【解決手段】選択部は、入力された複数の映像信号のうちのいずれか1つを切り替え可能に選択し、選択した映像信号を出力する。クロック信号出力部は、複数の映像信号の各々に対応する複数のクロック信号のうち、選択部によって選択される映像信号に対応するクロック信号を出力する。マスキング部は、複数の映像信号の各々に対応する複数の同期信号のうち、選択部によって選択される映像信号に対応する同期信号に対して、選択部における映像信号の選択の切り替えに応じてクロック信号出力部から出力されるクロック信号が切り替わる時点から所定期間に亘りマスキングするマスキング処理を施す。選択部は、選択した映像信号を、選択した映像信号に対応し且つマスキング処理が施された同期信号に同期して出力する。
前記マスキング部は、入力されるパルス信号のパルス数をカウントするカウンタを含み、前記クロック信号出力部から出力されるクロック信号の切り替わり時点から前記カウンタのカウント値が所定値に達するまでの間、前記選択部によって選択される映像信号に対応する同期信号をマスキングする
請求項1または請求項2に記載の半導体装置。
前記選択部は、前記選択信号の信号レベルの遷移に応じて選択する映像信号を切り替える場合に、前記選択信号の信号レベルの遷移が生じた後の切り替え前の映像信号のフレーム期間の終了時点まで前記切り替え前の映像信号を出力し、その後、切り替え後の映像信号を、前記切り替え後の映像信号に対応する同期信号に同期して出力する
請求項2に記載の半導体装置。
入力された複数の映像信号のうちのいずれか1つを切り替え可能に選択し、選択した映像信号を出力するとともに、前記複数の映像信号の各々に対応する複数のクロック信号のうち、選択される映像信号に対応するクロック信号を出力する映像信号出力方法であって、
前記複数の映像信号の各々に対応する複数の同期信号のうち、選択される映像信号に対応する同期信号に対して、前記映像信号の選択の切り替えに応じて出力される前記クロック信号が切り替わる時点から所定期間に亘りマスキングするマスキング処理を施し、
選択した映像信号を、選択した映像信号に対応し且つ前記マスキング処理が施された同期信号に同期して出力する
映像信号出力方法。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態の一例を図面を参照しつつ説明する。なお、各図面において同一または等価な構成要素および部分には同一の参照符号を付与し、重複する説明は適宜省略する。
【0014】
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態に係る半導体装置100を含む映像表示システム1の構成を示すブロック図である。映像表示システム1は、半導体装置100、ディスプレイ200およびシステム制御部300を含んで構成されている。半導体装置100は、システム制御部300による制御の下で、ディスプレイ200に表示させる映像の選択、スケーリング処理および画質調整等を行うディスプレイコントローラである。半導体装置100から出力される各信号は、LVDS等の高速シリアル通信によってディスプレイ200に伝送される。
【0015】
半導体装置100は、ビデオデコーダ11、スケーリング処理部13、画質調整部15、パラレルシリアル変換部16(以下、P/S変換部16と表記する)、選択信号生成部17、第1のセレクタ14、第2のセレクタ12、クロック信号出力部18、マスキング部20、映像信号入力端子31、32、映像信号出力端子33、クロック信号出力端子36、垂直同期信号出力端子34および水平同期信号出力端子35を含んで構成されている。
【0016】
映像信号入力端子31、32には、半導体装置100の外部から映像信号が入力される。本実施形態において、映像信号入力端子31にはデジタル映像信号である第1の映像信号S
V1が入力され、映像信号入力端子32にはアナログ映像信号である第2の映像信号S
V2が入力される。また、半導体装置100には、第1の映像信号S
V1に対応する第1の垂直同期信号S
S1および第2の映像信号S
V2に対応する第2の垂直同期信号S
S2が入力される。
【0017】
映像表示システム1が、例えば、カーナビゲーションシステムに搭載される場合、第1の映像信号S
V1は、地図映像を含むナビゲーション映像に対応するものであってもよく、第2の映像信号S
