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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-202466(P2017-202466A)
(43)【公開日】2017年11月16日
(54)【発明の名称】有機物含有排水の処理方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/78 20060101AFI20171020BHJP
   B01F 5/00 20060101ALI20171020BHJP
   B01F 3/04 20060101ALI20171020BHJP
   C02F 1/20 20060101ALI20171020BHJP
   B01F 5/04 20060101ALI20171020BHJP
【FI】
   C02F1/78
   B01F5/00 D
   B01F3/04 F
   C02F1/20 A
   B01F5/04
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2016-96244(P2016-96244)
(22)【出願日】2016年5月12日
(11)【特許番号】特許第6197913号(P6197913)
(45)【特許公報発行日】2017年9月20日
(71)【出願人】
【識別番号】000001063
【氏名又は名称】栗田工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086911
【弁理士】
【氏名又は名称】重野 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100144967
【弁理士】
【氏名又は名称】重野 隆之
(72)【発明者】
【氏名】育野 望
【テーマコード(参考)】
4D037
4D050
4G035
【Fターム(参考)】
4D037AA11
4D037AB11
4D037BA23
4D037BB09
4D037CA12
4D037CA14
4D050AA12
4D050AB07
4D050BB02
4D050BB09
4D050BD02
4D050BD03
4D050BD04
4D050CA13
4G035AB20
4G035AB27
4G035AB54
4G035AC01
4G035AC22
4G035AE02
4G035AE13
(57)【要約】
【課題】有機物及び無機炭酸を含む排水中の有機物をオゾンによって効率よく分解除去することができる有機物含有排水の処理方法及び装置を提供する。
【解決手段】被処理水を無機炭酸除去装置3で脱炭酸処理した後、過酸化水素を添加し、エゼクタ8にてオゾン含有ガスを添加し、スタティックミキサ13に通水し、有機物を酸化処理する。オゾン含有ガス中のオゾン濃度A(g/Nm)と、該エゼクタに流入する水中の無機炭酸濃度B(g/L)との比A/Bを500〜1000とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一部が上下方向に延在した縦配管部となっている配管と、
該縦配管部内を有機物含有排水が下方に向って流れるように該配管に有機物含有排水を供給する通水手段と、
該縦配管部の上部に設けられたエゼクタと、
該エゼクタにオゾン含有ガスを供給するオゾン供給手段と、
該配管の該エゼクタよりも下流側に設けられたスタティックミキサと
を備えてなる有機物含有排水の処理装置を用いた有機物含有排水の処理方法において、
該オゾン含有ガス中のオゾン濃度A(g/Nm)と、該エゼクタに流入する水中の無機炭酸濃度B(g/L)との比A/Bを500〜1000とすることを特徴とする有機物含有排水の処理方法。
【請求項2】
請求項1において、前記エゼクタに供給される有機物含有排水を無機炭酸除去手段で無機炭酸除去処理することを特徴とする有機物含有排水の処理方法。
【請求項3】
請求項1又は2において、前記スタティックミキサは鉛直方向に設置されており、前記エゼクタの流出水を該スタティックミキサに下向流にて通水することを特徴とする有機物含有排水の処理方法。
【請求項4】
