、フォトリソグラフィー及びエッチングを用いてビアコンタクト104A、及び104Bを形成する。本実施の形態では、ビアコンタクト104A、104Bを一例としてWで形成し、絶縁膜103を一例としてSiN膜で形成している。
【0036】
次に、
図2(b)に示すように、絶縁膜103上に、下層電極105(下層電極膜)を形成する。下層電極105は、AlとTi化合物の積層膜、たとえば、下層側から順に成膜されたTi/Al/TiN/Ti膜であり、一例として、スパッタ法を用いて形成される。
図2(b)では、符号12aがTi膜を、12bがAl膜を、12cがTiN/Ti膜を、各々表わしている。
【0037】
次に、
図2(c)に示すように、フォトリソグラフィー及びエッチングを用いて下層電極105をパターニングする。パターニングの際、レジストの反射防止膜としてはBARC(Bottom Anti Reflective Coating)を使用し、下層電極105上に反射防止膜を残さないようにする。本パターニングにより、下層電極105は、領域Aに属する下層電極105Aと領域Bに属する下層電極105Bとに分離される。
【0038】
次に、
図2(d)に示すように、全面に絶縁膜106を形成する。本実施の形態では、絶縁膜106を、一例としてSiN膜としており、SiN膜は例えばCVD法を用いて成膜する。
【0039】
次に、
図3(a)に示すように、フォトリソグラフィー及びエッチングを用いて絶縁膜106をパターニングする。その際、領域Aの絶縁膜106は除去するように(実際には、
図3(a)に示すように、下層電極105Aの側面の一部に絶縁膜106が残留する場合もある)、領域Bの絶縁膜106は下層電極105Bを覆って残留するようにパターニングする。
【0040】
次に、
図3(b)に示すように、上層電極107(上層電極膜)を全面に形成する。本実施の形態では、一例として、上層電極107をTiNで形成している。
【0041】
次に、
図3(c)に示すように、フォトリソグラフィー及びエッチング(例えば、プラズマを使用したドライエッチング)を用いて上層電極107をパターニングする。本パターニングにより、下層電極105、及び上層電極107を電極対とし、絶縁膜106をキャパシタ膜とする、本実施の形態に係るMIMキャパシタC1が領域Bに形成される。以上の工程によって、MIMキャパシタC1を含む半導体装置10が製造される。
【0042】
上記従来技術においては、絶縁膜106に相当する絶縁膜303(キャパシタ膜)は反射防止膜として機能させる必要があるため、使用できる膜厚/構造に制限があった。しかしながら、本実施の形態に係る半導体装置10では、絶縁膜106は反射防止膜として使用しないため、絶縁膜106の膜厚は、耐圧及び容量に応じて、制約なく決めることができる。
【0043】
また、本実施の形態に係る半導体装置10では、
図1に示すように、MIMキャパシタC1の電極である上層電極107、及び下層電極105に接続される配線として、各々の下層に位置する配線102を使用している。すなわち、領域Bの下層電極105BをMIMキャパシタC1の下層電極として使用し、下層電極105Bを、ビアコンタクト104Bを介して配線102Bに接続する。一方、領域Bの上層電極107をMIMキャパシタC1の上層電極として使用し、上層電極107を、下層電極105A、ビアコンタクト104Aを介して配線102Aに接続する。その際、下層電極105Bの側壁に形成された絶縁膜106、及び下層電極105Bの上面に形成された絶縁膜106が、MIMキャパシタC1のキャパシタ膜となる。なお、絶縁膜106は、必ずしも下層電極105Bの側壁及び上面の両方に形成する必要はなく、いずれか一方でもMIMキャパシタC1のキャパシタ膜の機能を果たす。
【0044】
その結果、従来技術で必要だった上層電極304よりさらに上のビア/プラグ及び配線は不要となり、キャパシタ膜(絶縁膜106)にかかるPIDは、上層電極107のパターニング時だけとなるので、PIDによる容量ぱらつきを従来技術よりも低減することができる。
【0045】
上記内容をまとめると、本実施の形態に係る半導体装置によれば、MIMキャパシタの電極対の接続配線として、該電極対より下層に位置する配線を使用しているため、従来技術で必要だったMIMキャパシタの電極対よりさらに上のビアプラグ、及び配線は不要となる。その結果キャパシタ膜にかかるPIDは、上層電極のパターニング時だけとなるので、PIDによる容量ぱらつきを従来技術よりも低減することが可能となった。また、キャパシタ膜を反射防止膜として使用しないため、その膜厚/構造は、所望の耐圧、及び容量に合わせて自由に変えることが可能となった。