V2は、バックモニタを構成するカメラによって撮影された映像に対応するものであってもよい。
【0018】
ビデオデコーダ11は、アナログ映像信号である第2の映像信号S
V2をデジタル信号に変換する。なお、第2の映像信号S
V2が、映像信号と同期信号とが合成されたコンポジット映像信号である場合、ビデオデコーダ11によって映像信号と同期信号とが分離される。
【0019】
第2のセレクタ12には、第1の映像信号S
V1、第1の垂直同期信号S
S1、ビデオデコーダ11によってデジタル信号に変換された第2の映像信号S
V2、および第2の垂直同期信号S
S2が入力される。また、第2のセレクタ12には、選択信号生成部17によって生成された、映像信号の選択指令を含む第2の選択信号a2が入力される。第2のセレクタ12は、第2の選択信号a2に基づいて、第1の映像信号S
V1およびデジタル信号に変換された第2の映像信号S
V2のうちの一方を選択する。第2のセレクタ12は、選択した映像信号を、選択した映像信号に対応する垂直同期信号に同期して出力する。例えば、第2のセレクタ12は、選択信号a2に基づいて第1の映像信号S
V1を選択した場合には、第1の映像信号S
V1に対応する第1の垂直同期信号S
S1に同期して、第1の映像信号S
V1を出力する。
【0020】
スケーリング処理部13は、第2のセレクタ12から出力された映像信号に対して、当該映像信号に基づく映像のサイズをディスプレイ200のサイズに適合させるスケーリング処理を行う。
【0021】
図2は、スケーリング処理部13の構成を示すブロック図である。スケーリング処理部13は、スケーリング処理回路132および複数のレジスタ131a〜131eを含んで構成されている。スケーリング処理回路132は、レジスタ131a〜131eに保持された設定値に応じたスケーリング処理を入力された映像信号に対して行う。レジスタ131a〜131eは、スケーリング処理のための設定値c2を書き換え可能に保持する記憶部である。レジスタ131a〜131eに保持される設定値c2は、半導体装置100の外部に設けられたシステム制御部300から供給される。
【0022】
半導体装置100から出力される映像信号(以下出力映像信号という)が切り替わる場合、スケーリング処理部13のレジスタ131a〜131eに保持される設定値c2が書き換えられることにより、スケーリング処理部13の設定変更が行われる。例えば、出力映像信号が、第2の映像信号S
V2から第1の映像信号S
V1に切り替わる場合、スケーリング処理部13のレジスタ131a〜131eに保持される設定値c2は、切り替え前の第2の映像信号S
V2に対応する設定値から、切り替え後の第1の映像信号S
V1に対応する設定値に書き換えられる。
【0023】
第1のセレクタ14には、スケーリング処理が施されていない第1の映像信号S
V1、スケーリング処理部13においてスケーリング処理が施された第1または第2の映像信号、第1の垂直同期信号S
S1および第2の垂直同期信号S
S2が入力される。また、第1のセレクタ14には、選択信号生成部17によって生成された、映像信号の選択指令を含む第1の選択信号a1が入力される。なお、第1のセレクタ14に入力される第1の垂直同期信号S
S1および第2の垂直同期信号S
S2は、マスキング部20から供給される。第1のセレクタ14は、第1の選択信号a1に基づいて、入力された2つの映像信号のうちの一方を選択する。第1のセレクタ14は、選択した映像信号を、選択した映像信号に対応する垂直同期信号に同期して出力する。例えば、第1のセレクタ14は、選択信号a1に基づいてスケーリング処理が施されていない第1の映像信号S
V1を選択した場合には、第1の垂直同期信号S
S1に同期して、第1の映像信号S
V1を出力する。
【0024】
画質調整部15は、第1のセレクタ14から出力された映像信号に対してコントラスト調整、オフセット調整、ガンマ補正等の画質調整を行う。
図3は、画質調整部15の構成を示すブロック図である。画質調整部15は、画質調整回路152および複数のレジスタ151a〜151eを含んで構成されている。画質調整回路152は、レジスタ151a〜151eに保持された設定値に応じた画質調整処理を、入力された映像信号に対して行う。レジスタ151a〜151eは、画質調整のための設定値c1を書き換え可能に保持する記憶部である。より具体的には、レジスタ151a〜151eは、コントラスト、オフセット、ガンマ補正等の画質調整項目毎の設定値を保持する。レジスタ151a〜151eに保持される設定値c1は、半導体装置100の外部に設けられたシステム制御部300から供給される。