少なくとも一部が上下方向に延在した縦配管部となっている配管と、
該縦配管部内を有機物含有排水が下方に向って流れるように該配管に有機物含有排水を供給する通水手段と、
該縦配管部の上部に設けられたエゼクタと、
該エゼクタにオゾン含有ガスを供給するオゾン供給手段と、
該配管の該エゼクタよりも下流側に設けられたスタティックミキサと
を備えてなる有機物含有排水の処理装置において、
該オゾン含有ガス中のオゾン濃度A(g/Nm)と、該エゼクタに流入する水中の無機炭酸濃度B(g/L)との比A/Bを500〜1000とする手段を備えたことを特徴とする有機物含有排水の処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機物含有排水中の有機物をオゾンにより効率的に分解除去する有機物含有排水の処理方法及び装置に関する。本発明は、特に、被処理水中に炭酸イオンや重炭酸イオン(以下、無機炭酸ということがある。)が含まれている場合に好適な有機物含有排水の処理方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、有機物含有水中の有機物の除去方法として、オゾンにより有機物を酸化分解して除去する方法が知られており、このようなオゾンによる有機物の分解に当たり、過酸化水素(H)添加、触媒充填、紫外線(UV)照射又はアルカリ添加によるpH調整を併用することにより、オゾンの酸化作用を向上させて分解を促進することも知られている。
【0003】
排水中の有機物のオゾン酸化においてはヒドロキシラジカル(・OH)が発生し、このラジカルが有機物分解に作用しているが、被処理水中に炭酸イオンや重炭酸イオンが存在すると、これらがヒドロキシラジカルを消費し、有機物の分解を阻害する。
【0004】
特許文献1には、オゾン処理に先立ち、被処理水をpH6以下に調整し、水中の炭酸イオン、重炭酸イオンを二酸化炭素とし、脱ガスすることにより、二酸化炭素形態の炭酸成分及び他の溶存ガスを被処理水から効率的に除去することが記載されている。
【0005】
また、特許文献1には、オゾン処理と過酸化水素(H)処理とを併用することが記載されている。オゾン添加に先立って被処理水に過酸化水素を添加すると、オゾンによる酸化力が向上する。
【0006】
また、特許文献1には、オゾン添加に先立って被処理水に水酸化ナトリウム等のアルカリを添加し、pH中性〜11、好ましくは9〜11とすると、酸化反応を促進できることが記載されている。
【0007】
特許文献2には、少なくとも一部が上下方向に延在した縦配管部となっている配管と、該縦配管部内を有機物含有排水が下方に向って流れるように該配管に有機物含有排水を供給する通水手段と、該縦配管部の上部に設けられたエゼクタと、該エゼクタに酸化性ガスを供給するガス供給手段と、該配管の該エゼクタよりも下流側に設けられたスタティックミキサとを備えてなる装置が記載されている。このように、エゼクタから酸化性ガスを縦配管部に吹き込むことにより、酸化性ガスと液との接触効率が良くなり、有機物が効率よく酸化分解処理される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2001−113291
【特許文献2】特開2013−208554
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、有機物及び無機炭酸を含む排水中の有機物をオゾンによって効率よく分解除去することができる有機物含有排水の処理方法及び装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の有機物含有排水の処理方法は、少なくとも一部が上下方向に延在した縦配管部となっている配管と、該縦配管部内を有機物含有排水が下方に向って流れるように該配管に有機物含有排水を供給する通水手段と、該縦配管部の上部に設けられたエゼクタと、該エゼクタにオゾン含有ガスを供給するオゾン供給手段と、該配管の該エゼクタよりも下流側に設けられたスタティックミキサとを備えてなる有機物含有排水の処理装置を用いた有機物含有排水の処理方法において、該オゾン含有ガス中のオゾン濃度A(g/Nm)と、該エゼクタに流入する水中の無機炭酸濃度B(g/L)との比A/Bを500〜1000とすることを特徴とする。