【0046】
以上、詳述したように、本実施の形態に係る発明によれば、静電容量値の低下及びばらつきが抑制されると共に、耐圧の低下が抑制された半導体装置の製造方法及び半導体装置を提供することが可能となる。
【0047】
[第2の実施の形態]
図4ないし
図6を参照して、本実施の形態に係る半導体装置の製造方法及び半導体装置について説明する。
【0048】
図4は、本実施の形態に係るMIMキャパシタC2を含む半導体装置50の概略構成を示しており、
図5及び
図6は、本実施の形態に係る半導体装置50の製造方法における主要な工程を概略的に示している。なお、本実施の形態に係る半導体装置50では、MIMキャパシタと共にトランジスタ等の能動素子、抵抗等の受動素子等の他の素子も形成される場合があるが、以下の図では、他の素子の図示を省略しMIMキャパシタの周辺部のみを図示している。
【0049】
図4に示すように、半導体装置50は、基板200、絶縁膜201、配線202A、202B(以下、総称する場合は「配線202」)、絶縁膜203、ビアコンタクト204A、204B(以下、総称する場合は「ビアコンタクト204」)、下層電極205、絶縁膜206、及び上層電極207を含んで構成されている。
【0050】
なお、
図4における符号Bは、主として本実施の形態に係るMIMキャパシタC2が形成されると共に、下層電極側の配線が形成される領域Bを示し、符号Aは、MIMキャパシタC2の上層電極207の配線が形成される領域Aを示している。以下、半導体装置50における各構成のうち、領域Aに属する構成については符号の末尾にAを付し、領域Bに属する構成については符号の末尾にBを付して区別する場合がある。
【0051】
配線202は、半導体装置50内において、MIMキャパシタC2を他の素子、あるいは配線系と接続するための配線層の一部である。
【0052】
下層電極205、絶縁膜206、上層電極207を主要部として本実施の形態に係るMIMキャパシタC2が構成されている。すなわち、下層電極205及び上層電極207を電極対とし、絶縁膜206をキャパシタ膜として、MIMキャパシタC2が構成されている。
【0053】
MIMキャパシタC2の下層電極205は、ビアコンタクト204Bを介して配線202Bに接続され、配線202Bによって半導体装置50内の他の構成と接続される。一方、上層電極207は領域A及び領域Bに跨って形成されており、ビアコンタクト204Aを介して配線202Aに接続されている。上層電極207は配線202Aによって半導体装置50内の他の構成と接続される。以上の接続について各構成を示す符号と共に等価回路で表わすと、
図4(b)のようになる。
【0054】
次に、
図5及び
図6を参照して、MIMキャパシタC2を含む半導体装置50の製造方法の一例について説明する。
【0055】
まず、基板200上に、回路素子(トランジスタ等の能動素子、抵抗等の受動素子等)を形成し、回路素子上に絶縁膜を形成した後、配線用のビアコンタクトを形成する。次に、上記絶縁膜上に配線層となる金属膜を成膜した後、フォトリソグラフィー及びエッチングによって該金属膜を加工し、上記ビアコンタクトと接続される配線202A(第2の配線領域)、202B(第1の配線領域)を形成する。
【0056】
図5(a)に示すように、さらに、配線202A、及び202Bを絶縁膜201で埋める。以上の形成工程は公知の工程によって行うことができるので、
図5(a)では図示を省略している。本実施の形態では、一例として、基板200をSi基板、絶縁膜201をSiO
2膜としている。また、配線202A及び202Bの各々は、下層から上層に向けて、Ti/Al/TiN/Tiの積層構造とされている。
図5(a)では、符号14aがTi膜を、14bがAl膜を、14cがTiN/Ti膜を、各々表わしている。
【0057】
次に、
図5(a)に示すように、全面に絶縁膜203を成膜させた後、フォトリソグラフィー及びエッチングを用いてビアコンタクト204A、及び204Bを形成する。本実施の形態では、ビアコンタクト204A、204Bを、一例としてWで形成し、絶縁膜203を、一例としてSiN膜で形成している。
【0058】
次に、
図5(b)に示すように、絶縁膜203上に、下層電極205(下層電極膜)を形成する。下層電極205は、AlとTi化合物の積層膜、たとえば、下層側から順に成膜されたTi/Al/TiN/Ti膜であり、一例として、スパッタ法を用いて形成される。
図5(b)では、符号16aがTi膜を、16bがAl膜を、16cがTiN/Ti膜を、各々表わしている。
【0059】
次に、