【0025】
半導体装置100において、出力映像信号が切り替わる場合、画質調整部15のレジスタ151a〜151eに保持される設定値c1が書き換えられることにより、画質調整部15の設定変更が行われる。例えば、出力映像信号が、第2の映像信号S
V2から第1の映像信号S
V1に切り替わる場合、画質調整部15のレジスタ151a〜151eに保持される設定値c1は、切り替え前の第2の映像信号S
V2に対応する設定値から、切り替え後の第1の映像信号S
V1に対応する設定値に書き換えられる。
【0026】
P/S変換部16は、画質調整部15によって画質調整がなされたパラレルデータである映像信号を、シリアルデータに変換して出力する。P/S変換部16から出力された映像信号は、映像信号出力端子33から半導体装置100の外部に出力され、ディスプレイ200に供給される。また、映像信号出力端子33から出力される映像信号に対応する垂直同期信号S
S1、S
S2および水平同期信号S
H1、S
H2は、それぞれ垂直同期信号出力端子34および水平同期信号出力端子35から半導体装置100の外部に出力され、ディスプレイ200に供給される。
【0027】
選択信号生成部17は、第1のセレクタ14および第2のセレクタ12において選択すべき映像信号の選択指令を含む第1の選択信号a1および第2の選択信号a2を生成する。例えば、第1の映像信号S
V1に基づく映像をディスプレイ200に表示させる場合において、第1の映像信号S
V1に基づく映像のサイズが、ディスプレイ200のサイズに適合している場合には、選択信号生成部17は、第1のセレクタ14に直接入力された第1の映像信号S
V1を選択する第1の選択信号a1を生成する。一方、第1の映像信号S
V1に基づく映像をディスプレイ200に表示させる場合において、当該映像のサイズが、ディスプレイ200のサイズに適合していない場合には、選択信号生成部17は、第2のセレクタ12に入力された第1の映像信号S
V1を選択する第2の選択信号a2を生成するとともに、第1のセレクタ14に入力された、スケーリング処理が施された第1の映像信号S
V1を選択する第1の選択信号a1を生成する。また、第2の映像信号S
V2に基づく映像をディスプレイ200に表示させる場合には、選択信号生成部17は、第2のセレクタ12に入力された第2の映像信号S
V2を選択する第2の選択信号a2を生成するとともに、第1のセレクタ14に入力された、スケーリング処理が施された第2の映像信号S
V2を選択する第1の選択信号a1を生成する。
【0028】
選択信号生成部17は、レジスタ(図示せず)を含み、該レジスタに保持された設定値に応じて第1の選択信号a1および第2の選択信号a2を生成する。該レジスタに保持される設定値は、半導体装置100の外部に設けられたシステム制御部300から供給される。なお、第1の選択信号a1および第2の選択信号a2は、第1の垂直同期信号S
S1および第2の垂直同期信号S
S2とは非同期である。
【0029】
クロック信号出力部18には、第1の映像信号S
V1に対応した第1のクロック信号S
C1および第2の映像信号S
V2に対応した第2のクロック信号S
C2が入力される。また、クロック信号出力部18には、第1の垂直同期信号S
S1、第2の垂直同期信号S
S2および第1の選択信号a1が入力される。クロック信号出力部18は、第1の選択信号a1に基づいて、入力された2つのクロック信号のうちの一方を選択し、選択したクロック信号を、第1の垂直同期信号S
S1または第2の垂直同期信号S
S2に同期して出力する。クロック信号出力部18は、第1のセレクタ14によって選択される映像信号に対応するクロック信号を選択する。クロック信号出力部18は、第1のセレクタ14における映像信号の選択の切り替りに応じて、出力するクロック信号を切り替え後の映像信号に対応するクロック信号に切り替える。本実施形態において、クロック信号出力部18は、第1の選択信号a1のレベル遷移が生じた直後の切り替え前の映像信号に対応する垂直同期信号の立ち上がりのタイミングで、出力するクロック信号を切り替え後の映像信号に対応するクロック信号に切り替える。第1のクロック信号S