【0011】
本発明の有機物含有排水の処理装置は、少なくとも一部が上下方向に延在した縦配管部となっている配管と、該縦配管部内を有機物含有排水が下方に向って流れるように該配管に有機物含有排水を供給する通水手段と、該縦配管部の上部に設けられたエゼクタと、該エゼクタにオゾン含有ガスを供給するオゾン供給手段と、該配管の該エゼクタよりも下流側に設けられたスタティックミキサとを備えてなる有機物含有排水の処理装置において、該オゾン含有ガス中のオゾン濃度A(g/Nm)と、該エゼクタに流入する水中の無機炭酸濃度B(g/L)との比A/Bを500〜1000とする手段を備えたことを特徴とする。
【0012】
本発明の一態様では、前記エゼクタに供給される有機物含有排水を無機炭酸除去手段で無機炭酸除去処理する。
【0013】
本発明の一態様では、前記スタティックミキサは鉛直方向に設置されており、前記エゼクタの流出水を該スタティックミキサに下向流にて通水する。
【発明の効果】
【0014】
本発明の有機物含有排水の処理方法及び装置では、上記比率A/Bを500〜1000とすることにより、有機物分解効率が向上し、処理水中のTOC濃度が低いものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施例を示す説明図である。
図2】別の実施例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して実施の形態について説明する。図1は実施の形態に係る有機物含有の処理装置のフローブロック図である。
【0017】
被処理水は、配管1にて酸添加手段2によって酸が添加された後、無機炭酸除去装置3に導入され、無機炭酸が除去される。酸添加手段2で添加される酸としては硫酸が好適であり、添加後の被処理水のpHが5〜6となるように添加されることが好ましい。このように酸を添加して被処理水のpHを酸性とすることにより、無機炭酸が二酸化炭素となるので、次の無機炭酸除去装置3での無機炭酸の除去効率が向上する。
【0018】
本発明は無機炭酸濃度とオゾン濃度を一定比率とすることを特徴とするため、被処理水中の無機炭酸濃度に制限はないが、被処理水中の無機炭酸濃度は、通常1.0g/L以下、特に0.01〜0.5g/L程度まで低減される。なお、無機炭酸除去装置3としては、脱炭酸塔、脱炭酸膜、膜脱気装置、真空脱気装置、窒素脱気装置などが挙げられ、特に脱炭酸塔が好適であるが、これに限定されない。
【0019】
無機炭酸除去装置3で無機炭酸が除去された被処理水は、ポンプ4で昇圧され、過酸化水素添加手段6で過酸化水素が添加され、アルカリ添加手段でアルカリが添加され、配管5を介してエゼクタ8に供給される。
【0020】
過酸化水素添加手段6からは、エゼクタ8での単位時間当りのオゾン供給量E(g/H)と、酸化水素添加手段6からの単位時間当りの過酸化水素添加量C(g/H)との比E/Cが好ましくは1〜10特に2〜6となるように過酸化水素が添加される。過酸化水素はラジカル反応開始剤として作用し、オゾンによる有機物の分解反応を促進させる。
【0021】
アルカリ添加手段7からは、好ましくはNaOH水溶液が添加され、被処理水のpHが7〜11特に8〜10となるように添加される。このように被処理水のpHをアルカリ性とすることにより、オゾンによる有機物酸化反応が促進される。
【0022】
エゼクタ8のスロート部のガス流入口は、配管9を介してオゾン発生機10に接続されており、オゾン含有ガスがエゼクタ8に吸い込まれるよう構成されている。オゾン発生機10としては、電解式、放電式など、生成するオゾン含有ガス中のオゾン濃度を調整できるものが好ましい。
【0023】
エゼクタ8は、水噴出方向が鉛直下向きとなるように設置されており、前記配管5はエゼクタ8の上端の作動流体流入口に接続されている。エゼクタ8の流出口は、鉛直な配管11を介してスタティックミキサ12の上端の流入部に接続されている。
【0024】
スタティックミキサ12は管状ケーシング内に撹拌用流路材を収容した構成のものであり、この実施の形態では管状ケーシングが鉛直方向となるように設置されている。なお、このようにスタティックミキサ12を鉛直方向に設置して下向流通水することにより、スタティックミキサ12内でオゾン含有気泡が浮力によって上昇しようとするので、スタティックミキサ12内のオゾンの滞留時間が長くなり、オゾンの溶解効率が向上する。