図5(c)に示すように、フォトリソグラフィー及びエッチングを用いて下層電極205をパターニングする。パターニングの際、領域Aに下層電極205を残さないようにする。
【0060】
次に、
図5(d)に示すように、全面に絶縁膜206を形成する。本実施の形態では、絶縁膜206を、一例としてSiN膜としており、SiN膜は例えばCVD法を用いて成膜する。
【0061】
次に、
図6(a)に示すように、フォトリソグラフィー及びエッチングを用いて絶縁膜206をパターニングする。その際、領域Aの絶縁膜206は除去するように、領域Bの絶縁膜206は下層電極205を覆って残留するようにパターニングする。
【0062】
次に、
図6(b)に示すように、上層電極207(上層電極膜)を全面に形成する。本実施の形態では、一例として、上層電極207をTiNで形成している。
【0063】
次に、
図6(c)に示すように、フォトリソグラフィー及びエッチング(例えば、プラズマを使用したドライエッチング)を用いて上層電極207をパターニングする。本パターニングにより、下層電極205、及び上層電極207を電極対とし、絶縁膜206をキャパシタ膜とする、本実施の形態に係るMIMキャパシタC2が領域Bに形成される。以上の工程によって、MIMキャパシタC2を含む半導体装置50が製造される。
【0064】
MIMキャパシタC2では、
図4に示すように、領域Bの下層電極205がMIMキャパシタの一方の電極とされ、この一方の電極がビアコンタクト204Bを介して配線202Bに接続される。一方、領域A及び領域Bに跨って形成された上層電極207がMIMキャパシタC2の他方の電極とされ、この他方の電極がビアコンタクト204Aを介して配線202Aに接続される。下層電極205の側壁に形成された絶縁膜206、及び下層電極205の上面に形成された絶縁膜206が、MIMキャパシタC2のキャパシタ膜となる。なお、絶縁膜206は、必ずしも下層電極205の側壁及び上面の両方に形成する必要はなく、いずれか一方でもMIMキャパシタC2のキャパシタ膜の機能を果たす。
【0065】
ここで、上記実施の形態に係るMIMキャパシタC1では、絶縁膜106のパターニングの際、領域Aに露出するのは、下層電極105Aの上面、あるいは側壁に形成されているTiN/Ti膜12c、あるいはAl膜12bである(
図3(a)参照)。しかしながら、本実施の形態に係るMIMキャパシタC2では、領域Aに下層電極205を残さないので、絶縁膜206のパターニングの際、領域Aに露出するのはTiN/Ti膜やAl膜ではなく、
図6(c)に示すように、ビアコンタクト204AのW膜となる。
【0066】
上記実施の形態に係るMIMキャパシタC1では、絶縁膜106の加工時に露出するTiN膜、あるいはAl膜から発生する金属含有反応生成物が周囲に飛散して付着することにより、半導体層の欠陥が増加することも想定される。これに対し、本実施の形態に係るMIMキャパシタC2では、絶縁膜206の加工時に露出する膜が、TiN膜あるいはAl膜よりエッチングレートの低いW膜となるので、飛散する反応生成物を大幅に抑制することができる。
【0067】
なお、上記各実施の形態では、キャパシタ膜としてSiN膜を用いる形態を例示して説明したが、これに限られず、他の絶縁膜、例えばより誘電率の高い絶縁膜に置き換えてもよい。
【0068】
また、上記各実施の形態では、最も上層の配線(配線102、202)の上部にMIMキャパシタ(C1、C2)を形成する形態を例示して説明したが、これに限られず、多層配線構造における中間の配線の上部に形成してもよい。この場合、例えば、4層配線であれば第2層の配線を配線102、202とし、その上に第3層、第4層の配線を形成する。
【符号の説明】
【0069】
10、50、90 半導体装置
10a、12a、14a、16a Ti膜
10b、12b、14b、16b Al膜
10c、12c、14c、16c TiN/Ti膜
100、200 基板
101、201、301 絶縁膜
102、102A、102B、202、202A、202B 配線
103、203 絶縁膜
104、104A、104B、204、204A、204B ビアコンタクト
105、105A、105B、205 下層電極
106、206 絶縁膜
107、207 上層電極
300 半導体基板
301 絶縁膜
302 下層電極
302a Ti膜
302b Al膜
302c TiN/Ti膜
303 絶縁膜
304 上層電極
305 絶縁膜
306 絶縁膜
307 プラグ
308 上層配線
322 ビア
330 MIMキャパシタ形成領域
C、C1、C2 MIMキャパシタ