C1および第2のクロック信号S
C2のうち、クロック信号出力部18から出力されたクロック信号は、クロック信号出力端子36から半導体装置100の外部に出力され、ディスプレイ200に供給される。
【0030】
マスキング部20には、第1の垂直同期信号S
S1、第2の垂直同期信号S
S2、第1の水平同期信号S
H1および第2の水平同期信号S
H2が入力される。なお、第1の水平同期信号S
H1は、第1の映像信号S
V1に対応し、第2の水平同期信号S
H2は、第2の映像信号S
V2に対応する。マスキング部20は、第1のセレクタ14によって選択される映像信号が切り替わる場合に、第1の垂直同期信号S
S1および第2の垂直同期信号S
S2を所定期間に亘ってマスキングし、マスキングした第1の垂直同期信号S
S1および第2の垂直同期信号S
S2を出力する。マスキング部20によってマスキング処理された第1の垂直同期信号S
S1および第2の垂直同期信号S
S2は、第1のセレクタ14に供給される。
【0031】
なお、本実施形態では、マスキング部20によって第1の垂直同期信号S
S1および第2の垂直同期信号S
S2の双方にマスキング処理を施す場合を例示しているが、第1の垂直同期信号S
S1および第2の垂直同期信号S
S2のうち、少なくとも切り替え後の映像信号に対応する垂直同期信号に対してマスキング処理を施すようにすればよい。例えば、第1のセレクタ14によって選択される映像信号が第2の映像信号S
V2から第1の映像信号S
V1に切り替わる場合には、マスキング部20は、切り替え後の第1の垂直同期信号S
S1に対してマスキング処理を施せばよい。
【0032】
マスキング部20は、カウンタ21およびマスキング処理部22を含んで構成されている。カウンタ21は、映像信号の切り替えを示す第1の選択信号a1のレベル遷移が生じた直後の切り替え前の映像信号に対応する垂直同期信号の立ち上がりのタイミングで、入力される第1の水平同期信号S
H1または第2の水平同期信号S
H2のパルス数のカウントを開始する。すなわち、カウンタ21がカウントを開始するタイミングは、映像信号の切り替えに応じてクロック信号出力部18から出力されるクロック信号が切り替わるタイミングと一致している。カウンタ21は、カウントを開始してからカウント値が所定値に達するまでの期間ハイレベルを呈し、それ以外の期間はローレベルを呈するマスキング信号S
Mを出力し、これをマスキング処理部22に供給する。なお、カウンタ21がカウントする信号は、水平同期信号S
H1およびS
H2のいずれであってもよい。
【0033】
マスキング処理部22は、マスキング信号S
Mがハイレベルを呈する期間に亘って、入力された第1の垂直同期信号S
S1および第2の垂直同期信号S
S2に対してマスキング処理を施し、マスキング処理を施した第1の垂直同期信号S
S1および第2の垂直同期信号S
S2を第1のセレクタ14に供給する。マスキング処理が施された期間(以下、マスキング期間と称する)においては、第1の垂直同期信号S
S1および第2の垂直同期信号S
S2に生じたレベル遷移は無効となる。従って、第1のセレクタ14は、マスキング期間においては、垂直同期信号に同期して切り替え後の映像信号を出力することができなくなる。
【0034】
映像信号出力端子33からは、第1の映像信号S
V1および第2の映像信号S
V2のうち、第1のセレクタ14および第2のセレクタ12によって選択された映像信号が出力される。垂直同期信号出力端子34からは、第1の垂直同期信号S
S1および第2の垂直同期信号S
S2のうち、第1のセレクタ14および第2のセレクタ12によって選択された映像信号に対応し且つマスキング部20によるマスキング処理が施された垂直同期信号が出力される。水平同期信号出力端子35からは、第1の水平同期信号S
H1および第2の水平同期信号S
H2のうち、第1のセレクタ14および第2のセレクタ12によって選択された映像信号に対応する水平同期信号が出力される。クロック信号出力端子36からは、第1のクロック信号S
C1および第2のクロック信号S
C2のうち、第1のセレクタ14および第2のセレクタ12によって選択された映像信号に対応するクロック信号が出力される。
【0035】
ディスプレイ200は、PLL回路201およびシリアル/パラレル変換部202(以下S/P変換部202と表記する)を有する。PLL回路201には、クロック信号出力部18から出力された第1のクロック信号S