【0025】
スタティックミキサ12の下端の流出部から流出した水は、配管13を介して処理水槽14に導入され、処理水が該処理水槽14から取り出される。
【0026】
本発明では、エゼクタ8に供給される被処理水中の無機炭酸濃度を無機炭酸センサ(図示略)によって検出するようにしてもよい。また、配管1又は配管5を流れる被処理水の流量を流量計(図示略)で測定するようにしてもよい。
【0027】
オゾン発生機10からエゼクタ8に供給するオゾン量は、オゾン発生機10での電流を制御したり、配管9に設けたバルブ(図示略)の開度を制御することにより制御される。
【0028】
本発明では、エゼクタ8に供給されるオゾン含有ガス中のオゾン濃度A(g/Nm)と、配管5からエゼクタ8に供給される被処理水中の無機炭酸濃度B(g/L)との比A/Bが500〜1000となるようにする。A/B=500〜1000とするために、無機炭酸除去装置3での無機炭酸除去量と、エゼクタ8に供給されるオゾン含有ガス中のオゾン濃度との少なくとも一方を制御する。
【0029】
A/Bが500未満の場合、水中に溶解したオゾンが無機炭酸により消費され有機物分解効率が低下する。一方、A/Bが1000以上の場合、オゾン濃度が高すぎることにより、オゾン同士が反応消費してしまい、逆に有機物分解効率が低下する。A/Bを500〜1000とすることにより、オゾンの無機炭酸による消費とオゾンガス同士の反応消費を最小限に抑制することが可能となり、有機物の分解効率が向上する。
【0030】
上記説明では、過酸化水素添加手段6を設置しているが、過酸化水素添加手段6の代りに次亜塩素酸ナトリウム、二酸化塩素、次亜臭素酸ナトリウム等のハロゲン系薬剤添加手段を設置してもよい。この場合のハロゲン系薬剤の添加量は、エゼクタ8への単位時間あたりのオゾン添加量E(g/h)と、単位時間あたりのハロゲン系薬剤注入量D(g/h)との比E/Dが1〜6、特に2〜5となる量とすることが好ましい。
【実施例】
【0031】
[実施例1]
酸添加手段2、無機炭酸除去装置3及びアルカリ添加手段7を設置しないこと以外は図1の通りの構成の装置(図2参照)を用い、TOC20mg/L、無機炭酸濃度200mg/L(B=0.2g/L)、pH8.5の被処理水を処理した。被処理水流量は50m/hとした。エゼクタ8に供給されるオゾン含有ガスのオゾン濃度Aは100g/Nm、オゾン含有ガスの供給量(流量)は、30Nm/hとした。
【0032】
エゼクタ8としては、株式会社ノリタケ製ウォータージェットミキサーを用いた。
【0033】
TOC除去率と上記のうち主な条件とを表1に示す。
【0034】
[実施例2,3、比較例1〜3]
エゼクタ8に供給されるオゾン含有ガスのオゾン濃度Aを表1の通りとしたこと以外は実施例1と同一条件にて上記被処理水を処理した。結果を表1に示す。
【0035】
【表1】
【0036】
[実施例4]
図1の通り、酸添加手段2、無機炭酸除去装置3及びアルカリ添加手段7を設置した装置を用いて上記と同一の被処理水を処理した。
【0037】
無機炭酸除去装置3としては脱炭酸塔を設置した。酸添加手段2からは硫酸をpH6となるように添加した。アルカリ添加手段7からは水酸化ナトリウム水溶液をpH8.5となるように添加した。無機炭酸除去処理により、被処理水(エゼクタ8への流入水)の無機炭酸濃度は100mg/Lとなった。
【0038】
その他の条件は実施例1と同一とした。結果を表2に示す。
【0039】
[実施例5,6、比較例4〜6]
エゼクタ8に供給されるオゾン含有ガスのオゾン濃度Aを表2の通りとしたこと以外は実施例4と同一条件にて上記被処理水を処理した。結果を表2に示す。
【0040】
【表2】
【0041】
表1,2より明らかな通り、オゾンと無機炭酸との濃度比A/Bを500〜1000とした各実施例によると比較例に比べてTOC除去率が著しく高くなることが認められた。
【符号の説明】
【0042】
2 酸添加手段
3 無機炭酸除去装置
8 エゼクタ
9 オゾン発生機
12 スタティックミキサ
14 処理水槽
図1
図2