C1または第2のクロック信号S
C2が入力される。PLL回路201は、入力された第1のクロック信号S
C1または第2のクロック信号S
C2に位相同期した位相同期信号S
PLLを生成し、これをS/P変換部202に供給する。
【0036】
S/P変換部202には、P/S変換部16から出力されたシリアルデータ形式の第1の映像信号S
V1または第2の映像信号S
V2が入力される。S/P変換部202は、入力されたシリアルデータ形式の第1の映像信号S
V1または第2の映像信号S
V2をパラレルデータに変換する。S/P変換部202は、PLL回路201から供給される位相同期信号S
PLLに同期してデータ変換処理を行う。S/P変換部202において、第1の映像信号S
V1に対してデータ変換処理が行われる場合には、第1のクロック信号S
C1に位相同期した位相同期信号S
PLLが用いられ、第2の映像信号S
V2に対してデータ変換処理が行われる場合には、第2のクロック信号S
C2に位相同期した位相同期信号S
PLLが用いられる。ディスプレイ200は、S/P変換部202によってパラレルデータに変換された第1の映像信号S
V1または第2の映像信号S
V2に基づく映像を表示画面に表示させる。
【0037】
図4は、半導体装置100およびディスプレイ200の動作の一例を示すタイミングチャートである。
図4には、第1の垂直同期信号S
S1、第2の垂直同期信号S
S2、第1の選択信号a1、マスキング信号S
M、半導体装置100から出力される垂直同期信号(以下、出力垂直同期信号という)、出力映像信号、半導体装置100から出力されるクロック信号(以下、出力クロック信号という)、位相同期信号S
PLLの素性、およびディスプレイ200の表示映像についての時間推移の一例が示されている。
図4には、一例として、出力映像信号を、第2の映像信号S
V2から第1の映像信号S
V1に切り替える場合の動作が示されており、以下では、この場合を例に説明する。
【0038】
第1のセレクタ14は、第1の選択信号a1の信号レベルの遷移を検出すると、第1の選択信号a1の信号レベルが遷移した直後における、切り替え前の第2の映像信号S
V2のフレーム期間の終了時点まで切り替え前の第2の映像信号S
V2の出力を継続する。なお、第2の映像信号S
V2のフレーム期間の終了時点は、第2の垂直同期信号S
S2によって検出することが可能である。第1のセレクタ14は、切り替え前の第2の映像信号S
V2のフレーム期間が終了した後、切り替え後の第1の映像信号S
V1を、これに対応する第1の垂直同期信号S
S1に同期して出力する。このように、第1のセレクタ14は、第1の選択信号a1に基づいて選択する映像信号を切り替える場合に、切り替え前の映像信号の出力終了のタイミングを、切り替え前の映像信号に対応する垂直同期信号に同期させ、切り替え後の映像信号の出力の開始のタイミングを、切り替え後の映像信号に対応する垂直同期信号に同期させる。
【0039】
第1の垂直同期信号S
S1と、第2の垂直同期信号S
S2とは非同期であるため、第1のセレクタ14の動作を、上記のように、第1の垂直同期信号S
S1および第2の垂直同期信号S
S2に同期させた場合には、切り替え前の第2の映像信号S
V2の出力終了時点と、切り替え後の第1の映像信号S
V1の出力開始時点とが不一致となる。第1のセレクタ14は、切り替え前の第2の映像信号S
V2の出力終了時点から切り替え後の第1の映像信号S
V1の出力開始時点までの間、映像信号の出力を停止させる。
【0040】
第1のセレクタ14から出力された第1の映像信号S
V1は、画質調整部15およびP/S変換部16を経由してディスプレイ200に供給される。また、切り替え後の第1の映像信号S
V1に対応する第1の垂直同期信号S
S1および第1の水平同期信号S
H1が、第1の映像信号S
V1とともにディスプレイ200に供給される。
【0041】
一方、クロック信号出力部18は、第1の選択信号a1の信号レベルの遷移を検出すると、第1の選択信号a1の信号レベルが遷移した直後における、切り替え前の第2の映像信号S
V2に対応する第2の垂直同期信号S
S2の立ち上がりのタイミングで、出力クロック信号を第2のクロック信号S
C2から第1のクロック信号S
C1に切り替える。
【0042】
ディスプレイ200のPLL回路201は、出力クロック信号の第1のクロック信号S
C1への切り替りに応じて、第1のクロック信号S
C1に位相同期した位相同期信号S
PLLを生成する。しかしながら、PLL回路201は、切り替え後のクロック信号に対してロック状態となるまでにある程度の時間を要する。すなわち、切り替え後のクロック信号に位相同期した位相同期信号S
PLLが安定化するまでの安定化期間を必要とする。ディスプレイ200のS/P変換部202は、第1のクロック信号S
C1に位相同期した位相同期信号S
PLLに同期して、切り替え後の第1の映像信号S
V1のデータ変換処理を行うが、位相同期信号S
PLLが安定化するまで、適正なデータ変換処理を行うことができない。
【0043】
カウンタ21は、第1の選択信号a1の信号レベルの遷移を検出すると、第1の選択信号a1の信号レベルが遷移した直後における、切り替え前の第2の映像信号S
V2に対応する第2の垂直同期信号S
S2の立ち上がりのタイミングで、水平同期信号S
H1またはS
H2のパルス数のカウントを開始する。カウンタ21は、カウントを開始してからカウント値が所定値に達するまでの間ハイレベルを呈するマスキング信号S
Mを出力し、これをマスキング処理部22に供給する。
【0044】
マスキング処理部22は、マスキング信号S
Mがハイレベルを呈する期間、入力された第1の垂直同期信号S
S1および第2の垂直同期信号S
S2に対してマスキング処理を施し、マスキング処理を施した第1の垂直同期信号S
S1および第2の垂直同期信号S
S2を第1のセレクタ14に供給する。マスキング期間においては、第1の垂直同期信号S
S1および第2の垂直同期信号S
S2に生じたレベル遷移は無効となる。
【0045】
ここで、マスキング期間の開始時点は、出力クロック信号の切り替わり時点すなわちPLL回路201の安定化期間の開始時点と一致している。一方、マスキング期間の長さは、PLL回路201の安定化期間と同じか安定化期間よりも長い時間となるように、カウンタ21のカウント値が設定されている。すなわち、マスキング期間は、PLL回路201の安定化期間にオーバラップしており、PLL回路201の安定化期間において、第1の垂直同期信号S
S1および第2の垂直同期信号S
S2はマスキングされる。従って、第1のセレクタ14は、PLL回路201の安定化期間内に映像信号の選択の切り替えを行うことはなく、マスキング期間(PLL回路201の安定化期間)の後に生じる第1の垂直同期信号S
S1の立ち上がりのタイミングで切り替え後の映像信号である第1の映像信号S
V1を出力する。従って、ディスプレイ200のS/P変換部202には、PLL回路201の安定化期間が終了した後に、切り替え後の映像信号である第1の映像信号S
V1が入力される。これにより、S/P変換部202は、切り替え後の第1の映像信号S
V1に対して安定化後の位相同期信号S
PLLを用いてデータ変換処理を行うことができる。
【0046】
ここで、
図5は、比較例に係る半導体装置100Xを含む映像表示システム1Xの構成を示すブロック図である。比較例に係る半導体装置100Xは、マスキング部20を備えていない点が、上記した本発明の実施形態に係る半導体装置100と異なる。すなわち、比較例に係る半導体装置100Xにおいて、第1の垂直同期信号S
S1および第2の垂直同期信号S
S2は、マスキング処理が施されることなく第1のセレクタ14に入力される。
【0047】
図6は、比較例に係る半導体装置100Xおよびディスプレイ200の動作の一例を示すタイミングチャートである。
図6には、一例として、出力映像信号を、第2の映像信号S
V2から第1の映像信号S
V1に切り替える場合の動作が例示されている。
【0048】
比較例に係る半導体装置100Xによれば、第1の垂直同期信号S
S1および第2の垂直同期信号S
S2に対してマスキング処理が施されないので、
図6に示すように、PLL回路201の安定化期間内に、出力映像信号が切り替わる場合がある。PLL回路201の安定化期間内に出力映像信号が切り替ると、ディスプレイ200のS/P変換部202は、安定化前の位相同期信号S
PLLを用いてデータ変換処理を行うこととなり、適正な処理ができない場合がある。その結果、出力映像信号の切り替え時に、ディスプレイ200に表示される映像に乱れが発生するおそれがある。
【0049】
一方、本発明の実施形態に係る半導体装置100および映像表示システム1によれば、PLL回路201の安定化期間にオーバラップするマスキング期間において、第1の垂直同期信号S
S1および第2の垂直同期信号S
S2がマスキングされるので、出力映像信号の切り替えはPLL回路201の安定化期間後に行われる。従って、ディスプレイ200のS/P変換部202において、データ変換処理が開始されるタイミングは、常にPLL回路201の安定化期間後になる。これにより、S/P変換部202において、安定化前の位相同期信号S
PLLを用いてデータ変換処理が行われることはない。従って、本発明の実施形態に係る半導体装置100および映像表示システム1によれば、出力映像信号の切り替え時に、ディスプレイ200に表示される映像に乱れが発生することを抑制することができる。
【0050】
また、本実施形態に係る半導体装置100および映像表示システム1によれば、第1のセレクタ14が、第1の選択信号a1に基づいて、選択する映像信号を切り替える場合に、切り替え後の映像信号を、これに対応する垂直同期信号に同期して出力することで、ディスプレイ200は、映像信号の切り替え直後から垂直同期信号による同期をとることが可能となり、映像信号の切り替えに伴う映像の乱れを防止することができる。従って、本実施形態に係る半導体装置100によれば、映像の切り替えを行う際に、乱れた映像を表示させないようにするための映像ミュートを行うことを要しない。
【0051】
また、第1のセレクタ14は、第1の選択信号a1に基づいて、選択する映像信号を切り替える場合に、切り替え前の映像信号のフレーム期間の終了時点まで、切り替え前の映像信号の出力を継続させるので、映像の切り替わりの直前に、切り替え前の映像が部分的に欠落してディスプレイ200に表示されることを防止できる。
【0052】
なお、第1のセレクタ14は、切り替え前の映像信号の出力終了時点から切り替え後の映像信号の出力開始時点までの間、映像信号の出力を停止させるが、映像信号の出力停止期間は短期間であり、映像信号の出力が停止される直前の映像が、ディスプレイ200において残像として表示されるので、映像信号の出力停止に伴う映像の途切れは、ユーザによって認識されにくいものとなっている。なお、切り替え前の映像信号を保持するためのバッファメモリを設け、切り替え前の映像信号の出力終了時点から切り替え後の映像信号の出力開始時点までの間、バッファメモリに保持された切り替え直前の映像信号を読み出してディスプレイ200に供給してもよい。これにより、映像信号の出力停止期間の発生をなくすことができる。
【0053】
なお、第2のセレクタ12の動作は、第1のセレクタ14の動作と同様である。すなわち、第2のセレクタ12は、第2の選択信号a2の信号レベルが遷移した直後における、切り替え前の映像信号のフレーム期間の終了時点まで切り替え前の映像信号の出力を継続する。第2のセレクタ12は、切り替え前の映像信号のフレーム期間が終了した後、切り替え後の映像信号を、これに対応する垂直同期信号に同期して出力する。すなわち、第2のセレクタ12は、第2の選択信号a2に基づいて選択する映像信号を切り替える場合に、切り替え前の映像信号の出力終了のタイミングを、切り替え前の映像信号に対応する垂直同期信号に同期させ、切り替え後の映像信号の出力開始のタイミングを、切り替え後の映像信号に対応する垂直同期信号に同期させる。
【0054】
なお、本実施形態では、マスキング部20のカウンタ21が第1の水平同期信号S
H1または第2の水平同期信号S
H2のパルス数をカウントしたカウント値によってマスキング期間を定める構成としたが、垂直同期信号よりも高周波数のあらゆるパルス信号を第1の水平同期信号S
H1または第2の水平同期信号S
H2に代えて用いることも可能である。しかしながら、半導体装置100は、例えば、ディスプレイ200に表示させる映像のサイズを決定するスケーリング処理部13において、水平同期信号をカウントするカウンタを備えている。従って、マスキング部20において水平同期信号のカウント値を用いてマスキング期間を定めることで、マスキング部20とスケーリング処理部13とでカウンタを共有することができ、これによって半導体装置の回路規模および回路面積を小さくすることが可能となる。
【0055】
[第2の実施形態]
図7は、本発明の第2の実施形態に係る半導体装置100Aを含む映像表示システム1Aの構成を示すブロック図である。本実施形態に係る半導体装置100Aは、マスキング部20の構成が上記の第1の実施形態に係る半導体装置100と異なる。また、本実施形態に係る映像表示システム1Aにおいて、ディスプレイ200のPLL回路201は、PLL回路201がロック状態であること、すなわち、位相同期信号S
PLLが安定している場合にハイレベルを呈し、PLL回路201においてロックが外れていること、すなわち、位相同期信号S
PLLが安定していない場合にローレベルを呈するロック検出信号S
LOCKを出力し、これをマスキング部20に供給する。
【0056】
本実施形態に係る半導体装置100Aにおいて、マスキング部20は、信号生成部23およびマスキング処理部22を含んで構成されている。信号生成部23は、ロック検出信号S
LOCKに基づいてマスキング信号S
Mを生成し、これをマスキング処理部22に供給する。本実施形態においてマスキング信号S
Mは、ロック検出信号S
LOCKの信号レベルを反転させた信号となる。
【0057】
マスキング処理部22は、マスキング信号S
Mがハイレベルを呈する期間において、入力された第1の垂直同期信号S
S1および第2の垂直同期信号S
S2に対してマスキング処理を施し、マスキング処理を施した第1の垂直同期信号S
S1および第2の垂直同期信号S
S2を第1のセレクタ14に供給する。マスキング期間においては、第1の垂直同期信号SS1および第2の垂直同期信号S
S2に生じたレベル遷移は無効となる。従って、第1のセレクタ14は、マスキング期間においては、垂直同期信号に同期して切り替え後の映像信号を出力することができなくなる。
【0058】
図8は、本実施形態に係る半導体装置100Aおよびディスプレイ200の動作の一例を示すタイミングチャートである。
図8には、第1の垂直同期信号S
S1、第2の垂直同期信号S
S2、第1の選択信号a1、マスキング信号S
M、出力垂直同期信号、出力映像信号、出力クロック信号、位相同期信号S
PLLの素性、ロック検出信号S
LOCKおよびディスプレイ200の表示映像についての時間推移が示されている。
図8には、一例として、出力映像信号を、第2の映像信号S
V2から第1の映像信号S
V1に切り替える場合の動作が示されている。
【0059】
ディスプレイ200のPLL回路201は、自身がロック状態であるか否かを検出し、自身がロック状態であることを検出した場合に、ハイレベルを呈し、それ以外の場合にはローレベルを呈するロック検出信号S
LOCKを出力する。すなわちロック検出信号S
LOCKは、位相同期信号S
PLLが安定化するまでの安定化期間においてローレベルを呈し、位相同期信号S
PLLが安定している場合にハイレベルを呈する。PLL回路201から出力された位相同期信号S
PLLは、半導体装置100Aの信号生成部23に供給される。
【0060】
信号生成部23は、ロック検出信号S
LOCKの信号レベルを反転させたマスキング信号S
Mを生成し、これをマスキング処理部22に供給する。従って、PLL回路201の安定化期間において、第1の垂直同期信号S
S1および第2の垂直同期信号S
S2はマスキングされる。これにより、第1のセレクタ14は、PLL回路201の安定化期間内に映像信号の選択の切り替えを行うことはなく、マスキング期間(PLL回路201の安定化期間)の後に生じる第1の垂直同期信号S
S1の立ち上がりのタイミングで切り替え後の映像信号である第1の映像信号S
V1を出力する。従って、ディスプレイ200のS/P変換部202には、PLL回路201の安定化期間が終了した後に、切り替え後の映像信号である第1の映像信号S
V1が入力される。これにより、S/P変換部202は、入力された第1の映像信号S
V1に対して安定化後の位相同期信号S
PLLに同期してデータ変換処理を行うことができる。これにより、出力映像信号の切り替え時に、ディスプレイ200に表示される映像に乱れが発生することを抑制することができる。
【0061】
なお、マスキング信号S
Mの立ち上がりのタイミングを、上記の第1の実施形態に係る半導体装置100と同様、第1の選択信号a1の信号レベルが遷移した直後における、切り替え前の映像信号に対応する垂直同期信号S
S2の立ち上がりのタイミングに基づいて定めてもよい。また、マスキング信号S
Mおよびロック検出信号S
LOCKの信号レベルは適宜変更することが可能である。